特許第5698883号(P5698883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5698883
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20150319BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20150319BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20150319BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
   A61B1/04 362A
   A61B1/04 370
   A61B1/06 C
   G02B23/24 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-552999(P2014-552999)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2014063104
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2013-113226(P2013-113226)
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】朝鳥 幸子
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/035532(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/043771(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の狭帯域光、及び、前記第1の狭帯域光とは異なる第2の狭帯域光を順次発生することが可能な光源部と、
前記第1の狭帯域光の帯域を含む第1の色成分の帯域における透過率が他の帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備する第1のフィルタと、前記第2の狭帯域光の帯域を含む第2の色成分の帯域における透過率が他の波長帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備する第2のフィルタと、を少なくとも配置して構成されたカラーフィルタと、
前記複数の第1のフィルタを通過した光を第1の画素において受光し、前記複数の第2のフィルタを通過した光を前記第1の画素とは異なる第2の画素において受光するように構成されているとともに、露光期間及び電気信号の読出期間を各画素毎に設定することが可能な撮像素子と、
第1の期間において、前記第1の狭帯域光を発生させ、前記第1の画素を露光させ、前記第2の画素から電気信号を読み出すとともに、前記第1の期間とは異なる第2の期間において、前記第2の狭帯域光を発生させ、前記第2の画素を露光させ、前記第1の画素から電気信号を読み出す制御を行う制御部と、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記カラーフィルタにおける前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタの配列に係る情報が格納された記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部に格納された情報に基づき、前記撮像素子の各画素の中から前記第1の画素及び前記第2の画素をそれぞれ特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の期間における前記第1の狭帯域光の発生期間と、前記第1の画素の露光期間と、前記第2の画素から電気信号を読み出すための読み出し期間とを同期させるための制御を行うとともに、前記第2の期間における前記第2の狭帯域光の発生期間と、前記第2の画素の露光期間と、前記第1の画素から電気信号を読み出すための読み出し期間とを同期させるための制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記光源部は、さらに、前記第1の狭帯域光及び前記第2の狭帯域光を同時に出射することができるように構成されており、
前記制御部は、前記第1の狭帯域光及び前記第2の狭帯域光を前記光源部から同時に発生させる際に、前記第1の狭帯域光の発生期間と、前記第1の画素の露光期間と、前記第2の狭帯域光の発生期間と、前記第2の画素の露光期間と、を第3の期間において同期させるための制御を行うとともに、前記第1の画素から電気信号を読み出すための読出期間と、前記第2の画素から電気信号を読み出すための読出期間と、を前記第3の期間とは異なる第4の期間において同期させるための制御をさらに行う
ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関し、特に、狭帯域光観察を行うことが可能な内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、例えば、内視鏡等のような、生体に対して低侵襲な装置を用いた手術が従来行われている。また、内視鏡を用いた観察方法としては、例えば、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色の光を生体内の被写体に照射することにより、肉眼による観察と略同様の色合いの画像を得る通常光観察、及び、通常光観察の照明光に比べて狭い帯域の光を生体内の被写体に照射することにより、生体の粘膜表層に存在する血管等が強調された画像を得る狭帯域光観察等の観察方法が従来知られている。
【0003】
そして、例えば、日本国特開2005−6974号公報には、前述した2種類の観察に対応したそれぞれのモードに切り替え可能な構成を具備する内視鏡装置が開示されている。
【0004】
一方、日本国特開2005−6974号公報に開示されたものを含む内視鏡装置の多くにおいては、面順次式または同時式のいずれかの撮像方式が採用されている。
【0005】
具体的には、前述の面順次式の撮像方式は、例えば、複数の波長帯域成分を具備する照明光を時分割することにより得られる面順次光が被写体へ照射された際に発生する戻り光を、カラーフィルタが撮像面に設けられていない撮像素子により撮像するような構成として実現され得る。
【0006】
また、前述の同時式の撮像方式は、例えば、複数の波長帯域成分を具備する照明光が被写体へ照射された際に発生する戻り光を、所定の分光特性をそれぞれ具備する複数の微小なフィルタを所定の配列で配置したカラーフィルタが撮像面に設けられた撮像素子により撮像するような構成として実現され得る。
【0007】
ところで、撮像素子の撮像面に設けられたカラーフィルタに含まれる各フィルタは、一般的に、所定の色成分の光のみならず、可視域から近赤外域にかけての広い帯域の光を透過させるような分光特性を具備するように構成されている。
【0008】
そのため、例えば、同時式の撮像方式に対応する構成を用いた狭帯域光観察においては、被写体に照射する照明光の分光特性と、撮像素子の撮像面に設けられたカラーフィルタに含まれる各フィルタの分光特性と、の組合せに起因し、色分離性が低下してしまう場合がある、という課題が存在している。
【0009】
一方、日本国特開2005−6974号公報には、前述のような色分離性の低下を解消するための手法等について特に言及されておらず、すなわち、前述のような色分離性の低下に係る課題が依然として存在している。
【0010】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、同時式の撮像方式に対応する構成を用いた狭帯域光観察において、色分離性を向上させることが可能な内視鏡システムを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の内視鏡システムは、第1の狭帯域光、及び、前記第1の狭帯域光とは異なる第2の狭帯域光を順次発生することが可能な光源部と、前記第1の狭帯域光の帯域を含む第1の色成分の帯域における透過率が他の帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備する第1のフィルタと、前記第2の狭帯域光の帯域を含む第2の色成分の帯域における透過率が他の波長帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備する第2のフィルタと、を少なくとも配置して構成されたカラーフィルタと、前記複数の第1のフィルタを通過した光を第1の画素において受光し、前記複数の第2のフィルタを通過した光を前記第1の画素とは異なる第2の画素において受光するように構成されているとともに、露光期間及び電気信号の読出期間を各画素毎に設定することが可能な撮像素子と、第1の期間において、前記第1の狭帯域光を発生させ、前記第1の画素を露光させ、前記第2の画素から電気信号を読み出すとともに、前記第1の期間とは異なる第2の期間において、前記第2の狭帯域光を発生させ、前記第2の画素を露光させ、前記第1の画素から電気信号を読み出す制御を行う制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】実施例に係る内視鏡システムの観察モードが通常光観察モードに設定された場合に行われる制御を説明するための図である。
図3】実施例に係る内視鏡システムの観察モードが狭帯域光観察モードに設定された場合に行われる制御を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0014】
図1から図3は、本発明の実施例に係るものである。図1は、実施例に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0015】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検者の体腔内に挿入可能な細長の挿入部を具備するとともに、該体腔内に存在する生体組織等の被写体101を撮像して画像を取得するように構成された内視鏡2と、被写体101へ照射される照明光を内視鏡2に供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2により取得された画像に応じた映像信号を生成して出力するように構成されたプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される映像信号に応じた画像を表示するように構成された表示装置5と、を有している。また、内視鏡2の内部には、光源装置3から供給される光を内視鏡2の先端部へ伝送するように構成されたライトガイド6が挿通されている。
