(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698892
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】電気外科用システムおよびそれとの使用のためのプリント回路板
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20150319BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20150319BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
A61B17/36 340
H05K1/02 N
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
H05K3/46 Z
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2008-195532(P2008-195532)
(22)【出願日】2008年7月29日
(65)【公開番号】特開2009-28542(P2009-28542A)
(43)【公開日】2009年2月12日
【審査請求日】2011年7月5日
【審判番号】不服2014-3476(P2014-3476/J1)
【審判請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】11/881,945
(32)【優先日】2007年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ベンケ
【合議体】
【審判長】
山口 直
【審判官】
高木 彰
【審判官】
土田 嘉一
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B18/18
H05K1/02
H05K3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処理するための電気外科用システムであって:
電気外科用発電機;
該電気外科用発電機上に配置され、そして該電気外科用発電機に接続されるプリント回路板であって、複数の伝導性層を含むプリント回路板;
第1の部分および第2の部分を含む発電機接地接続であって、該発電機接地接続の第1の部分は該複数の伝導性層のうちの第1の伝導性層に接続され、そして該発電機接地接続の第2の部分は該複数の伝導性層のうちの第2の伝導性層に接続される発電機接地接続;および
該複数の伝導性層のうちの第3の伝導性層に接続される部分を含む患者接地接続であって、該第3の伝導性層は、該第1の伝導性層と該第2の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入される、患者接地接続、を備え、
該プリント回路板は、該第3の伝導性層と、該第1の伝導性層および該第2の伝導性層のうちの少なくとも1つとの間に少なくとも部分的に挿入される少なくとも1つの誘電層を含む、システム。
【請求項2】
前記プリント回路板が、前記第1の伝導性層と前記第3の伝導性層との間に挿入された前記少なくとも1つの誘電層のうちの第1の誘電層、および前記第2の伝導性層と該第3の伝導性層との間に挿入された該少なくとも1つの誘電層のうちの第2の誘電層を含む、請求項1に記載の電気外科用システム。
【請求項3】
前記発電機接地接続が、所定の波長に対応する周波数を含む電流が該発電機接地接続を流れることを可能にするように構成されており、そして前記患者接地接続が、所定の波長に対応する周波数を含む電流が該患者接地接続を流れることを可能にするように構成されており、そしてここで、前記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、該発電機接地接続および該患者接地接続のうちの少なくとも1つから流れる電流の1波長の1/4に等しい距離だけ互いに重複する、請求項2に記載の電気外科用システム。
【請求項4】
前記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、10.16cmだけ互いに重複する、請求項2〜3のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
【請求項5】
前記プリント回路板が、前記第1の伝導性層の上部表面上に配置される微小細片を含み、該微小細片は、複数のインダクターを形成する電気的に伝導性の材料を含み、該微小細片は、該複数のインダクター間の少なくとも1つのギャップを含み、該少なくとも1つのギャップは、少なくとも1つのキャパシターを形成する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
【請求項6】
前記電気外科用発電機が、500MHzより大きい周波数を有するエネルギーを供給するような形態である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
【請求項7】
前記プリント回路板が、少なくとも部分的に該プリント回路板を通って配置される複数のバイアを含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
【請求項8】
