特許第5698912号(P5698912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698912
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/02 20060101AFI20150319BHJP
   F04B 49/02 20060101ALI20150319BHJP
   F04B 49/08 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   F04B41/02 A
   F04B49/02 331D
   F04B49/08 331
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-48584(P2010-48584)
(22)【出願日】2010年3月5日
(65)【公開番号】特開2011-185104(P2011-185104A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2012年6月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三橋 博
(72)【発明者】
【氏名】成澤 伸之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真弘
(72)【発明者】
【氏名】梅田 憲
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−248846(JP,A)
【文献】 特開2009−008065(JP,A)
【文献】 特開2008−248798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/02
F04B 49/02
F04B 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次圧縮がなされた圧縮流体を圧縮機本体に供給し昇圧し、貯留タンクに貯留する圧縮機において、
前記圧縮機本体の起動後に前記一次圧縮がなされた圧縮流体を負圧にならないように減圧して前記圧縮機本体に供給し、前記貯留タンク内の圧力が上昇すると前記一次圧縮がなされた圧縮流体を減圧せずに前記圧縮機本体に供給することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記一次圧縮がなされた圧縮流体を減圧弁により減圧して前記圧縮機本体の起動時に前記圧縮機本体に供給することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記減圧弁により減圧した圧縮流体を補助タンクに貯留する請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記補助タンクと前記圧縮機本体との間に逆止弁を設けることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記一次圧縮がなされた圧縮流体は大気と構成成分の異なる所定の気体であること特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項6】
前記一次圧縮がなされた圧縮流体はエアードライヤーにより除湿がなされた気体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の圧縮機。
【請求項7】
前記圧縮機本体を起動後に前記貯留タンク内の圧力が所定の上限値以上になった場合に前記圧縮機本体の運転を停止させ、前記圧縮機本体を停止させた後、前記貯留タンク内の圧力が所定の下限値未満になった場合に前記圧縮機本体を再起動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一次圧縮がなされた圧縮流体を圧縮機本体に吸込み昇圧する圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の圧縮機は、一次圧縮がなされた圧縮流体を圧縮機本体に吸込み、昇圧する圧縮機であって、圧縮機の一次圧縮側には、圧縮機の起動時において流体経路内に外気を取り入れる外気取り入れ手段が設けられており、起動負荷を軽減させている。
