(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための方法であって、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続される1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバすることが許可される処理を実行し、かつ、セルに接続されている移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへ再接続を試みることが許可される処理を実行し、当該方法は、
第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)を検出するステップと、
第2のセルで接続を設定し直すステップと、
前記第1のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用しているセルのみに前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供するステップと
を有し、該情報は前記移動局により生成されるRLFレポートを有し、前記RLFレポートは、
前記第2のセルのセル識別子(ID)、又は
前記第2のセルのRATタイプ及び前記第2のセルのキャリア周波数
を含む、方法。
当該方法が、前記第1のセルを管理している第1の基地局及び/又は前記第3のセルを管理している第3の基地局に、前記第4の基地局が前記情報を送信するステップを更に有し、
該送信するステップにおいて、前記セルラ無線通信システムの1つ以上のX2及び/又はS1インターフェースを通じて前記情報を送信する、請求項4に記載の方法。
前記情報を提供するステップにおいて、前記セルラ無線通信システムの1つ以上のX2及び/又はS1インターフェースを通じて又は直接的に、前記第1のセルを管理する第1の基地局又は前記第3のセルを管理する第3の基地局に前記情報を送信する、請求項8に記載の方法。
請求項12に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該記憶媒体は、ROM(リードオンリメモリ)、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(消去可能なPROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的に消去可能なEPROM)及びハードディスクドライブを含む群中の1つ以上から成る、記憶媒体。
セルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための移動局装置であって、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続される1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバすることが許可される処理を実行し、かつ、セルに接続されている移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みることが許可される処理を実行し、当該移動局は、
第1のセルに接続されている場合に無線リンク障害(RLF)を検出し、
第2のセルで接続を設定し直し、
前記第1のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用しているセルのみに前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供するように形成され、
該情報は前記移動局により生成されるRLFレポートを有し、前記RLFレポートは、
前記第2のセルのセル識別子(ID)、又は
前記第2のセルのRATタイプ及び前記第2のセルのキャリア周波数
を含む、移動局装置。
セルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための基地局装置であって、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続される1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバすることが許可される処理を実行し、かつ、セルに接続されている移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みることが許可される処理を実行し、当該基地局装置は、
無線リンク障害(RLF)が生じた場合に、第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)に関する無線リンク障害(RLF)レポートを受信し、
前記基地局が管理しかつ前記移動局が在圏しているセルが前記第1のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用していた場合に、前記第1のセル及び/又は第3のセルに前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供し、該情報は、
前記基地局により管理される前記セルのセル識別子(ID)、又は
前記基地局により管理される前記セルのRATタイプ及び前記基地局により管理される前記セルのキャリア周波数
を含む、基地局装置。
【背景技術】
【0002】
通常、セルラ無線通信システムでアクティブモードの移動局(MS)はシステム内を移動する際に或るセルから隣接セルへハンドオーバし、そのハンドオーバに起因する大きな中断を伴わずにデータを送受信することができる。
【0003】
ハンドオーバ(HO)の手順は多くのステップから成る。多くのセルラ無線通信システムの場合、1)HOはネットワークにより制御される。すなわち、MSは他のセルに接続する場合にネットワークからコマンドを受ける;2)HOの準備ができている。すなわち、MSが移動しつつあるターゲットセルは準備が整っている。3)HOはMSにより支援される。すなわち、サービングセルを去り/ターゲットセルに接続する場合に、ターゲットセルのHOの準備を整える決定を促すためにMSはハンドオーバの前にメジャーメントレポートをサービングセルに提供する。
【0004】
HOに関し、HO以前のサービングセルはソースセルとしばしば言及される。ハンドオーバが成功した場合、ターゲットセルは新たなサービングセルになる。ロングタームエボリューション(LTE)の場合、HOは「ハードハンドオーバ」であり、これは無線リンクが(ソース)セルから他の(ターゲット)セルへ切り替えられることを意味する。ユニバーサル移動通信システム(UMTS)の場合、ハードハンドオーバは時分割複信(TDD)モードで専ら使用されるが、周波数分割複信(FDD)方式で使用されてもよい。
【0005】
以下の説明ではイントラ周波数LTE-HO(同一周波数のLTEハンドオーバ)の手順に着目するが、説明される手順はLTEインター無線アクセス技術(RAT)及びLTEインター周波数HO(LTEにおけるRAT間及び周波間のハンドオーバ)の手順についても同様に使用できる。RRC接続状態(RRC_CONNECTED)のイントラE-UTRANは、E-UTRANにおけるHO準備シグナリングと共にユーザ装置(UE)による支援及びネットワークによる管理がなされるHOである。
【0006】
HOは、先ず、UEがサービングeNB(E-UTRAN NodeB)にメジャーメントレポートを送信することで引き起こされる。サービングeNBはUEがどのようにしてメジャーメントを行うかを指示又は設定し、その指示又は設定の下で、メジャーメントレポートがトリガされeNBに送信される。
【0007】