【0016】
内視鏡2は、ライトガイド6により伝送された照明光を被写体101に対して照射する照明光学系21と、当該照明光により照明された被写体101からの戻り光を結像する対物光学系22と、対物光学系22の結像位置に撮像面が配置された撮像素子23と、撮像素子23の撮像面に取り付けられたカラーフィルタ23aと、を挿入部の先端部に有して構成されている。
【0017】
また、内視鏡2は、撮像素子23の駆動に用いられる撮像素子駆動信号を生成して出力する撮像素子駆動部24と、内視鏡システム1の観察モードの設定に係る指示を行うことが可能なモード設定スイッチ25と、内視鏡2の種類等を識別するための内視鏡識別情報が予め格納されている記憶部26と、を有して構成されている。
【0018】
撮像素子23は、例えば、CMOSイメージャを具備し、プロセッサ4から出力される画素制御信号に基づき、露光期間及び電気信号の読出期間を各画素毎に設定することができるように構成されている。また、撮像素子23は、撮像素子駆動部24から出力される撮像素子駆動信号に応じて駆動するように構成されているとともに、プロセッサ4から出力される画素制御信号により指定された各画素から読み出した電気信号に基づいて画像を生成し、当該生成した画像をプロセッサ4へ出力するように構成されている。
【0019】
カラーフィルタ23aは、所定の分光特性をそれぞれ具備する複数のR(赤)フィルタ、G(緑)フィルタ、及び、B(青)フィルタを、撮像素子23の各画素に対応する位置にベイヤ配列で(市松状に)配置することにより形成されている。
【0020】
カラーフィルタ23aのRフィルタは、赤色から近赤外までの帯域における透過率が他の帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備して構成されている。
【0021】
カラーフィルタ23aのGフィルタは、緑色の帯域における透過率が他の帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備して構成されている。
【0022】
カラーフィルタ23aのBフィルタは、青色の帯域における透過率が他の帯域の透過率より相対的に高くなるような分光特性を具備して構成されている。
【0023】
すなわち、以上に述べたような撮像素子23及びカラーフィルタ23aの構成によれば、カラーフィルタ23aのRフィルタを通過した光と、カラーフィルタ23aのGフィルタを通過した光と、カラーフィルタ23aのBフィルタを通過した光と、が撮像素子23のそれぞれ異なる画素群において受光される。
【0024】
モード設定スイッチ25は、内視鏡システム1の観察モードを、術者等の操作に応じて通常光観察モードまたは狭帯域光観察モードのいずれか一方の観察モードに設定するための指示を行うことができるように構成されている。
【0025】
不揮発性メモリ等により構成される記憶部26には、例えば、内視鏡2におけるカラーフィルタ23aの有無に係る情報、及び、カラーフィルタ23aにおける各フィルタ(Rフィルタ、Gフィルタ及びBフィルタ)の配列に係る情報を含む内視鏡識別情報が予め格納されている。また、記憶部26は、内視鏡2とプロセッサ4とが接続されたことを検出した際に、内視鏡識別情報をプロセッサ4へ出力するように構成されている。
【0026】
光源装置3は、LED光源部31と、LED光源部31に対する制御を行う光源制御部32と、LED光源部31において発せられた光を集光してライトガイド6へ供給する集光光学系33と、を有している。
【0027】
LED光源部31は、LED31rと、LED31gと、LED31bと、を有して構成されている。
【0028】
LED31rは、光源制御部32の制御に基づき、例えば、中心波長が610nmに設定された狭帯域な赤色光であるNR光を発するように構成されている。
【0029】
LED31gは、光源制御部32の制御に基づき、例えば、中心波長が(血液中のヘモグロビンの吸収ピークである)540nmに設定された狭帯域な緑色光であるNG光を発するように構成されている。
【0030】
LED31bは、光源制御部32の制御に基づき、例えば、中心波長が(血液中のヘモグロビンの吸収ピークである)415nmに設定された狭帯域な青色光であるNB光を発するように構成されている。
【0031】
光源制御部32は、プロセッサ4から出力される調光信号に基づき、LED光源部31に設けられた各LEDを個別に発光または消光させることができるように構成されている。
【0032】
プロセッサ4は、前処理部41と、画像処理部42と、調光部43と、画素制御部44と、主制御部45と、を有している。
【0033】
前処理部41は、内視鏡2から出力される画像に対してノイズ除去等の処理を施し、当該処理を施した画像を画像処理部42及び調光部43へ出力するように構成されている。
【0034】
画像処理部42は、主制御部45から出力される制御信号に基づき、前処理部41から出力される画像に対し、同時化等の画像処理を施すことにより映像信号を生成し、当該生成した映像信号を表示装置5へ出力するように構成されている。
