特許第5698984号(P5698984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698984
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】熱交換器カセットおよび熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20150319BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   F28F3/04 A
   F28F3/08 301Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-538722(P2010-538722)
(86)(22)【出願日】2008年12月18日
(65)【公表番号】特表2011-506907(P2011-506907A)
(43)【公表日】2011年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2008067854
(87)【国際公開番号】WO2009080692
(87)【国際公開日】20090702
【審査請求日】2011年10月4日
【審判番号】不服2013-19730(P2013-19730/J1)
【審判請求日】2013年10月10日
(31)【優先権主張番号】0702871-5
(32)【優先日】2007年12月21日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500515565
【氏名又は名称】アルファ ラヴァル コーポレイト アクチボラゲット
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】クランツ、 ジョアキム
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンソン、 マグヌス
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 千壽 哲郎
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−272194(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080874(WO,A1)
【文献】 特開平8−271172(JP,A)
【文献】 特公昭51−20744(JP,B2)
【文献】 英国特許出願公開第2128726(GB,A)
【文献】 米国特許第2965613(US,A)
【文献】 スウェ−デン国特許発明第508384(SE,C2)
【文献】 特開2001−41678(JP,A)
【文献】 実開昭62−198384(JP,U)
【文献】 実開平2−127987(JP,U)
【文献】 特開平11−101583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わせられた2つの熱交換器カセットの間に前記2つの熱交換器カセットが接触しない接触無し流路を有する熱交換器のために構成された熱交換器カセットであって、同じ2枚のプレート(12)を有し、
各前記プレート
交互に繰り返された複数の山(19)と谷(20)を有する伝熱面(18)であって前記山(19)および前記谷(20)が前記伝熱面の面内方向に波形のパターンで延びている伝熱面(18)と、
前記接触無し流路を密封するガスケットが配置されるガスケット溝の一部に相当し、前記伝熱面の外側領域に複数の前記パターンに対して斜めに形成された斜めのガスケット溝(21)と、を備える熱交換器カセット(11、29)において、
各前記プレートに前記斜めのガスケット溝(21)に沿って設置されたガスケット支持体(22)をさらに備え、
前記ガスケット支持体(22)前記斜めのガスケット溝(21)に沿って互いに隣接して位置する複数のくぼみ(23)および突起(24)を有し、
前記くぼみ(23)と前記突起(24)は平面視で同じ形状を有し、
前記2枚のプレート(12)のうちの一方のプレートが180度反転させられて前記2枚のプレート(12)のうちの他方のプレートと組み合わされ、前記一方のプレートの前記パターンが前記他方のプレートの前記パターンと接合され、かつ、前記ガスケット支持体(22)の前記くぼみ(23)の部位同士が互いに押し付けられていて互いに永久接合されていることを特徴とする熱交換器カセット。
【請求項2】
前記ガスケット支持体(22)は、前記斜めのガスケット溝(21)と前記伝熱面(18)との間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器カセット。
【請求項3】
