(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ケース部に設けられた水冷式の前記第1冷却部は、前記モータおよび前記電力変換部を冷却するように構成されている、請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
前記隔壁には、前記モータと前記巻線切替部とを電気的に接続するための接続端子部を通過させる切欠部または穴部が設けられている、請求項8に記載のモータ駆動装置。
前記第1ケース部の前記第1領域および前記第2領域に対応する部分には、それぞれ、第2開口部および第3開口部が設けられている、請求項11または12に記載のモータ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、
図1を参照して、本実施形態による車両100およびモータ駆動部10の概略的な構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、車両100は、車両本体部101と、車両本体部101の内部に設けられたモータ駆動部10と、モータ駆動部10に接続されたバッテリ部20とを備えている。なお、モータ駆動部10は、「モータ駆動装置」の一例である。
【0017】
モータ駆動部10は、インバータ部1と、平滑コンデンサ2と、モータ3と、巻線切替部4と、制御部5とを含むように構成されている。なお、インバータ部1は、「電力変換部」の一例である。
【0018】
インバータ部1は、バッテリ部20から入力される直流電力を3相(U相、V相およびW相)の交流電力に変換してモータ3に出力するように構成されている。また、インバータ部1は、バッテリ部20に接続される直流入力端子TP1およびTN1と、モータ3に接続される交流出力端子TU1、TV1およびTW1とを有している。なお、インバータ部1の直流入力端子TP1およびTN1には、それぞれ、平滑コンデンサ2の端子TP2およびTN2が接続されている。この平滑コンデンサ2は、バッテリ部20から出力されてインバータ部1に入力される直流電力を平滑化するために設けられている。すなわち、平滑コンデンサ2は、バッテリ部20から出力される電圧の負荷による脈動を減少させるように構成されている。
【0019】
また、インバータ部1は、電力変換用の6つのスイッチ素子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6を含むように構成されている。スイッチ素子Q1およびQ2は、U相の電力変換を行うように構成されている。また、スイッチ素子Q3およびQ4は、V相の電力変換を行うように構成されている。また、スイッチ素子Q5およびQ6は、W相の電力変換を行うように構成されている。なお、スイッチ素子Q1〜Q6は、それぞれ、SiC(Silicon Carbide)からなる半導体により構成されている。
【0020】
モータ3は、インバータ部1から供給される3相の交流電力に基づいて駆動するように構成されている。また、モータ3は、高速駆動用の3相の巻線3aと、低速駆動用の3相の巻線3bとを含むように構成されている。なお、巻線3aおよび3bは、それぞれ、「高速駆動用巻線」および「低速駆動用巻線」の一例である。
【0021】
巻線3aおよび3bは、電気的に直列に接続されている。巻線3aの一方側の各相(U相、V相およびW相)の端子TU2、TV2およびTW2は、インバータ部1に接続されている。また、巻線3aの他方側で、かつ、巻線3bの一方側の各相の端子TU3、TV3およびTW3は、巻線切替部4の後述するダイオードブリッジDB1に接続されている。また、巻線3bの他方側の端子TU4、TV4およびTW4は、巻線切替部4の後述するダイオードブリッジDB2に接続されている。
【0022】
巻線切替部4は、モータ3の巻線3aおよび3bの接続状態を切り替える機能を有している。具体的には、巻線切替部4は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3を短絡させるための高速巻線切替スイッチSW1と、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4を短絡させるための低速巻線切替スイッチSW2とを含むように構成されている。なお、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2は、それぞれ、「スイッチ素子」の一例である。また、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2は、それぞれ、SiCからなる半導体により構成されている。
