【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくともその一部が互いに、溶接、ロウ付けにより
、形状による嵌め合わせ又は圧力による嵌め合わせで連結、又は接着により接合された複数の構成部材を有する構造要素を有している自動車用シートにおいて、好ましくは少なくとも一つの部材が複数の実施態様が可能であり、その部材の形状は実施態様に拘わらず同じ形状にできる自動車用シートにより達成できる。主たる荷重を支えるこの各連結部において、連結は、少なくとも2つ、好ましくは3つの部分において、溶接、ロウ付け、接着による
連結部及び/又は形状による嵌め合わせ及び/又は
圧力による嵌め合わせ連結部とされている。
【0006】
この発明は自動車におけるどのような配列においても設置できる自動車用シートに関する。このシートは前シートでも後シートでもよい。この発明による自動車用シートは、一人又はそれ以上の人の席を提供できる。この発明による自動車用シートは従ってベンチシートであっても良い。
【0007】
この発明によれば、自動車用シートは、少なくとも互いに連結された複数の部材より成る構成要素を有している。少なくとも一つのこれらの部材は、例えばアルミニウムかアルミ合金などの軽量材料から製造される。この構成部材は、連結タイプが違えば異なる設計となる。例として、この構成部材が接着により接合されるか、溶接により接合されるかにより異なる態様をとる。
【0008】
例えば、スチール製の構成部材が、連結部材に変更を加えることなく軽量部材により置換えられるように措置をすることが好ましい。代替措置又は追加措置として、他の部材に連結する連結方法に応じて、構成部材を異なる設計にするのが好ましい。この措置は、一つの構造設計を用いて車両プラットフォームに様々な変形を加えることが可能となる。従って、スチールから成る低コスト態様と組合せ構造の高機能目的の態様の両方が可能となる。加えて、異なる連結態様が使用可能となる。組合せ構造の態様においては、スチール部材と、非スチール、例えば、プラスチック、アルミニウム
及び/又はその合金又はその組合せ材料のような軽量材料の使用ができる。これに関連して言えば、組合せ構造は、常に従来のスチール構造よりも遥かに軽い。この発明の自動車用シートの別な大きい利点は、構造物が、溶接ロボットやプラント
及び装置に関して実質的に同じ製造設備により製造できることである。このことも、特に、組合せ態様の自動車用シートを製造するための、製造コストの低減
及び関連投資を低減することを可能とする。
【0009】
この発明は、側部材と連結部材がスチールかアルミニウムでできた実施例も含んでいる。
【0010】
この構造要素は、好ましくは、自動車用シートの背もたれの基体を成す背もたれフレームである。背もたれの傾斜を調節するリクライニング装置、自動車用シートのバネ構成、ヘッドレスト
及び可能なら、エアバッグは一般的には背もたれフレームに配設されている。背もたれフレームは、好ましくは、下部連結部材
及び/又は上部連結部材により互いに連結された背もたれ側部材を有している。この背もたれ側部材は、好ましくは、例えばスチール板、アルミニウムやプラスチック又はその組合せのような軽量材料から成る3次元形状の構成部材であり、特に好ましいのは、連結部材や連結部材と側部材との連結態様に拘わらず変わらないことである。下部連結部材及び/又は上部連結部材は、スチールか軽量材料からなることが好ましい。いずれの場合にも、連結部材は、異形材及び/又は圧延材であるのが好ましい。軽量構造は、好ましくは、押し出し異形部材であり、特に好ましいのは、アルミニウムから成る軽量材料の異形材か、アルミニウムなどの軽量材の圧延部材である。
【0011】
構造部品及び/又は連結部材は、アルミニウム、亜鉛、アルミ合金及び/又は亜鉛合金によりコートされるのが好ましい。これは、特にレーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザー半田付け又はCMT溶接のような一体連結に有利である。
【0012】
この発明によれば、少なくとも一つの連結部材と背もたれ側部材とが連結部位において互いに連結されている。この連結部位における連結は、レーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザーロウ付け/半田付け、ハイブリッド半田付け及び/又は接合による連結である。特に好ましいのは、部品が互いに冷間メタルトランスファー(CMT)溶接又は接着溶接である。さらに好ましいのは、スチールと軽量材料、特にアルミニウム又はその合金材料が、上記の連結工程により互いに連結されることである。
【0013】