モビリティ制御判定を支援するために、UEは様々な異なるセルについて測定を行い、測定結果をネットワークに報告する。異なるネットワーク及び配備されたネットワークノードは個別具体的に異なる動作を行うことができるが、多くのシステムの場合、ターゲットセルからの受信信号がソースセルからのものより良くなった場合にHOを開始するのが通常的である。
【0008】
1再利用システム(reuse-one system)(すなわち、ソースセル及びターゲットセルが厳密に同じ周波数リソースを利用するシステム)におけるイントラ周波数HOの場合、UEが最強信号のセルに常に接続されるようにする干渉管理は有益である。メジャーメントレポートによりUEはHOのトリガの原因を示し、例えば、サービングセル信号より強いターゲットセル信号、及び測定結果(サービングセル及びいくつかの隣接セル(ターゲットセルを含む)についてのリファレンス信号の受信電力(RSRP)又はリファレンス信号の受信品質)を含む。2つのセルの間でUEが反復的にハンドオーバしてしまうピンポン現象の影響(ping-pong effect)を減らすために、HOトリガ条件にHOオフセットがしばしば追加される。すなわち:ターゲットセルは或るオフセット以上サービングセル信号より良好であるべきである(オフセット値>0dB)。
【0009】
サービングeNBがUEからメジャーメントレポートを受信しかつeNBがUEを別のセルへHOさせることを希望していた場合、eNBはそのセルに対するHO準備手順(HO preparation)を行う。HO準備手順は或る(サービング)eNB及び別の(ターゲット)eNBの間で送受信されるシグナリングを含む。ソースセルは、HO(ハンドオーバリクエスト)を要求し及びUEコンテキスト情報を通知し、ターゲットセルは自身がそのUEを受け入れることができるか否か(Call Admission Control)及びHOを許可するか又は拒否するかを判定する。容認メッセージ(ハンドオーバリクエスト許可(Handover Request Ack))に、ターゲットセルは、UEがターゲットセルと通信するのに必要なパラメータを含め、これらのパラメータはトランスペアレントコンテナ(transparent container)にグループ化される。ソースセルはHOのために複数のセルを準備する。準備が成功した後に、HO実行手順が行われる。ソースセルはHOコマンドをUEに対して発行し、これはRRCコネクション再設定(RRCConnectionReconfiguration)であり、トランスペアレントコンテナを搬送する。このメッセージをUEが適切に受信すると、UEは新たなターゲットセルと同期をとり、ランダムアクセスチャネル(RACH)で同期メッセージを送信する。そしてターゲットセルはUEに対して割り当て又はアロケーション(allocation)を行い、UEがHO確認メッセージ(RRCConnectionReconfiguration-Complete message)をターゲットセルに送信できるようにする。
【0010】
UEの処理を含まない最終的な段階(ハンドオーバ完了(Handover Complete))において、(ソースセルを管理している)ソースeNBはデータ(送達確認が未だなされていないダウンリンクパケット)を(ソースセルを管理することになる)ターゲットeNBに転送することができ、サービングゲートウェイ(S-GW)との間のS1-Uインターフェースがソースからターゲットセルへ切り替えられなければならない(経路切替(path switch))。ハンドオーバが成功すると、ターゲットeNBはUEコンテキスト解放メッセージ(UE Context Release message)をソースeNBに送信する。
【0011】
しかしながら、無線リンク障害(RLF)又はRACH不具合に起因して、様々な場面でHOに失敗するおそれがある。HOの最中におけるRACH不具合は3GPP36.331において「ハンドオーバ不具合(Handover Failure)」と言及されているが、本願の以後の説明において、HO不具合という言葉はRLF不具合及びRACH不具合の双方を含む言葉として使用される。
【0012】
HO不具合が生じると、以後UEはRRC再接続を試み、この点については3GPPTS36.300及び3GPPTS36.331の標準仕様に規定されている。UEは、先ず、検出できたセルのうち最強のセルを選択し(セル選択)、その後にUEはRRCコネクション再接続リクエスト(RRCConectionReestablishmentRequest)メッセージを選択したセルに送信する。選択されたセルがUEについての情報とUEコネクションについての詳細情報(例えば、セキュリティパラメータでありその情報は「UEコンテキスト」と言及される)を事前に有していた場合、セルはRRCConnectionReestablishmentを送信することができ、その再接続が成功すると、UEは無線リソース制御(RRC)接続状態のままであることを意味する。
【0013】
しかしながら、UEコンテキストが欠如していた場合、再接続要求は拒否され、UEはRRCアイドル状態に落ち、UEがRRC接続状態に遷移して何らかのデータ通信を再開できるまでにかなりの時間を要することになる。HO手順の最中又はそれ以外の時点において「UEコンテキスト」がセルに通知されてもよい。その転送はHO準備手順(HO preparation)と言及される。留意を要することに、RRCコネクション再接続リクエスト(RRCConectionReestablishmentRequest)メッセージは次の3つのフィールドを搬送する:(1)不具合が生じたサービングセルにおけるUEのセル無線ネットワークテンポラリ識別子(C-RNTI)、(2)このセルの物理セル識別子(PCI)及び(3)再接続セルの識別子(ID)を用いて計算されるショートMAC-I。
【0014】
ユニバーサル移動通信システム(UMTS)におけるハードハンドオーバは上記の場合と多くの点で非常に類似している−すなわち、UEにより支援されるがネットワークで管理されており、これはUEはトリガのメジャーメントレポートを送信するがネットワークがHOを実行する時を決定することを意味する;また、(無線リンク設定手順を用いて)準備手順を実行する;これは「バックワード(backward)」HOであり、ソースセルがHOコマンドをUEに送信しかつUEがターゲットセルに応答することを意味し;ノード間のシグナリングにより完了する。
【0015】
更に、RLFは3GPPTS36.300及び3GPPTS36.331の標準仕様に規定されている。RLFの一形態はレイヤ1の同期外れの検出により生じる。UEが或る多数の連続的な「同期外れ(out-of-sync)」の通知を下位レイヤから受信した場合に、無線障害検出手順が開始される。その連続的な通知の数は閾値N310により指定される。これが生じた場合、UEはタイマT310を開始する。T310が動作している場合に、UEが所定の(N310個の)連続的な「同期状態(in-sync)」の通知を下位レイヤから受信すると、UEはタイマを停止し、通常動作に戻らなければならない。
【0016】
RLFに関する以下の説明において、UEはセル選択を試みる。UEが、セル選択期間の間に接続するセルを発見する手順を行う場合、UEはそのセルに対する再接続を試みる。一方、UEがセル選択期間(T311)の間にセルを発見できなかった場合、UEはアイドルモードに戻り、他のRATのセルを探し、RATは例えばLTE、UMTS、WiMAX及びGSM(登録商標)-EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)である。
【0017】