前記ガスケット支持体(22)は、前記ガスケット支持体(22)の前記くぼみ(23)および突起(24)と前記伝熱面(18)との間に前記ガスケット支持体に沿って形成された流路(26)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器カセット。
【請求項4】
前記くぼみ(23)と前記突起(24)は矩形であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱交換器カセット。
【請求項5】
前記くぼみ(23)と前記突起(24)は円形であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱交換器カセット。
【請求項6】
組み合わせられた2つの熱交換器カセットの間に前記2つの熱交換器カセットが接触しない接触無し流路を有する熱交換器であって、前記熱交換器カセットとして、請求項1から5のいずれか項に記載の熱交換器カセットを備えた熱交換器。
【請求項7】
前記2つの熱交換器カセット間の接触無し流路における、2つの前記ガスケット支持体(22)間の最も短い距離は、前記接触無し流路における前記2つの熱交換器カセットの伝熱面間の最も短い距離と少なくとも同じであることを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記2つの熱交換器カセットは、前記2つの熱交換器カセットそれぞれに設けられた前記突起(24)同士が前記接触無し流路を挟んで対向するように組み合わせられていることを特徴とする、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記2つの熱交換器カセット間の接触無し流路における、2つの前記ガスケット支持体(22)間の最も短い距離は、前記2つの熱交換器カセットそれぞれに設けられた、前記接触無し流路を挟んで対向する位置にある2つの前記突起(24)間の距離aであることを特徴とする、請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記2つの熱交換器カセットは、前記2つの熱交換器カセットそれぞれに設けられた前前記突起(24)の側壁同士が前記接触無し流路を挟んで対向するように組み合わせられていることを特徴とする、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記2つの熱交換器カセット間の接触無し流路における、2つの前記ガスケット支持体(22)間の最も短い距離は、前記2つの熱交換器カセットそれぞれに設けられた、前記接触無し流路を挟んで対向する位置にある2つの前記突起(24)の側壁同士の間の距離bであることを特徴とする、請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記熱交換器カセットは表面コーティングで被覆されていることを特徴とする、請求項6から11のいずれか項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記表面コーティングは、前記伝熱面(18)に塗布されていることを特徴とする、請求項12に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触無しの分散流路を有するプレート熱交換器におけるガスケット支持体に関する。さらに本発明は、ガスケット支持体を有する複数の熱交換器カセットを含む熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
食料加工品は通常、非常に粘性の高い製品、たとえば、炭酸飲料、ジュース、スープ、乳製品、などの濃縮物や、その他の液体濃度を有する製品を加工したり処理したりする必要があることを特徴とする。当然のことながら、この場合の衛生上の要望および期待は、様々な関係当局の要件に応じられるように極めて高い。また、粒子または繊維を含む非常に粘性の高い流体は、他の産業分野、たとえば様々な加工産業で使用されている。
【0003】
プレート熱交換器は、いくつかの異なる目的のために産業界で使用されている。プレート熱交換器をたとえば食品業界で使用する際の1つの問題は、流体に混合された繊維や他の固形材料を含む製品があることである。たいていのプレート熱交換器では、熱交換器は、1枚おきに180度回転させられて、流体用の2つの異なる流路を形成する、すなわち、冷却媒体用の1つの流路と冷却すべき製品用の1つの流路を形成する一種類のプレートを有する。各プレート間に密封部材が設けられている。このような構成は費用面で効果的であり、多くの用途に有効であるが、各プレートがある接触点で互いに押圧するので、繊維や他の固形材料を含む、飲料や他の製品についてはいくつかの欠点を有する。各プレートは、一方では機械的剛性を実現し、他方では液体との熱交換を向上させるために、山と谷を備えている。各プレートは、プレートのパターンが互いに接触する部分で互いに押圧し、それによって、プレートパッケージの機械的剛性を向上させている。このことは、各流体がそれぞれの異なる圧力を有するときに特に重要である。各プレートが互いに押圧することの欠点として、各押圧点は、液体に含まれる材料が捕らえられ蓄積する可能性がある流れ制限部を構成する。蓄積した材料は、流れをさらに制限し、さらに多くの材料が蓄積する。これは、小さい流量差のためにある程度の材料が堆積され、さらに次々に材料が堆積される河川デルタの形成にある程度類似している。
