(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技場に設置される遊技機としてスロットマシン(回胴式遊技機)が知られている。
スロットマシンは、遊技者が遊技媒体を投入してスタートレバーを操作することにより、所定の図柄を表示した複数(通常は3個)のリールが回転を開始し、各リールに対応した複数のストップボタンを任意のタイミングで押下することで回転停止装置が作動して回転するリールが停止し、停止したリールの図柄の配列に応じて所定数の遊技媒体が払い出されるという遊技機である。
【0003】
このスロットマシンにおいては、リール図柄が既定の配列になるなど所定の条件が成立することで、通常行われる遊技状態から、遊技者にとって有利な遊技状態に移行するようになっている。
この遊技者にとって有利な遊技状態には、特定遊技と、この特定遊技とは内容の異なる特別遊技がある。
【0004】
特定遊技とは、スロットマシンの内部で行われる抽せんの結果、所定の内容に当せんすると、そのゲーム又は次回以降のゲームで所定条件が成立することで特定遊技状態が開始し、通常遊技とは異なる制御で一回又は複数回のゲームが行われ、ある条件が成立することでその特定遊技状態が終了するというものである。
例えば、いわゆる「ボーナスゲーム」と呼ばれる、遊技者に有利な特定遊技状態が知られている。このボーナスゲームには、例えば、レギュラーボーナスゲーム(RB)やビッグボーナスゲーム(BB)などがある。
【0005】
ここで、RBに入賞すると、出玉の上限値で規定されたボーナスゲームの制御が行われ、そのボーナスゲーム中は、少量の払出のある小役や大量の払出のある所定の図柄配列が連続して揃うように抽せん及びリールの制御が行われ、例えば百枚以上の遊技媒体が払い出されるようになっている。
また、BBに入賞すると、出玉の上限値で規定されたボーナスゲームの制御が行われ、例えば、数百枚の大量の遊技媒体が払い出されるようにゲームが制御される。
【0006】
一方、特別遊技とは、特定遊技とは異なる内容で行われる、遊技者にとって有利な遊技状態であり、例えば、アシストリプレイタイム(ART)がある。
ARTは、メダルを投入することなく行うことが可能な次回のゲーム(再遊技(リプレイ))に当せんする確率が、通常遊技状態におけるリプレイの確率に比べて高い遊技状態であり、所定の入賞役(例えば、小役)に入賞するようにストップボタンの押し順の報知や目押しの指標となる図柄の報知のある遊技状態である。
【0007】
具体的には、ARTは、通常遊技状態又はART準備状態(後述)において、所定の確率で所定の特別入賞役(例えば、リプレイ−リプレイ−ブドウの図柄の組合せなど)に入賞するとARTに突入し、所定の終了条件を満たしたとき(例えば、アシスト回数,ゲーム回数,遊技媒体獲得数などの設定値に達したとき、あるいは、特定遊技の当せん時、特定遊技の入賞時など)に終了する。
このARTを搭載することにより、特定遊技状態で多くの遊技媒体を獲得した遊技者が、ARTによりさらに上乗せして遊技媒体の獲得枚数を増やせるので、一気に大量の遊技媒体の獲得を期待できる。
【0008】
なお、遊技者に対して小役等の入賞を促すために、ストップボタンのランプの点灯順を制御したり、液晶表示部の画像を制御し、目押しの指標となる図柄を表示したりする機能をアシスト機能(あるいは、「ナビゲーション機能」又は単に「ナビ」)といい、この機能が実行されている状態をアシストタイム(AT)という。
また、単にリプレイの当せん確率を通常遊技状態におけるリプレイの当せん確率よりも高くして、リプレイに当せん及び入賞しやすくした状態をリプレイタイム(RT)という遊技状態もある。
ARTは、これらATとRTとを組み合わせた遊技状態である。
【0009】
このようなARTには、そのゲームの始まりに先立ち、数ゲームに亘るART準備状態が存在する。具体的には、ART準備状態は、ARTへの移行が確定している通常遊技状態であって、特定図柄の停止により、ARTも突入可能な状態をいう。
すなわち、ART準備状態とは、ART突入前のART潜伏状態であって、スロットマシンの仕様によっては、ART準備状態を経ることなく直接ARTに突入する場合もあるが、ほとんどのARTがART準備状態を経てから突入するようになっている。
【0010】
このように、スロットマシンにおいては、特定遊技状態だけでなく、特別遊技状態やART準備状態も実行可能にしてゲーム性を高めているものが多い。
【0011】
ところで、スロットマシンにおいて遊技が行なわれると、この遊技に関するデータが外部出力信号として出力される。
外部出力信号には、例えば、メダル投入信号、メダル払出信号、BB信号、RB信号などがあり、これらは、ホールコンピュータと呼ばれる管理装置に入力され、遊技に関するデータの算出に用いられる。
また、ATを実行可能なスロットマシンの中には、AT信号を出力するものがあり(例えば、特許文献1参照。)、このAT信号を入力することにより、ホールコンピュータは、AT突入率やAT状態中のメダル払出数などを算出して、AT状態をスロットマシンごとに把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る遊技場装置及び遊技場システムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
[遊技場装置及び遊技場システム]
まず、本発明の遊技場装置及び遊技場システムの実施形態について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態の遊技場システムの構成を示す概略図である。
同図に示すように、遊技場システム1は、複数のスロットマシン10と、これらスロットマシン10毎に設けられた呼出しランプ20と、この呼出しランプ20に接続された複数の台コンピュータ30と、スロットマシン10の島単位に設けられた複数の島コンピュータ40と、これら島コンピュータ40に接続されたホールコンピュータ50とを備えている。
【0023】
スロットマシン10は、パチスロ機とも呼ばれる遊技機であり、遊技場に複数設置されている。具体的には、スロットマシン10は、
図1に示すように、複数のスロットマシン10が所定数単位でまとめられた、いわゆる「島」単位で設置されており、遊技場内に複数の遊技機島が並列されるようになっている。
【0024】
また、スロットマシン10は、遊技者にとって有利なゲーム状態である特定遊技状態と、この特定遊技状態とは異なる内容で実行される、遊技者にとって有利なゲーム状態である特別遊技状態と、これら特定遊技状態及び特別遊技状態以外の遊技状態である通常遊技状態と、特別遊技状態への移行が確定している通常遊技状態であるART準備状態とを実行する。
なお、これら特定遊技状態、特別遊技状態、通常遊技状態、ART準備状態については、既に詳述しているので、ここでの説明は、省略する。
また、ART準備状態は、特別遊技状態への移行が確定している通常遊技状態であることから、「入賞準備状態」に相当する。
【0025】
さらに、スロットマシン10は、
図2に示すように、外部出力信号(シリアル信号)を生成する信号生成部11と、それら外部出力信号を呼出しランプ20へ送信する通信部12とを備えている。
信号生成部11は、スロットマシン10の遊技媒体となるメダルの投入数を示すメダル投入信号と、入賞メダルの払出数を示すメダル払出信号と、現在の遊技状態が特定遊技状態であることを示すBB信号と、ART(特別遊技状態)が開始したことを示すART信号の四つの状態信号を外部出力信号として生成して通信部12へ送る。
