特許第5700037号(P5700037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700037
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】ガラス板の加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/10 20060101AFI20150326BHJP
   C03B 33/02 20060101ALI20150326BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20150326BHJP
【FI】
   B24B9/10 D
   C03B33/02
   B24B41/06 A
   B24B9/10 E
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-508044(P2012-508044)
(86)(22)【出願日】2011年3月7日
(86)【国際出願番号】JP2011001342
(87)【国際公開番号】WO2011121895
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年1月27日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2010/002285
(32)【優先日】2010年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【審査官】 橋本 卓行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−138195(JP,A)
【文献】 特開2000−237939(JP,A)
【文献】 特開2000−141189(JP,A)
【文献】 特開2003−181751(JP,A)
【文献】 特開2004−025325(JP,A)
【文献】 特開2002−120134(JP,A)
【文献】 特開昭63−306865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00−9/10
B24B 41/06
C03B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面の左右方向において、両側にガラス板入込みエリアを、中央に共通の研削加工エリアを配置し、両側のガラス板入込みエリア及び中央の研削加工エリアを貫いてY軸軌道を設け、このY軸軌道に、上記のそれぞれのガラス板入込みエリアに対応して2基の回転吸盤装置が互いに相手に対し独立してY軸移動するように装置され、一方の回転吸盤装置は一方のガラス板入込みエリアと研削加工エリアとの間を往来し、他方の回転吸盤装置は他方のガラス板入込みエリアと上記研削加工エリアとの間を往来し、上記回転吸盤装置の双方は、交互に研削加工エリアに進行するように装置され、上記研削加工エリアの一の部位においては、ガラス板の一の辺の通路に研削ホイールを位置させた研削手段が設けられ、上記双方の回転吸盤装置は、数値制御されてY軸移動するY軸移動台と、このY軸移動台の正面にY軸に対してX方向に沿って設けられたX軸移動手段と、このX軸移動手段において数値制御されてX軸移動する移動体の正面に装置された回転吸盤とを備え、回転吸盤は前面に、上記Y軸、X軸からなる平面座標系面に沿ってガラス板を吸着保持し、かつ数値制御された回転と停止を行うようになり、それぞれの回転吸盤装置は、上記回転吸盤にガラス板を吸着保持して、90°づつの回転・停止によりガラス板の各辺を上記Y軸と平行とすると共に、上記X軸移動手段によってガラス板の上記一の辺との距離調整をして、Y軸移動し、上記一の辺を上記研削手段の研削ホイールとの擦れ合わさせての研削加工を、ガラス板の他の各辺について繰り返すようになり、上記両側のそれぞれのガラス板入込みエリアには、研削ホイール装置を備え、2基のそれぞれの回転吸盤装置は、それぞれのガラス板入込みエリアにおいて、加工済みガラス板の放し、次のガラス板の受け取りと共に、研削ホイール装置に対してガラス板を吸着保持した回転吸盤を数値制御されたX軸移動をさせながら、さらにガラス板を数値制御回転して、ガラス板を上記研削ホイール装置に当てながら極座標制御によって4辺の粗研削加工及び4コーナー部のコーナーカット加工を行うようになっており、研削加工エリアの一の部位に設けられた研削手段は、ガラス板を保持してY軸に平行移動する回転吸盤装置に対して対面移動するようになっているガラス板の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用、液晶テレビ用、プラズマテレビ用等のガラス板、液晶パネルの周縁エッヂを直線研削加工する方法及び研削加工する装置に関する。また、本発明は、4角形状の上記ガラス板の周囲4辺を研削加工(また研磨加工)するガラス板の加工方法及び加工装置に係る。
