特許第5698981号(P5698981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698981
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】屋根部材
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/30 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   E04D3/30 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-531554(P2010-531554)
(86)(22)【出願日】2008年10月30日
(65)【公表番号】特表2011-503390(P2011-503390A)
(43)【公表日】2011年1月27日
(86)【国際出願番号】FI2008050614
(87)【国際公開番号】WO2009056683
(87)【国際公開日】20090507
【審査請求日】2011年10月27日
(31)【優先権主張番号】20075777
(32)【優先日】2007年11月1日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510120300
【氏名又は名称】ラウタルッキ オサケユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100134005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100164976
【弁理士】
【氏名又は名称】長友 洋介
(72)【発明者】
【氏名】マッティ ペルトゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンネ タンファンパー
【審査官】 小林 俊久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03157965(US,A)
【文献】 特開平09−158402(JP,A)
【文献】 特開平11−124964(JP,A)
【文献】 国際公開第03/062553(WO,A1)
【文献】 国際公開第81/003196(WO,A1)
【文献】 特開2005−194724(JP,A)
【文献】 実開昭63−117822(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/06 − 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根用の成形屋根部材(1),特に板状材料から製造された屋根部材(1)であって,
第一及び第二の側縁部(4,6),上縁部(8)及び下縁部(10)と,
該側縁部(4,6)の延伸する向きに対して略平行に延伸するように形成される成形屋根部材(1)の表面(22)の輪郭形状と,
2段以上の段部(12,14)からなる一連の段部を備え,該段部は上及び下縁部(8,10)に対して略平行に延伸し,該段部は下縁部(10)が段部(14)の1つを形成するように作成され,
成形屋根部材(1)の下縁部(10)に設けた湾曲部(20)であって、下縁部(10)を,下縁部(10)の略全高である下向き延伸部位(16)まで下向きに,更に,成形屋根部材(1)の表面(22)の下側で上向き延伸部位(18)において上向きに曲げて延伸させることで該下向き延伸部位(16)と該上向き延伸部位(18)との間に前記湾曲部(20)を備えている成形屋根部材(1)において,
上及び下縁部(8,10)間に少なくとも1つの段部(12)を備え,
下縁部(10)に設けられ湾曲部(20)を備える段部(14)の輪郭は、前記側縁部(4,6)の延伸する方向及び前記成形屋根部材(1)の上下方向略波形であって、
下縁部(10)の上向き延伸部位(18)が,下向き延伸部位(16)に向けて斜め上方に延伸することを特徴とする成形屋根部材(1)。
【請求項2】
下縁部(10)に設けた段部(14)の上下方向における輪郭形状が成形屋根部材(1)の表面(22)の段部(12)の上下方向における輪郭形状に略一致することを特徴とする請求項に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項3】