【0026】
これらのうち、ART信号は、特別入賞役に入賞したタイミングで生成されて出力される。
このART信号の出力タイミングについて、
図3を参照して説明する。
同図に示すように、遊技者によりスロットマシン10のメダル投入口(このメダル投入口を含むスロットマシン10の構成については、図面上では指示せず)に遊技媒体が投入されてスタートレバーが操作されると(「スタートレバーON」、
図3のS01)、所定の図柄を表示した複数(ここでは3個)のリールが回転を開始する。このリールの回転開始後、遊技者により、複数(ここでは3個)のストップボタンのうちの一つが押されると、このストップボタンに対応したリールの回転が停止する(「1停」、S02)。次いで、遊技者により、他の一のストップボタンが押されると、このストップボタンに対応したリールの回転が停止する(「2停」、S03)。さらに、遊技者により、残りのストップボタンが押されると、このストップボタンに対応したリールの回転が停止する(「3停」、S04)。そして、これら停止したリールの図柄の配列が特別入賞役に対応する図柄の組合せであるか否かが判断され、特別入賞役であるときは、ARTに入賞したとして、ART信号が出力されて(S05)、特別遊技状態に移行する。
【0027】
なお、ART信号は、特別遊技状態が開始したことを示すトリガとして1パルスで出力される。このため、ART信号の出力時間(パルス幅)は、
図3に示すように、1パルスを出力するのに要する時間に相当する。これは、1ゲームに要する時間よりもはるかに短い。
また、特定遊技状態が終了すると必ず特別遊技状態に移行するときは、特別遊技状態における最初のゲームでのスタートレバーの操作前又は操作の際に、ART信号が出力される。
さらに、ART信号は、特別遊技状態が開始したことを示す信号であることから、「特別遊技状態開始信号」に相当する。
【0028】
また、信号生成部11は、BB信号に代えてBB+RB信号を生成することもできる。BB+RB信号は、ビッグボーナス状態とレギュラーボーナス状態の二つのボーナス遊技状態を示す信号であって、それらボーナス遊技の種類を区別することなく一のシリアル信号として生成され、スロットマシン10から出力されるものである。
【0029】
通信部12は、外部出力端子13を有しており、信号生成部11から受けた外部出力信号を、外部出力端子13から出力して、呼出しランプ20へ送信する。
なお、通信部12の外部出力端子13と呼出しランプ20との間には、信号線14が接続されており、外部出力信号を通すようになっている。
【0030】
このように、各スロットマシン10の外部出力端子13から出力される外部出力信号は、
図2に示すように、対応する呼出しランプ20に送信され、さらに、台コンピュータ30及び島コンピュータ40を介してホールコンピュータ50に送信されるようになっている。
なお、スロットマシン10は、前述した構成以外の構成については、通常のスロットマシンと同様の構成、機能を備えており、遊技媒体となるメダルを使用した遊技の内容や方法も既存のスロットマシン遊技機と同様のものとなっている。
【0031】
呼出しランプ20は、スロットマシン10の上方あるいは側方に設けられており、電球やLEDなどを点灯又は点滅させることで、大当りの入賞などを遊技者に告知する発光装飾器具である。
また、呼出しランプ20は、例えば、大当り回数、ゲーム回数などの遊技に関するデータを液晶表示部に表示する機能を備えている。さらに、呼出しランプ20は、スロットマシン10から出力された外部出力信号を受信して、台コンピュータ30へ送信する機能も有している。
【0032】
台コンピュータ30は、一又は二以上のスロットマシン10に対して設けられた信号中継装置であって、
図4に示すように、通信部(通信手段)31と、記憶部(記憶手段)32と、判定部(判定手段)33と、演算部(演算手段)34と、制御部35とを有している。
通信部31は、呼出しランプ20や島コンピュータ40に接続されており、これら呼出しランプ20や島コンピュータ40との間で所定の信号(データ)を送受信する。例えば、通信部31は、スロットマシン10から出力された外部出力信号を受信する。また、通信部31は、ホールコンピュータ50から出力されたARTの設定ゲーム回数やART準備状態の設定準備ゲーム回数などのARTに関する設定値(後述)を受信する。さらに、通信部31は、演算部34で算出された遊技情報をホールコンピュータ50へ送信する。
なお、通信部31は、スロットマシン10から出力された外部出力信号を、呼出しランプ20を介さず、スロットマシン10から直接受信することもできる。
【0033】
記憶部32は、台コンピュータ30の有する各種機能を実行するためのプログラムやデータ、通信部31で受信された信号の示すデータなどを記憶する。この記憶部32が記憶するデータとしては、例えば、ARTに関する設定値(後述)、外部出力信号の示す遊技情報、外部出力信号にもとづき算出された遊技情報、ブロック(後述)の設定範囲などがある。
【0034】
判定部33は、ゲーム回数のカウント、スロットマシン10における現在の遊技状態の判定、ART入賞フラグやART準備状態フラグのON・OFF処理、ブロックの設定処理などを実行する。これら判定部33が実行する各処理の内容については、後記の「遊技情報算出方法」で詳述する。
演算部34は、外部出力信号にもとづいて遊技情報を算出する。また、演算部34は、ゲームごとの遊技情報、遊技状態ごとの遊技情報、ブロックにおける遊技情報を算出する。さらに、演算部34は、算出した遊技情報を履歴として記憶部32に記憶させる。
【0035】
制御部35は、例えば、CPUにより構成することができ、記憶部32に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、台コンピュータ30の構成各部に指令を送り、又は自ら動作して、台コンピュータ30の有する各種機能を実行・制御する。
【0036】
島コンピュータ40は、スロットマシン10の島ごとに設けられており、台コンピュータ30から送られてきた信号を受信し、この信号に対して所定の処理を行い、ホールコンピュータ50の要求に応じて、その処理後の信号をホールコンピュータ50に送信する。
また、島コンピュータ40は、ホールコンピュータ50から送られてきたデータを台コンピュータ30へ送ることができる。
【0037】
ホールコンピュータ(管理装置)50は、スロットマシン10からの外部出力信号を、呼出しランプ20等を介して受信し、その集計を行うデータ集計用のコンピュータであり、通常、遊技場の管理者が操作可能な場所、例えば、カウンタ奥の管理室等に設置されている。
このホールコンピュータ50は、
図5に示すように、通信部51と、記憶部52と、入力操作部53と、出力表示部54と、制御部55とを有している。
【0038】
通信部51は、島コンピュータ40に接続されており、所定の信号を送受信する。例えば、通信部51は、台コンピュータ30から送信されてきた遊技情報を受信する。また、通信部51は、ARTの設定ゲーム回数や、ART準備状態の設定準備ゲーム回数を、島コンピュータ40を介して台コンピュータ30へ送信する。
記憶部52は、例えば、ROM、RAM、HDDなどで構成することができ、ホールコンピュータ50の有する各種機能を実行するためのプログラムやデータを記憶する。この記憶部52が記憶するデータとしては、例えば、ARTの設定ゲーム回数、ART準備状態の設定準備ゲーム回数などがある。
