(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2007/0167597号は、ホスホン酸エステル官能化アルコキシシランをシラノール官能性有機ケイ素化合物と反応させることにより調製したホスホンエステル修飾有機ケイ素化合物を開示する。
【0003】
中国特許出願公開第101274998号は、電子ポリマー材料用の耐熱性及び難燃性を有するエポキシリン含有ハイブリッド化硬化剤及びその製造方法を開示する。リン含有ハイブリッド化硬化剤は、中空の密閉型又は部分密閉型のナノメートルサイズの有機/無機ハイブリッドシリコーンであり、該シリコーンの構造中心は無機骨格Si−O結合からなる。外部構造は、有機リン又はアミドゲン又はイミドゲンの有機基からなる。
【0004】
論文”Thermal Degradation Behaviours of Polypropylene with novel Silicon-containing Intumescent Flame Retardant”(Qiang Li et al., J. Applied Polymer Sceinece, Vol. 98, 2487-2492 (2005))は、N−[3−(ジメトキシ−メチル−シラニル)−プロピル]−N’−(9−メチル−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファ−スピロ−[5.5]ウンデカ−3−イル)−エタン−1,2−ジアミン/ジメトキシジメチルシランコポリマーの合成及びそのポリプロピレンへ組み込んでポリプロピレンの難燃性を強化することを開示する。 論文”Preparation and properties of halogen-free flame retardant epoxy resins with phosphorus-containing siloxanes”(Jiapei Ding et al., Polymer Bulletin, Vol. 62, 829-841 (2009))は、ジビニルテトラメチルジシロキサンと9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)との付加反応により合成したエポキシ樹脂調節剤を開示する。
【0005】
論文”Synthesis, characterization and catalytic activity of porous vanadyl phosphonate-modified silicas”(M. Jurado-Gonzalez et al., J. Mater. Chem., Vol. 12. 3605-3609 (2002))は、エチルホスホン酸修飾シリカへの合成経路を開示する。この修飾シリカは、触媒として使用できるメソ細孔性固体である。
【0006】
論文”Effect of Flame Retardant containing Phosphorus and Silicone on Thermal Performance of PC/ABS”(Wei Ping et al., Journal of Wuhan University of Technology - Mater. Sci. Ed. April 2009. pp235-240)は、DOPO部分を含有するペンダント基を有するポリジメチルシロキサンを含む難燃剤を開示する。
【0007】
論文Thermal degradation behaviours and flame retadancy of PC/ABS with novel silicon-containing flame retardant”(Hanfang Zhong et al., Fire Mater. Vo. 31, 411-423(2007))は、DOPOと、ビニルメチルジメトキシシランと、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランとの反応から合成したケイ素、リン及び窒素を含有する新規難燃剤を開示する。
【0008】
論文”Siloxane-phosphonate finishes on cellulose: thermal characterization and flammability data”(S. Gallagher et al., 2004 Beltwide Cotton Conferences)は、綿布地へのシロキサンホスホネートの塗布を開示する。
【0009】
論文”Polybenzzoxazine containing polysilsesquioxane: preparation and thermal properties”(Yonghong Liu et al., Journal of Applied Polymer Science (2006), 99(3), 927-936)は、ベンゾオキサジンを有するトリメトキシシラン並びにそのポリシルセスキオキサンへの加水分解及び縮合を開示し、これはビスフェノールAの二官能性ベンゾオキサジンと反応して優れた熱安定性の無機−有機ハイブリッドを形成し得る。
【0010】
合成ポリマーの使用の広範化及び増加に起因して、現代のプラスチック市場における使用に多数の難燃性化合物が存在する。ハロゲン含有難燃剤は、難燃特性、加工性、コストなどの点で良好に機能したが、しかしながら、環境規制、OEM認識、顧客要件などに適合するポリマー添加物としてハロゲンを含まない難燃剤(HFFR)に対する差し迫った必要が存在する。耐火性は、今のところ、放熱速度の低下により引火を防止し、炎の広がりを抑えること、並びに火炎毒性を低下させることに基づく。難燃性添加剤は、健康及び環境に関する点で安全でなければならず、費用対効果に優れていなければならず、またプラスチック又はゴムの機能を維持/改善しなければならない。
【0011】
ハロゲン化難燃性化合物は、ほとんどの場合蒸気相中でラジカル機構により作用して発熱プロセスを遮断し、燃焼を抑制する。例としては、テトラブロモビスフェノールAのような臭素化合物、塩素化合物、ハロゲン化リン酸エステルなどがある。
【0012】
ハロゲンを含まない難燃剤としては、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)又は水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)などの金属水酸化物を見出すことができ、これらは熱吸収により作用する、すなわち、加熱すると対応する酸化物と水に吸熱分解するが、しかしながら、これらは低い難燃効率、低い熱安定性、マトリックスの物理的/化学的特性の有意な劣化を呈する。膨張黒鉛、有機リン(例えば、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスホニウム化合物、亜リン酸塩など)、ポリリン酸アンモニウムなどの他の化合物は、ほとんどの場合凝縮相に作用する。ホウ酸亜鉛、ナノクレイ及び赤リンは、ハロゲンを含まない難燃剤の他の例である。ケイ素含有添加剤は、難燃性を著しく改善することが知られており、凝縮相における炭化物形成並びに蒸気相における活性ラジカルの捕捉の両方により作用する。ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(KSS)などのイオウ含有添加剤は、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネートに対する周知の難燃剤である。
【0013】
ハロゲン化化合物又はハロゲンを含まない化合物のいずれかは、それらだけで、又は本発明で請求する組成物と一緒に相乗剤として作用し、多くのポリマー若しくはゴムマトリックスに所望の難燃機能を付与することができる。例えば、ホスホン酸塩、ホスフィン又はホスフィンオキシドは、文献で滴下防止剤として言及されてきており、本発明で開示する難燃性添加剤と相乗して使用することができる。論文”Flame-retardant and anti-dripping effects of a novel char-forming flame retardant for the treatment of poly(ethylene terephthalate) fabrics”(Dai Qi Chen et al., 2005 Polymer Degradation and Stability)は、ホスホン酸塩、すなわちポリ(2−ヒドロキシプロピレンスピロ環状ペンタエリスリトールビスホスホネート)を適用してポリ(エチレンテレフタレート)(PET)布地に難燃性及び滴下防止性を付与することを記載している。Hong-yan Tang et al.により“A novel process for preparing anti-dripping polyethylene terephthalate fibres” 2010, Materials & Designで報告されているように、滴下防止性能を達成するためにベンゾグアナミンをPET布地に塗布した。論文”Novel Flame-Retardant and Anti-Dripping Branched Polyesters Prepared via Phosphorus-Containing Ionic Monomer as End-Capping Agent”(Jun-Sheng Wang et al., 2010)は、溶融重縮合によりトリメチル−1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートのトリヒドロキシエステル(分枝剤として)と2−ヒドロキシエチル3−(フェニルホスフィニル)プロピオネートのナトリウム塩(末端封鎖剤として)とで合成した一連の新規な分枝状ポリエステル系アイオノマーについて報告している。滴下防止機能専用のこれら難燃性添加剤は、本発明に開示する難燃性添加剤と相乗して使用することができる。加えて、本発明に開示する難燃性添加剤は、KSS、ホウ酸亜鉛及び金属水酸化物(水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム)のような他の周知のハロゲンを含まない添加剤との相乗作用を示した。共力剤として使用する場合、KSS、ホウ酸亜鉛又は金属水酸化物(水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム)などの古典的な難燃剤は、配合に先立って、本発明に開示するシリコーン系添加剤と物理的に混合又はそれで表面前処理のいずれかを行うことができる。
