(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイスは、リセット抵抗を有するリセット状態とセット抵抗を有するセット状態とを有し、前記リセット抵抗は、前記セット抵抗と比べて少なくとも10倍大きい、請求項1に記載の電子デバイス。
【背景技術】
【0003】
カルコゲナイド材料は、スイッチング、メモリ、ロジック、及びプロセシング機能を示す商用電子材料の新興階級である。カルコゲナイド材料の基本原理は、1960年代にS.R.Ovshinskyによって進展した。それ以来、彼及び世界中の他者の多大な努力により、カルコゲナイド材料の基礎科学の進展及び用途分野の拡張が起こっている。
【0004】
カルコゲナイドデバイスに関する初期の研究により、活性カルコゲナイド材料のしきい電圧以上の電圧印加により抵抗状態から導通状態へのスイッチングが誘発される電気的スイッチング挙動が実証された。この効果は、オボニックしきいスイッチ(OTS)に基づいており、依然カルコゲナイド材料の重要な実用的特徴となっている。OTSは、10
13サイクルを超える超高速スイッチング速度において高い再現性のスイッチングを与える。OTSの基本原理及び動作上の特徴は、例えば、特許文献1、2、3、及び4に提示されている。これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。また、非特許文献1及び2を含むいくつかの学会誌記事にも提示されている。これの開示も本明細書に参照として組み込まれる。
【0005】
カルコゲナイド材料の他の重要な用途は、電気及び光メモリデバイスである。一つのタイプのカルコゲナイドメモリデバイスは、メモリ動作の基礎として当該材料に利用可能な広いレンジの抵抗値を使用する。それぞれの抵抗値は、カルコゲナイド材料の別個の構造状態に対応し、当該状態の1つ以上を動作メモリ状態を画定するべく選択して使用することができる。カルコゲナイド材料は、結晶状態又は結晶相並びにアモルファス状態又はアモルファス相を示す。カルコゲナイド材料の異なる構造状態は、カルコゲナイド材料の所定体積又は領域内の結晶相とアモルファス相との相対比が異なる。抵抗値のレンジは一般に、カルコゲナイド材料のセット状態及びリセット状態によって制限される。セット状態は、電気的特性が主にカルコゲナイド材料の結晶部分によって制御される低抵抗構造状態である。リセット状態は、電気的特性が主にカルコゲナイド材料のアモルファス部分によって制御される高抵抗構造状態である。
【0006】
カルコゲナイドメモリ材料のそれぞれのメモリ状態は別個の抵抗値に対応し、それぞれのメモリ抵抗値は固有の情報内容を示す。動作については、カルコゲナイド材料は、所定の振幅及び継続時間の電流パルスを与えることにより、カルコゲナイド材料を所望レンジの抵抗を有する構造状態に変態させるべく特定のメモリ状態にプログラミングが可能である。カルコゲナイド材料に与えられるエネルギー量を制御することで、当該材料体積内の結晶相領域とアモルファス相領域との相対比を制御することができる。これにより、カルコゲナイド材料の構造(及びメモリ)状態を情報を格納するべく制御することができる。
【0007】
それぞれのメモリ状態は、当該状態の電流パルス特性を与えることによってプログラミングすることができる。それぞれの状態は、抵抗を測定することにより非破壊的に特定又は読み取ることができる。異なる状態間でのプログラミングが十分に可逆的である、メモリデバイスは、非常に多数のプログラミングサイクルにわたり書き込むことができ、実質的に無限のサイクル数にわたり読み出すことができるので、ロバストかつ信頼性のある動作が与えられる。カルコゲナイド材料の可変抵抗メモリ機能は、現在のところ、市場に登場し始めているOUM(Ovonic Universal(又はUnified)Memory)デバイスにおいて利用されているところである。OUM型デバイスの基本原理及び動作は、例えば特許文献5、6、7、及び8に提示されている。これらの開示は、非特許文献3及び4を含むいくつかの学会誌と同様に本明細書に参照として組み込まれる。
【0008】
カルコゲナイド材料の挙動(スイッチング、メモリ、及びアキュムレーションを含む)及び化学的組成は、例えば特許文献9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び19に記載されている。これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。これらの参考文献は、カルコゲナイド材料の挙動を支配するメカニズム案を提示する。当該参考文献はまた、結晶領域とアモルファス領域との相対比が電気及び光カルコゲナイドデバイスの動作中に変化する一連の部分的結晶状態を介しての結晶状態からアモルファス状態へ(及びその逆)の構造変態を記述する。
【0009】
また、カルコゲナイド材料及びデバイスの現在の商業的開発は、デバイスのアレイを製造する方向にある。カルコゲナイド材料は、従来のバイナリデータストレージによる又はマルチレベルスキームによる動作が可能な高密度のメモリ、ロジック、及びニューラルアレイに展望を与える。さらに、カルコゲナイドアレイは、高速、低コスト、及び高機能動作を可能にするメモリ性能及びデータ処理性能の双方を単一チップに集積する展望も与える。
【0010】
カルコゲナイド相変化メモリ及びスイッチの商業的展望をさらに広げるには、カルコゲナイド材料の化学的及び物理的特性の向上並びに製造プロセスの改良を考慮する必要がある。現在最も想定される近い将来のアプリケーションにおいては、カルコゲナイド材料は、メモリ状態がセット状態及びリセット状態に対応する又はほぼ対応するバイナリモードで動作される。これは、かかる状態の抵抗が最も大きなコントラストを与え、読み出し中における当該材料の状態を容易に区別できるからである。
【0011】
従来技術にて特定されてきた顕著な問題は、カルコゲナイドメモリデバイスのセット及び/又はリセット抵抗の、製造後デバイスの動作のいくつかの最初のサイクルにおける可変性に関する。カルコゲナイドメモリデバイスの典型的な製造プロセスでは、動力学的に抑制された又は構造的に無秩序な状態にある下部電気コンタクトにカルコゲナイド材料が堆積され、引き続き当該カルコゲナイド材料に上部電気コンタクトが堆積される。製造後かつ電流パルス印加前の当該デバイスの抵抗値を、当該デバイスのバージン抵抗値(R
Virgin)という。電流パルスを引き続き印加すると、当該材料は、初期セット状態抵抗(R
Set,0)を有する初期セット状態に到達する。初期セット状態(initial set state)は、より高い振幅の電流パルスを印加することにより最初リセット状態(first reset state)にリセットされる。最初リセット状態は、セット電流パルスを印加することによりセットにすることができる。これにより、セット状態抵抗R
Set,1を有する他のセット状態が生じる。当該プロセスは複数のセット・リセットサイクルにわたって繰り返すことができる。サイクル時に到達されるそれぞれのセット状態に対して、抵抗R
Set,nを測定することができる。ここで、R
Set,nは、デバイスがn回リセットされた後に得られるセット状態の抵抗値に対応する。
【0012】
R
Virgin及びR
Set,nの値を異なるサイクル(異なる値nで表される)で比較すると、バージン抵抗値とセット抵抗値には最初のいくつかのサイクルにわたって著しい違いが共通に観測される。最も著しい変化は通常、セット抵抗値が安定するまでのR
Set,0からR
Set,1まで、R
Set,2まで等の偏差増加に伴いR
VirginとR
Set,0との間に生じる。同様の可変性は、リセット状態の抵抗についても生じる。実際のメモリアプリケーションに対しては、セット抵抗又はリセット抵抗のいずれか可変性は望ましくない。これは、かかる抵抗値が、当該メモリ状態のインジケータとして共通に使用されるからである。セット抵抗又はリセット抵抗の可変性は、当該メモリ状態を信頼性及び再現性をもって確立及び検出するための回路のマージンを低減させた。
【0013】
従来技術デバイスの可変性の問題をなくすべく、実際のアプリケーションにおけるカルコゲナイドメモリデバイスの利用前に、フォーメーション処理を行う必要がある。フォーメーション処理は、デバイスの製造後の電気的コンディショニングを含み、当該デバイスに十分な回数のセット・リセットサイクルを受けさせることを伴う。これにより、当該デバイスのセット状態及び/又はリセット状態の抵抗を安定化させて、当該デバイスをその意図されたエンドユースへの準備が整うようにできる。カルコゲナイドスイッチング材料には、フォーメーション及びコンディショニングに同様の必要性が生じる。ここで、安定したしきい電圧が達成されるまでの一連の最初のいくつかのスイッチング事象にわたり、しきい電圧の可変性が共通して観測される。フォーメーション処理に関する時間及び費用ゆえに、これを(安定デバイス性能を達成するために必要な事象サイクル数を低減することにより)単純化するか又はこれを完全になくすことが望ましい。
【0014】
一般論として、2つの主要な因子が、カルコゲナイドメモリ及びスイッチングデバイスの抵抗及びしきい電圧の可変性に潜在的に寄与する。第一に、カルコゲナイド材料の化学的組成及び/又は物理的特性が、堆積の際のカルコゲナイド材料の構造状態に対し、並びにセット状態及びリセット状態を介するサイクルの際に当該構造状態が変化する程度に対し影響し得る。安定なセット抵抗、リセット抵抗、及びしきい電圧には、セット、リセット、及び/又はスイッチングの複数サイクルにわたってカルコゲナイドが安定かつ整合した構造形態が必要である。複数サイクルにわたって当該構造が変化する程度は、カルコゲナイドの組成に依存する。当該組成は、セットの際に形成される結晶相の結晶構造、特定抵抗値で表れる結晶相領域とアモルファス相領域との相対比、結晶相領域とアモルファス相領域の空間配置、並びに、構造再配置及び相変化に関する運動及び熱力学エネルギー障壁に影響を与える。かかる因子のいくつか又はすべてが、カルコゲナイドデバイスのセット抵抗、リセット抵抗、及び/又はしきい電圧の整合性に寄与し得る。
【0015】
化学的組成変化を介してのカルコゲナイドデバイスのセット抵抗及びリセット抵抗の可変性は、同時係属の特許出願第11/451,913号(2006年6月13日出願の‘913号出願)、第11/200,466号(2005年8月9日出願の‘466号出願)、及び第11/301,211号(2005年12月12日出願の‘211号出願)に記載されている。これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。詳しくは、‘913号、‘466号、及び‘211号出願は、例えばGe
2Sb
2Te
5のような標準の従来技術カルコゲナイド合金に対して相対的に低い濃度のGe及び/又はTeを含むGe、Sb、及びTeを有する一群のカルコゲナイド材料を開示する。バージン状態からの初期サイクルにおけるセット抵抗の可変性を低減又は除去し、及び完全なフォーメーションを完了するためのサイクルがほとんど又は全く必要ない、新規な材料が示された。
【0016】
カルコゲナイド材料の抵抗及び/又はしきい電圧の可変性に寄与し得る第二の因子は、当該カルコゲナイド材料と、カルコゲナイドデバイスの上部及び下部電気コンタクトの一方又は双方とのインターフェイスの品質である。カルコゲナイドデバイスの被測定抵抗が当該コンタクトのインターフェイス領域の抵抗を含むので、当該インターフェイスの特性の可変性は、抵抗値の可変性を生じ得る。