【0023】
また、巻線切替部4は、高速巻線切替スイッチSW1に接続されたダイオードブリッジDB1と、低速巻線切替スイッチSW2に接続されたダイオードブリッジDB2とを含むように構成されている。ダイオードブリッジDB1は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3にそれぞれ接続される端子TU5、TV5およびTW5を有している。また、ダイオードブリッジDB2は、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4にそれぞれ接続される端子TU6、TV6およびTW6を有している。
【0024】
ダイオードブリッジDB1は、モータ3の端子TU3、TV3およびTW3から出力される3相(U相、V相およびW相)の交流を整流するための6つのダイオードD11、D12、D13、D14、D15およびD16により構成されている。ダイオードD11およびD12は、U相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD13およびD14は、V相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD15およびD16は、W相の交流を整流するように構成されている。
【0025】
また、ダイオードブリッジDB2は、モータ3の端子TU4、TV4およびTW4から出力される3相(U相、V相およびW相)の交流を整流するための6つのダイオードD21、D22、D23、D24、D25およびD26により構成されている。ダイオードD21およびD22は、U相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD23およびD24は、V相の交流を整流するように構成されている。また、ダイオードD25およびD26は、W相の交流を整流するように構成されている。
【0026】
制御部5は、モータ駆動部10の外部に設けられる図示しない車両100全体の制御部に接続されている。また、制御部5は、インバータ部1および巻線切替部4に制御信号(インバータ制御信号、高速巻線切替制御信号および低速巻線切替制御信号)を出力するように構成されている。これにより、制御部5は、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6のスイッチングを制御するとともに、巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2のスイッチングを制御するように構成されている。なお、
図1には図示していないが、インバータ部1、巻線切替部4および制御部5は、それぞれ、電源回路を含むように構成されている。
【0027】
次に、
図2〜
図9を参照して、本実施形態によるモータ駆動部10の具体的な構成(構造)について説明する。
【0028】
図2〜
図9に示すように、モータ駆動部10は、インバータ部1、平滑コンデンサ2、モータ3および制御部5が収容された第1ケース部11と、巻線切替部4が収容された第2ケース部12とを備えている。なお、第1ケース部11および第2ケース部12は、それぞれ、「ケース部」の一例である。また、第1ケース部11および第2ケース部12は、それぞれ、アルミニウムなどの金属(鋳物)により構成されている。
【0029】
図3に示すように、第1ケース部11および第2ケース部12は、それぞれ、モータ3の回転軸31の延びる方向(軸方向:Y方向)に沿って延びる円筒状の部分11aおよび12aを含むように構成されている。なお、第1ケース部11の円筒状の部分11aは、「筒状部分」の一例である。
【0030】
ここで、本実施形態では、
図3に示すように、第1ケース部11および第2ケース部12は、ねじ部材31によって軸方向(Y方向)に沿って互いに締結されることにより結合されている。第1ケース部11の円筒状の部分11aには、ねじ部材31に螺合するねじ穴11bが、モータ3の回転方向に沿って複数(6つ)設けられている。このねじ穴11bは、第1ケース部11の矢印Y1方向側の端面から矢印Y2方向側に延びるように形成されている。また、
図3、
図6および
図7に示すように、第2ケース部12の円筒状の部分12aには、第1ケース部11のねじ穴11bに対応するねじ挿入穴12bが、モータ3の回転方向に沿って複数(6つ)設けられている。このねじ挿入穴12bは、第2ケース部の円筒状の部分12aをY方向に貫通するように形成されている。なお、第1ケース部11と第2ケース部12とが互いに結合されている部分(第1ケース部11と第2ケース部12との間の部分)は、防水機能を有する図示しないシール部材によって封止されている。