ハロゲン化難燃性化合物は、ラジカル機構が発熱プロセスを遮断し、燃焼を抑制することにより、ほとんどの場合、蒸気相で作用する。 例は、臭素化合物(テトラブロモビスフェノールAなど)、塩素化合物、ハロゲン化リン酸エステルなどである。
【0014】
本発明に係る分枝状シリコーン樹脂は、ホスホネート基及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基と、少なくとも1つの窒素含有有機基とを有する。
【0015】
本発明は、熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物の燃焼性を低減するための該有機ポリマー組成物へのかかる分枝状シリコーン樹脂の使用を含み、また熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物と、上記に定義したような分枝状シリコーン樹脂とを含む熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物を含む。本発明はまた、かかる分枝状シリコーンの基材の耐火コーティングとしての使用も含む。
【0016】
本発明はまた、熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマーと、ホスホネート基及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を有する分枝状シリコーン樹脂と、少なくとも1つの窒素含有有機基を有する分枝状シリコーン樹脂とを含む熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物を含む。
【0017】
シリコーンとしても既知のポリオルガノシロキサンは、通常R
3SiO
1/2(M単位)、R
2SiO
2/2(D単位)、RSiO
3/2(T単位)及びSiO
4/2(Q単位)から選択したシロキサン単位を含み、式中の各Rは有機基若しくは水素又はヒロドキシル基を表す。分枝状シリコーン樹脂は、T及び/又はQ単位を、場合によりM及び/又はD単位と組み合わせて含有する。本発明の分枝状シリコーン樹脂において、少なくとも25%のシロキサン単位は、T及び/又はQ単位であるのが好ましい。より好ましくは、分枝状シリコーン樹脂における少なくとも75%のシロキサン単位は、T及び/又はQ単位である。
【0018】
本発明に係る分枝状シリコーン樹脂の製造方法において、式R
PSi(OR’)
3、R
PR
11Si(OR’)
2又はR
PR
112SiOR’の少なくとも1つのアルコキシシランと、式R
NSi(OR’)
3、R
NR
12Si(OR’)
2又はR
PR
122SiOR’の少なくとも1つのアルコキシシラン、並びに場合により式Si(OR’)4、R
4Si(OR’)
3、R
42Si(OR’)
2又はR
43SiOR’の1つ以上のアルコキシシラン(式中の各R’は同じでも若しくは異なってもよく、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;各R
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
11は同じでも若しくは異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;各R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
12は同じでも若しくは異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又は有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;各R
4は同じでも若しくは異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である)とを加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成する。
【0019】
本発明に係る分枝状シリコーン樹脂の別の製造方法において、式R
PR
NSi(OR’)
2又はR
PR
NR
13SiOR’の少なくとも1つのアルコキシシランと、場合により式Si(OR’)
4、R
4Si(OR’)
3、R
42Si(OR’)
2、R
43SiOR’、R
PSi(OR’)
3、R
PR
11Si(OR’)
2、R
PR
112SiOR’、R
NSi(OR’)
3、R
NR
12Si(OR’)
2又はR
PR
122SiOR’の1つ以上のアルコキシシラン(式中の各R’は同じでも若しくは異なってもよく、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;各R
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
13は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基若しくは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;各R
4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
11は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;各R
12は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であるか、又は有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である)とを加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成する。
【0020】
本発明に係る分枝状シリコーン樹脂の更に別の製造方法において、式RbSi(OR’)
3、RbR
13Si(OR’)
2又はRbR
132SiOR’の少なくとも1つのアルコキシシランと、場合により式Si(OR’)4、R
4Si(OR’)
3、R
42Si(OR’)
2、R
43SiOR’、R
PSi(OR’)
3、R
PR
11Si(OR’)
2、R
PR
112SiOR’、R
NSi(OR’)
3、R
NR
12Si(OR’)
2又はR
PR
122SiOR’の1つ以上のアルコキシシラン(式中の各R’は同じでも若しくは異なってもよく、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり;各Rbはホスホネート又はホスフィネート置換基と有機窒素基との両方を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
13は同じでも若しくは異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基及び/若しくは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;R
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり;各R
11は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基、又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり;各R
12は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であるか、又は有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である)とを加水分解及び縮合しシロキサン結合を形成する。
【0021】
ホスホネート又はホスフィネート基を含有するオルガノポリシロキサンの製造のための本発明の別の態様による方法では、オレフィン系不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンをフリーラジカル反応開始剤の存在下次式:
【化1】
のホスファイト又は次式:
【化2】
のホスフィネート(式中の各R
1は同じでも若しくは異なってもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