【0017】
したがって、当該インターフェイスの品質、並びにそれがカルコゲナイドデバイスのセット抵抗、リセット抵抗、プログラミング電流、及び/又はしきい電圧の再現性及び整合性に与える影響を向上させると同時に当該デバイスの実際の寿命を延ばす必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、所定の好ましい実施例により記載されるが、本明細書に記載の利点及び特徴のすべてを与えるわけではない実施例を含む当業者に明らかな他実施例もまた本発明の範囲内にある。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ画定される。
【0025】
カルコゲナイドデバイスの分野における課題の1つは、活性カルコゲナイド材料と、デバイス性能を最適化する周囲デバイス構造との有効な組み合わせを特定することにあった。カルコゲナイドメモリデバイスの望ましい性能特性には、高リセット抵抗、低セット抵抗、高セット速度、長いサイクル寿命、低リセット電流、安定性かつ再現性のある動作、及び製造後フォーメーションのほぼ又は全くの不要性がある。理想的には、当該好ましい動作特性のすべてを、製造可能なデバイス構造内の単一カルコゲナイド材料によって同時に達成することが望ましい。しかし、実際には、当該望ましい動作特性のいくつかの最適化は、他の望ましい動作特性を犠牲にして生じることがわかっている。例えば、Ge
2Sb
2Te
5は広く使用されるカルコゲナイド材料である。Ge
2Sb
2Te
5により、高リセット抵抗及び低リセット電流という利点が得られるが、高バージン抵抗、低セット速度、高セット抵抗、及び相対的に厳しいフォーメーション要件という欠点を被る。
【0026】
理論で拘束するわけではないが、Ge
2Sb
2Te
5の有害な動作特性に部分的に寄与すると考えられている因子は、Ge
2Sb
2Te
5と、電気信号をGe
2Sb
2Te
5に与えるデバイス構造のコンタクトとの間に形成されるインターフェイスの低品質である。当該コンタクトは、本明細書において電気コンタクト、端子、又は電極と称する。Ge
2Sb
2Te
5とコンタクトとして通常使用される多くの高抵抗材料との良好な接触を形成することは困難であると実験的に決定されている。良好な接触を形成できないことが、Ge
2Sb
2Te
5系デバイスの高いバージン抵抗及びセット抵抗に、及び長期のサイクルにわたる当該デバイスの故障に寄与すると考えられている。
【0027】
1つの理論のもとでは、Ge
2Sb
2Te
5と電気コンタクトとのインターフェイスは、酸化ゲルマニウム相のフォーメーションを介して損なわれる。酸化ゲルマニウム相のフォーメーションは、デバイス製造中、又はセット・リセットサイクルの繰り返し時のデバイス動作中のいずれかにおいて生じると考えられている。酸化ゲルマニウム相の特性は、時間を経て又はサイクルの際に進展する。この進展は、エンドユーザによる実際の動作に先立つデバイスコンディショニングの必要性に寄与する。さらに、酸化物一般と同様、酸化ゲルマニウム相は抵抗性であり、デバイスのセット抵抗をカルコゲナイド材料の構造状態により支配される抵抗以上に測定可能に増大させる効果がある。
【0028】
酸化ゲルマニウム相の有害な影響を抑えようとすることは、同時係属親出願第11/451,913号(‘913号出願)、第11/200,466号(‘466号出願)、及び第11/301,211号(‘211号出願)に記載される発明の動機となった。これらの開示は本明細書に参照として組み込まれる。‘913号、‘466号、及び‘211号出願は、相対的に低Ge濃度を有するカルコゲナイド材料を対象とする。カルコゲナイド組成におけるGe濃度の低減が、酸化ゲルマニウム相のフォーメーションを抑制してカルコゲナイドデバイスの性能を向上させると予想されている。‘913号、‘466号、及び‘211号出願に記載されているように、低Ge濃度カルコゲナイド合金は、低いバージン抵抗及びセット抵抗並びにフォーメーションの必要性の大幅な低減を示した。
【0029】
これは、改善されたインターフェイスが低Ge濃度カルコゲナイド合金と共通電極材料との間に形成されることを示唆する。当該改善されたインターフェイスは、抵抗性酸化ゲルマニウム相のフォーメーション及び/又は低Ge濃度カルコゲナイド合金と共通電極材料との低抵抗コンタクトのフォーメーションの抑制に起因する。低Ge濃度カルコゲナイド合金はまた、セット速度を向上させることを示した。しかし、低Ge濃度カルコゲナイド合金を含むデバイスとGe
2Sb
2Te
5を含むデバイスとの特性を十分に比較評価することにより、低Ge濃度カルコゲナイド合金が低リセット抵抗及び高リセット電流を生じさせることが示される。
【0030】
低Ge濃度カルコゲナイドデバイス及びGe
2Sb
2Te
5デバイスに対して得られる結果に基づいて、単一デバイスシステムにおいて各デバイスの有利な特徴を組み合わせることが望ましい。本発明は部分的には、この目的を対象とする。本発明は、2つ以上の端子を有するカルコゲナイドメモリ又はスイッチングデバイスのカルコゲナイド材料と1つ以上の電気コンタクトとの改善されたインターフェイスを有する一方で、高リセット抵抗及び/又は低リセット電流を達成するカルコゲナイドデバイスを与える。
【0031】
本発明の目的には、活性カルコゲナイド材料と電気コンタクトとのインターフェイスにて低抵抗を有するカルコゲナイドデバイスの実現がある。カルコゲナイド材料と電気コンタクトとのインターフェイスにおける抵抗は、本明細書においてインターフェイス抵抗又はコンタクト抵抗と称する。カルコゲナイドデバイスの被測定抵抗は、頂部及び底部コンタクトの抵抗、頂部及び底部コンタクトにおけるインターフェイス抵抗、及び頂部コンタクトと底部コンタクトとの間に配置されたカルコゲナイド材料の抵抗を含む。頂部コンタクトと底部コンタクトとの間に配置され、かつ、インターフェイスから離れたカルコゲナイド材料は、本明細書においてバルクカルコゲナイド材料と称する。頂部コンタクトと底部コンタクトとの間に配置されたデバイスの領域は、本明細書においてデバイスの活性領域と称する。また、当該活性領域に配置された単数又は複数の材料もまた、本明細書においてデバイスの活性材料と称する。活性領域がカルコゲナイド材料を含む場合は、本明細書において活性カルコゲナイド領域と称する。
【0032】
一般に、カルコゲナイドデバイスの被測定抵抗は、主にバルクカルコゲナイド材料の抵抗によって制御されることが望ましい。この目的が望ましいのは、相変化(例えば、カルコゲナイド材料の体積内のアモルファス領域と結晶領域との相対比の変化)の際に生じるカルコゲナイド材料の抵抗の違いが、異なるメモリ状態を区別かつ画定するべく使用され得るからである。メモリデバイスが有効となるためには、異なるメモリ状態の抵抗が容易に区別可能となって当該デバイスに格納された情報の正確かつ明りょうな読み出しが可能となる必要がある。
【0033】
頂部及び底部コンタクトの一方又は双方におけるインターフェイス抵抗が、酸化ゲルマニウムのような持続性抵抗相の存在に大きく依存する場合、異なるメモリ状態を容易に区別する能力が損なわれる。例えば、インターフェイスにおける抵抗が無限大である限られた場合を想定する。かかる場合、デバイスの被測定抵抗は、バルクカルコゲナイド材料の抵抗にかかわらず無限大となる。その結果、カルコゲナイド材料の状態は被測定抵抗に何ら影響を与えないので、カルコゲナイド材料の相変化に伴う抵抗変化が検出不能となる。このシナリオでは、カルコゲナイド材料の異なる構造状態によって表される異なるメモリ状態は、デバイス抵抗の測定に基づいては区別不能かつ分解不能となる。
【0034】
しかし、インターフェイス抵抗の増大に伴い、バルクカルコゲナイド材料の被測定抵抗への寄与が増大し、当該構造状態の変化に伴うカルコゲナイド材料の抵抗変化は、被測定抵抗に有意な寄与を与える。したがって、異なるメモリ状態を検出かつ分解する能力が向上する。インターフェイス抵抗がないという制限においては、デバイスの被測定抵抗がバルクカルコゲナイド材料の抵抗により制御され、バルクカルコゲナイド材料の任意の抵抗変化がより容易に検出可能となる。インターフェイス抵抗の問題が、デバイスのセット状態に対して最も顕著となる理由は、カルコゲナイド抵抗がセット状態に対して最も低いからである。これは、デバイスがセット状態にある場合はインターフェイス抵抗が被測定抵抗に対して比例的に大きな影響を与えるということを意味する。
【0035】
インターフェイス抵抗を制御する方策は基本的に、電気コンタクトに使用される材料への又はカルコゲナイドメモリ又はスイッチング材料の組成への修正を含み得る。電気コンタクトに使用される材料はしばしばプロセス要件の制約を受けるので、最も性能がよく、最も便利で、及び広く使用される電気コンタクト材料に対して高品質かつ低抵抗のコンタクトを形成するカルコゲナイド材料を特定することが望ましい。これが、本発明で追求される一方策である。
【0036】
上部及び下部コンタクトの一方又は双方における低インターフェイス抵抗に加え、メモリデバイスのメモリ状態が広いレンジの抵抗値に及ぶようにするのがさらに望ましい。バイナリメモリデバイスの場合、広いレンジの抵抗値によって、メモリ状態(典型的にはセット状態及びリセット状態)の向上した分解能が得られ、当該2つの状態の区別が単純化される。マルチ状態メモリデバイスでは、広いレンジの抵抗値によって、状態間の所定分解能に対して多数のメモリ状態が得られる。したがって、改善されたインターフェイス抵抗の目的を達成する場合、セット状態の抵抗とリセット状態の抵抗との大きな違いを維持しながらそのようにすることが好ましい。以下にさらに詳細に説明するが、本発明の実施例は、高品質かつ低抵抗のインターフェイスを示すカルコゲナイドデバイスを与える。さらに実施例は、高抵抗リセット状態が組み合わせられた低抵抗インターフェイスを有するカルコゲナイドデバイスを含む。
【0037】
本発明の実施例は、2つ以上の層を含む活性領域を有するカルコゲナイドデバイスを含む。ここで、各層は異なる化学的組成を有し、当該層の少なくとも1つはカルコゲナイド材料を含む。本明細書で使用されるとおり、活性領域とは、メモリ又はスイッチングデバイスのような電子デバイスの2つ以上のコンタクトの間に配置された領域を称する。一実施例では、電子デバイスはカルコゲナイドデバイスである。ここで、活性カルコゲナイド領域は、2端子デバイス構成における上部コンタクトと下部コンタクトとの間に配置される。
【0038】
一実施例では、活性領域は、区別可能な化学的組成を有する2つのカルコゲナイド層を含む。本実施例では、当該層の一方が、上部又は下部コンタクトのいずれかとの高品質及び/又は低抵抗のインターフェイスを与えるように設計される一方で、他層は、当該他層と同等の特性よりも優れた少なくとも1つの性能特性を有するように設計される。一実施例では、当該層の一方がGe
2Sb
2Te
5又はGeリッチ(Ge-rich)合金であり、他層がGeリーン(Ge-lean)カルコゲナイド合金である。これらは、例えば‘466出願及び‘211号出願に記載されている。他実施例では、当該層の一方がGe
2Sb
2Te