湾曲部(20)がシーリング材又はフィラー材で充填され,該湾曲部(20)内への湿気の侵入を防ぐことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項4】
湾曲部(20)の下向き延伸部位(16)と上向き延伸部位(18)との内面間の曲げ半径が,成形屋根部材(1)の板状材料の厚みの1〜5倍であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項5】
成形屋根部材(1)が,複数の屋根部材から作られた屋根の一部材として,又は屋根パネルの全長を覆う一成形屋根部材として作成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項6】
成形屋根部材(1)が,ペンキ塗装,石粉塗装及び/又はエンボス加工を施した板状材料で作られていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項7】
段部(12)又は下縁部(10)上の段部(14)に,止めネジを位置決めするための1以上の定位凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の成形屋根部材(1)。
【請求項8】
上縁部及び下縁部(8,10)との間に設けた少なくとも1つの段部(12)が,前記側縁部(4,6)の延伸する方向において,下縁部(10)に設けた段部(14)の輪郭に一致する輪郭を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の成形屋根部材(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の前段に関連した成形屋根部材に関し,特に,屋根葺き材のための屋根部材,特に板状材料から製造された成形屋根部材として,第一及び第二の側縁部と,上縁部及び下縁部と,該側縁部に対して略平行となる輪郭と,2段以上の段部からなる一連の段部とを備え,該段部は上縁部及び下縁部に対して略平行に延伸し,該段部は下縁部が段部の1つを形成するように作成されている屋根部材に関する。
【背景技術】
【0002】
プレカット屋根部材を周縁域で重ね葺き接合してなる鋼板屋根は,湿潤している場合に,カットエッジの腐食を受けやすい。通常は,屋根部材の周縁部に塗装が施されておらず,従って板と塗装の間に湿気が侵入して,塗装の剥離を引き起こすためである。水は,例えば毛細管力や継ぎ目領域の他の性質によって,重ね葺いた屋根部材の間に浸み込みやすく,水は縁部の腐食を顕著に促進する。従来,縁部の腐食を防止するために屋根部材の縁部を塗装又はラッカー塗りを施す等の様々な方法が試みられてきた。また,屋根板の方向が連続する屋根部材間において軒に平行になるように継ぎ目を形成する。これは,継ぎ目領域において水が屋根部材間を流れないようにする観点からである。軒に平行な段部を備える数枚の屋根部材を用いる場合,継ぎ目領域には屋根部材段部という垂直部位ができ,そこでは,屋根部材の表面に平行な継ぎ目領域と比較して湿潤期間は著しく短い。従来,様々な水切り部を有する垂直段部部位を設けことができ,継ぎ目領域において垂直部位から離すように最上部の板の縁部を曲げて,水が継ぎ目領域において屋根部材間を流れないようにしていた。また,既知の代替方法では,様々な湾曲部を有する垂直部位を設けており,そこでは屋根部材の縁部が目視できない屋根部材の下側に納めてある。
【0003】
上述した従来技術による解決法は,縁部を塗装やラッカー塗りする様々な方法であるため,製造面から費用対効果に乏しいという問題点がある。塗装やラッカー塗りに乾燥時間が必要なためである。さらに,塗装やラッカー塗りは簡単にひび割れ,屋根部材の据付時や使用中に剥離する。従来,継ぎ目が屋根部材の垂直部位になるように,継ぎ目を屋根板の方向に階段状に配設しているのだが,これらの継ぎ目はたとえ水切り部と一緒だとしても,これらの継ぎ目がカットエッジ腐食を受けやすいという問題を解決することができない。なぜなら,それらの形状にも関わらず,軒に平行な屋根部材のカットエッジ部は周辺環境からの湿気を受けやすいからである。加えて,様々な湾曲部を採用した解決法は,屋根部材の縁部を屋根部材の下側へ曲げているため,重ね葺いた屋根部材が据付時及び通常の使用期間に互いに関連して動く場合,機械的な摩耗という問題が新たに生じる。屋根部材の下側の湾曲末端部のような縁部又は折曲部は,下側の板と擦れて,表面を損傷して擦れた領域が腐食に曝される。