【0004】
プレート熱交換器において材料が詰まる問題の1つの解決策は、製品流路が接触無しとされている熱交換器を使用することである。この種の熱交換器は、製品流路内の材料の蓄積を低減させる。しかし、密封用ガスケットに近い領域が、材料を蓄積しないように構成され、かつ同時に機械的に堅いことも重要である。このような特定の領域の1つは、いわゆる斜めのガスケットの周りの領域である。
【0005】
米国特許第4781248A号明細書は、入口領域および出口領域と伝熱領域との間のゾーンにワッフル状の格子構造パターンを有する熱交換器を開示している。ワッフル状パターンは、熱交換器内の流れ分散を向上させるために使用される。
【0006】
米国特許第4403652号明細書は、接触無し流路を有する熱交換器を記載している。この熱交換器は、ウェブによって連結された2つの側面を有する押出成形された特定のヒートパネルと、ケーシングによって形成された特定のヘッダ部とを有する。ヘッダ部が鋳造されるため、ガスケットの周りの領域は、脆弱な個所を含まないように構成することができる。この解決策は、かなり高価で複雑であるが、用途によっては有効である場合がある。
【0007】
従来の熱交換プレートを接触無しプレート熱交換器に使用する際に十分な堅さを得るために、各プレートは、たとえば溶接やろう付けによって取り外せないように対をなすように接合される。このように、2枚のプレートは、プレート同士の間に複数の接触点を有するカセットを形成し、各接触点は、接触点同士が接合されると共にプレートのリムと接合される。カセットは、2つの流体間のある圧力差に対処するのに十分な堅さを有し、それによって接触無しの製品流路を実現する。接触無しの流路を有するプレート熱交換器の1つが日本特許公開第2001−272194号で公知である。この熱交換器では、長手方向の溝を有する同じ種類の2枚のプレートが互いに永久接合されて、熱交換流体用の長手方向流路が形成されたカセットが形成される。このようなカセットがガスケットを使用して積み重ねられ、それによって、2つのカセット間に接触無しの製品流路が形成される。
【0008】
接触無しの製品流路を有する他の熱交換器が国際公開第2006/080874号で開示されている。開示された熱交換器では、流れ方向に垂直な波形のパターン又は起伏のあるパターンを使用してプレートに堅さが与えられ、かつ2つの流体間の熱伝導が改善される。斜めのガスケット溝の周りの領域は前記熱交換器のプレートの前記パターンに対して傾斜しているので、前記波形のパターンにおける山と谷はガスケット溝の所で非対称的になっている。この非対称性のために、斜めのガスケット溝における支持点同士の間の距離は不規則になり、それによって、当該ガスケット溝に、非一様な機械的剛性を有する脆弱な領域が形成される。この脆弱な領域、すなわち、支持点同士の間の距離が遠い部分は、ガスケットを十分に支持できない場合があり、そのため、圧力が特定の値を超えるとガスケットが押し出される可能性がある。この場合、製品通路で漏れが生じ、かつ熱交換プレートが大幅に変形する恐れもある。
【0009】
国際公開第2006/080874号で開示されている熱交換器は、いわゆる半溶接プレート熱交換器、すなわち、熱交換プレートを対をなすように溶接またはろう付けすることによって形成されたいくつかのカセットを有する熱交換器である。溶接の継ぎ目は通常、カセットの側縁部に沿ってかつポート穴の周りを延びる。ガスケットは、それぞれのカセット同士の間に配置され、通常ゴム材料で作られ、熱交換プレートの溝内に位置する。1つの流体がカセットの内側を流れ、他の流体がカセット同士の間を流れる。カセットの内側の流路は加熱流体と冷却流体の少なくとも一方に使用され、カセット同士の間の流路は繊維を含む流体に使用される。半溶接プレート熱交換器は、比較的高い圧力に耐え、プレートパッケージを開放し、溶接された熱交換プレートの対同士の間の空間を浄化するのを可能にする。プレート同士の間の熱交換プレートの伝熱面の周りにおける、1つおきの空間内のガスケットが溶接部で置き換えられ、ガスケットを交換する必要が減り、安全性が高まる。
【0010】