【0031】
図3および
図5に示すように、モータ3は、円筒状の部分11aの内側面側に取り囲まれた空間である第1領域R1に配置されている。また、インバータ部2は、円筒状の部分11aの外側面から上方(矢印Z1方向側)に突出するように形成された矩形形状の壁部11cに取り囲まれた凹形状の第2領域R2に配置されている。ここで、
図5に示すように、第1領域R1は、第1ケース部11の中央部に配置されている。また、第2領域R2は、第1領域R1に対してモータ3の回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に配置されている。これにより、第2領域R2に配置されたインバータ部1は、第1領域R1に配置されたモータ3に対して、モータ3の回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に配置されている。
【0032】
なお、
図3および
図5に示すように、平滑コンデンサ2は、インバータ部1が配置された第2領域R2に、インバータ部1と隣接するように配置されている。また、
図3に示すように、第2領域R2を取り囲む壁部11cの矢印X1方向側の部分には、平滑コンデンサ2の接続端子部61(上記
図1に示した端子TP2およびTN2のそれぞれに対応する接続端子)と、モータ駆動部10の外部に設けられるバッテリ部20(
図1参照)とを電気的に接続するための2本の接続配線71をそれぞれ貫通させる2つの貫通穴11dが設けられている。
【0033】
図4および
図5に示すように、第1ケース部11の円筒状の部分11aの内部には、インバータ部1およびモータ3を冷却するための水冷式の1つの冷却管13が設けられている。ここで、本実施形態では、
図5に示すように、冷却管13は、モータ3とインバータ部1との間に挟まれるように配置されている。これにより、インバータ部1、モータ3および巻線切替部4は、同一の冷却水路(1つの冷却管13により構成される冷却水路)によって水冷により冷却される。また、このような第1ケース部11およびその内部の冷却管13は、たとえば、砂型鋳造によって形成される。なお、冷却管13は、「第1冷却部」の一例である。
【0034】
図4および
図5に示すように、冷却管13は、円筒状の部分11aの内側面側の第1領域R1に配置されたモータ3を円周状に取り囲むように設けられている。具体的には、
図5に示すように、冷却管13は、円筒状の部分11aの内部において軸方向(Y方向)に延びる複数の直線状の部分13a(
図4参照)が、モータ3の回転方向に沿って略等間隔で複数配置されることにより構成されている。ここで、
図4に示すように、冷却管13の軸方向に延びる複数の直線状の部分13aは、軸方向の両端部において交互にU字状に折り曲げられて互いに接続されている。これにより、冷却管13は、円筒状の部分11aの矢印X2方向側の外側面から外側に突出する一方端部13bから他方端部13cまで冷却水が流れる一連の冷却水路を構成する。
【0035】
図2、
図3、
図6および
図7に示すように、第2ケース部12の円筒状の部分12aの矢印Y1方向側の端部には、モータ3の回転軸31と直交する方向(左右方向(X方向)および上下方向(Z方向))に延びる円形の平板状の部分12cが設けられている。この平板状の部分12cは、円筒状の部分12aと一体的に形成されている。ここで、本実施形態では、
図6に示すように、巻線切替部4は、平板状の部分12cの第1ケース部11側(矢印Y2方向側)の面に、図示しない熱伝導性を有するグリースなどの熱伝導部材を介して面接触した状態で取り付けられている。なお、以下では、平板状の部分12cの巻線切替部4が取り付けられる第1ケース部11側(矢印Y2方向側)の面を、取付面12dという。
【0036】
また、本実施形態では、
図2、
図3、
図6および
図7に示すように、第2ケース部12の平板状の部分12cの巻線切替部4が取り付けられる取付面12dとは反対側(矢印Y1方向側)の外表面には、巻線切替部4を冷却するための空冷式の冷却フィン(放熱フィン)12eが設けられている。この冷却フィン12eは、平板状の部分12cに対して垂直な方向(軸方向(Y方向))に直立した状態で上下方向(Z方向)に延びる板状部材12fが左右方向(X方向)に略等間隔で複数設けられることにより構成されている。これにより、冷却フィン12eの複数の板状部材12fが外気に接触することによって、巻線切替部4が空冷により冷却される。具体的には、巻線切替部4から発生した熱は、図示しない熱伝導部材および取付面12dを介して平板状の部分12cに伝達された後、冷却フィン12eの複数の板状部材12fを介して平板状の部分12cの取付面12dとは反対側(矢印Y1方向側)に放熱される。なお、冷却フィン12eは、「第2冷却部」の一例である。また、冷却フィン12eは、平板状の部分12cの取付面12dとは反対側(矢印Y1方向側)の外表面に一体的に形成されている。
