特許第5698861号(P5698861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5698861
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】光源ユニット及びそれを用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20150319BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   F21S8/02 420
   F21Y101:02
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-176070(P2014-176070)
(22)【出願日】2014年8月29日
【審査請求日】2014年9月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103633
【氏名又は名称】オーデリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】久冨 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直樹
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−030414(JP,A)
【文献】 特開2012−252789(JP,A)
【文献】 特開2013−251056(JP,A)
【文献】 特開2013−004249(JP,A)
【文献】 特開2014−011100(JP,A)
【文献】 特開2011−171190(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3163266(JP,U)
【文献】 特開2013−164988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造部に固定される支持枠に取り付け可能な光源ユニットであって、
異なる形式の複数の前記支持枠の外部から前記複数の支持枠それぞれが有する環状枠体を通して前記複数の支持枠に共通に取り付け可能であり、
光源及び前記光源を収容するカバーを含む光源本体、並びに、鍛造によって成形された前記光源の発熱を放熱させる放熱部を備え、
前記放熱部は、ベース、並びに、前記ベースと一体形成された複数のフィンを有し、
各フィンの厚さは、1.mm以下である
ことを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記フィンの厚さは、前記ベースと接続される接続端から先端に掛けて実質的に均一である
ことを特徴とする請求項1記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記光源本体は、前記光源の配光を変換する異なる種類の複数の配光変換パネルを着脱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記複数の配光変換パネルはそれぞれ、前記光源からの照射光の形を変換する
ことを特徴とする請求項3記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の支持枠は、ダウンライト用支持枠、ウォールウォッシャーダウンライト用支持枠、ユニバーサルダウンライト用支持枠、及びスポットライト用支持枠から選択された少なくとも2つである
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光源ユニット。
【請求項6】
環状枠体を有し、建築構造部に固定される異なる形式の複数の支持枠と、
前記複数の支持枠の外部から前記環状枠体を通して前記複数の支持枠に共通に取り付け可能な光源ユニットと
を備え、
前記光源ユニットは、光源及び前記光源を収容するカバーを含む光源本体、並びに、鍛造によって成形された前記光源の発熱を放熱させる放熱部を有し、
前記放熱部は、ベース、並びに、前記ベースと一体形成された複数のフィンを有し、
各フィンの厚さは、1.mm以下である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
前記フィンの厚さは、前記ベースと接続される接続端から先端に掛けて実質的に均一である
ことを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源本体に着脱可能であり、前記光源の配光を変換する異なる種類の複数の配光変換パネルを備える
ことを特徴とする請求項6又は7記載の照明装置。
【請求項9】
前記複数の配光変換パネルはそれぞれ、前記光源からの照射光の形を変換する
ことを特徴とする請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
前記複数の支持枠は、ダウンライト用支持枠、ウォールウォッシャーダウンライト用支持枠、ユニバーサルダウンライト用支持枠、及びスポットライト用支持枠から選択された少なくとも2つである
ことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置は、事務所、小売店など様々な場所・用途に使用される。そのため、メーカーは、使用される場所・用途に最適な様々な仕様の照明装置を準備する必要がある。
【0003】
この点に関し、予め、仕様毎に照明装置を製造し、在庫として持っておくことが考えられる。この場合、照明装置を受注後短期間で納入することができる。しかし、照明装置の仕様には演色性、色温度、配光等の多くの要素が存在し、これら全ての組み合わせについて、多くの照明装置を在庫しておくことは、コスト面、製品在庫スペ−ス等において好ましくない。また、受注後に照明装置の製造を開始することも考えられるが、この場合、在庫の問題は回避できても、当然ながら納期が長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3473858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点を鑑みてなされたもので、様々な仕様の照明装置を容易に構成できる光源ユニット及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源ユニットは、建築構造部に固定される支持枠に取り付け可能な光源ユニットであって、前記支持枠の外部から前記支持枠が有する環状枠体を通して前記支持枠に取り付け可能であり、光源及び前記光源を収容するカバーを含む光源本体、並びに、前記光源の発熱を放熱させる放熱部を備え、前記放熱部は、ベース、並びに、前記ベースと一体形成された複数のフィンを有し、各フィンの厚さは、1.5mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、様々な仕様の照明装置を容易に構成できる光源ユニット及びそれを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置の外観図の一例である。
