(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698876
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】冶金容器の耐火性ライニングのためのラミング系不定形耐火物、その設置方法、および該ラミング系不定形耐火物を用いるライニングから成る冶金用容器、特に溶鉱炉
(51)【国際特許分類】
C04B 35/66 20060101AFI20150319BHJP
C21B 7/06 20060101ALI20150319BHJP
F27D 1/06 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
C04B35/66 S
C21B7/06
C21B7/06 301
F27D1/06
C04B35/66 M
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-528960(P2014-528960)
(86)(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公表番号】特表2014-530161(P2014-530161A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012067344
(87)【国際公開番号】WO2013034605
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】91868
(32)【優先日】2011年9月9日
(33)【優先権主張国】LU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】ピレ,ジャック
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−082704(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00500061(EP,A1)
【文献】
独国特許出願公告第01236392(DE,B1)
【文献】
特開平03−045575(JP,A)
【文献】
特開2002−121080(JP,A)
【文献】
特開2006−037126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00〜35/84
C21B 7/06
F27D 1/06
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冶金容器の耐火性ライニングの耐火性エレメントをブロックライニングするにあたってホットジョイントを製造するためのラミングマスとしての、粒状相およびバインダー相の混合物の使用であって、前記粒状相は、細孔構造を有する炭素または炭素系粒子を必須として含み、更に、前記バインダーは、タール系または重合性樹脂系の成分を少なくとも1つ含有し、且つ、硬化タールまたは重合材料の孔を横切るように生じるウィスカーを形成することによって、高温焼成の際に2μm以下の平均細孔径を有する細孔構造を生じさせることができる、金属シリコンパウダーのみからなる添加剤を含有することを特徴とする。
【請求項2】
請求項1記載の使用において、前記バインダーが、微細グラファイト粒子を含有する。
【請求項3】
請求項1又は2記載の使用において、前記バインダーが、液状鉄による浸食を防ぐための剤を含有する。
【請求項4】
請求項1記載の使用において、前記粒状相が、2μm以下の平均細孔径を有する細孔構造を有する炭素または炭素系粒子を必須として含有する。
【請求項5】
請求項4に記載の使用において、前記細孔性材料粒状相が、細孔性耐火ブロック、細孔耐火ブロックの裁断により生じる廃棄物、または使用済みの細孔性炭素ブロックを粉砕することによって得られるものである。
【請求項6】
冶金容器の耐火性ライニングの耐火性エレメント(2、3、4)の間のホットジョイントの製造方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載のラミングマスが使用されており、前記バインダーが、該ラミングマスの設置後の、冶金容器の温度上昇に起因する焼成によって細孔構造にされていることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