【0037】
また、本実施形態では、
図3に示すように、第2ケース部12と、第1ケース部11の第1領域R1に配置されたモータ3との間には、モータ3の回転軸31と直交する方向(左右方向(X方向)および上下方向(Z方向))に延びる略円板形状の隔壁14が配置されている。この隔壁14の中央部には、回転軸31に接続される軸受14aが設けられている。ここで、
図3および
図8に示すように、隔壁14の左右方向(X方向)の中央部近傍で、かつ、上側(矢印Z1方向側)の部分には、モータ3の3つの接続端子部62(上記
図1に示した端子TU2、TV2およびTW2のそれぞれに対応する接続端子)を通過させるための1つの穴部14bが設けられている。
図9に示すように、隔壁14の穴部14bを通過したモータ3の3つの接続端子部62は、隔壁14のモータ3とは反対側(矢印Y1方向側)の表面に取り付けられた後述するL字形状を有する3つの接続端子部63にそれぞれねじ止めされている。
【0038】
また、
図3および
図8に示すように、隔壁14の上下方向(Z方向)の中央部近傍で、かつ、左右方向(X方向)の両端部には、モータ3と巻線切替部4とを電気的に接続するための6つの接続端子部64および65を通過させるための一対の切欠部14cが設けられている。なお、接続端子部64は、上記
図1に示したモータ3の端子TU3、TV3、TW3、TU4、TV4およびTW4のそれぞれに対応する接続端子である。また、接続端子部65は、上記
図1に示した巻線切替部4の端子TU5、TV5、TW5、TU6、TV6およびTW6のそれぞれに対応する接続端子である。
図9に示すように、隔壁14の切欠部14cを通過したモータ3の6つの接続端子部64と、巻線切替部4の6つの接続端子部65とは、互いにねじ止めされることにより電気的に接続されている。なお、
図3に示すように、モータ3および巻線切替部4は、それぞれ、接続端子部64および65が設けられている側において互いに対向するように配置されている。
【0039】
また、
図3、
図8および
図9に示すように、隔壁14のモータ3とは反対側(矢印Y1方向側)の面の上記穴部14bの近傍の部分には、L字形状を有する3つの接続端子部63が取り付けられている。なお、
図3、
図8および
図9には図示していないが、3つの接続端子部63は、それぞれ、樹脂などからなる絶縁部材を介して隔壁14の第2ケース部12側(矢印Y1方向側)の表面に取り付けられている。
図8および
図9に示すように、3つの接続端子部63は、モータ3の3つの接続端子部62と、インバータ部1の3つの接続端子部66(上記
図1に示した端子TU1、TV1およびTW1のそれぞれに対応する接続端子)にねじ止めされたL字形状を有する3つの接続端子部67とにそれぞれねじ止めされている。
【0040】
ここで、本実施形態では、
図3および
図9に示すように、第1ケース部11の円筒状の部分11aの第2ケース部12側(矢印Y1方向側)で、かつ、左右方向(X方向)の両側の部分には、矩形形状を有する一対の第1開口部11eが設けられている。
図9に示すように、一対の第1開口部11eは、モータ3の接続端子部64と巻線切替部4の接続端子部65とがねじ止めされている部分に対応する位置に配置されている。これにより、第1ケース部11と第2ケース部12とが結合された際に、モータ3の接続端子部64と巻線切替部4の接続端子部65とのねじ止め作業を、第1開口部11eを介して外部から行うことが可能である。また、
図2〜
図4に示すように、一対の第1開口部11eは、それぞれ、第1開口部11eに対応する形状(矩形形状)を有する一対の板状の第1蓋部15により覆われている。なお、第1蓋部15は、第1ケース部11の第1開口部11eに対応する部分に、図示しないねじ部材などにより開閉可能に取り付けられている。また、第1蓋部15と第1ケース部11との間の部分は、防水機能を有する図示しないシール部材によって封止されている。
【0041】
また、本実施形態では、
図3に示すように、第1ケース部11の第1領域R1に対応する部分には、円形形状を有する第2開口部11fが設けられている。この第2開口部11fは、第1ケース部11に結合された第2ケース部12により覆われている。また、
