(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5698825
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】回動式半球型測定子
(51)【国際特許分類】
G01B 3/18 20060101AFI20150319BHJP
G01B 3/22 20060101ALI20150319BHJP
G01B 3/20 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
G01B3/18 102
G01B3/22 Z
G01B3/20 101A
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-234490(P2013-234490)
(22)【出願日】2013年11月13日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】595036943
【氏名又は名称】株式会社城北工範製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】塚原 宥誼
【審査官】
梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−226296(JP,A)
【文献】
特開平10−047903(JP,A)
【文献】
特開2012−132888(JP,A)
【文献】
特開2013−079842(JP,A)
【文献】
特開平09−089508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00 − 3/08
G01B 3/11 − 3/56
G01B 5/00 − 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端と移動端のあいだに測定物を挟み、その距離を測る測定器に装着して使用する測定子であって、
半球部と、
円筒部と、
測定子固定部と、からなり、
前記円筒部の一方は前記半球部の球面部に当接し、
前記円筒部の他方には前記測定子固定部を配置し、
前記測定子固定部は、測定器の測定子を挟持し、
前記半球部は、前記円筒部方向に付勢され、
該付勢は、前記半球部の頂部と前記円筒部の他方の端部とが前記円筒部内で弾性体により接続され、
面盤は円筒部に対して密着し、摺動可能であり、半球部の中心を軸として回動し、
前記半球部の中心から、前記円筒部の他方端の前記移動端が当接する位置までの距離は常に一定であることを特徴とする回動式半球型測定子。
【請求項2】
前記円筒部の他方の端付近は球体が配置され、前記球体の前記半球部方向にフック部があり、前記弾性体の端部が前記フック部に固定され、前記円筒部の他方の端付近には、前記円筒部の内径が前記球体の直径よりも細くなった球体支持部を持ち、前記球体と前記円筒部は、前記球体支持部で接触していることを特徴とする請求項1に記載の回動式半球型測定子。
【請求項3】
測定時に、測定対象物の先端の位置を規制する先端規制部を持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回動式半球型測定子。
【請求項4】
前記先端規制部が、固定端、又は前記半球部の平面部分の段差であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の回動式半球型測定子。
【請求項5】
前記先端規制部が、測定器のフレームから突出し、該突出量が調整可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回動式半球型測定子。
【請求項6】
前記半球部が弾性力によって前記測定対象物に加える力は、マイクロメータの定圧機構により前記測定対象物に加える力よりも小さく、且つ、前記半球部の平面部の周囲部の一部が前記測定対象物の傾斜した面に接触していることを特徴とする請求項1から請求5のいずれかに記載のマイクロメータ用の回動式半球型測定子。
【請求項7】
前記半球部の前記円筒部への付勢手段が、
前記弾性体に代え、