【0002】
更に、本発明は、4角形状のガラス板の周囲4辺の研削加工と共に、4コーナー部のコーナーカット加工も併せて行い得るガラス板の加工方法及び加工装置に係る。
【0003】
更にまた、本発明は、4角形状のガラス板を吸着保持し、90°づつ回転・停止し、直線移動(水平移動)して順次4辺を加工するガラス板の加工方法及び加工装置の改良に係る。
【背景技術】
【0004】
図6には、従来提案されている本発明分野のガラス板の加工装置が示されている。
【0005】
このガラス板の加工装置は、正面に研削加工エリア50が配置され、この研削加工エリア50の片側にガラス板入込みエリア51が配置されている。そして、上記研削加工エリア50の下位部には、研削ホイール52を備えた研削手段53が装置されている。
【0006】
上記研削加工エリア50及びガラス板入込みエリア51を貫いてY軸移動する一基の回転吸盤装置54を備え、その一基の回転吸盤装置54は、入込みエリア51において、ガラス板2を受け取り、吸着保持して研削加工エリア50に進行し、ガラス板2を90°づつ回転停止させ、下端に回って来た下端辺をY軸移動ライン55と平行した状態でY軸移動し、ガラス板2の下端辺24を研削手段53により研削加工する動作を、各辺について繰り返し、ガラス板2の4辺の研削加工を終了するとガラス板入込みエリア51に戻り、加工済みガラス板2を放すと共に次のガラス板2を受け取る。回転吸盤装置54は受け取ったガラス板2を吸着保持して再び、研削加工エリア50に進行して研削加工を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の上記ガラス板の加工装置では、ガラス板入込みエリアにおいて、回転吸盤装置は、ガラス板の受け渡しを行うのみである。
【0008】
このため、回転吸盤装置は、ガラス板入込みエリアにおいてのガラス板の受け渡しか、研削加工エリアにおいての研削加工の動作か、必ず常にどちらかの動作を行っている。従って、ガラス板の入込みエリアで、ガラス板の受け渡しを行っているとき、当然に、研削加工は行われていない。従って、研削加工は時間間隔をもって断続してしか行われない。このため、研削加工の連続性に程遠く非常に不能率で、生産性が上がらない。
【0009】
そこで、本発明は、従来のガラス板の加工装置のような欠陥を除去し、研削加工動作をより連続して行い、能率を高め、生産能力の高いガラス板の加工方法及びガラス板の加工装置を提供しようとするものである。
【0010】
更に本発明は、ガラス板の4辺の研削加工を効率的に行い、かつ当該4辺の研削加工に併せて4コーナーのコーナーカット加工も行われ得るようにしたガラス板の加工方法及びガラス板の加工装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
正面の左右方向において、両側にガラス板入込みエリアを、中央に研削加工エリアを配置し、両側のガラス板入込みエリア及び中央の研削加工エリアを貫いてY軸軌道を設け、このY軸軌道に、上記のそれぞれのガラス板入込みエリアに対応して2基の回転吸盤装置が互いに相手に対し独立してY軸移動するように装置され、一方の回転吸盤装置は一方のガラス板入込みエリアと研削加工エリアとの間を往来し、他方の回転吸盤装置は他方のガラス板入込みエリアと上記研削加工エリアとの間を往来し、上記回転吸盤装置の双方は、交互に研削加工エリアに進行するように装置され、上記研削加工エリアの一の部位においては、ガラス板の一の辺の通路に研削ホイールを位置させた研削手段が設けられ、上記双方の回転吸盤装置は、数値制御されてY軸移動するY軸移動台と、このY軸移動台の正面にY軸に対してX方向に沿って設けられたX軸移動手段とこのX軸移動手段において数値制御されてX軸移動する移動体の正面に装置された回転吸盤とを備え、回転吸盤は前面に、上記Y軸、X軸からなる平面座標系面に沿ってガラス板を吸着保持し、かつ数値制御された回転と停止を行うようになり、それぞれの回転吸盤装置は、上記回転吸盤にガラス板を吸着保持して