特許第5698992号(P5698992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5698992省電力の表示情報変換システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5698992
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】省電力の表示情報変換システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/32 20060101AFI20150319BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   G06F1/00 332Z
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 650M
   G09G3/20 660C
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-13363(P2011-13363)
(22)【出願日】2011年1月25日
(65)【公開番号】特開2011-154690(P2011-154690A)
(43)【公開日】2011年8月11日
【審査請求日】2011年3月25日
(31)【優先権主張番号】099102296
(32)【優先日】2010年1月27日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】游 敦皓
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 奕叡
(72)【発明者】
【氏名】孔 祥重
(72)【発明者】
【氏名】陳 官辰
(72)【発明者】
【氏名】宋 振華
(72)【発明者】
【氏名】葉 怡鎮
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−090001(JP,A)
【文献】 特開2003−216092(JP,A)
【文献】 特開2008−165653(JP,A)
【文献】 特開2008−252185(JP,A)
【文献】 特開2010−039638(JP,A)
【文献】 特表平11−508715(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/125960(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 − 1/32
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアのプロキシサーバーであって、
電力消費モデルを有する表示装置によって表示される表示情報を受信し、
省電力変換モデルおよび前記電力消費モデルに基づいて前記受信した表示情報を変換し、
前記変換された表示情報を前記表示装置に提供するよう構成されたプロセッサを備え、
前記電力消費モデルに基づいて、前記変換された表示情報を表示する時に使用される前記表示装置の電力消費量が、前記ハードウェアのプロキシサーバーが受信した表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低く、
前記電力消費モデルが、様々な色を様々な輝度で表示する時に必要な前記表示装置の電力消費量のデータを含み、
前記プロセッサが、前記電力消費モデルの前記データを使用して、前記受信した、または変換された表示情報を表示する時に必要な前記表示装置の電力消費量を計算するよう構成されたハードウェアのプロキシサーバー。
【請求項2】
前記表示情報が、
前記表示装置によって表示可能な画像、または
前記表示装置によって表示される画像を生成するよう前記表示装置のソフトウェアまたはハードウェアによって処理される画像記述子のうちの少なくとも1つを備えた請求項1記載のプロキシサーバー。
【請求項3】
前記画像記述子が、マークアップ言語コード、プログラムコードまたは色テーマ設定コードのうちの少なくとも1つである請求項2記載のプロキシサーバー。
【請求項4】
前記省電力変換モデルまたは前記電力消費モデルのうちの少なくとも1つを記憶する記憶装置をさらに備えた請求項1記載のプロキシサーバー。
【請求項5】
前記省電力変換モデルが、
前記表示情報が変換された時に、前記表示情報に含まれる前記画像の少なくとも1つの画素を変更する画像変換モデル、または
前記表示情報が変換された時に、前記表示情報に含まれる少なくとも1つの画素記述子を変更する画像記述子変換モデルのうちの少なくとも1つを含む請求項2記載のプロキシサーバー。
【請求項6】
前記画像変換モデルが、
前記画像の前記少なくとも1つの画素の画素輝度を減らす輝度低減モデル、または
前記画像の前記少なくとも1つの画素の画素カラーを、前記電力消費モデルに基づいて、変更される前記画素カラーよりも低い表示電力を要求する省電力カラーに変換する色変換モデルのうちの少なくとも1つを含む請求項5記載のプロキシサーバー。
【請求項7】
前記画像記述子変換モデルが、