図2】同実施形態に係る照明装置の光源ユニット及び配光変換パネルの外観図の一例である。
図3】同実施形態に係る照明装置の光源ユニットの放熱部の外観図である。
図4】同実施形態に係る照明装置の支持枠に対する光源ユニットの取り付け方法の概要と取り付け後の外観を示す図である。
図5】同実施形態に係る照明装置の他の支持枠に対する光源ユニットの取り付け方法の概要と取り付け後の外観を示す図である。
図6】同実施形態に係る照明装置の他の支持枠に対する光源ユニットの取り付け方法の概要と取り付け後の外観を示す図である。
図7】同実施形態に係る照明装置の他の支持枠に対する光源ユニットの取り付け方法の概要と取り付け後の外観を示す図である。
図8】同実施形態に対する比較例に係る照明装置の光源ユニットの放熱部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例えば、照明装置の納期短縮を考えた場合、あらゆる照明装置の形式と光特性の組み合わせ毎に、照明装置を在庫として持っておくことが望ましい。しかし、照明装置には、ダウンライト、ウォールウォッシャーダウンライトと言った様々な形式が存在する上に、その光特性も演色性、色温度等の違いによって様々に存在する。そのため、あらゆる形式・光特性の組み合せ毎に照明装置を在庫としておくことは、コスト面、製品在庫スペ−ス等において好ましくない。一方、受注後に照明装置の製造を開始した場合、在庫の問題は解消されるが、納期の長期化が問題となる。
【0010】
そこで、本発明の実施形態では、光特性を決定する光源部分を、複数形式の支持枠に対して共通に取り付け可能なユニットにする。こうすることで、支持枠と光源部分を別個に準備しておき、必要なときに支持枠と光源部分を組み合せれば良いため、照明装置を一体として準備しておく場合に比べ、在庫を大幅に軽減でき、コスト面、製品在庫スペ−ス等の点で有利となる。また、ユニット化した光源部分(以下、「光源ユニット」と呼ぶ)を支持枠の外部から取り付け可能にすることで、所望の形式・光特性を持つ照明装置を短期間に容易に構成することができる。
以下では、このような本実施形態に係る光源ユニットとこれを用いた照明装置について図面を参照しながら説明する。
【0011】
先ず、本実施形態に係る照明装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置の外観図の一例である。図1は、建築構造部である天井の取付孔に取り付け可能なダウンライトの例である。なお、ここでの説明は、他の形式の照明装置についても概ね適用することができる。
【0012】
照明装置100は、天井の取付孔に固定されるダウンライト用支持枠110(以下、単に「支持枠」と呼ぶ)と、この支持枠110に取り付けられる光源ユニット120を備える。
【0013】
支持枠110は、天井の取付孔の内面を覆う環状枠体111と、天井の取付孔に嵌合する3つの取付バネ112を有する。取付バネ112は、環状枠体111に対して円周等間隔で取り付けられている。また、支持枠110は、光源ユニット120を取り付ける環状の取付部113と、この取付部113を環状枠体111に固定する2つの取付部アーム114を有する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る照明装置の光源ユニット及び配光変換パネルの外観図の一例である。
光源ユニット120は、光源であるLED、及びこのLEDを収容し保護するためのカバーを含む光源本体121と、LEDの発熱を放熱させる放熱部122を有する。
【0015】
光源本体121の下端には開口部121aが形成されている。この開口部121aには、図2の矢印で示すように、円盤状の配光変換パネル130を嵌合させることができる。この配光変換パネル130は、LEDからの照射光を所定の配光及び所定の形に変換するものである。様々な種類の配光変換パネル130を用意しておけば、照明装置100の照射光の配光及び形を容易に変更することができる。また光源本体121の側面状部には、凹部121bが形成されている。この凹部121bを支持枠110の取付部113の内面に形成された凸部に嵌合させることで、光源ユニット120を支持枠110に固定することができる。
【0016】
次に、放熱部122について詳述する。
図3は、本実施形態に係る照明装置の光源ユニットの放熱部の外観図である。
放熱部122は、放熱部122を光源本体121の上面に固定する円盤状のベース122aと、このベース122aの上面に形成された複数のフィン122bを持つ。複数のフィン122bは、ベース122a上面の中心から放射状に広がるように形成されている。
【0017】
この放熱部122は、鍛造によって成形することができる。つまり、底部に複数のフィン122bに対応する凹部が製作されたダイスに対して放熱部122の純度の高いアルミニウム等からなる金属材料を押し込み、パンチを用いて凹部の加工方向に金属材料を押し付ける。その際、パンチの先端をダイスの底面まで押し付けずにベース122aの厚みだけ空けておくことで、ベース122a及び複数のフィン122bを一体成形することができる。
ここで、以上のように成形された放熱部122の効果を説明する前提として、比較例の放熱部522について説明しておく。
【0018】
図8は、本実施形態に対する比較例に係る照明装置の光源ユニットの放熱部の外観図である。
放熱部522は、本実施形態の放熱部122と同程度の放熱能力を持っており、アルミダイキャスト製となっている。