【0039】
また、記憶部52は、遊技情報データベースを記憶する。
遊技情報データベースは、各スロットマシン10ごと(あるいは、スロットマシン10の機種ごと、フロアごと、遊技場ごとなど)に集計管理されるデータ群であって、
図6に示すように、「番号」、「BB回数」、「RB回数」、「ART回数」、「準備状態回数」、「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」、「ブロック差枚数」などを項目として構成することができる。
ここで、「番号」は、各遊技状態ごとに付されたシリアル番号を示す。例えば、遊技状態が、「ART」→「ART準備状態」→「BB」→「ART準備状態」のように推移したときは、「ART」に番号「1」、「ART準備状態」に番号「2」、「BB」に番号「3」、「ART準備状態」に番号「4」がそれぞれ付される。よって、「BB回数」〜「差枚数」の各データは、各遊技状態ごとのデータを示す。
なお、
図6に示す遊技情報データベースは、特賞出玉履歴を算出するためのデータベースであるため、通常遊技状態に関する遊技情報は、含まれていない。ただし、通常遊技状態に関する遊技情報を含めた遊技情報データベースを作成することもできる。
【0040】
「BB回数」は、BBの入賞回数を示す。
「RB回数」は、RBの入賞回数を示す。
「ART回数」は、ARTの入賞回数を示す。
「準備状態回数」は、ART準備状態への移行回数を示す。
「投入枚数」は、遊技者がスロットマシン10に投入した遊技媒体の数量を示す。
「払出枚数」は、所定の入賞役の入賞などにともなって払い出された遊技媒体の数量を示す。
「差枚数」は、「投入枚数」と「払出枚数」との差分の枚数を示す。
「ブロック差枚数」は、ブロックごとの差枚数を示す。なお、ブロックについては、後記の「遊技情報算出方法」の「(2)遊技状態ごと及びブロックごとの遊技情報の算出処理」にて詳述する。
なお、この遊技情報データベースは、台コンピュータ30の記憶部32が記憶することもできる。
【0041】
入力操作部53は、例えば、キーボードやマウスなどで構成されており、遊技場の従業員等が操作することにより、所定のデータや指示、命令などを選択・入力できるようになっている。この入力操作部53を操作して入力されるデータには、ARTの設定ゲーム回数やART準備状態の設定準備ゲーム回数などが含まれる。
【0042】
出力表示部54は、例えば、液晶ディスプレイなどで構成することができ、遊技場の従業員等による入力操作部53の操作の内容にもとづいて、所定のデータを表示する。
この出力表示部54は、例えば、
図6に示す遊技情報データベースを構成するデータや、
図7に示す条件設定画面を表示することができる。
条件設定画面は、ARTのゲーム回数やART準備状態のゲーム回数を入力し、それぞれ設定ゲーム回数、設定準備ゲーム回数として設定するための画面である。
具体的には、
図7に示すように、条件設定画面541は、ARTのゲーム回数を入力するARTゲーム回数入力部542と、ART準備状態のゲーム回数を入力するART準備ゲーム回数入力部543と、ARTゲーム回数入力部542に入力されたARTのゲーム回数を設定ゲーム回数として決定(設定)したり、ART準備ゲーム回数入力部543に入力されたART準備状態のゲーム回数を設定準備ゲーム回数として決定(設定)したりするための決定ボタン544と、一度決定(設定)された設定ゲーム回数又は設定準備ゲーム回数をキャンセルするためのキャンセルボタン545とを有している。
【0043】
この条件設定画面541を用いた設定ゲーム回数及び設定準備ゲーム回数の設定は、次のように行うことができる。
遊技場の管理者は、入力操作部53を操作して、出力表示部54に条件設定画面541を表示させると、ARTゲーム回数入力部542のテキストボックス(ウィジェット)にARTのゲーム回数を入力し、ART準備ゲーム回数入力部543のテキストボックスにART準備状態のゲーム回数を入力する。そして、決定ボタン544を押すことで、入力したARTのゲーム回数を設定ゲーム回数に、ART準備状態のゲーム回数を設定準備ゲーム回数に、それぞれ決定(設定)することができる。
【0044】
これら設定された設定ゲーム回数及び設定準備ゲーム回数は、記憶部52に記憶されるとともに、通信部51から台コンピュータ30へ送信され、台コンピュータ30の記憶部32に記憶される。
なお、
図7においては、一つの画面上に、ARTゲーム回数入力部542とART準備ゲーム回数入力部543の両方を表示する構成としてあるが、これに限るものではなく、ARTゲーム回数入力部542とART準備ゲーム回数入力部543を別の画面に表示させることもできる。
【0045】
制御部55は、例えば、CPUにより構成することができ、記憶部52に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、ホールコンピュータ50の構成各部に指令を送り、又は自ら動作して、ホールコンピュータ50の有する各種機能を実行・制御する。
また、制御部55は、外部出力信号にもとづいて算出した遊技情報や、台コンピュータ30から送信されてきた遊技情報を、遊技情報データベースとして記憶部52に記憶させる。
【0046】
なお、遊技場システム1が導入された遊技場には、
図1に示す各装置の他、例えば、遊技媒体を遊技者に貸出す遊技媒体の貸出機、遊技媒体の数量を計数する遊技媒体計数機、景品交換に関するデータを集計管理するPOS端末、遊技機や会員に関する情報を閲覧可能に表示する遊技データ表示装置など、遊技に関する各種装置を設置することができる。
【0047】
また、遊技場によっては、スロットマシン10以外の遊技機として、例えば、パチンコ機等が設置されることもあり、そのような遊技場においても、
図1に示したような本実施形態の遊技場システムを適用することができる。
さらに、本実施形態においては、呼出しランプ20、台コンピュータ30、島コンピュータ40、ホールコンピュータ50、その他遊技場システム1に接続可能な装置や機器を、「遊技場装置」というものとする。
【0048】
[遊技情報算出方法]
次に、本実施形態の遊技場システムが実行する遊技情報算出方法について、図面を参照して説明する。
なお、ここでは、遊技情報算出方法を、次の七つの項目に分けて説明する。
(1)遊技情報算出処理
(2)遊技状態ごと及びブロックごとの遊技情報の算出処理
(3)ART中遊技情報算出処理
(4)準備状態中遊技情報算出処理
(5)履歴作成処理
(6)ブロック判定処理
(7)遊技情報データベースの作成の具体例
【0049】
(1)遊技情報算出処理
遊技情報算出処理は、遊技情報の算出の手順を大枠で示したものである。
この遊技情報算出処理について、
図8を参照して説明する。
同図は、台コンピュータ30にて実行される遊技情報算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
スロットマシン10においてゲームが進行すると、これにともなって、外部出力端子13から外部出力信号が出力される。
台コンピュータ30の通信部31にて外部出力信号が受信されると、演算部34にて、その外部出力信号にもとづいて、ゲームごとに所定の遊技情報が算出される(ステップ10)。
次いで、スロットマシン10での遊技状態が他の遊技状態に移行したものと、判定部33で判定されると、演算部34は、移行前の遊技状態に関する遊技情報を、ゲームごとに算出した遊技情報を用いて算出する(遊技状態ごとに遊技情報を算出、ステップ11)。