前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された元の色テーマを、前記電力消費モデルに基づいて、前記元の色テーマよりも低い表示電力を要求する省電力色テーマに変換する色テーマ変換モデル、
前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された輝度を減らす画像記述子調光モデル、
前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された表示サイズを減らす画像記述子サイズ変更モデル、または
前記少なくとも1つの画像記述子を取り除く画像記述子除去モデルのうちの少なくとも1つを含む請求項5記載のプロキシサーバー。
【請求項8】
プロキシサーバーを利用し、表示される表示情報を受信するステップと、
プロキシサーバーに含まれる省電力変換モデルおよび表示装置に含まれる電力消費モデルに基づいて、前記受信した表示情報を変換するステップと、
前記変換された表示情報を前記表示装置に提供するステップとを含み、
前記電力消費モデルに基づいて、前記変換された表示情報を表示する時に使用される前記表示装置の電力消費量が、前記受信した表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低く、
前記電力消費モデルが、様々な色を様々な輝度で表示する時に使用される前記表示装置の電力消費量のデータを含み、
前記変換するステップが、前記データを使用して、前記受信して変換された表示情報を表示する時に使用される前記表示装置の電力消費量を計算するステップを含む表示情報変換方法。
【請求項9】
前記表示情報を受信するステップと前記受信した表示情報を変換するステップの間において、さらに、
複数のパラメーターを受信するステップと、
前記表示情報を変換する時に前記パラメーターおよび前記省電力変換モデルを使用するステップと、を含む請求項8記載の表示情報変換方法。
【請求項10】
前記変換するステップが、
画像変換モデルを用いて、前記表示情報に含まれる画像の少なくとも1つの画素を変更するステップ、または
画像記述子変換モデルを用いて、前記表示情報に含まれる画像記述子を変更するステップのうちの少なくとも1つを含む請求項8記載の表示情報変換方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの画素を変更するステップが、
輝度低減モデルを用いて、前記画像の前記少なくとも1つの画素の画素輝度を減らすステップ、または
色変換モデルを用いて、前記画像の前記少なくとも1つの画素の元の画素カラーを、前記電力消費モデルに基づいて、前記元の画素カラーよりも低い表示電力を要求する省電力カラーに変換するステップのうちの少なくとも1つを含む請求項10記載の表示情報変換方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの画像記述子を変更する前記ステップが、
色テーマ変換モデルを用いて、前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された元の色テーマを、前記電力消費モデルに基づいて、前記元の色テーマよりも低い表示電力を要求する省電力色テーマに変換するステップ、
画像記述子調光モデルを用いて、前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された輝度を減らすステップ、
画像記述子サイズ変更モデルを用いて、前記少なくとも1つの画像記述子によって定義された表示サイズを減らすステップ、または
画像記述子除去モデルを用いて、前記少なくとも1つの画像記述子を取り除くステップのうちの少なくとも1つを含む請求項10記載の表示情報変換方法。
【請求項13】
前記変換するステップが、さらに、
前記変換された表示情報が所定の省電力要求を満たしているか否かを判定するステップと、
前記変換された表示情報が前記所定の省電力要求を満たしていないと判定された場合に、前記少なくとも1つの画素を変更するステップまたは前記少なくとも1つの画像記述子を変更するステップのうちの少なくとも1つを繰り返すステップとを含む請求項10記載の表示情報変換方法。
【請求項14】
前記変換するステップが、
前記表示情報に含まれる画像の色を消費量の低い色にシフトさせるステップ、
前記表示情報に含まれる画像記述子によって定義された色テーマを、暗い前景と明るい背景から、明るい前景と暗い背景に変換するステップ、または
表示される画像の輝度を減らすステップのうちの少なくとも1つを含む請求項8記載の表示情報変換方法。
【請求項15】
前記プロキシサーバーの製造業者、
前記プロキシサーバーのプロバイダー
前記表示装置の製造業者、
前記プロキシサーバーの管理者、
前記表示装置のユーザー、または
他のユーザーによって前記省電力変換モデルを提供するステップと、
前記表示装置の製造業者によって提供された電力消費データ、または
前記表示装置の実際の電力消費量から前記電力消費モデルを得るステップと、をさらに含む請求項記載の表示情報変換方法。
【請求項16】
複数の省電力変換モデルを記憶するステップと、
前記変換するステップで使用される前記複数の省電力変換モデルから少なくとも1つの省電力変換モデルを選択することのできる前記表示装置を提供するステップと、をさらに含む請求項8記載の表示情報変換方法。