【0003】
特許文献2の多段圧縮機は、低圧スクロール部で圧縮された圧縮空気が高圧スクロール部に供給される多段圧縮機であって、タンクの圧力が低圧スクロール部から吐出される圧縮空気の圧力に達するまでの間は、低圧スクロール部から直接タンクへ圧縮空気を供給することにより、低圧スクロール部の起動時の負荷を軽減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36052
【特許文献2】特開2004−332556
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の圧縮機は、窒素ガス等特定の気体の昇圧やエアードライヤーで除湿後の気体の昇圧に用いた場合、起動時に大気を取り入れるため、窒素ガス等の純度の低下や除湿後の気体の湿度の上昇が課題となっている。
【0006】
特許文献2の多段圧縮機は、タンクの圧力が低い場合にしか高圧スクロール部の圧力が減圧されないため、起動時であっても、タンクの圧力が高い場合は、十分な減圧がなされず、起動時の負荷を軽減することができない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、一次圧縮された供給気体を用いることにより、気体の純度の低下や湿度の上昇を防止しつつ起動負荷を軽減させた圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明における圧縮機は、一次圧縮がなされた圧縮流体を圧縮機本体に供給し昇圧し、貯留タンクに貯留する圧縮機において、前記圧縮機本体の起動後に前記一次圧縮がなされた圧縮流体を負圧にならないように減圧して前記圧縮機本体に供給し、前記貯留タンク内の圧力が上昇すると前記一次圧縮がなされた圧縮流体を減圧せずに前記圧縮機本体に供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、気体の純度の低下や湿度の上昇を防止しつつ起動負荷を軽減させた圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1における圧縮機空気回路(圧縮機運転中)
図2】本発明の実施例1における圧縮機空気回路(圧縮機停止中)
図3】本発明の実施例1におけるシーケンス図
図4】本発明の実施例1におけるタイミングチャート
図5】本発明の実施例2における圧縮機空気回路(圧縮機運転中)
図6】本発明の実施例2における圧縮機空気回路(圧縮機停止中)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1−4を用いて、本発明の実施例1における構成を説明する。
【0013】
図1図2は本発明の実施例1における圧縮機である。1は、例えば、工場等の設備全体に配置された圧縮流体供給経路の一部に設けられ、不図示の外部圧力供給源から供給された気体を一次圧縮した一次圧縮流体を、圧縮機本体2の駆動によりさらに昇圧して一次圧縮流体よりも高圧の二次圧縮流体とするブースター圧縮機である。一次圧縮流体としては、大気から分離された所定の気体(例えば、高純度の窒素ガス)やエアードライヤーにより除湿がなされた気体を用いる。大気と構成成分が異なる気体であって、大気の混入によって純度の低下や湿度の上昇などの問題が生じるものであれば、一次圧縮流体は大気から分離された気体でなくてもよい。
【0014】
2は、例えば不図示のクランクシャフトの回転動によりシリンダ3内のピストンを往復動させ、吸気室4から吸い込んだ前記一次圧縮流体をシリンダ3内(圧縮室内)で圧縮し、これを前記二次圧縮流体として吐出室5から吐出する圧縮機本体である。該吐出された二次圧縮流体は、例えば圧縮機本体2と一体に設けた貯留タンク(以下タンク6)内に貯留される。該貯留された二次圧縮流体は、タンク6に設けた吐出ノズル7から空圧機器等に供給される。以下、圧縮機本体2に対する吸気室4を含む上流側を一次圧縮側、吐出室5及びタンク6を含む下流側を二次圧縮側とする。また、前記一次圧縮側における一次圧縮流体の経路を一次流体経路8とし、二次圧縮側における二次圧縮流体の経路を二次流体経路9とする。
【0015】