前記円筒部の前記半球部側端部に磁性を帯びさせて磁力的に密着していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の回動式半球型測定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定子に関し、詳しくは、ノギス、ダイヤルゲージ、或いはマイクロメータといった既存の測定器の測定子に、これを延長するように取り付けることによって、傾斜物の端部寸法や勾配の有無確認などが高精度に測定可能となる回動式半球型測定子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、加工部品等の寸法を測定する測定器には、ノギスやダイヤルゲージ、或いはマイクロメータ等といったものがあり、これらは固定端と移動端のあいだで測定物を挟持等し、係る両端間の距離を図るものである。長さを図るにしても、それぞれに特徴があり、加工技術者等が必要に応じて適宜使い分けている。ノギスは簡易的な測定器であるが、測定子を複数有し、ジョウで物の外側の長さを、クチバシで内径を、デプスバーで深さ等を測ることができるなど、利便性の高い測定器である。また、マイクロメータやダイヤルゲージは、精密なねじ機構を使って、ねじの回転角の変位を長さへ置き換えることによって計測するもので、ノギスと比較すると、より精密な測定に用いられている。マイクロメータの測定子は固定されたアンビルとの間で移動するスピンドルであり、ダイヤルゲージはスピンドルのみである。一般的なマイクロメータのスピンドルの先端はアンビルと平行で平坦な円形の平面状であり、ダイヤルゲージの測定子の先端面形状は球状が一般的である。但し、ダイヤルゲージでは、用途に応じて平面状のものや、針状等の測定子に交換することができる。さらに、測定子の接触部が動作するものとして、ローラー測定子もある。マイクロメータでは、測定圧力の差による測定値のばらつきを抑えるため、一定の圧力で測定を行えるよう、ラチェットストップ式と呼ばれる定圧機構を持ち、ダイヤルゲージではコイルバネ等の弾性部材による定圧機構を備えるものが一般的である。
【0003】
ところで、寸法を求める各部品等の中には、傾斜面を持つものの少なくない。例えば、直方体の一辺が傾斜面となっている傾斜ピンや、円筒で一方が細くなっているテーパーピンなどがある。このような部品の傾斜に係る端部の厚さや高さの測定を単純に行おうとすると、傾斜部が邪魔になって正確な測定が出来ない。そのため、その部品専用の冶具を組み合わせて測定したり、限度サンプルによって測定の代替を行ったり、或いは三次元測定機や画像から形状を測定するような高額の測定機を用いる等、測定の手間や作業時間、或いは設備費用の負担など、効率が悪い結果となっていた。
【0004】
例えば、マイクロメータで傾斜する端部を測ろうとした場合、アンビルとスピンドルが並行であるため、厚みの薄い方の測定では一端は面接触できるものの、他端は点接触となり、正確に測定することができない。また、ノギスの場合でも、ジョウにも厚みがあり事情は変わらない。しかしながら、部品専用冶具を用いて測定するのでは、部品が変わる毎に、冶具も代える必要があり迂遠であるし、冶具の管理も必要である。また、限度サンプルによる方法では、あくまで上限、下限値との比較であるので、実測が必要な場合には役立たないし、三次元測定機では測定物が取り外せない場合等では測定不能である。
【0005】
従って、これらの問題を解決するためには、マイクロメータやノギス等の測定器に、補助具等を組み合わせることで、傾斜面を持つ部品の各部寸法を、容易に、且つ、正確に測定する技術が求められているといえる。
【0006】
このような問題点に鑑みて、従来からも種々の技術が提案されている。例えば、マイクロメータ及びノギス用の延長標準器として、スリーブが延長標準器及びマイクロメータのアンビル又はスピンドルの計測面と係合し、計測隙間を選択的に位置決めし、こうした位置でこのような計測隙間の大きさを変化させること(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。係る発明は、マイクロメータのスピンドル部分に冶具を取り付けることで、マイクロメータの機能を拡張し、色々な部品について、容易に、且つ、正確に測定するものである。しかしながら、傾斜面を持つ部品の寸法測定については、記載されておらず、前記問題の解決には至っていない。
【0007】
また、回転スピンドルがY軸方向に対して平行に、Z軸方向と直交する方向に、配設されているかを確認するための回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態確認方法(特許文献2参照)が提供され、公知技術となっている。より具体的には、チャックテーブルと、切削ブレードを備えた切削手段の回転スピンドルの取り付け状態確認治具であって、回転スピンドルに設けられた回動部材と、回動部材に装着されたマイクロメータとからなり、マイクロメータの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられているものである。係る発明は、マイクロメータと回動部を組み合わせることで、対象物の傾斜量を測定するものである。しかしながら、対象物の単位長あたりの傾斜量を測定することで、傾斜角を求めるものであり、傾斜面を持つ部品の特定の位置の寸法測定については、記載されておらず、前記問題の解決には至っていない。