アップリンクRRCシグナリングパケットを送信する最大送信回数に達するも、パケットの配信に成功していなかった場合にも、UEの無線リンク制御(RLC)レイヤによりRLFが宣言されてもよい。更に、HOの最中にランダムアクセスに失敗した場合(T304のタイムアウトの場合)、UEはRLFが生じたように振る舞う。本願において、RLFという言葉は上記のイベントのうちの如何なるものに関連してよい。
【0018】
更に、RLFレポートが3GPPリリース9(Rel-9)で導入され、モビリティロバスト性最適化(Mobility Robustness Optimisation:MRO)に関する問題とカバレッジの問題とを、RLFレポートを受信したeNBが区別できるようにしている。これは、不具合の時点における信号強度を示す一群の隣接セル測定値を含めることで達成される。これにより、使用されてもよい代替的な隣接セルが存在するか否か、又はカバレッジホールの場合に検出される隣接セルが全く存在しないか否かをeNBは知ることができる。
【0019】
RLFレポートは以下に関する情報を含む:
●サービングセルのRSRP、及び選択的にRSRQ;
●隣接セルのRSRP/RSRQ;及び
●検出したインターRAT隣接セルの信号強度を含んでいてもよい。
【0020】
リリース9(Rel-9)の場合において、HOの間のRLFが適切なRRC再接続の後に生じた場合、RLFレポートをRLF通知メッセージ(RLF INDICATION message)に含めることが可能であり、このメッセージは、RLFが生じた時点でサービングUEであったeNBに対して再接続を行う場合にeNBから送信される。UEがRLFレポートを提供する能力又は機能はRRCコネクション再設定完了メッセージ(RRCConnectionReestablishmentComplete message)におけるフラグにより通知される。RLFレポートは、UE情報手順を用いて再接続手順を行うeNBに与えられる。
【0021】
リリース9において残っている問題は、RRC再接続が成功した場合にUEがRLFレポートを送信できるにすぎないことである。しかもこれはRLFレポートを受信したセルがそのUEのコンテキストを有している場合(HOの「準備が整っている」場合)にのみ可能である。多くの場合、HOは非常に遅れて実行され、UEが再接続を試みるセルの準備はできておらず、従ってUEはRLFレポートを送信できない。
【0022】
この問題に対処するため、UEがアイドルモードに遷移した後にもRLFレポート送信手順を許容する提案がなされている。これはRRCコネクション設定(RRC establishment)を試みる場合にUEが報告を行うことを意味する。
【0023】
更に、3GPPには、LTEの自己最適化ネットワーク(Self-Organizing Network:SON)に関する多数の研究がある。そのうちの一部は、モビリティパラメータ又は移動パラメータを最適化することを目的とする上記のMROとして知られているハンドオーバパラメータ最適化(Handover Parameter Optimization)である。何れのパラメータが最適化されるべきであるかは指定されていないが、パラメータは例えばHOヒステリシス(オフセットとも言及される)及びタイムトゥトリガ(Time To Trigger:TTT)パラメータ等である。最適化の目的は、HO不具合を減らすのと同時に、多数のHOが必要とならないようにすることである。MRO機能はエボルブドUTRAN(E-UTRAN)の中で分散され、すなわち全てのeNBが自身のMRO最適化機能を備えている。最適化を促すため、eNB同士の間のシグナリングが規定され、HO不具合のイベントを判定することに寄与する。
【0024】
以下は、標準規格3GPPTS36.300v9.2.0のセクション22.5においてMROとしても知られているハンドオーバパラメータ最適化の利用形態を示す記述である。
【0025】
モビリティロバスト性最適化(MRO)の機能の1つは、過剰に早いハンドオーバ(Too Early HO)、過剰に遅いハンドオーバ(Too Late HO)又は適切でないセルへのハンドオーバ(HO to Wrong Cell)に起因して生じるRLFを検出することである。その検出の方法は以下の手順により実行される:
−[過剰に遅いHOの場合]UEがeNB-AにおけるRLFの後にeNB-Bにおける無線リンクの再接続を試みる場合、eNB-BはRLF通知手順を用いてRLFイベントをeNB-Aに報告してよい。
【0026】
−[過剰に早いHOの場合]最新のTstore_UE_cntxt秒の間に同じUEに対する目下のHOの完了に関するeNB-AにeNB-BがUEコンテキストリリースメッセージを送信した場合であってeNB-BがeNB-AからRLF通知メッセージを受信した場合に、過剰非早いHOのイベントであることを示すハンドオーバレポート(HANDOVER REPORT)メッセージをenB-BはeNB-Aに送信してよい。
【0027】
−[適切でないセルへのHOの場合]最新のTstore_UE_cntxt秒の間に同じUEに対する目下のHOの完了に関するeNB-AにeNB-BがUEコンテキストリリースメッセージを送信した場合であってeNB-BがeNB-CからRLF通知メッセージを受信した場合に、適切でないセルへのHOのイベントであることを示すハンドオーバレポート(HANDOVER REPORT)メッセージをenB-BはeNB-Aに送信してよい。
【0028】
上記のイベントの検出はRLF通知及びハンドオーバレポート手順により可能になる。UEがeNB-AにおけるRLFの後にeNB-Bにおいて無線リンクを再接続しようとした後に、RLF通知手順が開始される。eNB-BからeNB-Aへ送信されたRLF通知(RLF INDICATION)メッセージは以下の情報要素(IE)を含む:
−不具合セルID:RLFが起こったセルのPCI:
−再接続セルID:RLF再接続の試行が行われる場合のセルのECFI。
−C-RNTI:RLFが起こったセル内のUEのC-RNTI。
−ショートMAC-I(選択的):ソースセル及び再接続セルIDのセキュリティコンフィギュレーションを用いて計算されたMAC-Iの下位16ビット。
【0029】
複数のeNBが、再接続手順の間にUEにより通知されたPCIを使用するセルを制御していた場合、eNB-Bはその複数のeNBに対してRLF通知を行ってもよい。eNB-Aは受信した不具合セルPCI及びC-RNTIに合致するUEコンテキストを選択肢、可能であれば、ショートMAC-Iを利用して、ショートMAC-Iを算出してそれを受信したIEと比較することで識別子を確認する。
【0030】
UEコンテキストリリースメッセージをソースeNB-Aに送信した直後に、RLFがターゲットセル(eNB-B)で生じた場合、最近完了したハンドオーバにおいてハンドオーバ報告手順が使用される。ハンドオーバ報告(HANDOVER REPORT)メッセージは以下の情報を含む:
−検出したハンドオーバの問題の種別(過剰に早いHO、適切でないセルへのHO)
−ハンドオーバにおけるソース及びターゲットセルのECGI
−再接続セルのECGI(適切でないセルへのHOの場合)
−ハンドオーバの原因(ハンドオーバ手順の際にソースから通知される)
RAT間の移動(Inter RAT Mobility)
異なるRAT同士の間のHO、すなわちRAT間HOは様々な理由、原因又はコーズ(cause)を有する。2つの具体例を以下に示す。
【0031】
●カバレッジ−現在のRATのカバレッジは十分でないが、他のRATにはカバレッジが存在する。従ってUEは他のRATにHOするように指示されてもよい。
【0032】
●容量−現在のRATの容量は十分でないかもしれないが、同じ領域をカバーする別のRATには利用可能な容量が存在する。
【0033】
