(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700072
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
G03B 9/64 20060101AFI20150326BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20150326BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20150326BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20150326BHJP
G03B 17/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
G03B9/64 A
H04N5/225 F
H04N5/232 A
G03B15/00 R
G03B17/02
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-122462(P2013-122462)
(22)【出願日】2013年6月11日
(62)【分割の表示】特願2008-250001(P2008-250001)の分割
【原出願日】2008年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-218348(P2013-218348A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】喜多 一記
【審査官】
辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−181024(JP,A)
【文献】
特開2002−148693(JP,A)
【文献】
特開2004−186798(JP,A)
【文献】
特開2008−090850(JP,A)
【文献】
特開2003−023556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/64
G03B 15/00
G03B 17/02
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定する筋電位測定手段と、
レリーズボタンの押下状態を検出する検出手段と、
前記検出手段によりレリーズボタンの押下状態を検出すると前記撮像部に撮像動作を開始させ、所定の間隔で前記筋電位測定手段により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、撮像パラメターを変更する撮像制御手段と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記撮像パラメターは連写速度であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像制御手段は、所定の間隔で前記筋電位測定手段により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、前記撮像部の連写速度を速めることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像パラメターはフォーカス位置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像制御手段は、所定の間隔で前記筋電位測定手段により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、フォーカス位置を順次切り換えながら連続撮影することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像工程と、
撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定する筋電位測定工程と、
レリーズボタンの押下状態を検出する検出工程と、
前記検出工程によりレリーズボタンの押下状態を検出すると前記撮像工程に撮像動作を開始させ、所定の間隔で前記筋電位測定工程により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、撮像パラメターを変更する撮像制御工程と、
を備えた撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋電位検出を用いた撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影者は被写体を観測し「今この瞬間の被写体の状態を画像として記録したい」と思った瞬間にレリーズボタンを押して撮影する。しかし、実際には指が反応し押し下げ動作を完了するまでにはタイムラグが存在するため、撮影者が意図した画像とは異なる画像が撮影されてしまうことがある。
【0003】
この問題に対処するべく、操作者のレリーズタイムラグの時間を測定する測定モードを設けてその値を記憶しておき、カメラからの最近の画像データを一定時間分絶えず格納しておくバッファから、操作者が撮影指示を行った時点よりレリーズタイムラグ時間だけ以前の画像データを撮影データとして、モニタに表示したり、外部記憶装置に格納したりする撮像装置が存在する。(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−205605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カメラでレリーズボタンを押すために、わざわざ反応時間測定モードで測定しないと使えないのでは、使い勝手が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、反応時間測定を行わずとも、筋肉の反応時間による撮り遅れを解消できる撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、撮像部と、撮影者の撮影動作に係わる筋電
位を
測定する
筋電位測定手段と、レリーズボタンの押下状態を検出す