【0008】
本発明者は、それらの問題を解決しようと、マイクロメータのスピンドルやノギスのジョウなどに測定補助具を付け、該測定補助具の先端に、回動可能な半球部を設けることで、傾斜面の対応した測定ができることに着目し、「回動式半球型測定子」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−5303号公報
【特許文献2】特開2012−55998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、組み合わせることで、傾斜面を持つ部品の寸法を、容易に、且つ、正確に測定する回動式半球型測定子の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る回動式半球型測定子は、固定端と移動端のあいだに測定物を挟み、その距離を測る測定器に装着して使用する測定子であって、半球部と、円筒部と、測定子固定部と、からなり、前記円筒部の一方は前記半球部の球面部に当接し、前記円筒部の他方には前記測定子固定部を配置し、前記測定子固定部は、測定器の測定子を挟持し、前記半球部は、前記円筒部方向に付勢され、該付勢は、前記半球部の頂部と前記円筒部の他方の端部とが前記円筒部内で弾性体により接続され
、面盤は円筒部に対して密着し、摺動可能であり、半球部の中心を軸として回動し、前記半球部の中心から、前記円筒部の他方端の前記移動端が当接する位置までの距離は常に一定であることを特徴とする回動式半球型測定子とした。
【0012】
また、本発明は、前記円筒部の他方の端付近は球体が配置され、前記球体の前記半球部方向にフック部があり、前記弾性体の端部が前記フック部に固定され、前記円筒部の他方の端付近には、前記円筒部の内径が前記球体の直径よりも細くなった球体支持部を持ち、前記球体と前記円筒部は、前記球体支持部で接触していることを特徴とする前記記載の回動式半球型測定子とすることもできる。
【0013】
また、本発明は、測定時に、測定対
象物の先端の位置を規制する先端規制部を持つことを特徴とする前記に記載の回動式半球型測定子とすることもできる。
【0014】
また、本発明は、前記先端規制部が、固定端、又は前
記半球部の平面部分の段差であることを特徴とする前記に記載の回動式半球型測定子とすることもできる。
【0015】
また、本発明は、前記先端規制部が、測定器のフレームから突出し、該突出量が調整可能であることを特徴とする前記に記載の回動式半球型測定子とすることもできる。
【0016】
また、本発明は、前記半球部が弾性力によって前記測定対
象物に加える力は、マイクロメータの定圧機構により前記測定対
象物に加える力よりも小さく、且つ、前記半球部の平面部の周囲部の一部が前記測定対
象物の傾斜した面に接触していることを特徴とする前記に記載のマイクロメータ用の回動式半球型測定子とすることもできる。
【0017】
また、本発明は、前記半球部の前記円筒部への付勢手段を、前記弾性
体に代え、
前記円筒部の前記半球部側端部に磁性を帯びさせて磁力的に密着させる手段を採用していることを特徴とする前記に記載の回動式半球型測定子とすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る回動式半球型測定子1によれば、マイクロメータ12やノギス100、或いはダイヤルゲージ600等を組み合わせることで、傾斜面を持つ部品の寸法最小値及び最大値を、容易に、且つ、正確に測定することができる。
【0019】
本発明に係る回動式半球型測定子1によれば、
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る回動式半球型測定子の全体図である。
【
図2】本発明に係る回動式半球型測定子の3面図、断面図である。
【
図3】本発明に係る回動式半球型測定子の使用例の図である。
【
図4】本発明に係る回動式半球型測定子の芯位置を求める方法説明図である。
【
図5】本発明に係る回動式半球型測定子の他の実施例の図である。
【
図6】本発明に係る回動式半球型測定子のテーパ部測定説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明である回動式半球型測定子は、マイクロメータ12やノギス100、或いはダイヤルゲージ500等を組み合わせることで、傾斜面を有する部品の最小寸法や最大寸法を、容易に、且つ、正確に測定することができることを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例で示される回動式半球型測定子1の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
