特許第5698966号(P5698966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698966浚渫作業用の汚濁防止装置及び汚濁防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698966
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】浚渫作業用の汚濁防止装置及び汚濁防止方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 15/00 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   E02B15/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-282055(P2010-282055)
(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公開番号】特開2012-127161(P2012-127161A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062982
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 泰晴
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁
(72)【発明者】
【氏名】池田 省三
(72)【発明者】
【氏名】戸田 泰和
(72)【発明者】
【氏名】松本 歩
(72)【発明者】
【氏名】金山 進
(72)【発明者】
【氏名】山本 晴樹
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−046634(JP,U)
【文献】 実開昭57−160335(JP,U)
【文献】 特開2012−052351(JP,A)
【文献】 特開2009−161911(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3143948(JP,U)
【文献】 特開2007−077669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 15/00
E02F 3/88
E02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土運船と汚濁防止枠との間に介挿される、上記土運船側に配置される土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側に配置される汚濁防止枠側浮体と、
上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体とを常時互いに離間する方向に付勢する付勢手段と、
一端を上記土運船側浮体に固定し、他端を上記汚濁防止側浮体及び汚濁防止枠の枠上を越えてから上記汚濁防止枠内に垂下させて、上記土運船と汚濁防止枠との間の隙間を覆うようにした汚濁防止シートとよりなることを特徴とする浚渫作業用の汚濁防止装置。
【請求項2】
上記付勢手段が、上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体との間に設けた伸張部材であることを特徴とする請求項1記載の浚渫作業用の汚濁防止装置。
【請求項3】
上記付勢手段が、上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体とをそれぞれ傾動自在に連結するアーム部材と、上記土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側浮体とのいずれか一方に設けた、上記アーム部材を傾動制御する付勢部材とよりなることを特徴とする請求項1記載の浚渫作業用の汚濁防止装置。
【請求項4】
土運船と汚濁防止枠との間に介挿される、上記土運船側に配置される土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側に配置される上記汚濁防止枠側浮体とを付勢手段により、常時互いに離間する方向に付勢し、
一端を上記付勢装置に固定し、他端を上記汚濁防止枠側浮体及び上記汚濁防止枠の枠上を越えてから上記汚濁防止枠内に垂下させる汚濁防止シートにより、上記土運船と上記汚濁防止枠との間の隙間を覆うことを特徴とする浚渫作業用の汚濁防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫作業用の汚濁防止装置及び汚濁防止方法、特に、水域に設置した汚濁防止枠と土運船との間に介挿させた、浚渫作業用の汚濁防止装置及び汚濁防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浚渫作業は、図15に示すように、グラブ式浚渫船やバックホウ式浚渫船などの浚渫船1の前方に、浚渫区域を矩形状に囲む汚濁防止枠2をロープ3等により繋留し、また、上記浚渫船1の舷側に、土運船4をロープ5等により繋留して、この土運船4を上記浚渫船1と上記汚濁防止枠2とに並設するように配置する。
【0003】
そして、上記浚渫船1に装備した、例えば、揚重機6のグラブバケット7により上記汚濁防止枠2内の水底を掘削し、この掘削した土砂を掴んだ上記グラブバケット7を水上まで引き上げ、上記揚重機6のブーム8を旋回して、上記グラブバケット7を上記土運船4まで移動させた後に、上記グラブバケット7を開いて上記掘削した土砂を上記土運船4に積み込むようにする。
【0004】