カバレッジに基づくRAT間の移動の場合、典型的には、ソースRATにおける基準及びターゲットRATにおける基準という2つの絶対的な信号強度又は信号品質の閾値が存在する。ターゲットRAT基準は、LTEシステムのUEがターゲットRATで存続する場合に予想される閾値を設定するために使用可能である。ソース基準はUEがRAT間メジャーメントを実行し始める時点を調整するのに使用可能である。
【0034】
サービングセルについて過剰に低い基準を使用すると過剰に多いメジャーメントを招き、過剰に高い基準を使用すると呼損を招いてしまう。なぜなら、サービングセルに対する品質が更なる通信に使用するには低品質すぎるようになる前にUEが代替的なセルを発見できないからである。
【0035】
標準規格3GPPTS36.331においてメジャーメントコンフィギュレーションに典型的に利用可能なイベントは次のとおりである:
●イベントA1:サービングセルが閾値より良くなった場合。
【0036】
●イベントA2:サービングセルが閾値より悪くなった場合。
【0037】
●イベントA3:隣接セルがサービングよりオフセット以上良くなった場合。
【0038】
●イベントA4:隣接セルが閾値より悪くなった場合。
【0039】
●イベントA5:サービングセルが閾値1より悪くなり、隣接セルが閾値2より良くなった場合。
【0040】
●イベントB1:異RAT隣接セルが閾値より良くなった場合。
【0041】
●イベントB2:サービングセルが閾値1より悪くなり、異RAT隣接セルが閾値2より良くなった場合。
【0042】
ここで、「サービングセル」はサービング又はソースセルであり、「隣接セル」は検出された隣接セルを示す。様々なイベントはセルの信号強度(又は品質)を固定閾値と比較しており、或いはサービング又は隣接セルの値(上記のヒステリシス値を含む)が比較される。
【0043】
RAT間HOアルゴリズム(カバレッジHO)の典型的な実施形態の一例は以下の通りである:
●イベントA2に関し、サービングセルの品質が許容可能なレベル未満になった場合に、インターRATメジャーメントが開始される。
【0044】
●(必要に応じて)メジャーメントギャップが設定されている時点において、UEはイベントB1又はB2を用いて他のRATの中のセルを報告するように設定される。
【0045】
RAT間MRO又はインターRAT MRO(inter RAT MRO)
eNBにおけるRAT間MROの機能は以下のパラメータを調整しても良い:
●他のRATセルにおけるメジャーメントが始まる場合(A2)及びレポートがトリガされるべき時点(B2_threshold1);
●報告に先立つターゲットセルでの条件(B1及びB2_threshold2)
●様々な周波数に対する様々なオフセットの設定値(オフセットはパラメータofnにより設定される)
RAT間MROに関するエラーの場合はLTEにおけるHO(周波数間又は同一周波数のハンドオーバ)のMROと比較して若干異なる。様々なエラーの場合は次のとおりである。ここで、IRATはインターRAT(inter RAT)を示す。
【0046】
●過剰に遅いIRAT(IRATR too late)−サービングセルに関する閾値条件が低すぎる値に設定され、メジャーメントレポートが送信できるようになる前又はHOを実行できるようになる前に、UEがサービングセルの外に出てしまう場合である。
【0047】
●過剰に早いIRAT(IRAT too early)−ターゲットセルに関する閾値条件が低すぎ、HOが失敗してしまう又はRLFがHOの直後に生じてしまう場合である。
【0048】
●適切でないRATへのIRA(IRAT wrong RAT)−別のRATへのHOの直後にRLFが発生し、第3のRATにおける再接続を行う場合である。
【0049】
●頻繁に生じるIRAT(IRAT frequent)−サービングセルに関する条件が厳格すぎる値に設定され、イントラLTE-HOが可能な場合でさえ、RAT-HOを引き起こしてしまう場合である。
【0050】
●IRATピンポン(IRAT ping pont)−UEがRATを変更した場合に、ターゲットセルに関する条件がソースセルに関する条件と比較して過剰に低く設定されていた場合である。
【0051】
●IRAT急速HO(IRAT rapid HO)−HO直後に別のRATへ速やかにHOが行われる場合である。
【0052】
「過剰に遅いIRAT」が最も深刻な不具合の状態であると仮定されてもよい。なぜなら、LTEはスポット的なカバレッジを有する可能性があり、従来システムへのHOが時間どおりに実行されない場合、被害を被ってしまうからである。「過剰に遅いIRAT」が生じたことは、UEがセルの中でRLFに遭遇し、アイドルモードに戻り、別のRATの新たなセルをサーチした回数をカウントすることで測定することが可能である。
【0053】
様々なRATに属するネットワークノードが情報交換を実行できるように、既存のイントラLTE-MROを拡張する提案がなされている(例えば、NGMNアライアンス(NGM Alliance)、ハンドオーバ最適化(Handover Optimization))。「過剰に遅いIRAT」の例の場合、不具合が生じる前に、RLFの後にUEが接続に関わっているセルが、サービングセルに関する詳細情報と共にUEからレポートを受信することを意味する。このeNBは、「RLF通知」に類似するメッセージを、RLFの前にURが接続されていたセルを管理するeNBに送信する必要がある。RAN情報管理(RAN Information Management:RIM)インターフェースが、様々なRAT同士の間でこの情報の転送を可能にするために使用されるべきである、ということが議論されている。
【0054】
RAT同士の間で情報を収集及び送受信するために、様々なRATは、他のRATに関するUEからの情報をデコードしかつその情報をRAT間で共通に合意されたフォーマットで送信できる用になる必要がある。
【0055】
更に、最も使用されやすいネットワークインターフェースはRIMである。これは、シグナリングが制限されるべきであるという条件の下で、様々なRAT同士の間で別の目的の通信に使用されることについて合意されている。制限を課す理由はコアネットワークノードの処理の複雑化及び煩雑化等に関連している。しかしながらRAT間MROに関してこのインターフェースを使用することは問題を招くおそれがある。
【0056】
従来技術における問題を緩和又は解決できるセルラ無線通信システムにおける情報提供方法が望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
<発明の概要>
本発明の課題は、従来技術における問題を軽減又は解決する方法及び装置等を提供することである。本発明の別の課題は、RAT間HOに関する問題点を改善し、シグナリングを減らし、かつ従来のセルラ通信システムと互換性がある方法等を提供することである。本発明の更に別の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供する代替方法等を提供することである。
【0062】
(A)本発明の一形態によれば、前記の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための方法により解決され、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続された1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムでは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバされる処理が行われ、前記セルラ無線通信システムでは、セルに接続されていた移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みる処理が行われ、当該方法は、
