(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳述する。
本明細書において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を;アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-12アルキル基を;低級アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびイソペンチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキル基を;ハロゲノ低級アルキル基とは、たとえば、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、トリクロロエチルおよびクロロプロピルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のハロゲノ−C
1-6アルキル基を;低級アルコキシ低級アルキル基とは、たとえば、メトキシメチル、エトキシメチル、n-プロポキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシエチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルコキシ−C
1-6アルキル基を;ヒドロキシ低級アルキル基とは、たとえば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のヒドロキシ−C
1-6アルキル基を;アミノ低級アルキル基とは、たとえば、アミノメチル、アミノエチルおよびアミノプロピルなどのアミノ−C
1-6アルキル基を意味する。
【0011】
アルケニル基とは、たとえば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニルおよびオクテニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
2-12アルケニル基を;低級アルケニル基とは、たとえば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルおよびペンテニルなどの直鎖状および分枝鎖状のC
2-6アルケニル基を意味する。
【0012】
シクロアルキル基とは、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルなどのC
3-7シクロアルキル基を;シクロアルキルオキシ基とは、たとえば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロペンチルオキシなどのC
3-7シクロアルキルオキシ基を;シクロアルケニルオキシ基とは、たとえば、シクロペンテニルオキシおよびシクロヘキセニルオキシなどのC
5-7シクロアルケニルオキシ基を意味する。
【0013】
アリール基とは、たとえば、フェニル、トリルおよびナフチルなどの基を;アルアルキル基とは、たとえば、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチル、4−メチルベンジルおよびナフチルメチルなどのアルC
1-12アルキル基を意味する。
【0014】
アリールオキシ基とは、たとえば、フェノキシおよびナフトキシなどの基を;アリールオキシカルボニル基とは、たとえば、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルなどの基を意味する。
【0015】
アルコキシ基とは、たとえば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシおよびオクチルオキシなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-12アルコキシ基を;低級アルコキシ基とは、たとえば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびイソペンチルオキシなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルコキシ基を;アルコキシアルキル基とは、たとえば、メトキシメチル、エトキシメチルおよび2−(トリメチルシリル)エトキシメチルなどの基を意味する。
【0016】
アルキレン基とは、たとえば、メチレン、エチレンおよびプロピレン基などの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-12アルキレン基を意味する。
【0017】
アルコキシカルボニル基とは、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルおよびペンチルオキシカルボニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-12アルコキシカルボニル基を;低級アルコキシカルボニル基とは、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルおよびプロポキシカルボニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキルオキシカルボニル基を;低級アルコキシカルボニル低級アルキル基とは、たとえば、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、n-プロポキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチルおよびエトキシカルボニルエチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルコキシカルボニル−C
1-6アルキル基を;アルアルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、ベンジルオキシカルボニルおよび4−メチルベンジルオキシカルボニルなどのアルC
1-12アルキルオキシカルボニル基を意味する。
【0018】
低級アルコキシイミノ基とは、たとえば、メトキシイミノおよびエトキシイミノなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルコキシイミノ基を;アルキルアミノ基とは、たとえば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミノおよびオクチルアミノなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-12アルキルアミノ基を;低級アルキルアミノ基とは、たとえば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびメチルエチルアミノなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のモノまたはジ−C
1-6アルキルアミノ基を;低級アルキルアミノ低級アルキル基とは、たとえば、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、エチルアミノメチル、メチルアミノプロピル、プロピルアミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチルおよびジメチルアミノプロピルなどのモノまたはジ−C
