【実施例】
【0016】
本例のガラス板の加工装置1においては、
図1、
図4及び
図5に示すように、正面において、左右方向に沿って、中央Cには、研削加工エリア23が、この研削加工エリア23の右側Rには、ガラス板入込みエリアS1が、左側Lにはガラス板入込みエリアS2が配置されている。
【0017】
そして、中央Cの上記研削加工エリア23及び両側のガラス板入込みエリアS1、S2を貫いて、共通のY軸ガイドレール3、3が設けられている。尚、このY軸ガイドレール3、3は、基台30から立設の立設体31、31に架設された架台32の前面に取り付けられている。
【0018】
上記の共通のY軸ガイドレール3、3には、2基の回転吸盤装置4A、4Bがスライドブロックを介して取付けられ、Y軸方向に摺動案内される。
【0019】
2基の回転吸盤装置4A、4Bは、一方が第1回転吸盤装置4A、他方が第2回転吸盤装置4Bである。第1回転吸盤装置4Aは上記右側Rにおいて、ガラス板入込みエリアS1と中央Cの研削加工エリア23との間を数値制御されてY軸移動して往来し、第2回転吸盤装置4Bは左側Lにおいて、ガラス板入込みエリアS2と上記中央Cの研削加工エリア23との間を数値制御されてY軸移動して往来する。
【0020】
第1回転吸盤装置4Aは、第1Y軸サーボモータ6及び送りねじ7によってY軸駆動され、第2回転吸盤装置4Bは第2Y軸サーボモータ8及び送りねじ9よりY軸駆動される。よって、第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、互いに相手に対して独立してY軸移動を行う。
【0021】
次に、上記第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bの構造及び動作を
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に基づいて説明する。
【0022】
尚、上記第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、構造及びその動作は同一であるので、以下、第1回転吸盤装置4Aについて説明する。
【0023】
第1回転吸盤装置4Aは、上記Y軸ガイドレール3、3に複数個のスライドブロック11、11を介して取付けられたY軸移動台10と、このY軸移動台10の正面に取付けられたX軸移動手段12と、このX軸移動手段12を構成するX軸移動体13の正面に取付けられた回転吸盤5Aとを備える。
【0024】
上記Y軸移動台10に、Y軸駆動の前記送りねじ7がナット(図示なし)を介して連結されている。
【0025】
上記X軸移動手段12は、上記Y軸移動台10の正面に取付けされたガイドレール14、14とこれらガイドレール14、14によってX軸方向に直線案内されるX軸移動体13とこのX軸移動体13を数値制御されたX軸移動させるX軸サーボモータ16及び送りねじ17とからなる。尚、上記ガイドレール14、14は、前記Y軸ガイド3、3に対して、直交して取り付けられている。
【0026】
よって、X軸移動体13及びこのX軸移動体13の正面に取付けられた回転吸盤5Aは、上記Y軸に直交したX軸移動(上下方向移動)を行う。さらに、もちろん回転吸盤5Aは、X軸に平行して取付けられ、正面にガラス板2を吸着保持し、このガラス板2を上記Y軸とX軸とからなる平面座標系に沿って回転させる。
【0027】
尚、上記回転吸盤5Aは回転駆動装置を備える。この回転駆動装置はNC装置から指令を受けてガラス板2の吸着部18を、延いてはガラス板2を数値制御された回転をさせる。
【0028】
上記の構成になる第1回転吸盤装置4A全体はNC装置から指令を受けた前記第1Y軸サーボモータ6によって数値制御されてY軸移動(水平移動)し、回転吸盤5Aは同じくNC装置から指令を受けたX軸サーボモータ16によって数値制御されたX軸移動(上下移動)する。従って、回転吸盤5Aは上記Y軸、X軸からなる平面座標系を移動しながら、吸着保持したガラス板2を上記平面座標系面に沿って数値制御された回転をする。
【0029】
もちろん、第2回転吸盤装置4B及び回転吸盤5Bは、第1回転吸盤装置4A及び回転吸盤5Aに対し、独立して同様な数値制御されたY軸移動及びX軸移動及びガラス板を吸着しての同様な数値制御回転を行う。
【0030】
中央Cの研削加工エリア23は、上記第1回転吸盤装置4A、第2回転吸盤装置4Bが、ガラス板2を吸着保持して、交互に進行して研削加工の動作を行う共通のエリアである。また、第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、この研削加工エリア23内において、保持したガラス板2を90°づつの回転・停止、及びX軸、Y軸からなる平面座標系移動を繰り返して下端辺24の研削加工を行う。
【0031】
上記の共通の研削加工エリア23には、研削手段20が装置されている。もちろん、この研削手段20は、研削ホイール21を備える。研削ホイール21は、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bの回転吸盤5A及び5Bに吸着保持されたガラス板2の下端辺24の通路に合わせて設けられている。
【0032】
上記研削手段20は、上記研削ホイール21と、この研削ホイール21が取付けられ、この研削ホイール21を回転駆動するスピンドルモータ26とを備えた研削ヘッド27と、この研削ヘッド27をY軸に沿って平行移動する研削ヘッド移動手段28とを備えている。研削ヘッド移動手段28は、ブラケット29を介して基台30に取付けられている。
【0033】
上記研削ヘッド移動手段28は、上記ブラケット29の上面に、上記Y軸ガイドレール3、3と平行に取付けられたガイドレール33、33とスライドブロックを介して、このガイドレール33、33に取付けられた移動台34と、この移動台34を移動させる送りねじ35及びこの送りねじ35を駆動する送りモータ36とからなり、上記移動台34に上記研削ヘッド27が取付けられている。
【0034】
尚、本実施例においては、
図1、
図4及び
図5に示すように、研削ヘッド27は一基備えるのであるが、研削加工品質に合わせ、通常は2〜3基備える。
【0035】
上記研削ヘッド移動手段28によって、研削ヘッド27延いては研削ホイール21は、上記Y軸と平行して移動する。
【0036】
尚、研削手段20は、ガラス板2の下端辺24(下端に来たエッヂ)が通過する高さ位置にその研削ホイール21の研削作用点が位置している。