このような解決策はいくつかの用途では有効であるが、依然としていくつかの欠点がある。したがって、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4781248A号明細書
【特許文献2】米国特許第4403652号明細書
【特許文献3】日本特許公開第2001−272194号
【特許文献4】国際公開第2006/080874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、接触無し流路を有するプレート熱交換器用の改良された斜めのガスケット支持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による問題の解決策は、請求項1の特徴記載部分に記載されている。請求項2か
には、斜めのガスケット支持体の有利な態様が記載されている。請求項には、有利
な熱交換器が記載され、請求項から13には、熱交換器の有利な態様が記載されている
【0014】
接触無し流路を有する熱交換器向けに構成され、カセットが、同じ種類の2枚のプレートを有し、各プレートが、複数の山と谷を有する波形パターンを備える、熱交換器カセットにおける斜めのガスケット支持体では、斜めのガスケット支持体が、斜めのガスケット溝に沿って互いに隣接して位置する複数のくぼみおよび突起を有するという点で、本発明の目的が実現される。
【0015】
斜めのガスケット支持体のこの第1の実施態様によって、密封ガスケットの機械的剛性の高い支持体を実現し、同時に、斜めの密封ガスケットに近い領域に接触無しの製品流路を形成するガスケット支持体が得られる。これによって、完全なカセットの周りに信頼性の高い密封部が得られる。
【0016】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、2枚のプレートのくぼみ同士が互いに押圧する。これによって、堅くて剛性のある斜めのガスケット溝が得られる。
【0017】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、2枚のプレートのくぼみ同士が互いに永久接合される。これによって、製品流路における両方向の高圧力、すなわち、過圧と陰圧とに対処することができる、堅くて剛性のある斜めのガスケット溝が得られる。
【0018】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、斜めのガスケット支持体は、斜めのガスケット溝と伝熱面との間に位置する。この態様の利点は、接触無しの製品流路を妨害せずに加熱媒体流路と冷却媒体流路のいずれか一方の流路内に支持体が得られることである。これによって、斜めの密封ガスケットの支持も向上する。
【0019】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、斜めのガスケット支持体はバイパス流路を有する。この態様は、流体が、支持点によって妨害されずにバイパス流路内を流れることができるため、流体の流れ特性が向上するという点で有利である。
【0020】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、くぼみと突起は矩形である。これによって、密封溝の良好な堅さと支持点での大きい接触面積とが得られる。
【0021】
本発明の斜めのガスケット支持体の有利な他の態様では、くぼみと突起は円形である。これによって、密封溝の良好な堅さと支持点での大きい接触面積とが得られる。
【0022】
本発明の熱交換器では、斜めのガスケット支持体を有する複数の熱交換器カセットが設けられている。これによって、2つの流路間のより高い圧力差に耐えることのできる、改善された信頼性を備えた改良された熱交換器が得られる。
【0023】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、2つのカセット間の接触無し流路における、2つの斜めのガスケット支持体間の最も短い距離は、2つのカセットの伝熱面間の最も短い距離と少なくとも同じである。この態様の利点は、斜めのガスケット支持体の所に流れを制限する領域がないため、流れ特性が改善されることである。
【0024】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、熱交換器は1種類のカセットを有する。この実施態様の利点は、製造費用の面で効果的であることである。
【0025】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、2つのカセット間の接触無し流路における、2つの斜めのガスケット支持体間の最も短い距離は、2つの突起間の距離aである。熱交換器が1種類のカセットを使用するとき、互いに隣接するカセットの突起は互いに整列する。この種の熱交換器では、この距離によって流れが制限されることがなく、したがって、流体に含まれる材料が詰まることがないことが重要である。