2つの同心円状部品(3、4)の間のジョイント(5)を製造するために用いられる製造方法であって、前記同心円状部品(3、4)は、前記容器の側壁を形成し、且つ、その間の、前記ジョイントによって埋められる環状間隙を画定する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記容器の側壁を作る内側環状部品(4)の下方部分と、前記容器の床を形成する1以上の環状耐火層(24、25)との間のジョイント(8)を製造するために用いられる、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
耐火性ブロック乃至レンガの複数の部品(2、3、4)の組み合わせによって形成される耐火性ライニングを有する冶金容器であって、前記耐火性ブロック乃至レンガは、少なくともいくつかの該ブロック乃至レンガの間または該ブロック乃至レンガの組み合わせの間の、ジョイントによって埋められる間隙を画定し、前記ジョイント(5、8)が、請求項1〜5のいずれかに記載のラミングマスに基づいて形成されているか、または請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法によって形成されていることを特徴とする冶金容器。
【請求項10】
前記ジョイント(5)が、前記容器の側壁を形成する2つの同心円状部品(4、5)の間に形成されており、且つ、その間の、該ジョイントによって埋められた環状間隙を画定する、請求項9に記載の冶金容器。
【請求項11】
前記ジョイント(8)が、前記容器の側壁を作る内側環状部品(4)の下方部分と、前記容器の床を形成する1以上の環状耐火層(24、25)の間に形成されている、請求項9に記載の冶金容器。
【請求項12】
溶鉱炉である、請求項9〜11のいずれかに記載の冶金容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、特に溶鉱炉の炉胸部等の冶金容器の内側の耐火性ライニングに関し、より詳細には、かかる炉胸部の下方部分または炉床の内側の耐火性ライニングに関する。本発明は、より詳細には、炉床と前記ライニングを形成するカーボンブロックとの間のジョイントと一緒に、かかるブロック同士の間のジョイントも製造するためのラミング系不定形耐火物(以下、単にラミングマスと記すことがある)に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鉱炉の特定の場合においては、内側の耐火性ライニングは、慣例的に、ブロック乃至レンガ状をした、複数の耐火性エレメントの集合によって構成されており、耐火性エレメントは、それぞれのブロックやレンガの位置に応じて同一の又は異なる大きさや形状をしている。かかる耐火性エレメントを構成する材料もまた、炉胸部の中でエレメントが位置する場所に依存する。その結果、炉床、即ち底部には、一般に、複数のエレメントの積層が備えられており、例えば、2層のセラミックエレメントの層であって、上の方の層が溶融鉄と接触する炉床を形成する層が積層した2〜3層のカーボンブロックの層が備えられている。通常、炉床の側壁の耐火性ライニングもまた、それ自身、複数の環状耐火層の積層配列から形成される。その下方部分では、それぞれの層が、炉胸部の金属壁の最も近くに位置する外側環状部と、溶融鉄に接触するか溶融鉄に最も近い炉床側壁を形成する内側環状部とを有する。それぞれの環状部は、円周に並べられた複数のブロックで形成され、各種ブロックの材料は、各層や各環での位置に適合している。更に、特定の形および材料のエレメントは、出鉄口の位置で使用され、より高い場所である羽口の位置でも使用される。
【0003】
ラミングマスは、炉胸部の内側の耐火性ライニングを作る際、耐火性エレメン間の間隙を埋めるために使用され、かかる耐火性エレメントはブロック乃至レンガであり、一般的にカーボンまたはセラミックで作られ、且つ、その壁か或いは他の金属エレメントが溶鉱炉の炉胸部を形成する。加えて、ラミングマスは、炉胸部の内側の耐火性ライニングを作る際、隣り合った耐火性エレメント同士の間隙や、或いは異なる層や段の間の間隙を埋めるためにも使用され、特に、底部の特定の耐火性エレメントと炉床側壁の特定の他のエレメントとの間の間隙を埋めるために使用される。