、90°づつの回転・停止によりガラス板の一の辺を上記Y軸と平行とすると共に、上記X軸移動手段によってガラス板の上記一の辺と上記研削ホイールとの距離調整をして、Y軸移動し、上記一の辺を上記研削手段の研削ホイールとの擦れ合わさせての研削加工を、ガラス板の他の各辺について繰り返すようになり、上記両側のそれぞれのガラス板入込みエリアには、研削ホイール装置を備え、2基のそれぞれの回転吸盤装置は、それぞれのガラス板入込みエリアにおいて、加工済みガラス板の放し、次のガラス板の受け取りと共に、研削ホイール装置に対してガラス板を吸着保持した回転吸盤に数値制御されたX軸移動をさせながら、さらにガラス板を数値制御回転して、ガラス板を上記研削ホイール装置に当てながら極座標制御動作によって4辺の粗研削加工及び4コーナー部のコーナーカット加工を行うようにしたガラス板の加工装置である。
【0012】
また、正面の左右方向において、両側にガラス板入込みエリアを、中央に研削加工エリアを配置し、両側のガラス板の入込みエリア及び中央の研削加工エリアを貫いてY軸軌道を設け、このY軸軌道に、上記のそれぞれのガラス板入込みエリアに対応して2基の回転吸盤装置がY軸移動するように設けられ、一方の回転吸盤装置が研削加工エリアに進行して研削加工を行っているとき、他方の回転吸盤装置は、ガラス板入込みエリアにおいてガラス板の放し及び受け取りを行い、次に、上記一方の回転吸盤装置が上記研削加工エリアから自己のガラス板入込みエリアに復帰すると、上記研削加工には、替わりに上記他方の回転吸盤装置がガラス板を保持して進行し、研削加工を行うように、上記2基の回転吸盤装置は交互に、それぞれのガラス板入込みエリアからガラス板を保持して研削加工エリアに進行して研削加工を行い、それぞれの回転吸盤装置は上記研削加工エリアにおいて、保持したガラス板を90°づつ回転、停止させ、回転により一の辺を上記Y軸軌道と平行とすると共に上記X軸移動手段によってガラス板の上記一の辺と上記研削ホイールのとの距離を調整した状態でY軸移動し、上記ガラス板の一の辺を上記研削手段により研削加工する動作を、他の各辺について繰り返し、ガラス板4辺の研削加工を行い、両側のそれぞれのガラス板入込みエリアには、一の部位に研削ホイール装置を備え、2基の回転吸盤装置は、それぞれのガラス板入込みエリアにおいて、加工済みガラス板の放し、次のガラス板の受け取りと共に研削ホイール装置に対してガラス板を吸着保持した回転吸盤を数値制御直道をさせながら、さらにガラス板を数値制御回転して、ガラス板を上記研削ホイール装置に当てながら極座標制御によって4辺の粗研削加工及び4コーナー部のコーナーカット加工を行うようにしたガラス板の加工方法である。
【発明の効果】
【0013】
上記の如くなる本発明ガラス板の加工方法及び加工装置によれば、研削加工エリアの両側にガラス板入込みエリアを備え、その両側のガラス板入込みエリアから、それぞれの回転吸盤装置が交互にガラス板を吸着保持して共通の上記研削加工エリアに進行して研削加工を行う。このため一方の回転吸盤装置が研削加工エリアで研削加工中のときに、他方の回転吸盤装置はガラス板入込みエリアにおいてガラス板の受け渡しができ、次に代って、他方の回転吸盤装置が研削加工エリアで研削加工中のときに、上記の一方の回転吸盤装置は自分のガラス板入込みエリアに戻って加工済みガラス板の放しと次のガラス板の受け取りができると共に、両側のガラス板入込みエリアには、研削ホイール装置を備え、かつ一方の回転吸盤装置及び他方の回転吸盤装置のそれぞれは、回転吸盤に数値制御回転及び数値制御移動をさせて、上記研削ホイール装置との間での極座標制御によって、それぞれのガラス板入込みエリアにおいて、受け取ったガラス板を直ちに4辺の粗研削加工を、更にコーナーカット加工も行われる。周囲4辺の研削加工が研削加工エリアとガラス板入込みエリアの2ヶ所で行われ得る。このため、研削加工エリアでの主研削加工の負担(研削取り量)が小さくなり、4辺の研削加工が精確かつ能率的に行われ、生産能力が非常にアップされる。もちろん合せてコーナーカット加工も行われ効率的である。更に本発明によれば、ガラス板の4辺の研削加工に合せ、4コーナーのコーナーカット加工も行われ得るようにしたガラス板の加工方法及びガラス板の加工装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の一実施例を示すガラス板加工装置の正面図である。
図2図2図1に示すガラス板加工装置のI−I線矢視図である。
図3図3は同じく図1に示すガラス板加工装置のII−II線断面図である。
