特許第5698841号(P5698841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698841径方向に作用するラッチデバイスを備えたプラグ型コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698841
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】径方向に作用するラッチデバイスを備えたプラグ型コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-517046(P2013-517046)
(86)(22)【出願日】2011年4月12日
(65)【公表番号】特表2013-529834(P2013-529834A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2011001831
(87)【国際公開番号】WO2012000576
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】202010009597.2
(32)【優先日】2010年6月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレム ブラークボルン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール ヴィンターホラー
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−168590(JP,U)
【文献】 特開平05−205813(JP,A)
【文献】 特開2010−129312(JP,A)
【文献】 特開平06−283233(JP,A)
【文献】 特開平02−132781(JP,A)
【文献】 米国特許第5938465(US,A)
【文献】 特開2000−123922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(14)の外側導体(12)との電気的および機械的接続のためにプラグ型コネクタのケーブル側端部に形成され、前記プラグ型コネクタの電磁スクリーンを形成する外側導体部(10)と、ケーブル(14)の少なくとも一つの内側導体との電気的および機械的接続のために前記プラグ型コネクタの前記ケーブル側端部に形成される少なくとも一つの内側導体部(16)と、ハウジング(20)とを有し、
前記ケーブル側端部と軸方向反対にあるプラグ側端部にて前記プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタ(28)にプラグ接続されるプラグ接続状態において前記プラグ型コネクタを機械的解除可能な手法で固定するために径方向に作用するラッチデバイスが前記ハウジング(20)の外周面に設けられ、
前記プラグ型コネクタの前記内側導体部(16)と前記相補的プラグ型コネクタ(28)の相補的内側導体部(30)との間に電気的および機械的接触が確立されるとともに、前記プラグ型コネクタの前記外側導体部(10)と前記相補的プラグ型コネクタ(28)の相補的外側導体部(32)との間に電気的および機械的接触が確立され、
前記ラッチデバイスは、周方向にギャップ(26)を有するリング(24)状の弾性材料から製造され、
前記リング(24)は、前記リング(24)の第1側面が前記プラグ型コネクタの前記プラグ側端部に対向するとともに、前記リング(24)の第2側面が前記プラグ型コネクタの前記ケーブル側端部に対向するように、前記プラグ型コネクタの縦軸に垂直な平面上で前記ハウジング(20)の前記外周面に配設され、
前記リング(24)は、前記ハウジング(20)の前記外周面から径方向に突出し、
前記リング(24)の内径は、前記リング(24)が配置されるセクションにおいて、前記リング(24)がばね弾性力に反して径方向に圧縮されるように前記ハウジング(20)の外径より大きいプラグ型コネクタであって、
前記リング(24)は、前記リング(24)の軸方向の長さが内周面よりも外周面で短くなるように、前記第1および第2側面に面取り部(40)を有し、
固定位置において、ボルト(42)が前記リング(24)の前記ギャップ(26)に嵌合して前記リング(24)の径方向圧縮を防止し、解除位置において、前記プラグ接続状態が確立または解除されるときに前記リング(24)の両側面の前記面取り部(40)の一方に停止エッジが当接すると、前記リング(24)が径方向に圧縮されるように、前記リング(24)の前記ギャップ(26)を解放するような方法で、前記固定位置と前記解除位置との間で移動可能であるボルト(42)が前記ハウジング(20)に配設されることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記ボルト(42)は、軸方向に移動可能であるスライダ形状からなることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記ハウジング(20)は、前記外側導体部(10)