【発明の概要】
【0004】
したがって,本発明は,上記問題点を解決する屋根部材を提供することを課題とし,その課題は,請求項1の特徴事項を満たす成形屋根部材によって解決することができる。すなわ,本発明による成形屋根部材は,下縁部に設けた段部の垂直の輪郭が成形屋根部材の側縁部略一致する平行な輪郭となることを特徴とするものである。
【0005】
本発明の好適な実施形態は,従属項に記載したとおりである。
【0006】
本発明は,屋根部材の下縁部を曲げることで,縁部の腐食に曝されないようにするとともに,他の同じ成形屋根部材との摩耗問題が生じないようにすることで成形屋根部材のカットエッジ部での腐食を防止する技術に基づいている。屋根部材は板状材料から製造され,第一及び第二の側縁部,上及び下縁部を備えている。成形屋根部材には上及び下縁部に略平行な2段以上の段部がある。成形屋根部材の下縁部が成形屋根部材の表面から下向きに曲部部位を形成するように下縁部に段部を設けている。成形屋根部材の下縁部に作成した段部は縁部を下向きに曲げて作成する。本発明によれば,下縁部をさらに成形屋根部材の下側に曲げて,下向き及び成形屋根部材の上部表面の下側まで延伸して,湾曲部を有する下縁部を設ける。さらに,下縁部の段部及び/又は湾曲部の形状及び輪郭が成形屋根部材の側縁部に揃う輪郭と略一致するように作成する。言い換えれば,下縁部に設けた段部又は湾曲部は,側縁部に平行な波形状の輪郭,成形屋根材の典型的な波形状輪郭に一致した輪郭を有する。
【0007】
本発明の方法及びシステムの利点は,下縁部のカットエッジ部を屋根部材の下側に曲げているため,カットエッジ部が目視されない上に環境的な腐食発生条件下に曝されないことにある。換言すれば,屋根部材の下側でカットエッジ部を保護している。加えて,屋根材の方向において連続した屋根部材間の接合部及び継ぎ目領域を垂直表面に備え,水が該継ぎ目領域から流れ出る。更に,継ぎ目の外観が秀麗になる。なぜなら,継ぎ目が屋根部材の表面でなく,縁部及び段部にあるため,本件のような部材部品からなる屋根であっても一様に見えるからである。加えて,側縁部に平行な輪郭及び側縁部と交差する段部を設けた成形屋根部材は2方向で剛性が増しており,荷重を受けても容易に曲がらず動かない。従って,重ね葺いた成形屋根部材は互いに容易に動かないので,これら重ね葺いた成形屋根部材間の下縁部での継ぎ目において摩耗が生じない。この場合特に輪郭によって剛性が増すことで,上板が荷重を受けた場合でも上板が下板と擦り合わない。更に,屋根部材の形状と下縁部の輪郭形状及び湾曲部が協働して,取り付けにおいて板が互いに滑動することなく屋根部材を置くことができ,更に板間の摩耗が低減する。加えて,屋根部材及び下縁部の輪郭形状により,重ね合わせた重ね葺き板の相互間の熱膨張による滑動が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下,本発明を好適な実施形態及び関連する図面を参照してより詳細に開示する。
図1】屋根部材を示す。
図2】2A,2B及び2Cに従来技術の屋根部材の下縁部の湾曲部を示す。
図3A】本発明の屋根部材の実施形態を図示する。
図3B】本発明の屋根部材の実施形態を図示する。
図4】本発明の屋根部材の正面図である。
【0009】
図1に,鋼板や類似の板状材料のような板状材料から製造した成形屋根部材1を示す。成形屋根部材1はペンキ塗装,石粉塗装及び/又はエンボス加工を施した板状材料で構成できる。成形屋根部材1は第一及び第二の側縁部4,6,上縁部8及び下縁部10を備える。加えて,成形屋根部材1は2段以上の段部12,14によって上及び下縁部8,10に略平行に段部づけてある。図1に示すように本発明において,下縁部10は屋根部材の1つの段部14又は少なくとも1つの段部部位を形成している。図1には,側縁部4,6に略平行な輪郭となる屋根部材1を示す。屋根部材1は側縁部4,6と交差する輪郭又は側縁部4,6に平行且つ交差する輪郭とすることができる。図1の事例では,側縁部4,6に略平行な輪郭を備えており,段部12,14を交差する波形状の輪郭である。成形屋根部材1を複数の屋根部材から作られた屋根の一部材として,又は屋根パネルの全長にわたって広がる一成形屋根部材として作成できる。