この連結は、追加的に形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め
合わせ結合、特にリベット、ベル止め、クリンチ、フランジング及び/又はネジ止めによる結合を有するのが好ましい。
【0014】
その他の好ましい実施例として、構造要素は、車両用シートの下部構造、
すなわちシートフレームである。この下部構造は、車両シートの搭乗者が座る部分のベース構造を表す。この下部構造は、好ましくは、二つの下部構造側部材を有する。この下部構造側部材は、スチール板又はアルミニウム、アルミ合金及び/又はプラスチックのような軽量材料から形成された好ましくは3次元形状の部材であるのが特に好ましい。これらの下部構造側部材は、好ましくは、少なくとも一つの部材により、互いに連結されている。この部材とは、好ましくは、連結管であり、好ましくは、スチールか軽量構造部材により作られている。軽量設計においては、この部材は、少なくともその一部がアルミニウムやその合金などの軽量材料を有している。
【0015】
この発明によれば、少なくとも一つの連結部材とシート側部材が、連結部位において互いに連結されている。この連結がトルクに対して堅固である構造が望まれる場合には、レーザーハイブリッド溶接、レーザーろう付け/半田付け、ハイブリッドろう付け及び/又は接着結合による連結が好ましい。特に好ましいのは、部材が冷間メタルトランスファー(CMT)溶接により互いに連結されることである。この技術に通じている者であれば、連結部材は、いわゆる2通り
調節シート部材の場合にのみ、トルクに対して堅固に側部材に連結しても良いことを悟るであろう。3通り
以上の調節のシート
部材の場合には、連結部材は側部材に対して、回転可能に設ける必要がある。
【0016】
この連結は、追加的に形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め合わせを有するのが好ましい。圧力
による嵌め合わせは、リベット、ベル止め、クリンチング(TOX(登録商標)加工)、クリンピング、フランジングにより提供される。
【0017】
この発明によれば、側部材と連結部材との連結部位における溶接/ロウ付け連結は3つの部分を有している。少なくとも一つの部分は、好ましくは曲がっており、特に扇形に形成されているのが好ましい。複数の部分を有する場合には、一つが他の部分より長くされるのが好ましい。この部分の長さは、上
部連結部材と下
部連結部材に対して、一つの連結部位につき、20から100ミリメートルが好ましい。複数の部分を有している場合には、これらの部分が、異なる平面特に互いに角度を有する平面に配置されるのが好ましい。
【0018】
この発明によれば、側部材と連結部材との連結部位における接着連結は、少なくとも2つ、好ましくは3つの接着部分を有する。この部分は、四角形状にされるか、一連の接着剤を各部分に適用し、部品を接合するのが好ましい。上
部連結部材
及び下
部連結部材の各連結部位に対して、連結部位の全域は1500−4000平方ミリメートルが好ましい。複数の連結部位が存在する場合には、これらの連結部位が異なる平面に、特に互いに傾斜した平面に位置することが好ましい。
【0019】
連結されるべき構成部材の実施態様及び/又は連結タイプに拘わらず、連結部位が変化しないことが好ましい。特に、背もたれ側部材及び/又は下部構造側部材に設けられた連結部位が変化しないのが好ましい。この場合、これらを連結する構成部材がスチールか軽量材料から作られているかに拘わらず及び/又は連結タイプに拘わらず、常に同じ側部材を使用することが可能になる。このことは、在庫管理と生産にかなりの利点を
もたらす。
【0020】
連結部材及び/又は軽量構造の構成部材の断面は、好ましくは、スチールで製造した連結部材の断面より大きい。このことは、連結部位の形状を決める場合に考慮しまければならない。連結部位は、最大の断面を有する構成部材のためのスペースが在るように設計しなければならない。スチール又はアルミなどの軽量材料により製造された二つの部品を連結するためには、適正な連結を得るためにアダプターを設ける必要があることもある。逆に、スチール部品又はアルミ部品が連結部位において例えば、水圧成形により拡張することもできる。さらに、材料に拘わらず、連結部材
及び/又は構成部材を同じ外径で提供することができ、構成部材の壁厚さを変える事ができる。軽量材料から製造された連結部材又は構成部材は、その場合スチール製の連結部材/構成部材よりも壁厚さが大きい。この場合は、アダプターを省くことができる。
【0021】