2は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である)と反応させることを特徴とする。
【0022】
ホスホネート又はホスフィネート基を含有するオルガノポリシロキサンの製造のための本発明の別の態様による方法では、アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンを次式:
【化3】
のオレフィン系ホスファイト又は次式:
【化4】
のオレフィン系ホスフィネート(式中の各R
1は同じでも若しくは異なってもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
2は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である)と反応させることを特徴とする。
【0023】
本発明の分枝状シリコーン樹脂は、式R
PSiO
3/2のT単位(式中のR
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である)に存在する少なくとも1つのホスホネート又はホスフィネート部分を有するのが好ましい。例えば、R
P基は次式:
【化5】
(式中のAは1〜20個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、R
*は1〜12個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基である)を有することができる。R
P基がホスホネート置換基を含有する場合、Zは式−OR
*の基である野が好ましい。R
P基がホスフィネート置換基を含有する場合、Zは1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であるのが好ましい。好ましいR
P基としては、2−(ジエチルホスホナト)エチル、3−(ジエチルホスホナト)プロピル、2−(ジメチルホスホナト)エチル、3−(ジメチルホスホナト)プロピル、2−(エチル(エチルホスフィナト))エチル及び3−(エチル(エチルホスフィナト))プロピルが挙げられる。
【0024】
或いはまた、ホスフィネート置換基は、DOPO基として時々既知の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド基を含んでもよい。例えば、R
P基は次式:
【化6】
(式中のAは1〜20個の炭素原子を有する二価炭化水素基である)を有することができ、例えば2−DOPO−エチル又は3−DOPO−プロピルである。
【0025】
本発明の分枝状シリコーン樹脂は、式R
NSiO
3/2のT単位(式中のR
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である)に存在する少なくとも1つの窒素含有有機基を有するのが好ましい。本発明による樹脂の1つの好ましいタイプにおいて、窒素含有有機基は次式:
【化7】
(式中のX
1、X
2、X
3及びX
4は、独立してCH基又はN原子を表し、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン又はトリアジン芳香環を形成し;Htはこの芳香環に縮合し、2〜8個の炭素原子と、1〜4個の窒素原子と、場合により1若しくは2個の酸素及び/又はイオウ原子を含む複素環を表し;Aはこの複素環の窒素原子に結合した1〜20個の炭素原子を有する二価有機結合を表し;この複素環は、任意に1〜12個の炭素原子を有するアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及び置換アリール基、並びにアミノ、ニトリル、アミド及びイミド基から選択した1つ以上の置換基を有することができ;n=0〜4であるR
3nは芳香環の1つ以上の位置で置換した1〜8個の炭素原子を有するアルキル、置換アルキル、アルケニル基、又は1〜40個の炭素原子を有するシクロアルキル、アルキニル、アリール若しくは置換アリール基、又はアミノ、ニトリル、アミド若しくはイミド基、又はカルボキシレート−C(=O)−O−R
4、オキシカルボニル−O−(C=O)−R
4、カルボニル−C(=O)−R
4若しくはオキシ−O−R
4置換基を表し、R
4は水素又は1〜40個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは置換アリール基を表し、あるいは2つの基R
3は結合して、芳香環に縮合した少なくとも1つの炭素環若しくは複素環を含む環系を形成することができる)として存在する複素環基である。
【0026】
複素環Htは、好ましくは完全な芳香環ではない、すなわちピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン又はトリアジン芳香環でないのが好ましい。複素環Htは、例えばオキサジン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール又はピラゾール環とすることができる。 好ましい複素環系の例としては、ベンゾオキサジン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール及びベンゾキサゾールが挙げられる。いくつかの好ましい樹脂において、複素環は、R
Nが次式:
【化8】
(式中のX
1、X
2、X
3及びX
4、A、R
3及びnは上記のように定義され、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は置換アリール基又はアミノ若しくはニトリル基を表す)であるようなオキサジン環である。この基は、例えば次式:
【化9】
(式中のR
7、R
8、R
9及びR
10はそれぞれ水素、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、置換アルキル、アルケニル基又は1〜40個の炭素原子を有するシクロアルキル、アルキニル、アリール若しくは置換アリール基又はアミノ、ニトリル、アミド若しくはイミド基又はカルボキシレート−C(=O)−O−R
4、オキシカルボニル−O−(C=O)−R
4、カルボニル−C(=O)−R
4、又はオキシ−O−R
4置換基を表し、R
4は水素又は1〜40個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくは置換アリール基を表し、あるいはR
7とR
8、R
8とR
9又はR
9とR
10はそれぞれ結合して、ベンゼン環に縮合された少なくとも1つの炭素環又は複素環を含む環系を形成することができる)のベンゾオキサジン基とすることができる。
【0027】
或いは又、オキサジン又は他の複素環Htをピリジン環に結合して次式:
【化10】
の複素環基を形成することができる。
【0028】
ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン又はトリアジン芳香環を、少なくとも1つの炭素環又は複素環を含む環系に環付加して、π電子共役を拡大する拡張環系を形成することができる。例えば、ベンゼン環を別のベンゼン環に環付加して、ナフトオキサジン基のような次式:
【化11】
のナフタネン部分を含有する環系を形成することができるか、又はピリジンに環付加して次式:
【化12】
のキノリン部分を含む環系を形成することができる。
【0029】
ピリジン環を、例えばベンゼン環に環付加して次式:
【化13】
のキノリン部分を含有する環系を形成することができ、この場合複素環Ht、例えばオキサジン環をピリジン環に縮合する。
【0030】
芳香環をキノリン環に環付加して、ナフトキノリド又はアントラキノイド構造を形成することができる。次式:
【化14】
のアルコキシランにおいて、基R
8とR
9、基R
7とR
8、又は基R
9とR
10はナフトキノイド又はアントラキノイド構造の環付加環を形成することができる。このようなカルボニル基含有環系は、優れた有機溶媒への溶解度を有する樹脂を形成することができ、ポリマー組成物のより容易な適用を可能にする。
【0031】
或いはまた、窒素含有有機基R
Nは1〜20個の炭素原子と、シリコーン樹脂のケイ素原子に結合した1〜3個の窒素原子とを含有するアミノアルキル又はアミノアリール基トすることができ、例えば、−(CH
2)
3NH
2、−(CH
2)
4NH
2、−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2、−CH
2CH(CH
3)CH
2NH
2、−CH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)
2NH
2、−(CH
2)
3NHCH
2CH
2NH(CH
2)
2NH
2、−CH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)3NH
2、−(CH
2)
3NH(CH
2)
4NH
2又は−(CH
2)
3O(CH
2)
2NH
2又は−(CH
2)
3NHC
6H
4、−(CH
2)
3NH(CH
2)
2NHC
6H
4、−(CH
2)
3NHCH
3、−(CH
2)
3N(C
6H
4)
2が挙げられる。
【0032】
式R
PSiO
3/2のT単位に存在する少なくとも1つのホスホネート又はホスフィネート部分を含有する本発明の分枝状シリコーン樹脂は、例えば式R
PSi(OR’)