る検出手段と、前
記検出手段によりレリーズボタンの押下状態を検出すると前記撮像部に撮像動作を開始させ、
所定の間隔で前記
筋電位測定手段
により撮影者の撮影動作に係わる筋電
位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、撮像パラメターを変更する撮像制御手段と、を備えた撮像装置を提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、
前記撮像パラメターは連写速度
であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置を提供する。
【0009】
請求項3に記載の発明では、前記撮像制御手段は、
所定の間隔で前記筋電位測定手段により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、前記撮像部の連写速度を速めることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明では、
前記撮像パラメターはフォーカス位置
であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置を提供する。
【0011】
請求項5に記載の発明では、前記撮像制御手段は、
所定の間隔で前記筋電位測定手段により撮影者の撮影動作に係わる筋電位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、フォーカス位置を順次切り換えながら連続撮影することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置を提供する。
【0012】
請求項6に記載の発明では、撮像工程と、撮影者の撮影動作に係わる筋電
位を
測定する
筋電位測定工程と、レリーズボタンの押下状態を検出す
る検出工程と、前
記検出工程によりレリーズボタンの押下状態を検出すると前記撮像工程に撮像動作を開始させ、
所定の間隔で前記
筋電位測定工程
により撮影者の撮影動作に係わる筋電
位を測定し、今回検出した筋電位と前回測定した筋電位の差が所定値以上の場合、撮像パラメターを変更する撮像制御工程と、を備えた撮像方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応時間計測などの面倒な操作をすることなく、筋肉が動作するまでの時間による遅れ時間なしに撮影ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態のカメラの斜視図である。
【
図2】第1実施形態のカメラのレリーズボタン兼筋電位センサの部分図である。
【
図3】カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態の制御を説明するフローチャートである。
【
図5】第1実施形態の変形例におけるカメラの斜視図である。
【
図6】第2実施形態の制御を説明するフローチャートである。
【
図7】第2実施形態における撮像動作のタイムチャートである。
【
図8】第3実施形態の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0016】
<第1の実施形態>
図1から
図4は、本発明の第1の実施形態を示し、
図1は第1の実施形態のカメラの斜視図、
図2は同カメラのレリーズボタン兼筋電位センサの部分図、
図3は電気系のブロック図、
図4はフローチャートを示している。
【0017】
図1に示す撮像装置1はデジタルカメラであり、
図1に示すように、カメラ筐体2と、レリーズボタン兼筋電位センサ3とを備えている。
【0018】
カメラ筐体2は、撮像装置として機能するための各種部品を備えている。すなわち、いずれも図示を省略するが、適切な露光光量を得るために発光するストロボ、被写体を見るためのファインダー窓、撮影の際に押圧操作されるレリーズボタン(シャッタスイッチ)、その他の機能部品がカメラ筐体2に設けられる。又、カメラ筐体2には、SDメモリカード等の外部メモリが着脱自在となっており、撮影した画像データを外部メモリに記録することができる。
【0019】
レリーズボタン兼筋電位センサ3は、レリーズボタンの表面に表面電極A、周辺ベゼル部に表面電極Bを設けて、撮影者の手指の筋電位の変化を検出する。撮影者のレリーズボタンを押そうとする指の動き、または、離そうとする指の動きを、手指の筋電位の変化を検出することにより、レリーズボタンの接点が実際にON(切)やOFF(断)される前に、また、撮影者が指の筋肉が動いてボタン押し動作を開始するより前に、早期に判別することができる。
【0020】
<電気的構成>
図3は、撮像装置1の電気的構成を示すブロック図である。
レンズブロック21には、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の光学系を有しており、この実施形態では上述したレンズ鏡筒3を構成している。レンズブロック21は、鏡筒駆動手段としてのモーター22により光軸方向に駆動される。これにより、レンズブロック21(レンズ鏡筒3)はカメラ筐体2から突出したり、カメラ筐体2の内部に収納されるように駆動する。
【0021】
モーター22は、モータードライバー24に接続されており、モータードライバー24はCPU40の命令によりモーター22を駆動する。CPU40は撮像装置1の全体を制御するものである。ストロボ26は、CPU40の命令に従って発光する。
【0022】
CCD27は撮像素子であり、レンズブロック21の光軸上に配置され、被写体はレンズブロック21の光学系を介してCCD27の受光面に結像する。CCD27は、CPU40の命令に従い、タイミングジェネレータ(TG)28が生成するタイミング信号に基づき垂直及び水平ドライバ29により駆動され、被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号を信号処理回路30に出力する。信号処理回路30は、CDS回路やAD変換器等から構成されており、デジタルに変換した撮像信号を画像処理部31へ出力する。
【0023】