【0035】
調光部43は、主制御部45から出力される制御信号に基づいて調光信号を生成し、当該生成した調光信号を光源制御部32へ出力するように構成されている。
【0036】
画素制御部44は、主制御部45から出力される制御信号に基づいて画素制御信号を生成し、当該生成した画素制御信号を撮像素子23へ出力するように構成されている。
【0037】
主制御部45は、CPU及びタイミングジェネレータ等を具備し、モード設定スイッチ25においてなされた指示と、記憶部26から出力される内視鏡識別情報と、に応じた動作を行わせるための制御信号を画像処理部42、調光部43及び画素制御部44の各部に対して出力するように構成されている。
【0038】
次に、本実施例の内視鏡システム1の作用について説明する。なお、以降においては、撮像素子23の各画素のうち、カラーフィルタ23aのRフィルタが配置された画素群をR画素群とし、カラーフィルタ23aのGフィルタが配置された画素群をG画素群とし、カラーフィルタ23aのBフィルタが配置された画素群をB画素群として説明を行う。
【0039】
術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部を接続し、さらに、内視鏡システム1の各部の電源を投入した状態でモード設定スイッチ25を操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを通常光観察モードに設定する。また、このようなユーザの操作に伴い、記憶部26に格納された内視鏡識別情報がプロセッサ4の主制御部45へ出力される。
【0040】
一方、主制御部45は、記憶部26から出力される内視鏡識別情報に基づき、内視鏡2におけるカラーフィルタ23aの有無を識別する。さらに、主制御部45は、記憶部26から出力される内視鏡識別情報に基づき、内視鏡2がカラーフィルタ23aを有しているとの識別結果を得た場合には、撮像素子23の各画素の中から、Rフィルタを通過した光を受光する画素群と、Gフィルタを通過した光を受光する画素群と、Bフィルタを通過した光を受光する画素群と、をそれぞれ特定する。
【0041】
そして、主制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを通常光観察モードに設定する旨の指示がモード設定スイッチ25において行われ、かつ、内視鏡2がカラーフィルタ23aを有しているとの識別結果を得た場合には、R、G及びBの各色成分の画像をフレームレートFR1で同時に取得させるような制御信号WSYNを調光部43及び画素制御部44に対して出力する。
【0042】
調光部43は、主制御部45から出力される制御信号WSYNに基づき、フレームレートFR1に応じて設定した期間毎に、LED光源部31の各LED(LED31r、31g及び31b)を同時に発光及び同時に消光させるための調光信号WLを生成し、当該生成した調光信号WLを光源制御部32へ出力する。すなわち、このような調光信号WLが光源制御部32に供給されることにより、NR光、NG光及びNB光が光源装置3から同時に発せられる。
【0043】
画素制御部44は、主制御部45から出力される制御信号WSYNに基づき、フレームレートFR1に応じて設定した期間毎に、撮像素子23の全画素(R画素群、G画素群及びB画素群)を同時に露光させるとともに、撮像素子23の全画素から同時に読み出された電気信号に基づく画像を生成させるための画素制御信号RAを撮像素子23へ出力する。
【0044】
すなわち、制御信号WSYNに基づく制御によれば、NR光、NG光及びNB光を光源装置3から同時に発生させる際に、LED光源部31の各LEDの発光期間(NR光、NG光及びNB光の発生期間)と、撮像素子23の全画素の露光期間と、を図2に示す期間PR1において同期させるような制御が行われる。また、制御信号WSYNに基づく制御によれば、NR光、NG光及びNB光を光源装置3から同時に発生させる際に、LED光源部31の各LEDの消光期間と、撮像素子23の全画素からの電気信号の読出期間と、を図2に示す(期間PR1とは異なる)期間PR2において同期させるような制御が行われる。図2は、実施例に係る内視鏡システムの観察モードが通常光観察モードに設定された場合に行われる制御を説明するための図である。
【0045】
一方、ユーザは、内視鏡2の挿入部を被験者の体腔内に挿入し、さらに、当該挿入部の先端部を所望の観察部位の近傍に配置した状態でモード設定スイッチ25を操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを狭帯域光観察モードに設定する。
【0046】
主制御部45は、内視鏡システム1の観察モードを狭帯域光観察モードに設定する旨の指示がモード設定スイッチ25において行われ、かつ、内視鏡2がカラーフィルタ23aを有しているとの識別結果を得た場合には、G及びBの各色成分の画像をフレームレートFR2で交互に取得させるような制御信号NSEQを調光部43及び画素制御部44に対して出力する。
【0047】
