(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内カテーテルが複数のスライドをさらに備え、各スライドが、前記複数の偏向ワイヤのうちの1つに動作可能に接続されている、請求項2に記載のカテーテルシステム。
前記器具カテーテルの前記遠位端部が、電気解剖学的マッピングシステムに動作可能に接続された電極または磁気トラッキングコイルのうちの一方をさらに備えている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
前記案内カテーテルが複数のスライドをさらに備え、各スライドが、前記複数の偏向ワイヤのうちの1つに動作可能に接続されている、請求項8に記載のカテーテルシステム。
前記器具カテーテルの前記細長い本体の前記近位端部が前記回転アセンブリに固定取付けされており、前記第2アクチュエータの回転により、前記回転アセンブリを介して前記器具カテーテルの前記細長い本体にトルクが与えられ、それにより、前記案内カテーテルおよび前記ハンドルの前記内腔内での前記器具カテーテルの回転がもたらされる、請求項7に記載のカテーテルシステム。
前記器具カテーテルの前記遠位端部が、電気解剖学的マッピングシステムに動作可能に接続された電極または磁気トラッキングコイルのうちの一方をさらに備えている、請求項7に記載のカテーテルシステム。
前記案内カテーテルの前記遠位端部が、電気解剖学的マッピングシステムに動作可能に接続された電極または磁気トラッキングコイルのうちの一方をさらに備えている、請求項7に記載のカテーテルシステム。
前記ハンドルが、灌注内腔をさらに備え、前記灌注内腔が、前記灌注内腔と前記案内カテーテルの前記内腔との間に流体関係を維持するように、前記案内カテーテルの前記近位端部に動作可能に結合されている、請求項7に記載のカテーテルシステム。
前記案内カテーテルの前記遠位端部が、電気解剖学的マッピングシステムに動作可能に接続された電極または磁気トラッキングコイルのうちの一方をさらに備えている、請求項22に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、カテーテル5の可撓性管状本体4用の制御ハンドル2を有する本発明の一実施形態が、等角図で示されている。本明細書を通して、カテーテルという用語は、限定なしに、カテーテル、シースおよび同様の医療機器を含むように意図されている。
図1に示すように、本発明の一実施形態では、ハンドル2の遠位端はカテーテル本体4に接続され、ハンドル2の近位端は、電気ワイヤを収容し電気コネクタ8まで延在している管6に接続されている。ハンドル2は、調整つまみとして示されているアクチュエータ10およびハンドルグリップ12を備えている。明確にするために、アクチュエータ10を調整つまみと呼ぶことにするが、アクチュエータ10は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、ダイヤル、レバー、スイッチ、または使用者から入力を受け取る他の装置でもあり得る。本明細書から明らかとなるように、本発明のハンドル2は、小型であり、かつ使用者が、調整つまみ10をハンドルグリップ12に対して、ハンドル2の長手方向軸を中心に一方の方向または他方の方向に枢動させることにより、カテーテル本体の最遠位端14を双方向に操作することができるようにするという点で、有利である。さらに、一実施形態では、ハンドル2は、ハンドル2の近位端からカテーテル本体4の最遠位端14まで断続せずに伸びる内腔を有している。この内腔を使用して、ガイドワイヤ挿入に対して造影剤注入を可能にすることができる。
【0020】
ハンドル2のより詳細な考察のために、ここで
図2および
図3を参照する。
図2は、ハンドル2の等角図であり、ハンドル2がそのさまざまな構成要素を示すために分解されている。
図3は、
図1の切断線AAに沿って取り出されたハンドル2の縦断面図である。
【0021】
図2および
図3に示すように、調整つまみ10は、ハンドルグリップ12内に収容されている取付シャフト(すなわちスライド基部または基礎部分)16に旋回可能に取り付けられている。つまみ10を取付シャフトに枢支取付するために、シャフト16の遠位端のピンホール20内にダウエルピン18が挿入され、つまみ10のハブ部分23の溝22と嵌合している。つまみ10のハブ部分23とシャフト16の遠位端との間に、シリコーンOリング24が存在している。
【0022】
図2および
図3に示すように、調整つまみ10内にワイヤガイド26が配置され、保持リング28によって適所に保持されている。取付シャフト16の溝穴(すなわちスライドコンパートメント)34内に、右スライドまたは部材30および左スライドまたは部材32が摺動可能に配置されている。カテーテル本体保持ナット36を使用して、カテーテル本体4がワイヤガイド26の遠位端に固定されている。
【0023】
図3に示すように、一対の偏向ワイヤ38が、本体4の最遠位端14から本体4、ワイヤガイド26、および2つのスライド30、32の間に形成された通路40を通って、スライド30、32の近位部分近くの箇所まで延在している。そして、各ワイヤ38は、保持ねじ42を介して個々のスライド30、32に付着している。
【0024】
スライド30、32およびそれらの偏向ワイヤ38に対する関係をより詳細に考察するために、ここで、右スライド30および左スライド32に取り付けられた偏向ワイヤ38a、38bの等角図である
図4を参照する。
図4に示すように、互いの鏡像であるスライド30、32は、各々、矩形ボックス状近位部分44および半円柱状遠位部分46を有している。各近位部分44は、スライド30、32のためのスラスト面として作用する、溝穴34の略平面側部および底部を有している。
【0025】
各半円柱状遠位部分46は、その長手方向軸に沿ってくり抜かれて通路40を形成し、スライド30、32が組み立てられたハンドル2内にある時、偏向ワイヤ38a、38bおよび
図3に示すようにワイヤガイド26の幅の狭い近位部分が、その通路40を通って延在する。各スライド30、32は平面スライド面48を有し、それは、対応するスライド30、32の平面スライド面48に摺動可能に当接するように意図されている。したがって、
図2に示すように、スライド30、32の平面スライド面48が互いに当接し、各スライド30、32の最近位端が互いに同一平面上にある時、各スライド30、32の半円柱状遠位部分46は結合して完全な円柱を形成し、チャネルまたは通路40がその中を通る。
【0026】
図4に示すように、一実施形態では、各偏向ワイヤ38a、38bの近位端はループ50を形成し、そのループ50を、保持ねじ42が、ワイヤ38a、38bをそれぞれのスライド30、32の近位部分に固定するために通っている。例示的なスライド30の側面図である
図5に示すように、一実施形態では、各偏向ワイヤ38の近位端は結び目52を形成している。ワイヤ38は、中空張力調整ねじ54を通過し、結び目52はねじ54の頭部55に当接し、それにより、ワイヤ38がねじ54を通って引き戻されないようにする。一実施形態では、ねじの長手方向軸およびスライド30、32の長手方向軸は、概して平行である。各張力調整ねじ54は、そのそれぞれのスライド30、32の近位端にねじ込み式に受け入れられている。ワイヤの張力調整ねじ54を外側にねじることにより、ワイヤ38における張力を増大させることができる。逆に、ワイヤの張力調整ねじ54を内側にねじることにより、ワイヤ38における張力を低減させることができる。
【0027】
図4から理解することができるように、ワイヤ38aおよび38bが単に張力を伝達するように意図されている一実施形態では、スライド30、32が遠位方向に変位する時、ワイヤ38a、38bは、各スライド30、32の近位部分44に画定された開放領域45内で偏向または撓曲することができる。同様に、
図5から理解することができるように、ワイヤ38が張力を伝達するようにのみ意図されている別の実施形態では、スライド30、32が遠位方向に変位する時、ワイヤ38はねじ54に対して近位方向に摺動することができる。
【0028】
図4に示すように、一実施形態では、右スライド30の半円柱状遠位部分46の外周には、右ねじ56がねじ切られ、左スライド32の半円柱状遠位部分46の外周には、左ねじ58がねじ切られている。一実施形態では、右スライド30の半円柱状遠位部分46の外周には、左ねじがねじ切られ、左スライド32の半円柱状遠位部分46の外周には、右ねじがねじ切られている。
【0029】
スライドねじ56、58の、ハンドル2の他の部分に対する関係をより理解するために、ここで、
図1の切断線AAに沿って取り出された調整つまみ10の縦断面図である
図6を参照する。
図6に示すように、円柱状穴またはシャフト60は、つまみ10内をつまみの長手方向軸に沿って貫通している。つまみ10のハブ部分23では、シャフト60の内周面は、右ねじ62および左ねじ64をともに有している。つまみ10のこれらの雌ねじ62、64は、スライド30、32の対応する雄ねじ56、58と嵌合する。より詳細には、つまみ10の右雌ねじ62は、右スライド30の右雄ねじ56と嵌合し、つまみ10の左雌ねじ64は、左スライド32の左雄ねじ58と嵌合する。
【0030】
