特許第5698980号(P5698980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698980
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】車両用シートのための構造要素
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   B60N2/44
【請求項の数】30
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-531454(P2010-531454)
(86)(22)【出願日】2008年10月29日
(65)【公表番号】特表2011-500448(P2011-500448A)
(43)【公表日】2011年1月6日
(86)【国際出願番号】EP2008009129
(87)【国際公開番号】WO2009056294
(87)【国際公開日】20090507
【審査請求日】2011年4月19日
【審判番号】不服2014-4480(P2014-4480/J1)
【審判請求日】2014年3月7日
(31)【優先権主張番号】102007051895.3
(32)【優先日】2007年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】グロス、 ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ダンヘイシグ、 アンドリアス
(72)【発明者】
【氏名】ステパンコウスキ、 マリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘステルベルグ、 ジョシュア
【合議体】
【審判長】 江成 克己
【審判官】 黒瀬 雅一
【審判官】 藤本 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/40362(US,A1)
【文献】 特開平7−298947(JP,A)
【文献】 特開平11−216037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接、半田付け、及び接着接合から選択されるいずれか一つにより少なくとも部分的に互いに連結される複数の構成材を含む構造要素を有する自動車用シートであって、
少なくとも一つの構成材がスチール及びスチールよりも軽い軽量材料の双方を含む複数の材料の態様で得られ、
前記構成材の形状は、前記構成材の前記材料の態様に拘わらず同一であるように形成され、
前記溶接、半田付け、及び接着接合から選択されるいずれか一つによる連結、各連結域少なくとも二つの部分において行われ
前記連結域の接合面の面積は、前記連結のタイプに拘わらず不変のままであり、かつ、前記接着接合の連結ができる程度に十分な寸法にされることを特徴とする自動車用シート。
【請求項2】
溶接及び/又は半田付けによる連結が行われた前記少なくとも二つの部分の少なくとも一つのシームが曲がっていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用シート。
【請求項3】
溶接及び/又は半田付けによる連結が行われた前記少なくとも二つの部分の少なくとも一つのシームが円弧状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用シート。
【請求項4】
少なくとも一つの接着部分が四角形に、又は平らに潰された接着剤のビードに形成されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用シート。
【請求項5】
前記構成材の少なくとも一つが、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金を含むことを特徴とする請求項1ないし4の一つに記載の自動車用シート。
【請求項6】
前記構造要素が、下連結部材及び/又は上連結部材により互いに連結されている背もたれ側部材を有する背もたれフレームであることを特徴とする請求項1ないし5の一つに記載の自動車用シート。
【請求項7】
前記下連結部材及び/又は上連結部材がスチール製又はスチールよりも軽い軽量材料製である請求項6に記載の自動車用シート。
【請求項8】
少なくとも一つの連結部材及び前記背もたれ側部材が連結域において、互いに連結されることを特徴とする請求項6又は7に記載の自動車用シート。
【請求項9】
前記構造要素は、少なくとも一つの構成材により互いに連結された二つの下部構造側部材を有する下部構造であることを特徴とする請求項1ないし8の一つに記載の自動車用シート。
【請求項10】
前記構成材はスチール製か又はスチールよりも軽い軽量材料製であることを特徴とする請求項9に記載の自動車用シート。