【0026】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、熱交換器は、異なる2種類のカセットを有する。この態様の利点は、カセットの流れパターン、したがって熱交換器の性能を最適化することができることである。
【0027】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、2つのカセット間の接触無し流路における、2つの斜めのガスケット支持体間の最も短い距離は、2つの突起の側壁間の距離bである。熱交換器が異なる2種類のカセットを使用するとき、1つのカセットの突起は次のカセットのくぼみと整列する。この種の熱交換器では、この距離によって流れが制限されることがなく、したがって、流体に含まれる材料が詰まることがないことが重要である。
【0028】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、熱交換器カセットは表面コーティングで被覆されている。この態様の利点は、熱交換器内の隣接する2つのカセットが接触無し流路内で互いに接しないため、接触無し流路内に、摩耗を受ける点が無いことである。したがって、コーティングが摩耗するおそれ無しに接触無し流路の表面を覆うことが可能である。コーティングが摩耗しないので、メンテナンスが大幅に軽減され、確実なコーティングが得られる。
【0029】
本発明の熱交換器の有利な他の態様では、表面コーティングは、密封ガスケットに囲まれる表面に塗布されている。この態様は、接触無し流路の有効表面だけがコーティングされ、それによってコーティング材料の量が減り、したがってコーティングの費用が安くなるという点で有利である。
【0030】
本発明について、添付の図面に示されている実施形態を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】接触無し流路を有するプレート熱交換器における従来技術の斜めのガスケット支持体を示す図である。
図2】本発明による斜めのガスケット支持体を有する熱交換器で使用されるプレートの正面図である。
図3】本発明による斜めのガスケット支持体の第1の実施形態の細部を示す図である。
図4】本発明による密封ガスケットおよび斜めのガスケット支持体の図である。
図5】第1のタイプの熱交換器カセットで使用されるときのガスケット支持体のA−Aにおける断面図である。
図6】第2のタイプの熱交換器カセットで使用されるときのガスケット支持体のA−Aにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に記載された更なる発展を有する本発明の実施形態は、一例としてのみみなされるものであり、特許請求の範囲による保護範囲を制限するものではない。
【0033】
図1は、国際公開第2006/080874号で開示された熱交換器用の従来技術の接触無しカセットを示している。熱交換器カセット1は、入口ポートおよび出口ポート5,6を構成する2つのポート穴と、山3および谷4を含む伝熱面2とを有している。プレートは、熱交換器内の流体流路を密封するようにされた密封ガスケットをさらに有している。ガスケット7は接触無しの製品流路を密封し、リングガスケット8は冷却流体と加熱流体の少なくとも一方の為のポートを密封している。ガスケット7は、分散領域での、入口ポートと出口ポートの所の製品流路用の境界を形成する斜めのガスケット部9を有している。斜めのガスケット部9は、斜めのガスケット溝内に配置されている。斜めのガスケット溝は、カセットの長さ軸に対して傾斜しており、かつ熱交換パターンも傾斜部を有しており、斜めのガスケット溝の隣のパターンは非対称的であり、異なる幅を有する山と谷を有している。カセットが組み立てられるときに斜めのガスケット溝の隣のパターンがカセット内の斜めのガスケット支持体を構成するので、斜めのガスケット支持体はその長さに沿って、異なった機械的特性を有する。斜めのガスケット溝自体がカセット内の他のプレートを押圧することはなく、すなわち、斜めのガスケットは斜めのガスケット溝の隣のパターンによってのみ支持される。カセットが接触無しの製品流路を有する熱交換器内で使用されるため、斜めのガスケット溝の隣のパターンが他のカセットの隣接するプレートを押圧することはできない。したがって、斜めのガスケット支持体の剛性は、斜めのガスケット溝の隣のパターンによって決定される。したがって、斜めのガスケットの所の最大許容圧力は、斜めのガスケット溝の剛性がその長さに沿って変化するために制限される。
【0034】