したがって、
図2、
図3、
図4および
図6から理解することができるように、一実施形態では、つまみ10がハンドル2の長手方向軸に対して右回りに回転する際、右雌ねじ62および右雄ねじ56が嵌合し、左雌ねじ64および左雄ねじ58が嵌合し、それにより、ハンドル10の溝穴34内で右スライド30および左スライド32が長手方向に同時に対向して変位する。特に、つまみ10およびスライド30、32のねじ切り構成のために、つまみ10がハンドル2のハンドルグリップ12に対して右回りに回転する時、右スライド30は溝穴34内を遠位方向に移動し、左スライド32は溝穴34内を近位方向に移動する。逆に、つまみ10がハンドル2のハンドルグリップ12に対して左回りに回転する場合、右スライド30は溝穴34内を近位方向に移動し、左スライド32は溝穴34内を遠位方向に移動する。
【0031】
図4および
図6から理解することができるように、右スライド30が遠位方向に付勢され、左スライド32が近位方向に付勢されるように、つまみ10が回転する時、右スライド30に接続された偏向ワイヤ38aは圧縮状態になり、左スライド32に接続された偏向ワイヤ38bは引張状態になる。これにより、カテーテル本体4の最遠位端14が第1方向に偏向する。逆に、右スライド30が近位方向に付勢され、左スライド32が遠位方向に付勢されるように、つまみ10が回転する時、右スライド30に接続された変位ワイヤ38aは引張状態になり、左スライド32に接続された偏向ワイヤ38bは圧縮状態になる。これにより、カテーテル本体4の最遠位端14は、第1方向とは反対側の第2方向に偏向する。
【0032】
上述したような本発明の制御ハンドル2にはいくつかの利点がある。第1に、ハンドル2は小型であり、片手で操作されることが可能であり、臨床医がもう1つの手を空いたままにするかまたは第2装置に置いたままにすることができる。第2に、ねじ切られたスライド30、32およびつまみ10により、医師が、カテーテル本体4の遠位端14における曲げに対して微細な制御された調整を行うことができる。第3に、カテーテル本体4の遠位端14に曲げをもたらすようにつまみ1−が回転すると、医師の側にいかなる行為も必要とすることなく、ねじ56、58、62、64が相互作用して曲げを維持する。第4に、スライド30、32は、単に、ハンドル2の長手方向軸に沿って遠位方向にかつ近位方向に変位するため、いくつかの従来技術によるハンドルにおけるワイヤ変位機構と比較して、ワイヤ38を永久的に変形させる可能性が低い。第5に、ねじ56、58、62、64は、いくつかの従来技術によるハンドルと比較して、偏向ワイヤの移動量を増大させ医師に対する作動労力を低減するという点で機械的に有利である。
【0033】
図2〜
図6は、スライド30、32が雄ねじ56、58を有し、つまみ10が雌ねじ62、64を有する実施形態を示すが、他の実施形態では、ねじ切り構成は逆である。1つのこうした実施形態の考察に対して、
図33〜
図35を参照する。
図33は、
図1の切断線AAに沿って取り出されたハンドル2の縦断面図である。
図34は、
図33に示す実施形態において採用される例示的なスライドの側面図である。
図35は、
図1の切断線AAに沿って取り出された調整つまみの縦断面図である。
【0034】
図3、
図5および
図6に示す実施形態に対して
図33〜
図35に示す実施形態を比較することにより、
図33〜
図35の以下の考察において説明するようなことを除き、2つの実施形態は概して同じであることが分かる。
図33〜
図35において利用する参照番号は、
図3、
図5および
図6において同じ参照番号によって識別される同じかまたは同様の特徴に関連する。
【0035】
図33に示すように、調整つまみ10は、ハンドルグリップ12内に収容されている取付シャフト(すなわち、スライド基部または基礎部分)16に枢支取付されている。調整つまみ10内に、ワイヤガイド26が配置されている。
図2に示す実施形態と同様に、
図33に示す実施形態は、取付シャフト16の溝穴(すなわちスライドコンパートメント)34内に摺動可能に配置される右スライドまたは部材30および左スライドまたは部材32を備えている。
【0036】
図34から理解することができるように、互いの鏡像であるスライド30、32は、各々、矩形ボックス状近位部分44と矩形または半円柱状であり得る遠位部分46とを有している。各近位部分44は、概して平面外側側壁および底壁を有している。これらの平面の面は、スライド30、32に対するスラスト面として作用する、溝穴34の概して平面側部および底部に対して摺動可能に変位する。
【0037】
各遠位部分46は、くり抜かれて、スライド30、32が並列関係で互いに当接する時に生成される円柱状通路40の半分を形成する。したがって、各スライド30、32の各遠位部分46は、内周面を含み、内周面は、他方のスライド30、32の内周面と組み合わされると、円柱状通路40を画定する。
【0038】
図34に示すように、一実施形態では、右スライド30の内周面には右ねじ56がねじ切られている。同様に、
図34から理解することができるように、左スライド32の内周面には左ねじ58がねじ切られている。したがって、各スライド30、32の遠位部分46には雌ねじが備えられている。別の実施形態では、右スライド30の内周面には左ねじ58がねじ切られている。同様に、左スライド32の内周面には右ねじ56がねじ切られている。
【0039】
35に示すように、つまみ10は、内側ハブ23bを包囲する外側ハブ23aを備えている。空間65が、内側ハブ23bおよび外側ハブ23aの間に存在し、かつそれらによって画定されている。空間65は、各スライド30、32の遠位端46を受け入れるように適合されている。内側ハブ23bの外周面は、右ねじ62および左ねじ64を両方とも有している。つまみ10のこれらの雄ねじ62、64は、スライド30、32の対応する雌ねじ56、58と嵌合する。より詳細には、つまみ10の右雄ねじ62は右スライド30の右雌ねじ56と嵌合し、つまみ10の左雄ねじ64は左スライド32の左雌ねじ58と嵌合する。
【0040】
図33から理解することができるように、一実施形態では、つまみ10がハンドル2の長手方向軸に対して右回りに回転する際、右雌ねじ56および右雄ねじ62が係合し、左雌ねじ58および左雄ねじ64が係合し、それにより、ハンドル10の溝穴34内で長手方向に右スライド30および左スライド32が同時に対向して変位する。特に、つまみ10およびスライド30、32のねじ切り構成のために、つまみ10がハンドル2のハンドルグリップ12に対して右回りに回転する時、右スライド30は溝穴34内で遠位方向に移動し、左スライド32は、溝穴34内で近位方向に移動する。逆に、つまみ10がハンドル2のハンドルグリップ12に対して左回りに回転する時、右スライド30は溝穴34内で近位方向に移動し、左スライド32は溝穴34内で遠位方向に移動する。
【0041】
図33から理解することができるように、右スライド30が遠位方向に付勢され、左スライド32が近位方向に付勢されるように、つまみ10が回転する時、右スライド30に接続された偏向ワイヤ38は圧縮状態になり、左スライド32に接続された偏向ワイヤ38は引張状態になる。これにより、カテーテル本体4の最遠位端14は第1方向に偏向する。逆に、右スライド30が近位方向に付勢され、左スライド32が遠位方向に付勢されるように、つまみ10が回転すると、右スライド30に接続された偏向ワイヤ38は引張状態になり、左スライド32に接続された偏向ワイヤ38が圧縮状態になる。これにより、カテーテル本体4の最遠位端14が、第1方向とは反対の第2方向に偏向する。
【0042】
本発明のハンドル2の別の実施形態の詳細な考察のために、ここで
図7、
図8および
図9を参照する。
図7はハンドル2の平面図である。
図8はハンドル2の側面図である。
図9はハンドル2の遠位端の等角図である。
【0043】
図7〜
図9に示すように、ハンドル2は、その遠位端に調整つまみ10を備え、その近位端にハンドルグリップ12を備えている。
図7〜
図9から理解することができるように、一実施形態では、つまみ10は略円形断面を有し、ハンドルグリップ12は略楕円形断面を有している。一実施形態では、つまみ10およびハンドルグリップ12はともに略円形断面を有している。ハンドルグリップ12の楕円形断面は、医師に対してカテーテルの回転位置の触覚指示を与えるため有利である。
【0044】
ハンドル2の構成要素のより詳細な考察のために、ここで、
図9の切断線BBに沿って取り出されたハンドル2の縦断面図である
図10を参照する。
図10に示すように、ハンドルグリップ12とつまみ10の溝穴との間にOリング24が位置している。つまみ10は、つまみおよびハンドルグリップ12両方の溝穴内にある回転保持リング60を介してハンドルグリップ12に枢支取付されている。
【0045】
図10に示すように、カテーテル本体保持ナット36が、つまみ10の軸方向中心に沿って延在するワイヤガイド26の遠位端にねじ込み式に取り付けられている。
図10に示し、
図9における切断線BBに沿って取り出されたつまみ10の縦断面図である