【0010】
図2A,2B及び2Cには,屋根部材1の下縁部10を形成する従来の典型的な方法を示す。図10の事例では,下縁部10を単に曲げて屋根部材の表面22から垂直下向きに延伸し,屋根部材の表面22に対して下縁部10が段部を形成する。連続する2枚の屋根部材1及び2間の接合部が作られ,曲げた下縁部10の内側表面を他方の屋根部材1の段部12に対向して配置する。図2Aに示すように,これら屋根部材1,2間の継ぎ目を屋根部材2の段部12の垂直表面上に形成する。しかしながら,この事例では,下縁部10のカットエッジ部30は環境から生ずる湿気に曝される。屋根部材の下縁部10及びカットエッジ部30が屋根部材2と形成する継ぎ目は垂直表面上にあって,水平面上にある場合と比較してカットエッジ部30が湿潤期間は短いままなのだが,カットエッジ部30はカットエッジ腐食に曝され腐食しやすい。屋根部材1とその上に形成された塗装間に浸透し塗装を剥がすことがある。更に,例えば毛細管現象によって屋根部材1,2間に湿気が侵入してカットエッジ付近の継ぎ目領域における湿潤期間が長期化するため,カットエッジ腐食の進展を促進する。
【0011】
図2Bと2Cには図2Aの実施形態の変形例を示す。図2B及び2Cでは,下縁部10には段部14だけでなく湾曲水切り部28もある。図2Bでは,水切り部を下縁部10の垂直部位から曲げて,下縁部10をカットエッジ部30付近で斜めに延伸し,第二屋根部材2の段部12から離す。するとカットエッジ部30は段部12から離れる。図2Cでは,下縁部10を今度は第二屋根部材2の段部21から離して曲げ加工して,表面22に平行な段部22から離してカットエッジ部30付近にまで下縁部10を延伸する。これらの実施形態において,屋根部材1,2間の継ぎ目領域においても,カットエッジ部30が他の表面から離れており,カットエッジ部30に水は留まらない。しかしながら,カットエッジ部30は環境から生じた水分及びカットエッジ腐食を引き起こす不都合な条件に曝され続ける。
【0012】
次に図3A及び3Bでは本発明の一実施形態を示す。本発明によれば,屋根部材の下縁部10は段部14を形成しており,下縁部10には湾曲部20が設けてあり,カットエッジ部30が屋根部材1の下部まで延伸している。図3Bは本発明の一実施形態の詳細図である。屋根部材1は屋根表面を形成する表面22を備えている。屋根部材1を下縁部10で表面22に対して下向きに曲げて,下縁部10に段部14を形成する。図3Bに示したように,屋根部材1の下縁部10を下縁部10の略全長である所定部位16で下向きに折り曲げる。図3Bに示したように,下縁部10を更に成形屋根部材1の下向きの部位18上で上向きに延伸して,下縁部10にも湾曲部20を設ける。この実施形態では屋根部材1の表面22に対して下向き延伸部位16及び上向き延伸部位の両方が垂直であるが,これらも表面22に対して屋根部材1の段部12及び14の一般的な方位に基づく表面22に対する一角度で延伸できる。基本的な実施形態において下縁部10には湾曲部20が設けているのだが,下向き及び上向きに延伸した垂直部位16及び18を並んで延伸し,好ましくは略平行に延伸する。所望するならば上向き延伸部位18を例えば下向き延伸部位16に向けて延伸して曲げることができ,カットエッジ部30で下向き延伸部位16をプレス加工する。この配置ではカットエッジ部30は常に屋根部材1の下側に隠れたままであり,屋根部材間の継ぎ目領域において曝されることなく屋根部材1の下側で保護される。下縁部10に設けた段部14は成形屋根部材1の下側に湾曲部20を形成し,段部14には成形された輪郭を有する。換言すれば,下縁部10及び湾曲部20を形成する段部14には成形された輪郭を有する。その事例では,下縁部10上に設けた段部14は長手方向及び/又は高さ方向の輪郭を備えることができ,下縁部10に設けた段部14の輪郭を長手方向及び/又は高さ方向で波形に成形する。好適には,下縁部10に設けた段部14の高さにおける輪郭が成形屋根部材1の側縁部4,6に平行に設けた波形の輪郭と形状において略一致する。特定の場合,段部12及び/又は下縁部10及び段部14に設けた輪郭は側縁部4,6と交差する方向で略直線状である。換言すれば,下縁部10に設けた段部14に成形屋根部材1の輪郭と類似した波形状輪郭があることが好ましい。加えて,下縁部10をその長手方向において波形状形状で実施でき,段部14と可能な場合,段部12にも長手方向及びその側縁部4,6に対して交差する方向において波形状形状を設けている。その場合,更にその長さ方向及び高さ方向の両方で波形状形状を有する段部14を設けて波形を作成できる。その代替としては,下縁部10に設けた段部12及び/又は段部14は長手方向で直線状であり,側縁部4,6と交差する。図4にこのような成形屋根部材1の正面図を示す。図4には前縁部を形成する段部12及び段部14の高さ方向における輪郭を示す。該輪郭は成形屋根部材1の側縁部に平行な輪郭として略一致する。