【請求項17】
前記複数のパラメーターが、表示情報変換時における前記ユーザーの好みの設定および前記表示装置の電力量の予定を含む様々な情報項目を特定する請求項15記載の表示情報変換方法。
【請求項18】
コンピュータ可読媒体であって、
その中にコンピュータ実行可能命令を含み、前記コンピュータ実行可能命令は、コンピュータによって、前記コンピュータ可読媒体を実行させる時に、前記コンピュータをプロキシサーバーとして設定して請求項8の方法を実行するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力の表示情報変換システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)ディスプレイは自発光型素子であり、高いコントラスト比、広い視野角および薄型ボディ等の機能を提供する。そのため、近年、多くのディスプレイ製造業者は、OLEDディスプレイの発展に焦点を置いている。
【0003】
OLEDの光強度は電流値に比例するため、OLEDディスプレイの消費電力は、固定電圧で動作している場合、表示画面の内容によって決定される。これは、バックライト(backlight)の強度によって消費電力が決定される薄型トランジスター液晶ディスプレイ(thin film transistor liquid crystal display, TFT-LCD)と異なり、通常、表示される内容に影響されない。例えば、暗い画像を表示している時は電力を消費しないが、明るい画像を表示している時、OLEDディスプレイはTFT-LCDに比べて数倍以上の電力を消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在主流のアプリケーション・プログラムのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(graphical user interface, GUI)およびウェブページは、明るい背景と暗い前景の色テーマ、つまり、白い背景の上に黒いグリフ文字を提供する。全体の画像が高い輝度を表示するため、TFT-LCDの代わりにOLEDディスプレイを使用した場合、より多くの電力が消費される。そのため、表示画像を変換してOLEDディスプレイの電力消費量を減らす技術が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態中、プロセッサ(processor)を備えたハードウェアのプロキシサーバー(proxy server)を提供する。プロセッサは、表示装置によって表示される表示情報を受信し、表示装置の省電力変換モデル(power-saving conversion model)および電力消費モデル(power consumption model)に基づいて表示情報を変換し、変換後の表示情報を表示装置に提供する。電力消費モデルに基づいて、変換された表示情報を表示する時に使用される表示装置の電力消費量は、元の表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低い。
【0006】
また、本発明の1つの実施形態中、上述した表示装置およびプロキシサーバーを備えた表示情報変換システムを提供する。
【0007】
さらに、本発明の1つの実施形態中、表示情報変換方法、またはコンピュータ可読媒体(computer-readable medium)を提供する。コンピュータ可読媒体は、その中にこの方法を実行するために、コンピュータをプロキシサーバーとして設定するコンピュータ実行可能命令(computer-executable instruction)を有する。この方法は、電力消費モデルを有する表示装置によって表示される表示情報を受信するステップと、省電力変換モデルおよび電力消費モデルに基づいて受信した表示情報を変換するステップと、変換された表示情報を表示装置に提供するステップとを含む。電力消費モデルに基づいて、変換された表示情報を表示する時に使用される表示装置の電力消費量は、元の表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低い。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明は、プロセッサを備えたプロキシサーバーを提供して、表示装置によって表示される表示情報を受信し、表示装置の省電力変換モデルと電力消費モデルに基づいて表示情報を変換し、変換後の表示情報を表示装置に提供する。また、上述した表示装置およびプロキシサーバーを備えた表示情報変換システムを提供する。そのため、電力消費モデルに基づいて、変換された表示情報を表示する時に使用される表示装置の電力消費量は、元の表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低いことができる。
【0009】