調光部43は、主制御部45から出力される制御信号NSEQに基づき、フレームレートFR2に応じて設定した期間毎に、LED31g及び31bを交互に発光(消光)させるための調光信号NLを生成し、当該生成した調光信号NLを光源制御部32へ出力する。すなわち、このような調光信号NLが光源制御部32に供給されることにより、NG光及びNB光が光源装置3から交互に発せられる。
【0048】
画素制御部44は、主制御部45から出力される制御信号NSEQに基づき、フレームレートFR2に応じて設定した期間毎に、G画素群及びB画素群のうちの一方の画素群を露光させるとともに、他方の画素群から読み出された電気信号に基づく画像を生成させるための画素制御信号RBを撮像素子23へ出力する。
【0049】
すなわち、制御信号NSEQに基づく制御によれば、NG光及びNB光を光源装置3から交互に発生させる際に、LED31gの発光期間(NG光の発生期間)と、G画素群の露光期間と、LED31bの消光期間と、B画素群からの電気信号の読出期間と、を図3に示す期間PR3において同期させるような制御が行われる。また、制御信号NSEQに基づく制御によれば、NG光及びNB光を光源装置3から交互に発生させる際に、LED31bの発光期間(NB光の発生期間)と、B画素群の露光期間と、LED31gの消光期間と、G画素群からの電気信号の読出期間と、を図3に示す(期間PR3とは異なる)期間PR4において同期させるような制御が行われる。図3は、実施例に係る内視鏡システムの観察モードが狭帯域光観察モードに設定された場合に行われる制御を説明するための図である。
【0050】
なお、本実施例によれば、内視鏡システム1の観察モードが狭帯域光観察モードに設定され、かつ、内視鏡2がカラーフィルタ23aを有しているとの識別結果が得られた場合に、例えば、画像処理部42による色ずれ補正処理が行われるようにしてもよい。
【0051】
以上に述べたように、本実施例の内視鏡システム1によれば、観察モードが狭帯域光観察モードに設定された場合において、NG光の戻り光に応じたG成分の画像の取得に係る期間と、NB光の戻り光に応じたB成分の画像の取得に係る期間と、を互いに重複させないような制御を行うことができる。その結果、本実施例の内視鏡システム1によれば、同時式の撮像方式に対応する構成を用いた狭帯域光観察において、色分離性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施例の内視鏡システム1によれば、例えば、観察モードが狭帯域光観察モードに設定された場合において、NG光の帯域及びNB光の帯域をさらに狭めるような光学特性を有する帯域制限フィルタが、LED光源部31の前面に介挿されるように構成してもよい。
【0053】
また、本実施例によれば、光源装置3からライトガイド6に供給されるNR光が、単一の帯域の光を発するLEDのみを用いて生成されるようにしてもよく、または、相互に異なる帯域の光を発する複数のLEDを組み合わせて生成されるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施例によれば、光源装置3からライトガイド6に供給されるNG光が、単一の帯域の光を発するLEDのみを用いて生成されるようにしてもよく、または、相互に異なる帯域の光を発する複数のLEDを組み合わせて生成されるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施例によれば、光源装置3からライトガイド6に供給されるNB光が、単一の帯域の光を発するLEDのみを用いて生成されるようにしてもよく、または、相互に異なる帯域の光を発する複数のLEDを組み合わせて生成されるようにしてもよい。
【0056】
一方、本実施例によれば、例えば、内視鏡システム1の観察モードが通常光観察モードに設定され、かつ、内視鏡2がカラーフィルタ23aを有していないとの識別結果が得られた場合に、LED31rの発光期間(NR光の発生期間)とR画素群の露光期間とを期間PR5で同期させ、LED31gの発光期間(NG光の発生期間)とG画素群の露光期間とを(期間PR5とは異なる)期間PR6で同期させ、さらに、LED31bの発光期間(NB光の発生期間)とB画素群の露光期間とを(期間PR5及びPR6のいずれとも異なる)期間PR7で同期させるような、面順次式の撮像方式に応じた制御が行われるようにしてもよい。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0058】
本出願は、2013年5月29日に日本国に出願された特願2013−113226号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
内視鏡システムは、第1及び第2の狭帯域光を同時にまたは交互に発生する光源部と、分光特性が異なる第1及び第2のフィルタを配置したカラーフィルタと、第1のフィルタを通過した光を第1の画素群で受光し、第2のフィルタを通過した光を第2の画素群で受光するとともに、露光期間及び電気信号の読出期間を各画素毎に設定可能な撮像素子と、第1及び第2の狭帯域光を光源部から交互に発生させる際に、第1の狭帯域光の発生期間と、第1の画素群の露光期間と、第2の画素群の読出期間と、を第1の期間において同期させるとともに、第2の狭帯域光の発生期間と、第2の画素群の露光期間と、第1の画素群の読出期間と、を第2の期間において同期させる制御部と、を有する。
図1
図2
図3