5又はGeリッチ合金であり、他層がSb又はSbリッチ合金である。
【0039】
本発明の他実施例は、上部コンタクトとのインターフェイスをなす上部層と、下部コンタクトとのインターフェイスをなす下部層と、当該上部及び下部カルコゲナイド層の間に配置された第3層とを有する3層(カルコゲナイド及び/又はSb)を含む活性領域を含む。本実施例では、上部及び下部カルコゲナイドインターフェイス層はそれぞれ、上部及び下部コンタクトとの高品質及び/又は低抵抗のインターフェイスを与えるように設計される。他方、残りの中間層は、当該上部及び下部カルコゲナイド層の一方又は双方と同等の特性を上回る性能特性を有するように設計される。上部及び下部カルコゲナイドインターフェイス層は、同じ又は異なる組成を有してよい。また、中間カルコゲナイド層は、上部及び下部カルコゲナイドインターフェイス層の少なくとも一方とは異なる組成を有する。一実施例では、上部及び下部カルコゲナイドインターフェイス層は、‘913号、‘466号、及び‘211号出願に記載されているようなGeリーン又はSbリッチカルコゲナイド合金を含み、中間カルコゲナイド層はGe
2Sb
2Te
5である。
【0040】
デバイスの活性領域において異なるカルコゲナイド組成を有する2つ以上の層を組み合わせることにより、本発明は、単一デバイス構造における異なる組成の望ましい特性の利点を得ることで性能特性の改善を達成する。例えば、Ge
2Sb
2Te
5の有利なリセット抵抗及びGeリーンカルコゲナイド組成の低バージン抵抗が単一デバイス構造において達成できる。さらに、以下で十分に説明するように、当該層の少なくとも一方の内部のプロモータ材料をさらに組み合わせることにより、相変化デバイスの性能(例えば低減されたリセットプログラミング電流)を改善するのと同時に、カルコゲナイド材料、メモリ材料、又はスイッチング材料と1つ以上の電気コンタクトとのインターフェイスの品質を改善することができる。
【0041】
実施例の説明の前に、カルコゲナイド材料の基本的動作原理を検討することは有益である。上述のように、カルコゲナイドメモリデバイス及びデバイスアレイの動作中のカルコゲナイド材料の重要な特徴は、2つ以上の構造状態間で相変態する能力にある。(メモリアプリケーションでの相変態の重要性に促されて、カルコゲナイド材料を相変化材料と呼ぶ人もいるので、本明細書ではカルコゲナイド材料をそのように称することとする。)カルコゲナイド材料は、結晶状態、1つ以上の部分的結晶状態、及びアモルファス状態を含む構造状態を有する。
【0042】
結晶状態は、単結晶状態又は多結晶状態であり得る。本明細書で使用されるとおり、部分的結晶状態とは、アモルファス部分及び結晶部分を含む所定体積のカルコゲナイド材料の構造状態のことである。一般に、複数の部分的結晶状態は、アモルファス部分及び結晶部分の相対比に基づいて区別される相変化材料のために存在する。分別結晶化度は、カルコゲナイド相変化材料の構造状態を特徴付ける1つの方法である。結晶状態の分別結晶化度は100%であり、アモルファス状態の分別結晶化度は0%であり、部分的結晶状態は、0%(アモルファス限界)と100%(結晶限界)との間で連続的に変化する分別結晶化度を有する。したがって、相変化カルコゲナイド材料は、分別結晶化度0%から100%の間で包括的に変化する複数の構造状態間で変態することができる。
【0043】
カルコゲナイド材料の構造状態間での変態は、当該カルコゲナイド材料にエネルギーを与えることにより誘発される。様々な形態のエネルギーが、カルコゲナイド材料の分別結晶化度に影響を与えて構造変態を誘発することができる。適切な形態のエネルギーには、カルコゲナイド材料に電気的、熱的、又は光学的影響を誘発する電気エネルギー、熱エネルギー、光エネルギー、又は他の形態のエネルギー(例えば粒子ビームエネルギー)が含まれる。異なる形態のエネルギーを組み合わせることによっても構造変態を誘発できる。カルコゲナイド材料のエネルギー環境を制御することにより、分別結晶化度の連続的かつ可逆的な可変性が達成できる。結晶状態は、部分的結晶又はアモルファス状態に変態可能であり、部分的結晶状態は異なる部分的結晶状態及び結晶又はアモルファス状態のいずれかに変態可能である。また、アモルファス状態は、カルコゲナイド材料のエネルギー環境を適切に制御することにより部分的結晶状態又は結晶状態に変態可能である。構造変態を誘発するための電気エネルギーの使用に関し、以下の説明に提示されることが考慮される。
【0044】
構造変態を誘発するための電気エネルギーの使用は典型的に、カルコゲナイド材料に電気(電流又は電圧)パルスを印加することに依存する。カルコゲナイド材料に印加される電気パルスの振幅及び/又は継続時間を制御することにより、分別結晶化度を連続的に変化させることができる。カルコゲナイド材料の構造への電気エネルギーの影響は、与えられる電気エネルギー量に伴う又はカルコゲナイド材料に印加される電流又は電圧パルスの振幅に伴う低電界電気抵抗の変化によって表されることが多い。カルコゲナイド材料の低電界電気抵抗(R)を電気エネルギー又は電流パルス振幅(エネルギー/電流)の関数として表す代表的表現を
図1に示す。
図1は、カルコゲナイド材料の低電界電気抵抗の変化を示す。これは、様々な振幅の電気エネルギー又は電流のパルスから得られ、抵抗対電流プロット又はR−Iプロットと一般に称される。
【0045】
抵抗プロットには、電気エネルギーに対するカルコゲナイド材料の2つの特性的応答レジームが含まれる。当該レジームは、
図1に示される垂直破線10でほぼ区切られる。線10の左までのレジームは、カルコゲナイド材料のアキュムレーションレジームと称してよい。アキュムレーションレジームは、電気エネルギーの増大に伴いほぼ一定の又は徐々に変化する電気抵抗によって区別される。当該レジームは最後には、パーコレーション経路が到達するポイントで抵抗が急激に減少する。パーコレーションとは、例えば、砂の中のスチール製ボールベアリングのように非導通媒体中に導通経路が確立されることをいう。かかる媒体中の電気伝導性は、ボールベアリングのパーセンテージが低ければ非常に低い。所定のパーセンテージにおいてボールベアリングが接触し、導通経路が形成される。その後、ボールベアリングのパーセンテージがさらに増加しても電気伝導性が著しく変化することはない。したがって、アキュムレーションレジームは、エネルギー増加方向において抵抗プロットの最も左にあるポイント20からプラトー領域(一般に30で示される)を通って延びる。プラトー領域は、結果的に得られる抵抗変化が小さいか、又は電気抵抗の急激な増大が引き続き生じるセットポイント若しくは状態40まで徐々に上がる複数のポイントのレンジに対応する。プラトー30は水平又は傾斜であってよい。
【0046】
抵抗プロットの左側をアキュムレーションレジームと称するのは、エネルギーが印加されるにつれてカルコゲナイド材料の構造状態が連続的に進展し、当該構造状態の分別結晶化度が印加されたエネルギーの総累積に相関するからである。最も左にあるポイント20は、最も低い分別結晶化度を有するアキュムレーションレジームの構造状態に対応する。この状態は、完全なアモルファス状態であるか又は所定の残留結晶分を含み得る。エネルギーが加えられるにつれて分別結晶化度が増加する。また、カルコゲナイド材料の変態は、プラトー30に沿った複数の部分的結晶状態の中でも印加エネルギーが増加する方向に向かう。選択されたアキュムレーション状態(アキュムレーション領域内の構造状態)は、
図1に四角形でマークしている。
【0047】
印加エネルギーのしきい量のアキュムレーションの際、パーコレーション経路が確立されると、カルコゲナイド材料の分別結晶化度は、電気抵抗の劇的増大及びセット状態40の安定を特徴とするセット変態に影響を与えるのに十分な程度に増大する。アキュムレーションレジームにおける構造変態は、プラトー領域30内において印加エネルギーを増大させる方向に進展しカルコゲナイド材料のアモルファス化又はリセットによってのみ可逆的であるという点で一方向性である。
【0048】
図1に示された挙動は、必要なエネルギー又は電流を印加することによりカルコゲナイド材料を含むデバイスをセット及びリセットする多数のサイクルにわたって再現性がある。ひとたびリセット状態が得られると、低振幅の電流パルスを再び印加することができて、カルコゲナイド材料のアキュムレーション応答を後戻りさせることができる。したがって、セット状態とリセット状態との間のサイクルを複数回にわたって続けること、すなわち高メモリサイクル寿命のための必須機能が可能となる。
【0049】
理論で拘束するわけではないが、本発明者は、アキュムレーションレジームにおいてカルコゲナイド材料にエネルギーを付加することが、新たな結晶ドメインの核生成若しくは既存の結晶ドメインの成長又はこれらの組み合わせを通じて分別結晶化度の増大につながると考えている。分別結晶化度の増加にもかかわらず電気抵抗がプラトー30に沿って徐々にのみ変化する理由は、複数の結晶ドメインが互いに相対的に隔離されて形成又は成長し、2つのデバイス電極間のカルコゲナイド材料の橋渡しをする隣接結晶ネットワークのフォーメーションを防止するからと考えられている。このタイプの結晶化は、サブパーコレーション結晶化と称してよい。セット変態はパーコレーションしきい値に一致する。パーコレーションしきい値にて、当該2つのデバイス電極間のカルコゲナイド材料内に、隣接して相互接続された結晶ネットワークが形成される。
【0050】
かかるネットワークは、例えば結晶ドメインのサイズが隣接ドメインに突き当たるほどに増大する場合に形成される。カルコゲナイド材料の結晶相はアモルファス相よりも低抵抗なので、パーコレーションしきい値は、カルコゲナイド材料を通る隣接低抵抗導通経路のフォーメーションに対応する。その結果、パーコレーションしきい値は、カルコゲナイド材料の抵抗の劇的増大を特徴とする。アキュムレーションレジームの最も左にあるポイントは、隣接結晶ネットワークを欠いたアモルファス状態又は部分的結晶状態であり得る。サブパーコレーション結晶化は、初期アモルファス又は部分的結晶状態で開始する。そして、パーコレーションしきい値が達成されてセット変態が生じるまで、ますます高い分別結晶化度を有する複数の部分的結晶状態を通じて進展する。
【0051】
図1の線10の右側のレジームは、ダイレクトオーバーライトレジーム又はダイレクトオーバーライト領域と称してよい。ダイレクトオーバーライトレジームは、セット状態40から複数の中間状態(一般に50で示される)を通ってリセットポイント又は状態60まで延びる。ダイレクトオーバーライトレジームの様々なポイントは、カルコゲナイド材料のダイレクトオーバーライト状態と称してよい。選択されたダイレクトオーバーライト状態は、
図1に丸形でマークしている。
図1に示されるように、ダイレクトオーバーライトレジームにおける構造変態は、カルコゲナイド材料に電流又はエネルギーパルスを印加することによって誘発される。
【0052】
ダイレクトオーバーライトレジームでは、カルコゲナイド材料の抵抗は、印加エネルギーパルスの振幅によって変化する。ダイレクトオーバーライトレジームの特定状態の抵抗は、カルコゲナイド材料の構造状態の特性であって、当該カルコゲナイド材料の構造状態は、ダイレクトオーバーライト領域に印加される電流パルスの振幅によって決まる。カルコゲナイド材料の分別結晶化度は、電流パルスの振幅が増加するにつれて減少する。
【0053】