圧縮機本体2は、例えば電動モータ(以下、モータという)11により回転駆動される。モータ11は電磁開閉器33、圧力開閉器6aと接続されており(詳細は図3のシーケンスにて説明する)、タンク6内の圧力に応じて圧力開閉器6aの作動により運転制御される。タンク6内の圧力が所定の上限値未満の場合にはモータ11は通常駆動させて一次圧縮流体の昇圧を行い、タンク6内の圧力が所定の上限値以上となった場合にはモータ11の駆動を停止して該モータ11を含む圧縮機本体2の過負荷運転を防止する。また、タンク6内の圧力が所定の上限値以上の状態から所定下限値未満の状態に戻った際には、モータ11を運転させ圧縮機本体2を再起動させる。なお、所定の下限値は所定の上限値と同じであってもよいし、所定の上限値よりも低い値であってもよい。圧縮機本体2は、一次圧縮がなされた圧縮流体をさらに圧縮するため、特に起動時や再起動時にピストンに圧力が掛りモータへの負荷が増大するといった問題が生じていた。そこで、特に起動時や再起動時には、圧縮機本体2に供給する流体の圧力を大気圧付近にしてモータへの負荷を軽減する必要がある。
【0016】
13は、一次流体経路8及び追加流体経路40と圧縮機本体2との連通を切り替える三方弁である。13は、後述の上流側流体経路8aが接続される上流側ポート14、後述の下流側流体経路8bが接続される下流側ポート15、及び後述の追加流体経路40cに接続される追加ポート16を有するハウジング17内にバルブ体18を往復動可能に収容している。前記バルブ体18が例えば下限位置にあるときに上流側ポート14と下流側ポート15とを連通すると共に追加ポート16を閉塞する一次流体経路連通状態とし、バルブ体18が上限位置にあるときに、上流側ポート14を閉塞すると共に下流側ポート15と追加ポート16とを連通する追加流体経路連通状態となるように三方弁13によって流体の流通経路が切り替えられる。バルブ体18は、スプリング等により前記上限位置に向けて取り付けられている。三方弁13は、タンク6内の圧力によって、バルブ体18を往復動させるので、電磁弁とは異なり大きな電力を供給しなくても強い力でバルブ体18を押し付けることができる。従って、一次流体経路8内の圧力が高く、一次流体経路8の径が大きい場合であっても消費電力の増大を招かずに所望の動作を行うことができる。
【0017】
本実施例では一次流体経路8中に設けられた三方弁13の追加ポート16に一次流体経路8と並行して追加一次流体経路40(以下追加流体経路とする)を設けた。追加流体経路40の上流は一次流体経路8上のフィルタ32の上流で一次圧縮流体の配管から分岐接続されている。追加流体経路40は、追加流体経路40a、追加流体経路40b、追加流体経路40cから構成される。追加流体経路40aに弁50、減圧弁48を設け補助タンク47に接続される。補助タンク47の後方には追加流体経路40bを設けその経路上に逆止弁46、フィルター45、電磁弁44、弁49が設けられ追加流体経路40cが三方弁17の追加ポート16に接続されている。
【0018】
本実施例では、圧縮機本体2の起動(再起動)時に、追加流体経路40から一次圧縮流体を減圧して圧縮機本体2に供給するために、大気から圧縮機本体2に供給する場合とは異なり、追加流体経路40の圧力が低くなりすぎる可能性がある。この場合、追加流体経路40を構成する配管や圧縮機本体が損傷する可能性がある。そこで、本実施例では、追加流体経路40に補助タンク47を設けた。これにより、追加流体経路40内の圧力が負圧になり、追加流体経路40を構成する配管の損傷を防止することができる。また、本実施例では、補助タンク47と三方弁13との間に逆止弁46を設けた。これにより、補助タンク47内に追加流体経路40bの流体が逆流し、後述の減圧弁48の損傷を防止することができる。
【0019】
48は、追加流体経路40中に設けられ、一次圧縮流体を減圧して圧縮機本体2に供給する減圧弁である。減圧弁48は起動、再起動時に圧縮機が追加ポート16より一次圧縮流体を吸込んだ時に負圧にならず、また起動負荷の軽減が可能な様に運転中に補助タンク47の圧力が例えば大気圧付近の0.1MPa前後になるように一次圧縮流体を減圧する。この圧力は一次圧縮流体の圧力と流量、圧縮機の容量で負荷状態によって決めることが出来る。これにより、一次圧縮流体を大気圧付近まで減圧して圧縮機本体2に供給し、一次圧縮流体の純度の低下や湿度の上昇などを招かずに圧縮機本体2の起動時、再起動時の負荷を軽減させることができる。
【0020】