1-6アルキルアミノ−C
1-6アルキル基を;低級アルキリデン基とは、たとえば、メチレン、エチリデン、プロピリデンおよびイソプロピリデンなどのC
1-6アルキリデン基を意味する。
【0019】
含窒素複素環式基とは、たとえば、ピロリル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリミジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キノリル、キノリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キヌクリジニル、キナゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、プリニルおよびインダゾリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の窒素原子を含み、さらに1つ以上の酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基を意味する。
【0020】
複素環式基とは、上記した含窒素複素環式基ならびに、たとえば、フリル、チエニル、4−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール、ベンゾチエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、オキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、ジヒドロキノキサリニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾピロリル、2,3−ジヒドロ−4H−1−チアナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]ジオキサニル、イミダゾ[2,3−a]ピリジル、ベンゾ[b]ピペラジニル、クロメニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、イソインドリルおよびイソキノリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい、窒素、酸素もしくは硫黄原子から選ばれる少なくとも1つ以上の異項原子を含有する5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基を;複素環式カルボニル基とは、たとえば、4−ヒドロキシ−2−(5H)−フラノカルボニル、モルホリノカルボニル、ピペラジノカルボニルまたはピロリジノカルボニル基などの複素環式−CO−基を意味する。
【0021】
アシル基とは、たとえば、ホルミル基、アセチル、イソバレリル、プロピオニルおよびピバロイルなどの直鎖状または分枝鎖状のC
2-12アルカノイル基、ベンジルカルボニルなどのアルアルキルカルボニル基、ベンゾイルおよびナフトイルなどのアロイル基ならびにニコチノイル、テノイル、ピロリジノカルボニルおよびフロイル基などの複素環式カルボニル基などのアシル基を;アシルアミノ基とは、たとえば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノおよびブチリルアミノなどのようなC
1-6アシルアミノ基を意味する。
【0022】
環状アミノ基とは、たとえば、飽和の環状アミノおよび不飽和の環状アミノ基のいずれでもよく、また当該環内にさらに1つまたはそれ以上の窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの異種原子およびカルボニル炭素を含んでいてもよく、さらに単環であっても2〜3環性であってもよく、さらに具体的には、アジリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリン−1−イル、ピロール−1−イル、ジヒドロピリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ジヒドロアゼピン−1−イルおよびペルヒドロアゼピン−1−イルなどの窒素原子1個を有する飽和または不飽和の単環式3〜7員の環状アミノ基;イミダゾール−1−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリン−1−イル、ピラゾリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、1,4−ジヒドロピラジン−1−イル、1,2−ジヒドロピリミジン−1−イル、ペルヒドロピラジン−1−イルおよびホモピペラジン−1−イルなどの窒素原子2個を有する飽和または不飽和の単環式3〜7員の環状アミノ基;1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2−ジヒドロ−1,2,4−トリアジン−1−イルおよびペルヒドロ−S−トリアジン−1−イルなどの窒素原子3個以上を有する飽和または不飽和の単環式3〜7員の環状アミノ基;オキサゾリジン−3−イル、イソオキサゾリジン−2−イル、モルホリン−4−イル、チアゾリジン−3−イル、イソチアゾリジン−2−イル、チオモルホリン−4−イル、ホモチオモルホリン−4−イルおよび1,2,4−チアジアゾリン−2−イルなどの窒素原子以外に酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子1〜4個を有する飽和または不飽和の単環式3〜7員の環状アミノ基;イソインドリン−2−イル、インドリン−1−イル、1H−インダゾール−1−イル、プリン−7−イルおよびテトラヒドロキノリン−1−イルなどの飽和または不飽和の2〜3環性の環状アミノ基;ならびに5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル、2,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−イル、2−オキサ−5,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル、2,8−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−イルおよび7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルなどのスピロ式または架橋式の飽和または不飽和の5〜12員の環状アミノ基を意味する。
【0023】
アルキルチオ基とは、たとえば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオおよびオクチルチオなどの直鎖状または分枝鎖状のC
1-12アルキルチオ基を;低級アルキルチオ基とは、たとえば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオおよびイソペンチルチオなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキルチオ基を意味する。
【0024】
アルキルスルフィニル基とは、たとえば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n-プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル、ヘプチルスルフィニルおよびオクチルスルフィニルなどの直鎖状または分枝鎖状のC