【請求項11】
前記下部構造側部材及び前記構成材は、連結域において、トルクを伝達できるように互いに連結されることを特徴とする請求項9又は10に記載の自動車用シート。
【請求項12】
前記軽量材料製の前記連結部材及び/又は前記構成材の断面が、スチールにより作られた場合に比べて同じか大きいことを特徴とする請求項6ないし8の一つに記載の自動車用シート。
【請求項13】
前記側部材がスチール又はスチールよりも軽い軽量材料により製造されることを特徴とする請求項6ないし11の一つに記載の自動車用シート。
【請求項14】
前記背もたれ側部材が連結域を有し、前記背もたれ側部材は、前記連結部材に連結される方法に拘わらず、この連結域の接合面の面積が不変のままであることを特徴とする請求項6ないし8の一つに記載の自動車用シート。
【請求項15】
前記連結部材は、接着連結に適した連結域の形状と前記溶接又は半田付けのための接合線が得られる連結域の形状とが異なるように形成されことを特徴とする請求項6ないし8の一つに記載の自動車用シート。
【請求項16】
前記側部材と前記連結部材は、接着接合とクリンチングにより互いに連結されることを特徴とする請求項6ないし11の一つに記載の自動車用シート。
【請求項17】
自動車用シートの構造要素の製造方法であって、
複数の構成材が互いに連結され、
前記構成材が各構成材の材料の態様に拘わらず同じ製造設備を用いて連結され、
溶接、半田付け、及び接着接合から選択されるいずれか一つによる連結が、各連結域少なくとも二つの部分において行われ、
前記構成材の少なくとも一つはスチールでもスチールよりも軽い軽量材料でも得られ、
前記連結域の接合面の面積は、前記連結のタイプに拘わらず不変のままであり、かつ、接着接合の連結ができる程度に十分な寸法にされることを特徴とする自動車用シートの構造要素の製造方法。
【請求項18】
接及び/又は半田付けによる連結が行われた前記少なくとも二つの部分の少なくとも一つのシームが曲がっていることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
溶接及び/半田付けによる連結が行われた前記少なくとも二つの部分の少なくとも一つのシームが円弧状に形成されることを特徴とする請求項17又は18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記接着接合の連結の少なくとも一つの部分が四角形又は平らに潰された接着剤のビードに形成されることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項21】
前記構成材が、形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせで互いに連結されることを特徴とする請求項17ないし20の一つに記載の製造方法。
【請求項22】
前記構成材間の連結が、連結のタイプに拘わらず、一つの方向から行われることを特徴とする請求項17ないし21の一つに記載の製造方法。
【請求項23】
前記構成材が、接着剤が完全に固まる前に形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結手段により互いに連結されることを特徴とする請求項17ないし22の一つに記載の製造方法。
【請求項24】
前記構成材の連結域には、前記溶接又は半田付けの前に、前記溶接又は半田付けのための接合線が設けられることを特徴とする請求項17ないし23の一つに記載の製造方法。
【請求項25】
前記複数の構成材は、スチール製部分とアルミニウム製又はアルミ合金製部分が互いに連結されることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項26】
前記スチール製部分とアルミニウム製又はアルミ合金製部分、レーザー溶接、レーザー半田付け又はレーザーハイブリッド溶接により互いに連結されることを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記溶接の前に、前記溶接を行う接合線が増加するように、前記接着接合のための表面から前記構成材の連結域の一部が切除されることを特徴とする請求項17ないし26の一つに記載の製造方法。
【請求項28】
前記溶接、半田付け、及び接着接合から選択されるいずれか一つの連結は、各連結域三つの部分において行われることを特徴とする請求項1に記載の自動車用シート。
【請求項29】
前記軽量材料は、アルミニウム、プラスチック又はハイブリッド材料であることを特徴とする請求項13に記載の自動車用シート。
【請求項30】