図4図4図1に示したガラス板加工装置においてガラス板加工方法を実施中の説明図である。
図5図5図1に示したガラス板加工装置においてガラス板加工方法を実施中の説明図である。
図6図6は従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。もちろん、本発明のガラス板加工方法はガラス板加工装置において実施されるものであるため、ガラス板加工装置についての実施形態をもって本発明の加工方法を説明する。
【実施例】
【0016】
本例のガラス板の加工装置1においては、図1図4及び図5に示すように、正面において、左右方向に沿って、中央Cには、研削加工エリア23が、この研削加工エリア23の右側Rには、ガラス板入込みエリアS1が、左側Lにはガラス板入込みエリアS2が配置されている。
【0017】
そして、中央Cの上記研削加工エリア23及び両側のガラス板入込みエリアS1、S2を貫いて、共通のY軸ガイドレール3、3が設けられている。尚、このY軸ガイドレール3、3は、基台30から立設の立設体31、31に架設された架台32の前面に取り付けられている。
【0018】
上記の共通のY軸ガイドレール3、3には、2基の回転吸盤装置4A、4Bがスライドブロックを介して取付けられ、Y軸方向に摺動案内される。
【0019】
2基の回転吸盤装置4A、4Bは、一方が第1回転吸盤装置4A、他方が第2回転吸盤装置4Bである。第1回転吸盤装置4Aは上記右側Rにおいて、ガラス板入込みエリアS1と中央Cの研削加工エリア23との間を数値制御されてY軸移動して往来し、第2回転吸盤装置4Bは左側Lにおいて、ガラス板入込みエリアS2と上記中央Cの研削加工エリア23との間を数値制御されてY軸移動して往来する。
【0020】
第1回転吸盤装置4Aは、第1Y軸サーボモータ6及び送りねじ7によってY軸駆動され、第2回転吸盤装置4Bは第2Y軸サーボモータ8及び送りねじ9よりY軸駆動される。よって、第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、互いに相手に対して独立してY軸移動を行う。
【0021】
次に、上記第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bの構造及び動作を図1図2図3図4図5に基づいて説明する。
【0022】
尚、上記第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、構造及びその動作は同一であるので、以下、第1回転吸盤装置4Aについて説明する。
【0023】
第1回転吸盤装置4Aは、上記Y軸ガイドレール3、3に複数個のスライドブロック11、11を介して取付けられたY軸移動台10と、このY軸移動台10の正面に取付けられたX軸移動手段12と、このX軸移動手段12を構成するX軸移動体13の正面に取付けられた回転吸盤5Aとを備える。
【0024】
上記Y軸移動台10に、Y軸駆動の前記送りねじ7がナット(図示なし)を介して連結されている。
【0025】
上記X軸移動手段12は、上記Y軸移動台10の正面に取付けされたガイドレール14、14とこれらガイドレール14、14によってX軸方向に直線案内されるX軸移動体13とこのX軸移動体13を数値制御されたX軸移動させるX軸サーボモータ16及び送りねじ17とからなる。尚、上記ガイドレール14、14は、前記Y軸ガイド3、3に対して、直交して取り付けられている。
【0026】
よって、X軸移動体13及びこのX軸移動体13の正面に取付けられた回転吸盤5Aは、上記Y軸に直交したX軸移動(上下方向移動)を行う。さらに、もちろん回転吸盤5Aは、X軸に平行して取付けられ、正面にガラス板2を吸着保持し、このガラス板2を上記Y軸とX軸とからなる平面座標系に沿って回転させる。
【0027】
尚、上記回転吸盤5Aは回転駆動装置を備える。この回転駆動装置はNC装置から指令を受けてガラス板2の吸着部18を、延いてはガラス板2を数値制御された回転をさせる。
【0028】
上記の構成になる第1回転吸盤装置4A全体はNC装置から指令を受けた前記第1Y軸サーボモータ6によって数値制御されてY軸移動(水平移動)し、回転吸盤5Aは同じくNC装置から指令を受けたX軸サーボモータ16によって数値制御されたX軸移動(上下移動)する。従って、回転吸盤5Aは上記Y軸、X軸からなる平面座標系を移動しながら、吸着保持したガラス板2を上記平面座標系面に沿って数値制御された回転をする。
【0029】