【実施例1】
【0022】
図1から
図2にしたがって、本発明を説明する。
図1(a)は、本発明の全体斜視図を示し、
図1(b)は本発明をマイクロメータ12に装着した図であり、
図1(c)は本発明をノギス100に装着した図であり、
図1(d)は本発明をダイヤルゲージ500に装着した状態である。
図2は本発明の正面図。側面図と断面図を示し、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は側面図を示す。(d)はスピンドル挟持部の他の例を示す。なお、ダイヤルゲージ等の他の測定器の実施例については、同一内容の記載で煩雑となり、また、取付方法等は、マイクロメータ12の説明から当業者であれば当然に導き出せる自明な事項と考えられるので省略する。また、説明はマイクロメータ12を例にして説明し、ノギス100やダイヤルゲージ500等については省略する。
【0023】
回動式半球型測定子1は、主に半球部2、円筒部3、キャップ部4とばね部5から構成されている。半球部2は、測定対称に当接する部分であり、円筒部3は回動式半球型測定子1の筐体として構成であり、キャップ部4は、マイクロメータ12のスピンドル7を挟持する部分である。ばね部5は、半球部2が円筒部3に対して回動可能に当接させるための付勢を加えるものである。回動式半球型測定子1は、マイクロメータ12やノギス100、或いはダイヤルゲージ500等の移動端側に取り付け、使用する。
【0024】
簡単にマイクロメータ12での構成を説明すると、測定対象を挟むアンビル9、スピンドル7があり、アンビル9、スピンドル7等を保持するフレーム部11、スピンドル7を送るシンブル14、主目盛を表示したスリーブ16、スピンドル7を固定するクランプ13、定圧測定のためのラチェット15から構成されている。回動式半球型測定子1は、スピンドル7の先端に、マイクロメータ12の中心軸と回動式半球型測定子1の中心軸が合致するように固定する(
図1(b))。測定対象物は、アンビル9と半球部2によって挟まれ、寸法測定される。本発明の最も特徴的な部分であり、半球部2が測定物の傾斜に追従して回動しても、半球部2の中心は常にアンビル9とスピンドル7の中心を結ぶ線上に位置する構造を採用している点である。
【0025】
半球部2は、半球形状であり、球部の頂部には、フック部201が配置されている。平面部203は、測定対象物に当接する部分である。平面部203は、円状であり、その中心点202は、球部の中心点と同一である。フック部201は、ばね部5の端部に接続され、ばね部5の方向に付勢されている。球部の一部は、円筒部3の端部303に当接し、円筒部3に対して半球部2は摺動可能となっている。半球部2が回動した際、円筒部3とは、球面部で当接していることから、半球部2の中心点202の位置は、変わらない。したがって、中心点202と端部303までの距離も常に一定である。半球部2は、測定対象物に当接することから、マイクロメータのスピンドル7、アンビル9と同様の強度、同様の平坦度を持つことが望ましい。
【0026】
円筒部3は、中空の円筒状の形状である。円筒部3の一方の端部303は、半球部2の球面部に当接し、円筒部3の他方にはキャップ部4を配置している。端部303は、当接する半球部2の球面の傾きに沿った傾斜面である。詳細に言えば、円筒部3の外径、内径とも半球部2に略線接触するように、端部303の内側端部は外側よりもへこんでいる。略面接触としないのは、摩擦抵抗や摩耗を考慮するものである。半球部2が当接し、且つ、摺動可能となるように、端部303は十分滑らかな形状である。この部分の摩擦力が大きいと、後述する定圧測定の妨げとなるので、十分滑らかな表面であることは重要である。
【0027】
円筒部3の他方の端には、キャップ部4が配置されている。円筒部3のスピンドル挟持部302は、スピンドル7を挟み、固定する部分である。端面から見て、複数の切れ込みが入っている。スピンドル挟持部302とキャップ部4とは、対応する螺子構造となっており、キャップ部4をねじ部401に沿ってねじ込むとスピンドル挟持部302の端部を内側に押す構造である。スピンドル挟持部302の内径は、スピンドル7の外径よりも若干大きくなっている。スピンドル7をスピンドル挟持部302に挿入後、キャップ部4をねじ部401に沿ってねじ込むことによって、スピンドル挟持部302の端部は、内側に付勢され、スピンドル7を挟持する。測定中に、スピンドル挟持部302とスピンドル7に位置がずれると測定に支障が出ることから、十分な固定が必要である。また、スピンドル挟持部には、ねじ構造を作らず、キャップ部4の絞り部403によって内側に押すことによって、スピンドルを挟み込む構造でもよい(