【0051】
続いて、判定部33は、ARTの実行期間を一のブロックとして設定する(ステップ12)。また、判定部33は、通信部31でART信号(又はBB信号)が受信されると、そのART信号により開始されたARTの実行期間を示すブロック(又は、そのBB信号の受信期間)が、過去直近のブロックと連結すべきものか否かを判定し、連結すべきものと判定したときは、それら二つのブロック(又は、ARTのブロックとBB信号の受信期間)を連結し、一のブロックとして設定する。
なお、ブロック及びブロックの設定については、後記の「(2)遊技状態ごと及びブロックごとの遊技情報の算出処理」において説明する。
【0052】
さらに、演算部34は、そのブロックの示すゲーム区分における遊技情報を、遊技状態ごとに算出された遊技情報を用いて算出する(ブロックにおける遊技情報を算出、ステップ13)。
そして、演算部34は、それら算出した遊技情報を、履歴として遊技情報データベースに登録する(履歴の作成、ステップ14)。
【0053】
この遊技情報算出処理を実行することにより、台コンピュータ30は、遊技情報を、ゲームごと、遊技状態ごと、ブロックごとに算出することができる。
この遊技情報算出処理のうち、ステップ11〜ステップ13の処理が本発明の特徴となる処理である。これらステップ11〜ステップ13の処理について、次の(2)において、さらに説明する。
【0054】
(2)遊技状態ごと及びブロックごとの遊技情報の算出処理
(1)で説明した
図8のステップ11〜ステップ13について、
図9を参照して、さらに説明する。
【0055】
まず、
図8のステップ11は、遊技状態ごとに遊技情報を算出する処理である。
例えば、
図9(a)に示すように、遊技状態が、通常遊技状態→ART準備状態1→ART1→ART準備状態2→ART2→ART準備状態3→通常遊技状態のように移行したものとすると、ステップ11においては、それら「通常遊技状態」、「ART準備状態1」、「ART1」、「ART準備状態2」、「ART2」、「ART準備状態3」、「通常遊技状態」の各遊技状態について、遊技情報が算出される(同図(b))。
ここで、ART1は、ART準備状態1の実行中に入賞して移行したものである。また、ART2は、ART準備状態2の実行中に入賞して移行したものである。
さらに、ART準備状態1とART準備状態3については、説明の便宜上、同図(b)にて、これらART準備状態1とART準備状態3の遊技情報を算出するように図示しているが、後述する「(5)履歴作成処理」を実行することにより、通常遊技状態の遊技情報として算出される(同図(e))。
【0056】
このステップ11の処理のうち、ART1やART2に関する遊技情報を算出する処理については、「(3)ART中遊技情報算出処理」においてさらに説明する。
また、このステップ11の処理のうち、ART準備状態1、ART準備状態2、ART準備状態3に関する遊技情報を算出する処理については、「(4)準備状態中遊技情報算出処理」及び「(5)履歴作成処理」においてさらに説明する。
【0057】
次に、
図8のステップ12は、ブロックを設定する処理である。
例えば、
図9(a)に示すように遊技状態が移行したものとすると、ステップ12においては、「ART1」の実行期間と、「ART2」の実行期間に対して、ブロックが設定される(同図(c))。
そして、判定部34にて、一のブロックが過去直近のブロックと連結すべきものか否かが判断され、連結すべきものと判断されたときは、それら二つのブロックが連結され、一のブロックとして設定される(同図(d))。
【0058】
ここで、ブロックとは、一又は二以上の遊技状態を一つのまとまりとして遊技情報を算出する際の、このまとまりを表すためのゲーム区分をいう。
例えば、同図(d)に示すブロックは、三つの遊技状態(ART1、ART準備状態2、ART2)に対して設定されたブロックであり、同図(e)においては、その(d)で設定されたブロックに属する三つの遊技状態のそれぞれの遊技情報を用いて(三つの遊技状態を一つのまとまりとして)、一連のARTの遊技情報が算出される。
このステップ12の処理については、「(6)ブロック判定処理」においてさらに説明する。
なお、ブロックは、ARTだけでなく、BBに対して設定することもできる。
【0059】
さらに、
図8のステップ13は、ブロックにおける遊技情報を算出する処理である。
例えば、
図9(a)に示すように遊技状態が移行し、同図(d)に示すようにブロックが設定されたものとすると、ステップ13においては、設定されたブロックに属する遊技状態の遊技情報を用いて、一連のARTの遊技情報が算出される(同図(e))。
なお、ブロックが設定されていない箇所については、ステップ11で算出された遊技状態ごとの遊技情報がそのまま用いられる。ただし、ART準備状態1、3については、前述したように、このART準備状態中の遊技情報が通常遊技状態の遊技情報として集計される(同図(e))。この処理については、「(5)履歴作成処理」においてさらに説明する。
【0060】
(3)ART中遊技情報算出処理
ART中遊技情報算出処理は、
図8のステップ10及びステップ11において実行される処理であり、ARTの実行期間を特定するとともに、このART中の各ゲームごとの遊技情報を算出し、ARTが終了すると、それら各ゲームごとの遊技情報を用いてARTに関する遊技情報を算出する処理である。
このART中遊技情報算出処理について、
図10を参照して説明する。
同図は、台コンピュータ30で実行されるART中遊技情報算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
台コンピュータ30の記憶部32は、ARTの設定ゲーム回数を予め記憶している(設定値の記憶、ステップ20)。
スロットマシン10にてゲームが進行し、ARTに入賞すると、スロットマシン10の外部出力端子13がART信号を出力する。
【0062】
台コンピュータ30の通信部31が、そのART信号を受信すると(ART入賞信号あり?、ステップ21)、判定部33は、ART入賞フラグをONにする(ステップ22)。ART入賞フラグとは、スロットマシン10における現在の遊技状態がARTであるか否かを示すフラグをいう。判定部33は、ART入賞フラグをONにしたことで、スロットマシン10における遊技状態がARTに突入したものと把握することができる。
【0063】
次いで、判定部33は、ART信号が通信部31で受信された後のゲームの回数をカウントする(ステップ23)。
このゲーム回数のカウントは、例えば、メダル投入信号を用いて行うことができる。メダル投入信号は、スロットマシン10にてメダルが投入されたときに外部入力端子13から出力される信号である。このメダル投入信号は、メダルが投入されたときに出力されるのは勿論であるが、リプレイのようにメダルが投入されずにゲームが行われる場合にも出力される(この場合は、このメダル投入信号が示すメダルの枚数と同じ枚数のメダル払出枚数を示すメダル払出信号が出力される)。しかも、メダル投入信号は、スロットマシン10のスタートレバー(図示せず)が操作されたときに出力される。このため、メダル投入信号の受信回数をカウントすることによってゲーム回数を把握することができる。
【0064】
続いて、判定部33は、スロットマシン10の現在の遊技状態がART中であるか否かを判定する(設定ARTゲーム中?、ステップ24)。この判定は、ステップ23でカウントされた結果である実行ゲーム回数と、記憶部32から取り出した設定ゲーム回数とを比較することにより行われる。