分別結晶化度は、セットポイント40又はその近傍にあるダイレクトオーバーライト状態に対して最も高く、リセット状態60が近づくにつれて徐々に減少する。カルコゲナイド材料は、セット状態40にて隣接結晶ネットワークを有する構造状態から、リセット状態60にて隣接結晶ネットワークが存在しないアモルファス若しくは実質的にアモルファス又は部分的結晶の状態へ変態する。増加振幅を有する電流パルスの印加は、結晶ネットワークの一部をアモルファス相に変換する効果があり、究極的にはカルコゲナイド材料における隣接高電導結晶経路の破壊又は中断をもたらす。その結果、カルコゲナイド材料の抵抗は、ダイレクトオーバーライト領域内で印加電流パルスの振幅が増加するにつれて増大する。
【0054】
アキュムレーション領域とは対照的に、ダイレクトオーバーライト領域にて生じる構造変態は可逆的かつ二方向性である。これがこの領域にその名称を与える。上述のように、ダイレクトオーバーライト領域の各状態は、その抵抗及び電流パルス振幅によって特定することができる。ここで、当該電流パルス振幅の印加が、当該状態の特定抵抗値を生成する分別結晶化度の変化を誘発する。
【0055】
引き続いて電流パルスを印加することにより、分別結晶化度は、カルコゲナイド材料の初期状態の分別結晶化度よりも増加又は減少する。引き続いての電流パルスが、初期状態を確立するのに使用されたパルスよりも高い振幅を有する場合、カルコゲナイド材料の分別結晶化度は減少して、当該構造状態は、初期状態からダイレクトオーバーライト抵抗曲線に沿って高抵抗リセット状態に向かって変態する。同様に、引き続いての電流パルスが、初期状態を確立するのに使用されたパルスよりも低い振幅を有する場合、カルコゲナイド材料の分別結晶化度は増加して、当該構造状態は、初期状態からダイレクトオーバーライト抵抗曲線に沿って低抵抗リセット状態に向かって変態する。
【0056】
OUM(Ovonic Unified(又はUniversal)Memory)アプリケーションでは、カルコゲナイド材料のダイレクトオーバーライト状態は、メモリデバイスの別個のレベルを画定するべく使用される。最も一般的には、メモリデバイスは、ダイレクトオーバーライト状態の2つをメモリ状態として利用するバイナリメモリデバイスである。ここで、別個の情報値(例えば「0」又は「1」)が各状態に関連付けられる。したがって、各メモリ状態は、カルコゲナイド材料の別個の構造状態に対応する。各構造状態が、例えば
図1のダイレクトオーバーライト状態により例示されるような別個の抵抗値により特徴付けられるので、当該状態の読み出し又は特定は、当該材料(又はデバイス)の抵抗を測定することにより行われる。本明細書では、カルコゲナイド材料を特定のメモリ状態に関連付けられた構造状態に変態させる操作を、カルコゲナイド材料のプログラミング、カルコゲナイド材料への書き込み、又はカルコゲナイド材料への情報格納と称してよい。
【0057】
上述のような読み出しを容易にして読み出しエラーを最小限にするためには、当該2つの状態の抵抗のコントラストが大きくなるようにバイナリメモリデバイスのメモリ状態を選択することが好ましい。典型的には、セット状態(又はセット状態に近い状態)及びリセット状態(又はリセット状態に近い状態)が、バイナリメモリアプリケーションにおけるメモリ状態として選択される。抵抗のコントラストは、カルコゲナイドの化学的組成、デバイス中のカルコゲナイド材料の厚さ、及びデバイスの幾何形状のような詳細に左右される。
【0058】
例えば、組成Ge
22Sb
22Te
56、厚さ約600オングストローム(Å)、及び孔径約0.1マイクロメートル(μm)未満を有する典型的な2端子デバイス構造の相変化材料層に対しては、リセット状態の抵抗は約100−1000キロオーム(kΩ)であり、セット状態の抵抗は約10kΩ未満である。一般に、相変化材料は、リセット状態で約100−1000kΩのレンジの抵抗を、セット状態で約0.5−50kΩの抵抗を示す。
【0059】
好ましい相変化材料では、リセット状態の抵抗は、セット状態の抵抗よりも少なくとも2倍以上である。バイナリ(デバイス当たり単一ビット)メモリアプリケーションに加え、カルコゲナイド材料は、ダイレクトオーバーライト状態の中から3つ以上の状態を選択して各状態に情報値を関連付けることにより、デバイス当たりノンバイナリ又はマルチビットのメモリデバイスとして利用することができる。ここで、各メモリ状態は、カルコゲナイドの別個の構造状態に対応して別個の抵抗値を特徴とする。
【0060】
メモリ材料に加え、本発明はスイッチング材料へさらに拡張される。カルコゲナイド材料の代表的な電気スイッチング特性は、
図2に概略的に示される。これは、カルコゲナイド材料のI−V(電流−電圧)特性を示す。
図2に示されるI−V特性は、2つの離間配置された電極がカルコゲナイド材料に接触する単純な2端子デバイス構造を考慮することにより都合よく記載できる。電流(I)は、2つの電極間を通過する電流に対応する。当該I−V曲線は、カルコゲナイド材料を通過する電流を、カルコゲナイド膜及び2つの電極を含むデバイスの両端に印加された電圧の関数として示す。当該材料のI−V特性は一般に、印加電圧の極性に関して対称的である。便宜上、以下のカルコゲナイドスイッチング挙動の簡単な説明においては
図2のI−Vプロットの第1象限(電流及び電圧の双方が正の部分)を考える。同様の説明がI−Vプロットの第3象限にも当てはまる。
【0061】
本発明に係るカルコゲナイド材料のI−V曲線は、抵抗ブランチ及び導通ブランチを含む。双方のブランチが
図2に示されている。抵抗ブランチは、当該材料を通過する電流が、当該デバイスの両端に印加される電圧が増加する際にわずかにしか増加しないブランチに対応する。このブランチは、I−Vプロットにおいて小さな傾斜を示し、
図2の第1及び第3象限においてほぼ水平線として表れている。導通ブランチは、当該材料を通過する電流が、当該デバイスの両端に印加される電圧が増加する際に著しく増加するブランチに対応する。このブランチは、I−Vプロットにおいて大きな傾斜を示し、第1及び第3象限においてほぼ垂直線として表れている。
図2に示される抵抗ブランチ及び導通ブランチの特定の傾斜は例示的であって限定的ではない。実際の傾斜は、カルコゲナイド材料の化学的組成、厚さ等、及び、周辺回路要素の抵抗、負荷、容量等のようなパラメータに依存する。実際の傾斜にかかわらず、導通ブランチは必ず、抵抗ブランチよりも大きな(急な)傾斜を示す。カルコゲナイド材料がI−V曲線の抵抗ブランチ上のポイントによって示されるようなデバイス条件の場合、カルコゲナイド材料又はデバイスは抵抗状態にあるといえる。カルコゲナイド材料がI−V曲線の導通ブランチ上のポイントによって示されるようなデバイス条件の場合、カルコゲナイド材料又はデバイスは導通状態にあるといえる。
【0062】
本発明に係るカルコゲナイド材料の電流を搬送する容量は、
図2を参照して説明できる。両端子間に電位差が存在しない2端子デバイス構成を最初に考えることとする。カルコゲナイド材料の両端に電圧が全く印加されない場合、当該材料は抵抗状態にあって電流は流れない。この状態は、
図2に示されるI−Vプロットの原点に対応する。カルコゲナイドは、印加電圧が増加しても、しきい電圧(
図2の第1象限にV
tで示す)までは抵抗状態のままである。0からV
tまでの印加電圧に対するI−V曲線の傾斜は振幅が小さく、カルコゲナイド材料が高電気抵抗を有することを示す。用語「抵抗ブランチ」に反映される状況は、I−V曲線のこの部分を説明するべく使用される。かかる高抵抗は、低い導電率を示す。その結果、当該材料を流れる電流は、印加電圧が増加しても弱くしか増加しない。
【0063】
印加電圧がしきい電圧以上の場合、カルコゲナイド材料は、I−V曲線の抵抗ブランチから導通ブランチへ変態又はスイッチする。当該スイッチング事象はほぼ瞬間的に生じ、
図2の破線に示される。スイッチングの際、デバイス電圧は著しく増加し、デバイス電流は当該デバイス電圧の変化に対してはるかに大きく影響されるようになる。カルコゲナイド材料は、
図2のI
hで示される最小電流が維持されている限りは導通ブランチのままである。I
hを保持電流と称し、対応する電圧V
hをデバイスの保持電圧と称することとする。電流がI
h未満となるようにデバイス条件が変わる場合、材料は通常、I−Vプロットの抵抗ブランチに戻り、導通ブランチでの動作を再開するにはしきい電圧の再印加が必要になる。電流が一時的に(例えばカルコゲナイド材料の回復時間よりも短い時間)のみI
h未満となる場合、カルコゲナイドの導通状態は、電流がI
h以上に復帰するときに回復する。
【0064】
同様のスイッチング挙動が
図2に示されるI−Vプロットの第3象限において生じる。第3象限におけるI−V曲線の負の極性を認識すれば、第3象限のスイッチング挙動及び電流特性が、第1象限に対する上記説明から類推できる。例えば、第3象限における負のしきい電圧の振幅よりも大きな振幅を有する印加電圧は、抵抗ブランチから導通ブランチへの変態又はスイッチングを誘発する。
【0065】
多くのカルコゲナイドメモリ材料もまた、
図2に示されるものと同様のスイッチングプロセスをとる。しかし、カルコゲナイドメモリ材料は相変化するので、当該材料のスイッチングは、単に印加電圧を除去することによっては可逆的とならない。むしろ、カルコゲナイドメモリ材料の動作特性は、上述の
図1に示した相変化特性に左右される。最も効果的なスイッチング材料は相変化に抵抗して一般には単一相のままである。例えば、多くのカルコゲナイドスイッチング材料は、抵抗状態から導通状態への変態の間はアモルファス相のままである。
【0066】
カルコゲナイドメモリ又はスイッチングデバイスの性能特性を最適化する努力において、広いレンジのカルコゲナイド組成が調査されている。一般にカルコゲナイド材料は、カルコゲン元素及び1つ以上の化学的又は構造的改質元素を含む。カルコゲン元素(例えばTe、Se、S)は周期表の第VI列から選択され、改質元素は周期表の第III列(例えばGa、Al、In)、第IV列(例えばSi、Ge、Sn)、又は第V列(例えばP、As、Sb)から選択され得る。改質元素の役割は、カルコゲン元素を含む複数の鎖間の分岐又は架橋のポイントを与えることを含む。
【0067】
第IV列改質子は、カルコゲナイド鎖内の2つの配位位置と、当該カルコゲナイド鎖から離れた分岐又は架橋を可能にする2つの配位位置とを含む。第III列及び第V列改質子は、カルコゲナイド鎖内の2つの配位位置と、当該カルコゲナイド鎖から離れた分岐又は架橋を可能にする1つの配位位置とを含む三配位改質子として機能することができる。本デバイスの実施例は、三元、四元、及びこれよりも高元のカルコゲナイド合金を含む。カルコゲナイド組成の選択された特定の実施例を以下に詳細に説明する。
【0068】
元素Ge、Sb、及び/又はTeを含むカルコゲナイド合金は、電気及び光デバイスにとって最も将来性のある材料である。上述のように、カルコゲナイド電気メモリデバイスに広く使用されるのは合金Ge
2Sb
2Te
5である。Ge
2Sb
2Te
5は、三元Ge−Te−Sb状態図のGe
2Te
3−Sb
2Te
3対応線上に位置する合金の1つである。当該対応線の他の合金もまた広く使用されて本発明の範囲内にある。さらに、‘913号、‘466号、及び‘211号出願に記載されているように、対応線から外れた合金もまた本発明の範囲内にある。