の一部であることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記リング(24)が配設されるラジアル溝(22)が、前記ハウジングの前記外周面に亘って形成されることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記ボルト(42)は、前記リング(24)が径方向における径方向復元力が径方向外向きに作用しない完全弛緩状態であるときにのみ、前記リング(24)の前記ギャップ(26)に嵌入するように設計されることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記ボルト(42)に対して前記固定位置の方向に弾性ばね力を加える弾性ばね要素(44)が設けられることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項7】
請求項2及び請求項6に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記弾性ばね要素は、前記スライダ(42)に対して前記弾性ばね力を軸方向に加えるコイルばね(44)の形態からなることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項8】
請求項6に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記ボルト(42)は、該ボルトと一体的に形成される弾性材料製のロッカ(52)を具備することを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプラグ型コネクタにおいて、
前記プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとの間のプラグ接続の完全確立を電気的に検査するためのデバイス(46)が前記プラグ型コネクタに付加的に配設されることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプラグ型コネクタにおいて、
プラグ接続の完全確立の電気的検査のための前記デバイス(46)が、前記プラグ接続状態において前記ボルト(42)が固定位置にある場合にのみプラグ接続の完全確立を通知するような方法で、プラグ接続の完全確立の電気的検査のための前記デバイス(46)が前記ボルト(42)に配設されることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載のプラグ型コネクタにおいて、
プラグ接続の完全確立の電気的検査のための前記デバイス(46)は、前記プラグ型コネクタが前記相補的プラグ型コネクタ(28)に完全にプラグ接続され、前記リング(24)が前記ボルト(42)により固定される時に電気的に閉じられるように配設および設計される分断状態の電気導体(50)であることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【請求項12】
請求項9又は請求項10に記載のプラグ型コネクタにおいて、
プラグ接続の完全確立の電気的検査のための前記デバイス(46)は、前記プラグ型コネクタが前記相補的プラグ型コネクタ(28)に完全にプラグ接続され、前記リング(24)が前記ボルト(42)により固定される時に電気的に閉じられるように配設および設計されるリード接点であることを特徴とするプラグ型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの外側導体との電気的および機械的接続のためにプラグ型コネクタのケーブル側端部に形成されるとともに、プラグ型コネクタの電磁スクリーンを形成する外側導体部と、ケーブルの少なくとも一つの内側導体との電気的および機械的接続のためにプラグ型コネクタのケーブル側端部に形成される少なくとも一つの内側導体部と、ハウジングとを有し、ケーブル側端部の軸方向反対にあるプラグ側端部によりプラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタにプラグ接続されるプラグ接続状態でプラグ型コネクタを機械的解除可能な手法で固定するために、径方向に作用するラッチデバイスがハウジングの外周面に設けられ、プラグ型コネクタの内側導体部と相補的プラグ型コネクタの相補的内側導体部との間に電気的および機械的接触が確立されるとともに、プラグ型コネクタの外側導体部と相補的プラグ型コネクタの相補的外側導体部との間に電気的および機械的接触が確立され、ラッチデバイスは、周方向にギャップを有するリング状の弾性材料から製造され、リングは、リングの第1側面がプラグ型コネクタのプラグ側端部に対向するとともに、リングの第2側面がプラグ型コネクタのケーブル側端部に対向するように、プラグ型コネクタの縦軸に垂直な平面上でハウジングの外周面に配設され、リングは、ハウジングの外周面から径方向に突出し、リングの内径は、リングが配置されるセクションにおいて、リングがばね弾性力に反して径方向に圧縮されるようにハウジングの外径より大きい、請求項1の前文に記載のプラグ型コネクタに関連する。