3のトリアルコキシシランを加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成する方法により調製することができる。R
P基を含有する有用なトリアルコキシシランの例は、2−(ジエチルホスホナト)エチルトリエトキシシラン、3−(ジエチルホスホナト)プロピルトリエトキシシラン及び2−(DOPO)エチルトリエトキシシランである。
【0033】
式R
NSiO
3/2のT単位に存在する少なくとも1つの窒素含有有機基を含有する本発明の分枝状シリコーン樹脂は、例えば式R
NSi(OR’)
3のトリアルコキシシランを加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成する方法により調製することができる。R
N基を含有する有用なトリアルコキシシランの例は、次式:
【化15】
の3−(3−ベンゾオキサジニル)プロピルトリエトキシシラン及び次式:
【化16】
の対応するナフトオキサジントリエトキシシラン、次式:
【化17】
の3−(6−シアノベンゾオキサジニル−3)ピロピルトリエトキシシラン、次式:
【化18】
の3−(2−フェニルベンゾオキサジニル−3)プロピルトリエトキシシラン及び3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0034】
少なくとも1つの窒素含有有機基を有する分枝状シリコーン樹脂、例えば次式:
【化19】
の1,3−ビス(3−(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンゾオキサジニル−6)−2,2−ジメチルプロパンは、アルコキシシラン置換基をそれぞれ有する2つの複素環を含有するビス(アルコキシシラン)、例えばビス(トリアルコキシシラン)から形成することができる。
【0035】
1つの好ましい実施形態において、分枝状シリコーン樹脂は主にT単位を含むことができ、すなわち少なくとも50モル%のT単位、より好ましくは少なくとも80又は90%のT単位を含む。例えば、ほぼすべてT単位からなる場合がある。式R
PSi(OR’)
3 及びR
NSi(OR’)
3のトリアルコキシシランを、場合により式R
4Si(OR’)
3のアルコキシシランで共加水分解及び縮合することができ、式中の各R’は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアミノアリール基である。式R
4Si(OR’)
3の有用なトリアルコキシシランの例は、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランのようなアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリエトキシシランのようなアリールトリアルコキシシラン及びビニルトリメトキシシランのようなアルケニルトリアルコキシシランである。
【0036】
ホスホネート又はホスフィネート基を含有する別のアルコキシシランは、例えば式R
PR
112SiOR’のモノアルコキシシラン及び、例えば式R
PR
11Si(OR’)
2のジアルコキシシランであり、式中の各R’は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、各R
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
11は同じでも又は異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である。ホスホネート又はホスフィネート基を含有する適当なモノアルコキシシランの例は、2−(DOPO)エチルジメチルエトキシシラン及び3−(ジエチルホスホナト)プロピルジメチルエトキシシランである。ホスホネート又はホスフィネート基を含有する適当なジアルコキシシランの例は、2−(DOPO)エチルメチルジエトキシシラン及び3−(ジエチルホスホナト)プロピルメチルジエトキシシランである。
【0037】
窒素含有有機基を有する別のアルコキシシランは、例えば式R
NR
122SiOR’のモノアルコキシシラン及び、例えば式R
NR
12Si(OR’)
2のジアルコキシシランであり、式中の各R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
12は同じでも又は異なってもよく、1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又は有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である。有機窒素置換基を有する適当なモノアルコキシシランの例は、3−(3−ベンゾオキサジニル)プロピルジメチルエトキシシラン及び3−アミノプロピルジメチルエトキシシランである。有機窒素置換基を有する適当なジアルコキシシランの例は、3−(3−ベンゾオキサジニル)プロピルメチルジエトキシシラン及び3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
【0038】
モノアルコキシシランは、加水分解及び縮合するとシリコーン樹脂内にM基を形成し、またジアルコキシシランは、加水分解及び縮合するとシリコーン樹脂内にD基を形成する。R
P基を含有するモノアルコキシシラン又はジアルコキシシランをトリアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランと反応させて、分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。R
P基を含有するモノアルコキシシラン又はジアルコキシシランを、R
N基を含有するトリアルコキシシラン及び任意に別のトリアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランと反応させて、本発明に係る分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。R
N基を含有するモノアルコキシシラン又はジアルコキシシランを、R
P基を含有するトリアルコキシシラン及び任意に別のトリアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランと反応させて、本発明に係る分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。 あるいはまた、R
P基を含有するモノアルコキシシラン又はジアルコキシシランを、R
N基を含有するモノアルコキシシラン又はジアルコキシシランと、トリアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランと反応させて、本発明に係る分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。例えば、R
P基を含有するモノアルコキシシラン及びR
N基を含有するモノアルコキシシランをテトラエトキシシランと反応させて、MQ分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。
【0039】
或いは又、本発明の分枝状シリコーン樹脂を、ホスホネート又はホスフィネート基と、窒素含有有機基との両方を含有するアルコキシシランから形成することができる。かかるアルコキシシランの例としては、式R
PR
NSi(OR’)
2のジアルコキシシラン及び式R
PR
NR
13SiOR’のモノアルコキシシランが挙げられ、式中の各R’は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、各R
Pはホスホネート又はホスフィネート置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
13は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基若しくは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である。ジアルコキシシランの例としては、2−DOPO−エチル3−アミノプロピルジメトキシシラン及び3−(ジエチルホスホナト)プロピル3−(3−ベンゾオキサジニル)プロピルジメトキシシランが挙げられる。モノアルコキシシランの例としては、2−DOPO−エチル3−アミノプロピルメチルメトキシシラン及び3−(ジエチルホスホナト)プロピル3−(3−ベンゾオキサジニル)プロピルメチルメトキシシランが挙げられる。かかるアルコキシシランを式Si(OR’)4、R
4Si(OR’)
3、R
PSi(OR’)
3又はR
NSi(OR’)
3の少なくとも1つのアルコキシシラン及び任意に式R
42Si(OR’)
2、R
43SiOR’、
PR
11Si(OR’)
2、R
PR
112SiOR’、R
NR
12Si(OR’)
2又はR
PR
122SiOR’の1つ以上のアルコキシシラン(式中の各R
4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
11は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり、各R