【0004】
従って、位置によっては、「コールド」ジョイントが外側リングのブロックと冷却パネルとの間に生じ、更に、ホットジョイントが、内側リングのブロックと外側リングのブロックとの間に生じるであろう。
【0005】
内側リングと外側リングとの間の距離は、例えば50mmのオーダーで、前記ブロックの良好な寸法公差の結果として数mmの精度で、実質的に不変であってもよい。
【0006】
対照的に、前記炉胸部が幾何学的に不規則であるために、特に、前記炉胸部壁の冷却パネルの許容範囲がより大きいことに起因して前記炉胸部が不完全な円形であるせいで、前記外側リングのブロックと、前記冷却された炉胸部壁との間の距離は外周において実質的に異なっていてもよく、製造されるジョイントの厚さは一般的に80mm±20mmである。
【0007】
さらに、前記炉床の内壁と前記炉胸部の金属壁近くに位置するライニング外面との間の温度差の上昇にも考慮をしなければならず、かかる温度差の上昇は稼働中に広がる。更に、この温度差が操作の様々な段階に応じて異なる点、特に作動中に異なる点も考慮しなければならない。というのも、前記ライニングブロックが最初に敷設されるとき、かかるブロックは、炉床内面に向かって位置しているか炉胸部壁に向かって位置しているかにかかわらず、すべて低温であるが、一方、溶鉱炉が稼働中のときは、最外部のブロックは比較的冷たいまま維持されるが、溶融鉄と接触するブロックは非常に高温に加熱されるからである。それ故、特に運転中においてライニングの内側層が外側層よりもかなり早く加熱されるときの顕著な膨張差を補正するために、ブロック同士の間隙の変化はある程度許容されねばならず、特に、半径方向の2つの同心円のブロック同士の間隙の変化はある程度許容されねばならない。従って、2つのリングの間のジョイントが圧縮可能であることは、非常に好都合である。例として、かかる2層間のジョイントの圧縮可能性は、15〜20%の量であってもよい。
【0008】
前記壁の内側リングと底部の上のほうの層との間のジョイントの位置においてもまた、間隙は大変不規則な形状をしていることがある。これは特に、リングのブロックが円周状に配置される一方で、設計に従って配置された底部のブロック乃至レンガであって、かかる設計において平行線状に取り付けられる可能性のあるブロック乃至レンガの形が原因である。さらに、かかるジョイント、即ち、ホットジョイントとしても知られうるジョイントにおける顕著な寸法変化は別として、ジョイントは、異なる材料、例えばリングのブロック用の炭素と底部用のセラミックでできたブロックの間にも作られる。底部用のセラミックは、温度変動の場合、特に溶鉱炉の起動段階における温度変動の場合に炭素とは異なる挙動をする。
【0009】
従って、隣接するブロック同士の間隙を保つ可能性のある凹凸を埋めるために、ラミングマスを使用する必要があり、ラミングマスは、かかるブロック間の不規則な及び/又は可変の間隙を埋める役割を果たす。かかるラミングマスはまた、前記ライニングの熱い内面から冷たい外面への十分な熱の移動を確保する機能と、耐火性エレメントを通じて生じる熱の移動を少なくとも邪魔しない機能とを有している。重要なことには、かかるラミングマスは、更に、圧縮可能体を提供するという機能を有しており、かかる圧縮可能体とは、耐火性エレメント間、底部レンガと側部ライニングのブロックの内側層との間に、特に温度変動に起因して生じる熱機械応力や、かかるライニングの内側層と外側層との間に生じる熱機械応力を吸収及び減少させることができる、可塑的に圧縮可能なジョイントのようなものである。
【0010】
公知のラミングマスは、上述の圧縮可能性付与という目的のため、通常、SiCを加えてもよい電気黒鉛もしくはか焼無煙炭のみからなる粒状相若しくはこれらを混合したものと、一般にタール系または樹脂系であるバインダーとの混合物からなる。
【0011】
様々なラミングマス組成物が、例えばJP 2002121080, CN 1544389, CN1690012 or CN101823891によって既に知られている。
【0012】
ラミングマスに関しては、一つよく知られた問題があり、即ち、ラミングマスは、圧縮機によって手伝われる可能性はあるものの、手動の圧縮によって設置されるため、常に、高度な押出し法により製造されるブロック乃至レンガよりも均一性に劣り、且つ、圧縮性にも劣るのである。さらにまた、前記粒状相は、標準的な炭素またはグラファイトを必須とするものであるから、かかるラミングマスによって形成されるジョイントが有する、溶融鉄およびアルカリや蒸気等の攻撃剤に曝されたときの耐浸食性および/または耐腐食性は、作成済みの耐火性エレメントのそれよりもかなり劣る。