【背景技術】
【0002】
金属製ハウジングスリーブと電気絶縁材料製のプラグ接点ハウジングとがスナップリングを介して締結される電気的プラグ型コネクタは特許文献1により周知である。
【0003】
特許文献2は、プラグ部分とソケット部分とを包含する簡易接続・切断可能な電気的プラグ型コネクタを開示している。プラグとソケットとがプラグ接続される時にばねリングが径方向に圧縮されるように、周方向にギャップを備えるばねリングがプラグ部分の周方向溝に配設されている。ソケット部分では、ソケット部分の内側の周方向溝にばねリングがスナップ嵌着して、プラグ部分とソケット部分との間に保持力を付与する。加えて、二重ばね作用が径方向に得られるように、付加的な径方向ばね作用をばねリングの一部分に付与する周方向延在の切欠きをばねリングが有する。ばねリングの径方向圧縮を阻止する阻止手段は設けられていない。
【0004】
特許文献3は、第1および第2コネクタ部分が相互にプラグ接続される第1コネクタ部分および第2コネクタ部分と嵌合手段とを包含する電気的プラグ型コネクタを開示している。嵌合手段は、周方向溝と弾性によって径方向に拡張および圧縮可能であって周方向溝に配設されるC字形リングとを第1コネクタ部分に具備し、各部分がプラグ接続される時にリングが接触する圧力区分と、リングがスナップ嵌着する嵌合溝とを第2コネクタ部分に具備する。リングの後端部の切欠きと嵌合する第1突起が第1コネクタ部分に設けられて、周方向のリングのずれを防止する。周方向溝に延出してリングの外周面でリングのスリットを被覆するような幅を持つ第1コネクタ部分に、限定部分も設けられる。これはリングの過剰な径方向拡張を防止する。二つのコネクタ部分をプラグ接続すると、リングが径方向に圧縮されて、嵌合溝に達するとすぐに径方向拡張により再び弛緩する。プラグ接続を解除するため、所定の軸方向位置でリングを径方向に圧縮することでリングと嵌合溝との間の嵌合を解除する軸方向変位可能なスリーブが第2コネクタ部分に設けられる。リングの径方向圧縮を阻止するボルトは設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許発明第DE 38 23 617 C2号明細書
【特許文献2】米国特許第5 938 465号
【特許文献3】欧州特許第0 996 201 A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一方ではプラグ接続状態が単純かつ解除可能に確立されるとともに、他方ではプラグ接続の望ましくない解除が確実に防止されるように、上述したタイプのプラグ型コネクタを設計するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、請求項1に明記された特徴を備えた上述のタイプのプラグ型コネクタによって解決される。本発明の好都合な実施形態は、他の請求項に記載される。
【0008】
本発明によれば、上述したタイプのプラグ型コネクタにおいて、リングは、リングの軸方向の長さが内周面よりも外周面で短くなるように、第1および第2側面に面取り部を有し、固定位置において、ボルトがリングのギャップに嵌合してリングの径方向圧縮を防止し、解除位置において、プラグ接続状態が確立または解除されるときにリングの両側面の面取り部の一方に停止エッジが当接すると、リングが径方向に圧縮されるように、リングのギャップを解放するような方法で、固定位置と解除位置との間で移動可能であるボルトがハウジングに配設される。
【0009】
これは、プラグ型コネクタが、一方ではこのプラグ接続が解除可能でありながら、他方では特殊な手段によってのみ解除可能であるような方法で相補的プラグ型コネクタと接続されるという長所を有する。例えば振動によるプラグ接続の望ましくない解除が効果的に防止され、同時に、手作業でのプラグ接続の確立および解除が最小の力を加えることで容易に達成される。
【0010】
リングの固定に関する機能において特に確実な実施形態は、ボルトが軸方向に移動可能であるスライダ形状からなることで達成される。
【0011】
プラグ型コネクタの製造および組立を安価にする特に単純な構造は、ハウジングが外側導体部の一部分であることで達成される。
【0012】
ハウジングの外側へのリングの軸方向の固着は、リングが配設されるラジアル溝がハウジングの外周面に亘って形成されることで達成される。
【0013】
リングが径方向における径方向復元力が径方向外向きに作用しない完全弛緩状態であるときにのみ、リングのギャップに嵌入するようにボルトが設計されているため、プラグ型コネクタと相補的係合コネクタとのプラグ接続が完全に確立されていなければボルトが固定位置へ移動できないので、ボルトは同時にそのことの点検を可能にする。
【0014】
プラグ型コネクタを相補的プラグ型コネクタへプラグ接続する時のリングの自動的な固定は、ボルトに対して固定位置の方向に弾性ばね力を加える弾性ばね要素が設けられることで達成される。
【0015】
弾性ばね要素が、スライダに対して軸方向にばね弾性力を加えるコイルばねの形態からなることで、特に確実な固定が達成される。