第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)を検出するステップと、
第2のセルで接続を設定し直すステップと、
前記第1のセル及び/又は第3のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用しているセルに限って前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供するステップと
を有し、前記第3のセルは前記移動局が前記第1のセルよりも前に接続されていたセルである、方法である。
【0063】
本発明の前記のセルラ無線通信システムにおける方法の実施の形態は出願時の従属請求項2-6に関して規定されている。
【0064】
(B)本発明の別の形態によれば、前記の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための移動局が行う方法により解決され、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続された1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムでは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバされる処理が行われ、前記セルラ無線通信システムでは、セルに接続されていた移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みる処理が行われ、当該方法は、
第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)を検出するステップと、
第2のセルで接続を設定し直すステップと、
前記第1のセル及び/又は第3のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用しているセルに限って前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供するステップと
を有し、前記第3のセルは前記移動局が前記第1のセルよりも前に接続されていたセルである、方法である。
【0065】
(C)本発明の更に別の形態によれば、前記の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための基地局が行う方法により解決され、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続された1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムでは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバされる処理が行われ、前記セルラ無線通信システムでは、セルに接続されていた移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みる処理が行われ、当該方法は、
第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)を検出するステップと、
前記基地局が前記第1のセル及び/又は第3のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用していた場合に、前記第1のセル及び/又は前記第3のセルに前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供するステップと
を有し、前記第3のセルは前記移動局が前記第1のセルよりも前に接続されていたセルである、方法である。
【0066】
前記の基地局が行う方法の前記情報を提供するステップにおいて、前記セルラ無線通信システムの1つ以上の他の基地局を介して1つ以上のX2及び/又はS1インターフェースを介して又は直接的に、前記第1のセルを管理する第1の基地局又は前記第3のセルを管理する第3の基地局に前記情報を送信してもよい。
【0067】
前記の移動局が行う方法及び基地局が行う方法はセルラ無線通信システムにおける方法の別の実施の形態により修正されてもよい。
【0068】
本発明はコンピュータプログラム及びコンピュータプログラム関連製品にも関連し、コンピュータプログラムはコンピュータで実行された場合にコンピュータに上記の移動局における方法及び基地局における方法を実行させる。
【0069】
(D)本発明の別の形態によれば、前記の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための移動局装置により解決され、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続された1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムでは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバされる処理が行われ、前記セルラ無線通信システムでは、セルに接続されていた移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みる処理が行われ、当該移動局は、
第1のセルに接続されている場合の無線リンク障害(RLF)を検出し、
第2のセルで接続を設定し直し、
前記第1のセル及び/又は第3のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用しているセルに限って前記無線リンク障害(RLF)についての情報を提供し、
前記第3のセルは前記移動局が前記第1のセルよりも前に接続されていたセルである、移動局装置である。
【0070】
(E)本発明の別の形態によれば、前記の課題はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための基地局装置により解決され、前記セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は、基地局により管理されかつセルと該セルに接続された1つ以上の移動局との間の無線通信に或る無線アクセス技術(RAT)を使用し、前記セルラ無線通信システムでは、移動局が或るセルから別の無線アクセス技術(RAT)を使用する別のセルへハンドオーバされる処理が行われ、前記セルラ無線通信システムでは、セルに接続されていた移動局が無線リンク障害(RLF)の影響を受けた場合に、別のアクセス技術を使用する別のセルへ再接続を試みる処理が行われ、当該基地局装置は、
第1のセルに接続されている移動局の無線リンク障害(RLF)に関する無線リンク障害(RLF)レポートを受信し、
当該基地局装置が前記第1のセル又は第3のセルと同じ無線アクセス技術(RAT)を使用していた場合、前記無線リンク障害(RLF)についての情報を前記第1のセル及び/又は前記第3のセルに提供し、
前記第3のセルは前記移動局が前記第1のセルよりも前に接続されていたセルである、基地局装置である。
【0071】
本発明による移動局装置及び基地局装置についても上記本方法の様々な実施の形態と同様に修正されてもよい。
【0072】
(F)本発明を使用することで、様々なRATに対してシグナリングを導入する必要性なしにかつUEが異なるRATで生じるRLFの発生を如何にして報告できるようにするかについての仕組みを規定することなしに、RAT間MRO(inter-RAT MRO)を使用できるようにする。
【0073】