【0069】
本発明の実施例により、組成にGe及びSbを有する改善電極インターフェイス特性用カルコゲナイド材料を含む電子デバイスが与えられる。一実施例では、Geの原子濃度は11%から21%である。他実施例では、Geの原子濃度は13%から20%である。他実施例では、Geの原子濃度は15%から18%である。一実施例では、Sbの原子濃度は22%から65%である。他実施例では、Sbの原子濃度は28%から43%である。他実施例では、Sbの原子濃度は32%から35%である。上述の各実施例において、当該元素のそれぞれに対して示された組成レンジは、終点組成を含む。
【0070】
本発明は、上述の濃度レンジのGe及びSb並びにTeを有する改善電極インターフェイス特性用カルコゲナイド材料を含むメモリ及び電子デバイスをさらに含む。一実施例では、Teの原子濃度は28%から55%である。他実施例では、Teの原子濃度は43%から55%である。他実施例では、Teの原子濃度は48%から51%である。上述の各実施例において、当該元素のそれぞれに対して示された組成レンジは、終点組成を含む。
【0071】
本発明の他実施例は、Ge及びSbを有する改善電極インターフェイス特性用材料を含むカルコゲナイドデバイスを含む。ここで、Geの原子濃度は20%以下であり、Sbの原子濃度は30%以上である。一実施例では、Geの原子濃度は16%以下であり、Sbの原子濃度は40%以上である。他実施例では、Geの原子濃度は12%以下であり、Sbの原子濃度は50%以上である。
【0072】
他実施例において本デバイスは、上述の原子濃度のSb、並びに11%から19%、好ましくは13%から18%、及び最も好ましくは15%から17%の原子濃度のGeを有するカルコゲナイド材料を含む。さらなる他実施例では、カルコゲナイド材料は上述の原子濃度のGe及びSbを含み、さらにTeを含む。一実施例では、Teの原子濃度は50%以下であり、好ましくは20%から50%である。他実施例では、Teの原子濃度は40%以下であり、好ましくは30%から40%である。他実施例では、Teの原子濃度は30%以下である。
【0073】
他実施例において本デバイスは、11%−22%のレンジのGe濃度、22%−65%のレンジのSb濃度、及び28%−55%のレンジのTe濃度を有する改善電極インターフェイス特性用カルコゲナイド合金を含む。他実施例では、当該合金は、13%−20%のレンジのGe濃度、28%−43%のレンジのSb濃度、及び43%−55%のレンジのTe濃度を有する材料である。一実施例では、当該合金は、15%−18%のレンジのGe濃度、32%−35%のレンジのSb濃度、及び48%−51%のレンジのTe濃度を有する材料である。
【0074】
以下の表1に与えられるのは、本デバイスの活性領域の1つ以上の層に含まれるのに適したカルコゲナイド材料の代表的リストである。これは、限定ではなく例示を意図する。
【表1】
【0075】
本発明の実施例は、電子デバイスの活性領域にて組み合わせられる2つ以上の、カルコゲナイド、メモリ、及び/又はスイッチング材料を含むことが意図される。例えば一実施例では、当該材料は、当該電子デバイスの活性領域内に分散されるか又は混同(co-mingle)される。代替的実施例では、当該材料は、各層がホモジニアス組成に対応する1つ以上の層として順次堆積される。以下に十分に説明されるように、本発明は、1つのヘテロジニアス層がオペレーショナル成分及びプロモータ成分を有する1つ以上のヘテロジニアス層を含む活性領域を備える電子デバイスをさらに意図する。
【0076】
他の代替的実施例では、当該複数の層は、上部コンタクトと下部コンタクトとの間に垂直に配列される。ここで、各層は、活性領域の横径にわたって延在する。さらに他の代替的実施例では、第1化学的組成を有するメモリ層が当該デバイスの一の端子と物理的に接触し、第2化学的組成を有するメモリ層が当該デバイスの第2端子と物理的に接触する。そして、さらに他の代替的実施例では、カルコゲナイドメモリ材料とは別の相変化メモリ材料が当該メモリデバイスの活性領域で使用される。
【0077】
上述のように、Ge
2Sb
2Te
5と組み合わせられたGeリーンなカルコゲナイド組成を含むメモリ又はスイッチング材料によって、電子デバイスに通常使用される電気端子に高品質インターフェイス特性が与えられる。‘913号出願に記載されるように、Ge
2Sb
2Te
5メモリ材料は、メモリデバイスの単一層メモリ材料として使用される場合は望ましい低バージン抵抗を与えることがない。
【0078】
本発明の実施例は、電子デバイスの活性材料を当該デバイスの性能特性を改善するべく改質することを対象とする。一実施例では、性能を改善するべくカルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と共にプロモータ材料が利用される。プロモータ材料は例えば、当該カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と、当該電子デバイスの1つ以上の電気コンタクト又は端子とのインターフェイスの品質を向上させる。一実施例では、プロモータ材料は、当該活性材料と当該デバイスの電気コンタクトとのインターフェイス抵抗を低減するべく作用する。他実施例では、プロモータ材料は、当該カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と、当該デバイスの電気コンタクトとのインターフェイスにおける抵抗性酸化物のフォーメーションを防止するべく作用する。本デバイスの活性領域におけるカルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料にプロモータ材料を含ませることから得られる例示的な有利な性能特性には:バージン抵抗の低減、セット抵抗の低減;リセット抵抗の増大;当該セット抵抗と当該リセット抵抗とのコントラストの増大;リセット電流の低減;繰り返しサイクルにわたるセット抵抗値とリセット抵抗値との整合性の改善;デバイス動作(セット抵抗、リセット抵抗、及びしきい電圧のような性能パラメータを含む)を安定化させるのに必要なコンディショニング又はフォーメーションサイクルの回数の最小化;及び当該プロモータ材料なしの電子デバイスと比べてのサイクル寿命の延長、の1つ以上が含まれる。
【0079】
一実施例では、プロモータ材料は、当該デバイスの1つ以上の性能特性を改善するべくカルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と組み合わせられる元素若しくは化合物又はこれらの組み合わせである。例えば一実施例では、二重層メモリ材料の層の1つは、二重層カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料を活性領域に含むデバイスの性能を改善するべくSiO
2又はSiO
xのようなプロモータ材料を含む。プロモータ材料は例えば、当該活性材料と当該デバイスの電気コンタクトとのインターフェイスの抵抗を低下させる。代替的実施例では、二重層活性領域材料の双方の層は、当該デバイスの性能特性を改善するべく所定量のSiO
2又はSiO
xを含む。本発明に係るプロモータ材料は、SiO
2に加えて他の酸化物(例えば金属又は非金属酸化物)、窒化物(例えばSiN
x、TiN
x)、カーバイド(例えばSiC)、他の絶縁又は抵抗性の材料、非カルコゲナイド材料等を含む。
【0080】
プロモータ材料は、様々な化学的及び物理的プロセシング技術によって電子デバイスの活性領域におけるカルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と組み合わせてもよい。一般的な目的は、プロモータ材料と、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料との組み合わせを含む活性領域、又は活性領域内の層を形成することにある。好ましい実施例では、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料は相変化材料である。一実施例では、プロモータ材料と、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料との組み合わせは、組成的にヘテロジニアスな領域又は層である。当該領域又は層において、分散された成分の形態でプロモータ材料が存在する。一実施例では、ヘテロジニアス層又は領域は、同時スパタリングプロセスで形成される。同時スパタリングプロセスにおいて、プロモータ材料と、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料が同時に又は部分的に同時にスパタリングされる。他実施例では、ヘテロジニアス層又は領域は、化学又は物理蒸着プロセスで形成される。当該蒸着中にプロモータ材料及びメモリ又はスイッチング材料の前駆体が導入されて、プロモータ材料と、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料とが同時に形成される。
【0081】
一実施例においては、プロモータ材料が選択されて、当該プロモータ材料が当該デバイス製造後に当該端子の1つと必ずしも接触するわけではない態様でカルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料と組み合わせられることが意図される。例えば、プロモータ材料は、カルコゲナイド、スイッチング、又はメモリ材料に形成されると導通フィラメントの構成に役立ち得る。当該フィラメントに沿って大きな又は均一な導電性が生じる。さらに、プロモータ材料はまた、上述のように酸化ゲルマニウムのフォーメーションを低減するのに役立つ。これにより、活性領域の当該材料と端子とのインターフェイスの品質が改善される。プロモータ材料はまた、電子イオン化又は電子なだれプロセスを促進することにより当該フィラメントを構成するのに役立ち得る。電子イオン化又は電子なだれプロセスは、電子がカルコゲン元素の孤立対電子状態又は価電子状態から自由になるのに必要なエネルギーを変更することによる当該フィラメントの生成に関連する。
【0082】
図3から
図5に、本発明の実施例の概略図を示す。
図3は、上部端子110、下部端子120、及び活性領域130を含む電子デバイス100である。活性領域130は、オペレーショナル成分134及びプロモータ成分132を含むヘテロジニアス層である。オペレーショナル成分はオペレーショナル材料と称してもよく、プロモータ成分はプロモータ材料と称してもよい。オペレーショナル成分134は、カルコゲナイド、メモリ、スイッチング、又は相変化材料である。オペレーショナル成分134は、上部端子110と下部端子120との間への電圧又は電流の印加に応答する。オペレーショナル成分134は例えば、印加電圧又は電流に応答して一の構造状態から他の構造状態へ変態する。一実施例では、当該構造変態は、より結晶性の状態からより非結晶性の状態になる。他実施例では、当該構造変態は、より非アモルファス性の状態からよりアモルファス性の状態になる。さらなる他実施例では、当該構造変態は、一の結晶状態から他の結晶状態になる。オペレーショナル成分134はまた、電流又は電圧の印加のときに抵抗状態から導通状態又はその反対にスイッチしてよい。プロモータ132は、オペレーショナル成分134内に分散される。プロモータ132は一般に、オペレーショナル成分134内の複数の別個領域として分散される。当該別個領域は、オペレーショナル成分134内に秩序性又は無秩序性で配列されてよい。当該異なる別個領域は、サイズ又は形状が同一又は類似でもよくサイズ又は形状が異なってもよい。上述のように、本発明に係るプロモータ材料は、SiO