1-12アルキルスルフィニル基を;アルキルスルホニル基とは、たとえば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n-ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニルおよびオクチルスルホニルなどの直鎖状または分枝鎖状のC
1-12アルキルスルホニル基を;アリールスルホニル基とは、たとえば、ベンゼンスルホニルおよびp−トルエンスルホニルなどの基を意味する。
【0025】
アルキルスルホニルアミノ基とは、たとえば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec−ブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、ペンチルスルホニルアミノ、イソペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノ、ヘプチルスルホニルアミノおよびオクチルスルホニルアミノなどの直鎖状または分枝鎖状のC
1-12アルキルスルホニルアミノ基を;アリールスルホニルアミノ基とは、たとえば、フェニルスルホニルアミノおよびナフチルスルホニルアミノなどのアリール−SO
2NH−基を意味する。
【0026】
低級アルキルスルフィニル基とは、たとえば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n-プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n-ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニルなどの直鎖状または分枝鎖状C
1-6アルキルスルフィニル基を;低級アルキルスルホニル基とは、たとえば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニルおよびペンチルスルホニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキルスルホニル基を意味する。
【0027】
低級アルキルカルバモイル基とは、たとえば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイルおよびメチルエチルカルバモイルなどのモノまたはジ−C
1-6アルキルカルバモイル基を;低級アルキルスルホニルアミノ基とは、たとえば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec−ブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノおよびペンチルスルホニルアミノなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキルスルホニルアミノ基を意味する。
【0028】
低級アルキルスルホニルカルバモイル基とは、たとえば、メチルスルホニルカルバモイル、エチルスルホニルカルバモイル、n−プロピルスルホニルカルバモイル、イソプロピルスルホニルカルバモイル、n−ブチルスルホニルカルバモイル、イソブチルスルホニルカルバモイル、sec−ブチルスルホニルカルバモイル、tert−ブチルスルホニルカルバモイルおよびペンチルスルホニルカルバモイルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルキルスルホニルカルバモイル基を;低級アルキルアミノスルホニル基とは、たとえば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、プロピルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニルおよびメチルエチルアミノスルホニルなどのモノまたはジ−C
1-6アルキルアミノスルホニル基を意味する。
【0029】
カルボシキル低級アルケニル基とは、たとえば、カルボキシル基で置換されている直鎖状および分枝鎖状のC
2-6アルケニル基を意味する。
【0030】
低級アルキル複素環式基とは、たとえば、直鎖および分枝鎖状の低級アルキル基で置換された複素環式基を;ヒドロキシ複素環式基とは、たとえば、ヒドロキシル基で置換されている複素環式基を意味する。
【0031】
低級アルコキシ低級アルコキシ基とは、低級アルコキシ基で置換された直鎖状もしくは分枝鎖状のC
1-6アルコキシ基を意味する。
【0032】
複素環式オキシ基とは、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシおよびテトラヒドロチオピラニルオキシなどの酸素原子を介して結合した複素環式−O−で表される基をそれぞれ意味する。
【0033】
カルボキシル基の保護基としては、通常のカルボキシル基の保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第369〜453頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons、INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基およびアルコキシアルキル基などが挙げられる。
【0034】
アミノ基の保護基としては、通常のアミノ保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第494〜615頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons、INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルスルホニル基およびアリールスルホニル基などが挙げられる。
【0035】
ヒドロキシル基の保護基としては、通常のヒドロキシル保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第3版、第17〜245頁、1999年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons、INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には、たとえば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルアルキルオキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、アルアルキル基およびアルコキシアルキル基などが挙げられる。
【0036】
R
1における複素環式、フェニルおよびアルキル基;R
2における複素環式、アルコキシカルボニルおよび複素環式カルボニル基;R
3におけるアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノおよび複素環式基;ならびにR
4におけるアルコキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキル、シクロアルキル、複素環式オキシおよび複素環式基の各基は、さらに、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、保護されていてもよいカルボキシル、ホスホリル、ヒドロキシル、アミノ、カルバモイル、ヒドロキシカルバモイル、アミノスルホニル、スルホ、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、環状アミノ、低級アルキルアミノおよび低級アルキルアミノ低級アルキル基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、複素環式基、シクロアルキル基、アルアルキル基、低級アルキリデン基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルカルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基、低級アルキルスルホニルアミノ基、低級アルキルアミノスルホニル基、カルボシキル低級アルケニル基、ヒドロキシ複素環式基、低級アルキル複素環式基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基ならびに低級アルコキシイミノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0037】
Zにおけるアルキレン基は、さらに、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、保護されていてもよいカルボキシル、カルバモイル、ヒドロキシカルバモイル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキルおよび低級アルキルアミノ低級アルキル基、低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基、複素環式基、シクロアルキル基、低級アルケニル基、アルアルキル基、低級アルキルスルホニルカルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基ならびに低級アルコキシカルボニル低級アルキル基から選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0038】
上記の各置換基の置換基は、さらに各置換基の置換基として例示した基によって置換されていてもよい。
また、各置換基の置換基における複素環式基および環状アミノ基は、さらに、ケト基によって置換されていてもよい。
【0039】
一般式[1]の化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基またはヒドロキシルもしくはカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げることができる。
塩基性基における塩としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硝酸および硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩が挙げられる。
【0040】
酸性基における塩としては、たとえば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミンおよびN、N'−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基との塩などが挙げられる。
上記した塩の中で、好ましい塩としては、薬理学的に許容される塩が挙げられる。
【0041】
一般式[1]のベンゾフェノン誘導体またはその塩において、異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体および互変異性体など)が存在する場合、本発明は、それらすべての異性体を包含し、また、水和物、溶媒和物およびすべての結晶形を包含するものである。
【0042】
一般式[1]のベンゾフェノン誘導体またはその塩として、好ましいものは、以下の化合物が挙げられる。
R
1が、置換されていてもよい複素環式基または置換されているフェニル基である化合物が好ましく、置換されていてもよい複素環式基である化合物がより好ましい。
R
2が、アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基である化合物が好ましく、カルボキシル基である化合物がより好ましい。
R
3が、保護されていてもよいヒドロキシル基である化合物が好ましく、ヒドロキシル基である化合物がより好ましい。
R
4が、置換されていてもよいシクロアルキルオキシ基である化合物が好ましく、シクロアルキルオキシ基である化合物がより好ましい。
R
5が、水素原子である化合物が好ましい。
Zが、アルキレン基が好ましく、メチレン基である化合物がより好ましい。
【0043】
好ましい一般式[1]のベンゾフェノン誘導体としては、3−(5−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)−2−((3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)メトキシ)フェニル)プロピオン酸2−(4−モルホリニル)エチル、4−((2−(2−カルボキシエチル)−4−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)フェノキシ)メチル)安息香酸、3−(5−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)−2−((4−(3−ヒドロキシ−5−イソオキサゾリル)ベンジル)オキシ)フェニル)プロピオン酸および3−(5−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)−2−((3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)メトキシ)フェニル)プロピオン酸またはその塩が挙げられ、3−(5−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)−2−((3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)メトキシ)フェニル)プロピオン酸またはその塩がより好ましい。
【0044】
一般式[1]のベンゾフェノン誘導体は、自体公知の方法を組み合わせることにより製造されるが、たとえば、特許文献1に記載の方法により製造することができる。
【0045】
本発明における自己免疫疾患としては、関節リウマチ、若年性特発性関節炎および乾癬性関節炎などの関節炎疾患;潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸疾患;全身性エリテマトーデス;強皮症;ベーチェット病;リウマチ熱;多発性筋炎;結節性動脈周囲炎;シェーグレン症候群;活動性慢性肝炎;ならびに糸球体腎炎などが挙げられ、好ましくは、関節炎疾患が挙げられ、より好ましくは、関節リウマチが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる免疫抑制剤としては、たとえば、メトトレキサート、アザチオプリンおよびミゾリビンなどの代謝拮抗剤ならびにデキサメタゾン、プレドニゾロンおよび酢酸コルチゾンなどのステロイド系抗炎症剤などの免疫抑制作用を有する化合物が挙げられ、より好ましくは、メトトレキサートおよびデキサメタゾンが挙げられる。
【0047】
本発明の医薬組成物の投与経路は、特に限定されず、静脈内、経口、筋肉内、皮下、吸入、噴霧または他の投与経路により投与することができる。また、一般式[1]で表されるベンゾフェノン誘導体またはその塩は、免疫抑制剤と同時にまたは特定の順序で投与してもよい。