図11により明確に示すように、円柱状穴またはシャフト60が、つまみ10内をつまみの長手方向軸に沿って貫通している。シャフト60の内周面は、つまみ10のハブ部分23からつまみ10の遠位端に向かって延在している右ねじ62および左ねじ64をともに有している。
図11に示すように、一実施形態では、つまみ10は、単一一体部品である。
【0046】
図10に示すように、右スライド30および左スライド32は、ハンドル2内でかつワイヤガイド26の近位端の周囲で長手方向に変位可能である。それぞれ、ワイヤガイド26の周囲で変位するスライド30、32の右側等角図およびワイヤガイド26の周囲で変位するスライド30、32の左側等角図である
図12および
図13に示すように、および、スライド30、32の左側等角図は、対向するスライド30、32のスライド面48に対して変位して通路40を形成し、スライド30、32がワイヤガイド26の周囲で変位する際に、ワイヤガイド26の近位端がその通路40を通過する。
図10に示すように、チャネル40によって形成される通路40はまた、(
図10において破線によって表されている)偏向ワイヤ38a、38bがスライド30、32の近位部分からワイヤガイド26を通ってカテーテル本体4の最遠位端14まで前方に移動する際の通路も提供する。
【0047】
図12および
図13に示すように、各スライド30、32は、半円柱状遠位部分46とそれより短くかつより幅の広い半円柱状近位部分47とを有している。右スライド30は、その遠位部分46に右ねじ56を有している。同様に、左スライド32は、その遠位部分46に左ねじ58を有している。したがって、
図10から理解することができるように、つまみ10がハンドルグリップ12に対して右回り方向に回転する時、つまみ10内の右ねじ62は右スライド30の右ねじ56に係合し、つまみ10内の左ねじ64は左スライド32の左ねじ56と係合する。結果として、右スライド30はハンドル2内で遠位方向に変位し、左スライド32はハンドル2内で近位方向に変位する。したがって、右スライド30に取り付けられた偏向ワイヤ38aは押され(すなわち圧縮力を受け)、左スライド32に取り付けられた偏向ワイヤ38bは引っ張られる(すなわち張力を受ける)。逆に、つまみが左回りに回転する場合、スライド30、32および偏向ワイヤ38a、38bの反対の変位が発生する。
【0048】
図10に示すように、各偏向ワイヤ38a、38bは、保持ねじ42を介してそのそれぞれのスライド30、32の近位部分47に取り付けられている。
図12および
図13により明確に示す保持ねじは、近位部分47にねじ込み式に取り付けられている。
【0049】
図12および
図13に示すように、スライド30、32の各半円柱状近位部分47は、それらのそれぞれの平面スライド面47に隣接して上部および下部平面切欠き64を有している。これらの切欠き64の機能を、
図14および
図15を参照することによって理解することができる。
【0050】
図14は、
図7の切断線CCに沿って取り出されたハンドルグリップ12の縦断面図である。
図15は、
図8の切断線DDに沿って取り出されたハンドルグリップ12の横断面図である。
図14および
図15に示すように、ハンドルグリップ12は、内部円柱状空隙66を有する1つの一体部品であり、内部円柱状空隙66内では、
図10に示すように、スライド30、32の近位部分47が変位することができる。
【0051】
図14および
図15に示すように、上部リブおよび下部リブ68が、内部円柱状空隙66を形成する壁から延在している。リブ68は、円柱状空隙の長さの実質的な部分に沿って長手方向に伸びている。
図12〜
図15から理解することができるように、スライド30、32の近位部分47における上部平面切欠き64は、スライド30、32が円柱状空隙66内で変位する際に、上部リブ68と相互に接し、それに沿って変位する。同様に、スライド30、32の近位部分47における下部平面切欠き64は、スライド30、32が円柱状空隙66内で変位する際に下部リブ68と相互に接し、それに沿って変位する。したがって、リブ68は、スライド30、32に対するスラスト面として作用する。
【0052】
図7〜
図15に示すハンドル2の別の実施形態の詳細な考察に対して、ここで
図16を参照する。
図16は、カテーテル5用の制御ハンドル2の遠位端の等角図であり、そこでは、ハンドル2およびカテーテル本体4は貫通内腔70を有している。
図16に示すように、一実施形態では、内腔70と電気コネクタ8まで延在する電気ワイヤチューブ6とが、ストレインリリーフ71を通過してハンドルグリップ12の近位端内に入っている。一実施形態では、内腔70はその近位端で止水せん72によって終端している。一実施形態では、止水せん72は、ガイドワイヤ挿入に利用することができる止血シール74を有している。内腔70の長い可撓性長は、
図16に示すように、シリンジから造影剤を挿入する間に動きの隔離を可能にするが、一実施形態では、内腔70はハンドルグリップ12から延在していない。代りに、止水せん72またはルアーフィッティングは、単に、ハンドルグリップ12の近位端から出る場所で内腔70に取り付けられている。
【0053】
内腔70の経路をより理解するために、ここで
図17、
図18および
図19を参照する。
図17は、スライド30、32、ワイヤガイド26、ワイヤ管6および内腔70の等角図であり、内腔70がハンドル2を通ってたどる経路を示す。
図18は、
図17の矢印Aから見た、スライド30、32の最近位端の立面図であり、内腔70およびワイヤ管6が、スライド30、32のチャネル40によって形成された通路40内までたどる経路を示す。
図19は、ハンドル2の遠位端におけるカテーテル本体保持ナット36から出る、ワイヤチューブ6の内腔70、偏向ワイヤ38a、38bおよび電気ワイヤ76の等角図である。
【0054】
図17および
図18に示すように、内腔70およびワイヤ管6は、それらのそれぞれのリリーフ71を通って、各スライド30、32のチャネル40によって形成された通路40内に入る。一実施形態では、ワイヤ管6および内腔70が通路40に入った後すぐに、ワイヤ管6のワイヤ76はワイヤ管6から出て、
図19に示すように内腔70の外周に分散される。
【0055】
図17に示すように、別の実施形態では、ワイヤチューブ6および内腔70が通路40に入った後、ワイヤチューブ6および内腔70は、並列構成で、スライド30、32内に形成された通路40の残り部分を通って、ワイヤガイド26の長手方向軸に沿って延在する内部通路内に入ることにより、カテーテル本体4の遠位端14までそれらの通路をたどり続ける。ワイヤガイド26の端部の近くで、ワイヤ76はワイヤチューブ6から出る。その後、ワイヤ76、内腔70および偏向ワイヤ38a、38bは、
図19に示すようにハンドルのカテーテル本体保持ナット36から出ることにより、カテーテル内に入る。
【0056】
ハンドル2の別の実施形態の詳細な考察のために、ここで、ハンドル2の等角図であってハンドルがそのさまざまな構成要素を示すように分解されている、
図20を参照する。
図20から理解することができるように、
図20に示すハンドル2の特徴は、比較的大きく概して直径が均一な通路を、ハンドル2の全長にわたって(すなわち、ワイヤガイド26の遠位開口部102から、スライド30、32に画定された通路40を通り、シャフト16の近位端の出口穴104を通って)延在させるように構成されている。
【0057】
図20に示すように、比較的大きく概して直径が均一な通路がハンドル2の長さにわたって貫通することができるようにするハンドル2の構成は、
図20の切断線ZZに沿って取り出された縦断面図である
図21により明確に示されている。
図21に示すように、一実施形態では、ワイヤガイド26を通る通路およびスライド30、32を通る通路40を含む通路100は、カテーテル本体4自体が通路100を通過し、出口穴104においてシャフト16の近位端に接続され得るように十分大きい。したがって、一実施形態では、カテーテル本体4が調整つまみ10とともに回転しないように、カテーテル本体4は、出口穴104においてシャフト16に取り付けられている。一実施形態では、カテーテル本体4は、本体4が遠位開口部102においてまたはその近くでワイヤガイド26に取り付けられることを除き、
図21に示すようにハンドル4の全長にわたって伸びている。他の実施形態では、カテーテル本体4は、遠位開口部102においてまたはその近くでワイヤガイド26にかつ出口穴104においてシャフト16にともに取り付けられている。
【0058】
図21から理解することができるように、かつスライド30、32の等角図であって、スライド30、32が通路40のそれらの部分およびそれらの平面スライド面48を示すように向けられている
図22において、より明確に示されているように、通路40は、ワイヤガイド26の外径の上で変位するように直径が十分大きい。
図21および
図22に示すように、カテーテル本体通路110は、各スライド30、32の近位部分44を通過し、それにより、スライド30、32がカテーテル本体4の外面の上で前後に変位することができるようにする。
【0059】
図21に示すように、一実施形態では、カテーテル本体4は、その壁に開口部111を有しており、開口部111により、ワイヤ38は本体4を出てスライド30、32に接続することができる。一実施形態では、上述したように、ワイヤ38は、張力調整ねじ54を介してスライド30、32に接続する。
