【実施例1】
【0014】
図1〜
図3は、本発明の第1の実施例における浚渫作業用の汚濁防止装置を示し、10は、土運船4の舷側と汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される、上記土運船4の舷側に沿って配置される棒状の土運船側浮体、11は、上記土運船4の舷側と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される、上記汚濁防止枠2の浮体2aに沿って配置される棒状の汚濁防止枠側浮体、12は、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11との間に配置される中間浮体、13は、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間する方向に付勢する付勢手段である。
【0015】
また、14は、一端を上記土運船側浮体10に固定し、他端を上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる矩形状の汚濁防止シート、15は、上記汚濁防止シート14の他端に固定した管またはチェーンなどの重垂である。なお、上記汚濁防止シート14の幅は、上記汚濁防止枠2の浮体2aの一辺の長さと同じであるのが好ましいが、浮体2aの一辺の長さより短くても、浚渫船1の揚重機6のグラブバケット7の通過範囲を十分覆うことのできる長さであれば良い。
【0016】
また、16は、上記中間浮体12及び上記汚濁防止枠側浮体11の上面両端にそれぞれ突出して設けると共に、その上部において互いに向かい合う方向に折れ曲げた折曲部16aを有する、上汚濁防止シート14のズレを防止するためのガイドである。
【0017】
また、上記付勢手段13は、互いに隣り合う上記浮体間にそれぞれ固定した、例えばコイルバネ、スポンジ状部材や空気バネなどの伸張部材17により構成される。
【0018】
また、上記各浮体は、例えば直径700mmの鋼管の外周をフロータで覆うことにより構成されている。
【0019】
なお、
図4〜
図6は、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿される前の本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置を示し、上記汚濁防止装置の自然長Lは、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間が開いてしまう最大距離よりも長くなるように構成されている。
【0020】
従って、この汚濁防止装置を上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿することにより、上記伸張部材17の付勢力により、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間して、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとをそれぞれ押圧するようになり、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2の浮体2aに接する場所に位置するようになる。
【0021】
また、
図4に示すように、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状をそれぞれ異ならしめ、上記各浮体を水中に浮かべた時に、上記各浮体の水面からの突出高さが土運船側浮体10、中間浮体12、汚濁防止側浮体11、汚濁防止枠2の浮体2aに従って順次低くなるように形成させる。これにより、上記各浮体上に敷設された上記汚濁防止シート14は上記土運船から上記汚濁防止枠2の浮体2aに向かうに従って次第に低くなるように傾斜するようになる。
【0022】
本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置は上記のような構成であるから、
図4及び
図5に示す自然長状態の汚濁防止装置を圧縮させて、
図1及び
図2に示すように、上記土運船4の舷側と上記汚濁防止枠2の浮体2a間に介挿し、上記汚濁防止シート14の他端を上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる。
【0023】
これにより、上述したように、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2に接する場所に位置するようになる。そして、上記汚濁防止シート14の重垂15の重りにより、上記汚濁防止シート14の他端が下方に引っぱられ、上記汚濁防水シート14が上記中間浮体12、上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上で張力を有した状態で敷設され、上記汚濁防止シート14は上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うようになる。
【0024】
そして、浚渫作業中に、グラブバケット7からの土砂及び濁水が上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aの間に落下しても、上記土砂及び濁水は、上記汚濁防止シート14上に落ち、そこから上記汚濁防止シート14の傾斜により汚濁防止枠内に戻り、汚濁防止枠外で汚濁が発生することがなくなるようになる。
【0025】
本発明によれば、風、潮位等の影響により、土運船4と汚濁防止枠2との距離が変わっても、上記汚濁防止シート14は、常時、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うから、汚濁防止枠外に土砂及び濁水が流出せず汚濁が発生することがないという大きな利益がある。