判定の結果、実行ゲーム回数が設定ゲーム回数よりも少ないときは、判定部33は、スロットマシン10にて現在の遊技状態がART中であるものと判定する。この場合、演算部34は、ゲームごとに、メダル投入信号にもとづいて投入枚数を算出し(ステップ25)、メダル払出信号にもとづいて払出枚数を算出し(ステップ26)、払出枚数と投入枚数との差として差枚数を算出する(ステップ27)。これら算出された投入枚数、払出枚数、差枚数は、記憶部32に記憶される。そして、ゲームごとに、ステップ23以降の処理が実行される。
【0065】
一方、実行ゲーム回数が設定ゲーム回数と同数かあるいは多いときは、判定部33は、スロットマシン10にてARTが終了したものと判定する。この場合、判定部33は、ART入賞フラグをOFFにする(ステップ28)。
そして、演算部34は、ART入賞フラグがONにされてからOFFにされるまでの間に算出されたゲームごとの投入枚数等の遊技情報を累計してARTに関する遊技情報とし(ステップ29)、遊技情報の履歴を作成し、記憶部32に記憶させる(ステップ30)。
なお、ART中にBBに入賞した場合は、ステップ24において「No」と判断し、ステップ28以降の処理を実行する。
【0066】
このART中遊技情報算出処理を実行することにより、予め入力設定された設定ゲーム回数を用いて、スロットマシンにおける現在の遊技状態がARTであるか否かを判断することができる。すなわち、ART信号の出力後に実行されたゲームのうち、設定ゲーム回数に達するまでに実行されたゲーム(あるいは、実行ゲーム回数が設定ゲーム回数に達するまでにBB信号が出力されたときは、このBB信号が出力されるまでのゲーム)をART中のゲームとし、この間をARTの実行期間として特定することができる。よって、このART中に算出された遊技情報を、ARTに関する遊技情報として集計することができる。
しかも、スロットマシンがART信号をごく短い時間しか出力しない場合でも、このART中遊技情報算出処理を実行することにより、ARTの実行期間を特定できる。よって、
図16に示した場合においても、ARTの実行期間中の遊技情報を、ARTの遊技情報として算出することができる。
【0067】
(4)準備状態中遊技情報算出処理
準備状態中遊技情報算出処理は、
図8のステップ10及びステップ11において実行される処理であり、ART準備状態の実行期間を特定するとともに、このART準備状態中の各ゲームごとの遊技情報を算出し、ART準備状態が終了すると、それら各ゲームごとの遊技情報を用いてART準備状態又は通常遊技状態に関する遊技情報を算出する処理である。
この準備状態中遊技情報算出処理について、
図11を参照して説明する。
同図は、台コンピュータ30において実行される準備状態中遊技情報算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
台コンピュータ30の記憶部32は、ART準備状態の設定準備ゲーム回数を予め記憶している(設定値の記憶、ステップ40)。
判定部33は、スロットマシン10にてART又はBBが終了したか否かを判断する(ステップ41)。この判断は、ARTについては、ART入賞フラグを用いて、また、BBについては、BB信号を用いて判断することができる。例えば、ART入賞フラグがOFFにされたときには、ARTが終了したものと判断できる。また、BB信号の出力が終了したときには、BBが終了したものと判断できる。
【0069】
判断の結果、スロットマシン10にてART又はBBが終了したときは、判定部33は、ART準備状態フラグをONにする(ステップ42)。ART準備状態フラグとは、スロットマシン10における現在の遊技状態がART準備状態であるか否かを示すフラグをいう。判定部33は、ART準備状態フラグをONにしたことで、スロットマシン10における遊技状態がART準備状態に移行したものと把握することができる。
【0070】
次いで、判定部33は、ART又はBBが終了した後のゲームの回数をカウントする(ステップ43)。
このゲーム回数のカウントは、
図10のステップ23と同様、メダル投入信号を用いて行うことができる。
【0071】
続いて、判定部33は、スロットマシン10の現在の遊技状態がART準備状態中であるか否かを判定する(ステップ44)。この判定は、ステップ43でカウントされた結果である実行ゲーム回数と、記憶部32から取り出した設定準備ゲーム回数とを比較することにより行われる。
判定の結果、実行ゲーム回数が設定準備ゲーム回数よりも少ないときは、判定部33は、スロットマシン10にて現在の遊技状態がART準備状態中であるものと判定する。この場合、演算部34は、ゲームごとに、投入枚数と払出枚数と差枚数を算出する(ステップ45〜ステップ47)。そして、ゲームごとに、ステップ43以降の処理が実行される。
【0072】
一方、実行ゲーム回数が設定準備ゲーム回数と同数かあるいは多いときは、判定部33は、スロットマシン10にてART準備状態が終了したものと判定する。この場合、判定部33は、ART準備状態フラグをOFFにする(ステップ48)。
そして、履歴作成処理が実行されて(ステップ49)、準備状態中遊技情報算出処理が終了する。
なお、ART準備状態中にART又はBBに入賞した場合は、ステップ44において「No」と判断し、ステップ48以降の処理を実行する。この場合を含む、ステップ49の内容については、後記の「(5)履歴作成処理」にて詳述する。
【0073】
この準備状態中遊技情報算出処理を実行することにより、予め入力設定された設定準備ゲーム回数を用いて、スロットマシンにおける現在の遊技状態がART準備状態であるか否かを判定することができる。そして、ART準備状態であると判定したときには、この間に算出した遊技情報をART準備状態に関する遊技情報(又は、(5)で説明する通常遊技状態に関する遊技情報)として集計することができる。
【0074】
なお、ART準備状態は、前述したように、ARTへの移行が確定している通常遊技状態であって、ARTの開始前において数ゲームに亘って存在するものであるが、ここで説明した準備状態中遊技情報算出処理では、ART又はBBの終了後から設定準備ゲーム回数分のゲームをART準備状態としている。この処理内容でもART準備状態の存否を判定できる理由は、次による。
ART準備状態は、前述したように、ARTへの移行が確定している通常遊技状態であって、特定図柄の停止によりARTに突入可能な状態、つまり、ART突入前のART潜伏状態をいう。
一方、ARTは、ART準備状態となる以前に行われる所定のART抽せんによりART実行の成否が決定されるものであり、例えば、ART抽せんは、通常遊技状態、ART中、ボーナスゲーム中などで行なわれる。
【0075】
ところが、遊技者は、短時間に集中して遊技媒体(出玉)が増加する遊技機(仕様)を好む傾向にあるため、ART同士を連チャンさせたり、ボーナスゲーム後にARTを発生させる必要があり、通常遊技状態における抽せんでは、ARTの当せん確率は低いものの、一回の当せんで、複数回に亘るARTをセットで当せんさせたり(例えば、一回の内部抽せんにより、ARTを3回1セットで当せんさせたり)、ART中又はボーナスゲーム中のART抽せんでは、通常遊技状態に比べてARTの当せん確率を高く設定し、ARTの連チャン性を高める傾向にある。
その結果、ART準備状態は、ARTに突入する前のみならず、ART終了後や、ボーナスゲーム終了後に発生することが多い。