図2(d))。この構造にすると、ねじ構造部分を減らすことが出来、構造をより単純化することができ、好適である。
【0028】
キャップ部4は、前述のように、スピンドル7を固定させるための部品であり、円筒状であり、一方は開放しており、他方は、スピンドル7が十分通る程度の貫通孔がある。キャップ部4を回転させることで、回動式半球型測定子1をスピンドル7に固定することから、表面は、回転操作をしやすくするために、すべりどめ構造であると好適である。
【0029】
ばね部5は、半球部2を円筒部3方向に牽引する。ばね部5の一方の端部は、半球部2のフック部201に固定され、ばね部5の他方の端部は、円筒部3の他方の端部にある固定球部6のフック部601に固定されている。ばね部5は、半球部2と固定球部6に固定された状態で、所定の張力を持つよう設計されている。その張力は、円筒部3に対して半球部2が離れてしまうことがない程度に強く、半球部2が測定対称に対して回動する際、測定のための定圧機構の妨げとならない程度に弱いことが必要である。半球部2が円筒部3から離れてしまうほど、張力が弱ければ、半球保持部302から、中心点202までの距離が一定しないし、定圧機構の妨げとなるほど強いと、半球部2が測定対象の傾斜に沿って十分回動する前に、定圧に達してしまい、傾斜部の正確な測定ができないからである。固定球部6は円筒部3と球支持部301によって当接しており、半球部2が回動するとそれに応じて、回動する。
【0030】
回動式半球型測定子1において、スピンドル7は、固定球部6の頂部に当接する構造である。固定球部6は、半球保持部303に当接し、円筒部3と半球部2は半球保持部303で当接している。したがって、スピンドル7の先端から球支持部301までの距離、球支持部301から半球保持部303までの距離、半球部2の半径を厳密に規定することによって、スピンドル7の先端から、半球部2の平面部203までに距離を厳密に規定することができる。一般的に、マイクロメータ12は、アンビル9からスピンドル7までの距離は、25mmごとに測定器が作られ、0から25mmを測定するもの、25から50mmを測定するもの等に分かれている。そのため、回動式半球型測定子1の半球部2の平面部203からスピンドル7が当接する部分までの距離を25mmとすることによって、25から50mmを測定するマイクロメータを、0から25mmを測定するマイクロメータを使用することができ、測定上、好適である。
【0031】
回動式半球型測定子1の測定作業について、
図3を用いて説明する。(a)は傾斜部を持つ部品の短い端部を測定する図である。(b)は傾斜部を持つ部品の長い端部を測定する図である。
傾斜部を持つ部品8の端部を測定動作を説明する。部品8は、直方体の一面が傾斜面である部品であり、一般的には傾斜ピンと呼ばれるものを含む。部品8は長手方向の面として底部804と傾斜面801を持ち、幅方向で短い側面802と長い側面803を持つ6面体である。底面804と側面802、803は直行しており、傾斜面801は底面804に対して所定の角度を持っている。
【0032】
使用者は、部品8を底面804をアンビル9に接するように、アンビル9に乗せる。端面802の高さを測定する場合には、側面802がアンビル9の中心と合致するように部品8を配置する。使用者はラチェット15を操作し、スピンドル7を繰り出す。
半球部2の平面部203の周囲の一部が部品8の一部に接触する。半球部2は、中心点202を中心として、摺動可能であるので、部品8からの応力によって、紙面上、時計回りに回転する。ばね部5は半球部2の回転に際して、半球部2が円筒部3から離れたり、半球部2が回転しすぎることを防ぐ程度に半球部2をスピンドル7方向に引っ張っているので、半球部2は安定して、部品8の傾斜面801と密着する方向に回動する。
【0033】
ばね部5は、半球部2のフック部201が時計方向に回転するのでそれにしたがって、伸び、張力を増加させ、半球部2の位置を元の位置に戻す復元力として作用する。ばね部5の他方の端部は固定球部6のフック部601に接続されている。ばね部5が紙面上下方に引かれるのに応じて、固定球部6も反時計回りに回動し、固定球部6のフック部601が、常に半球部2のフック部201の方向を向くように動く。そうすると、半球部2のフック部201はより遠方から引っ張られることとなり、半球部2の回動量の増加に伴い、無用にばね部5の張力を増加させることなく、一定の復元力を保つことができる。
【0034】
ラチェット15をさらに操作し、部品8の傾斜面801と半球部2の平面部203が密着し、ラチェット15の定圧機構が動作した段階で、測定準備完了となる(
図3(a))。部品8の側面802の上部は半球部2の中心点202と接触しているので、この時点の寸法が、側面802の寸法となる。
【0035】