前記溶接、半田付け、及び接着接合から選択されるいずれか一つの連結は、各連結域三つの部分で行われる請求項17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少なくとも互いに連結された複数の構成部材を有する構造要素を有する車両用シート特に自動車用シートに関する。さらにこの発明は、この発明の自動車用シートを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明による自動車用シートは先行技術から公知である。現在大量生産されている自動車用シートの大多数は、スチールを使用した広範な異形部材と板部材を使用した構造要素を有している。一方、異なる材料から成る軽量構造の構造要素を有する自動車用シートも公知である。このタイプの構造要素は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されている。しかし現在このような構造要素は、スチール製の構造要素とは異なる方法で、少量生産されているため高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許第102004044734号明細書
【特許文献2】ドイツ特許第69702023(T2)号明細書
【特許文献3】ドイツ特許第19826732(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、軽量構造でありコストが安く製造できる自動車用シートを提供することがこの発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくともその一部が互いに、溶接、ロウ付けにより、形状による嵌め合わせ又は圧力による嵌め合わせで連結、又は接着により接合された複数の構成部材を有する構造要素を有している自動車用シートにおいて、好ましくは少なくとも一つの部材が複数の実施態様が可能であり、その部材の形状は実施態様に拘わらず同じ形状にできる自動車用シートにより達成できる。主たる荷重を支えるこの各連結部において、連結は、少なくとも2つ、好ましくは3つの部分において、溶接、ロウ付け、接着による連結部及び/又は形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結部とされている。
【0006】
この発明は自動車におけるどのような配列においても設置できる自動車用シートに関する。このシートは前シートでも後シートでもよい。この発明による自動車用シートは、一人又はそれ以上の人の席を提供できる。この発明による自動車用シートは従ってベンチシートであっても良い。
【0007】
この発明によれば、自動車用シートは、少なくとも互いに連結された複数の部材より成る構成要素を有している。少なくとも一つのこれらの部材は、例えばアルミニウムかアルミ合金などの軽量材料から製造される。この構成部材は、連結タイプが違えば異なる設計となる。例として、この構成部材が接着により接合されるか、溶接により接合されるかにより異なる態様をとる。
【0008】
例えば、スチール製の構成部材が、連結部材に変更を加えることなく軽量部材により置換えられるように措置をすることが好ましい。代替措置又は追加措置として、他の部材に連結する連結方法に応じて、構成部材を異なる設計にするのが好ましい。この措置は、一つの構造設計を用いて車両プラットフォームに様々な変形を加えることが可能となる。従って、スチールから成る低コスト態様と組合せ構造の高機能目的の態様の両方が可能となる。加えて、異なる連結態様が使用可能となる。組合せ構造の態様においては、スチール部材と、非スチール、例えば、プラスチック、アルミニウム及び/又はその合金又はその組合せ材料のような軽量材料の使用ができる。これに関連して言えば、組合せ構造は、常に従来のスチール構造よりも遥かに軽い。この発明の自動車用シートの別な大きい利点は、構造物が、溶接ロボットやプラント及び装置に関して実質的に同じ製造設備により製造できることである。このことも、特に、組合せ態様の自動車用シートを製造するための、製造コストの低減及び関連投資を低減することを可能とする。
【0009】
この発明は、側部材と連結部材がスチールかアルミニウムでできた実施例も含んでいる。
【0010】
この構造要素は、好ましくは、自動車用シートの背もたれの基体を成す背もたれフレームである。背もたれの傾斜を調節するリクライニング装置、自動車用シートのバネ構成、ヘッドレスト及び可能なら、エアバッグは一般的には背もたれフレームに配設されている。背もたれフレームは、好ましくは、下部連結部材及び/又は上部連結部材により互いに連結された背もたれ側部材を有している。この背もたれ側部材は、好ましくは、例えばスチール板、アルミニウムやプラスチック又はその組合せのような軽量材料から成る3次元形状の構成部材であり、特に好ましいのは、連結部材や連結部材と側部材との連結態様に拘わらず変わらないことである。下部連結部材及び/又は上部連結部材は、スチールか軽量材料からなることが好ましい。いずれの場合にも、連結部材は、異形材及び/又は圧延材であるのが好ましい。軽量構造は、好ましくは、押し出し異形部材であり、特に好ましいのは、アルミニウムから成る軽量材料の異形材か、アルミニウムなどの軽量材の圧延部材である。