【0037】
中央Cにおいて、第1回転吸盤装
置4A及び第2回転吸盤装置4Bに保持されたガラス板2の下端辺24の研削加工は、この
ガラス板2を保持した回転吸盤装置4Aまたは4
Bと研削ホイール21と
が互いに対面移動して、
ガラス板2と研削ホイール21とが擦れ合い状態で行
われる。
【0038】
このようにして、双方の移動距離を短く、研削加工の時間を短くし得て、また、ガラス板の加工装置1全体の長さを短くし得る。
【0039】
両側に配置したガラス板入込みエリアS1、S2のそれぞれは、第1回転吸盤装置4A、及び第2回転吸盤装置4Bのそれぞれが、交互に中央Cの研削加工エリア23から加工済みのガラス板2を保持して復帰し、その加工済みガラス板2を開放し、次のガラス板2を受け取るポジションでもある。
【0040】
さらに、受け取った次のガラス板2の周囲の4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を先ず行うエリアでもある。即ち、第1回転吸盤装置4A、第2回転吸盤装置4Bのそれぞれは、次のガラス板2を受け取ったとき、先ず、それぞれのガラス板入込みエリアS1又はS2内において、ガラス板2の4ヶ所のコーナー(角部)にコーナーカット加工をも併せて行う。
【0041】
また、それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2には、下位部に研削ホイール装置40を備えている。本実施例の上記研削ホイール装置40は、
図1、
図4及び
図5に示すように、研削ホイール41と、この研削ホイール41が装着され、この研削ホイール41を回転駆動するところのスピンドルモータ42とこのスピンドルモータ42を保持し、上記研削ホイール41とガラス板2との平面ラインを合せるために調整するスライド装置43とを備える。研削ホイール装置40はこのスライド装置43を介して基台30から立設のブラケット44に装置されている。そして、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bのそれぞれによる粗研削加工及びコーナーカット加工の動作は、研削ホイール40に対してガラス板2を吸着保持した回転吸盤5A、5Bを数値制御されたX軸移動をさせながら、さらにガラス板2を数値制御回転θし、ガラス板2を上記研削ホイール41に当てながら、極座標制御によって行う。
【0042】
尚、上記ガラス板入込みエリアS1、S2のそれぞれは、これらガラス板入込みエリアS1、S2と中央Cの研削加工エリア23とにおいて、ガラス板2を回転したとき、互いに干渉しない位置に配置される。
【0043】
次に、上記の如くなる本ガラス板の加工装置1によるガラス板2の加工方法を説明する。
【0044】
上記の第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、正面にガラス板を吸着保持して、両側それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2と、中央Cの研削加工エリア23とを交互に往来し、交互に研削加工エリア23において研削加工を行う。
【0045】
即ち、
図1、
図4及び
図5に示すように、第1回転吸盤装置4Aがガラス板入込みエリアS1において、ガラス板2の受け取り及びこの受け取りガラス板2を極座標制御動作によって周囲4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を行っているとき、第2回転吸盤装置4Bは中央Cの研削加工エリア23において、ガラス板の4辺の主研削加工を行っている。
【0046】
この研削加工エリア23での第2回転吸盤装置4Bの研削加工が終了すると、この第2回転吸盤装置4Bは、加工済みガラス板2を保持して自己のガラス板入込みエリアS2に復帰し研削加工済みガラス板2を放し、次のガラス板2を受け取ると共に極座標制御によって周囲4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工に入る。このとき、一方の第1回転吸盤4Aは、既に、4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工済みガラス板2を保持して上記研削加工エリア23に進行し、そのガラス板2の周囲4辺の本研削加工の動作を行っている。
【0047】
この研削加工エリア23でのこの第1回転吸盤装置4Aの研削加工が終了すると、再び、この第1回転吸盤装置4Aはこの研削加工エリア23から研削加工済みガラス板を保持して自己のガラス板入込みエリアS1に戻り、研削加工済みガラス板を放し、次のガラス板を受け取ると共に極座標制御動作によって4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工に入る。他方、替って、上記研削加工エリア23には第2回転吸盤装置4Bが4辺の粗研削加工及びコーナーカット済の次のガラス板2を保持して進行し、ガラス板2の周囲4辺の本研削加工を行う。
【0048】
第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bは、交互に、それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2においてガラス板2の受け渡し、4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を行い、交互に中央Cの研削加工エリア23へ進行して、4辺の研削加工を行うことにより、研削加工エリア23での研削加工が軽く、速く、精確に行われ、ガラス板の研削加工の生産能力が高くなる。
【0049】
尚、中央Cの研削加工エリア23での、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bよるガラス板の周囲4辺の研削加工動作は、在来のガラス板の加工装置と同じように、回転吸盤5A、5Bに保持した4角形状ガラス板を90°づつ回転・停止させ、下端に回って来た下端辺24を、上記Y軸に平行と共に上記X軸移動により上記研削手段20の研削ホイール21との距離を調整した状態でY軸移動し、上記下端辺24を上記研削手段20の研削ホイール21との擦れ合わせで研削加工する動作を、各辺について繰り返し、4辺の研削加工を行う。尚、研削加工は、前述したように、ガラス板2と研削手段20の研削ホイール21とは、互いに対面移動させ双方が出合い擦れ合い状態で、効率的に行われる。