画像処理部31は入力された画像信号に対し所定のデジタル信号処理を行う。画像処理部31で処理されたデータは、順次、SDRAM32に格納される。記録モード(RECモード)では、画像データが蓄積される毎にビデオ信号に変換され、バックライト(BL)33aを備えたLCD33がスルー画像として画面表示する。外部メモリ34では、SDRAM32に格納された画像データがCPU40によって圧縮された後、その圧縮画像を記録する。フラッシュメモリ35には、制御のためのCPU40用の各種のプログラムやCPU40が用いる各種のデータが格納されている。これらはBUS41により接続されている。
【0024】
CPU40は、前述したレリーズボタン兼筋電位センサやズームボタン等を含むキー入力部36、バッテリー37、バッテリー37の電力を各部に供給する電源制御回路38が接続されている。CPU40は、これらの駆動を制御する。
【0025】
さらにCPU40は、キー入力部36に含まれるレリーズボタンを押す際の撮影者の筋電位の変動を検出する筋電位検出部39が接続されており、筋電位検出部39が検出した筋電位が入力され、入力された筋電位に基づいて撮影者がレリーズボタンを押そうとしたか否かを判定する。
【0026】
<処理フロー>
図4は、この実施形態のフローチャートであり、筋電位検出撮影プログラムとしてフラッシュメモリ35に格納されている。撮像素子の画像取り込みタイミング、例えば1/30秒ごとにCPU40への割り込みが生じて、このフローが動作する。
【0027】
ステップS101では、レリーズボタンが半押しされたか否かを検出する。半押しが検出されなかった場合にはこのステップに戻り、動作を反復する。
【0028】
ステップS101でレリーズボタンの半押しが検出されると、CPU40は、自動合焦調整(AF)、自動露光調整(AE)を行い、撮像装置1を撮影準備状態とする(ステップS102)。引き続き、CPU40は、筋電位測定を行い(ステップS103)、半押しが継続しているか否かを確認する(ステップS104)。半押しが継続されていなければ(ステップS104でN)、撮影準備状態を解除しステップS101に戻って半押し検出動作を行う。
【0029】
半押しが継続されていれば(ステップS104でY)、今回測定された筋電位が前回の筋電位に比べて所定値よりも上昇しているか否かを判断する(ステップS105)。所定値よりも上昇していなければ(ステップS105でN)ステップS103に戻る。所定値よりも上昇していれば(ステップS105でY)撮影者が撮影動作を行おうとしたと判断して、現在のフレーム画像をバッファに保存する(ステップS106)。
【0030】
次のステップではレリーズボタンが全押しされたか否かを検出する(ステップS107)。レリーズボタンが全押しされていなければ(ステップS107でN)、筋電位が前回の筋電位に比べて所定値よりも上昇していると判断した時点から所定時間が経過しているかどうかを調べる(ステップS108)。所定時間が経過していれば(ステップS108でY)撮影者が撮影動作を思いとどまったものと判断して、バッファに保存しておいた画像を破棄しステップS103の筋電位測定に戻る。所定時間が経過していなければ(ステップS108でN)S107に戻って引き続き全押し判定を行う。
【0031】
レリーズボタンが全押しされていれば(ステップS107でY)撮影者が撮影動作を完了したものと判断してバッファに保存しておいた画像を撮影画像として記録して(ステップS109)このフローを完了する。
【0032】
以上のように、本実施形態ではレリーズボタンの押下する際の筋電位の大きな変化を検出した時点の画像を撮像画像とすることで、筋肉が動作するまでの時間による遅れ時間なしに撮影ができる。この際、判定を筋電位検出によっているため、反応時間計測モードを設けて反応時間計測など面倒な操作をしたりする必要がない。また、レリーズボタンの半押し検出後に筋電位の大きな変化を検出した時点の画像を撮像画像とすることで、筋肉が動作するまでの時間による遅れ時間なしに撮影ができる。また、レリーズボタンの半押し検出後に筋電位を前回の値と比較して大きな変化が有った時点を検出しているので、半押し前のレリーズボタンの押下以外の不用意な動作による誤検出が防げ、さらには、半押し継続による筋電位の緩やかな上昇が生じても検出を誤ることが無い。また全押し検出を行うことで撮影者の撮影意志の判定をより確実なものにすることができる。
【0033】
本実施形態では、レリーズボタン兼筋電位センサ3は、レリーズボタンの表面に表面電極A、周辺ベゼル部に表面電極Bを設けるとしたが、レリーズボタンの表面自体を分割して、これらをそれぞれ表面電極A、表面電極Bとしてもよい。
【0034】
また、撮影枚数の増加を特に気にとめないのであれば、全押し操作判定を待つことなくバッファに保存しておいた画像を撮影画像として記録しても良い。
【0035】
また、筋電位の変化を検出するに当たって、前回検出値との比較を行ったが、過去数回分の移動平均値と比較としても良い。
【0036】
<変形例>
図5は、第1の実施形態の変形例の外形図である。本変形例では筋電位センサを外付けのバンド形状の物とした。この筋電位センサを撮影者は上腕部に巻き付けて使用する。制御動作については第1の実施例と同じである。
【0037】
本変形例では、筋肉の近くで筋電位計測を行うことができ、電気的な雑音に対する耐性が強化されるという利点がある。
【0038】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態のフローチャートである。本実施形態では連続撮影(連写)を行う。
【0039】
ステップS201では、レリーズボタンが半押しされたか否かを検出する。半押しが検出されなかった場合にはこのステップに戻り、動作を反復する。
【0040】
ステップS201でレリーズボタンの半押しが検出されると、CPU40は、自動合焦調整(AF)、自動露光調整(AE)を行い、連写を開始する(ステップS202)。なお連写中は一定間隔で撮像が行われ、画像がバッファに蓄えられていく。引き続き、CPU40は、筋電位測定を行い(ステップS203)、半押しが継続しているか否かを確認する(ステップS204)。半押しが継続されていなければ(ステップS204でN)、撮影準備状態を解除しステップS201に戻って半押し検出動作を行う。