さらに、本発明は、表示情報変換方法、またはコンピュータ可読媒体(computer-readable medium)を提供する。コンピュータ可読媒体は、その中にこの方法を実行するために、コンピュータをプロキシサーバーとして設定するコンピュータ実行可能命令(computer-executable instruction)を有する。この方法は、電力消費モデルを有する表示装置によって表示される表示情報を受信するステップと、省電力変換モデルおよび電力消費モデルに基づいて受信した表示情報を変換するステップと、変換された表示情報を表示装置に提供するステップとを含む。上述した表示装置およびプロキシサーバーを備えた表示情報変換システムを提供する。電力消費モデルに基づいて、変換された表示情報を表示する時に使用される表示装置の電力消費量は、元の表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低い。
【0010】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換システムの概略図である。
図2】表示装置の電力消費モデルを示したものである。
図3】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換方法のフローチャートである。
図4図3の表示情報変換ステップの詳細なフローチャートである。
図5A】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図5B】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図6A】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図6B】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図7】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図8】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図9】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
図10】本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換の例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面および関連説明において、同一または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0013】
図1は、本発明の1つまたはそれ以上の実施形態に係る表示情報変換システムの概略図である。図1を参照すると、表示情報変換システムは、サーバー110と、プロキシサーバー120と、表示装置130とを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、サーバー110は、ウェブサーバー、Xウィンドウシステム(X Window System)サーバー、または他の種類のサーバーである。サーバー110は、表示情報をプロキシサーバー120に提供する。表示情報は、表示装置130によって表示される画像内容、例えば、ウェブページの内容またはアプリケーション・プログラムのユーザーインターフェースを示す、または定義する。
【0015】
いくつかの実施形態において、プロキシサーバー120は、プロセッサ122と、記憶装置124とを備える。プロセッサ122は、表示情報変換方法を実行して(下記の図3で説明する)、サーバー110によって提供された表示情報を省電力バージョンに変換し、変換された表示情報を表示装置130に提供する。記憶装置124は、プロセッサ122が表示情報の変換に使用できるよう、電力消費モデルおよび省電力変換モデルを記憶する。
【0016】
いくつかの実施形態において、表示装置130は、OLEDディスプレイパネルを有し、変換された表示情報に基づいて画像を表示する。しかしながら、本発明は、OLEDディスプレイのみに限定されず、他の実施形態において、表示装置130は、任意の画素(pixel)自発光表示装置を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、サーバー110は、2方向データ通信リンク(two-way data communications link)を介してプロキシサーバー120に接続され、サーバー110およびプロキシサーバー120へ/からデータを伝達する。1つまたはそれ以上の実施形態において、サーバー110とプロキシサーバー120の間の2方向データ通信リンクは、電話線によるダイヤルアップ接続等のネットワーク接続、広域ネットワーク(wide area network, WAN)接続、ローカルエリアネットワーク(local area network, LAN)接続、インターネット接続、無線LAN(wireless LAN, WLAN)接続、セルラネットワーク(cellular network)接続、衛星リンク、またはこれらの任意の組み合わせを含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、サーバー110とプロキシサーバー120の間の2方向データ通信リンクは、直接接続を含み、USB(universal serial bus)接続等の有線接続、またはブルートゥース(Bluetooth(登録商標))接続等の無線接続を含む。本発明の範囲内で、他の様々な変形および変更が可能である。