【0013】
さらにまた、一般的に使用されているタール系バインダーは、500℃オーダーの温度までは比較的柔軟なままであるが、より高い温度、例えば約800℃以上では、重合して、前記ラミングマスの粒子同士の間に非常に強力な結合を形成し、その結果、自身の有する相対的可撓性を損なってしまう。従って、かかるタイプのバインダーを含む先行技術のラミングマスは、「コールド」ジョイントの位置において使用することができる。この場合、比較的低い温度が、ジョイント、特に外側リング、即ち外側耐火層と炉胸部の冷たい金属壁との間のジョイントに要求される圧縮可能性を保つことができるからである。対照的に、上述のホットジョイントの位置において、500℃オーダーの温度を超えると、ジョイントの硬化は圧縮可能性の喪失に繋がる。このジョイントの硬化は、また、特に底部と側壁との間のジョイントの位置において、ジョイントのひび割れによる浸透のリスクの増加も導く可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、ラミングマスによって形成されたジョイントの耐久性を向上することであり、特に、底部ライニングと側部のライニングとの間や、或いは内側リングのブロックとその反対側に位置する外側リングのブロックとの間にある「ホット」ジョイントの耐久性を向上することである。本発明の更なる目的は、例えばこれらのブロック間の熱伝導性を向上することである。
【0015】
前記目的は、本発明によって、溶鉱炉等の冶金容器の耐火性ライニングの少なくともいくつかの耐火性エレメントのブロックライニングのために、粒状相とバインダー相との混合物からなるラミングマスであって、かかる粒状相および/またはバインダーは、細孔構造を有するか或いは溶鉱炉が稼働している間の焼成により細孔構造を形成することができる成分を少なくとも1つ有するラミングマスを使用することによって、達成される。
【0016】
即ち、本発明のラミングマスは、溶融鉄や物理的或いは化学的にジョイントに作用しうる他の攻撃剤に対して優れた耐性を有するブロック乃至レンガ間の、冶金容器ジョイントを製造するうえで有利である。この改良は、ジョイントの細孔構造によって起こるものであり、かかる細孔構造は、ジョイントを通じての金属や他の攻撃剤による侵入を防ぐか、或いは少なくとも大いに制限し、その結果、ダメージを受けたジョイントから始まるブロックの付随する攻撃を防ぐ。この観点からすると、以下で示されるように、少なくとも最初の加熱工程の間は優れた圧縮可能性を保ちながら、一方では細孔粒状相を使用し、もう一方ではかかる細孔構造を形成することができるバインダーを使用することには有益な効果があることは、覚えておく価値がある。
【0017】
本発明においては(そして、特にIUPACによって提供される定義に反して)、細孔構造とは、2μm以下の平均径を有する孔を有する構造を意味する。それゆえ、本発明で言う細孔材料とは、2μm以下、好ましくは1μm以下の平均細孔径を有する材料という意味である。
【0018】
第一の詳細な開発によれば、前記粒状相は、細孔構造を有する炭素または炭素系粒子を含むことを必須とする。かかる構造は、それ自体で既に、孔の大きさが小さいことに起因して従来技術の粒状材料に比べて相当の改良を提供し、その結果、前で示唆したように、溶融鉄による攻撃や、かかるジョイントにおいて物理的或いは化学的な挙動を示すことができる他の攻撃剤に対する、より良い耐性の提供を可能にしている。さらにまた、かかる細孔構造は、細孔構造を有するブロックと似た方法によって、より効果的な熱流の移動の提供も可能にしており、その結果、表層の加熱を制限し、かかるライニング表面に接触する冷たい金属層であって、耐火性壁を保護する機能を有する金属層の維持に貢献する。
【0019】
この第一の改良型において、前記ラミングマスは細孔粒状相とタール系或いは重合性樹脂系バインダーとから形成されてもよい。
【0020】