エネルギーを送達するような形態のラインであって、該ラインの少なくとも一部分が、前記プリント回路板の前記微小細片に接続される、ラインを含むマイクロ波切除デバイスをさらに含む、請求項5に記載の電気外科用システム。
【請求項9】
前記ラインが、50Ωのインピーダンスを有する伝達ラインである、請求項8に記載の電気外科用システム。
【請求項10】
前記微小細片は、前記ラインと接地ラインとの間に接続される第1のキャパシターおよび第2のキャパシターを形成するギャップを含み、該接地ラインは、前記発電機接地接続と前記患者接地接続との間のカップリングを表す、請求項8または9に記載の電気外科用システム。
【請求項11】
マイクロ波発電機との使用のためのプリント回路板であって:
発電機接地接続の第1の部分に接続されるように構成された第1の伝導性層;
患者接地接続の部分に接続されるように構成された第2の伝導性層;
該発電機接地接続の第2の部分に接続されるように構成された第3の伝導性層;
該第1の伝導性層と該第2の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入された第1の誘電層;
該第2の伝導性層と該第3の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入された第2の誘電層;および
該プリント回路板の該第1の伝導性層の上部表面上に配置される微小細片であって、該微小細片は、少なくとも1つのインダクターおよび少なくとも1つのキャパシターを含む、微小細片、を備える、プリント回路板。
【請求項12】
前記発電機接地接続が、所定波長に対応する周波数を含む電流が該発電機接地接続を流れることを可能にするように構成されており、そして前記患者接地接続が、所定波長に対応する周波数を含む電流が該患者接地接続を流れることを可能にするように構成されており、そしてここで、前記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、該発電機接地接続および該患者接地接続のうちの少なくとも1つから流れる電流の1波長の1/4に等しい距離だけ互いに重複する、請求項11に記載のプリント回路板。
【請求項13】
少なくとも部分的に前記プリント回路板を通って配置される複数のバイアをさらに含む、請求項11または12に記載のプリント回路板。
【請求項14】
マイクロ波切除デバイスにエネルギーを伝達する形態のラインをさらに含む、請求項11、12、または13のいずれか1項に記載のプリント回路板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療設備から患者を電気的に隔離することに関し、そしてより詳細には、電気外科用発電機の接地から患者接地を電気的に隔離することに関する。
【背景技術】
【0002】
医療手順を受ける患者は、一般に、患者に連結された医療設備の漂遊電気エネルギーから電気的に隔離される。非介入手順(被験体中に挿入される医療用デバイスはない)には、患者の医療用デバイスからの隔離は、患者が触れる可能性がある表面の構築物(例えば、表面コイル、患者ベッドなど)に絶縁材料を取り込むことによって達成される。
【0003】
介入手順(医療用デバイスが被験体中に挿入される)には、患者隔離の問題はより複雑である。なぜなら、介入デバイスそれら自体が患者と接触するからである。これは、侵襲性デバイスが電気に敏感な組織(例えば、心筋、脳組織など)と接触する場合に特に重要であり得る。治療手順のためのマイクロ波エネルギー送達の性質に起因して、マイクロ波発電機との使用のための絶縁回路の構築のような特別の要求が、患者を隔離する際に存在する。
【0004】
発電機の接地(すなわち、アース)から患者接地を隔離する問題は、約500MHzを超える周波数を有するマイクロ波発電機では複雑である。より低い周波数をもつ発電機では、変圧器が、発電機接地から患者を隔離するために用いられ得る。周波数がより高くなるにつれて、変圧器および非励振素子のコア損失が、しばしば、隔離境界を横切ってエネルギーを移す試みを圧倒する。
【0005】
発電機の接地から患者接地を隔離する別の方法は、キャパシターの使用をともない得る。しかし、マイクロ波周波数では、これらキャパシターは、反射という形でそれら自身の損失、およびこれらキャパシターの電圧隔離要求に一部起因する寄生損失(parasitic loss)を付加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、電気外科用発電機の接地から患者接地を隔離する改良されたデバイスおよび方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本開示は、組織を処理するための電気外科用システムに関する。このシステムは、電気外科用発電機、プリント回路板、発電機接地および患者接地を含む。このプリント回路板は、上記電気外科用発電機との機械的協同に配置され、そして複数の伝導性層を含む。上記発電機接地は、第1の部分および第2の部分を含む。この第1の部分は、上記プリント回路板の伝導性層に電気機械的に接続され、そして上記第2の部分は、上記プリント回路板の別の伝導性層に電気機械的に接続される。上記患者接地は、上記発電機接地の第1の部分と上記発電機接地の第2の部分との間に少なくとも部分的に挿入されている部分を含む。
【0008】