更に、本発明は次のような有利な効果を奏する:例えばハンドオーバの問題のようなRAT間RLF問題を検出することと、将来的なRAT間ハンドオーバで同じ問題が生じることを回避するための適切な処理が行われる元々のソースセルに情報を通知することとの双方を可能にし;特に、「過剰に遅いIRAT」、「過剰に早いIRAT」及び「適切でないRATへのIRAT」の場合に関する多数のRAT間ハンドオーバの不具合のケースに対処でき;UE及びeNBのLTEシグナリングの機能にのみ影響を及ぼし;例えばRIMの手順を用いて或るRATから別のRATへの如何なるシグナリングも回避し、これにより双方のRATのコアネットワーク要素に追加的な負担をかけてしまうことを回避し;従来の方法よりも3GPP標準仕様に及ぼす影響が少なく;LTE標準仕様にのみ影響を及ぼし;例えばX2インターフェースを介してRLF通知メッセージ又はハンドオーバ報告メッセージのような既存の手順を適切な拡張と共に再利用でき;例えばWiMax又はWi-Fiのような3GPPでないRATへのハンドオーバを可能にする。
【0074】
本発明に関する他の利点及び応用例は以下の説明から更に明らかになるであろう。
【0075】
<詳細な説明>
上記の説明に関連して、本発明は、HO問題のようなRAT間RLFを判定し、その情報をオリジナルの又は元々のソースセルに転送する。
【0076】
すなわち、本発明はセルラ無線通信システムにおいて情報を提供するための方法に関連し、セルラ無線通信システムにおけるセルの各々は基地局(BS)により管理又は制御され、これは各々のセルがBSサービングセルを形成していることを意味する。更に、各々のセルは、セルとそのセルに接続されている1つ以上のMSとの間の無線通信のために或るRATを使用する又はサポートしている。本システムでは、MSが或るセルから別のRATを使用する別のセルへハンドオーバされる手順が使用されている。本システムでは、セルに接続していたがRLFの被害を被ったMSが、そのセルで使用されているRATとは異なる無線アクセス技術(RAT)を使用している別のセルに再接続することを試みる手順が使用される。
【0077】
本方法は、第1のセルにMSが接続されている場合にそのMSのRLFを検出し;第2のセルで障害のある接続を設定し直し;第1のセル及び/又は第3のセルと同じRATを使用しているセルに限ってRLFについての情報を提供する。第3のセルはMSが第1のセルに接続される前にMSが接続されていたセルである。
【0078】
従って実施の形態による本発明は、RLF障害が生じた場合にMSがソースセルを決定し、それを、所属しているソースセルと同じRATを使用しているセルに限って報告する。これにより、異なるRAT同士の間ならば必要になるシグナリングは不要になり、更に異なるRAT同士の間で情報を翻訳又は変換する必要もなくなる。従って本発明の実施の形態によれば、ソースセルと同じRATに復帰した場合に、MSはRLFレポートを送信する。
【0079】
本発明の別の実施の形態によれば、RLFレポートは、RLFに関して検出されたセルで実行された測定結果又はメジャーメントと、第1のセルのセルIDと、第2のセルのセルIDと、第3のセルのセルIDと、HOの不具合の種類とを含む群中の1つ以上を含んでいる。好ましくは、RLFレポートは、RATの種類又はタイプと、キャリア周波数と、ロケーションエリアコードと、システムの各セルのルーティングエリアコードとを含む群中の1つ以上を更に含む。
【0080】
本発明の更に別の形態によれば、送信するステップにおいて、1つ以上の他の中間的なBSを介して1つ以上のX2及び/又はS1インターフェースを介して情報を送信し、好ましくは、情報が1つ以上のX2インターフェースを通じて送信される場合に、情報はRLF通知メッセージ内又はHO報告メッセージ内に含まれ。
【0081】
MS/MS及びBS/BSの動作はエラータイプに依存して若干異なり、従って異なるエラータイプに関する例示的なシナリオ又は筋書きは以下のように説明される。以下の説明は特にLTEから他のRATへの出て行くHO(outgoing HO)における接続のLTE-RLFを説明しているが、本発明はその例に限定されないことが当業者に理解されるであろう。
【0082】
しかしながら、LTEシステムの場合、本発明はUE及びeNBのLTEシグナリング機能にしか影響を及ぼさず;例えばRIM手順を利用することで、或るRATから別のRATへの如何なるシグナリングも回避でき、これにより双方のRATのコアネットワークに追加的な処理負担を課すことを回避できる。UEは、RLF障害の詳細な情報を記録することができかつ最終的に再びLTEシステムにアタッチする場合にそれらを報告できなければならない。3GPP標準仕様に対する影響は、従って、従来の方法よりも少ない点で本発明は有利である。更に本方法は例えばWiMax又はWi-Fiのような3GPPでないRATへにおけるRLF又はそれと同様なものにも適用できる。
【0083】
以下の説明では、「過剰に遅いIRAT(IRAT too late)」、「過剰に早いIRAT(IRAT too early)」及び「不適切なRATへのIRAT(IRAT wrong RAT)」という例示的な場合が説明される。しかしながら当業者が認めるように、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に該当する全ての実施の形態に関連しかつそれらを組み込むことが可能である。
【0084】
<<過剰に遅いIRATに関する実施の形態>>
1.UEが、RAT1を使用しているeNB1が管理しているセル1に接続されている。UEは、セル1のカバレッジの外に移動し、無線に関する問題を検出し、接続できるセルを発見しようとする。所定の期間にわたって試みた後、UEはアイドルモードに移行する。
【0085】
2.アイドルモードの場合に、UEは、セル1とは異なるRAT(RAT2)に属する別のセル(セル2)を検出する。UEは、このセル2に接続し、しばらくの間そこに滞在する(
図2の(2)参照)。
【0086】
3.最終的にUEはRAT1から別のセル(セルn)に移行する。別のセルはセル1でもよいし或いはセル1以外でもよい。UEはRAT1のソースセルに関するRLFレポートを保存していることを覚えており、それを送信することが可能である。UEはRAT1のセルnを処理するeNBにそれを報告する(
図2の(3)参照)。
【0087】
4.セルnを管理するeNBはRLFレポートを受信し、RLFレポートを読み取り、最後のサービングセル(セル1)のセルID(例えば、EGC1)を発見し、セルが異なっていた場合(セル1がセルnと等しくなかった場合)、その情報をセル1を管理するeNBに転送する(
図2の(4)参照)。
【0088】
5.ソースセル(セル1)は、RLFレポートを取得及び把握し、その情報を用いて、RAT間モビリティイベントの閾値のようなモビリティパラメータ又は移動パラメータを調整する。
【0089】
<<過剰に早いIRATに関する実施の形態>>
1.UEが、RAT1を使用しているeNB1が管理しているセル1に接続されている。
【0090】
2.UEは、別のRAT(RAT2)に属する別のセル(セル2)へハンドオーバする。ある時間閾値(T_dwell)で規定される短時間の間に、UEは、無線に関する問題を検出しかつ接続可能なセルの発見を試みる。所定の期間にわたって試みた後、UEはアイドルモードに移行する(
図2の(2)参照)。
【0091】
3.アイドルモードの場合に、UEは、RAT1に属する別のセル(セルn)を検出する。これはセル1と同じでもよいし異なるセルでもよい。UEはこのセルに接続し、UEは、RAT1のソースセルに関するRLFレポートを有しており、それを送信することができることに気付く。UEはこれをRAT1のセルnを管理するeNBに報告する(
図2の(3)参照)。
【0092】
4.セルnを管理するeNBはRLFレポートを受信する。eNBはそのRLFレポートを読み取り、最後のサービングセル(セル1)のEGC1を発見し、セルが異なっていた場合(セル1がセルnと等しくなかった場合)、その情報をセル1を管理するeNBに転送する(