【0011】
構造部品及び/又は連結部材は、アルミニウム、亜鉛、アルミ合金及び/又は亜鉛合金によりコートされるのが好ましい。これは、特にレーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザー半田付け又はCMT溶接のような一体連結に有利である。
【0012】
この発明によれば、少なくとも一つの連結部材と背もたれ側部材とが連結部位において互いに連結されている。この連結部位における連結は、レーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザーロウ付け/半田付け、ハイブリッド半田付け及び/又は接合による連結である。特に好ましいのは、部品が互いに冷間メタルトランスファー(CMT)溶接又は接着溶接である。さらに好ましいのは、スチールと軽量材料、特にアルミニウム又はその合金材料が、上記の連結工程により互いに連結されることである。
【0013】
この連結は、追加的に形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ結合、特にリベット、ベル止め、クリンチ、フランジング及び/又はネジ止めによる結合を有するのが好ましい。
【0014】
その他の好ましい実施例として、構造要素は、車両用シートの下部構造、すなわちシートフレームである。この下部構造は、車両シートの搭乗者が座る部分のベース構造を表す。この下部構造は、好ましくは、二つの下部構造側部材を有する。この下部構造側部材は、スチール板又はアルミニウム、アルミ合金及び/又はプラスチックのような軽量材料から形成された好ましくは3次元形状の部材であるのが特に好ましい。これらの下部構造側部材は、好ましくは、少なくとも一つの部材により、互いに連結されている。この部材とは、好ましくは、連結管であり、好ましくは、スチールか軽量構造部材により作られている。軽量設計においては、この部材は、少なくともその一部がアルミニウムやその合金などの軽量材料を有している。
【0015】
この発明によれば、少なくとも一つの連結部材とシート側部材が、連結部位において互いに連結されている。この連結がトルクに対して堅固である構造が望まれる場合には、レーザーハイブリッド溶接、レーザーろう付け/半田付け、ハイブリッドろう付け及び/又は接着結合による連結が好ましい。特に好ましいのは、部材が冷間メタルトランスファー(CMT)溶接により互いに連結されることである。この技術に通じている者であれば、連結部材は、いわゆる2通り調節シート部材の場合にのみ、トルクに対して堅固に側部材に連結しても良いことを悟るであろう。3通り以上の調節のシート部材の場合には、連結部材は側部材に対して、回転可能に設ける必要がある。
【0016】
この連結は、追加的に形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせを有するのが好ましい。圧力による嵌め合わせは、リベット、ベル止め、クリンチング(TOX(登録商標)加工)、クリンピング、フランジングにより提供される。
【0017】
この発明によれば、側部材と連結部材との連結部位における溶接/ロウ付け連結は3つの部分を有している。少なくとも一つの部分は、好ましくは曲がっており、特に扇形に形成されているのが好ましい。複数の部分を有する場合には、一つが他の部分より長くされるのが好ましい。この部分の長さは、上連結部材と下連結部材に対して、一つの連結部位につき、20から100ミリメートルが好ましい。複数の部分を有している場合には、これらの部分が、異なる平面特に互いに角度を有する平面に配置されるのが好ましい。
【0018】
この発明によれば、側部材と連結部材との連結部位における接着連結は、少なくとも2つ、好ましくは3つの接着部分を有する。この部分は、四角形状にされるか、一連の接着剤を各部分に適用し、部品を接合するのが好ましい。上連結部材及び連結部材の各連結部位に対して、連結部位の全域は1500−4000平方ミリメートルが好ましい。複数の連結部位が存在する場合には、これらの連結部位が異なる平面に、特に互いに傾斜した平面に位置することが好ましい。
【0019】
連結されるべき構成部材の実施態様及び/又は連結タイプに拘わらず、連結部位が変化しないことが好ましい。特に、背もたれ側部材及び/又は下部構造側部材に設けられた連結部位が変化しないのが好ましい。この場合、これらを連結する構成部材がスチールか軽量材料から作られているかに拘わらず及び/又は連結タイプに拘わらず、常に同じ側部材を使用することが可能になる。このことは、在庫管理と生産にかなりの利点をもたらす。