また、上記グラブバケット7の移動中に、このグラブバケット7の隙間から土砂及び濁水がこぼれ、上記汚濁防止枠2と上記土運船4との間の間隙に落ちて、汚濁防止枠外で汚濁が発生するのを防止するために、上記土運船4の舷側の縁部4aに、上記汚濁防止枠2上まで突出して延びる、例えば、長さが2mの土砂落下防止板9を設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記土運船4は、掘削土砂の積み込みに伴い船体が下がるため、上記浚渫船1と上記土運船4とを固定するロープに予め一定の余裕長を確保している。そして、このロープの緩み代があるため、風、潮位等の影響で上記土運船4が動揺する際に、上記汚濁防止枠2と上記土運船4との距離が例えば、4m程度まで開いてしまうことがある。このため、上記土砂落下防止板9を設置していても、上記グラブバケット7からの土砂及び濁水が上記汚濁防止枠2と上記土運船4との間の間隙に落ちて、上記汚濁防止枠外で汚濁が発生するという欠点があった。
【0006】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置は、土運船と汚濁防止枠との間に介挿される、上記土運船側に配置される土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側に配置される汚濁防止枠側浮体と、上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体とを常時互いに離間する方向に付勢する付勢手段と、一端を上記土運船側浮体に固定し、他端を上記汚濁防止側浮体及び汚濁防止枠の枠上を越えてから上記汚濁防止枠内に垂下させて、上記土運船と汚濁防止枠との間の隙間を覆うようにした汚濁防止シートとよりなることを特徴とする。
【0008】
また、上記付勢手段が、上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体との間に設けた伸張部材であることを特徴とする。
【0009】
また、上記付勢手段が、上記土運船側浮体と上記汚濁防止枠側浮体とをそれぞれ傾動自在に連結するアーム部材と、上記土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側浮体とのいずれか一方に設けた、上記アーム部材を傾動制御する付勢部材とよりなることを特徴とする。
【0010】
また、浚渫作業用の汚濁防止方法は、土運船と汚濁防止枠との間に介挿される、上記土運船側に配置される土運船側浮体及び上記汚濁防止枠側に配置される上記汚濁防止枠側浮体とを付勢手段により、常時互いに離間する方向に付勢し、一端を上記付勢装置に固定し、他端を上記汚濁防止枠側浮体及び上記汚濁防止枠の枠上を越えてから上記汚濁防止枠内に垂下させる汚濁防止シートにより、上記土運船と上記汚濁防止枠との間の隙間を覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、浚渫船のグラブバケットからの土砂及び濁水が上記土運船と汚濁防止枠との間に落下しても、汚濁防止装置の汚濁防止シート上に落ちて、そこから上記汚濁防止枠内に戻るので、汚濁防止枠外で汚濁が発生することがないという大きな利益がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の正面図である。
図2】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の平面図である。
図3】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の側面図である。
図4】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の正面図である。
図5】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の平面図である。
図6】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の汚濁防止シートを省略した平面図である。
図7】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の他の実施例の正面図である。
図8】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の更に他の実施例の平面図である。
図9】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の更に他の実施例の側面図である。
図10】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の更に他の実施例の正面図である。
図11】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第1実施例の更に他の実施例の平面図である。
図12】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第2実施例の平面図である。
図13】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第2実施例の正面図である。
図14】本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第2実施例の汚濁防止シートを省略した平面図である。
図15】浚渫船と汚濁防止枠と土運船との配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1図3は、本発明の第1の実施例における浚渫作業用の汚濁防止装置を示し、10は、土運船4の舷側と汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される、上記土運船4の舷側に沿って配置される棒状の土運船側浮体、11は、上記土運船4の舷側と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される、上記汚濁防止枠2の浮体2aに沿って配置される棒状の汚濁防止枠側浮体、12は、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11との間に配置される中間浮体、13は、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間する方向に付勢する付勢手段である。