2、SiO
x、他の酸化物(例えば金属又は非金属酸化物)、窒化物(例えばSiN
x、TiN
x)、カーバイド(例えばSiC)、他の絶縁又は抵抗性の材料、非カルコゲナイド材料等を含む。
【0083】
プロモータ成分132は、ヘテロジニアス層130内に様々な比率で組み入れられてよい。一実施例では、プロモータ成分132の体積分率は1%から12%である。好ましい実施例では、プロモータ成分132の体積分率は3%から10%である。より好ましい実施例では、プロモータ成分132の体積分率は5%から8%である。
【0084】
図4は、上部端子210、下部端子220、及び、ヘテロジニアス層230及びホモジニアス層240を有する活性領域を含む電子デバイス200を示す。ヘテロジニアス層230は、オペレーショナル成分234及びプロモータ成分232を含む。オペレーショナル成分234は、カルコゲナイド、メモリ、スイッチング、又は相変化材料である。オペレーショナル成分234は、上部端子210と下部端子220との間への電圧又は電流の印加に応答する。プロモータ232は、オペレーショナル成分234内に分散される。プロモータ232は一般に、オペレーショナル成分234内の複数の別個領域として分散される。ホモジニアス層240は、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料を含んでよく、ヘテロジニアス層230を覆って配置される。一実施例では、ホモジニアス層240は、上部端子210と下部端子220との間への電流又は電圧の印加に応答する。本発明は、ヘテロジニアス層がホモジニアス層を覆って配置される二重層の実施例をさらに意図する。
【0085】
図5は、上部端子310、下部端子320、及び、ヘテロジニアス層330及びヘテロジニアス層340を含む活性領域を含む電子デバイス300を示す。ヘテロジニアス層330は、オペレーショナル成分334及びプロモータ成分332を含む。オペレーショナル成分334は、カルコゲナイド、メモリ、スイッチング、又は相変化材料である。オペレーショナル成分334は、上部端子310と下部端子320との間への電圧又は電流の印加に応答する。プロモータ332は、オペレーショナル成分334内に分散される。プロモータ332は一般に、オペレーショナル成分334内の複数の別個領域として分散される。ヘテロジニアス層340は、オペレーショナル成分344及びプロモータ成分342を含む。オペレーショナル成分344は、カルコゲナイド、メモリ、スイッチング、又は相変化材料である。オペレーショナル成分344は、上部端子310と下部端子320との間への電圧又は電流の印加に応答する。プロモータ342は、オペレーショナル成分344内に分散される。プロモータ342は一般にオペレーショナル成分344内の複数の別個領域として分散され、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料を含んでよい。
【0086】
本発明の他実施例は、一対の端子間に3以上の層が配置された活性領域を有する電子デバイスを含む。当該3以上の層は、1つ以上のホモジニアス層及び/又は1つ以上のヘテロジニアス層を含んでよい。ホモジニアス層は、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料を含んでよい。ヘテロジニアス層は、オペレーショナル成分及びプロモータ成分を含んでよい。ここで、オペレーショナル成分は、カルコゲナイド、メモリ、又はスイッチング材料であってよい。プロモータ成分は上述の通りである。ホモジニアス層及びヘテロジニアス層は、互いに対して任意の順序で配列されてよい。
【0087】
本発明に係るデバイスの例が以下に記載される。
【実施例1】
【0088】
本例では、本発明に係る電子デバイスの製造が記載される。本デバイスは、2つ以上のホモジニアス層及び/又はヘテロジニアス層を活性領域に含む。本例に記載されるデバイス構造は、プラグ形状を有する活性領域に配置された2つ以上の層を有する2端子デバイス設計である。ここで、活性領域は、頂部電極及び底部電極と電気的に接触する。異なるホモジニアス層及びヘテロジニアス層が、順次堆積される。当該堆積は、事前に製作された窒化耐熱金属又は合金を覆って配置された厚いSiO
2表面酸化物層を含むベースSiウェハ上で行われた。直径約600Åを有する底部電極のための窒化耐熱金属又は合金のプラグが絶縁層に形成された。次に、以下に詳細に説明されるように、1つ以上のホモジニアス層又はヘテロジニアス層が、パルスDC同時スパタリングプロセスを使用してプラグ及びそれを取り囲む酸化物絶縁体に堆積されて200℃で全厚約750Åにされた。ターゲットのGe
2Sb
2Te
5、Ge、及びSbが、ホモジニアス層、又はヘテロジニアス層のオペレーショナル成分のいずれかとしてカルコゲナイド材料の堆積に使用された。ターゲットのSiO
2プロモータ材料もまた、スパタリングプロセスに含められた。スパタリングプロセスにおいてパワー、イオンエネルギー論、照射時間、異なるターゲットの利用を制御することにより、異なる組成のカルコゲナイド膜が調製され、様々な比のプロモータ材料を有するヘテロジニアス層が調製された。スパタリングは、Ar環境にて行われた。
【0089】
Ge
2Sb
2Te
5及びGe
18Sb
37Te
45の1つ以上のホモジニアス及び/又はヘテロジニアス層が、以下に例示するデバイスの活性領域に含められた。SiO
2が、かかる例のプロモータ材料として使用された。二重カルコゲナイド層がプラグをコーティングし、周囲の絶縁層の側方に延在した。次に、頂部電極がその場で堆積を受けて、活性領域の頂部に堆積された400Åカーボン層と、当該カーボン層の頂部に堆積された1つ以上の導通層とを含むこととなった。導通層は典型的には1000Å窒化モリブデン層を含んでいた。当該デバイスの電気的な試験が可能とするべく各デバイス設計に対して所定のリソグラフィ及びパターニングが行われ、当該デバイスは、30分間300℃にてアニーリングを受けた。
【0090】
本発明に係るホモジニアスカルコゲナイド層及び/又はヘテロジニアスカルコゲナイド層の以下の組み合わせを有する例示的な二重層デバイスが製造された。
【表2】
【0091】
上記表に挙げられた各デバイスは、デバイスラベルにより特定される。各デバイスの活性領域に含まれる複数のカルコゲナイド層の組み合わせが、各層の厚さと共に挙げられている。当該層は、当該層が物理的に接触しているのが処理されたままのデバイスの下部電極か又は上部電極かに応じて挙げられている。例示の各デバイスは、下部電極に接触する厚さ200ÅのGe
18Sb
37Te
45の層と、上部電極に接触する厚さ550ÅのGe
2Sb
2Te
5の層とを含む。合金Ge
18Sb
37Te
45は、低Ge含有合金の代表的実施例として選択された。低Ge含有合金は、‘913号、‘211号、及び‘466号出願に記載のデバイス電極と共に形成されるインターフェイスの品質を向上させるとされている。Ge
2Sb
2Te
5は、その望ましい高リセット抵抗ゆえに選択された。‘913号出願に記載のとおり、二重層Ge
18Sb
37Te
45−Ge
2Sb
2Te
5デバイスは、いくつかの性能上の利点を有する。
【0092】
二重層デバイスo5785は、Ge
2Sb
2Te
5のホモジニアス層と組み合わせられたGe
18Sb
37Te
45のホモジニアス層を含む対照デバイスである。デバイスo5785の活性領域にはプロモータ材料は含まれていない。二重層デバイスo5787、o5789、及びo5791は、1つのホモジニアス層と、プロモータ成分としてSiO
2が組み入れられた1つのヘテロジニアス層とを含む。デバイスo5787は、下部電極に接触するヘテロジニアス層と、上部電極に接触するホモジニアス層とを含む。ヘテロジニアス層は、オペレーショナル成分Ge
18Sb
37Te
45とプロモータ成分SiO
2とを含む。ここで、プロモータ成分の体積分率は8%である。ホモジニアス層は、Ge
2Sb
2Te
5の層である。デバイスo5789は、下部電極に接触するホモジニアス層と、上部電極に接触するヘテロジニアス層とを含む。ホモジニアス層は、Ge
18Sb
37Te
45の層である。ヘテロジニアス層は、オペレーショナル成分Ge
2Sb
2Te
5と、プロモータ成分SiO
2とを含む。ここで、プロモータ成分の体積分率は8%である。デバイスo5791は、下部電極に接触するホモジニアス層と、上部電極に接触するヘテロジニアス層とを含む。ホモジニアス層は、Ge
18Sb
37Te
45の層である。ヘテロジニアス層は、オペレーショナル成分Ge
2Sb
2Te
5と、プロモータ成分SiO
2とを含む。ここで、プロモータ成分の体積分率は10%である。
【0093】
表2に示される各タイプのデバイスに対して別個のベースウェハが使用された。各タイプのデバイスに対するベースウェハは同一である。各ベースウェハ上のデバイス製造において、表2に示されるヘテロジニアス層及び/又はホモジニアス層の特定の組み合わせを有する複数のデバイスが調製され試験された。各タイプのデバイスに対する具体的な性能特性は、以下に示す例に記載される。当該性能特性には、各ベースウェハ上に形成された各タイプの複数のデバイスに対する代表的な性能結果が反映されている。各タイプのデバイスの性能特性は、各ベースウェハ上に形成された複数のデバイスにわたり一貫していた。デバイスの動作特性は、
図1に示した挙動と質的に類似する。本プロモータ材料を含むデバイスに関する性能上の特定の利点が、以下の例にて説明される。
【実施例2】
【0094】
本例には、対照デバイスo5785の電気試験による選択された実験結果が示される。対照サンプルのI−V(電流−電圧)特性及びR−I(抵抗−電流)特性が示される。実験結果は、パルス継続時間300ns及び様々なパルス振幅の電圧パルスをデバイスに印加して得られた。電圧パルスは、デバイスの頂部電極と底部電極との間に印加された。当該デバイスを流れる電流が、当該電圧パルスの印加中に測定された。電圧パルスが終了すると、当該デバイスの抵抗も同様に測定された。読み取り測定中、約0.1から0.4ボルト(V)のDCバイアス電圧が維持された。被試験電子デバイスと直列の直列固定抵抗(R
load)に、一連の電圧パルスが印加されて各パルスに対してデータが得られた。当該一連の印加電圧パルスは、約0.2Vから開始して、当該デバイスをリセットするのに十分な最大電圧値まで微小増分で増加した。被試験デバイスの抵抗及び電流は、データからパルス振幅の関数として得られた。これは、
図6及び
図7に示されるR−Iプロット及びI−Vプロットの形態でまとめられた。
【0095】
デバイスのR−I特性及びI−V特性は、複数の動作サイクルにわたって測定された。異なるサイクルは、デバイスのセット及びリセットのサイクルに対応する。当該サイクルは、デバイスの製造後状態又はバージン状態から始まり、当該デバイスの反応特性が実質的に安定するまで続けられる。デバイス特性を安定させるのに必要なサイクル数は、デバイスをその究極的な目的動作に調製するのに必要なフォーメーション又はコンディショニングの程度の尺度となる。当該デバイスを形成するのに必要なサイクル数を最小限にすることが望ましく、カルコゲナイド材料のようなメモリ材料と一方又は双方の電極との高品質インターフェイスが、フォーメーションに必要なサイクル数を低減すると予想される。