図3および
図5に示すように、第1ケース部11の第2領域R2に対応する部分には、矩形形状を有する第3開口部11gが設けられている。この第3開口部11gは、第3開口部11gに対応する形状(矩形形状)を有する板状の第2蓋部16により覆われている。第2蓋部16は、第1ケース部11の第2領域R2に対応する部分に、図示しないねじ部材などによって開閉可能に取り付けられている。また、第2蓋部16と第1ケース部11との間の部分は、防水機能を有する図示しないシール部材によって封止されている。
【0042】
なお、
図3および
図9に示すように、第1ケース部11の第2領域R2に対応する部分の底面部11hの矢印Y1方向側の端部には、L字形状を有する3つの接続端子部67を通過させる1つの穴部11iが設けられている。ここで、
図9に示すように、第1ケース部11の穴部11iを通過した3つの接続端子部67は、隔壁14に取り付けられた3つの接続端子部63と、インバータ部1の3つの接続端子部66とにそれぞれねじ止めされている。これにより、モータ3の接続端子部62と、インバータ部1の接続端子部66とは、接続端子部63および67を介して電気的に接続されている。
【0043】
また、
図3および
図5に示すように、第2蓋部16の第1ケース部11とは反対側(矢印Z1方向側)には、制御部5が配置される第3領域R3が設けられている。なお、第3領域R3は、第2蓋部16に一体的に形成された壁部16aに取り囲まれた凹形状の空間である。これにより、第2蓋部16は、制御部5を収容するためのケース部として機能するように構成されている。なお、第2蓋部16は、「第3ケース部」の一例である。
【0044】
ここで、
図3および
図5に示すように、第2蓋部16の第3領域R3に対応する部分には、第1ケース部11の第3開口部11gよりも小さい矩形形状を有する第4開口部16bが設けられている。この第4開口部16bは、第4開口部16bに対応する形状(矩形形状)を有する板状の第3蓋部17により覆われている。第3蓋部17は、第2蓋部16の第3領域R3に対応する部分に、図示しないねじ部材などによって開閉可能に取り付けられている。また、第3蓋部17と、第2蓋部16の第3領域R3に対応する部分との間の部分は、防水機能を有する図示しないシール部材によって封止されている。
【0045】
なお、
図3に示すように、第2蓋部16の第3領域R3を取り囲む壁部16aの矢印X1方向側の部分には、第3領域R3に配置された制御部5と、モータ駆動部10の外部に設けられる図示しない車両100全体の制御部とを接続するための1本の接続配線72(
図2参照)を通過させる1つの貫通穴16cが設けられている。また、
図3および
図9に示すように、第2蓋部16の第3領域R3に対応する部分の底面部16dの矢印Y1方向側の端部には、制御部5に接続される図示しない接続配線や接続端子部などを通過させるための穴部16eが設けられている。
【0046】
本実施形態では、上記のように、モータ3、巻線切替部4およびインバータ部1を収容する第1ケース部11および第2ケース部12を設け、第1ケース部11と第2ケース部12とを互いに結合する。これにより、モータ3、巻線切替部4およびインバータ部1を収容した第1ケース部11および第2ケース部12を互いに結合して一体化することができるので、モータ3、巻線切替部4およびインバータ部1が収容される各ケース部間にデッドスペースが生じるのを抑制することができる。また、巻線切替部4をモータ3に対して回転軸31に沿った方向(矢印Y1方向)に配置するとともに、インバータ部1をモータ3に対して回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に配置することによって、モータ3、巻線切替部4およびインバータ部1を軸方向(Y方向)に一直線状に配置する場合に比べて、モータ駆動部10の軸方向の長さを小さくすることができる。これらの結果、モータ駆動部10の省スペース化を図ることが可能な車両を提供することができる。この効果は、限られた配置スペース内に多数の部材を配置する必要のある車両100において特に有効である。
【0047】