図2の(4)参照)。
【0093】
5.ソースセル(セル1)は、RLFレポートを取得及び把握し、その情報を用いて、モビリティパラメータ又は移動パラメータを調整する。
【0094】
<<不適切なRATへのIRATに関する実施の形態>>
1.UEが、RAT1を使用しているeNB1が管理しているセル1に接続されている。
【0095】
2.UEは、別のRAT(RAT2)に属する別のセル(セル2)にハンドオーバする。ある時間閾値(T_dwell)で規定される短時間の間に、UEは、無線に関する問題を検出しかつ接続可能なセルの発見を試みる。所定の期間にわたって試みた後、UEはアイドルモードに移行する(
図3の(2)参照)。
【0096】
3.アイドルモードの場合に、UEは別のRAT(RAT3)に属する別のセル(
図3の(3)参照)を検出する。UEはこのセルに接続する。
【0097】
4.最終的にUEはRAT1から別のセル(セルn)に移行する。別のセルはセル1でもよいし或いはセル1以外でもよい。(
図3の(3)参照)。
【0098】
5.UEは、RAT1にソースセルに関するRLFレポートを保存していることを覚えており、それを送信できる。UEはそれをRAT1のセルnを管理するeNBに報告する(
図3の(5)参照)。
【0099】
6.セルnを管理するeNBはRLFレポートを受信する。eNBは、RLFレポートを読み取り、最後のサービングセル(セル1)のEGC1を発見し、セルが異なっていた場合(セル1がセルnと等しくなかった場合)、その情報をセル1を管理するeNBに転送する。
【0100】
7.ソースセル(セル1)は、RLFレポートを取得及び把握し、その情報を用いて、モビリティパラメータ又は移動パラメータを調整する。
【0101】
<<UEの動作>>
UEはエラータイプを判定するために、以下のセルを検出及び保存しなければならない:UEが最後にHOする前に接続されていたセル、HO不具合に起因するRLFの前にUEが接続されていたセル、及びRLFの後にUEが再接続しているセル。
【0102】
上記の実施形態の場合、LTE-MROの場合とは異なり、HO及びRLF間の時間と閾値(T_dwell)とを比較することで、UE自身がエラータイプを間接的に部分的に判別し、RLFが生じたセルが、ソースセルと考えられるべきか否か(「過剰に遅いIRAT」の場合)、或いはHO以前のセルがソースセルと考えられるべきか否かを判定する(「過剰に早いIRAT」又は「不適切なRATへのIRAT」の場合)。これが必要である理由は、正しいRATに報告できるように、UE自身がソースを判定しなければならないからである。閾値T_dwellはUEに送信される必要があることに留意を要する。
【0103】
以下のセルはRAT間MRO(インターRAT-MRO)を行うためにUEから報告されるべきである:
●ソースセル−エラーが生じたイベントの前にMSが接続されていたRAT1を使用するセル。
【0104】
●ターゲットセル−HOが試みられたセルであるが、HOの最中又はHOの直後にRLFが生じたセル。
【0105】
●最終セル−MSがネットワークに対する接続を設定し直すセル。
【0106】
様々なエラーについての検出されたセルと報告されたセルとの間の対応関係は表1に示されている。
【表1】
【0107】
表1:検出されたセルと報告されるセルとの間の対応関係
異なる対応関係をもたらす報告セルについての他の定義を使用してもよいことに留意を要する。更に、最終的なセル/ターゲットセルに関する如何なる対応関係も使用せずに、UEは、報告するRATを知るためにソースセルを検出しかつ検出した全てのセルをそのまま報告するだけでもよい。
【0108】
UEは、エラータイプを完全に判別し、それをeNBに明示的に通知することも可能である。「過剰に早いIRAT」及び「不適切なRATへのIRAT」を区別するには、UEは、単にUEがRLF後に再接続するRATとソースRATが同じであるか否かを比較判定するだけでよい。
【0109】
<<UEから収集及び報告されるインターRAT情報>>
インターRATメジャーメントに関する従来技術によるRLFレポートの内容又はコンテンツに加えて、UEは、本発明の実施の形態に従って、他のRATに属する検出されたセルの情報を収集してもよい。この情報は不具合が生じたソースセルに関するものであるべきである。なぜなら、その情報は最終的にそのセルに転送されることになるからである。
【0110】
ソースセルは、エラーのイベントの前にUEが接続されていたRAT1のセルである。本発明の発想はソースセルが所属しているRATに上記の情報を報告することであるので、ソースセルはRATのグローバル識別子(ID)(例えばLTEシステムのEGCI)により一意に識別できる。
【0111】
ターゲットセル及び最終的なセルに関し、これらの内の少なくとも1つは異なるRATに属している(そうでなかった場合、イベントはインターRAT-MROイベントにはならない)。これは、UEが他のRATについて測定を行う場合に使用される所定のインターRATメジャーメントオブジェクトIDで十分である。なぜなら、それは隣接するRATに固有の情報(例えば、キャリア周波数)を指すことになるからである。しかしながら、これはUE毎に設定され、UEからの報告(レポート)は不具合又は障害の直後には到着しないので、この情報がeNBに保持されていることを常には期待できず、従ってシステムのRATタイプ及びキャリア周波数を明示的にシグナリング又は通知することで、自らデコードできる形式で情報を保存することがより好ましい。
【0112】
同様な議論はセルIDに適用可能である。隣接セルのリストはUEに転送されるので、UEが再接続するセルのインデックス(隣接セルリストを指すインデックス)を報告するだけで十分であるが、その情報はeNBに保持されていないかもしれないので、本発明の実施の形態によりセルIDがシステムの中で明示的に報告されてもよい。具体的な情報は次のような事項を含んでよい:
●キャリア周波数E-UTRA絶対無線周波数チャネル番号(EARFCN)。
【0113】
●RATタイプ。例えば、UTRAN/GERAN/CDMA2000。
【0115】
しかしながら、場合によっては、ターゲットセル及び最終的なセルを特定する際に物理的なセルIDで十分である。この場合の具体例は、ソースeNBはターゲットセルにHOするように指示されているので、ターゲットセルは通常ソースセルにとって知られていることを利用する。従って可能性の1つは本発明の別の実施の形態に従ってターゲットセル及び/又は最終的なセルの物理的なIDを報告するだけである。
【0116】
しかしながら最終的なセルがソースセルに知られていないかもしれない。更に、ターゲットセルがソースセルの隣接関係テーブル(Neighbour Relations Table(NRT))から削除されているかもしれない。従って別の選択肢は最終的なセル及び/又はターゲットセルに関するグローバルIDを常に使用する。
【0117】
ターゲットセル/最終的なセルの対応づけをUEが一切実行しない場合(上記の実施の形態の代替例として上述したように)、UEはその代わり以下の検出されたセルを報告する必要がある。すなわち:
●最後に行ったHOの前にUEが接続されていたセル。
【0118】
●RLFの前にUEが接続されていたセル。
【0119】
●RLFの後にUEが再接続したセル。
【0120】
しかしながら、この場合、UEはソースセル/ターゲットセル/最終的なセルを区別できず、従って全てのセルについて以下の完全な情報を報告する必要がある:
●キャリア周波数EARFCN。
【0121】
●RATタイプ。例えば、UTRAN/GERAN/CDMA2000。
【0123】