12は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又は有機窒素置換基を有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である)で加水分解及び縮合して、本発明に係る分枝状シリコーン樹脂を形成することができる。
【0040】
ホスホネート又はホスフィネート基と窒素含有有機基との両方を含有するアルコキシシランの別の例は、ホスホネート又はホスフィネート基と窒素含有有機基との両方がアルコキシシランのケイ素原子に結合した単一基内に存在するアルコキシシランである。かかるアルコキシシランの例は、式RbSi(OR’)
3、RbR
13Si(OR’)
2又はRbR
132SiOR’を有し、式中の各R’は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、各Rbはホスホネート又はホスフィネート置換基と有機窒素基との両方を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
13は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基及び/若しくは有機窒素基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である。このようなアルコキシシランを、場合により式Si(OR’)4、R
4Si(OR’)
3、R
42Si(OR’)
2、R
43SiOR’、R
PSi(OR’)
3、R
PR
11Si(OR’)
2、R
PR
112SiOR’、R
NSi(OR’)
3、R
NR
12Si(OR’)
2又はR
PR
122SiOR’の1つ以上のアルコキシシラン(式中のR
Pはホスホネート又はホスフィネートを含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、R
Nは有機窒素置換基を含有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
4は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基であり、各R
11は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又はホスホネート若しくはホスフィネート置換基を有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり、各R
12は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基又は有機窒素置換基を有する1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基である)と共に加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成することができる。
【0041】
式Rbの基の例は、次式:
【化20】
(式中のA’は1〜20個の炭素原子を有する二価有機基であり、A”は1〜20個の炭素原子を有する二価有機基であり、R
*は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、Zは式−OR
*の基又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であり、あるいはR
*とZは結合して複素環を形成することができ、Rは水素又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル若しくはアリール基であるか、又はA”に結合して複素環を形成することができる)の基である。Rb基を含有するアルコキシシランの例は、次式:
【化21】
の3−(2−ジエチルホスホナトエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−ジメチルホスホナトエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−ジメチルホスホナトエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、次式:
【化22】
の3−(2−(2−ホスホナトエチルアミノ)エチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン及び3−(2−DOPO−エチルアミノ)プロピルトリエトキシシランである。あるいは、Rb基を含有するアルコキシシランは次式:
【化23】
のホスホネート置換基を有するベンゾオキサジンアルコキシシラン又は次式:
【化24】
のDOPO置換基を有するベンゾオキサジンアルコキシシランなどのアルコキシシラン置換窒素含有複素環化合物とすることができる。
【0042】
分枝状シリコーン樹脂におけるホスホネート又はホスフィネート基と窒素含有有機基の比は、幅広い範囲内で変えることができる。分枝状シリコーン樹脂におけるリンと窒素のモル比は、例えば1:9〜9:1の範囲とすることができる。
【0043】
ホスホネート又はホスフィネート基を含有するアルコキシシランと、窒素含有有機基を含有するアルコキシシラン(又はホスホネート若しくはホスフィネート基と、窒素含有有機基との両方を含有するアルコキシシラン)は、単独で加水分解及び縮合することができるが、より一般的には別のアルコキシシラン、例えばアルキルトリアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランと共加水分解及び縮合する。ホスホネート又はホスフィネート基を含有するアルコキシシラン及び窒素含有有機基を含有するアルコキシシランは、例えばシリコーン樹脂を形成するのに用いるアルコキシシランの10〜100モル%で存在することができるので、シリコーン樹脂中のシロキサン単位の10〜100モル%は、ホスホネート若しくはホスフィネート及び/又は有機窒素含有部分を含有する。
【0044】
分枝状シリコーン樹脂は、上述のような適切なアルコキシシランを水分又はヒドロキシル基の存在下で加熱してアルコキシシラン又は複数のアルコキシシランの加水分解及びシロキサン縮合を生起することにより製造することができる。大気中の水分は、アルコキシシランの加水分解を生起するに十分であり得るが、あるいは水をSi結合アルコキシ基に対しておよそ化学量論的量までの量、例えばアルコキシ基あたり0.5〜1.5モルの量で添加してもよい。この反応は、無溶媒下又はケトン、例えばジエチルケトン又はメチルイソブチルケトンのような極性有機溶媒下で行うことができる。反応は、50〜120℃の温度で行うのが好ましい。シロキサン縮合触媒、例えば酸、塩基又は有機スズ化合物が存在してもよいが、反応は無溶媒で進行する。
【0045】
分枝状シリコーン樹脂を形成するために反応した実質的にすべてのアルコキシシランがトリアルコキシシランである場合、生成したT樹脂は、一般にケージ構造、通常開閉ケージ構造の混合物体を有する。
【0046】
本発明に係る別の方法において、ホスホネート若しくはホスフィネート基を含有する分枝状シリコーン樹脂又は他のオルガノポリシロキサンは、フリーラジカル反応開始剤の存在下でオレフィン系不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンを次式:
【化25】
のホスファイト又は次式:
【化26】
のホスフィネートと反応させることにより調製し、式中の各R
1は同じでも若しくは異なってもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキル又はアルキル基であり、R
2は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である。適当なホスファイトの例は、亜リン酸ジエチル及び亜リン酸ジメチルである。適当なホスフィネートの例は、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)及びエチルホスフィン酸エチルである。
【0047】
オレフィン系不飽和基を含有する適当な分枝状シリコーン樹脂の例は、ビニル、アリル又はヘキセニル基を含有する樹脂、例えばビニルトリアルコキシシランの加水分解及び縮合により形成したビニルT樹脂である。ホスファイト又はホスフィネートと反応し得るオレフィン系不飽和基を含有する他の分枝状シリコーン樹脂の例は、ビニル、アリル又はヘキセニル基を含有するポリジオルガノシロキサン、例えばジメチルビニルシリル基のような不飽和末端基を含有するポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0048】
フリーラジカル反応開始剤は、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)又はジメチルアゾジイソブチレートのようなアゾ化合物とするか又は、ジクミルペルオキシド又は2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンのような過酸化物とすることができる。オレフィン系不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンをフリーラジカル反応開始剤の存在下50〜130℃の範囲の温度でホスファイトと反応させるのが好ましい。
【0049】
本発明に係る更に別の方法において、ホスホネート若しくはホスフィネート基を含有する分枝状シリコーン樹脂又は他のオルガノポリシロキサンは、一級又は二級アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンを次式:
【化27】
のオレフィン系ホスファイト又は次式:
【化28】
のオレフィン系ホスフィネートと反応させることにより調製し、式中の各R
1は同じでも若しくは異なってもよく、1〜12個の炭素原子を有するアルキル又はアルキル基であり、R
2は1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基である。適当なビニルホスファイトの例は、ビニルジエチルホスファイト及びビニルジメチルホスファイトである。適当なホスフィネートの例は、ビニルエチルホスフィネートである。一級又は二級アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンは、例えばアミノ基を含有する分枝状シリコーン樹脂とすることができる。式−A’−NHRのアミノ基(式中のA’及びRは上記のように定義される)を含有するシリコーン樹脂を次式:
【化29】
のオレフィン系ホスファイト又は次式:
【化30】
のオレフィン系ホスフィネートと反応させて、次式:
【化31】
(式中のA’、R、Z及びR*は上記のように定義され、A”は−CH
2CH
2−又は−CH(CH
3)−結合である)のRb基を含有するシリコーン樹脂を形成することができる。
【0050】
本発明の分枝状シリコーン樹脂は高い熱安定性を有し、これはその非リン酸化対応物のものより高く、また直鎖シリコーンポリマーのものよりも高い。このより高い熱安定性は、著しく安定なポリリン酸化シリカセラミック構造体の形成を導くリン原子の存在に起因する。リン酸化分枝状シリコーン樹脂により付与された難燃性は、リン酸化分枝状シリコーン樹脂中の窒素含有有機基の存在により更に高められる。更にアミノ基を含有するこのようなリン酸化分枝状シリコーン樹脂は、激しい加熱で膨張効果を受け、難燃性断熱炭化物を形成する。窒素含有有機基は、有機部分に結合した窒素含有基である。
【0051】
本発明の分枝状シリコーンは、広範囲の熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、ポリカーボネート/ABSブレンド、ポリエステル、ポリスチレン、又はポリプロピレン若しくはポリエチレンのようなポリオレフィンとブレンドすることができる。本発明の分枝状シリコーン樹脂はまた、熱硬化性樹脂、例えば後で熱硬化するエレクトロニクス用途に用いるタイプのエポキシ樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂とブレンドすることができる。本発明の分枝状シリコーン樹脂はまた、天然又は合成ゴムのようなゴムとブレンドすることができる。添加剤としての熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂又はゴムと本発明の分枝状シリコーンとの混合物は、その非リン酸化対応物と比較して、熱重量分析(TGA)により示されるようにより高い熱安定性、並びにTGA及びUL−94試験及び/又はグローワイヤー試験若しくはコーン熱量測定などの他の燃焼性試験により示されるようにより良好な難燃特性を有することが証明されている。本発明の分枝状シリコーン樹脂は、ポリカーボネート及びポリカーボネート/ABSブレンドのようなポリカーボネートと他の樹脂とのブレンドの耐火性を高めるのに特に有効である。
【0052】
用途としては、限定しないが、運搬用車両、建築、電気用途、プリント基板及び繊維が挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂又はエポキシを、例えば風力タービンデバイスのナセルでの使用のために成形加工する。通常、これらをガラス(又は炭素)繊維クロスで強化するが、難燃性添加剤の使用は火災伝播を回避するのに重要である。
【0053】
本発明の分枝状シリコーン樹脂は、限定しないが、透明性、高衝撃強度、強靱性、二表面間接着性向上、表面接着性向上、並びに優れた引張及び曲げ機械的特性を含む更なる利点をしばしば有する。当該樹脂をポリマー組成物に添加して、衝撃強度、強靭性並びに引張及び曲げ機械的特性のような機械的特性を改善することができる。樹脂は、ポリマーマトリックスに用いる強化繊維を処理するのに用いて、繊維ポリマー界面での接着を改善することができる。樹脂をポリマー組成物の表面で使用して塗料への接着を改善することができる。
【0054】
本発明の分枝状シリコーン樹脂は、例えば熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物中に0.1又は0.5重量%〜50又は75重量%の範囲の量で存在することができる。好ましい量は、ポリカーボネートのような熱可塑性又はゴム組成物中のシリコーン樹脂で0.1〜25重量%の範囲、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂組成物中で0.2〜75重量%とすることができる。
【0055】
熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物、例えばポリカーボネートあるいはポリカーボネート/ABSブレンドのようなポリカーボネートのブレンドの耐火性を向上させるための本発明に係る別の方法では、ホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を含有する分枝状シリコーン樹脂及び少なくとも1つの窒素含有有機基を有する分枝状シリコーン樹脂を熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物に添加する。したがって、本発明は、熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマーと、ホスホネート基及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を含有する分枝状シリコーン樹脂と、少なくとも1つの窒素含有有機基を含有する分枝状シリコーン樹脂とを含む熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物を含む。ホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を含有する分枝鎖シリコーン樹脂と少なくとも1つの窒素含有有機基を含有する分枝状シリコーン樹脂の重量比は、例えば重量で0:10〜9:1の範囲とすることができる。したがって、本発明は、熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマーと、少なくとも1つの窒素含有有機基を含有する分枝状シリコーン樹脂を含む熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマーまで拡張する。
【0056】
熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物中に存在する分枝状シリコーン樹脂の合計量は、例えば、上述したように0.1又は0.5重量%〜50又は75重量%の範囲とすることができる。しかしながら、ホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基と、少なくとも1つの窒素含有有機基とを含有する本発明に係る分枝状シリコーン樹脂を使用することが好ましい。かかるリン及び窒素含有樹脂は、より高い信頼性で優れた耐火性及び膨張性を達成する。
【0057】
或いは又、本発明の分枝状シリコーン樹脂を耐火性コーティングとして使用することができる。当該樹脂をプラスチック、金属、繊維、紙及び木製基材を含む広範な基材に塗布することができ、火に曝すと膨張した炭化物を形成し、膨張性材料として挙動する壁、カラム、桁及びまぐさのような構造要素に塗布すると特に有効である。 この膨張した(発泡した)炭化物は断熱材として作用し、火災の際に近接空間への伝熱を制限し、構造要素を保護するので、弱化する温度に到達しないか、あるいはその温度によりゆっくりと到達する。分枝状シリコーン樹脂は、ケトン、例えばメチルイソブチルケトン又はメチルイソアミルケトンのような極性有機溶媒、並びにトルエン、キシレン又はトリメチルベンゼンのような芳香族炭化水素に可溶性である。分枝状シリコーン樹脂は、コーティングにおける唯一のポリマーとしてもよく、あるいはエポキシ樹脂、ポリウレタン又はアクリル系ポリマーのような膜形成結合剤と混合してもよい。樹脂は、耐火性コーティングとしての使用のために適切な溶媒に溶解することができる。溶解した分枝状シリコーン樹脂は、広範な基材(プラスチック、繊維、紙、金属、木材、コルクなど)に対し浸漬、スピン、スプレーコーティングなどにより塗布することができ、あるいは繊維用集束剤として又は充填剤(アルミニウム四水和物、ATH、マグネシウム二水和物、MDH)処理において若しくはカーボンナノチューブ機能化に適用することができる。
【0058】
本発明の分枝状シリコーン樹脂を含有する組成物、又はホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基と少なくとも1つの窒素含有有機基とを有する分枝状シリコーン樹脂を含有する熱可塑性、熱硬化性若しくはゴム状有機ポリマー組成物は、充填剤、顔料、染料、可塑剤、接着促進剤、耐衝撃剤、硬化剤(例えば、耐引掻き傷剤)、カップリング剤、酸化防止剤及び/又は光安定剤などの添加剤を含有することができる。かかる添加剤を、熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物に、またコーティング組成物に使用することができる。