三方弁13は、モータ11の通常駆動状態には一次流体経路8に設けた三方弁13がその上流側の一次流体経路8(以下、上流側流体経路8aという)と下流側の一次流体経路8(以下、下流側流体経路8bという)とを連通した一次流体経路連通状態となり、圧縮機本体2に一次圧縮流体を供給可能とする。
【0021】
このとき、タンク6内の圧力が所定の上限値まで増加すると、モータ11の駆動が停止すると共に、三方弁13が前記一次流体経路連通状態から前記下流側流体経路8bと追加流体経路40cとを連通した追加流体経路連通状態に切り替わり、圧縮機本体2の再起動直後に大気圧付近まで減圧された追加流体経路40cからの流体を吸入可能として起動負荷を軽減させる(図2参照)。
【0022】
そして、タンク6内の二次圧縮流体の使用等により、該タンク6内の圧力が所定の下限値まで低下すると、モータ11が前記通常駆動状態に戻ると共に、三方弁13が前記追加流体経路連通状態から一次流体経路連通状態へと徐々に切り替わる。なお、図中符号6aはタンク6内の圧力を検出する圧力開閉器を示す。
【0023】
バルブ体18の上端側には、ハウジング17内に形成されたシリンダ17a内に臨むピストン18aが設けられる。シリンダ17aにはタンク6から延びる圧力供給経路21が接続され、該圧力供給経路21を介してタンク6内の圧力がシリンダ17a内に供給されることで、ピストン18aと共にバルブ体18が前記付勢力に抗して下方に移動し、三方弁13が前記一次流体経路連通状態となる。一方、シリンダ17a内への圧力供給が停止すると、ピストン18aと共にバルブ体18が前記付勢力により上方に移動し、三方弁13が前記追加流体経路連通状態に切り替わる。バルブ体18を下方に移動させるために要するタンク6内の圧力は、モータ11が停止する前記所定の上限値よりも低く大気圧よりも高い値とされる。
【0024】
22は、圧力供給経路21と三方弁3との間に設けられ、圧力供給経路21と三方弁3との連通を切り替える電磁弁である。該電磁弁22は、そのタンク6側の圧力供給経路21(タンク側供給経路21a)と三方弁13側の圧力供給経路21(バルブ側供給経路21b)とを連通した経路連通状態と、前記連通を遮断した連通遮断状態とを切り替える。電磁弁22は、前記タンク側供給経路21aが接続されるタンク側ポート23、及びバルブ側供給経路21bが接続されるバルブ側ポート24、大気に連通した大気ポート27を有するハウジング25内にバルブ体26を往復動可能に収容してなり、前記バルブ体26が例えば上限位置にあるときには、タンク側ポート23とバルブ側ポート24とを連通した前記経路連通状態となり、バルブ体26が下限位置にあるときには、前記連通を遮断した前記連通遮断しバルブ側ポート24を大気ポートへ連通した状態となる。
【0025】
バルブ体26の上端側は、ハウジング25内に支持されたソレノイド25aに挿通され、該ソレノイド25aへの通電の有無によりバルブ体26が上下動することで、電磁弁22が前記経路連通状態又は連通遮断状態に切り替わる。
【0026】
電磁弁22の駆動は電磁開閉器33により制御され、タンク6内の圧力が前記上限値未満であれば、電磁弁22が前記経路連通状態となり、圧力供給経路21を介して三方弁13にタンク6内の圧力が供給され、該三方弁13が前記一次流体経路連通状態に切り替わる。一方、タンク6内の圧力が前記上限値まで増加すると、電磁弁22が前記連通遮断状態に切り替わり圧力供給経路21bが大気開放されるため、三方弁13への圧力供給が遮断され、該三方弁13が前記追加流体経路連通状態となる。また、この状態からタンク6内の圧力が前記下限値まで低下すると、電磁弁22が経路連通状態に戻り、三方弁13が一次流体経路連通状態に戻る。
【0027】
28は圧力供給経路21のバルブ側供給経路21bに設けられて圧縮機本体2の再起動時に三方弁13の連通状態を徐々に変化させる流量調整弁を示す。
【0028】
32は一次流体経路8の上流側流体経路8aに設けられたドレン除去機能を有するフィルタである。
【0029】
46は圧縮機の異常や電磁弁41の異常で減圧弁48に負荷がかからないように設けられた逆止弁である。
【0030】
49、50はメンテナンス時に圧縮機本体2内の流体と一次圧縮流体とを遮断するために設けられた弁である。
【0031】