【0016】
プラグ型コネクタの安価な製造および組立を可能にする特に単純な構造は、ボルトが、ボルトと一体的に形成される弾性材料製のロッカを具備することで達成される。
【0017】
プラグ接続およびプラグ型コネクタのユーザのための付加的な安全性は、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとの間のプラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスがプラグ型コネクタに付加的に配設されることで達成される。例えば、完全なプラグ接続がすでに存在しないことをプラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスが報告するとすぐに、プラグ型コネクタのケーブルを介して伝達される電圧をこれが遮断する。こうして、自由に触れることのできるプラグ型コネクタの電気接点からの電気ショックを受けないようにユーザが保護される。
【0018】
プラグ接続状態でボルトが固定位置にある場合にのみプラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスが完全確立プラグ接続を報告するような方法でプラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスがボルトに配設されることで、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとの間の完全固定プラグ接続における機能上の確実な検査が達成される。
【0019】
プラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスが、プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタに完全にプラグ接続され、リングがボルトにより固定される時に電気的に閉じられるように配設および設計される分断状態の電気導体であることで、プラグ型コネクタの安価な製造および組立を可能にする特に単純な構造が達成される。
【0020】
プラグ接続の完全確立の電気的検査のためのデバイスが、プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタに完全にプラグ接続され、リングがボルトにより固定される時に電気的に閉じられるように配設および設計されるリード接点であることで、無接触センサによる完全プラグ接続の特に機能的上確実な検出が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ボルトが解除位置にある、本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態の斜視図を示す。
図2】ボルトが固定位置にある、図1に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態の側面図を示す。
図3】相補的プラグ型コネクタが非プラグ接続状態にある、図1に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態の斜視図を示す。
図4】相補的プラグ型コネクタがプラグ接続状態にある、図1に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態の斜視図を示す。
図5】相補的プラグコネクタがプラグ接続状態にある、図1に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態の断面図を示す。
図6】本発明によるプラグ型コネクタの第二好適実施形態の斜視図を示す。
図7】相補的プラグ型コネクタが非プラグ接続状態にある、図6に示された本発明によるプラグ型コネクタの第二好適実施形態の斜視図を示す。
図8】相補的プラグ型コネクタが非プラグ接続状態にある、図6に示された本発明によるプラグ型コネクタの第二好適実施形態の別の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して発明をより詳細に説明する。
【0023】
図1乃至図5に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一好適実施形態は、ケーブル14の外側導体12との電気的および機械的接続のためのプラグ型コネクタのケーブル側端部に形成されるとともにプラグ側コネクタの電磁スクリーンを形成する外側導体部10を有する。絶縁部18により外側導体部10中の所定点で径方向に保持されるいくつかの内側導体部16が、外側導体部10中で径方向に配設されている。内側導体部16は、ケーブル14の少なくとも一つの内側導体(不図示)との電気的および機械的接続のために設計されている。ハウジング20は外側導体部10を包み込む。
【0024】