【0059】
特に、本発明の熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物は、シリカのような補強充填剤を含有することができる。シリカは、樹脂を熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物に添加する前に、本発明の分枝状シリコーン樹脂と、あるいはホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を含有する分枝状シリコーン樹脂及び少なくとも1つの窒素含有有機基を有する分枝状シリコーン樹脂とブレンドするのが好ましい。樹脂を熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物中のシリカと加熱する場合、いくらかの結合が樹脂とシリカの間で生じ得る。シリカは、例えば熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物の0.1又は0.5重量%から40又は60重量%で存在することができ、また分枝状シリコーン樹脂に対し1〜500重量%で存在することができる。
【0060】
本発明の熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物は、高分子量の実質的に直鎖のポリジオルガノシロキサンであるシリコーンガムを含有することができる。シリコーンガムは、例えば少なくとも60,000センチストークス、特に100,000cStを超える粘度のポリジメチルシロキサンとすることができ、最高で30,000,000cStの粘度を有し得る。シリコーンガムは、樹脂を熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物に添加する前に、本発明の分枝状シリコーン樹脂と、あるいはホスホネート及びホスフィネート基から選択した少なくとも1つの基を含有する分枝状シリコーン樹脂及び少なくとも1つの窒素含有有機基を有する分枝状シリコーン樹脂とブレンドする野が好ましい。シリコーンガムは、例えば熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物の0.1又は0.5重量%から20又は30重量%で存在することができ、また分枝状シリコーン樹脂に対し1〜100重量%で存在することができる。シリコーンガムは、分枝状シリコーン樹脂用の可塑剤として作用し、分枝状シリコーン樹脂を含有する熱可塑性、熱硬化性又はゴム状有機ポリマー組成物の曲げ強度を高めることができる。
【0061】
シリカを上述したような分枝状シリコーン樹脂を含む組成物に組み込む場合、ガムコーティングされたシリカとすることができる。ガムコーティングされたシリカは、シリコーン樹脂に対する樹脂変性剤としてDow Corningより商標DC 4−7051及びDC 4−7081で販売されている。
【実施例】
【0062】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0063】
実施例1
磁気撹拌機を備え、窒素下に置いた丸底フラスコに20gのビニルジメチルホスホネート(0.147モル)を入れ、次に32.5gのアミノプロピルトリエトキシシラン(Dow Corningより商標Z−6011で販売、0.147モル)のエタノール100gの溶液を入れた。溶液を窒素下75℃で12時間加熱した。この反応物を室温まで冷却し、エタノールを高真空下で除去した。生成物は、主に3−(2−ジメチルホスホナトエチルアミノ)プロピルトリエトキシシランであると考えられる。
【0064】
このトリアルコキシシランの加水分解及び縮合を高真空下室温で行って、N−(2−ジメチルホスホナトエチル)アミノプロピル基を含有するT樹脂であると考えられる白色固体としてアミノリン酸化シリコーン樹脂を得た。
【0065】
上記で調製した3.24gの分枝状シリコーン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の300gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した組成物を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでブレス成形した。
【0066】
生成したポリカーボネートに従来の熱重量分析を施し、この場合サンプルを毎分10℃の加熱速度で950℃に加熱した。950℃で残留する残渣は30.1%であり、相当量のセラミック炭化物の形成を示した。比較すると、シラン添加剤無しのポリカーボネートのサンプルは、950℃で1.24%の残渣を有した。
【0067】
実施例1の分枝状シリコーン樹脂を含有するポリカーボネートにまたフラッシュ熱重量分析を施し、この場合サンプルを毎分300℃の加熱速度で500℃に加熱し、500℃で20分間保持した。この試験は、火に組成物を曝すことをシミュレートする。500℃で20分後に残留する残渣は68.5%であり、大量の炭化物の形成を示した。比較すると、シラン添加剤無しのポリカーボネートのサンプルは、500℃で20分後11.7%の残渣を有した。
【0068】
実施例2
不活性雰囲気(N2圧)下80℃に加熱した反応フラスコに20gのビニル末端保護PDMS(2−7463)(2.6重量%Vi、0.0192モルのVi)を入れ、次に2.65g(0.0192モル)のジエチルホスファイトを入れた。最後に、0.31gのAIBN(0.0019モル)を添加し、反応混合物を80℃で16時間撹拌した。反応物を冷却し、粗生成物を
29Si及び
31PNMRにより分析した。これは、ビニル及びP−H官能基の消失と、Si−CH2−CH2−P結合の形成を明瞭に示す。
【0069】
実施例3
T
DOPO25T
Bz5T
Ph50T
Me20シロキサン樹脂の合成の説明
凝縮器、KPG撹拌機及び蒸留ユニットを備えた700mLの反応器中で、148.5gのフェニルトリメトキシシラン(0.75モル)と、40.8gのメチルトリメトキシシラン(0.3モル)と、136.43g(0.375モル)のDOPO−トリメトキシシランと、24.56g(0.075モル)のメトキシ−ベンゾオキサジンプロピルトリメトキシシランとを激しく撹拌しながら混合した。次に、33.75gの蒸留水を添加し、混合物を撹拌しながら80℃まで1時間加熱した。次に、還流凝縮器を取り外し、隔壁ポンプシステムに接続した蒸留凝縮器に交換した。450mbarの真空をゆっくりと適用する一方、メタノールの蒸留を開始した。容器の温度を約3時間で約110℃まで上げ、蒸留温度が最終的に低下するまでメタノールを除去した。まだ温かい(約100℃)間に、きわめて粘稠な黄色の物質を保存用のHDPE容器に注入した。約264.6gの最終的なほぼガラス状の物質を得た。
【0070】
上記で調製した9.64gのT
DOPO25T
Bz5T
Ph50T
Me20シロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の312gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでプレス成形した。
実施例3の組成物にUL−94垂直燃焼試験を施し、この場合炎を120mm×12mmサンプルの自由端部に適用した。サンプルは8秒の燃焼時間(平均t1)で自己消炎し、滴下現象を呈しなかった(1.5mmでのUL−94でV0のランク)。
【0071】
比較例
T
DOPO25T
Bz5T
Ph50T
Me20シロキサン樹脂をC1:添加剤無しの参照サンプル(未希釈のポリカーボネート)と置き換えて、実施例3を繰り返した。
【0072】
ポリカーボネートのみからなるサンプル(C1)(任意の添加剤を含まない未希釈のポリカーボネート)は、サンプルの下に置いた綿に点火すると滴下現象を呈し、平均燃焼時間t1が11秒であり、したがって、UL−94ではV2のランクであった。
【0073】
実施例3の組成物をコーン熱量測定分析に施し、参照サンプル(未希釈のポリカーボネート)と比較した。この技術により熱発生率に密接に関連するMAHRE値を求めることが可能になった。これは、参照サンプル(C1)と比較して16.3%だけ低下したことが分かった。AHRE(t)、すなわち時間tにおける熱放出率は、t=0〜t=tにわたる曝露された標本の単位面積当たりの累計熱発生をtで除算したものとして定義される。MAHREは、その時間中のARHEの最大値である。
【0074】
実施例4
DOPO−Bzシランの合成の説明
窒素注入口、凝縮器及び電磁撹拌機を備えた250mLのフラスコ中で13.26g(0.06モル、1当量)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Z−6011)と、7.32g(0.06モル、1当量)の2−ヒドロキシベンズアルデヒドと、12.96g(0.06モル、1当量)のDOPOと、120gのメタノールを共に混合した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。 その後、4.92g(0.06モル、1当量)の37%ホルムアルデヒドを添加し、混合物を室温で6時間撹拌し、最後に更に12時間還流した。メタノール溶液を冷却し、生成物を取り出した。