ある一つの特に有利な開発によれば、バインダー相は、少なくとも一つのタール系成分を含有している。溶鉱炉が再稼働する際にラミングマスを設置すると、その後、温度上昇が生じるが、かかるタール系成分は、この温度上昇の間に生じる高温焼成によって細孔構造を形成することができる。従って、溶鉱炉操作活動を開始する際、ジョイントが上述の温度上昇の動きの下で硬化するより前には、かかるバインダーの圧縮可能性は、公知の方法により、耐火性ライニングの部品における材料の選択的な加熱によって生じる熱機械応力を和らげるように機能する。その後、ジョイントを高温、一般的には800℃以上の高温に曝して焼成するにあたり、重合に起因する公知の硬化が生じるだけでなく、本発明に特異的なことなのだが、細孔構造の形成も生じる。
【0021】
別の代替開発によれば、バインダー相は、少なくとも一つの重合性樹脂系成分を含有している。かかる重合性樹脂系分も、同様に、溶鉱炉が再稼働する際にラミングマスを設置した後で、温度が上昇している間に行われる高温焼成において、細孔構造を形成することができる。従って、溶鉱炉操作活動を開始する際、前記ジョイントが温度上昇にさらされることによって硬化するより前には、かかるバインダーの圧縮可能性は、公知の方法により、耐火性ライニングの部品における材料の選択的な加熱によって生じる熱機械応力を和らげるように機能する。その後、前記の高温に曝されることによってジョイントがひとたび焼成されると、ある特定のポイント、特に800℃を超えたポイントにおいて、本発明に特有の細孔構造が形成されるのと同様に、重合に起因する公知の硬化が生じる。
【0022】
かかる細孔構造は、バインダーに、焼成によりかかるバインダーを細孔構造とすることができる金属シリコンパウダー等の添加剤を添加した結果である。金属シリコンパウダーの効果は、炭素繊維またはタール若しくは樹脂由来の炭素を用いて、焼成の際にSiCウィスカーを形成することである。思い出してほしいのだが、「ウィスカー」は小径で細長いものであり、事実上結晶欠陥を全く有していないので非常に高い機械的強度が付与されている。かかるウィスカーは、硬化タールまたは重合樹脂の細孔を横切って延びることによって、液状の金属或いは他の攻撃剤の侵入を防ぐ非常に頑強な障害を付与する微細孔を生じさせる
。
【0023】
別の特別な開発によれば、細孔材料粒状相は、細孔耐火性ブロック、細孔耐火性ブロックを切断したときの廃棄物または以前の耐火性ライニングから回収した使用済み細孔炭素ブロックを粉砕することによって得ることができる。
【0024】
さらにまた別の開発によれば、バインダー主剤相は、ラミングマス自体の潤滑性を改良することによってより良い圧縮性を付与する、微細グラファイト粒子を含有してもよい。
【0025】
同様に、かかる主剤相は、液状鉄による浸食を防ぐ剤、例えばTiCやTiO2を含有してもよい。かかる剤は、結果として得られるジョイントに接触する鉄の粘度を増加させることができ、その結果、鉄のジョイント材料への侵入を、より強固に防ぐことができる。
【0026】
本発明の別の目的は、溶鉱炉のような冶金容器の耐火性ライニングの耐火性エレメント間のホットジョイントを製造する方法を提供することである。かかる製造方法によれば、粒状相とバインダー相との混合物からなるラミングマスが使用され、かかるバインダーは、タール系または重合性樹脂系の成分を少なくとも一つ含有し、且つ、ラミングマスを設置した後の冶金容器温度の上昇に起因する焼成によってバインダーに細孔を形成することができる、金属シリコンパウダー等の添加剤を含有する。
【0027】
この方法は、特に、前記容器の側壁を形成する2つの同心円状部品の間のジョイントを製造するために使用され、かかる2つの同心円状部品は、ジョイントによって埋められた両者の間の円状間隙を画定する。また、この方法は、容器の側壁を作る内側円状部品の下方部分と容器床を形成する1以上の耐火層の周縁との間のジョイントを製造するためにも使用される。
【0028】