図3(b)は、部品8の長いほうの側面803を測定する場合の図であり、側面802の際とは逆に半球部2は、傾斜面801に密着するために、反時計方向に回動する。半球部2の平面部203が傾斜面801と密着した段階で、側面803の上部と半球部2の中心点202は接触するので、このときの寸法が、側面803の寸法となる。
このように、回動式半球型測定子11を用いることによって、計測に邪魔な傾斜面がある場合においても、正確に、部品の寸法を測ることができる。
【実施例2】
【0036】
他の実施例について
図4を用いて説明する。(a)はアンビル9にフィルムを貼り付けた例である。(b)は半球部2の平面部203にフィルムを貼り付けた例である。(c)は半球部2の平面部203に段差を設けた例である。(d)は、マイクロメータ12のフレーム部11から先端規制部を出した例である。実施例1と同様の部分の説明は省略する。
【0037】
実施例1において、アンビル9の中心部に部品の測定する面、位置を合わせる必要があるが、
図4に示すように、
図4(a)の位置から
図4(b)の位置を通過すると、
図4(c)のように半球部2が傾斜面から脱落する点が中心となるが、これを見極めるには細かな注意力を有する作業であるし、高い精度が必要である。改善策として、アンビル9に中心点を通る段差形状を作ることが考えられるが、アンビル9に極端な段差のある形状としてしまうと、通常の測定時に支障が出てしまうし、部品の厚さによっては、その段差によって、傾斜面の測定自体にも支障がでてしまう可能性があった。
そのため、容易に、部品8の測定部である先端部をアンビル9の中心点、或いは半球部2の中心点202にあわせるように規制することが出来、且つ、通常の測定にも支障をきたさない仕組みが必要であった。
【0038】
そこで、アンビル9の表面の一部をフィルム10を貼り付ける。フィルム10の端部はアンビル9の中心点を通るように配置する。フィルムは、測定の支障のないように1/10mm程度が望ましい。アンビル9にフィルム10を貼り付けた例を
図5(a)に示す。アンビル9の表面に対して、紙面上、下半分を覆うフィルム10を貼り付け、フィルム10によって生じた段差部分である先端規制部1001に、部品8の測定面を当接させることによって、部品8の測定面とアンビル9の中心点に合わせることができる。使用者は、部品8の先端を先端規制部1001に当接させることで、部品8の配置位置に神経を使うことなく、傾斜面のある部品の寸法測定を行うことができる。
また、フィルムは、半球部2の平面部203に貼ってもよい。
図5(b)のように、半球部2の平面部203に半円上のフィルム10bを貼り、スピンドル7を繰り出しつつ、部品8の先端部をフィルム10bの先端規制部1001に当接させることで、部品8の配置位置に神経を使うことなく、傾斜面のある部品の寸法測定を行うことができる。
また、フィルム10に代えて、半球部2の平面部203に半円状の段差構造を作ってもよい。
図5(c)に構造を示す。アンビル9に段差構造を作ってしまうと、マイクロメータ12自体が傾斜測定用に特化してしまうが、回動式半球型測定子1の半球部2の構造を変えるのであれば、通常測定の場合は回動式半球型測定子1をはずすので問題ない。半球部2の平面部203につくる段差が部品8の先端規制部となり、使用者は、部品8の先端を半球部2の平面部203の先端規制部に当接させることで、部品8の配置位置に神経を使うことなく、傾斜面のある部品の寸法測定を行うことができる。
また、マイクロメータ12のフレーム部11から、支持部1102を出し、部品8の先端部の位置を規制してもよい。
図5(d)に示すように、フレーム部11に回転部1101を付け、支持部1102を移動可能にする。支持部1102の端部を、アンビル9の中心点に合致させることにより、部品8の先端部分を、支持部1102の端部に当接することによって、アンビル9の中心点に合わせることが出来、部品8の配置位置に神経を使うことなく、傾斜面のある部品の寸法測定を行うことができる。支持部1102は、通常の測定時は、アンビル9の位置から移動することによって、通常の測定時に支障なく測定できる。
【0039】
傾斜ピン、テーパーピンの測定方法を
図5にしたがって説明する。
図6(a)は傾斜ピンの測定例を示す。
図6(b)はテーパーピンの測定例を示す。
図6(a)の部品8は、直方体の一面が傾斜面801である形状であり、底面804に対して側面802、803とも直行している。回動式半球型測定子1を用いて側面802、803を測定する場合は、測定する側面をアンビル9の中心点と合致させて、測定する。回動式半球型測定子1を用いた測定値がそのまま、側面802、803の寸法となる。
【0040】