【0060】
スライド30、32、ワイヤガイド26およびシャフト16の構成により、カテーテル本体4は、ハンドル2の全長にわたって断続なしに伸びることができる。その結果、電気配線76(
図19を参照)および内腔70を、本体4によりハンドル2の全長にわたって通すことができる。
【0061】
本発明のハンドル2の別の実施形態の詳細な考察のために、ここで
図23および
図24を参照する。
図23は、ハンドル2の等角図であって、ハンドル2がそのさまざまな構成要素を示すように分解されている。
図24は、
図23の切断線YYに沿って取り出されたハンドル2の縦断面図である。概して、
図23および
図24に示すハンドル2の特徴は
図20に示すハンドルの特徴と、2つの実施形態が異なるスライダ構成を採用することを除いて類似している。たとえば、
図1〜
図22に示す実施形態は、平行なスライドまたは部材30、32を採用している(すなわち、スライド30、32は、平行配置または並列配置でハンドル2内に存在している)。
図23および
図24ならびに以下の図面から理解されるように、
図23および
図24に示すハンドル2の実施形態では、スライドまたは部材150、152は、直列配置で調整つまみ10内に存在する(すなわち、スライド150、152は互いに平行または並列ではなく、ハンドル2の長手方向軸に沿って端と端が接するように向けられている)。
【0062】
図23および
図24に示すように、調整つまみ10は、取付シャフト(すなわち基礎部分)16の遠位端に枢支結合されている。ワイヤガイド26は、調整つまみ10および取付シャフト16の中心内に延在している。カテーテル本体4は、ワイヤガイド26の遠位端に結合され、一実施形態では、ワイヤガイド26を通って、取付シャフト16の近位端から出るように延在している。
【0063】
図23および
図24に示すように、遠位スライド150が、調整つまみ10の遠位端に位置し、近位スライド152が、調整つまみ10の近位部分(すなわちハブ部分23)に位置している。
図24に示すように、各スライド150、152の外面は、調整つまみ10の内面のねじ156と嵌合するねじ154を有している。
【0064】
図24に示すように、各偏向ワイヤ38a、38bは、ワイヤガイド26の側壁の穴157においてワイヤガイド26から出るまで、ワイヤガイド26の内部に沿って進む。そして、各偏向ワイヤ38a、38bは、それら偏向ワイヤ38a、38bが取り付けられているスライド150、152まで延在する。一実施形態では、スライド150、152に取り付けるために、偏向ワイヤ38a、38bは、スライド150、152の通路159を通過し、詳細な説明(発明を実施するための形態)において上述したように、結び目52を介して中空張力調整ねじ54に取り付けられる。
【0065】
ねじ154、156の向きをより理解するために、ここで
図25および
図16を参照する。
図25は、調整つまみ10が単独で示されていることを除き、
図24に示すものと同じ調整つまみ10の縦断面図である。
図26は、スライド150、152の側面図である。
【0066】
図25および
図26に示すように、一実施形態では、遠位スライド150は、調整つまみ10の遠位部分における右ねじ156と係合する右ねじ154を有し、近位スライド152は、調整つまみ10の近位部分における左ねじ156と係合する左ねじ154を有している。したがって、
図23〜
図26から理解することができるように、調整つまみ10が、ハンドル2の長手方向軸を中心に第1方向において取付シャフト16に対する時、スライド150、152はワイヤガイド26に沿って集まり、それにより、第1ワイヤ38が引張状態になり第2ワイヤ38が圧縮状態になる。その結果、カテーテル本体4の遠位端14が第1方向に偏向する。同様に、調整つまみ10が、第1方向とは反対の第2方向に回転する時、スライド150、152はワイヤガイド26に沿って集まり、それにより、第1ワイヤ38が圧縮状態になり、第2ワイヤ38が引張状態になる。その結果、カテーテル本体4の遠位端14は、第1方向とは概して反対の第2方向に偏向する。
【0067】
一実施形態では、調整つまみ10が回転する時に、スライド150、152がワイヤガイド26の周囲でまったく回転しないために、スライド150、152およびワイヤガイド26は、スライド150、152がワイヤガイド16に沿って変位するがそれを中心に回転可能に変位しないように構成されている。たとえば、
図24の切断線XXに沿って取り出されるようなハンドル2の横断面図である
図27Aに示すように、ワイヤガイド26は、スライド150、152の長さにわたって伸びている正方形穴162と嵌合する正方形断面を有している。正方形穴162とワイヤガイド26の正方形断面との間の相互作用により、スライド150、152がワイヤガイド26を中心に回転しないが、依然としてスライド150、152はワイヤガイド26の長さに沿って変位することができる。
【0068】
別の実施形態では、
図27Aに示すものと同じ横断面図である
図27Bに示すように、各スライド150、152は、円形断面を備えた穴162を有している。各穴162は、そのそれぞれのスライド150、152の長さにわたって伸び、穴162の内周面から穴162内に延在するキー160を備えている。キー160は、ワイヤガイド26の一実施形態の側面図である
図28に示すように、ワイヤガイド26の長さに沿って伸びる溝または溝穴158と係合する。キー160と溝穴158との間の相互作用により、スライド150、152は、ワイヤガイド26を中心に回転しないが、依然としてワイヤガイド26の長さに沿って変位することができる。
【0069】
図27Aおよび
図27Bに示すように、中空シャフト165がワイヤガイド26を通って延在している。これにより、
図24に示すように、内腔を有するカテーテル本体4は、ハンドル2を通って完全に延在することができる。
【0070】
図23に示す実施形態に類似するハンドル2の別の実施形態の詳細な考察に対して、ここで
図29および
図30を参照する。
図29は、
図23の切断線VVを通って取り出されるかのようなハンドル2の縦断面図であり、そこでは、切断線VVが、
図23において切断線YYによって形成された平面に対して垂直な平面を形成している。
【0071】
図29および
図30に示すように、ハンドル2は、取付シャフト(すなわち基礎部分)16の遠位端に枢支結合された調整つまみ10を備えている。一実施形態では、調整つまみ10は、近位端170と、遠位端172と、近位端170に接続され調整つまみ10の長手方向軸に沿って遠位方向に延在するねじ切りシャフト173とを備えている。ねじ切りシャフト173は、遠位端174と、近位端176と、シャフト173の遠位部分に沿った一連の右ねじ178と、シャフト173の近位部分に沿った一連の左ねじ180とを備えている。
【0072】
図29および
図30に示すように、遠位スライド150が調整つまみ10の遠位部分に位置し、近位スライド152が調整つまみ10の近位部分(すなわちハブ部分23)に位置している。各スライドは穴155を有し、ねじ切りシャフト173はその穴155を貫通している。遠位スライド150に対する穴155の内周は、シャフト173の遠位部分における右ねじ178と嵌合する右ねじを有している。同様に、近位スライド152のための穴155の内周面は、シャフト173の近位部分における左ねじ180と嵌合する左ねじを有している。他の実施形態では、左ねじおよび右ねじの位置は逆である。
【0073】
図29、
図30、およびワイヤガイド26の一実施形態の等角図である
図31から理解することができるように、中空中心シャフト182が、ワイヤガイド26の遠位端から、調整つまみ10のねじ切りシャフト173を通って、基部シャフト16の近位端まで延在している。したがって、一実施形態では、
図29および
図30に示すように、カテーテル本体4を、ワイヤガイドの中空中心シャフト182の内腔165に通して、ハンドル2の近位端から出るようにすることができる。
【0074】
図29に示すように、各偏向ワイヤ38a、38bは、ワイヤガイド26の側壁の穴157においてワイヤガイド26から出るまで、ワイヤガイド26の内部に沿って進む。そして、各偏向ワイヤ38a、38bは、それら偏向ワイヤ38a、38bが取り付けられているスライド150、152まで延在する。一実施形態では、スライド150、152に取り付けるために、偏向ワイヤ38a、38bは、スライド150、152の通路159内を通過し、詳細な説明において上述したように結び目52を介して中空張力調整ねじ54に取り付けられている。
【0075】
一実施形態では、
図29に示すように、近位スライド152に至る偏向ワイヤ38bは、遠位スライド150において第2通路161を通過する。第2通路161は、遠位スライド150が遠位方向にかつ近位方向に変位する時に、ワイヤ38bに沿って容易に変位することができるように十分な隙間を有している。第2通路161は、ワイヤ38bを補強し、かつワイヤ38bが圧縮された時に曲がる可能性を低減するのに役立つ、ガイドとしての役割を果たす。
【0076】