【0013】
下縁部10の上向き延伸部位18は下向き延伸部位16と略平行であり,下縁部10に成形屋根部材1の下側で長手方向上方に開いたU字形状の断面を設けている。代替として,下縁部10の上向き延伸部位18を下向き延伸部位16に対して斜め上方に延伸して,さらに曲げて湾曲部20を設けている。代替としては,下縁部10の上向き延伸部位18を下向き延伸部位16から離して斜め上方に延伸する。しかしながら,2つの屋根部材間の接合部において,上向き延伸部位18を下向き延伸部位16から離すことは有利ではない。この場合,下部屋根部材の段部12から離れて湾曲部20が隆起するからである。湾曲部20の下向き延伸部位16と上向き延伸部位18間での曲げ半径は,成形屋根部材1の板状状材料の厚みの1〜5倍である。好ましくは曲げ半径は成形屋根部材1の板状状材料の厚みの1〜2.5倍,最も好ましくは成形屋根部材1の板状状材料の厚みの1.5〜2倍である。曲げ半径が小さいほど屋根部材1上に施された塗装がより容易に損傷し,腐食及び他の問題が生じる。他方,曲げ半径が大きくなると湾曲部の厚みが必要以上に厚くなる。
【0014】
更に,所望の場合,湾曲部20をシーリング材又は充填材で充填し,水が溜るのを防止できる。充填剤としては,例えば発泡性又は中実な充填剤を使用できる。代替として又は更に,湾曲部20から水を排除するための1以上の穴又は開口が湾曲部20の底部に設けられている。
【0015】
成形屋根部材1の下縁部を下縁部が直線状又は下縁部の高さ方向及び/又は長さ方向で波形等を呈するように切断加工できる。屋根部材又は屋根部材の段部12の輪郭に一致させる。成形屋根部材の上縁部を直線状又は波形にも切断加工でき,屋根部材の輪郭又は段部12一致させる。側縁部が直線状であることが好ましい。加えて,下縁部10に異なった折り目及び/又は補強材(図示せず)を曲げて設けることができ,下縁部10及び成形屋根部材1の剛性が高くなる。複雑な形状の屋根材では,下縁部10に本発明の湾曲部を作成するため,下縁部10の湾曲部に軽量化肉抜部(図示せず)を設けることも必要となる。板状材料には互いに近接する領域において引張り強度及び圧縮強度の両方が必要とされるからである。
【0016】
図3Aには,更に屋根材の方向に連続する2枚の屋根部材1及び2間の接合部を示す。屋根部材1の下縁部10に図3Bに示す湾曲部20を有する段部14を設けている。下縁部10をその下側に置く第二の屋根部材2と所定の距離をおいて重ね葺きするように,図3Aに示すように段部12に対し設置する。そこで,成形屋根部材1の下縁部10の上向き延伸部位18を成形屋根部材2の段部12の正面表面に対面するように設置する。カットエッジ部30は屋根部材1及び2間に隠され覆われている。そのため環境の影響に曝されないので,カットエッジ腐食発生を防止できる。そして屋根部材1及び2間の継ぎ目を垂直表面に配置すると,更に縁部腐食を防止し,継ぎ目が隠れるため,製品の外観が向上する。これは継ぎ目域15であっても屋根の外観が変わらないからである。
【0017】
上記に加えて,本発明によれば,成形屋根部材1の上縁部8及び/又は側縁部4,6の一方又は両方に湾曲部を設け,成形屋根部材(1)の上縁部(8)及び/又は側縁部(4,6)の一方又は両方を成形屋根部材(1)の下側で曲げることができる。これにより,これら他の縁部でも縁部の腐食を防ぐことができる。さらに,段部12又は下縁部10上の段部14に,止めネジを位置決めするための1以上の定位凹部が設けられている。
【0018】
技術の進歩により本発明の基本的な思想が多様な方法で実施されることは,当業者には明らかである。それゆえ本発明及びその実施形態が上記の実施例に限られることなく,特許請求の範囲内で変形できることは,言うまでもない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4