本開示はまた、マイクロ波発電機との使用のためのプリント回路板に関する。このプリント回路板は、第1の伝導性層、第2の伝導性層、第3の伝導性層、第1の誘電層、第2の誘電層および微小細片を含む。上記第1の伝導性層は、発電機接地の第1の部分との電気機械的係合のための形態である。上記第2の伝導性層は、患者接地の部分との電気機械的係合のための形態である。上記第3の伝導性層は、上記発電機接地の第2の部分との電気機械的係合のための形態である。上記第1の誘電層は、上記第1の伝導性層と上記第2の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入される。上記第2の誘電層は、上記第2の伝導性層と上記第3の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入される。上記微小細片は、上記プリント回路板の表面との機械的協同に配置される。
【0009】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)組織を処理するための電気外科用システムであって:
電気外科用発電機;
該電気外科用発電機との電気機械的協同に配置されるプリント回路板であって、複数の伝導層を含むプリント回路板;
第1の部分および第2の部分を含む発電機接地であって、該発電機接地の第1の部分は該プリント回路基板の伝導性層に電気機械的に接続され、そして該発電機接地の第2の部分は該プリント回路基板の別の伝導層に電気機械的に接続される発電機接地;および
該発電機接地の第1の部分と該発電機接地の第2の部分との間に少なくとも部分的に挿入される部分を含む患者接地、を備えるシステム。
(項目2)上記プリント回路板が、上記患者接地を含むプリント回路板の伝導性層と、上記発電機接地の部分を含むプリント回路板の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入される誘電層を含む、項目1に記載の電気外科用システム。
(項目3)上記プリント回路板が、上記発電機接地の第1の部分と上記患者接地との間に挿入された第1の誘電層、および上記発電機接地の第2の部分と該患者接地との間に挿入された第2の誘電層を含む、項目1または2のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目4)上記発電機接地が所定の波長を有する周波数を含み、そして上記患者接地が所定の波長を有する周波数を含み、そしてここで、上記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、該発電機接地および該患者接地のうちの少なくとも1つの1波長の約1/4だけ互いに重複する、項目1〜3のいずれか1項に記載の電気外科用システム。(項目5)上記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、約4インチ
(10.16cm)互いに重複する、項目1〜4のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目6)上記プリント回路板が、その表面との機械的協同に配置される微小細片を含む、項目1〜5のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目7)上記電気外科用発電機が、約500MHzより大きい周波数を有するエネルギーを供給するような形態である、項目1〜6のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目8)上記患者接地が、マイクロ波切除デバイス、患者パッドおよび電気外科用切除デバイスのうちの少なくとも1つに電気機械的に接続される、項目1〜7のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目9)上記プリント回路板が、少なくとも部分的にそれを通って配置される複数のバイアを含む、項目1〜8のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目10)上記複数のバイアの隣り合うバイア間の間隔が、約15゜未満である、項目9に記載の電気外科用システム。
(項目11)エネルギーを送達するような形態の能動ラインであって、該能動ラインの少なくとも一部分が、上記プリント回路板との電気機械的協同に配置される、能動ラインを含むマイクロ波切除デバイスをさらに含む、項目1〜10のいずれか1項に記載の電気外科用システム。
(項目12)上記能動ラインが、約50Ωのインピーダンスを有する伝達ラインである、項目11に記載の電気外科用システム。
(項目13)上記能動ラインとの機械的協同に配置される第1のキャパシターおよび第2のキャパシターをさらに含み、該第1のキャパシターおよび第2のキャパシターが該能動ラインを隔離するような形態である、項目11または12に記載の電気外科用システム。(項目14)マイクロ波発電機との使用のためのプリント回路板であって:
発電機接地の第1の部分との電気機械的係合のための形態である第1の伝導性層;
患者接地の部分との電気機械的係合のための形態である第2の伝導性層;
該発電機接地の第2の部分との電気機械的係合のための形態である第3の伝導性層;