【0018】
いくつかの実施形態において、プロキシサーバー120は、スタンドアロン(standalone)装置、例えば、コンピュータシステムまたはサーバーを含み、任意の点でサーバー110と表示装置130の間に接続される。プロキシサーバー120は、ここで説明した1つまたはそれ以上の2方向データ通信リンクによって、サーバー110と表示装置130に接続される。スタンドアロン・プロキシサーバー120の典型的な構成は、上述した図1の説明で既に述べている。
【0019】
いくつかの実施形態において、プロキシサーバー120は、サーバー110、表示装置130、または任意の点でサーバー110と表示装置130の間に接続されたミドルボックス(middlebox)装置(例えば、ゲートウェイ、ルーター、モデム等)のいずれかに存在し、これによって実行されるプログラムを含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、プロキシソフトウェアおよび他のプログラムは、プロセッサを共有して装置に記憶することができるため、他のデバイスに存在するソフトウェアとして使用されるプロキシサーバー120は、独立したプロセッサ122または記憶装置124を必要としない。省電力変換モデルのように、プロキシサーバー120の操作に必要なデータは、プロキシサーバー120が存在する装置の記憶領域に記憶される。
【0020】
いくつかの実施形態において、表示装置130は、デスクトップ型やノート型パソコンのコンピュータモニター等のホストデバイス(host device)の表示スクリーン、あるいは、携帯電話や他のハンドヘルドデバイス(handheld device)のスクリーンを含む。デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、またはハンドヘルドデバイス等のホストデバイスは、1つまたはそれ以上の2方向データ通信リンクを介してサーバー110に接続される。ここで説明したように、プロキシサーバー120は、任意の点でサーバー110とホストデバイスの間に接続されるか、あるいは、サーバー110、ホストデバイスまたはミドルボックスのいずれかに存在する。
【0021】
いくつかの実施形態において、表示装置130は、インターネット接続を通してサーバー110に接続することができるインターネット対応テレビ(Internet-enabled TV)等のスタンドアロン表示スクリーンを含む。また、プロキシサーバー120は、任意の点でサーバー110とスタンドアロン表示スクリーンの間に接続されるか、あるいは、サーバー110、スタンドアロン表示スクリーンまたはミドルボックスのいずれかに存在する。
【0022】
サーバー110によって提供された表示情報は、画像(image)または画像記述子(image descriptor)、あるいはその両方のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、画像は、デジタル画像またはビデオファイルから抜粋するもの、あるいはフレームバッファ(frame buffer)に描画された画像である。表示装置の画像は、プロキシサーバー120によって省電力表示情報が変換された後、表示装置130によって直接表示される。
【0023】
いくつかの実施形態において、画像記述子は、マークアップ言語(markup language)コード、プログラムコード、または色テーマ設定(color theme configuration)コードを含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、マークアップ言語コードは、ハイパーテキストマークアップ言語(Hyper Text Markup Language, HTML)または拡張可能マークアップ言語(Extensible Markup Language, XML)を含む。例として、1つまたはそれ以上の実施形態において、プログラムコードは、ウィンドウズ(Windows(登録商標))オペレーティングシステムのグラフィック・デバイス・インターフェース(graphics device interface, GDI)命令等の画像を生成するコードの一部を含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、色テーマ設定コードは、画像の色テーマを決定する任意の設定コードを含む。例えば、ウィンドウズ・オペレーティングシステムにおけるデスクトップテーマ(desktop theme)設定ファイルの内容が、色テーマ設定コードである。画像記述子は、表示装置130によって表示される画像を生成するよう表示装置130のソフトウェアまたはハードウェアによって処理される。
【0024】