さらに、本発明の別の目的は、耐火性ブロック乃至レンガといった複数の部品の組み合わせから形成される冶金容器、例えば溶鉱炉を提供することである。かかる耐火性ブロック乃至レンガは、少なくともいくつかのブロック乃至レンガの間か、或いはブロック乃至レンガの部品同士の間に生じるジョイントによって埋められた間隙を画定するものであり、かかるジョイントは、先で説明したように、ラミングマスに基づいて形成される。かかるジョイントは、炉床の側壁を形成する2つの同心円状部品であって、ジョイントが満たされた両者の間の円状間隙を画定する同心円状部品の間に形成してもよい。必要であれば、前記側壁は、2以上の同心円状部品を含有してもよく、前記ジョイントは、前記円状部品の間のそれぞれの接触面において形成される。かかるジョイントは、内側円状部品の下方部分と、容器の床を形成する1以上の耐火層の周縁との間に形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のその他の独特の特徴およびキャラクターは、溶鉱炉炉胸部の耐火性ライニングを製造するための本発明のラミングマスの使用を例とする、下記追加説明によって明らかになるであろう。添付の図面について言うと、図面は、側部のライニングと溶鉱炉底部との間の接点近辺におけるライニングゾーンの半径方向面における断面図を示している。
【0030】
かかる図面の一部においてのみ示されている溶鉱炉の炉胸部1は、既知の方法により、冷却パネル12を備えた金属壁11からなる。床2は、耐火性材料でできた複数の積層からなり、例えば、底部から始めて、冷却液が通過する冷却管211の上に位置するグラファイトレンガ製の第一層21、同様に標準炭素ブロックによって形成された第二層22、非常に熱伝導性の高い微細孔炭素ブロックで形成されてもよい第三層23、およびセラミックレンガ製の2つの層24、25からなる。ブロック製第一層21の真下には、前記冷却管が炭素ラミングマス中に埋め込まれていてもよい。
【0031】
第四層24の位置から始めると、耐火性側壁は、2つの同心円状部品3、4から作られており、それぞれの同心円状部品は、積層リング31、41が重ね合わせてできている。それぞれの積層リングは、非常に高い熱伝導性を有し、円周状に配置された細孔炭素ブロックで作られている。環状間隙は、60mmオーダーの半径方向厚みを有し、内側環状部品と、冷たい炉胸部壁から最も近い位置にある外側環状部品との間に設けられ、本発明のラミングマスから作られるジョイント5で埋まっている。底部第一層周縁と外側環状部品との間隙や、外側環状部品と冷却パネルによって冷却された壁との間隙は、従来の種類であってもよいラミングマス6によって埋められており、非常に高い温度に曝されることはない。
【0032】
同心円状部品3および4は、炉床の上方の位置に向かって延びており、耐火性ライニングは、標準炭素ブロック製の環状部品7とともに、それらを超えて上方に向かって続いている。
【0033】
内側リングの第一層41a、41bと底部のセラミック床層24、25との間には、本発明のラミングマスで作られる円周状ジョイント8があり、底部の円周形状と、第一内側リング内面の円形との間の狂いを補う。かかるゾーンは、特に問題がある。なぜなら、水平な底部と垂直な炉床壁の間は直角であるため、特に熱く、更に、底部と側壁との間の環状接点ゾーンは、垂直方向に延びているため、溶融鉄の侵入に特に影響を受けやすいからである。さらに、かかる位置に形成されるラミングマスジョイント8は、半径方向に、相当な厚みのばらつきを示すかもしれず、そのため、均一な熱的特性が損なわれるかもしれない。熱機械耐性の観点、鉄侵入を妨げる観点、および炉の温度が上昇する間の圧縮可能性の観点から本発明のラミングマスは好ましい特性を有しているため、かかる位置において特に理にかなっており、隣り合うブロック同士の機械的ストレスを最小限にし、その後、漏出を起こさない可能性が非常に高いことを確かにすることができる。
【0034】
2つの同心円状部品の間のジョイント5の位置において、特に関連性があるのは、本発明のラミングマスの熱伝導性と圧縮可能性である。既に述べたように、前記圧縮可能性は、内側部品が溶融金属の熱に直接さらされている一方で外側部品が冷たいままになっている時に、2つの部品3、4間の熱機械応力の制限を可能にする。熱伝導性は、耐熱性ライニングの内側から外側への最適な熱移動を保証し、内側リングのブロックの加熱を制限する。
【0035】
以上より、高性能の炭素およびセラミックブロックを一体化して使用する、本発明のラミングマスを設置すると、従来のラミングマスよりも長期間にわたって、ライニングの厚み方向のそれぞれの等温断面の位置における耐火性ライニングの非常に均一な熱機械特性を確保することができ、また、ジョイント特性と部分的なストレスとの間の最善の適合を確保することもでき、その結果、
前記ジョイントの位置で耐火性ライニング中の構造上の不均一性という弊害をできるだけ小さくすることができる。