このようなART準備状態は、遊技機外部からは、識別することができず、ARTが発生してはじめてその前の遊技区間がART準備状態だったということが識別できることから、ここで説明した準備状態中遊技情報算出処理及び後述する履歴作成処理においては、ART終了後又はボーナスゲーム終了後にART準備状態が存在するものと仮定し、所定ゲーム消化したにもかかわらず、ARTが発生しないときは、そのART終了後又はボーナスゲーム終了後の所定ゲームは、ART準備状態ではなく、単なる通常遊技状態であったものと判定するものである。
【0076】
(5)履歴作成処理
履歴作成処理は、ART準備状態中の各ゲームごとの遊技情報を、ART準備状態の遊技情報として集計するか、あるいは、通常遊技状態の遊技情報として集計するかを判定し、これらの履歴を作成する処理である。
図12に示すように、台コンピュータ30の判定部33は、ART準備状態中に、通信部31にてART信号又はBB信号が受信されたか否かを判断する(ステップ50)。
判断の結果、ART準備状態中にART信号又はBB信号が受信されたときは、そのART準備状態中の各ゲームごとの遊技情報を用いて、そのART準備状態に関する遊技情報を算出し、履歴を作成して記憶部32に記憶させる(ステップ51)。
【0077】
一方、ART準備状態中にART信号又はBB信号が受信されなかったときは、演算部34は、そのART準備状態に関する遊技情報を算出せずに、履歴作成処理を終了する。
なお、この場合、演算部34は、そのART準備状態中の各ゲームに関する遊技情報を通常遊技状態に関する遊技情報として算出し、履歴として記憶部32に記憶させることができる。
【0078】
この履歴作成処理を実行することにより、ARTやBBが連続して入賞した場合(連チャンした場合)に、この連チャンに関する遊技情報を算出するのに必要なART準備状態の遊技情報を求めることができる。
例えば、ARTやBBが連チャンした場合として、ART又はBBの終了後にART準備状態に移行し、このART準備状態中にART又はBBに入賞した場合が挙げられる。この場合、前者のART又はBBと、ART準備状態と、後者のART又はBBが、まとめて一のブロックとして設定される(
図9(d))。そして、前者のART又はBBの遊技情報と、ART準備状態の遊技情報と、後者のART又はBBの遊技情報とを用いて、その一のブロックの遊技情報が算出される(同図(e))。つまり、ART準備状態中にART又はBBに入賞した場合に、該ART準備状態の遊技情報を算出しておくことで、連チャンにかかるブロックの遊技情報を、その算出したART準備状態の遊技情報を用いて求めることができる。よって、この履歴作成処理を実行することにより、連チャンに関する遊技情報を算出するのに必要なART準備状態の遊技情報を求めることができる。
なお、通常遊技状態とARTとの間のART潜伏期間であるART準備状態については、この履歴作成処理を実行せず、該ART準備状態の遊技情報を通常遊技状態の遊技情報として算出する。
【0079】
(6)ブロック判定処理
ブロック判定処理は、ARTのブロックを設定するときに、このブロックが過去直近のブロックと連結して一のブロックとするか否かを判断する処理である。また、ブロック判定処理は、BB信号が出力されたときに、このBB信号の出力期間を過去直近のブロックと連結して一のブロックとするか否かを判断する処理である。
このブロック判定処理について、
図13を参照して説明する。
同図は、台コンピュータ30において実行されるブロック判定処理の手順を示すフローチャートである。
なお、このブロック判定処理は、後述するように、ART信号又はBB信号が受信されたときに実行される。そして、このブロック判定処理による判定結果が、
図8のステップ12を実行する際に採用される。
【0080】
図13に示すように、台コンピュータ30の判定部33は、通信部31にてART信号又はBB信号が受信されたか否かを判断する(ステップ60)。
判断の結果、通信部31にてART信号又はBB信号が受信されると、判定部33は、それらART信号又はBB信号が受信されたタイミングがART準備状態中であるか否かを判断する(ステップ61)。この判断は、ART準備状態フラグがONになっているか否を確認することで行うことができる。
【0081】
判断の結果、それらART信号又はBB信号が受信されたタイミングがART準備状態中であるとき(ART準備状態フラグがONのとき)は、判定部33は、そのART信号の出力により開始したARTの実行期間、又は、そのBB信号が出力されている期間を、過去直近のブロックと連結して一つのブロックとすべきであると判断し、該一のブロックを設定する(ステップ62)。
そして、演算部34は、その一のブロックに含まれる各遊技状態の遊技情報(ART信号の出力により開始したARTの遊技情報又はBB中の遊技情報と、これらART又はBBから見て過去直近のブロックに属する遊技状態の遊技情報と、ART又はBBの開始直前のART準備状態の遊技情報)を用いて、当該一のブロックにおける遊技情報を算出する。
【0082】
一方、ステップ61の判断において、それらART信号又はBB信号が受信されたタイミングがART準備状態中でないとき(ART準備状態フラグがOFFのとき)は、判定部33は、次いで、それらART信号又はBB信号のうちBB信号が受信されたタイミングがART中であるか否かを判断する(ステップ63)。この判断は、ART入賞フラグがONになっているか否を確認することで行うことができる。
判断の結果、そのBB信号が受信されたタイミングがART中であるとき(ART入賞フラグがONのとき)は、判定部33は、そのBB信号の出力期間と、このBBの開始直前のARTの二つの遊技状態に対して、一のブロックを設定する(ステップ62)。そして、演算部34は、それら二つの遊技状態における各遊技情報を用いて、当該一のブロックにおける遊技情報を算出する。
なお、ステップ63の処理においては、ART信号が受信されたタイミングについての判定は、行われない。これは、ART中に新たにARTに入賞してART信号が出力されることがないからである。
【0083】
一方、そのBB信号が受信されたタイミングがART中でないとき(ART入賞フラグがOFFのとき)は、ART信号の出力により開始したARTの実行期間、又は、そのBB信号が出力されている期間と、過去直近のブロックが、異なるブロックとして設定されるべきであるものと判断する(ステップ64)。
そして、演算部34は、そのART信号の出力により開始したARTの遊技情報又はBB中の遊技情報と、過去直近のブロックに属する遊技状態の遊技情報をそれぞれ別のブロックとして算出する。
【0084】
このブロック判定処理を実行することで、ARTに関する遊技情報、又は、BBに関する遊技情報が、過去直近のARTに関する遊技情報とともに同じブロックとしてまとめられるものか、あるいは、別のブロックとして扱われるものかを判断できる。このため、ARTやBBが連チャンした場合には、それらARTやBBを一のブロックにまとめて遊技情報を集計することができる。
なお、ステップ61でYesと判断される場合として、通常遊技状態からART準備状態に移行し、このART準備状態中にART又はBBに入賞する場合が挙げられる。ただし、この場合は、ART準備状態より以前に連結すべきブロックが存在しないため、ステップ61ではNoと判断され(準備状態中遊技情報算出処理が実行されないので、ART準備状態フラグがOFFとなっている)、ステップ64が実行されて、ARTに対してのみ単独でブロックが設定される。
