【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明の医薬品用の粉体圧縮成形物は、
生薬粉体を主成分とする原料組成物が型内で打錠されてなる医薬品用の粉体圧縮成形物であって、
球状シリカ粒子からなり、打錠後の前記粉体圧縮成形物を型から放出する際に必要となる放出力が、配合されていない場合と比較して1割以上低減可能な離型促進用添加剤が、前記原料組成物中に配合されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成された医薬品用の粉体圧縮成形物によれば、離型促進用添加剤として
球状シリカ粒子を添加したことにより、比較的少量の添加でも粉体圧縮成形物の硬度を十分に上昇させることができる。
【0014】
そのため、例えば、錠剤化したときの硬度が低くなりやすい薬物(例えば、生薬粉末など)を主薬とする錠剤であっても、硬度を改善することができ、包装・充填工程や輸送過程で必要となる程度の十分な硬度を得ることができる
。
【0015】
しかも、この
球状シリカ粒子の形状が、球状粒子とされているので、不定形の無機材料粒子(例えば、破砕状粒子)を利用した場合に比べると、同程度の量の無機材料粒子を添加した場合であっても、打錠後の粉体圧縮成形物を型から放出する際に必要となる放出力を低減することができる。
【0016】
この事実は、本件発明者らが数多くの実験を繰り返す中で確認したことであり、粉体を主成分とする原料組成物中に無機材料粒子を添加して打錠を行う技術そのものは過去に類例があるものの、その無機材料粒子の形状については、これまで何ら検討されていない。特に、球状粒子を選択することで放出力を低減できるという点に関しては、過去にそのような報告例は存在しない。
【0017】
この点、本発明においては、
球状シリカ粒子からなる離型促進用添加剤を配合したので、打錠後の粉体圧縮成形物を型から放出する際に必要となる放出力を低減することができ、しかも、この離型促進用添加剤が、粉体圧縮成形物の硬度を上昇させる作用も併せ持つ。したがって、本発明によれば、硬度が十分に高い上に打錠機の臼から抜くときに必要な放出力が小さい粉体圧縮成形物を提供することができる。
【0018】
このような粉体圧縮成形物は、医薬品用途においては特に有益なものとなる。すなわち、医薬品用途においては、服用時に適切な量を服用する必要がある都合上、一般的な食品用途以上に品質レベルを高くする必要があり、最終製品の欠けや割れが問題となる。
【0019】
そのため、一方では、打錠後の包装状態での欠けや割れを防ぐ必要があり、それには錠剤の硬度をある程度高くする必要がある。しかし、錠剤の硬度を高くした結果、錠剤を型から抜くときに必要な放出力が上昇すると、錠剤を型から抜く際に過大な力が必要となり、これが原因で製造時に欠けや割れが発生するようでは、これも問題になる。
【0020】
この点、本発明においては、粉体圧縮成形物を型から放出する際に必要となる放出力を低減させつつ、粉体圧縮成形物の硬度を高めることができるので、製造時の欠けや割れを抑制ないし防止しつつ、その後の包装状態における欠けや割れも抑制ないし防止でき、これにより、医薬品用としての錠剤に要求される品質を確保することができる。
【0021】
なお、本発明の医薬品用の粉体圧縮成形物において、離型促進用添加
剤としては、球状シリカ粒子を
配合することが好ましい。また、球状シリカ粒子としては、多孔質構造のシリカ粒子、非多孔質構造のシリカ粒子、いずれを利用してもよく、さらには、中空構造のシリカ粒子などであってもよい。
【0023】
加えて、
シリカの粉末をバインダーとともに液体に分散した後、スプレードライヤーなどで噴霧乾燥して成型した凝集状態の球状粒子なども利用可能である。あるいは、
シリカ粉末を押し出し成形した後、マルメライザー等の造粒装置を利用して球状に成形したものを利用してもよい。
【0024】
また、本発明の医薬品用の粉体圧縮成形物において、打錠対象となる原料組成物は、
生薬粉体を主成分とするものであれば、主成分以外の成分として、打錠による圧縮成形を妨げない範囲内で、粉体以外の成分(例えば、油類のような液状成分等)をいくらか含んでいてもよい。
【0025】
ところで、この粉体圧縮成形物において、離型促進用添加剤は、球状粒子であることが重要であり、粒子径などについては適宜最適化することで、必要な硬度を確保でき、且つ放出力を十分に低減させることができれば、特に限定されないが、好ましくは、離型促進用添加剤が、平均粒子径30−230μmの
球状シリカ粒子、さらに好ましくは、平均粒子径30−90μmの
球状シリカ粒子からなるとよい。
【0026】
上記のような平均粒子径の
球状シリカ粒子を添加することにより、粉体圧縮成形物表面には適度な寸法の凹凸が形成され、これにより、型からの放出力の増大を抑制することができる。なお、
球状シリカ粒子の平均粒子径が0.1μmを下回ると、粉体圧縮成形物表面には期待するほど十分な凹凸が形成されず、放出力の増大を抑制効果が弱まる傾向がある。また、
球状シリカ粒子の平均粒子径が0.1μmを下回ると、粉体圧縮成形物内部で偏析が起こりやすくなり、硬度を改善する効果も弱まる傾向がある。
【0027】
また、離型促進用添加剤の配合量については、離型促進用添加剤以外の成分によって型からの放出力や硬度が変わるので、一概には特定できないが、多くの場合、離型促進用添加剤は、原料組成物全体に対する重量比で0.1−5%配合されていると、型からの放出力を低減でき、粉体圧縮成形物の硬度も良好なものとなる。
【0028】
また、以上のような離型促進用添加剤は、どのような手順で原料組成物中に配合されたものであってもよいが、一例を挙げれば、原料組成物の一部又は全部からなる顆粒が調製されてから、一部又は全部が顆粒からなる原料組成物の全部が、型内で打錠される場合であれば、顆粒が調製される際に離型促進用添加剤を顆粒中に配合するとよい。あるいは、顆粒の調製後にその顆粒と離型促進用添加剤と混合してから、それらを型内で打錠してもよい。
【0029】
なお、本発明の粉体圧縮成形物の製造方法は、生薬粉体を主成分とする原料組成物を調製する調製工程と、前記原料組成物を型内で打錠する打錠工程とを含み、
球状シリカ粒子からなり、打錠後の前記粉体圧縮成形物を型から放出する際に必要となる放出力
が、配合されていない場合と比較して1割以上低減可能な離型促進用添加剤が、前記調製工程において前記原料組成物中に配合されることを特徴とする。
【0030】
このような粉体圧縮成形物の製造方法によれば、すでに説明した通りの本発明の粉体圧縮成形物を製造することができる。