【0020】
連結部材及び/又は軽量構造の構成部材の断面は、好ましくは、スチールで製造した連結部材の断面より大きい。このことは、連結部位の形状を決める場合に考慮しまければならない。連結部位は、最大の断面を有する構成部材のためのスペースが在るように設計しなければならない。スチール又はアルミなどの軽量材料により製造された二つの部品を連結するためには、適正な連結を得るためにアダプターを設ける必要があることもある。逆に、スチール部品又はアルミ部品が連結部位において例えば、水圧成形により拡張することもできる。さらに、材料に拘わらず、連結部材及び/又は構成部材を同じ外径で提供することができ、構成部材の壁厚さを変える事ができる。軽量材料から製造された連結部材又は構成部材は、その場合スチール製の連結部材/構成部材よりも壁厚さが大きい。この場合は、アダプターを省くことができる。
【0021】
背もたれ側部材は、好ましくは連結部位を有している。この連結部位は、連結部材に連結される方法に拘わらず不変であることが特に好ましく、この場合背もたれ側部材は背もたれを変更することなく、連結部材に、溶接、半田付け又は接着により連結することができる。
【0022】
背もたれ側部材は接着連結に適する大きさにするのが特に好ましい。接着連結の連結部位は、溶接/半田付け連結よりやや大きいので、連結部材は、背もたれ部材を変更することなく、この連結部位に連結部材を接着連結、溶接/半田付けにより連結することができる。
【0023】
連結部材は、連結タイプにより、異なった形の連結部位にすることが好ましい。特に好ましいのは、全ての連結部材が接着連結に適するように始めに製造することである。これにより在庫管理を軽減できる。連結部材が溶接/半田付けにより側部材に連結される場合には、連結部材に機械加工が加えられ、特に材料除去又は打ち抜きにより加工される。この後加工により特に連結部材の接触面は減少され、この加工において、連結部材の溶接/半田付け連結に利用できる接合線は拡大されるのが好ましい。
【0024】
更なる好ましい実施例においては、連結部材は、溶接/半田付け及び接着接合による側部材への連結に適する形状とされ、これらの連結部材は連結プロセスに拘わらず変更しなくてもよい。本発明のこの好ましい実施態様は、特に貯蔵のコストを低減することになる。この側部材の連結部位に変化を加えないのが特に好ましい。
【0025】
この発明の好ましい実施態様においては、側部材と連結部材が互いに接着連結と形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせにより、特にクリンチング(折り曲げ)により連結される。ここで、形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結は、接着連結の前、接着中及び/又は接着後に特に側部材と連結部材を互いに他に対して固定するのに役立つ。特に、接着剤が固まるまで、側部材と連結部材を互いに他に対して固定する。このことは特に加工時間の短縮を可能にする。接着剤が固化した後、形状による嵌め合わせ及び/圧力による嵌め合わせ連結は耐荷重能力を増大させる。
【0026】
この発明は、車両用シートの構造要素の製造方法にも関しており、複数の構成部材が、好ましくは構成部材の実施例にかかわらず、同じ技術を用いて互いに連結される。主たる荷重を受ける各部品連結部位において、溶接、半田付け、接着連結及び/又は形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結が少なくとも二つの、好ましくは三つの部分において成される。
【0027】
少なくとも一つの溶接及び/又は半田付け連結が少なくともある部位において曲げられているのが好ましい。
【0028】
さらに、少なくとも一つの溶接及び/又は半田付け連結部が円弧状に形成されているのが好ましい。
【0029】
少なくとも一つの接着連結部が実質的に四角形状に形成されるか又は一連の接着剤を平らに押潰した形にするのが好ましい。
【0030】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、接着剤が十分固まる前に、形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結により構成部材が互いに連結される。
【0031】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、溶接の前に、構成部材の連結域が接着部から溶接部に変更される。これは特に接着部表面を除去して、溶接が行われる接合線が増すようにするのが好まれる。