図29および
図30から理解することができるように、調整つまみ10が、ハンドル2の長手方向を中心に第1方向において取付シャフト16に対して回転する時、スライド150、152はねじ切りシャフト173に沿って集まり、それにより、第1ワイヤ38aが引張状態になり、第2ワイヤ38bが圧縮状態になる。その結果、カテーテル本体4の遠位端14は第1方向に偏向する。同様に、調整つまみ10が、第1方向とは反対の第2方向に回転する時、スライド150、152はねじ切りシャフト173に沿って集まり、それにより、第1ワイヤ38aが圧縮状態になり、第2ワイヤ38bが引張状態になる。その結果、カテーテル本体4の遠位端14は、第1方向とは概して反対の第2方向に偏向する。
【0077】
一実施形態では、調整つまみ10が回転する時に、スライド150、152が調整つまみ10内のねじ切りシャフト173とともにまったく回転しないように、スライド150、152およびワイヤガイド26は、スライド150、152がねじ切りシャフト173に沿って変位するが、調整つまみ10内で回転するように変位しないように構成されている。たとえば、
図31と、
図29における切断線WWに沿って取り出されるようなハンドル2の横断面図である
図32とに示すように、ワイヤガイド26は、互いに対向しかつワイヤガイド26の中空中心シャフト182の長さに沿って延在する、右半部分および左半円部分190を有している。
図32に示すように、半円部分190の略平面対向面192は、スライド150、152の略平面側面194に当接している。この相互作用により、つまみ10が回転する時にスライド150、152が調整つまみ10内で回転するのが防止されるが、スライド150、152は依然として、ねじ切りシャフト173の長さに沿って変位することができる。
【0078】
別の実施形態では、ハンドル2は、使用者が、第1調整つまみ10aを、ハンドル2の長手方向軸を中心に一方の方向または他方の方向においてハンドルグリップ12に対して枢動させることにより、内腔が内部に完全に延在しているカテーテル本体4の最遠位端14を双方向に操作することを可能にし、かつ、使用者が、第2調整つまみ10bを、長手方向軸を中心にハンドルグリップ12に対して枢動させることにより、カテーテル本体4の内腔内に配置された器具カテーテル196を回転させることを可能にする。明確にするために、器具カテーテル196を超音波カテーテルと呼ぶが、器具カテーテル196は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、アブレーションカテーテル等の治療用カテーテル、または別のタイプの診断用カテーテルでもあり得る。超音波カテーテル196は、カテーテル本体4の内腔内に同軸関係で配置され、カテーテル5の双方向操作により超音波カテーテル196内に対応する偏向がもたらされるのを可能にする。このように、カテーテル5は、超音波カテーテル196用の案内カテーテルとして作用し、使用者が、案内カテーテル5を偏向させることによって超音波カテーテル196を操縦することができるようにする。
【0079】
ここで
図36〜
図40を参照すると、調整つまみ10aは、ハンドルグリップ12内に収容されている取付シャフト16に枢支取付されている。調整つまみ10aは、ダウエルピン18により取付シャフト16に取り付けられており、ダウエルピン18は、つまみ10aのハブ部分23の溝22と嵌合するシャフト16の遠位端におけるピンホール20a内に挿入されている。溝22により、調整つまみ10aは取付シャフト16の長手方向軸を中心に自由に枢動することができるが、溝22の壁とダウエルピン18との間の接触が、調整つまみ10aが取付シャフト16の長手方向軸に沿って軸方向に移動するのを妨げる。取付シャフト16の溝穴34内に、右スライド30および左スライド32が配置されている。
【0080】
ここで
図36および
図37を参照すると、スライド30、32は、略矩形ボックス状近位部分44および半円柱状遠位部分46を有している。各近位部分44は、溝穴34の壁と接触する略平面側部を有している。
【0081】
各スライド30、32は、遠位部分46から近位部分44まで延在する平面48を有し、平面48は、対向するスライド30、32の平面48に摺動可能に当接するように意図されている。各スライド30、32の平面48は、その長手方向軸に沿ってくり抜かれることにより通路40を形成し、案内カテーテル5およびその偏向ワイヤ38a、38bは超音波カテーテル196とともにその通路40を通過する。スライド30、32の近位部分44は溝穴198を有し、そこを偏向ワイヤ38a、38bが通過する。偏向ワイヤ38a、38bは、穴200内に挿入されるダウエルピン(図示せず)を用いて溝穴198内に保持され、偏向ワイヤ38a、38bは、たとえば偏向ワイヤ38a、38bにはんだ付けすることによって取り付けられるワイヤロックナット(図示せず)によって、軸方向に制約されている。左スライド32の近位部分は切欠き204を含み、その切欠き204により、駆動シャフト206が、溝穴34の近位端から遠位方向に第2調整つまみ10bまで延在することができる。代替実施形態では、右スライド30は、駆動シャフト206が溝穴34の近位端から遠位方向に第2調整つまみ10bまで延在するのを可能にする切欠き204を含むことができる。
【0082】
右スライド30の遠位部分46の外周には右ねじ56がねじ切りされ、左スライド32の半円柱状遠位部分46の外周には左ねじ58がねじ切りされている。別の実施形態では、右スライドの半円柱状遠位部分46の外周には左ねじ58がねじ切りされ、左スライド32の半円柱状遠位部分46の外周には右ねじがねじ切りされている。ハンドル2に組み立てられると、スライド30、32の各々の平面48は当接しかつ円柱を形成し、円柱は、円柱の外面の一方の半分に右ねじ56を有し、円柱の外面の他方の半分に左ねじ58を有している。
【0083】
ここで
図36〜
図39を参照して、調整つまみ10aに対するスライド30、32関係について説明する。調整つまみ10aは、ハブ23の近位端から調整つまみ10aの遠位端まで延在するシャフト60を含み、そのシャフト60内を、案内カテーテル5および超音波カテーテル196が通過する。シャフト60の一部には右雌ねじがねじ切りされており、シャフト60の同じ部分にはまた、左雌ねじ(図示せず)がねじ切りされている。シャフト60の雌ねじは、スライド30、32のねじ56、58と係合する。したがって、調整つまみ10aが回転する時、右雌ねじおよび右雄ねじ56が係合し、雌ねじおよび雄ねじ58は係合して、溝穴34内において長手方向に右スライド30および左スライド32を同時に対向して変位させる。スライド30、32の各々の近位部分44は、スライド30、32が調整つまみ10aとともに回転しないように溝穴34と係合する。
【0084】
調整つまみ10aの枢動を通してスライド30、32が両方向に移動することにより、偏向ワイヤ38a、38bが引張状態または圧縮状態になる。たとえば、調整つまみ10aの枢動に応じて右スライド30が近位方向に配置された時、右スライド30に取り付けられた偏向ワイヤ38aは近位方向に引っ張られ、ワイヤ38aが引張状態になる。同時に、左スライド32は調整つまみ10aの枢動に応じて遠位方向に配置され、左スライド32に取り付けられた偏向ワイヤ38bが遠位方向に押されて、ワイヤ38bが圧縮状態になる。調整つまみ10aが反対方向に枢動すると、右スライド30が遠位方向に配置されて偏向ワイヤ38aを圧縮状態にし、左スライド32が同時に近位方向に配置されて偏向ワイヤ38bを引張状態にする。
【0085】
調整つまみ10aを第1方向に枢動させることにより偏向ワイヤ38aを引張状態にして偏向ワイヤ38bを圧縮状態にすることにより、案内カテーテル5の最遠位端14が第1方向に偏向する。逆に、調整つまみ10aを第2方向に枢動させることにより偏向ワイヤ38aを圧縮状態、偏向ワイヤ38bを引張状態にすることにより、案内カテーテル5の最遠位端が第2方向に偏向する。案内カテーテル5は、近位方向に調整つまみ10aのシャフト60を通り、スライド30、32の通路40を通って延在し、保持ナット36を有する近位端において終端する。保持ナット36は、歯車アセンブリ208の遠位面に当接し、保持ナット36と歯車アセンブリ208との間に止血シールを提供する。案内カテーテル5は、ピローブロック210によって取付シャフト16内で制約される。一実施形態では、案内カテーテル5の保持ナット36はフレア状になっており、それにより、カテーテル本体4の外径より大きい外径を有している。ピローブロック210を、フレア状保持ナット36に嵌合するように構成された内面を有するように構成することができる。代替実施形態では、保持ナット36は、案内カテーテル5の長手方向軸に対して垂直に延在する環状リングを有することができ、それは、ピローブロック210に当接して、歯車アセンブリ208に対して案内カテーテル5を制約する。ピローブロック210は、ピンホール20b、20c内に挿入されたダウエルピン18により取付シャフト16に取り付けられる。
【0086】