更なる改善例として、UEの自動隣接関係(Automatic Neighbour Relation:ANR)測定の必要性を最小化するために情報が拡張されてもよい。この場合、ターゲットセル及び最終的なセルに関して収集される情報は、GERAN検出セルの場合には検出された隣接セルのCGI及びルーティングエリアコード(Routing Area Code:RAC)、CGI、LAC及びUTRAN検出セルの場合にはRAC、及びCDMA2000検出セルの場合にはCGIから常に構成されているべきである。
【0124】
更に別の可能性は、(3GPP標準規格TS36.331で規定されているような)メジャーメントオブジェクト定義で利用可能な情報を利用して、上記のANR関連メジャーメントを報告するか否かを判定することである。LTEの場合、UTRAN及びGERAN隣接セルについてCGI(cellForWhichToReportCGI)を報告するセルのリストがある。
【0125】
<<UEから情報を受信したeNBについて予想される動作>>
UEがアイドルに移行した後にUEがRLFレポートを報告できるようにするのとは別の解決手段もある。
【0126】
解決手段の1つは、UEから情報を受信したeNBが、ソースセルEGCIを読み取り、そのセルが異なるeNBにより管理されていた場合、ソースセルを管理しているeNBにその情報を転送することである。この転送は、X2インターフェースを用いて新たな情報要素を生成することで、或いはLTEシステムの既存のRLFレポートメッセージ又はRLF通知メッセージに付加情報を追加することで達成できる。必要とされる追加的な情報は以下のようなターゲットセル及び最終的なセルに関するRAT情報である:
●キャリア周波数。
【0130】
別の可能な方法はS1インターフェースを介して情報を転送することである。
【0131】
代替的な解決手段では、受信側のeNBが、ソースセルを管理するeNBだけでなくターゲットセル/最終的なセルを管理するeNBにも情報を転送する。それらのセルにとってエラーイベントを知ることは有益だからである。
【0132】
UEで如何なるマッピング又は対応付けもなされなかった場合(上記)又はUEからのメッセージで如何なるソースセルも通知されなかった場合、UEから報告された情報を利用して、eNBは自らエラータイプを判定し、ソースセルを識別又は特定する。これを行った後、eNBは情報をソースセルに転送することができる。この場合、UEは単に次のことに関連する情報を収集及び報告する:
●最後に行ったHOの前にUEが接続されていたセル。
【0133】
●RLFの前にUEが接続されていたセル。
【0134】
●RLFの後にUEが再接続するセル。
【0135】
●最後に行ったHOからRLFまでの経過時間。
【0136】
本実施の形態によれば、セルに関する情報は(上記の)RAT情報を含むべきであり、RLFの前にUEが接続されていたのと同じRATのセルに再接続する場合にUEはその情報を報告するだけである。この情報を受け取ったeNBは、RLFの前にUEが接続されていたセルを管理しているeNBにその情報を転送する。このeNBは提供された除法を利用してエラータイプを判定し、上述したような検出セル及び報告セルに関する同様なマッピング又は対応付けを行う。
【0137】
RLFの直前に如何なるHOも生じていなかった場合、エラータイプは「過剰に遅いIRAT」であり、RLFの前にUEが接続されていたセルは、実際、ソースセルと同じである。従って、この特定の例の場合、如何なる追加的な情報転送も必要とすることなしに、そのエラーケースの検出結果を直接的に利用して、インターRATモビリティパラメータを調整することが可能である。
【0138】
一方、RLFの直前にHOが生じていた場合、エラータイプは「過剰に早いIRAT」又は「不適切なRATへのIRAT」の何れかとなり;ソースセルは、最後に行われたHOの前にUEが接続されていたセルとなる。その場合、イントラLTE-MROにおけるHOレポートと同様なメッセージで情報がソースセルに通知されなければならない。現在のLTE-MROの方法との相違点の1つは、そのメッセージが異なるRATに送信されなければならないこと及び3種類全ての検出セルについてのRAT情報が(そのメッセージに)含まれていなければならないことである。この解決手段はUEにとっていくらか簡易であるが、全てのエラーケースを検出できるようにするため、RAT間で新たなメッセージの送受信を必要とする。
【0139】
セルラ通信システムにおいて情報を提供するための方法に関する上記の実施形態と共に、本発明はMS及びBSにおける方法にも関連している。
【0140】
MSが行う方法は:第1のセルに接続されている場合に生じたRLFを検出するステップ;第2のBSが管理している第2のセルで接続を再設定するステップ;第1のセル及び/又は第3のセルと同じRATを使用しているセルに限ってRLFに関する情報を提供するステップ;を有し、第3のセルは第1のセルよりも前にMSが接続されていたセルである。
【0141】
BSが行う方法は:第1のセルに接続されているMSのRLFに関するRLFレポートを受信するステップ;BSが第1のセル及び/又は第3のセルと同じRATを使用していた場合に、第1のセル及び/又は第3のセルにRLFに関する情報を提供するステップ;を有し、第3のセルはMSが第1のセルよりも前に接続されていたセルである。
【0142】
上記の情報を提供するステップにおいて、セルラ無線通信システムの1つ以上の他のBSを介して1つ以上のX2及び/又はS1インターフェースを介して又は直接的に、第1のセルを管理する第1のBS又は第3のセルを管理する第3のBSに情報を送信してもよい。
【0143】
MS及びBSが行う上記の方法は、上記のセルラ無線通信システムにおける別の方法の実施の形態に従って修正されてもよい。
【0144】
更に、当業者が理解しているように、本発明によるMSが行う方法及びBSが行う方法はコード手段を有するコンピュータプログラムで実現されてもよく、コード手段はコンピュータで実行された場合に上記の方法をコンピュータに実行させる。コンピュータプログラムはコンピュータプログラム関連製品に該当するコンピュータで読み取ることが可能な媒体(コンピュータ読み取り可能な媒体)に記憶される。コンピュータ読み取り可能な媒体は、本質的には、ROM(リードオンリメモリ)、PROM(プログラム可能なリードオンリメモリ)、EPROM(消去可能なPROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的に消去可能なPROM)又はハードディスクドライブ等のような任意のメモリから構成されてもよい。
【0145】
更に、本発明はMS装置及びBS装置にも関連する。MS及びBS装置は、LTE、UMTS、CDMA2000、WiMAX、Wi-Fi又はGERAN等のような本発明に適用可能な適切な任意のRATシステムで使用される適切な任意の装置であってよい。従ってMSはUE、MS又はSSであってもよく、BSはeNB、NodeB又はBTSであってもよい。
【0146】
MS装置は:第1のセルに接続されている場合に生じたRLFを検出し;第2のBSが管理している第2のセルで接続を再設定し;第1のセル及び/又は第3のセルと同じRATを使用しているセルに限ってRLFに関する情報を提供し;第3のセルは第1のセルよりも前にMSが接続されていたセルである。
【0147】
BS装置は:第1のセルに接続されているMSのRLFに関するRLFレポートを受信し;そのBSが第1のセル又は第3のセルと同じRATを使用していた場合に、第1のセル及び/又は第3のセルにRLFに関する情報を提供し;第3のセルはMSが第1のセルよりも前に接続されていたセルである。
【0148】
本発明によるMS装置及びBS装置は開示された任意の方法及び装置等に関する様々な実施の形態に応じて形成されてもよい。