【0032】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、スチール製部品とアルミニウム製又はアルミ合金製部品が、好ましくは、レーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、レーザー半田付け、又はCMT溶接又は接着材による接合により互いに連結される。
【0033】
本発明の更に別の好ましい実施例によれば、側部材と連結部材との連結は、連結のタイプに拘わらず、一方向好ましくはX方向から行われる。X方向は、前進方向と反対の方向である。
【0034】
この発明による自動車用シートに関連して述べた記述は、この発明の方法に対しても適用でき、その反対も可能である。
【0035】
以下の説明においては、フロントシートの例と図1から15を参照してこの発明が説明されている。これらの説明は、単に例であって発明の一般的な概念を制限するものではない。これらの説明はこの発明の全ての実施例に当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】背もたれフレームを表す。
図2】車両用シートの下部構造を示す。
図3】背もたれフレームの別の例を示す。
図4】上連結部材の二つの図を示す。
図5】下連結部材の二つの図を示す。
図6】接着連結に適した上連結部材を示す。
図7】背もたれ側部材と下連結部材との接着結合を示す。
図8】接着部品としての及び溶接部品としての下連結部材を示す。
図9】接着部品としての及び溶接部品としての上連結部材を示す。
図10】溶接部品及び接着部品として使用できる上連結部材を示す。
図11】溶接部品及び接着部品として使用できる下連結部材を示す。
図12】連結部材とシート側部材との連結を示す。
図13】曲線状溶接による連結及び/又は半田付けによる連結を示す。
図14】円状溶接による連結及び/又は半田付けによる連結を示す。
図15】四角形状の接着連結を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
第1の実施例(図1)は、高抗力鋼の二つの背もたれ側部材2と、上連結部材3と、下連結部材4とを有する背もたれフレーム1を示している。これら二つの連結部材は、アルミニウム製である。冷間メタルトランスファー(CMT)溶接や、接着連結などその他の連結技術が、該上連結部材と下連結部材3,4を亜鉛メッキ(CMTに必要)された又はメッキ無しの高抗力鋼の背もたれ側部材2に連結するために使用される。この溶接工程は、アルミ部品を亜鉛メッキされたスチール部材に溶接するのを可能にする。連結部材3,4が背もたれ側部材2に連結される接合面は、厚めの板部材を有するアルミ製連結部材3,4か、スチール製の連結部材3,4(同一形状で薄めの板厚を有する)を背もたれ側部材2に変形を加えることなく連結できるように規格形状をしている。このことは、背もたれフレーム1の二つの変形、特に従来のスチール/スチール構成に加えてスチール/アルミニウムというハイブリッド構成が同じ背もたれ側部材2を用いて提供できることを意味している。この連結工程が全ての設計に等しく使用できる。
【0038】
下部構造5においては、更に多くの利用可能性がある(2通り、4通り又は6通り以上に調節されるシート部材)(図2)。衝突時に同等の挙動をするために、外径が等しければ、アルミ管6はスチール管6より大きい断面積及び/又は壁厚さを有している。さらに、下部構造側部材7は、スチール又はアルミニウムのような軽量材料から成っている。
【0039】
連結管は、下部構造の穴に挿入され、そこで溶接、好ましくはCMT溶接又は接着剤にて接合される。この場合は2通り調節の場合である。異なる外径を有する連結管が使用できるようにするために、穴は、最大の断面を有する連結部材、即ちアルミ製連結管の寸法に合わせられる。小さい断面を有するスチール管を使用するときは、アダプタスリーブを使える。スチール管は連結域において拡張される。ロッカー9は、軽量金属、スチール及び/又は被覆スチールにより製造される。
【0040】
図3は、背もたれフレーム1の別の実施例を示す。この場合は、上連結部材3と下連結部材4は、溶接、特にCMT(冷間メタルトランスファー)溶接により互いに連結されている。この場合、上連結部材と下連結部材は、矢印で示されるようにX方向に側部材に挿入され、そこで、好ましくは3つの溶接シームで溶接される。側部材を連結部材に接着剤により接合する場合か、その他の方法でこれらの部材を連結する場合にも同じ工程が行われる。このことは、背もたれフレームは工程中、動かす必要がないことを意味し、そうでないと工程において、かなりの費用が増大する。
【0041】
図4と5は夫々上連結部材3と下連結部材4の二つの図を示す。上連結部材3の連結域3’と下連結部材4の連結域4’は、接合線12を有することが明瞭に見られる。この接合線に沿って溶接が行われる。この接合線12は、特に打ち抜きにより製造される。打ち抜き作業は、接合線の長さを大きくしそのためにこの接合線に沿う溶接シームの長さを大きくする。このために背もたれ側部材への連結の安定性増す。