カセットは同じ種類の2枚のプレートで作られている。プレート同士が接合される前に、一方のプレートが水平中心軸の周りに180度回転させられる。このように、パターンは、一方のプレートのパターンが他方のプレートのパターンを押圧し、複数の中間接触点が形成されるように相互作用する。これらの接触点のすべてまたは少なくともいくつかが互いに接合されると、カセット内のある程度の過圧とカセット同士の間のある程度の過圧に耐えうる堅いカセットが得られる。
【0035】
図2は、接触無し流路を有する熱交換器で使用される本発明によるカセット11の正面図である。カセット11は、永久接合された2枚の熱交換プレート12を有している。各プレートは、入口ポートおよび出口ポート14,15,16,17を構成する少なくとも4つのポート穴と、山19と谷20を有する伝熱面18とを有している。カセット11は、プレート同士を溶接、ろう付け、または接着することによって作製することができ、それによって、2枚のプレート12は、カセットの内側に流路が形成されるような公知の方法で永久接合される。好ましくは、各プレートは伝熱面内でも接合され、一方のプレートのパターンが他方のプレートのパターンを押圧する。このことは、カセットが接触無し流路を有する熱交換器で使用されるため有利である。したがって、伝熱面の支持は、カセットにおける他方のプレートからのみ得られる。各プレートはたとえば、一方の入口側または出口側から残りの入口側または出口側に達する数本の長手方向線に沿って接合することができる。カセットは、カセットが組み立てられて熱交換器が形成されるときに密封ガスケットが取り付けられる斜めのガスケット溝21をさらに有している。
【0036】
図3は、斜めのガスケット溝21の周りの領域の細部を示している。カセットは、斜めのガスケット溝21の主要部分に沿って互いに隣接して位置する複数のくぼみ23および突起24を有する本発明の斜めのガスケット支持体22をさらに有している。くぼみ23と突起24は、この例では矩形であるが、円形や半円形のような他の形状を有してもよい。斜めのガスケット支持体22は、カセットが熱交換器に取り付けられるときに密封ガスケットが突起24の側面を押圧するように斜めのガスケット溝21のすぐ隣に位置している。斜めのガスケット支持体22は、斜めのガスケット溝21と伝熱面18との間に位置している。2枚のプレートがカセットとして組み立てられると、くぼみ23と突起24は、2枚のプレートが押圧する接触点を形成する。これらの接触点のうちの少なくともいくつかは、たとえばカセットを組み立てるのに使用されたのと同じ方法を使用することによって互いに接合されることが好ましい。
【0037】
図4は、斜めのガスケット部25を有する斜めのガスケット支持体領域の図を示している。熱交換プレートの伝熱面のパターンと斜めのガスケット支持体との間に、狭いバイパス流路26が形成されている。バイパス流路は、伝熱面全体への流体の分散を助ける。
【0038】
第1の実施形態では、熱交換器は、同じ種類の2枚のプレートで作られた1つのカセットタイプ11を有している。プレート同士が接合される前に一方のプレートが中心軸13周りに180度回転させられる。このように、パターンは、一方のプレートのパターンが他方のプレートのパターンを押圧し、カセットの内側に複数の中間接触点が形成されるように相互作用する。これらの接触点のすべてまたは少なくともいくつかが互いに永久接合されると、程度の過圧に耐えうる堅いカセットが得られる。カセットにおける一方のプレートが回転させられるため、斜めのガスケット支持体22は、2つのくぼみ23が接合される領域と、2つの突起24が中空の空間を形成する領域とを有している。
【0039】
同じ種類のカセットを積み重ねて熱交換器を形成すると、接触無し流路27は、図5に見られるような断面A−Aを有する。この実施形態では、第1のカセットの突起24が第2のカセットの突起24に隣接している。同様に、第1のカセットのくぼみ23は第2のカセットのくぼみ23に隣接している。この実施形態では、突起24同士の間の容積によって流体の流れが制限される。突起24同士の間の距離aは、流れの制限の程度を決定する。突起24同士の間の距離は、接触無し流路内の表面同士の間の最も短い距離以上であることが好ましい。このように、流れ制限点の無い均等な流れが得られ、したがって、接触無し流路内に材料が蓄積し始める場所は無くなる。したがって、突起の高さは、密封ガスケットの寸法および熱交換プレートのパターンに適合されている。
【0040】
第2の実施形態では、熱交換器は、第1のタイプの2枚の熱交換プレートで作られた第1のカセットタイプ11と、第2のタイプの2枚のプレートで作られた第2のカセットタイプ29とを有している。カセットでは、プレート同士が接合されてカセットが形成される前に一方のプレートが中心軸周りに180度回転させられる。このように、パターンは、一方のプレートのパターンが他方のプレートのパターンを押圧し、カセットの内側に複数の中間接触点が形成されるように相互作用する。これらの接触点のすべてまたは少なくともいくつかが互いに永久接合されると、ある程度の過圧に耐えうる堅いカセットが得られる。カセットにおける一方のプレートが回転させられるため、斜めのガスケット支持体22は、2つのくぼみ23が接合される領域と、2つの突起24が中空の空間を形成する領域とを有している。第2のカセット用のプレートは、第1のカセット用のプレートと同じパターンを有するが、第1のカセット用のプレートに対してパターンが回転させられるか、ずらされている。