【0026】
なお、上記各浮体の断面形状は円形のほか、
図7に示すように、矩形としてもよい。
【0027】
また、
図8及び
図9に示すように、上記汚濁防止シート14の上面両側にそれぞれ、上記汚濁防止シート14の一端から他端に向かって形成された土砂落下防止突片18を設け、上記汚濁防止シート14上に落下した土砂及び濁水が汚濁防止シート14の側面からの落ちるのを防止するようにしてもよい。
【0028】
また、上記中間浮体12は2以上あっても良い。また、上記中間浮体12を省略してもよい。
【0029】
また、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状をそれぞれ異ならしめる代わりに、
図10及び
図11に示すように、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の断面形状を同じにすると共に、上記土運船側浮体10、上記中間浮体12、上記汚濁防止側浮体11の上面にそれぞれシート支持部材19a,19b,19cを突設する。そして、上記土運船側浮体10に設けたシート支持部材19a、上記中間浮体12に設けたシート支持部材19b、上記汚濁防止側浮体11に設けたシート支持部材19cを、上記汚濁防止枠2に向かうに従って順次低くなるようにして、上記各浮体上に張設された汚濁防止シート14を傾斜させるようにしてもよい。
【0030】
なお、この場合においては、上記ガイド16を各浮体11、12に設ける代わりに、上記各シート支持部材19b、19c上に設けるようにする。
【実施例2】
【0031】
図12及び
図13は、本発明の浚渫作業用の汚濁防止装置の第2の実施例を示し、この第2の実施例においては、上記第1の実施例における付勢手段13を伸張部材17で構成する代わりに、上記付勢手段13を、上記第1実施例における上記中間浮体12を省略し、上記土運船側浮体10の側面に第1の取付金具20を固定すると共に、上記汚濁防止枠側浮体11の側面に第2の取付金具21を固定し、この第1の取付金具20及び第2の取付金具21とをそれぞれ枢支部22、23において傾動自在に連結するアーム部材24を設ける。また、上記汚濁防止枠浮体11に対して上記アーム部材24を垂直になる方向に傾動するように制御するコイルバネ、板バネなどの付勢部材25を設ける。
【0032】
なお、
図14は、土運船4と汚濁防止枠2との間に介挿される前の本発明の第2実施例の浚渫作業用の汚濁防止装置(
図14中において汚濁防止シートは省略)を示し、上記汚濁防止枠側浮体11に対して上記アーム部材24が垂直になるまで傾動し、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠浮体11との間が最大開く時の上記汚濁防止装置の長さMは、上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間が開いてしまう最大距離よりも長くなるように構成されている。
【0033】
従って、上記第1実施例と同様に、この汚濁防止装置を上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間に介挿することにより、上記付勢部材25の付勢力により、上記土運船側浮体10と上記汚濁防止枠側浮体11とを常時互いに離間して、上記第1実施例と同様に、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとをそれぞれ押圧するようになり、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2の浮体2aに接する場所に位置するようになる。
【0034】
なお、26は、上記汚濁防止枠側浮体11に対して傾斜した上記アーム部材24が、上記付勢部材25の付勢力により垂直となり、そこからさらに垂直方向を越えて傾動するのを防止するための傾動規制部材である。なお、この制動規制部材26を省略してもよい。
【0035】
本発明の第2の実施例における浚渫作業用の汚濁防止装置は上記のような構成であるから、上記アーム部材24を、
図14に示すように上記汚濁防止枠側浮体11に対して垂直にある状態から、
図12に示すように傾動させて上記付勢部材25を圧縮し、上記土運船4の舷側と汚濁防止枠2の浮体2a間に介挿し、上記汚濁防止シート14の他端を上記汚濁防止枠側浮体11及び上記汚濁防止枠2の浮体2a上を超えてから上記汚濁防止枠2内の水中に垂下させる。
【0036】
これにより、上述したように、上記土運船側浮体10は上記土運船4に接する場所に位置し、また、上記汚濁防止枠側浮体11は上記汚濁防止枠2に接する場所に位置するようになる。そして、上記汚濁防止シート14の重垂15の重りにより、汚濁防止シート14の他端が下方に引っぱられ、上記汚濁防水シート14が汚濁防止枠側浮体11及び汚濁防止枠の浮体2a上で張力を有した状態で敷設され、上記汚濁防止シート14は上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うようになる。
【0037】
そして、浚渫作業中に、グラブバケット7からの土砂及び濁水が上記土運船4と汚濁防止枠2の浮体2aの間に落下しても、上記土砂及び濁水は、上記汚濁防止シート14上に落ち、そこから上記汚濁防止シート14の傾斜により汚濁防止枠内に戻り、汚濁防止枠外で汚濁が発生することがなくなるようになる。
【0038】
本発明の第2の実施例においても、上記第1実施例と同様に、風、潮位等の影響により、土運船4と汚濁防止枠2との距離が変わっても、上記汚濁防止シート14は、常時、上記土運船4と上記汚濁防止枠2の浮体2aとの間の隙間を覆うから、汚濁防止枠外に土砂及び濁水が流出せず汚濁が発生することがないという大きな利益がある。