もちろん、第2回転吸盤装置4B及び回転吸盤5Bは、第1回転吸盤装置4A及び回転吸盤5Aに対し、独立して同様な数値制御されたY軸移動及びX軸移動及びガラス板を吸着しての同様な数値制御回転を行う。
【0030】
中央Cの研削加工エリア23は、上記第1回転吸盤装置4A、第2回転吸盤装置4Bが、ガラス板2を吸着保持して、交互に進行して研削加工の動作を行う共通のエリアである。また、第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、この研削加工エリア23内において、保持したガラス板2を90°づつの回転・停止、及びX軸、Y軸からなる平面座標系移動を繰り返して下端辺24の研削加工を行う。
【0031】
上記の共通の研削加工エリア23には、研削手段20が装置されている。もちろん、この研削手段20は、研削ホイール21を備える。研削ホイール21は、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bの回転吸盤5A及び5Bに吸着保持されたガラス板2の下端辺24の通路に合わせて設けられている。
【0032】
上記研削手段20は、上記研削ホイール21と、この研削ホイール21が取付けられ、この研削ホイール21を回転駆動するスピンドルモータ26とを備えた研削ヘッド27と、この研削ヘッド27をY軸に沿って平行移動する研削ヘッド移動手段28とを備えている。研削ヘッド移動手段28は、ブラケット29を介して基台30に取付けられている。
【0033】
上記研削ヘッド移動手段28は、上記ブラケット29の上面に、上記Y軸ガイドレール3、3と平行に取付けられたガイドレール33、33とスライドブロックを介して、このガイドレール33、33に取付けられた移動台34と、この移動台34を移動させる送りねじ35及びこの送りねじ35を駆動する送りモータ36とからなり、上記移動台34に上記研削ヘッド27が取付けられている。
【0034】
尚、本実施例においては、図1図4及び図5に示すように、研削ヘッド27は一基備えるのであるが、研削加工品質に合わせ、通常は2〜3基備える。
【0035】
上記研削ヘッド移動手段28によって、研削ヘッド27延いては研削ホイール21は、上記Y軸と平行して移動する。
【0036】
尚、研削手段20は、ガラス板2の下端辺24(下端に来たエッヂ)が通過する高さ位置にその研削ホイール21の研削作用点が位置している。
【0037】
中央Cにおいて、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bに保持されたガラス板2の下端辺24の研削加工は、このガラス板2を保持した回転吸盤装置4Aまたは4Bと研削ホイール21と互いに対面移動して、ガラス板2と研削ホイール21とが擦れ合い状態で行われる
【0038】
このようにして、双方の移動距離を短く、研削加工の時間を短くし得て、また、ガラス板の加工装置1全体の長さを短くし得る。
【0039】
両側に配置したガラス板入込みエリアS1、S2のそれぞれは、第1回転吸盤装置4A、及び第2回転吸盤装置4Bのそれぞれが、交互に中央Cの研削加工エリア23から加工済みのガラス板2を保持して復帰し、その加工済みガラス板2を開放し、次のガラス板2を受け取るポジションでもある。
【0040】
さらに、受け取った次のガラス板2の周囲の4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を先ず行うエリアでもある。即ち、第1回転吸盤装置4A、第2回転吸盤装置4Bのそれぞれは、次のガラス板2を受け取ったとき、先ず、それぞれのガラス板入込みエリアS1又はS2内において、ガラス板2の4ヶ所のコーナー(角部)にコーナーカット加工をも併せて行う。
【0041】
また、それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2には、下位部に研削ホイール装置40を備えている。本実施例の上記研削ホイール装置40は、図1図4及び図5に示すように、研削ホイール41と、この研削ホイール41が装着され、この研削ホイール41を回転駆動するところのスピンドルモータ42とこのスピンドルモータ42を保持し、上記研削ホイール41とガラス板2との平面ラインを合せるために調整するスライド装置43とを備える。研削ホイール装置40はこのスライド装置43を介して基台30から立設のブラケット44に装置されている。そして、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bのそれぞれによる粗研削加工及びコーナーカット加工の動作は、研削ホイール40に対してガラス板2を吸着保持した回転吸盤5A、5Bを数値制御されたX軸移動をさせながら、さらにガラス板2を数値制御回転θし、ガラス板2を上記研削ホイール41に当てながら、極座標制御によって行う。