【0015】
また、14は、一端を上記土運船側浮体10に固定し、他端を上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる矩形状の汚濁防止シート、15は、上記汚濁防止シート14の他端に固定した管またはチェーンなどの重垂である。なお、上記汚濁防止シート14の幅は、上記汚濁防止枠2の浮体2aの一辺の長さと同じであるのが好ましいが、浮体2aの一辺の長さより短くても、浚渫船1の揚重機6のグラブバケット7の通過範囲を十分覆うことのできる長さであれば良い。
【0016】
また、16は、上記中間浮体12及び上記汚濁防止枠側浮体11の上面両端にそれぞれ突出して設けると共に、その上部において互いに向かい合う方向に折れ曲げた折曲部16aを有する、上汚濁防止シート14のズレを防止するためのガイドである。
【0017】
また、上記付勢手段13は、互いに隣り合う上記浮体間にそれぞれ固定した、例えばコイルバネ、スポンジ状部材や空気バネなどの伸張部材17により構成される。
【0018】
また、上記各浮体は、例えば直径700mmの鋼管の外周をフロータで覆うことにより構成されている。
【0019】
なお、図4図6は、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される前の本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置を示し、上記汚濁防止装置の自然長Lは、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間が開いてしまう最大距離よりも長くなるように構成されている。
【0020】
従って、この汚濁防止装置を上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿することにより、上記伸張部材17の付勢力により、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間して、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとをそれぞれ押圧するようになり、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2の浮体2aに接する場所に位置するようになる。
【0021】
また、図4に示すように、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状をそれぞれ異ならしめ、上記各浮体を水中に浮かべた時に、上記各浮体の水面からの突出高さが土運船側浮体10、中間浮体12、汚濁防止側浮体11、汚濁防止枠2の浮体2aに従って順次低くなるように形成させる。これにより、上記各浮体上に敷設された上記汚濁防止シート14は上記土運船から上記汚濁防止枠2の浮体2aに向かうに従って次第に低くなるように傾斜するようになる。
【0022】
本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置は上記のような構成であるから、図4及び図5に示す自然長状態の汚濁防止装置を圧縮させて、図1及び図2に示すように、上記土運船4の舷側と上記汚濁防止枠2の浮体2a間に介挿し、上記汚濁防止シート14の他端を上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる。
【0023】
これにより、上述したように、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2に接する場所に位置するようになる。そして、上記汚濁防止シート14の重垂15の重りにより、上記汚濁防止シート14の他端が下方に引っぱられ、上記汚濁防水シート14が上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上で張力を有した状態で敷設され、上記汚濁防止シート14は上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うようになる。
【0024】
そして、浚渫作業中に、グラブバケット7からの土砂及び濁水が上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aの間に落下しても、上記土砂及び濁水は、上記汚濁防止シート14上に落ち、そこから上記汚濁防止シート14の傾斜により汚濁防止枠内に戻り、汚濁防止枠外で汚濁が発生することがなくなるようになる。
【0025】
本発明によれば、風、潮位等の影響により、土運船4と汚濁防止枠2との距離が変わっても、上記汚濁防止シート14は、常時、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うから、汚濁防止枠外に土砂及び濁水が流出せず汚濁が発生することがないという大きな利益がある。
【0026】
なお、上記各浮体の断面形状は円形のほか、図7に示すように、矩形としてもよい。
【0027】
また、図8及び図9に示すように、上記汚濁防止シート14の上面両側にそれぞれ、上記汚濁防止シート14の一端から他端に向かって形成された土砂落下防止突片18を設け、上記汚濁防止シート14上に落下した土砂及び濁水が汚濁防止シート14の側面からの落ちるのを防止するようにしてもよい。
【0028】
また、上記中間浮体12は2以上あっても良い。また、上記中間浮体12を省略してもよい。
【0029】