【0041】
第1のタイプおよび第2のタイプのカセットを積み重ねて熱交換器を形成すると、接触無し流路28は、図6に見られるような断面A−Aを有する。この実施形態では、第1のカセットの突起24が第2のカセットのくぼみ23に隣接している。同様に、第1のカセットのくぼみ23は第2のカセットの突起24に隣接している。この実施形態では、各突起23の側壁同士の間の体積によって流体の流れが制限される。各突起23の側壁同士の間の距離bは、流れの制限の程度を決定する。各突起23の側壁同士の間の距離は、接触無し流路内の表面同士の間の最も短い距離以上であることが好ましい。このように、流れ制限点の無い均等な流れが得られ、したがって、接触無し流路内に材料が蓄積し始める場所は無くなる。したがって、突起の形状は、密封ガスケットの寸法および熱交換プレートのパターンに適合されている。
【0042】
第1および第2のカセットのパターンは、カセットが熱交換器として組み立てられたときに、カセット同士の間の伝熱面の所、すなわち接触無し流路内の密封ガスケットの内側に接触点が無くなるように構成される。各カセットは、密封ガスケットによって互いに取り付けられている。ガスケットは、好ましくは弾性材料、たとえばゴム材料で作られ、カセットの構成要素であるプレートの周囲に沿って延びる溝内に配置されている。ガスケットの目的は、2つのカセット間の空間を密封し、それによって接触無し流路、すなわち製品流路を形成することである。熱交換プレートは、必要な機械的支持のための接触点が、カセットの内側の、カセットを形成するように接合される2枚のプレートの間、または密封ガスケットの外側にのみ形成されるように構成される。
【0043】
カセット同士の間に接触点がない接触無しの製品流路を有することの1つの利点は、伝熱面を特定のコーティングで覆うことができることである。本発明の接触無し熱交換器では、中央伝熱面には接触点が無いが、製品流路内の入口ポートおよび出口ポートの所にいくつかの接触点がある。
【0044】
公知の接触無しプレート熱交換器の表面に表面処理を施す場合、コーティングは、接触点同士の間の機械的摩耗のために最終的にすり減るかまたは損傷する可能性がある。たとえばカセットにおいて腐食保護コーティングが損傷すると、損傷した個所から腐食が始まり、カセットを交換しなければならなくなるので、完全なカセットのコーティングが無用になる。本発明の斜めのガスケット支持体を有するカセットを使用することによって、製品流路の内側に接触点を有さない熱交換器を提供することができる。したがって、このような熱交換器カセットには、カセット同士の間の接触点同士の間の摩耗によってすり減ることのない様々な表面コーティングを被覆することができる。様々な表面コーティングを使用することによって、製品流路をそれぞれの異なる目的向けに最適化することができる。表面コーティングの一例は、表面摩擦を増大または低下させる摩擦コーティングである。他の例は、表面仕上げを増大または低減させる表面コーティングあるいはカセットに使用される材料の腐食抵抗を高める腐食防止剤コーティングである。表面コーティングの他の例は、特定の物質が表面に付着する危険性を低下させるコーティングである。本発明の斜めのガスケット支持体を有するカセットを使用するときは、他の種類の表面コーティングも可能である。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものとみなすべきではなく、特許請求の範囲内で追加的ないくつかの変形実施形態および修正実施形態が可能である。一例として、熱交換器カセットに異なるガスケット支持体パターンを使用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 カセット
2 伝熱面
3 山
4 谷
5 ポート
6 ポート
7 ガスケット
8 リングガスケット
9 斜めのガスケット部
11 カセット
12 プレート
13 中心軸
14 ポート
15 ポート
16 ポート
17 ポート
18 伝熱面
19 山
20 谷
21 斜めのガスケット溝
22 斜めのガスケット支持体
23 くぼみ
24 突起
25 斜めのガスケット部
26 バイパス流路
27 接触無し流路
28 接触無し流路
29 第2のカセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6