【0042】
図6は、上連結部材3を示し、この例では、連結域8において背もたれ側部材2に接着剤によ接合されている。この目的のために、連結部材3は、好ましくは3つの接着面を有し、特に好ましいのは、下接着面は上方の二つの接着面に直角に配置されている。こうすれば、構成部材はすべての方向において、背もたれ側部材に固定される。特に好まれるのは、この接着剤接合は、TOX(登録商標)連結(図示無し)すなわち、折り曲げにより得られる連結により連結される。この形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結は、特に、接着連結が完全に固まるまで、部品を固定する作用をする。固定作用の後でも、この形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結は、背もたれフレームの耐荷重能力を増大する。
【0043】
図7は、下部連結部材4を示し、これは接着連結点11において、背もたれ側部材に接着剤で接合されている。この連結においても、TOX(登録商標)連結(図示無し)により補助されている。側部材2の連結域2’即ち連結部材4が側部材2に支えられる部位は、接着連結のための大きさとされる。接着連結に要求される表面積は一般的に溶接に求められる面積より大きいので、この連結域2’は溶接にも利用できる。このことは、上方連結部材が側部材2に対して配置されている連結域2’についても言える。
【0044】
図8は、下部連結部材4を示す。上の図は特に接着連結に適した連結部材を示す。下の図は特に溶接/半田付け連結に適する連結部材を示す。この二つの連結部材は溶接の接合線が異なるのみである。最初は、全ての部品が、接着連結に適するように製造される。背もたれ側部材に連結部材を溶接しようとする場合には、溶接接合線が得られるように、部品は後で連結部材の端部を打ち抜き又は切除される。
【0045】
図9は、図8と同じ説明を示すが、上連結部材3についてである。
【0046】
図10と11は、溶接/半田付け及び/又は接着連結に適する上連結部材と下連結部材を示す。この場合には、連結部材3,4は、連結が溶接/半田付けによるか接着連結によるかに拘わらず、変更を加えることなく側部材2に連結されるように形成されている。図8、9の連結部材3、4比較すれば、端部から切除された領域は、溶接にのみ適する連結部材(図8、9の下の図参照)の場合より小さいことが分かる。その結果、接着連結のために利用できる大きい面積が残される。溶接/半田付けに利用できる溶接接合線12は図8、9(下の図)に示される連結部材ほど長くはないが、直線の場合より長く、常に十分な大きさを有する。
【0047】
図12は、連結管6と下部構造側部材7との連結の概略を示す。構成部材13は、高さ調節手段の一部であるか、又は高さ調節手段に連結されているが、最初は連結管6(図13a)上でガイドされ、次いでクリンピングにより該管に連結される。部品13の内径部に形状による嵌め合わせロック手段14が設けられているので、これが補助固定を与え、トルクの伝達にも使用できる。その後、この管は、その端部の円錐状の拡開によりシート側部材7に連結される。この連結は管6が側部材7内で回転できるように形成される。この分野の技術に通じている者なら、この連結は、トルクに対して固定できるよう形成できることを理解するであろう。
【0048】
図13は、各連結部において溶接シーム及び/又は半田付けシーム15を有する3つの連結部を示す。中央の溶接シームは曲線状をしている。この分野の技術に通じている者なら、複数の溶接シームを曲線にできることを理解するであろう。
【0049】
図14は、各接合部が溶接及び/又は半田付け15である3つの連結部を示す。全ての溶接シームが円形である。この分野の技術に通じている者なら、一つだけ円形にし、その他を直線、曲線又は円弧状にできることを理解するであろう。
【0050】
図15は、四角形状の接着連結の3つの連結部を示す。
【符号の説明】
【0051】
1 背もたれフレーム
2 背もたれ側部材
2’ 側部材の連結域
3 連結部材(上部)
3’ 連結部材の連結域
4 連結部材(下部)
4’ 連結部材の連結域
5 下部構造
6 連結部材、連結管、構成部材
7 下部構成側部材、シート側部材
8 連結域
9 ロッカー
10 溶接/半田付け連結
11 接着連結点、形状による嵌め合わせ及び/又は圧力による嵌め合わせ連結点、連結点
12 溶接及び/又は半田付けが行われる接合線
13 高さ調節手段のための連結手段
14 形状による嵌め合わせロック手段
15 溶接シーム、半田付けシーム
16 接着個所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a)】
図12b)】
図12c)】
図13
図14
図15