【0042】
尚、上記ガラス板入込みエリアS1、S2のそれぞれは、これらガラス板入込みエリアS1、S2と中央Cの研削加工エリア23とにおいて、ガラス板2を回転したとき、互いに干渉しない位置に配置される。
【0043】
次に、上記の如くなる本ガラス板の加工装置1によるガラス板2の加工方法を説明する。
【0044】
上記の第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bとは、正面にガラス板を吸着保持して、両側それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2と、中央Cの研削加工エリア23とを交互に往来し、交互に研削加工エリア23において研削加工を行う。
【0045】
即ち、図1図4及び図5に示すように、第1回転吸盤装置4Aがガラス板入込みエリアS1において、ガラス板2の受け取り及びこの受け取りガラス板2を極座標制御動作によって周囲4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を行っているとき、第2回転吸盤装置4Bは中央Cの研削加工エリア23において、ガラス板の4辺の主研削加工を行っている。
【0046】
この研削加工エリア23での第2回転吸盤装置4Bの研削加工が終了すると、この第2回転吸盤装置4Bは、加工済みガラス板2を保持して自己のガラス板入込みエリアS2に復帰し研削加工済みガラス板2を放し、次のガラス板2を受け取ると共に極座標制御によって周囲4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工に入る。このとき、一方の第1回転吸盤4Aは、既に、4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工済みガラス板2を保持して上記研削加工エリア23に進行し、そのガラス板2の周囲4辺の本研削加工の動作を行っている。
【0047】
この研削加工エリア23でのこの第1回転吸盤装置4Aの研削加工が終了すると、再び、この第1回転吸盤装置4Aはこの研削加工エリア23から研削加工済みガラス板を保持して自己のガラス板入込みエリアS1に戻り、研削加工済みガラス板を放し、次のガラス板を受け取ると共に極座標制御動作によって4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工に入る。他方、替って、上記研削加工エリア23には第2回転吸盤装置4Bが4辺の粗研削加工及びコーナーカット済の次のガラス板2を保持して進行し、ガラス板2の周囲4辺の本研削加工を行う。
【0048】
第1回転吸盤装置4Aと第2回転吸盤装置4Bは、交互に、それぞれのガラス板入込みエリアS1、S2においてガラス板2の受け渡し、4辺の粗研削加工及びコーナーカット加工を行い、交互に中央Cの研削加工エリア23へ進行して、4辺の研削加工を行うことにより、研削加工エリア23での研削加工が軽く、速く、精確に行われ、ガラス板の研削加工の生産能力が高くなる。
【0049】
尚、中央Cの研削加工エリア23での、第1回転吸盤装置4A及び第2回転吸盤装置4Bよるガラス板の周囲4辺の研削加工動作は、在来のガラス板の加工装置と同じように、回転吸盤5A、5Bに保持した4角形状ガラス板を90°づつ回転・停止させ、下端に回って来た下端辺24を、上記Y軸に平行と共に上記X軸移動により上記研削手段20の研削ホイール21との距離を調整した状態でY軸移動し、上記下端辺24を上記研削手段20の研削ホイール21との擦れ合わせで研削加工する動作を、各辺について繰り返し、4辺の研削加工を行う。尚、研削加工は、前述したように、ガラス板2と研削手段20の研削ホイール21とは、互いに対面移動させ双方が出合い擦れ合い状態で、効率的に行われる。
【符号の説明】
【0050】
1 ガラス板の加工装置
4A 第1回転吸盤装置
4B 第2回転吸盤装置
5A 回転吸盤
5B 回転吸盤
S1 ガラス板入込みエリア
S2 ガラス板入込みエリア
40 研削ホイール装置
23 研削加工エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6