各表示装置は、それぞれ独自の対応する電力消費モデルを有する。電力消費モデルによって提供された情報やデータは、様々なレベルの輝度や様々な色を表示する時に表示装置の画素によって消費される電力レベルを含む。プロセッサ122は、表示装置130の電力消費モデルを用いて、サーバー110によって提供された表示情報を表示する時に表示装置130によって消費された電力を計算する。少なくともいくつかの実施形態において、電力消費モデルは、表示装置130の製造業者によって提供された電力消費量データ、または表示装置130の実際の電力消費量から得られる。上述したように、いくつかの実施形態において、表示装置130の電力消費モデルは、プロキシサーバー120の記憶装置124に記憶される。しかしながら、さらなる実施形態において、表示装置130の電力消費モデルは、サーバー110、表示装置130、またはサーバー110と表示装置130を接続するネットワークの他の記憶領域に記憶される。
【0025】
図2は、表示装置130の典型的な電流消費曲線を示したものである。この表示装置130は、800×480の解析度を有し、各画素は、赤、緑、青のサブ画素(sub-pixel)で構成される。図2は、表示装置130が単一色を表示した時の表示装置130の電流消費量を示したものである。曲線210、220および230は、それぞれ赤、緑、青のサブ画素に対応する電流消費量を示す。任意のサブ画素値で任意の色を表示した時に単一画素によって消費される電流は、曲線210、220および230に対応する電流を800×480で割ることによって得られる。OLEDディスプレイは、固定された画素駆動電圧を有するため、各画素の電力消費量は、電流消費量に正比例する。つまり、各画素の電力消費量は、表示されている色と輝度によって決まる。画像中の各画素の電力消費量は、表示情報に基づいて得ることができ、画像全体の合計電力消費量は、画素の電力消費量を足すことによって得ることができる。
【0026】
図3は、プロセッサ122によって実行された表示情報変換方法のフローチャートである。まず、サーバー110から表示情報およびパラメーターを受信する(ステップ310)。パラメーターは、ユーザーによって決められた所定のパラメーター、または表示装置から得られたパラメーター、またはその両方である。これらのパラメーターは、表示装置の残りのバッテリー容量、表示装置の残りの使用可能時間、表示装置の希望の使用時間、表示情報を表示する時に消費される電力の合計量、表示情報変換時のユーザーの好みの設定、表示装置の電力量の予定等を含む。
【0027】
省電力変換モデルは、パラメーターを使って表示情報をどのように変換するかを決定する(ステップ320)。詳細には、サーバー110から受信した表示情報を変換するために用いる方法、例えば、図4で説明する方法のうちの1つまたはそれ以上の方法を含む。詳細には、また、どの画像または画像記述子を変換するか、および変換結果に対する制限、例えば、文書の背景と前景をどの色に変換するか、あるいは画像が変換された時に画像の色調を変えてもよいか否かを含む。詳細には、さらに、変換の範囲に関するユーザーの要求を含む。例えば、ユーザーは、表示情報を表示する時に消費される電力が所定の値よりも低くなることを要求する。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、例えば、ユーザーは、バッテリー駆動のハンドヘルドデバイスを使用して、ネットサーフィンをする。ハンドヘルドデバイスの操作システムは、残りのバッテリー容量が30分以下であることをユーザーに示している。しかしながら、ユーザーは、作業を終えるのにあと1時間必要とする。そのため、省電力変換モデルは、残りのバッテリー容量、希望の使用時間、表示情報を表示する時に消費される電力の合計量、表示情報変換時におけるユーザーの好みの設定、表示装置の電力量の予定等のパラメーターを使用して、表示情報を省電力に変換し、表示装置の残りの使用可能時間を延長する。
【0029】
次に、プロセッサ122は、省電力変換モデルおよび電力消費モデルに基づいて、受信した表示情報を変換し(ステップ330)、変換された表示情報を表示装置130に提供する(ステップ340)。表示装置130は、それから、変換された表示情報を表示する(ステップ350)。プロキシサーバー120の変換によって、変換された表示情報を表示する時に使用される表示装置130の電力消費量は、元の表示情報を表示する時に使用される電力消費量よりも低くなる。
【0030】
表示情報は、画像または画像記述子のうち少なくとも1つを含む。そのため、1つまたはそれ以上の実施形態において、省電力変換モデルは、対応する画像変換モデル、対応する画像記述子変換モデル、またはその両方を含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、画像変換モデルは、さらに、輝度低減(brightness reduction)モデル、色変換(color conversion)モデル、またはその両方のうちの1つまたはそれ以上を含む。1つまたはそれ以上の実施形態において、画像記述子変換モデルは、さらに、色テーマ変換(color theme conversion)モデル、画像記述子調光(image descriptor dimming)モデル、画像記述子サイズ変更(image descriptor resizing)モデル、画像記述子除去(image descriptor removing)モデル、またはこれらのモデルの組み合わせのうちの1つまたはそれ以上を含む。これらのモデルは、表示情報を変換するためのいろいろな演算法を含む。