背もたれ側部材は、好ましくは連結部位を有している。この連結部位は、連結部材に連結される方法に拘わらず不変であることが特に好ましく、この場合背もたれ側部材は背もたれを変更することなく、連結部材に、溶接、半田付け又は接着により連結することができる。
【0022】
背もたれ側部材は接着連結に適する大きさにするのが特に好ましい。接着連結の連結部位は、溶接/半田付け連結よりやや大きいので、連結部材は、背もたれ部材を変更することなく、この連結部位に連結部材を接着連結、溶接/半田付けにより連結することができる。
【0023】
連結部材は、連結タイプにより、異なった形の連結部位にすることが好ましい。特に好ましいのは、全ての連結部材が接着連結に適するように始めに製造することである。これにより在庫管理を軽減できる。連結部材が溶接/半田付けにより側部材に連結される場合には、連結部材に機械加工が加えられ、特に材料除去又は打ち抜きにより加工される。この後加工により特に連結部材の接触面は減少され、この加工において、連結部材の溶接/半田付け連結に利用できる接合線は拡大されるのが好ましい。
【0024】
更なる好ましい実施例においては、連結部材は、溶接/半田付け
及び接着接合による側部材への連結に適する形状とされ、これらの連結部材は連結プロセスに拘わらず変更しなくてもよい。本発明のこの好ましい実施態様は、特に貯蔵のコストを低減することになる。この側部材の連結部位に変化を加えないのが特に好ましい。
【0025】
この発明の好ましい実施態様においては、側部材と連結部材が互いに接着連結と形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め
合わせにより、特にクリンチング(折り曲げ)により連結される。ここで、形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め
合わせ連結は、接着連結の前、接着中
及び/又は接着後に特に側部材と連結部材を互いに他に対して固定するのに役立つ。特に、接着剤が固まるまで、側部材と連結部材を互いに他に対して固定する。このことは特に加工時間の短縮を可能にする。接着剤が固化した後、形状
による嵌め
合わせ及び/圧力
による嵌め
合わせ連結は耐荷重能力を増大させる。
【0026】
この発明は、車両用シートの構造要素の製造方法にも関しており、複数の構成部材が、好ましくは構成部材の実施例にかかわらず、同じ技術を用いて互いに連結される。主たる荷重を受ける各部品連結部位において、溶接、半田付け、接着連結及び/又は形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め
合わせ連結が少なくとも二つの、好ましくは三つの部分において成される。
【0027】
少なくとも一つの溶接及び/又は半田付け連結が少なくともある部位において曲げられているのが好ましい。
【0028】
さらに、少なくとも一つの溶接及び/又は半田付け連結部が円弧状に形成されているのが好ましい。
【0029】
少なくとも一つの接着連結部が実質的に四角形状に形成されるか又は一連の接着剤を平らに押潰した形にするのが好ましい。
【0030】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、接着剤が十分固まる前に、形状
による嵌め
合わせ及び/又は圧力
による嵌め
合わせ連結により構成部材が互いに連結される。
【0031】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、溶接の前に、構成部材の連結域が接着部から溶接部に変更される。これは特に接着部表面を除去して、溶接が行われる接合線が増すようにするのが好まれる。
【0032】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、スチール製部品とアルミニウム製又はアルミ合金製部品が、好ましくは、レーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザー半田付け、又はCMT溶接又は接着材による接合により互いに連結される。
【0033】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、側部材と連結部材との連結は、連結のタイプに拘わらず、一方向好ましくはX方向から行われる。X方向は、前進方向と反対の方向である。
【0034】
この発明による自動車用シートに関連して述べた記述は、この発明の方法に対しても適用でき、その反対も可能である。
【0035】
以下の説明においては、フロントシートの例と
図1から15を参照してこの発明が説明されている。これらの説明は、単に例であって発明の一般的な概念を制限するものではない。これらの説明はこの発明の全ての実施例に当てはまる。