該第1の伝導性層と該第2の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入された第1の誘電層;
該第2の伝導性層と該第3の伝導性層との間に少なくとも部分的に挿入された第2の誘電層;および
その表面との機械的協同に配置される微小細片、を備える、プリント回路板。
(項目15)上記発電機接地が所定波長を有する周波数を含み、そして上記患者接地が所定波長を有する周波数を含み、そしてここで、上記プリント回路板の少なくとも2つの隣り合う伝導性層が、該発電機接地および該患者接地のうちの少なくとも1つの1波長の約1/4だけ互いに重複する、項目14に記載のプリント回路板。
(項目16)少なくとも部分的にそれを通って配置される複数のバイアをさらに含む、項目14、15または16のいずれか1項に記載のプリント回路板。
(項目17)上記複数のバイアの隣り合うバイア間の間隔が、約15゜未満である、項目16に記載のプリント回路板。
(項目18)マイクロ波切除デバイスにエネルギーを伝達する形態の能動ラインをさらに含む、項目14、15、16または17のいずれか1項に記載のプリント回路板。
【0010】
(摘要)
組織を処理するための電気外科用システムが開示される。このシステムは、電気外科用発電機、プリント回路板、発電機接地および患者接地を含む。このプリント回路板は、上記電気外科用発電機との機械的協同に配置され、そして複数の伝導性層を含む。上記発電機接地は、第1の部分および第2の部分を含む。この第1の部分は、上記プリント回路板の伝導性層に電気機械的に接続され、そして上記第2の部分は、上記プリント回路板の別の伝導性層に電気機械的に接続される。上記患者接地は、上記発電機接地の第1の部分と上記発電機接地の第2の部分との間に少なくとも部分的に挿入されている部分を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態の詳細な説明)
本明細書に開示される電気外科用システムおよびその構成要素の実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面においては、同様の参照番号は、いくつかの図面の各々で同一または対応する要素を指定する。
【0012】
本開示に従う、組織を処理するための、例えば、マイクロ波切除システムを含む電気外科用システムは、図面においては、参照番号100として言及される。最初に
図1を参照して、電気外科用システム100は、それと電気機械的協同に配置されるプリント回路板120を有する電気外科用発電機110を含む。電気外科用システム100はまた、外科用器具200(例えば、マイクロ波切除デバイス)を含み得る。
【0013】
図2および3を参照して、プリント回路板120は複数の層130を含む。これらの層130は、明瞭さのために拡大された厚みを有して示されている。詳細には、プリント回路板120の層130は、図示されるように、少なくとも第1の伝導性層130a、第1の誘電層130b、第2の伝導性層130c、第2の誘電層130d、第3の伝導性層130eおよび第3の誘電層130fを含む。特に、
図2に示されるように、第1の誘電層130bは、プリント回路板120の第1の伝導性層130aと第2の伝導性層130cとの間に挿入されて示される。第2の誘電層130dは、プリント回路板120の第2の伝導性層130c第3の伝導性層130eとの間に挿入されて示される。第3の誘電層130fは、第3の伝導性層130eに隣接して示される。
【0014】
電気外科用発電機110は、プリント回路板120に電気的に接続される発電機接地140を含む。発電機接地140は、少なくとも第1の部分142および第2の部分144を含む。発電機接地140の第1の部分142は、プリント回路板120の伝導性層(例えば、第1の伝導性層130a)に電気機械的に接続され得る。発電機接地140の第2の部分144は、第1の部分142と比較したとき、異なる伝導性層(例えば、第2の伝導性層130cまたは第3の伝導性層130e)に電気機械的に接続され得る。
【0015】
電気外科用発電機110は、伝導性層(例えば、第2の伝導性層130c)に電気機械的に接続される患者接地150をさらに含む。患者接地150は、発電機接地140の第1の部分142と発電機接地140の第2の部分144との間に少なくとも部分的に挿入され得る。
【0016】
認識され得るように、発電機接地140および患者接地150の両方は、それらを通って電流が流れることを可能にするような形態である。これらの電流は、特定の波長を有する周波数を含む。
図3に示されるように、プリント回路板120の少なくとも2つの隣り合う伝導層(例えば、第1の伝導層130aおよび第2の伝導性層130c)は、互いに、少なくとも、発電機接地140および/または患者接地150から流れる電流の1波長の約1/4に等しい距離「d
1」だけ重複することが想定される。1つの特定の実施形態では、距離「d
1」は、約4.0インチ(10.16cm)であり得る。隣り合う伝導性層(例えば、伝導性層130a、130c)のこの重複は、発電機接地140および/または患者接地150によって、特に約500MHzより大きい周波数でのマイクロ波発電機におけるそれらの使用に関して被る種々の損失を最小にすることを支援する。
【0017】
図2および概略的に