アルミダイキャストの場合、溶解した金属材料(アルミニウム)を金型に流しこんで成形するため、溶解した金属材料の流動性を確保する観点から、各フィンをある程度厚く形成する必要がある。図8の場合、各フィンの厚さが2.5mmになる。また、金型からの金属材料の型抜きを容易にするため、フィンの側面に対して抜き勾配(テーパ)を付ける必要もある。したがって、各フィンがある程度大きくなってしまう。更に、成形過程において金属材料の内部に気泡ができてしまう。その結果、金属材料が本来持つ強度及び熱伝導性が損なわれてしまう。以上の理由から、アルミダイキャスト製による放熱部522の場合、全体的に大きく、重くなってしまう。
【0019】
その点、本実施形態の放熱部122は、前述の通り、鍛造によって成形されている。そして鍛造の場合、鋳造の場合のような溶解した金属材料の流動性の問題がないため、図3に示すように、各フィン122bの厚みを1.5mm程度以下に薄く形成することができる。図3の例の場合、各フィン122bの厚みは1.0mmとなっており、放熱部522と比べて、各フィンの厚さを1.5mmも薄くすることができる。また、鍛造の場合、鋳造の場合のような型抜きの問題もないため、図3に示すように、ベース122aとの接続端(下端)から先端(上端)に掛けて実質的に均一な厚さを持つフィン122bを形成することができる。したがって、本実施形態の場合、放熱部522に比べ、各フィン122bを小さく形成することができる。更に、鍛造の場合、鋳造の場合とは異なり、成形過程で金属材料の内部に気泡が生じない。また、前述の成形方法を用いることで、フィン122bをベース122aと一体成形できるため、後からベース122aとフィン122bを接合する必要がない。その結果、本実施形態の成形方法によれば、比較例の場合と比べて、金属材料が本来有する熱伝導性の損失を小さくすることができる。以上から、鍛造で製造した本実施形態の放熱部122は、全体的に小さく、軽くなる。具体的には、図8の放熱部522の直径が93.6mmであるのに対し、図3の放熱部122の直径は68mmとなっており、約26mmも小さくできる。
【0020】
比較例のように、アルミダイキャスト製の放熱部522を用いた場合、当然、光源ユニットも大きくなる。その結果、実用的な支持枠のサイズを考慮すると、光源ユニットを完成体の支持枠の外部から支持枠の内部に取り付けることは困難である。換言すれば、光源ユニットを支持枠の製造途中において支持枠内部に取り付けておかなければならない。
【0021】
一方、本実施形態の場合、放熱部122が小さいため、それを用いた光源ユニット120も小さくできる。そのため、実用的なサイズを持つ支持枠110に対して、その外部から光源ユニット120を取り付けることが可能となる。これによって、様々な仕様の光源を持つ様々な形式の照明装置を容易に構成することが可能となる。
【0022】
次に、光源ユニット120を用いた照明装置の構成方法について説明する。
図4〜7は、本実施形態に係る照明装置の支持枠に対する光源ユニットの取り付け方法の概要(図中A)と取り付け後の外観(図中B)を示す図である。図4はダウンライト、図5はウォールウォッシャーダウンライト、図6はユニバーサルダウンライト、図7はスポットライトの場合を示している。
【0023】
照明装置は、前述の通り、支持枠、光源ユニット、及び配光変換パネルで構成される。
支持枠は、照明装置の形式毎にダウンライト用支持枠110、ウォールウォッシャーダウンライト用支持枠210、ユニバーサルダウンライト用支持枠310、スポットライト用支持枠410があり、これらを選択することで照明装置の形式を決定することができる。
【0024】
光源ユニット120は、全ての形式の支持枠に共通に取り付けることができる。光源ユニット120は、光源の仕様の違いによって複数用意されており、光源ユニット120を選択することで、照明装置の色温度、演色性を決定することができる。同様に、配光変換パネル130は、配光の仕様の違いによって複数用意されており、全ての配光変換パネル130は、光源ユニット120に共通に嵌合させることができる。配光変換パネル130を選択することで、照明装置の光の広がり、光の形を決定することができる。
【0025】
本実施形態の場合、光源ユニット120を小型化したことで、図4〜7の矢印で示すように、支持枠110〜410の環状枠体を通して光源ユニット120を支持枠内部に取り付けることができる。そのため、比較例の放熱部522を用いた光源ユニットを用いる場合に比べて、照明装置の構成が容易となる。その結果、在庫数の軽減、納期の短縮が図れるだけでなく、照明装置設置後の光源の仕様変更も可能となる。更に、比較例と比べて、光源ユニット120を軽くできるため、照明装置が固定される天井、レール等の建築構造部の負担軽減にも繋がる。
【0026】
以上から、本実施形態によれば、様々な種類の照明装置を容易に構成できる光源ユニット及びそれを用いた照明装置を提供することができる。
【0027】
なお、ここまで、発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【符号の説明】
【0028】
100・・・ダウンライト、110・・・ダウンライト用支持枠、111・・・環状枠体、112・・・取付バネ、113・・・取付部、114・・・取付部アーム、120・・・光源ユニット、121・・・光源本体、122・・・放熱部、130・・・配光変換パネル、200・・・ウォールウォッシャーダウンライト、210・・・ウォールウォッシャーダウンライト用支持枠、300・・・ユニバーサルダウンライト、310・・・ユニバーサルダウンライト用支持枠、400・・・スポットライト、410・・・スポットライト用支持枠。
【要約】
【課題】本発明は、様々な仕様の照明装置を容易に構成できる光源ユニット及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の光源ユニットは、建築構造部に固定される支持枠に取り付け可能な光源ユニットであって、前記支持枠の外部から前記支持枠が有する環状枠体を通して前記支持枠に取り付け可能であり、光源及び前記光源を収容するカバーを含む光源本体、並びに、前記光源の発熱を放熱させる放熱部を備え、前記放熱部は、ベース、並びに、前記ベースと一体形成された複数のフィンを有し、各フィンの厚さは、1.5mm以下であることを特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8