【0031】
図4は、図3のステップ330の詳細なフローチャートであり、上述した変換モデルのうちの1つまたはそれ以上を使用したものである。まず、省電力変換モデルが表示情報を循環的に解析する(ステップ410)。それから、表示情報が画像または画像記述子を含むか否かを決定する(ステップ415)。表示情報が画像を含んでいる時、画像変換モデルを用いて画像中の1つまたはそれ以上の画素を変更する(ステップ420)。更に詳しく説明すると、輝度低減モデルを用いて電力消費量を減らすことによって、画素輝度(例えば、図2のサブ画素値)を減らす(ステップ425)。
【0032】
代わりに、またはさらに、色変換モデルを用いて、画素カラーを省電力カラーに変換する(ステップ425)。省電力カラーは、電力消費モデルに基づいて、変更される画素カラーよりも低い表示電力を要求する。例えば、図2に示したように、青色は緑色や赤色よりも多くの表示電力を必要とするため、画素カラーを緑色または赤色に向かってシフトさせ、青色から離すことによって、電力消費量を減らすことができる。注意すべきこととして、赤や緑が他の原色よりも多くの表示電力を必要とする異なる表示装置の場合は、色変換モデルに基づいて、画素カラーを赤色または緑色から離れるようにシフトさせる。
【0033】
図5A図5B図6Aおよび図6Bに示した例において、図5Aの元の画像は、図6Aに示すように、電力消費量の低い色を有する画像に変換される。図5Bは、図5Aの元の画像の色ヒストグラム(color histogram)を示し、図6Bは、図6Aの変換された画像の色ヒストグラムを示す。図5Bおよび図6Bに示すように、図5Aの元の画像の色をより暗い端に向かってシフトさせて、図6Aの変換された画像を得る。この例において、図5Aの元の画像の表示には2110mWが消費されるが、図6Aの変換された画像の表示には931mWしか消費されない。
【0034】
次に、表示装置130の電力消費モデルを用いて、変換された表示情報の電力消費量が、ユーザーによって指定された、または予め定められた省電力要求を満たしているか否かをプロセッサ122で計算する(ステップ430)。例えば、変換された表示情報が所定の割合(例えば、元の表示情報の約20%の電力消費量)を節約しているとプロキシサーバー120が判定した時、要求は満たされる。変換された表示情報が省電力要求を満たしていない場合、ステップ420を再度実行し、画像変換モデルを用いて表示情報をさらに変換する。例えば、画素輝度をさらに減らしたり、あるいは画素カラーを電力消費量の低い色(例えば、赤または緑)にシフトさせる。一方、変換された表示情報が省電力要求を満たしている時、省電力画像が表示装置130に出力される(ステップ435)。次に、ステップ410に戻って、表示情報の解析を継続する。
【0035】
ステップ415において、表示情報が画像記述子を含んでいると判定された場合、画像記述子変換モデルを用いて、画像記述子の内容を変換する(ステップ440)。詳しく説明すると、色テーマ変換モデルを用いて、画像記述子によって定義された最初の色テーマを省電力色テーマに変換する(ステップ445)。省電力色テーマは、電力消費モデルに基づいて、元の色テーマよりも低い表示電力を要求する。現在主流のアプリケーション・プログラムのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)およびウェブページは、明るい背景と暗い前景の色テーマ、つまり、白い背景の上に黒い文字を提供する。全体の表示情報が高い輝度を表示するため、より多くの電力が消費される。例えば、図7および図8に示すように、本発明の1つの実施形態において、アプリケーション・プログラムのテキスト表示は、図7の白い背景および黒い文字から、図8の黒い背景および灰色の文字に変換される。黒い背景は電力をほとんど消費しないため、このように変換することによって、白い背景と比べて多くの電力を節約することができる。
【0036】
代わりに、またはさらに、ステップ445で画像記述子調光モデルを用いて、画像記述子によって定義された輝度を減らす。例えば、図9および図10に示すように、ウェブページにおいて、明るい色の背景を生成するマークアップ言語コードの一部を暗い色の背景を生成する新しいコードに変換する。
【0037】
代わりに、またはさらに、ステップ445で画像記述子サイズ変更モデルを用いて、ウェブページのタイトルや写真等の画像記述子によって定義された表示サイズを減らす。
【0038】
代わりに、またはさらに、ステップ445で画像記述子除去モデルを用いて、広告を生成するコードの一部等の画像記述子を取り除く。このようにして、発光する画素の数を減らすことによって、表示装置130の電力消費量も減らすことができる。
【0039】
その後、表示装置130の電力消費モデルを用いて、変換された表示情報が、ユーザーによって指定された、または予め定められた省電力要求を満たしているか否かをプロセッサ122で計算する(ステップ450)。変換された表示情報が省電力要求を満たしていない場合、ステップ440を実行し、画像記述子変換モデルを用いて表示情報をさらに変換する。一方、変換された表示情報が省電力要求を満たしている時、省電力画像記述子が表示装置130に出力される(ステップ455)。次に、ステップ410に戻って、表示情報の解析を継続する。