【0041】
半押しが継続されていれば(ステップS204でY)、今回測定された筋電位が前回の筋電位に比べて所定値よりも上昇しているか否かを判断する(ステップS205)。所定値よりも上昇していなければ(ステップS205でN)ステップS203に戻る。所定値よりも上昇していれば(ステップS205でY)撮影者が撮影動作を行おうとしたと判断して、現在のフレーム画像を見出し画像としてマークする(ステップS206)。
【0042】
次のステップではレリーズボタンが全押しされたか否かを検出する(ステップS207)。レリーズボタンが全押しされていなければ(ステップS207でN)、レリーズボタンが全押しされるのを待つ。
【0043】
レリーズボタンが全押しされていれば(ステップS207でY)、次のステップに進みアフターレコード時間分経過したかどうかを判定する(ステップS208)。アフターレコード時間分経過していなければ(ステップS208でN)、アフターレコード時間分経過するのを待つ。アフターレコード時間分経過していれば(ステップS208でY)、バッファに保存された画像のうち、筋電位が前回の筋電位に比べて所定値よりも上昇していると判断した時点からプリレコード時間分さかのぼった画像からアフターレコード時間分経過したと判断した時点までの一連の画像を連写画像として記録して(ステップS209)、マークされた画像をプレビュー画像としてLCD33に表示して(ステップS210)このフローを完了する。
【0044】
図7は、この実施形態による撮像画像と記録される画像の関係を図解したものである。レリーズボタンの半押しが検出された後に連写が開始され、筋電位の変化点でプレビュー画像用のマークがなされ、レリーズボタンの全押しが検出されてアフターレコード時間が経過したところで撮像を終了し、筋電位の変化点よりプリレコード時間分さかのぼった画像からアフターレコード時間分経過したと判断した時点までの一連の画像を連写画像として記録されている。
【0045】
以上のように、本実施形態ではレリーズボタンの押下する際の筋電位の大きな変化を検出した時点の画像をプレビュー画像としてマークし、これを基準とした前後の高速連写された撮像画像を連写画像とともに記録し、マークされた画像をプレビュー画像としてLCD33に表示とすることで、撮影者が意図した連写画像をよりわかりやすい形で記録することができる。また再生時にはマークされた画像を最初に表示するようにすれば、撮影者が記録した画像をたやすく探すことができるようになる。
【0046】
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第3の実施形態のフローチャートである。本実施形態では全押し中の筋電位変化に基づき撮影制御パラメターを調整する。
【0047】
ステップS301では、レリーズボタンが全押しされたか否かを検出する。全押しが検出されなかった場合にはこのステップに戻り、動作を反復する。
【0048】
ステップS301でレリーズボタンの全押しが検出されると、CPU40は、自動合焦調整(AF)、自動露光調整(AE)を行い、連写を開始する(ステップS302)。引き続き、CPU40は、筋電位測定を行い(ステップS303)、全押しが継続しているか否かを確認する(ステップS304)。全押しが継続されていなければ(ステップS304でN)、連写が終了したものとして連写画像を記録して(ステップS307)このフローを完了する。
【0049】
全押しが継続されていれば(ステップS304でY)、今回測定された筋電位が前回の筋電位に比べて所定値よりも上昇しているか否かを判断する(ステップS305)。所定値よりも上昇していなければ(ステップS305でN)ステップS303に戻る。所定値よりも上昇していれば(ステップS305でY)撮影者が強く意識している所望のシーンや被写体の可能性が高いと判断して、連写速度を高速、例えば60fpsに切り替えた後ステップS303の筋電位測定に戻る。以後筋電位が小さくなり定常状態に戻った場合には、通常の連写速度、例えば10fpsに戻るように制御する。
【0050】
以上のように、本実施形態ではレリーズボタンを全押ししている間の筋電位の大きな変化を検出して連写速度を切り替えるようにしたので、連写中でもレリーズボタンに加える力を少し強くするだけで、高速連写の利点を生かしながら、撮影枚数が多くならずに、所望のタイミングの画像を高速で逃さずに撮影できる。
【0051】
なお、レリーズボタンを全押ししている間の筋電位の大きな変化を検出して連写速度を切り替えるようにしたが、フォーカスの位置を順次切り替えながら、高速連写速度で連続撮影するAFブラケティング連写撮影を行うようにしても良い。そうすれば、撮影者が撮影を行おうとした瞬間の被写体に対して、フォーカスレンズの位置、すなわち、ピント状態がそれぞれ微妙に異なった画像を、複数枚連続記録できる。また、連写動作終了後、低速連写の各タイミング毎に、高速AFブラケティング連写を行ったところについては、高速AFブラケティングした複数画像の中から、最もピント状態の良い画像を、自動的に判別して選択し、保存記録するように制御してもよい。あるいは、最もピント状態の良い画像と判断されたものをプレビュー(保存記録候補)画像として最初に表示し、プレビュー表示で操作に応じて、前後の画像を選択してプレビュー表示させ、前後の他のタイミングの画像を保存記録するよう指定してもよい。撮影者は、被写体を狙うのに注力し、特に意識しないでも、指に力が入るようなシーンでは、自然に高速AFブラケティングに切り替わって、そのシーンは細かく撮影してくれるので、操作性を損なうことなしに、所望のシーンでは、フォーカス(ピント状態)の異なった複数枚の画像を自動撮影し、ピントの合った所望の画像を自動または手動で選択して、記録できる。
【0052】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、カメラは携帯電話と一体化した形態で、レリーズボタンはダイアルキーと兼用されていても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラ
2 筋電位センサ