本実施例の圧縮機1によれば、圧縮機本体2の起動、再起動時において一次圧縮がされた圧縮流体を大気圧付近まで減圧して圧縮機本体2に供給することができる。特に、一次圧縮がされた流体が大気と構成成分の異なる所定の気体である場合は、気体の純度を維持しつつ、圧縮機本体2の起動負荷を軽減させることができる。また、一次圧縮がされた流体がエアードライヤーにより除湿がなされた流体である場合は、湿度の上昇を防止しつつ圧縮機本体の起動負荷を軽減することができる。
【0032】
次に、図3により圧縮機1のシーケンスを説明する。なお、図中でこれまで説明した構成要素と同一部品には同一の番号で示した。
【0033】
モータ11は電磁開閉器33内の電磁接触器61とサマルリレー62を介して電源60に接続されている。一方、電磁開閉器33の操作回路には電磁弁22、電磁弁44、圧力開閉器6a、電源スイッチ(起動スイッチ)63が接続されている。起動スイッチ63を入れることにより電磁接触器61が閉隣電磁弁22に通電されるとともにモータ11が駆動される。これにより、電磁弁22、44が経路連通状態となる。起動直後においては、三方弁13内のバルブ体18が上方にあるため、三方弁13内は、追加流体経路連通状態である。起動後、タンク6内の圧力が上昇すると圧力供給経路21を介して三方弁13にタンク6内の圧力が供給され、該三方弁13が一次流体経路連通状態に徐々に切り替わる。また、タンク内圧力が所定の圧力まで上昇すると圧力開閉器6aが開となり電磁接触器61が開となりモータが停止するとともに電磁弁22への通電が遮断される。これにより、電磁弁22が連通遮断状態に切り替わり圧力供給経路21bが大気開放されるため、三方弁13への圧力供給が遮断され、該三方弁13が追加流体経路連通状態に切り替わる。
【0034】
次に、これらの各部動作と圧力変化を図4のタイミングチャートを用いて説明する。
【0035】
図4は縦に各部スイッチ、弁などの動作状態と各部の圧力を示し、横軸は時間を示す。また、縦の破線は代表的な状態を示し、(1)〜(5)の状態をもって各部の動作を説明する。
【0036】
(1)〜(2)は停止状態を示す。停止状態において、一次流体経路8には一次圧縮流体の圧力が作用している。また、タンク6内の圧力はかかっていないため圧力開閉器6aは閉の状態である。また、電磁弁44の弁体42は上昇していて追加流体経路40を遮断している。
【0037】
(2)の時点で起動スイッチ63を開にすることでシーケンス図でも示したように電磁接触器61が開となりモータ11が運転状態となる。ここで、三方弁のシリンダ17a内に圧力が作用して弁体18が下降して追加ポート16を遮断するまでの間は一次圧縮流体が減圧弁47によって大気圧付近まで減圧された状態で圧縮機に供給され、負荷軽減の状態で起動する。即ち、電磁弁22にも通電され圧力供給経路21と三方弁間が連通状態となるがタンク6内の圧力が低いため三方弁は追加流体経路40cに通じた状態であり通路8bは大気圧付近まで減圧された補助タンク47の圧力であり、圧縮機本体2は無負荷運転となる。この間に圧縮機は回転が上昇する。
【0038】
(3)の時点は、タンク圧力が高くなり流量調整弁28を通って三方弁シリンダ内17aの圧力が上昇すると三方弁の弁体18が下降しの位置で追加ポート16を遮断し経路8aと8b間を連通し、三方弁13が一次流体経路連通状態となる。三方弁13が一次流体経路連通状態となると、一次圧縮流体圧力からの昇圧運転となりタンク6内の圧力の上昇も早くなる。
【0039】
(4)の時点では、タンク6内の圧力が上昇し所定の上限値になり、圧力開閉器6aが開となり電磁接触器61が開、モータ11が停止、電磁弁22の通電が遮断され弁26が下降する。このとき、三方弁13のシリンダ17aが大気圧となるため、追加流体経路連通状態となり、吸込み経路8bが大気圧付近まで減圧された補助タンク47の圧力となる。また、また電磁弁41も追加流体経路40を遮断し一次圧縮流体は圧縮機側へ流れないようになる。
【0040】
(5)の時点では、圧縮機の空気が使用されタンク6内の圧力が低下し、圧力開閉器6aが閉となりモータ11が再起動する。この時点においては、三方弁は追加流体経路40cに通じた状態であり通路8bは大気圧付近まで減圧された補助タンク47の圧力であり、圧縮機本体2は無負荷運転となる。モータ11が再起動すると電磁弁22に通電されタンク圧力が流量調整弁28を通って絞りによる時間遅れの後、三方弁13のシリンダ17aの圧力が上昇する。シリンダ17aの圧力が上昇すると追加ポート16が徐々に遮断され吸込み経路8aと8bが連通され一次圧縮流体による昇圧となる。