【0085】
(7)遊技情報データベースの作成の具体例
スロットマシン10で実行されたゲームの経過にもとづいて遊技情報データベースを作成する手順について、
図6、
図14を参照して説明する。
図14は、スロットマシン10で実行されたゲームの経過の例を示すタイミングチャートである。
【0086】
図14に示すように、スロットマシン10において、ART信号(S71)が出力されてART(A71)が開始したものとする。このART(A71)が設定ゲーム回数(30G)を消化して終了し、ART準備状態に移行して、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化して終了したものとする。
この場合、ART信号(S71)が出力されてから、設定ゲーム回数分のゲームが終了するまでの間がART実行期間とされ、この期間にARTブロック(T71)が設定される。
また、ART(A71)は、ART準備状態中に入賞したものであるが、そのART準備状態より以前に連結すべきブロックが存在しないため、
図13のステップ61ではNoと判断され、ステップ64の処理が実行されて、ブロック(T71)は、連結を伴わずに単独で存在する。
そして、
図6に示す遊技情報データベースにおいては、ART(A71)に対して番号「1」が付され、「ART回数」が「1」とされる。また、そのART(A71)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」、「ブロック差枚数」がそれぞれ算出され、番号「1」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
【0087】
次いで、
図14に示すように、スロットマシン10において、ART準備状態中にART(A72)に入賞し、このART(A72)が開始してART信号(S72)が出力されたものとする。このART(A72)が設定ゲーム回数(30G)を消化して終了し、ART準備状態に移行して、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化して終了したものとする。
この場合、ART信号(S72)が出力されてから、設定ゲーム回数分のゲームが終了するまでの間がART実行期間とされ、この期間にARTブロック(T72)が設定される。
また、ART(A72)は、ART準備状態中に入賞したものであるが、そのART準備状態より以前に連結すべきブロックが存在しないため、
図13のステップ61ではNoと判断され、ステップ64の処理が実行されて、ブロック(T72)は、連結を伴わずに単独で存在する。
そして、
図6に示す遊技情報データベースにおいては、ART(A72)に対して番号「2」が付され、「ART回数」が「2」とされる。また、そのART(A72)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」、「ブロック差枚数」がそれぞれ算出され、番号「2」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
【0088】
続いて、
図14に示すように、スロットマシン10において、ART準備状態中にART(A73)に入賞し、このART(A73)が開始してART信号(S73)が出力され、このART(A73)が設定ゲーム回数(30G)を消化して終了し、ART準備状態に移行し、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化する前にBB(BB71)に入賞し、BB終了後にART準備状態に移行し、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化して終了し通常遊技状態に移行したものとする。
この場合、ART信号(S73)が出力されてから、設定ゲーム回数分のゲームが終了するまでの間がART実行期間とされ、この期間にARTブロックが設定される。また、BB(BB71)は、ART準備状態中に入賞したものであるため、
図13のステップ61ではYesと判断され、ステップ62の処理が実行されて、BB(BB71)に設定されるブロックが、過去直近のブロックであるART(A73)に設定されたブロック(T73)と連結される。
【0089】
そして、
図6に示す遊技情報データベースにおいては、ART(A73)に対して番号「3」が付され、「ART回数」が「3」とされる。また、そのART(A73)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「3」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
さらに、ART(A73)終了後のART準備状態に対して番号「4」が付され、「準備状態回数」が「1」とされる。また、当該ART準備状態における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「4」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
【0090】
さらに、BB(BB71)に対して番号「5」が付され、「BB回数」が「1」とされる。そして、このBB(BB71)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「5」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
そして、「ブロック差枚数」においては、ブロック(T73)の示すゲーム区分である番号「3」〜「5」に関連付けられた「差枚数」が累計され、この値が登録される。
【0091】
続いて、
図14に示すように、スロットマシン10において、ART準備状態中にART(A74)に入賞し、このART(A74)が開始してART信号(S74)が出力されたものとする。このART(A74)が設定ゲーム回数(30G)を消化して終了し、ART準備状態に移行し、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化する前にART(A75)に入賞し、このART(A75)が開始してART信号(S75)が出力され、このART中(A75)にBB(BB72)に入賞し、BB終了後にART準備状態に移行し、このART準備状態中にART(A76)に入賞し、このART(A76)が開始してART信号(S76)が出力され、このART(A76)が設定ゲーム回数(30G)を消化して終了し、ART準備状態に移行し、このART準備状態が設定準備ゲーム回数を消化して終了し通常遊技状態に移行したものとする。
この場合、ART信号(S74)が出力されてから設定ゲーム回数分のゲームが終了するまでの間と、ART信号(S75)が出力されてからBB(BB72)に突入するまでの間と、ART信号(S76)が出力されてから設定ゲーム回数分のゲームが終了するまでの間が、それぞれART実行期間とされ、これらの期間にARTブロックが設定される。また、ART(A75)は、ART中に入賞したものであるため、
図13のステップ63ではYesと判断され、ステップ62の処理が実行されて、そのART(A75)に設定されるブロックが、過去直近のブロックであるART(A74)に設定されるブロックと連結される。同様に、BB(BB72)のブロックとART(A76)のブロックは、それぞれ
図13に示す処理により、ART(A74)及びBB(BB72)と連結され、ブロック(T74)とされる。