案内カテーテル5の保持ナット36を、灌注内腔を受け入れるように構成することができる。灌注内腔212により、使用者は案内カテーテル5内に灌注流体を導入することができ、それにより、血液等の体液が案内カテーテル5の内腔70に入らない。灌注内腔212を通して送達される灌流流体は、超音波カテーテル196と案内カテーテル5の内壁との間に潤滑を提供する。
【0087】
超音波カテーテル196は、遠位端214と、内部に内腔が延在していることが可能な可撓性管状本体216と、近位端218とを有している。遠位端214は、後にさらに詳細に説明する超音波素子220を有している。超音波本体216は、遠位端214から案内カテーテル5の内腔内の歯車アセンブリ208まで延在している。超音波本体216は、案内カテーテル5に直接接続されておらず、内腔内で自由に回転することができる。超音波本体216は、案内カテーテル5からその保持ナット36を通って出て、止血チューブ222内に延在している。止血チューブ222の遠位端は、歯車アセンブリ208の遠位面と実質的に同一平面上であり、歯車アセンブリ208を通って近位方向に延在してハンドルグリップ12の近位端においてハンドルグリップ12から出る。止血チューブ222は、歯車アセンブリ208内の位置決め歯車224を貫通しかつそれに固定取付され、それにより、止血チューブ222は位置決め歯車224とともに回転する。したがって、カテーテル5の内腔および止血チューブ222は、カテーテル5の遠位チップ14からハンドル2の近位端まで延在する連続した内腔70をもたらす。
【0088】
止血チューブ222内を通る超音波本体196の部分は、にかわまたはエポキシ樹脂等の接着剤を使用して、止血チューブの内面を超音波本体216の外面に接合することにより、止血チューブ222に固定取付される。超音波本体216と止血チューブ222との間の接合により、超音波本体、したがって超音波素子220が、位置決め歯車224が回転する時に案内カテーテル5の内腔内で回転する。接合はまた、案内カテーテル5の内腔内に導入される灌注流体が止血チューブ222を通ってハンドル2から漏出しないようにする止血シールも提供する。
【0089】
第2調整つまみ10bと超音波素子196の回転との間の関係のより詳細な考察のために、ここで
図38〜
図40を参照する。第2調整つまみ10bは、第1調整つまみ10aの近位にかつハンドルグリップ12の遠位に配置され、それにより、ハンドル2の長手方向軸に沿って制約されている。第2調整つまみ10bは、ハンドル2内に収容された減速歯車228と係合するように配置された内歯車226を収容している。減速歯車228は、歯車アセンブリ208から出て第2調整つまみ10bまで遠位方向に延在する駆動シャフト206の遠位端に取り付けられている。駆動シャフト206の遠位端は、取付シャフト16の切欠き230内に支持されて、長い片持ち梁部材で発生する可能性がある好ましくない曲げなしに、内歯車226からのトルクを減速歯車228に伝達されるのを可能にする。第2調整つまみ10bがハンドル2の長手方向軸を中心に枢動する際、内歯車226は減速歯車228と係合し、駆動シャフト206を回転させる。駆動シャフト206の近位端は、歯車アセンブリ208の遠位面を通って延在し、歯車アセンブリ208内の駆動歯車232に固定取付されている。歯車アセンブリ208は、駆動歯車232からのトルクを位置決め歯車224まで伝達するように配置された1つまたは複数の比歯車234を収容し、それにより、第2調整つまみ10bがハンドル2の長手方向軸を中心に枢動した時に位置決め歯車が回転する。
【0090】
一実施形態では、比歯車234は、内歯車226に取り付けられた第2調整つまみ10bの回転と位置決め歯車224および取り付けられた超音波カテーテル196の回転との間に1:1歯車比を提供するように選択される。比歯車234の数およびタイプにより、超音波カテーテル196を、第2調整つまみ10bが枢動するのと同じ方向に回転させることができる。たとえば、第2調整つまみ10bを調整することが左回り方向に枢動する時、比歯車234により、位置決め歯車224を左回り方向に回転させることにより、超音波カテーテル196を左回り方向に回転させなければならない。また、第2調整つまみ10bが右回り方向に枢動する時、比歯車により、位置決め歯車224を右回り方向に回転させることにより、超音波カテーテル196を右回り方向に回転させるべきである。超音波カテーテル196およびつまみ10bの両方が同じ方向に回転するのを確実にすることにより、使用者が超音波カテーテル196を直観的に制御することができる。
【0091】
第2調整つまみ10bと超音波カテーテル196との間の回転移動の1:1の比により、使用者は、カテーテルが患者内に配置された時に超音波素子220の向きをより容易に映像化することができる。1:1比が使用される場合、超音波素子220と位置合せされる、調整つまみ10bの隆起バンプまたは他の触覚特徴を、その触覚特徴が超音波素子220によって放出される超音波面内にあるように用いることにより、超音波素子220の対面を使用者にさらに指示することができる。触覚特徴により、使用者は、調整つまみ10bを把持している時の触覚特徴の感覚により、超音波素子220の向きを確認することができる。
【0092】
歯車アセンブリ208は、取付シャフト16の溝穴34内に配置される矩形部分236を有している。矩形部分236は、溝穴34の側部と係合し、それにより、歯車アセンブリ208を制約し、歯車アセンブリ208が取付シャフト16に対して回転しないようにする。歯車アセンブリ208はまた、溝穴34の上方に延在する弓状部分238も有している。取付シャフト16の半径と実質的に同じである弓状部分238の半径、および外側弓状面240が取付シャフト16の外面と同一平面であるように、概して溝穴34の上方に延在している弓状部分238。弓状部分238を溝穴34の上方に延在させることにより、駆動シャフト206は、案内カテーテル5およびピローブロック210との接触を回避する。
【0093】
この実施形態は、使用者が、第1調整つまみを用いて案内カテーテルの遠位端を操作するために使用したのと同じ手を用いて、第2調整つまみを使用して超音波素子220の回転対面を調整することができるという点で有利である。したがって、案内カテーテルに対して超音波カテーテルを回転させるために使用される超音波カテーテルに取り付けられた別個のハンドルが不要になる。
【0094】
別の実施形態では、
図41〜
図43に示すように、単一調整つまみ10および貫通内腔を有するハンドル2を、上述したように、診断用超音波カテーテル196と使用することができる。この実施形態では、超音波カテーテル196は、可撓性本体216の近位端218に取り付けられたハンドル242をさらに備えている。
【0095】
超音波カテーテル196の可撓性本体216は、案内カテーテル5の内腔を通して同軸構成で摺動可能に配置されている。一実施形態では、超音波カテーテル196および案内カテーテル5両方ならびにハンドル2はともに操縦可能でありかつ/または偏向可能である。この実施形態では、超音波カテーテル196および案内カテーテル5は、超音波カテーテル196の可撓性本体216および案内カテーテル5の可撓性本体4それぞれの中に1つまたは複数の操縦ワイヤまたはプルファイヤ(図示せず)を有している。超音波カテーテル196のハンドル242および案内カテーテル5のハンドル2は、カテーテルを操縦しかつ/または偏向させるアクチュエータを備えている。
【0096】
別の実施形態では、ハンドル2、242はサイズおよび/または形状が異なり、それにより、医師が医療手技中に一方のハンドルを他方のハンドルと容易に識別することができる。さらなる実施形態では、ハンドル2、242は触感的に一意であり、それは、ハンドルが各々他方のハンドルに対して異なる感覚または触感を有することを意味する。たとえば、一方のハンドルが軟質面またはスポンジ状面を有することができ、他方のハンドルは硬質面または剛性面を有することができる。別法として、一方のハンドルは、他方のハンドルの粗い面または凹凸面に比較して平滑な面を有することができる。超音波カテーテル196のハンドル242および案内カテーテル5のハンドル2が、サイズ、形状および/または触感が異なることにより、医師が、医療手技中に、案内カテーテル5を制御するためのハンドルに対して、超音波カテーテル196を制御するためのハンドルを容易にかつ迅速に特定し識別することができるようにするシステムを提供することが有利である。たとえば、ハンドル2は、上述した完全なサイズのハンドルの実施形態であり得るが、ハンドル242は、単に、案内カテーテル5内部で超音波カテーテルを回転させるように把持されるつまみであり得る。
【0097】
図41〜
図43を参照すると、超音波カテーテル196は、案内カテーテル5のハンドル2および案内カテーテル5の内腔の両方と同軸関係で構成されている。案内カテーテル5のハンドル2を、案内カテーテル5を操縦しかつ/または偏向させて、超音波カテーテルの遠位端307を標的解剖学的構造上にファン312を集束させるように操作することができる。超音波カテーテル196のハンドル242を、超音波カテーテル196を操縦しかつ/または偏向させるように操作することも可能である。案内カテーテル5は、超音波カテーテル196の遠位部分214を所望の解剖学的領域に送達する通路を提供する。案内カテーテル5はまた、有利には、案内カテーテルの内腔内に超音波カテーテル196を制約して、超音波素子220を標的解剖学的構造に向かうように適切に向けることができる。より詳細には、超音波カテーテル196の遠位部分214は、遠位部分214が案内カテーテル5の遠位端14を超えて延在するまで遠位方向に前進する。一実施形態では、超音波カテーテル196の遠位部分214は、案内カテーテル5の遠位端14を約5cmから約15cm越えて前進する。