図6(b)の部品8aは、側面806,808の中心線に対して、底面810、傾斜面805の両方の距離が等しく変化する形状であり、言い換えれば、部品の投影形状が、側面808を底面とする2等辺三角形の先端を切り、側面806の形をした形状である。底面810に対して、側面806,808は直行していない。
そのため、底面810をアンビル9に載せ、側面806、808の寸法を測定しようとしても実際に測定されるのは底面810の端部から鉛直方向の値しかとれないので、側面の寸法を直接には測定できない。そこで、測定値から、側面の寸法を算出する例を説明する。
側面806の実際の寸法をA1、回動式半球型測定子1によって測定された値をS1、側面808の実際の寸法をB1、回動式半球型測定子1によって測定された値をQ1とする。
図面(b)上の各点をAからFとする。角度CABをθとする。
角度θは、次式で表せる。
tan(θ)=(Q1−S1)/L1
------------- (1)
線分ADをL2とすると
L2=L1(S1(Q1−S1)) ------------- (2)
である。
角度EADは θ/2である。
三角形AEDの一点の角度と1辺の長さが分かれば、三角関数を用いて他の辺の長さが分かる。線分EDはA1/2である。
線分ED =L1(S1/(G1−S1))sin(θ/2)------------- (3)
よって、A1は
A1=2L1(S1/(G1−S1))sin(θ/2)
------------- (4)
である。
同様に、B1を求めると
B1=2L1(1+S1(Q1−S1))sin(θ/2) ------------- (5)
である。
このように、テーパーピンであっても間接的に側面の寸法を求めることができる。
【実施例3】
【0041】
他の実施例について
図6を用いて説明する。(a)は、ばねの代わりにゴムを用いた例である。(b)は磁石を用いた例である。実施例1と同様の部分は省略する。
実施例1において、半球部2を円筒部3方向に付勢する方法として、ばね部5による例を説明しているが、他の方法を用いてもよい。ばね部5の代わりに、ゴム17を用いてもよい。ゴムの一方を半球部2のフック部201に掛け、ゴム17の他方を固定球部6のフック部601に掛け、常に所定の張力をフック間にかけることによって、ばね部5と同様の効果をあげることができる。ゴムを用いることで若干ではあるが軽量化を行うことができる。また、回動式半球型測定子1は全長が25mm程度と小さいのでばね部5の加工が困難な場合はゴム17のほうが適している。
また、ばね部5の代わりに、磁石18を用いてもよい。円筒部3の半球部2付近に磁石18を配置することで、半球部2が円筒部3に吸着され、且つ、摺動可能となる。磁石の場合は復元力がないので、測定ごとに半球部2の位置を元に戻したほうがより正確な測定ができる。また、半球部2も磁性を帯びるので、部品8が磁化する可能性があるので注意が必要である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る回動式半球型測定子1は、マイクロメータ12、ノギス100、或いはダイヤルゲージ500等の利用範囲を拡張することができるため、産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0043】
1 回動式半球型測定子
2 半球部
3 円筒部
4 キャップ部
5 ばね部
6 固定球部
7 スピンドル
8 部品
9 アンビル
10 フィルム
11 フレーム部
12 マイクロメータ
13 クランプ
14 シンブル
15 ラチェット
16 スリーブ
17 ゴム
18 磁石
100 ノギス
102 クチバシ
104 ジョウ
106 デブスバー
108 副尺(バーニャ)
110 主尺
201 フック部
202 中心点
203 平面部
203 段差部
301 球支持部
302 スピンドル挟持部
303 半球保持部
304 割り部分
401 ねじ部
402 ねじ部
403 締め部
500 ダイヤルゲージ
601 フック部
602 スピンドル当接部
801 傾斜面
802 側面
803 側面
804 底面
805 傾斜面
806 側面
808 側面
810 底面
1101 回転部
1102 支持部
【要約】 (修正有)
【課題】既存のマイクロメータ、ノギス、或いはダイヤルゲージといった等と組み合わせることで、傾斜面を持つ部品の寸法を、容易に、且つ、正確に測定する回動式半球型測定子を提供する。
【解決手段】半球部2と円筒部3とスピンドル固定部4からなり、円筒部3の一方は半球部2の球面部に当接し、円筒部3の他方はスピンドル固定部4を配置し、スピンドル固定部4は、マイクロメータ12のスピンドル7を挟持し、半球部2は、円筒部3に対して密着し、摺動可能であり、半球の中心を軸として回動することにより、傾斜面を持つ部品の寸法を容易に測定する。
【選択図】
図1