図4に示される、本開示の種々の実施形態によれば、プリント回路板120は、その表面との機械的協同に配置される微小細片160を含み得る。微小細片160は、使用者がプリント回路板120を調整できるようにし、発電機接地140および/または患者接地150により被る損失を最適に低減することを支援する。例えば、能動ライン166(例えば、マイクロ波切除デバイス200との電気機械的協同に配置され、そしてマイクロ波切除デバイス200にエネルギーを伝達するような形態である)および/または微小細片160の長さおよび/または幅は、プリント回路板120を支援して調整するように変動され得る。微小細片160は、約0.0787インチ(2.00mm)と約0.0827インチ(2.10mm)との間の幅であり、実施形態では、約0.0807インチ(2.05mm)幅であり得ることが想定される。微小細片160が約0.0807インチ(2.05mm)幅である実施形態では、インピーダンスは約27.3オームに等しくても良く、そしてその長さは約2.5インチ(63.5mm)であり得る。微小細片160は、ほぼ、銅の厚み(約70μmまたは2.7ミル)+それに付随する任意の誘電物質の厚み(約0.5mm〜約1.5mmまたは約20ミル〜約60ミル)に等しい厚みを有し得る。微小細片160は、例えば、銅、銀、および/または金のような適切な電気的に伝導性の材料から構築され得る。
【0018】
微小細片160は、伝達ラインの特性インピーダンス(I)が以下の式:
【0019】
【数1】
で表され得るように、少なくとも1つのインダクター162および少なくとも1つのキャパシター164を含むように、
図4に概略的に示され得る。
【0020】
図4に見られるように、微小細片160は、直列に接続される3つのインダクター162a、162b、162c、インダクター162a、162b、162cの間に並列に接続される2つのキャパシター164a、164b、能動ライン166および接地ライン168を含んで示される。キャパシター164aと164bとは、距離「d
2」だけ分離され、これは、約2.3622インチ(60mm)であり得ることが想定される。
【0021】
図5を参照して、接地ライン168aは、発電機接地140と患者接地150との間のカップリングを表し、ここで、キャパシター164cは、発電機接地140の第1の部分142と患者接地150との間、および発電機接地140の第2の部分144と患者接地150との間のキャパシタンス(静電容量)カップリングの合計を表す。
【0022】
図示されるように、プリント回路板120は、少なくとも部分的にそれを通って配置される複数のバイア170を含み得る(
図2および3)。詳細には、
図2のプリント回路板120は、プリント回路板120の周りの種々の位置に、そして所定の配列で配置されるバイア170を有して示される。
図3は、単一のバイア(via)170を通ってとられたプリント回路板120の一部分の断面図を示す。バイア170は、発電機接地140の第1の部分142を発電機接地140の第2の部分144と電気的に接続することが想定される。開示される実施形態では、複数のバイア170は、隣り合うバイア170から約15゜より小さい波長の間隔を置かれ;例えば、第1のバイア170aは、隣り合う第2のバイア170bから約15゜より小さい波長の間隔を置かれる(
図2)。バイアパターン170cは、バイア170が患者接地150を少なくとも部分的に取り囲み、従って、発電機接地140と患者接地150との間のカップリングを支援して増加するような形態である。さらに、患者接地150からのバイアパターン170cの配列は、電気的に分離されて、比較的低い周波数で(例えば、約60Hz)、患者接地150と発電機接地140との間の比較的高い誘電碍子(standoff)を確実にする。さらに、バイア170の配列は、電気的なボックス中に患者接地と150を取り囲むような形態である。すなわち、患者接地150の頂部部分および底部部分は、各々、発電機接地140の第1の部分142および第2の部分144に結合され、そうして患者接地150の側面部分は、複数のバイア170に結合される。
【0023】
種々の改変が本明細書中に開示される実施形態になされ得ることが理解される。従って、上記の記載は、制限的であると解釈されるべきではなく、種々の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に開示される接地隔離システムの実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に従う電気外科用システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の電気外科用システムとの使用のためのプリント回路板の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のプリント回路板の一部分の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2および3のプリント回路板の微小細片ラインの概略図である。
【
図5】
図5は、
図2および3のプリント回路板の電気的構成要素の概略図である。
【0025】
100 電気外科用システム
110 電気外科用発電機
120 プリント回路板
130a、c、e 伝導性層
130b、d、f 誘電層
140 発電機設置
150 患者接地
160 微小細片
166 能動ライン
170 バイア
200 外科用器具