【0096】
図6は、いくつかの動作サイクルにわたる電子デバイスo5785のR−I特性を示す。第1動作サイクルは、製造後デバイスのバージン状態から始まり当該デバイスがその第1リセット状態に到達するまで延びるダイヤモンド記号で表される一連のデータ点として示される。バージン状態にあるデバイスのデータ点は、
図6においてゼロ電流及び約2kΩの抵抗(バージン抵抗)に位置する。電圧パルスの振幅が増加するに従って、デバイスを流れる電流も増加する。デバイス抵抗は一般に、デバイスを流れる電流が1.0mAを越えるまではほぼバージン抵抗のままであった。このポイントでデバイスの抵抗は実質的に増加し、当該デバイスはリセット状態に変態する。第2動作サイクルは、第1動作サイクルの終了にて得られたリセット状態にあるデバイスから始まる。振幅が増加する第2の一連の電圧パルスが印加され、デバイスの抵抗及び電流が測定された。その結果、R−Iプロットの第2の軌跡が得られた。第2動作サイクルの初期状態の抵抗はほぼ1MΩであった。第2動作サイクルの間、デバイスは、電流が0.5mAに近づくにつれて低抵抗状態にセットされ、電流が1mAを越えると再びリセットされた。当該サイクルプロセスが続けられた。
図6に、いくつかのサイクルに対するデータの軌跡を示す。
【0097】
対照デバイスのR−Iデータは、当該デバイスがフォーメーションをほとんど又は全く必要としなかったことを示す。デバイスのセット状態抵抗及びリセット状態抵抗にほとんど変化がないことが、第2動作サイクル後に観測された。対照デバイスのR−Iデータは、当該デバイスが1.5mAのリセット電流を有していたことを示す。
【0098】
図7は、対照デバイスのI−V特性を示す。いくつかの動作サイクルにわたるI−V軌跡を示す。第1動作サイクルのI−V軌跡は、バージン状態から始まり、プロットの原点から延びて電圧約1.4Vまで続く単調増加ダイヤモンド記号で示される。第1動作サイクルに対してはスイッチングが観測されなかった。その後の動作サイクルはスイッチングを実証した。これは、電圧が初めに増加していてもほぼ一定かつ低い電流がデバイスを流れることによって示される。当該電圧がしきい電圧に到達したとき、電流のほぼ不連続な増加が観測された。対照デバイスのI−V特性は、第2又は第3動作サイクル後においてほとんど変化を示さなかった。当該I−Vデータにより、対照デバイスのしきい電圧が0.8V−0.9Vであることと、導通状態の抵抗が600Ωをわずかに上回ることとが示された。
【0099】
図8は、対照デバイスのいくつかの性能特性における、多数の動作サイクル数にわたっての変化を示す。これにより、デバイスの耐久性及び信頼性が調べられる。各動作サイクルは、300nsのセットパルス及び50nsのリセットパルスを含んでいた。各サイクルに対し、セット抵抗、リセット抵抗、しきい電圧、保持電圧、及びI−V曲線の導通ブランチでの抵抗(動的状態抵抗)が測定された。
図8に結果をまとめる。上部の2つの軌跡は、サイクルにおけるリセット抵抗及びセット抵抗の変化を示す。リセット抵抗は、10
8動作サイクルにわたり約1MΩで安定したままだった。このポイントでデバイスが故障した。セット抵抗は、同じサイクル数にわたり10kΩを十分に下回る値で安定したままだった。
図8の下部の3つの軌跡は、電圧が増加する順で、デバイスの保持電圧、導通ブランチ(動的状態)抵抗、及びしきい電圧を示す。3つの性能特性全てが、デバイスが故障するまで安定した値を示した。
【実施例3】
【0100】
本例には、デバイスo5787の電気試験による選択された実験結果が示される。デバイスo5787は、ヘテロジニアス層及びホモジニアス層を有する二重層構造を含む本発明に係る実施例である。下部電極と接触する層は、オペレーショナル成分としてGe
18Sb
37Te
45を、プロモータ成分として8%SiO
2を含む200Å厚のヘテロジニアス層である。上部電極と接触する層は、550Å厚のGe
2Sb
2Te
5ホモジニアス層である。上述の例2で説明されたように、複数サイクルにわたるデバイスo5787のI−V(電流−電圧)特性、R−I(抵抗−電流)特性、及びサイクル寿命特性が得られた。
【0101】
図9は、いくつかの動作サイクルにわたる電子デバイスo5787のR−I特性を示す。第1動作サイクルは、製造後デバイスのバージン状態から始まり当該デバイスがその第1リセット状態に到達するまで延びるダイヤモンド記号で表される一連のデータ点として示される。バージン状態にあるデバイスのデータ点は、
図9においてゼロ電流及び約4.5kΩの抵抗に位置する。電圧パルスの振幅が増加するに従って、デバイスを流れる電流も増加する。デバイス抵抗は一般に、デバイスを流れる電流が約0.8mAとなるまではほぼバージン抵抗のままであった。このポイントでデバイスの抵抗は実質的に増加し、当該デバイスはリセット状態に変態する。第2動作サイクルは、第1動作サイクルの終了にて得られたリセット状態にあるデバイスから始まる。振幅が増加する第2の一連の電圧パルスが印加され、デバイスの抵抗及び電流が測定された。その結果、R−Iプロットの第2の軌跡が得られた。第2動作サイクルの初期状態の抵抗はほぼ1MΩであった。第2動作サイクルの間、デバイスは、電流約0.3mAにおいて低抵抗状態にセットされ、電流が1mAに到達すると再びリセットされた。当該サイクルプロセスが続けられた。
図9に、いくつかのサイクルに対するデータの軌跡を示す。
【0102】
デバイスo5787のR−Iデータは、当該デバイスがフォーメーションをほとんど又は全く必要としなかったことを示す。デバイスのセット状態抵抗及びリセット状態抵抗にほとんど変化がないことが、第2動作サイクル後に観測された。したがって、活性領域の層にプロモータ成分を含むことは、例2の対照デバイスに対して観測された有利なフォーメーション特性に著しく有害な影響を与えなかった。デバイスo5787のR−Iデータはまた、当該デバイスが約1.0mAのリセット電流を有していたことを示す。この電流は、対照デバイスのリセット電流よりも著しく低い。したがって、当該結果は、二重層デバイスの層内にプロモータ成分を含むことが、当該デバイスのリセット電流を低減するという有利な効果を与えることを示す。低いセット電流も観測されたが、プロモータ成分を含めてもリセット抵抗とセット抵抗との大きなコントラストが維持された。
【0103】
図10は、デバイスo5787のI−V特性を示す。いくつかの動作サイクルにわたるI−V軌跡を示す。第1動作サイクルのI−V軌跡は、バージン状態から始まり、プロットの原点から延びて電圧約1.4Vまで続く単調増加ダイヤモンド記号で示される。第1動作サイクルに対してはスイッチングが観測されなかった。その後の動作サイクルがスイッチングを実証した。デバイスo5787のI−V特性は、第2又は第3動作サイクル後においてほとんど変化を示さなかった。当該I−Vデータにより、デバイスo5787のしきい電圧が約0.9Vであることと、導通状態の抵抗が約850Ωであることとが示された。デバイスo5787のI−V特性は、対照デバイスに対して観測された特性に類似する。
【0104】
図11は、デバイスo5787のいくつかの性能特性における、複数の動作サイクル数にわたっての変化を示す。各動作サイクルは、300nsのセットパルス及び50nsのリセットパルスを含んでいた。各サイクルに対し、セット抵抗、リセット抵抗、しきい電圧、保持電圧、及びI−V曲線の導通ブランチでの抵抗(動的状態抵抗)が測定された。
図11に結果をまとめる。上部の2つの軌跡は、サイクルにおけるリセット抵抗及びセット抵抗の変化を示す。リセット抵抗は、10
8動作サイクルにわたり約1MΩで安定したままだった。このポイントで実験が終了し、デバイスの故障は生じなかった。セット抵抗は、同じサイクル数にわたり10kΩを下回る値で安定したままだった。
図11の下部の3つの軌跡は、デバイスの保持電圧、導通ブランチ(動的状態)抵抗、及びしきい電圧を示す。3つの性能特性全てが、実験継続中、安定した値を示した。サイクル寿命試験は、二重層デバイスの活性領域の層内にプロモータ材料を含むことが、当該デバイスの耐久性に有害な影響を与えないことを示す。デバイスo5787の寿命は、少なくとも対照デバイスの寿命と同様であり、恐らくはより優れている。
【実施例4】
【0105】
本例には、デバイスo5789の電気試験による選択された実験結果が示される。デバイスo5789は、ヘテロジニアス層及びホモジニアス層を有する二重層構造を含む本発明に係る実施例である。下部電極と接触する層は、200Å厚のGe
18Sb
37Te
45ホモジニアス層である。上部電極と接触する層は、オペレーショナル成分としてGe
2Sb
2Te
5を含みプロモータ成分として8%SiO
2を含む550Å厚のヘテロジニアス層である。上述の例2で説明されたように、複数サイクルのわたるデバイスo5789のI−V(電流−電圧)特性、R−I(抵抗−電流)特性、及びサイクル寿命特性が得られた。
【0106】
図12は、いくつかの動作サイクルにわたる電子デバイスo5789のR−I特性を示す。第1動作サイクルは、製造後デバイスのバージン状態から始まり当該デバイスがその第1リセット状態に到達するまで延びるダイヤモンド記号で表される一連のデータ点として示される。バージン状態にあるデバイスのデータ点は、
図12においてゼロ電流及び約3.2kΩの抵抗に位置する。電圧パルスの振幅が増加するに従って、デバイスを流れる電流も増加する。デバイス抵抗は一般に、デバイスを流れる電流が約1.2mAとなるまではほぼバージン抵抗のままであった。このポイントでデバイスの抵抗は実質的に増加し、当該デバイスはリセット状態に変態する。第2動作サイクルは、第1動作サイクルの終了にて得られたリセット状態にあるデバイスから始まる。振幅が増加する第2の一連の電圧パルスが印加され、デバイスの抵抗及び電流が測定された。その結果、R−Iプロットの第2の軌跡が得られた。第2動作サイクルの初期状態の抵抗はほぼ1MΩであった。第2動作サイクルの間、デバイスは、電流約0.3mAにおいて低抵抗状態にセットされ、電流約1mAにてリセットが再び開始した。当該サイクルプロセスが続けられた。
図12に、いくつかのサイクルに対するデータの軌跡を示す。
【0107】
デバイスo5789のR−Iデータは、当該デバイスがフォーメーションをほとんど又は全く必要としなかったことを示す。デバイスのセット状態抵抗及びリセット状態抵抗にほとんど変化がないことが、最初の数動作サイクル後に観測された。活性領域の層にプロモータ成分を含むことは、例2の対照デバイスに対して観測された有利なフォーメーション特性に著しく有害な影響を与えなかった。デバイスo5789のR−Iデータはまた、当該デバイスが約1.3mAのリセット電流を有していたことを示す。この電流は、対照デバイスのリセット電流よりも10%以上低い。したがって、当該結果は、二重層デバイスの層内にプロモータ成分を含むことが、対照デバイスと比べて当該デバイスのリセット電流を低減するという有利な効果を与えることを示す。低いセット電流も観測されたが、プロモータ成分を含めてもリセット抵抗とセット抵抗との大きなコントラストが維持された。