【0092】
そして、
図6に示す遊技情報データベースにおいては、ART(A74)に対して番号「6」が付され、「ART回数」が「4」とされる。また、そのART(A74)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「6」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
また、ART(A74)終了後のART準備状態に対して番号「7」が付され、「準備状態回数」が「2」とされる。また、当該ART準備状態における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「7」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
さらに、ART(A75)に対して番号「8」が付され、「ART回数」が「5」とされる。そして、このART(A75)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「8」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
【0093】
次いで、BB(BB72)に対して番号「9」が付され、「BB回数」が「2」とされる。また、そのBB(BB72)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「9」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
続いて、BB(BB72)終了後のART準備状態に対して番号「10」が付され、「準備状態回数」が「3」とされる。さらに、当該ART準備状態における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「10」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
そして、ART(A76)に対して番号「11」が付され、「ART回数」が「6」とされる。また、そのART(A76)における「投入枚数」、「払出枚数」、「差枚数」がそれぞれ算出され、番号「11」に関連付けて、遊技情報データベースに登録される。
さらに、「ブロック差枚数」においては、ブロック(T74)の示すゲーム区分である番号「6」〜「11」に関連付けられた「差枚数」が累計され、この値が登録される。
【0094】
このように、スロットマシンにおいてゲームが進行していく中で種々の遊技状態に移行した場合に、それらART,ART準備状態,BBなどの遊技状態ごとに、遊技情報を算出し、集計管理することができる。
また、ART(A74、A75、A76)とBB(BB72)のように連チャンした場合でも、これらを一のブロックとして、まとめたかたちで「差枚数」を算出することができる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の遊技場装置及び遊技場システムによれば、ホールコンピュータで入力設定された設定ゲーム回数を用いてART期間を特定することができる。そして、この特定したART期間中の各ゲームごとの遊技情報を用いて、該ARTの遊技情報を算出することができる。
また、このように、ARTに関する遊技情報が正確に算出されることから、通常遊技状態における出玉を示すベースについても、正常な値で算出することができる。
【0096】
さらに、ホールコンピュータで入力設定された設定準備ゲーム回数を用いてART準備状態の実行期間を特定することができる。そして、このART準備状態中にART又はBBに入賞したときに、該ART準備状態の遊技情報を算出することで、該ART準備状態を含む一連の遊技状態の遊技情報を算出する際に、そのART準備状態の遊技情報を用いることができる。
しかも、ART中やART準備状態中にARTやBBに入賞して連チャンした場合には、それら連チャンにかかわるARTやBB、ART準備状態を一つのブロックとして設定することができる。そして、このブロックの遊技情報を算出することで、連チャンにかかわる一連の遊技状態の遊技情報を取得することができる。
そして、これら正確に算出された遊技情報を用いて、スロットマシンの稼動状況を的確に把握でき、営業方針の指標とすることができる。
【0097】
以上、本発明の遊技場装置及び遊技場システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技場装置及び遊技場システムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、ホールコンピュータを一台のみ設けた構成としているが、一台に限るものではなく、複数台設けることができる。
【0098】
また、上述した実施形態においては、遊技情報算出処理の(1)〜(6)を台コンピュータで実行することとしているが、台コンピュータに限るものではなく、例えば、ホールコンピュータや島コンピュータ、呼出しランプなど、台コンピュータ以外の遊技場装置に実行させることもできる。
さらに、上述した実施形態においては、外部出力信号としてART信号を出力するスロットマシンについて説明したが、ART信号に限るものではなく、例えば、ATが開始したことを示すAT信号やRTが開始したことを示すRT信号を外部出力信号として出力するスロットマシンに対しても、本発明を適用することができる。ただし、AT信号やRT信号は、ART信号のように短い時間しか出力されない場合が対象となる。
【0099】
また、上述した実施形態においては、外部出力信号としてBB信号やART信号を出力するスロットマシンについて説明したが、BB信号とART信号を別信号とすることに限るものではなく、例えば、
図15に示すように、BB1・ART混合信号やBB2信号を外部出力信号として出力するスロットマシンに対しても、本発明を適用することができる。この場合、台コンピュータの判定部は、BB1信号とART信号との区別を、ゲーム実行時間と対比して、あるいは、その信号がまたがるゲーム回数にもとづいて行うことができる。例えば、BB1信号は、BB実行中は出力され続けているため、出力時間が長く、複数ゲームにまたがる。これに対し、ART信号は、1パルスで出力されるため、出力時間が短く、複数ゲームにまたがらない。このような判断を行うことで、BB1信号とART信号とを区別して、ART信号を上述した実施形態に用いることができる。
なお、BB1信号とART信号とを区別する機能を有した判定部は、「信号判定手段」に相当する。
【0100】
さらに、上述した実施形態においては、設定ゲーム回数や設定準備ゲーム回数をホールコンピュータにて入力することとしたが、入力する装置は、ホールコンピュータに限るものではなく、他の遊技場装置にて入力することができる。ただし、呼出しランプや台コンピュータ、島コンピュータについては、キーボード等の入力操作部が存在しないことから、例えば、新たにリモコンを設け、このリモコンの入力部で設定ゲーム回数等を入力して、呼出しランプ等の本体に無線送信するように構成することができる。
【0101】
加えて、上述した実施形態においては、設定ゲーム回数を30G、設定準備ゲーム回数を10Gとしたが、これらに限るものではなく、任意のゲーム回数(具体的には、スロットマシンのメーカが発表したゲーム回数)を設定することができる。
しかも、ART中のベース異常についても、所定の値を設定することによって検出することができる。