また、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状をそれぞれ異ならしめる代わりに、図10及び図11に示すように、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状を同じにすると共に、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の上面にそれぞれシート支持部材19a,19b,19cを突設する。そして、上記土運船側浮体10に設けたシート支持部材19a、上記中間浮体12に設けたシート支持部材19b、上記汚濁防止側浮体11に設けたシート支持部材19cを、上記汚濁防止枠2に向かうに従って順次低くなるようにして、上記各浮体上に張設された汚濁防止シート14を傾斜させるようにしてもよい。
【0030】
なお、この場合においては、上記ガイド16を各浮体11、12に設ける代わりに、上記各シート支持部材19b、19c上に設けるようにする。
【実施例2】
【0031】
図12及び図13は、本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第2の実施例を示し、この第2の実施例においては、上記第1の実施例における付勢手段13を伸張部材17で構成する代わりに、上記付勢手段13を、上記第1実施例における上記中間浮体12を省略し、上記土運船側浮体10の側面に第1の取付金具20を固定すると共に、上記汚濁防止枠側浮体11の側面に第2の取付金具21を固定し、この第1の取付金具20及び第2の取付金具21とをそれぞれ枢支部22、23において傾動自在に連結するアーム部材24を設ける。また、上記汚濁防止枠浮体11に対して上記アーム部材24を垂直になる方向に傾動するように制御するコイルバネ、板バネなどの付勢部材25を設ける。
【0032】
なお、図14は、土運船4と汚濁防止枠2との間に介挿される前の本発明の第2実施例の浚渫作業用の汚濁防止装置(図14中において汚濁防止シートは省略)を示し、上記汚濁防止枠側浮体11に対して上記アーム部材24が垂直になるまで傾動し、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠浮体11との間が最大開く時の上記汚濁防止装置の長さMは、上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間が開いてしまう最大距離よりも長くなるように構成されている。
【0033】
従って、上記第1実施例と同様に、この汚濁防止装置を上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿することにより、上記付勢部材25の付勢力により、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間して、上記第1実施例と同様に、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとをそれぞれ押圧するようになり、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2の浮体2aに接する場所に位置するようになる。
【0034】
なお、26は、上記汚濁防止枠側浮体11に対して傾斜した上記アーム部材24が、上記付勢部材25の付勢力により垂直となり、そこからさらに垂直方向を越えて傾動するのを防止するための傾動規制部材である。なお、この制動規制部材26を省略してもよい。
【0035】
本発明の第2の実施例における浚渫作業用の汚濁防止装置は上記のような構成であるから、上記アーム部材24を、図14に示すように上記汚濁防止枠側浮体11に対して垂直にある状態から、図12に示すように傾動させて上記付勢部材25を圧縮し、上記土運船4の舷側と汚濁防止枠2の浮体2a間に介挿し、上記汚濁防止シート14の他端を上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる。
【0036】
これにより、上述したように、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2に接する場所に位置するようになる。そして、上記汚濁防止シート14の重垂15の重りにより、汚濁防止シート14の他端が下方に引っぱられ、上記汚濁防水シート14が汚濁防止枠側浮体11及び汚濁防止枠の浮体2a上で張力を有した状態で敷設され、上記汚濁防止シート14は上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うようになる。
【0037】
そして、浚渫作業中に、グラブバケット7からの土砂及び濁水が上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aの間に落下しても、上記土砂及び濁水は、上記汚濁防止シート14上に落ち、そこから上記汚濁防止シート14の傾斜により汚濁防止枠内に戻り、汚濁防止枠外で汚濁が発生することがなくなるようになる。
【0038】
本発明の第2の実施例においても、上記第1実施例と同様に、風、潮位等の影響により、土運船4と汚濁防止枠2との距離が変わっても、上記汚濁防止シート14は、常時、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うから、汚濁防止枠外に土砂及び濁水が流出せず汚濁が発生することがないという大きな利益がある。
【符号の説明】
【0039】
1 浚渫船
2 汚濁防止枠
2a 浮体
2b 汚濁防止膜
3 ロープ
4 土運船
4a 縁部
4b 突出部材
5 ロープ
6 揚重機
7 グラブバケット
8 ブーム
9 土砂落下防止板
10 土運船側浮体
11 汚濁防止枠側浮体
12 中間浮体
13 付勢手段
14 汚濁防止シート
15 重垂
16 ガイド
17 伸張部材
18 土砂落下防止突片
19 シート支持部材
20 第1の取付金具
21 第2の取付金具
22 枢支部
23 枢支部
24 アーム部材
25 付勢部材
26 傾動規制部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15