【0108】
図13は、デバイスo5789のI−V特性を示す。いくつかの動作サイクルにわたるI−V軌跡を示す。第1動作サイクルのI−V軌跡は、バージン状態から始まり、プロットの原点から延びて電圧約1.7Vまで続く単調増加ダイヤモンド記号で示される。第1動作サイクルに対してはスイッチングが観測されなかった。その後の動作サイクルがスイッチングを実証した。デバイスo5789のI−V特性は、最初の数動作サイクル後においてほとんど変化を示さなかった。当該I−Vデータにより、デバイスo5789のしきい電圧が約0.8Vであることと、導通状態の抵抗が約900−1000Ωであることとが示された。デバイスo5789のI−V特性は、対照デバイスに対して観測された特性に類似する。
【0109】
図14は、デバイスo5789のいくつかの性能特性における、複数の動作サイクル数にわたっての変化を示す。各動作サイクルは、300nsのセットパルス及び50nsのリセットパルスを含んでいた。各サイクルに対し、セット抵抗、リセット抵抗、しきい電圧、保持電圧、及びI−V曲線の導通ブランチでの抵抗(動的状態抵抗)が測定された。
図14に結果をまとめる。上部の2つの軌跡は、サイクルにおけるリセット抵抗及びセット抵抗の変化を示す。リセット抵抗は、10
9動作サイクルにわたり約1MΩで安定したままだった。このポイントで実験が終了し、デバイスの故障は生じなかった。セット抵抗は、同じサイクル数にわたり10kΩを下回る値で安定したままだった。
図14の下部の3つの軌跡は、デバイスの保持電圧、導通ブランチ(動的状態)抵抗、及びしきい電圧を示す。3つの性能特性全てが、実験継続中、安定した値を示した。サイクル寿命試験は、二重層デバイスの活性領域の層内にプロモータ材料を含むことが、当該デバイスの耐久性に有害な影響を与えないことを示す。デバイスo5789の寿命は、対照デバイスの寿命を越える。
【実施例5】
【0110】
本例には、デバイスo5791の電気試験による選択された実験結果が示される。デバイスo5791は、ヘテロジニアス層及びホモジニアス層を有する二重層構造を含む本発明に係る実施例である。下部電極と接触する層は、200Å厚のGe
18Sb
37Te
45ホモジニアス層である。上部電極と接触する層は、オペレーショナル成分としてGe
2Sb
2Te
5を含みプロモータ成分として10%SiO
2を含む550Å厚のヘテロジニアス層である。上述の例2で説明されたように、複数サイクルにわたるデバイスo579のI−V(電流−電圧)特性、R−I(抵抗−電流)特性、及びサイクル寿命特性が得られた。
【0111】
図15は、いくつかの動作サイクルにわたる電子デバイスo5791のR−I特性を示す。第1動作サイクルは、製造後デバイスのバージン状態から始まり当該デバイスがその第1リセット状態に到達するまで延びるダイヤモンド記号で表される一連のデータ点として示される。バージン状態にあるデバイスのデータ点は、
図12においてゼロ電流及び約3.8kΩの抵抗に位置する。電圧パルスの振幅が増加するに従って、デバイスを流れる電流も増加する。デバイス抵抗は一般に、デバイスを流れる電流が約1.1mAとなるまではほぼバージン抵抗のままであった。このポイントでデバイスの抵抗は実質的に増加し、当該デバイスはリセット状態に変態する。第2動作サイクルは、第1動作サイクルの終了にて得られたリセット状態にあるデバイスから始まる。振幅が増加する第2の一連の電圧パルスが印加され、デバイスの抵抗及び電流が測定された。その結果、R−Iプロットの第2の軌跡が得られた。第2動作サイクルの初期状態の抵抗はほぼ1MΩであった。第2動作サイクルの間、デバイスは、電流約0.3mAにおいて低抵抗状態にセットされ、電流約1mAにてリセットが再び開始した。当該サイクルプロセスが続けられた。
図15に、いくつかのサイクルに対するデータの軌跡を示す。
【0112】
デバイスo5791のR−Iデータは、当該デバイスがフォーメーションをほとんど又は全く必要としなかったことを示す。デバイスのセット状態抵抗及びリセット状態抵抗にほとんど変化がないことが、最初の数動作サイクル後に観測された。活性領域の層にプロモータ成分を含むことは、例2の対照デバイスに対して観測された有利なフォーメーション特性に著しく有害な影響を与えなかった。デバイスo5791のR−Iデータはまた、当該デバイスが約1.2mAのリセット電流を有していたことを示す。この電流は、対照デバイスのリセット電流よりも20%以上低い。したがって、当該結果は、二重層デバイスの層内にプロモータ成分を含むことが、対照デバイスと比べて当該デバイスのリセット電流を低減するという有利な効果を与えることを示す。低いセット電流も観測されたが、プロモータ成分を含めてもリセット抵抗とセット抵抗との大きなコントラストが維持された。
【0113】
図16は、デバイスo5791のI−V特性を示す。いくつかの動作サイクルにわたるI−V軌跡を示す。第1動作サイクルのI−V軌跡は、バージン状態から始まり、プロットの原点から延びて電圧約1.5Vまで続く単調増加ダイヤモンド記号で示される。第1動作サイクルに対してはスイッチングが観測されなかった。その後の動作サイクルがスイッチングを実証した。デバイスo5791のI−V特性は、最初の数動作サイクル後においてほとんど変化を示さなかった。当該I−Vデータにより、デバイスo5791のしきい電圧が約0.8Vであることと、導通状態の抵抗が約900Ωであることとが示された。デバイスo5791のI−V特性は、対照デバイスに対して観測された特性に類似する。
【0114】
図17は、デバイスo5791のいくつかの性能特性における、複数の動作サイクル数にわたっての変化を示す。各動作サイクルは、300nsのセットパルス及び50nsのリセットパルスを含んでいた。各サイクルに対し、セット抵抗、リセット抵抗、しきい電圧、保持電圧、及びI−V曲線の導通ブランチでの抵抗(動的状態抵抗)が測定された。
図17に結果をまとめる。上部の2つの軌跡は、サイクルにおけるリセット抵抗及びセット抵抗の変化を示す。リセット抵抗は、10
9動作サイクルにわたり約1MΩで安定したままだった。実験の後半段階でわずかな低下があった。しかしながら、実験終了まではデバイスの故障は観測されなかった。セット抵抗は、同じサイクル数にわたり10kΩを下回る値で安定したままだった。
図17の下部の3つの軌跡は、デバイスの保持電圧、導通ブランチ(動的状態)抵抗、及びしきい電圧を示す。3つの性能特性全てが、実験継続中、安定した値を示した。サイクル寿命試験は、二重層デバイスの活性領域の層内にプロモータ材料を含むことが、当該デバイスの耐久性に有害な影響を与えないことを示す。デバイスo5791の寿命は、対照デバイスの寿命を越える。
【実施例6】
【0115】
図18を参照すると、本発明に係る選択されたデバイスと対照デバイス(デバイスo5785)とのR−I特性の直接対比が示される。上述の例2で説明されたように各デバイスのR−I応答が得られた。デバイスo5787及びo5789のR−I応答が、対照デバイス及び単一層デバイスのR−I応答と
図18にて対比される。単一層デバイス(デバイスo5783)は、Ge
18Sb
37Te
45の750Åホモジニアス層を含む。
図18は、バージン状態からのR−I軌跡と、各デバイスの安定状態に対するR−I軌跡とを示す。各デバイスのバージン状態からのR−I軌跡は、バージン抵抗(各デバイスに対して1kΩから10kΩの間)から始まり、第1リセット状態まで延びる。各デバイスの安定状態に対するR−I軌跡は、安定リセット抵抗から始まり、セット抵抗を通って継続し、リセット状態まで延びる。デバイスo5787、o5789、対照デバイス、及び単一層デバイスのR−I軌跡を、三角記号(▲)、丸記号(●)、四角記号(■)、及びダイヤモンド記号(◆)を用いて
図18にそれぞれ示す。ゼロ電流にて10kΩ未満の抵抗から始まる4つの軌跡は、デバイスのバージン状態からの軌跡であり、ゼロ電流にて100kΩ超過の抵抗から始まる4つの軌跡は、リセット状態から始まる安定デバイスの軌跡である。
【0116】
最高電流まで延びる2つの軌跡は、単一層デバイスから得られた。合金Ge
18Sb
37Te
45は、フォーメーションをほとんど又は全く必要としない望ましい特性を有する。バージン状態にあるデバイスは基本的に、コンディショニングの必要がなく実用動作の準備ができている。この特性は、単一層デバイスのバージン状態及び安定状態のR−I軌跡の同様な外見に反映されている。しかしながら、単一層デバイスの欠点は、相対的に高いリセット電流及び低いR
resetにある。
【0117】
二重層の対照デバイスo5785は、Ge
18Sb
37Te
45のホモジニアス層とGe
22Sb
2Te
5のホモジニアス層とを含む。このデバイスに対する2つの軌跡は、単一層デバイスと比べてリセット電流が低減したことを示すが、当該デバイスのバージン状態から始まるR−I軌跡と安定リセット状態から始まるR−I軌跡とは大きく相違する。この相違は、プロセス後のバージン状態デバイスを、当該デバイスがエンドユーザのための動作への準備が整う前に一連のフォーメーションサイクルを介してコンディショニングする必要があることを示す。かかるコンディショニングは、製造プロセスに時間及び費用を付加することになるので望ましくない。(しかし、‘913号出願に記載のように、二重層対照デバイスに対してフォーメーションを行う必要性は、単一層Ge
2Sb
2Te
5デバイスに対してフォーメーションを行う必要性よりも少ない。)
【0118】
デバイスo5789は、下部電極に接触するGe
18Sb
37Te
45のホモジニアス層と、上部電極に接触するGe
2Sb
2Te
5及びSiO
2のヘテロジニアス層とを含む。プロモータSiO
2を含めることにより、プロモータを欠く二重層対照デバイスと比べてリセット電流が増加するのと同時に、デバイスをコンディショニングする必要性が少なくなる。デバイスo5789のバージン状態R−I軌跡と安定リセット状態R−I軌跡との相違は、対照デバイスo5785に対して観測されたものよりも小さい。
【0119】
デバイスo5787は、下部電極に接触するGe
18Sb
37Te
45及びSiO
2のヘテロジニアス層と、上部電極に接触するGe
2Sb
2Te
5のホモジニアス層とを含む。プロモータSiO
2を含めることにより、プロモータを欠く二重層対照デバイスと比べてリセット電流が増加するのと同時に、デバイスをコンディショニングする必要性が少なくなる。デバイスo5787のバージン状態R−I軌跡と安定リセット状態R−I軌跡との相違は、対照デバイスo5785に対して観測されたものよりも小さい。デバイスo5787に対して観測された相違は、単一層デバイスo5783に対して観測されたものに匹敵する。デバイスo5787のR−I特性は、デバイスの活性領域にプロモータ材料を含めることが、リセット電流低減の利益をもたらす一方で当該デバイスに対してフォーメーションを行う必要性を実質的になくすことを示す。
【0120】
当業者であれば、上述の方法及び設計が追加のアプリケーションを含むことと、当該関連アプリケーションが具体的に上述されたものに限られないこととがわかる。また、本発明は、本明細書に記載の本質的特性から逸脱することなく他の具体的な形態で実施することができる。上述の実施例の全ての側面は例示としてのみ考慮されるべきであって、いかなる態様でも限定されるものではない。