【0075】
実施例4a
PC+0.5重量%DOPO−ベンゾオキサジンシロキサン樹脂(T
DOPO−Bz30T
Ph50T
Me20)の調製
上記で調製した1.61gのDOPO−Bzシロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の321.6gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでブレス成形した。
【0076】
実施例4b
PC+2.5重量%DOPO−ベンゾオキサジンシロキサン樹脂(T
DOPO−Bz30T
Ph50T
Me20)の調製
上記で調製した8.04gのDOPO−Bzシロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の314.2gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでプレス成形した。
【0077】
実施例4a及び4bの組成物にUL−94垂直燃焼試験を施し、この場合炎を120mm×12mmサンプルの自由端部に適用した。サンプルは同様に約5秒の燃焼時間(平均t1)で自己消炎し、滴下現象を呈さなかった(1.5mmでのUL−94でV0のランク)。一方、ポリカーボネートのみからなるサンプルC1(任意の添加剤を含まない未希釈のポリカーボネート)は、サンプルの下にいた綿に点火すると滴下現象を呈し、平均燃焼時間t1が11秒であり、したがってUL−94ではV2のランクであった。
【0078】
実施例4a及び4bの組成物にもコーン熱量測定分析を施し、参照サンプル(未希釈のポリカーボネート)と比較した。下表は、DOPO−ベンゾオキサジンシロキサン樹脂をポリカーボネートに添加することの効果を示す。これは、引火の遅れ(引火までの時間がより長くなること)、熱発生率のピークがより低くなること、火の危険性が低くなることを意味する「防火性能指数」がより高くなること、及び煙放出がより少なくなることをもたらす。ドープされたサンプルは、その上より強力な膨張性能を呈し、生成した炭化物カラムは未希釈PCに対するものよりも機械的に強力なものとして現れた。
【0079】
【表1】
(防火性能指数=ti/pHRR、高いほど良好)
【0080】
機械的衝撃試験を参照サンプル(未希釈PC)及び実施例4bのサンプルに対して行ったところ、2.5重量%のDOPO−ベンゾオキサジンシロキサン樹脂の存在はポリカーボネートの耐衝撃性に有意な影響しないことを示した。
示差走査熱量測定によるTg値は、0.5及び2.5重量%のシロキサン樹脂に対して150℃から146℃にわずかに低下したことが判明した。 ここで、0.5〜2.5重量%の負荷が、FRと機械的機能との間の良好な妥協点であることが判明した。
【0081】
実施例5
PC+3重量%DOPO−アリールアミノシロキサン樹脂(T
DOPO−アリールアミノ30T
Ph50T
Me20)の調製
上記で調製した9.69gのDOPO−アリールアミノシロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の311.58gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでプレス成形した。
【0082】
実施例6
PC+3重量%DOPO−アリールアミノシロキサン樹脂(T
DOPO−アリールアミノ30T
Ph50T
Me20)+0.5重量%ベンゼンスルホン酸カリウム(KSS)の調製
上記で調製した9.58gのDOPO−Bzシロキサン樹脂と、1.58gのKSSを270℃の密閉式ミキサー配合機内の309.9gのポリカーボネートに添加した。 ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレスにて250℃及び100MPaでプレス成形した。
【0083】
比較例
DOPO−アリールアミノシロキサン樹脂(T
DOPO−アリールアミノ30 T
Ph50T
Me20)を下記に置き換えて実施例5を繰り返した。
【0084】
C2:0.5重量%ベンゼンスルホン酸カリウム(KSS))
【0085】
実施例5及び6の両方のサンプルは同じMAHRE値を呈するが、サンプル6(DOPO−アリールアミノシロキサン樹脂及びKSS)は熱発生率の最低ピークを呈する。
【0086】
【表2】
【0087】
サンプルC2では、0.5重量%のKSSの添加(ポリカーボネートサンプルの透明性を維持するための典型的な量)はMAHRE及び熱発生率の値が低下しなかったどころか、反対に下表に見られるように未希釈PCと比較して増加したことを観察している。通常、KSSは滴下現象の抑制ためにPTFEと共に使用し、したがってL−94でV0のランクを達成する。しかしながら、熱発生率又はMAHREの低下の点では、それ自体作用しない。一方、実施例5のサンプルは、ここで評価した3つのパラメーターの低下を導くことが判明し、このような低下はDOPO−アリールアミノシロキサン樹脂をKSSと共に使用する場合(実施例6)に更に激しくなる。 したがって、KSSとDOPO−アリールアミノシロキサン樹脂がPCマトリックスにおけるFR添加剤として使用する場合に、相乗効果が存在する。
【0088】
実施例7
DOPO−アリールアミノシロキサン樹脂(T
DOPO30T
Z688310T
Ph40Q
20)の合成の説明
反応器中で、102gのDOPO−トリメトキシシランと、23.79gのフェニルトリメトキシシランと、38.81gのテトラエトキシシランを204gのトルエンで希釈し、75℃に加熱した。温度が75℃に到達すると、53.74gの水と53.74gのメタノールを添加した。溶液を2時間還流した。室温に冷却後、この混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下(100℃にて68mmHg)で低揮発分を除去した。生成した樹脂をさらに30mmHgの真空下100℃で2時間乾燥して、164.2gの所望の樹脂を淡黄色固体として回収した。
【0089】
アリールアミノシロキサン樹脂(T
Z688350T
Ph50)の合成の説明
反応器中で、433.5gのZ−6883と、336.6gのフェニルトリメトキシシランと、0.45g(400ppm)の1N水酸化カリウム溶液を混合した。室温のままで183.6gの水と183.6gのメタノールを添加した。次いで、混合物を70℃に加熱し、還流条件下で1時間保持した。反応混合物の温度が約70℃に上昇するまで、メタノールと水を大気圧で除去した。トルエン濃度を約50重量%に維持しながら、常時トルエンを添加し、共沸蒸留によりメタノールと水を除去し続けた。温度が約110℃に到達すると、混合物を約6時間還流した。室温に冷却後、混合物を0.44gの酢酸で中和した。 次に、溶液を濾過し、溶媒を真空下で除去し、535.5gの無色固体を回収した。
【0090】
実施例7a
PC+10重量%T
DOPO30T
Z688310T
Ph40Q
20の調製
上記で調製した32gのDOPO−Bzシロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の286gのポリカーボネートに添加した。 ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでプレス成形した。
【0091】
実施例7b
PC+15重量%T
Z688350T
Ph50の調製
上記で調製した47.7gのDOPO−Bzシロキサン樹脂を270℃の密閉式ミキサー配合機内の268gのポリカーボネートに添加した。ミキサー中の滞留時間は8分であった。生成した物質を熱間プレス機にて250℃及び100MPaでプレス成形した。
【0092】
実施例7a及び7bのサンプルを熱重量分析、示差走査熱量測定及びコーン熱量測定により分析した。
【0093】
これら樹脂を市販のシラン(フェニルアミノシラン、Dow Corning(登録商標)Z6883)で調製した。MAHRE値は、10重量%のT
DOPO30T
Z688310T
Ph40Q
20でドープすると240.6kWから193.1kWに低下し、15%のT
Z688350T
Ph50でドープすると200.7kWに低下することが判明した。FR添加剤のどちらのタイプについてもMAHRE低下が生じたが、リンの存在(DOPO)がFR添加剤の効果を高めることが分かった。
【0094】
下表は、実施例7a及び7bのサンプルに対して評価した様々なパラメーターを示す。 また、MAHRE値及びTgと相関させるために、Si、P、N及びフェニル基(Ph)の量を計算した。
【表3】
【0095】
Tgの低下は、リンの存在に起因することが判明した。Si及びPhは、Tgに対して全く影響せず、熱分解発生の増加をもたらした。実際、シロキサン形成は架橋を促進し、消炎挙動に有益である。期待されたものとは反対に、高熱分解発生は、低MAHREをもたらさないことが判明した。実際には、その反対が観察された。P及びN種の同時存在(P−N相乗効果)は、MAHRE値の低下に大きな役割を果たすことが判明した。なお、Pを含まない溶液は、未希釈PCと比較してMAHREの低下を示すにもかかわらず、SiPN系溶液ほどは効率的ではなかった。
【0096】
実施例7bのサンプルもUL−94垂直燃焼試験により分析した。これは滴下抑制が観察されたにもかかわらず、燃焼時間がV0ランクに達するには短くないため、UL−94ではV1としてランク付けされた。