【0098】
別法として、超音波カテーテル196を、「事前に前進させた」状態で提供することができ、それにより、遠位部分214は遠位端14の外側にすでに前進して提供される。これにより、有利に、超音波カテーテル196のシャフトに対し、その中間部分において、本来超音波素子220のために遠位部分214に対して必要であるより、外径を小さくすることができる。これにより、案内カテーテル5は、より小さい内腔を有し、それにより、より小さい外径を有することができる。事前に前進した状態の超音波カテーテル196を、上述したように、第2調整つまみ10bを有するハンドル2の実施形態と使用することができ、それは、超音波カテーテル196と止血チューブ222との間の接合により、超音波カテーテルのハンドル2に対する軸方向移動が防止されるためである。
【0099】
超音波カテーテル196のハンドル242を、ハンドル2に対して回転させることができ、それにより、超音波カテーテル196の遠位部分214がまた、案内カテーテル5の内腔内で軸方向に回転する。したがって、案内カテーテル5により、使用者は、調整つまみ10を用いて遠位端14を偏向させることによって超音波カテーテル196を所望の部位まで操縦することができ、案内カテーテル5はまた有利に、映像化される組織に関連して超音波素子220の超音波ファン244を適切に向けるのに役立つ。
【0100】
上記操縦要素の組合せは、特に超音波ファン244を標的解剖学的構造に向けるために、一意に有利である。特に、超音波カテーテル用の従来技術によるアクチュエータでは、オペレータは、カテーテルの遠位端を、カテーテルを関連する解剖学的構造内にまたはその近くまで移動させる方向に曲げて、単に、案内カテーテルが適所にある間に超音波ファンが標的解剖学的構造に向けられていないことを見つけることしかできない。オペレータは、ファンを適切な方向に向けるためにカテーテル全体を回転させるかまたはねじらなければならない。当然ながら、曲がったカテーテルが回転すると、その曲げにより、カテーテルは、それ以上正しく向けられないため、適所から完全に移動する。2D超音波ファンの幅の狭い特徴のために、オペレータは、適切な向きを見つけるために連続的に繰返し曲げかつねじることになる可能性があり、それには、適度な時間で作業を達成するために相当の技能および経験が必要である。場合によっては、カテーテルは、所望の位置にまったく達することができない。対照的に、本発明では、案内カテーテル5は適切な曲げを提供するように駆動される。ファン244が適切に向けられていない場合、オペレータは、単にハンドル242を把持し、それをねじり、または他の実施形態では、第2調整つまみ10bを枢動させる。案内カテーテル5が超音波カテーテル196とともに回転しないため、曲げは移動せず、ファンの向きのみが変化する。したがって、ファンは、標的解剖学的構造に向かって極めて容易に向けられる。本発明者らは、これらの2つのハンドル/アクチュエータが意外な方法で結合して、超音波ファン244の容易かつ直観的な操作を可能にすることが分かった。
【0101】
実施形態では、超音波カテーテル196の超音波素子220は、超音波素子の線形フェーズドアレイ、たとえば64の素子を含むことができる。レンズ246が、超音波素子を覆うことができ、レンズ246は丸いかまたは平坦であり得る。レンズ246を、音を、血液中の音の速度と一致する速度で伝達する材料から作製することができる。超音波素子220は、超音波システムに動作可能に結合されている。
図41および
図43を参照すると、超音波素子220は、超音波本体216の遠位端214に取り付けられるハウジングに取り付けられている。
【0102】
別の実施形態では、超音波カテーテル169は、場合によっては線形フェーズドアレイトランスデューサを利用することができる、高周波(RF)超音波素子またはHIFU超音波素子とも呼ばれる高密度焦点式超音波素子等の超音波素子220を含むことができる。RF超音波素子は、一実施形態では上述したように凹状面を有する導電性金属である。金属は、金、銀、白金、イリジウム、チタン、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、ハフニウム、アルミニウム、シリコーン、錫、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ベリリウム、コバルト、ニッケル、パラジウム、オスミウム、レニウム、テクネチウム、ロジウム、ルテニウム、カドミウム、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、ホウ素、スカンジウムならびにランタン系列およびアクチニド系列の金属のうちの1つまたは複数からなる、任意の導電性金属または金属合金、または他の任意の生体適合性材料であり得る。いくつかの実施形態では、導電性金属を覆う生体適合性材料の層を含むことが望ましい場合がある。別の実施形態では、超音波カテーテル196は、マイクロ波送信機、極低温素子、光学素子、または音響トランスデューサ、たとえば高密度焦点式超音波トランスデューサ等、アブレーション病巣を形成するのに適している他のタイプの超音波素子を組み込むことができる。
【0103】
本明細書に記載し図示した超音波カテーテルは双方向である。言い換えれば、診断撮像の成功は、標的組織に対する超音波素子220の適切な向きによって決まる。
【0104】
一実施形態では、案内カテーテル5、超音波カテーテル196または両方は、可撓性本体4、216に結合された1つまたは複数の電極248を備えることができる。別法として、可撓性本体4、126は、磁気トラッキングコイル(図示せず)を備えることができる。電極248または磁気トラッキングコイルを、電気解剖学的マッピングシステムとともに使用して、案内カテーテルまたは超音波カテーテルに対する位置情報を提供することができる。好適なシステムとしては、St.Jude Medical Ensite(商標)Electroanatomical Modeling System、Biosense Webster Carto(商標)System、X線透視法システム、gMPSシステム形態Mediguide Ltd.等の磁気位置特定システムが挙げられる。同様に、可撓性本体4、216は、X線透視法システムにおける追跡用の1つまたは複数の放射線不透過性部分を含むことができる。上述したように、こうしたシステムとしては、St.Jude Medical,Inc.から市販されており、かつ、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる「Method and Apparatus for Catheter Navigation and location and Mapping in the Heart」と題する本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許第7,263,397号明細書を参照して概略的に示されているような、EnSite NavX(商標)システムが挙げられる。代替システムとしては、Biosense Webster Carto(商標)システム、市販のX線透視法システム、またはMediguide Ltd.のgMPSシステム等、かつ開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Medical Imaging and Navigation System」と題する米国特許第7,386,339号明細書を参照して概略的に示されるような、磁気位置特定システムが挙げられる。
【0105】
さらなる実施形態では、超音波カテーテル196の遠位端を、方向付けし位置を特定するのに役立つように、超音波カテーテル196は、超音波本体216の遠位部分214に配置された1つまたは複数の電極250を備えることができる(たとえば
図39を参照)。電極250を、超音波素子220によって放出されるファン244が標的解剖学的構造に面しているかまたは向けられているのを確実にするように、超音波カテーテル196を向けるために有利に使用することができる。特定の構成では、電極250は、組織の表面に存在する電気的活動を測定するように適合された単極または双極電位図(EGM)電極であり得る。たとえば、一実施形態では、遠位端214の外面に一対の双極電極250が配置され、その対の電極は、超音波素子220の両側に配置されている。別の実施形態では、2つの対の双極電極250が使用される。電極250は、超音波カテーテル196の細長い本体の中心軸に対して略垂直な横方向において超音波素子220の両側に配置されている。別法として、または上記に加えて、電極250の双極対を、カテーテル本体の中心軸に対して略平行な横方向において、超音波素子220の両側に配置することができる。一実施形態では、電極250の側部に接触する可能性がある組織のペーシングおよび/または検知を防止するように、電極の側部が生体適合性材料で覆われている。