【0040】
いくつかの実施形態において、プロキシサーバー120の記憶装置124は、1つまたはそれ以上の省電力変換モデルを記憶する。1つまたはそれ以上の実施形態において、これらの省電力変換モデルは、プロキシサーバー120の製造業者、プロバイダー、設計者または管理者や、表示装置130の製造業者、表示装置130のユーザー、あるいはその代わりに、またはさらに、表示装置130または他の画素自発光装置を使用したことのある他のユーザーによって提供される。いくつかの実施形態において、ユーザーは、全ての省電力変換モデルから最適な省電力変換モデルを選択する、あるいは、既存の省電力変換モデルを自分の必要に合わせてカスタマイズすることができる。
【0041】
再度注意すべきこととして、図1に示したプロキシサーバー120は、ハードウェア機器として用いるが、いくつかの実施形態において、プロキシサーバー120は、サーバー110、表示装置130または他のミドルボックス等のハードウェア機器に存在するソフトウェアとして用いる。さらなる実施形態において、サーバー110、表示装置130または他のミドルボックス等のコンピュータが上述したプロキシサーバー120として機能するよう、コンピュータ実行可能命令を内蔵したCD、DVD、フラッシュドライブ(flash drive)、メモリーカード、または外付けハードドライブ等のコンピュータ読取可能媒体を含む。コンピュータ読取可能媒体は、物理的記憶媒体(physical storage medium)を備え、プロセッサで実行または解釈するために用いる命令の中の1つまたはそれ以上のセットを記憶する。
【0042】
上述した表示情報変換システムおよびプロキシサーバーは、OLEDディスプレイ等の自発光表示装置の電力消費量を減らすことができる。プロキシサーバーは、複数のサーバーや複数のユーザーからの表示情報を処理することができるため、ユーザーは、アプリケーション・プログラムやウェブページのソースコードを1つ1つ変更したり、あるいは全てのウェブブラウザー(web browser)に用いるプラグイン(plug-in)をインストールしたりする必要がない。
【0043】
いくつかの実施形態において、表示情報を変換する時に消費される演算資源(operation resource)および電力は、表示装置130よりもプロキシサーバーによって管理されるため、表示装置130は、表示情報を変換するために追加の資源や電力を消費する必要がない。
【0044】
いくつかの実施形態において、プロキシサーバーは、変換された表示情報を一時的に保存するため、表示情報は要求された最初の時しか変換されない。表示情報が後で要求された時、プロキシサーバーは代わりに変換された表示情報を送り出す。そのため、システム全体の効率を上げることができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、アプリケーション・プログラムはウェブベース(web-based)であり、ユーザー側よりもインターネット・アプリケーション・サーバーで作動するため、アプリケーション・サーバーとユーザー側の間に上述したプロキシサーバーを配置することによって、全てのアプリケーション・プログラムのユーザーインターフェースを一斉に変換することができ、それによって、全てのユーザーの電力消費量を減らすことができる。また、クラウドコンピューティング(cloud computing)が現在の趨勢として急速に普及しているため、将来、アプリケーション・プログラムがユーザー側からインターネット・アプリケーション・サーバーに変わった場合、アプリケーション・サーバーとユーザー側の間に上述したプロキシサーバーを配置することによって、全てのアプリケーション・プログラムのユーザーインターフェースを一斉に変換することができ、それによって、全てのユーザーの電力消費量を減らすことができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、自発光表示装置の電力消費モデルは、表示装置の製造業者またはユーザーによって提供されるため、プロキシサーバーは、市場の異なる表示装置をサポートすることができる。ユーザーに快適な視覚を提供するために、表示パネルの特性とユーザーによって提供された異なる省電力変換モデルに基づいて、様々な実施形態において、異なる処理技術を適用する。また、各ユーザーが選択または編集できるよう、様々な実施形態において、異なる省電力変換モデルを提供する。
【0047】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0048】
110 サーバー
120 プロキシサーバー
122 プロセッサ
124 記憶装置
130 表示装置
210 赤サブ画素の電力消費曲線
220 緑サブ画素の電力消費曲線
230 青サブ画素の電力消費曲線
310〜350、410〜455 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10