【0041】
以上説明した本実施例によれば、圧縮機本体2の起動(再起動時)に一次圧縮がなされた圧縮流体を減圧して圧縮機本体2に供給することとしたため、一次圧縮流体の純度の低下や湿度の上昇を招かずに圧縮機本体2の起動(再起動時)の負荷を低減させることができる。
【実施例2】
【0042】
図5、6を用いて本発明の実施例2における構成を説明する。ここでは、実施例1と同じ構成には同じ符号で示し、その説明を省略する。本実施例では、実施例1の三方弁13に代えて電磁弁60を用いたことを特徴としている。一次圧縮流体の圧力がそれほど高くなく、一次流体経路8にそれほど大きな圧力がかからない場合において、三方弁13に代えて電磁弁60を用いても
60は、一次流体経路8及び追加流体経路40と圧縮機本体2との連通を切り替える電磁弁である。60は、上流側流体経路8aが接続される上流側ポート14、下流側流体経路8bが接続される下流側ポート15、及び追加流体経路40cに接続される追加ポート16を備え、弁体61を往復動可能に収容している。図5のように弁体61が例えば下限位置にあるときに上流側ポート14と下流側ポート15とを連通すると共に追加ポート16を閉塞する一次流体経路連通状態とし、図6のように弁体61が上限位置にあるときに、上流側ポート14を閉塞すると共に下流側ポート15と追加ポート16とを連通する追加流体経路連通状態となるように電磁弁60によって流体の流通経路が切り替えられる。電磁弁60の駆動後において、弁体61が急激に上限位置から下限位置に移動しないために、弁体61はスプリング等により上限位置に向けて取り付けられている。
【0043】
一次圧縮流体の圧力がそれほど高くなく、一次流体経路8にそれほど大きな圧力がかからない場合において、三方弁13に代えて電磁弁60を用いても一次流体経路8及び追加流体経路40と圧縮機本体2との連通を消費電力の増大を招かずに切り替えることは可能である。この場合、三方弁13を配置する必要がないため、部品点数を少なくすることができ、省スペース化・低コスト化を実現することができる。
【0044】
ここで、電磁弁60の動作について説明する。電磁弁60は実施例1の電磁弁22と同様に起動スイッチ63を開にすることでモータ11と共に駆動される。起動時には、図6のように電磁弁60の弁体61は上限位置にあり、上流側ポート14を閉塞すると共に下流側ポート15と追加ポート16とを連通する追加流体経路連通状態となっている。これにより、起動時には、一次圧縮流体が減圧弁47によって大気圧付近まで減圧された状態で追加流体経路40を通じて圧縮機本体2に供給され、負荷軽減の状態で起動する。起動後、電磁弁60の弁体61は徐々に下限位置に向けて移動する。電磁弁60の弁体61が下限位置まで移動すると、上流側ポート14と下流側ポート15とを連通すると共に追加ポート16を閉塞する一次流体経路連通状態となる。これにより、一次圧縮流体が一次流体経路8を通じて圧縮機本体2に供給され、一次圧縮流体圧力からの昇圧運転となりタンク6内の圧力の上昇も早くなる。
【0045】
以上説明した本実施例によれば、実施例1と同様に圧縮機本体2の起動(再起動時)に一次圧縮がなされた圧縮流体を減圧して圧縮機本体2に供給することとしたため、一次圧縮流体の純度の低下や湿度の上昇を招かずに圧縮機本体2の起動(再起動時)の負荷を低減させることができる。また、特に、一次圧縮流体の圧力がそれほど高くなく、一次流体経路8にそれほど大きな圧力がかからない場合において、実施例1と比較して部品点数を少なくすることができ、省スペース化・低コスト化を実現することができる。
【0046】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
6 タンク
6a 圧力開閉器
8 一次流体経路(8a、8b)
11 モータ
13 三方弁
16 三方弁13の追加ポート
18 三方弁13の弁体
21 圧力供給経路
22 電磁弁
26 電磁弁22の弁体
28 流量調整弁
33 電磁開閉器
40 追加流体経路(40a、40b、40c)
42 電磁弁44の弁体
44 電磁弁
46 逆止弁
47 補助タンク
48 減圧弁
60 電磁弁
61 電磁弁60の弁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6