周方向にギャップ26を有する(図1)とともに弾性材料で製造されるリング24が、ハウジング20の外周面の溝22に配設されている。同時に、リング24の内径は溝22の領域でのハウジング20の外径より大きい。こうして、リング24が径方向内側に圧縮されるため、リング24の外径が縮小される。対照的に、リング24の外径は溝22の近傍でのハウジング20の外径より大きいため、リング24は径方向においてハウジングから外側に突出している。図4および図5に示すように、このリング24は、プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタ28にプラグ接続されるプラグ接続状態でプラグ型コネクタを機械的に解除可能に固定するために径方向に作用するラッチデバイスとして機能し、プラグ型コネクタの内側導体部16と相補的プラグ型コネクタ28の相補的内側導体部30との間の電気的および機械的接触が、プラグ型コネクタの外側導体部10と相補的プラグ型コネクタ28の相補的外側導体部32との間の電気的および機械的接触とともに確立される。こうして、プラグ型コネクタのハウジング20が相補的プラグ型コネクタ28の相補的ハウジング34にプラグ接続される。この機械的解除可能な固定については、以下でより詳細に説明する。
【0025】
リング24と相互作用を行う径方向かつ周方向のラッチ溝38が、相補的プラグ型コネクタ28の相補的ハウジング34の内壁36に形成されている。相補的プラグ型コネクタ28の相補的ハウジング34の内壁36は、一方では溝22の近傍でのハウジング20の外周よりも大きく、他方では弛緩状態のリング24の外周より小さい内径を有する。また、リング24は、相補的ハウジング34の内面36のための先頭斜面として作用する面取り部40を側面に有する。ハウジング20が相補的ハウジング34へプラグ接続されると、相補的ハウジング34が面取り部40の領域でリング24の側面と接触する。軸方向のプラグ接続力を受けて、相補的ハウジング34がリング24を径方向内側に圧縮するため、リング24の外径が縮小し、相補的ハウジング34がハウジング20に対して摺動するので、リング24は相補的ハウジング34の内壁36を摺動する。こうして、リング24がラッチ溝38に到達するまで、ハウジング20が相補的プラグ型コネクタ28の相補的ハウジング34内に軸方向に押し込まれる。ここで、リングが定位置にスナップ嵌着して径方向外側に向けて拡張する。プラグ接続を解除するために、プラグ接続の方向と反対の方向にプラグ型コネクタおよび相補的プラグ型コネクタに軸方向の力が加わることで、ラッチ溝38のエッジが、対応するリング24の対向する面取り部40と接触する。リング24が再び径方向内側に圧縮されるので、相補的プラグ型コネクタ28の相補的ハウジング34からハウジング20を引く抜くことができる。面取り部40は、一方ではラッチ溝38でのリング24の係止を解除可能なものにする。他方で、面取り部40は、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28とをプラグ接続およびプラグ解離するのに必要となる対応の軸方向の力を決定する。
【0026】
プラグ接続が不用意に解除されるのを防止するため、ハウジング20の外周面には軸方向に動くことが可能なボルト42が設けられている。このボルト42は、図2乃至5に示される固定位置と図1に示される解除位置との間で軸方向に移動することが可能である。ボルト42は、固定位置においてリング24のギャップ26に嵌合してリング24の自由端部が互いの方へ周方向に移動可能となることを防止するような方法で、ボルト42は設計されている。こうしてリング24の径方向圧縮を阻止する。この固定位置では、相補的プラグ型コネクタの溝38からリング24が解放されないので、プラグ接続されるプラグ型コネクタおよび相補的プラグ型コネクタのプラグ接続の解除が阻止される。
【0027】
コイルばね44は、ボルト42に対して固定位置の方向に弾性ばね力を加える。こうして、プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタ28へ完全にプラグ接続されるとすぐにボルト42が自動的に固定位置となり、これは取付者による追加動作を必要としない。プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28とをプラグ接続する、およびプラグ接続を解除するために、ボルト42をコイルばね44の力に抗して固定位置から解除位置へ移動させ、コネクタをプラグ接続する時にはリング24が相補的プラグ型コネクタ28のハウジング34内に配置されるまで、またプラグ接続を解除する時にはリング24が相補的プラグ型コネクタ28の溝38から離れるまで、ボルト42を保持する。例えばプラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28とをプラグ接続する時には、リング24がすでに相補的プラグ型コネクタ28のハウジング34の内部に位置し、径方向に圧縮されるが、相補的プラグ型コネクタ28の溝38へリングがまだスナップ嵌着していない中間段階では、ギャップ26はボルト42を入れるには小さすぎるので、固定位置へのボルト42の動きが阻止される。相補的プラグ型コネクタ28の溝38へリング24がスナップ嵌着して径方向に拡張する時にのみ、コイルばね44の力の作用を受けてボルト42が解除位置から固定位置へ摺動するのに充分なほどギャップ26が大きくなる。こうして、プラグ型コネクタが相補的プラグ型コネクタ28に完全に押し込まれたかどうかを視覚的に点検する単純な手段が取付者に与えられる。これに該当しない場合には、ボルト24はまだ解除位置にある。そのため、取付者は、ボルト42が自動的に固定位置へ再びスナップ嵌着するまで、プラグ型コネクタを相補的プラグ型コネクタ28へ軸方向に押し込む。こうして、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28との間のプラグ接続が完全かつ正確に確立されたことを取付者に知らせる。