【0106】
電極250を、EGM測定回路とEGMデータを表示するディスプレイまたはユーザインタフェースとに結合することができる。電極250を、たとえば診断の目的で使用して、有効な病巣が生成されたことを確認することができる。この実施形態では、電極250は、インピーダンス測定回路に結合される。アブレーション病巣は非導電性瘢痕組織であり、したがって、病巣は電気信号を遮蔽する。インピーダンスが抵抗を測定するため、アブレーション病巣の有効性を、インピーダンス測定値に基づいて確定することができる。インピーダンスを、組織に対してアブレーションエネルギーを与える前に、その間に、またはその後に測定することができる。開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「System and method for assessing lesions in tissue」と題する、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/622,488号明細書に概略的に示されているように、有効な病巣が生成された場合、インピーダンスは、アブレーション前インピーダンス測定値に比較してアブレーション後に高くなる。同様に、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Sytem and method for assessing coupling between an electrode and tissue」と題する、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/650,060号明細書に概略的に示されているように、電極250を用いてカテーテルの組織に対する近接性を確定することができる。
【0107】
別の実施形態では、超音波カテーテル196は、超音波本体216の遠位部分307に配置された、サーミスタまたは熱電対等の1つまたは複数の温度センサ(図示せず)を備えている。1つまたは複数の温度センサは、超音波素子220および/または組織の温度を測定するように配置される。一実施形態では、温度センサは、超音波素子220の遠位にかつ/または近位に配置される。1つまたは複数の温度センサからの温度読取値を、使用者に対して(電極の状態に関して上述したものと類似する)報告データとして出力し提示することができる。たとえば、温度読取値を、表示(たとえば、色、数または記号)、音(たとえば可聴警報)および/または触覚あるいは振動フィードバックを介して提示することができる。さらに、温度データを、病巣評価に役立つように使用することができる。
【0108】
別の実施形態では、
図44および
図45に示すように、プルワイヤ38a、38bおよびフラットワイヤ252が、フラットワイヤ252の長手方向軸に対して直交して取り出される略矩形断面を有する場合、案内カテーテル5の直径を低減することができる。フラットワイヤ252は、好ましくはステンレス鋼から構成されているが、従来のラウンドプルワイヤで使用される代替材料もまた適している。フラットワイヤ252は、好ましくは、寸法が約0.002インチ×約0.006インチであり、より好ましくは約0.004インチ×0.012インチである。フラットワイヤ252により、案内カテーテル5の外径を低減することができ、それは、シースをより小さい体腔内で使用すること可能にするという点で有益である。フラットワイヤを含む例示的な案内カテーテルは、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「Steerable Catheter Using Flat Pull Wires and Method of Making Same」と題する米国特許出願第11/647,313号明細書に記載されている。
【0109】
さらに別の実施形態では、案内カテーテル5は、案内カテーテル5を強化するために編組ワイヤアセンブリ254を含むことができる。編組ワイヤアセンブリ254を、たとえば0.003インチ高張力ステンレス鋼ワイヤを含むステンレス鋼ワイヤから形成することができる。編組ワイヤアセンブリ254を、標準編組パターンおよび密度、たとえば約45ピック/インチ(picks per inch)(「PPI」)から約60PPIの密度で約16本のワイヤで形成することができる。別法として、変化する編組密度によって特徴付けられる編組を使用することができる。たとえば、編組ワイヤアセンブリ254を、カテーテル5の近位端における第1編組密度、および、その後、編組ワイヤアセンブリ254が案内カテーテル5の遠位端14に近づくに従い1つまたは複数の異なる編組密度に遷移することによって特徴付けることができる。遠位端14の編組密度は、保持ナット36における編組密度より大きいかまたは小さいことが可能である。一例では、保持ナット36における編組密度は約50PPIであり、遠位端14における編組密度は約10PPIである。他の実施形態では、遠位端14における編組密度は、保持ナット36における編組密度の約20%から約35%である。
【0110】
編組ワイヤアセンブリ254を、1つの編組密度で開始してより低い編組密度まで遷移する遷移型編組密度を有するように設計することができる。一実施形態では、編組は、約50PPIから60PPI、より好ましくは約50PPIと55PPIとの間の編組密度で開始して、その後、遠位端14における約5PPIから約15PPIの編組密度まで遷移することができる。編組密度は低速に遷移することができ、または1つあるいは複数のセグメントを用いて変化することができる。たとえば、編組密度が約30PPIから約45PPIである中間ゾーンがあり得る。編組ワイヤアセンブリ254の編組密度の変動を用いて、案内カテーテル5の可撓性を増大または低減させ、編組密度が低減した部分における案内カテーテル5の全体的な直径を低減することができる。編組ワイヤアセンブリを含む例示的な案内カテーテルは、全体として参照により開示内容が本明細書に組み込まれる、「Steerable Catheter Using Flat Pull Wires and Method of Making Same」と題する米国特許出願第11/647,313号明細書に記載されている。
【0111】
患者300に対する手術手技で採用されている主題発明の制御ハンドル2の概略図である
図46から理解することができるように、案内カテーテル本体4の遠位端14が患者300内に(たとえば、患者300の体腔302を介して静脈内に、経皮的に、または患者の体内に入る他の手段を介して)挿入される。カテーテル本体4の遠位端14は、患者300内の選択された位置(たとえば、患者の心臓306または他の器官の腔304内、患者の体腔で等)に配置されるまで前進する。そして、カテーテル本体4の遠位端14は、調整つまみ10、10aをハンドル2の長手方向軸を中心に回転させることによって偏向する。
図1〜
図44から理解することができるように、これにより、ハンドル2内のスライド30、32が、長手方向軸に沿って反対方向に変位する。各スライド30、32がそのそれぞれの偏向ワイヤ38に結合されており、各偏向ワイヤが案内カテーテル本体4を通って伸び、遠位端14に結合されているため、カテーテル本体4の遠位端14は偏向する。そして、超音波カテーテル196を案内カテーテル5に対して回転させることにより、超音波ファン244の向きを調整することができる。超音波調整を、一実施形態では、調整つまみ10bをハンドル2の長手方向軸を中心に、好ましい実施形態では、案内カテーテル5の遠位端14の長手方向軸を中心とする超音波ファンの1:1角度回転まで回転させることによって達成することができる。別の実施形態では、超音波調整を、ハンドル242をハンドル2に対して回転させて超音波カテーテル196を案内カテーテル5の内腔内で回転させることによって達成することができる。両実施形態において、超音波ファン244の向きの調整を、案内カテーテル5の遠位端14の偏向を変化させることなく達成することができる。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態は、上記においてある程度の詳細を伴い説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に数多くの変更を加えることが可能であろう。例えば、結合に関する参照(例えば、取り付けられる、連結される、接続される等)は広義に解釈されるべきであり、要素の接続間の中間的構成物及び要素間の相対的な移動を含み得る。従って、結合に関する参照は、必ずしも2つの要素が直接接続されていて、互いに固定的な関係にあることを含意するとは限らない。上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される事項は全て、限定ではなく、あくまでも例示として解釈されるものとすることが意図される。添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細又は構造に変更が加えられ得る。