【0048】
本発明の一般式[1]で表されるベンゾフェノン誘導体またはその塩および一種以上の免疫抑制剤を組み合わせて使用する方法は、自己免疫疾患の治療または予防などの処置の方法として有用である。さらに、この方法は、治療用として使用することがより有用である。
また、一般式[1]で表されるベンゾフェノン誘導体またはその塩および一種以上の免疫抑制剤を含有する医薬組成物は、自己免疫疾患の治療または予防などの処置に有用である。さらに、これらの医薬組成物は、治療用として使用することがより有用である。
本発明の方法および医薬組成物によって、より重篤な自己免疫疾患の治療または予防などの処置が可能となる。また、使用する個々の薬剤量を減じて投与しても強い作用を示すことより、各々の薬剤の副作用を減じることが可能となる。
【0049】
本発明の医薬組成物を用いる場合、通常、製剤化に使用される賦形剤、担体および希釈剤などの製剤補助剤を適宜混合してもよく、これらは常法にしたがって、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、粉体製剤、坐剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、貼付剤、軟膏剤または注射剤などの形態で経口または非経口で投与することができる。また、各有効成分を別個に製剤化したものをキットとしておき、これらを別個に、同時に、または時間差を置いて、同一経路または異なった経路で投与することもできる。また投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状に応じて適宜選択することができる。通常、成人に対しては、経口または非経口(たとえば、注射、点滴および直腸部位への投与など)投与により、1日、0.01〜1000mg/kgを1回から数回に分割して、または数日分を1回にまとめて投与すればよい。
【実施例】
【0050】
次に、本発明について試験例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
被験物質として、3−(5−(4−(シクロペンチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾイル)−2−((3−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)メトキシ)フェニル)プロピオン酸(以下、化合物Aとする)を選択した。免疫抑制剤として、メトトレキサートおよびデキサメタゾンを選択した。
【0052】
試験例1(マウスII型コラーゲン誘発関節炎における化合物Aおよびメトトレキサートの併用効果)
被験物質として、化合物Aを選択した。免疫抑制剤として、メトトレキサートを選択した。
8週齢の雄性DBA/1Jマウス(一群9〜10匹、日本チャールス・リバー)を使用した。0.1mol/L酢酸水溶液に溶解した2mg/mLウシII型コラーゲン溶液(高研)および等量のフロイント完全アジュバント(BD Diagnostic Systems)を混合し、エマルジョンを作製した。得られたエマルジョン0.2mLをマウスの臀部皮内に注射した。初回免疫日から21日後に同様の処置を行い(二次感作)、II型コラーゲン関節炎を誘発した。
化合物Aを2倍モル量の水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、3倍重量のポリビニルピロリドンを加え、蒸留水で希釈した。化合物A(1mg/kg)の投与液は、化合物A濃度を0.1mg/mLに調製した。メトトレキサートを0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁した。メトトレキサート(0.5mg/kg)の投与液は、メトトレキサート濃度を0.05mg/mLに調製した。各々の投与液をマウスに経口投与した。
対照群には、ポリビニルピロリドン水溶液および0.5%メチルセルロース水溶液を経口投与した。
群分けし、二次感作を行った後、化合物Aおよびメトトレキサートを1日1回14日間投与した。
各マウスの四肢の指関節部および手根部・足根部の関節を以下の4段階で評価し、四肢の合計で最高12点の関節炎スコアとした。
0:変化なし
1:1、2指関節の腫脹もしくは手根部・足根部のみの軽い腫脹
2:3指以上の関節に腫脹、又は手根部・足根部の明らかな腫脹
3:前肢又は後肢全体にわたる明らかな腫脹
また、関節炎抑制率は次の式で求めた。
関節炎抑制率(%)=100−(被験物質投与群のスコア/対照群のスコア)×100
【0053】
最終投与翌日の関節炎に対する結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
化合物A(1mg/kg)投与群の関節炎抑制率が19%、メトトレキサート(0.5mg/kg)投与群の関節炎抑制率が15%であったのに対し、化合物A(1mg/kg)およびメトトレキサート(0.5mg/kg)を併用した群の関節炎抑制率は、43%であり、強く関節炎を抑制した。
【0056】
試験例2(マウスII型コラーゲン誘発関節炎における化合物Aおよびデキサメタゾンの併用効果)
被験物質として、化合物Aを選択した。免疫抑制剤として、デキサメタゾンを選択した。
8週齢の雄性DBA/1Jマウス(一群8〜10匹、日本チャールス・リバー)を使用した。マウスII型コラーゲン関節炎の誘発は、試験例1に記載の方法によって行った。
化合物Aを2倍モル量の水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、3倍重量のポリビニルピロリドンを加え、蒸留水で希釈した。化合物A(1mg/kgおよび10mg/kg)の投与液は、化合物A濃度を0.1mg/mLおよび1.0mg/mLに調製した。併用投与における化合物A(1mg/kg)の投与液は、化合物A濃度を0.2mg/mLに調製した。デキサメタゾンをポリビニルピロリドン水溶液に懸濁した。デキサメタゾン(0.025mg/kg)の投与液は、デキサメタゾン濃度を0.0025mg/mLに調製した。併用投与におけるデキサメタゾン(0.025mg/kg)の投与液は、デキサメタゾン濃度を0.005mg/mLに調製した。各々の投与液をマウスに経口投与した。
対照群には、ポリビニルピロリドン水溶液を経口投与した。
群分けし、二次感作を行った後、化合物Aおよびデキサメタゾンを1日1回14日間投与した。
マウスの関節炎に対する評価は、試験例1に記載の方法によって行った。
【0057】
最終投与翌日の関節炎に対する結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
化合物A(1mg/kg)投与群の関節炎抑制率が14%、デキサメタゾン(0.025mg/kg)投与群の関節炎抑制率が30%であったのに対し、化合物A(1mg/kg)およびデキサメタゾン(0.025mg/kg)を併用した群の関節炎抑制率は、66%であり、強く関節炎を抑制した。
併用による関節炎の抑制作用は、化合物Aを高用量(10mg/kg)投与した場合の投与量の1/10と少ない量であったが、強い関節炎抑制効果を示した。
【0060】
上記の結果から明らかなように一般式[1]で表されるベンゾフェノン誘導体またはその塩および一種以上の免疫抑制剤の組み合わせ投与は、相乗的な抗関節炎効果を示し、関節炎の治療または予防などの処置に有用である。