【0028】
プラグ接続状態では、プラグ型コネクタの内側導体部16を介して電気エネルギーが伝達される。これは、例えば情報の担体として、つまり電気信号を伝達するように機能する。しかし、例えば本発明によるプラグ型コネクタを介して電動モータを駆動するために電気エネルギーを伝達することも可能である。後者の場合、高い電流が伝達され、それに応じて、プラグ型コネクタおよび/または相補的プラグ型コネクタ28の相補的内側導体部30に高い電圧が存在する。そのため、プラグ接続を解除する取付者または他の者が、電圧を流しているプラグ型コネクタの内側導体部16または相補的プラグ型コネクタの内側導体部分30に突然触れるのを防止することが重要である。この目的のため、体の一部分、例えば指にプラグ型コネクタの内側導体部16が触れることが機械的に不可能であるように、プラグ型コネクタの内側導体部16が設計されるとよい。代替案としては、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28との間のプラグ接続が解除されると、プラグ型コネクタの内側導体部16に存在する電圧が遮断される。この目的のため、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28との間のプラグ接続の確立または解除を検出して、プラグ型コネクタまたは相補的プラグ型コネクタのための電圧を適宜印加または印加停止する対応の制御デバイスへこれを報告する、対応の検出器が設けられる。
【0029】
図6乃至図8は、本発明によるプラグ型コネクタの第二好適実施形態において、以下では「インタロック」と呼ばれるこのような検出器46を示している。このインタロック46はハウジング20の外側およびボルト42に配設されているため、インタロック46はボルト42とともに軸方向に移動する。相補的プラグ型コネクタ28には相補的インタロック48が配設されて、インタロック46と相補的インタロック48とはプラグ接続の確立を知らせるように相互作用を行う。しかし、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとが解除されて引き離された場合である、インタロック46と相補的インタロック48とが相互に機械的に分離されるとすぐに、プラグ接続の解除が指示されて電圧が遮断されるため、プラグ型コネクタの内側導体部16および相補的プラグ型コネクタ28の相補的内側導体部30に危険なく触れることができ、内側導体部16に触れた人への電気ショックのリスクを無くす。インタロック46が軸方向に移動可動となるようにボルト42に配設されると特に好都合であるが、それは、固定が解除される際、またはボルト42が解除位置へ移動する際に、つまりプラグ接続の実際の解除の前に、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとが分断されようとしていることを制御デバイスがすでに検出するため、プラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタとを介した電気エネルギーの伝達を遮断する時間の余裕が得られることをこれが意味するからである。
【0030】
相補的プラグ型コネクタ28の相補的インタロック48は、例えば、電気ケーブル50(図8)を介して電気回路を選択的に開閉するリードリレーの形態からなる。したがって、プラグ型コネクタのインタロック46は、インタロック46の磁石が相補的インタロック48のリードリレーに配置されているかどうかに応じてリードリレーを適宜切り換える磁石の形であり、これは、ボルトが固定位置にあるプラグ型コネクタと相補的プラグ型コネクタ28とのプラグ接続状態の場合である。
【0031】
図6乃至図8に示された本発明によるプラグ型コネクタの第二実施形態には、コイルばねが示されていない。しかし、ここでも、図1乃至5に示された本発明によるプラグ型コネクタの第一実施形態に類似したコイルばねの配設が可能である。
【0032】
図6乃至図8に示された本発明によるプラグ型コネクタの第二実施形態では、ボルト42と一体的に形成された弾性材料製のロッカ52をボルト42が具備している。このロッカ52は、ボルト42を固定位置に固定する。ボルト42を解除位置へ移動させるには、ロッカ52は、ボルト42が軸方向に移動可能であるように弾性的に撓曲されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8