また、本実施形態では、モータ2と、巻線切替部4およびインバータ部1とを電気的に接続するための接続配線を、互いに結合した第1ケース部11および第2ケース部12内に収容することができるので、モータ2と、巻線切替部4およびインバータ部1とを電気的に接続するための接続配線を設置するためのスペースを第1ケース部11および第2ケース部12の外部に別途設ける必要がない。これにより、モータ駆動部10の省スペース化をより図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、モータ2と、巻線切替部4およびインバータ部1とを電気的に接続するための接続配線を、互いに結合した第1ケース部11および第2ケース部12内に収容することによって、巻線切替部4およびインバータ部1のスイッチング動作(高速巻線切替スイッチSW1、低速巻線切替スイッチSW2およびスイッチ素子Q1〜Q6のスイッチング動作)に起因して接続配線から発生するノイズを、互いに結合した第1ケース部11および第2ケース部12によりシールドすることができる。これにより、巻線切替部4およびインバータ部1のスイッチング動作に起因して発生するノイズが、車両100の内部においてモータ駆動部10の周辺に設置される機器に悪影響を与えるのを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、モータ3およびインバータ部1を第1ケース部11に収容し、巻線切替部4を第2ケース部12に収容する。これにより、モータ3およびインバータ部1と巻線切替部4とが互いに別々のケース部(第1ケース部11および第2ケース部12)に収容されるので、巻線切替部4を比較的発熱しやすいモータ3およびインバータ部1から離間させることができる。その結果、巻線切替部4がモータ3およびインバータ部1からの熱によって悪影響を受けるのを抑制することができるので、巻線切替部4を良好に動作させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、モータ3およびインバータ部1を冷却するための水冷式の冷却管13を第1ケース部11に設け、巻線切替部4を冷却するための空冷式の冷却フィン12eを第2ケース部12に設ける。これにより、比較的発熱しやすいモータ3およびインバータ部1を、冷却性能の高い水冷式の冷却管13により冷却することができるとともに、比較的発熱しにくい巻線切替部4を、簡単な構造の空冷式の冷却フィン12eによって冷却することができる。その結果、巻線切替部4の冷却構造を簡略化しながら、比較的発熱しやすいモータ3およびインバータ部1を効果的に冷却することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、冷却フィン12eを、第2ケース部12の第1ケース部11とは反対側(矢印Y1方向側)に配置する。これにより、冷却フィン12eが外気に接触しやすい位置に配置されるので、冷却フィン12eによって巻線切替部4をより冷却することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、冷却フィン12eを、第2ケース部12の平板状の部分12cの取付面12dとは反対側(矢印Y1方向側)の面に配置し、巻線切替部4を、平板状の部分12cの取付面12dに図示しない熱伝導性を有するグリースなどの熱伝導部材を介して面接触させた状態で取り付ける。これにより、巻線切替部4から発生して熱伝導部材および取付面12dを介して平板状の部分12cに伝達された熱を、容易に、冷却フィン12eを介して平板状の部分12cの取付面12dとは反対側(矢印Y1方向側)に放熱することができる。また、巻線切替部4と取付面12dとを熱伝導部材を介して面接触させることによって、巻線切替部4から発生する熱を取付面12dに容易に伝達させることができる。これらの結果、冷却フィン12eによる巻線切替部4の冷却効果をより向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、第2ケース部12の外表面に一体的に設けた冷却フィン12eによって巻線切替部4を冷却する。これにより、第2ケース部12とは別個に設けた冷却手段によって巻線切替部4を冷却する場合と異なり、部品点数を削減することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、モータ3とインバータ部1との間に挟まれるように1つの冷却管13を配置する。これにより、モータ3およびインバータ部1(2つの発熱体)を、1つの冷却管13によって効率よく冷却することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11に収容されたモータ3と第2ケース部12に収容された巻線切替部4との間に、回転軸31と直交する方向(X方向(左右方向)およびZ方向(上下方向))に延びる隔壁14を配置する。これにより、隔壁14によって、モータ3から発生した熱が巻線切替部4側に直接伝達されるのを抑制することができる。その結果、巻線切替部4がモータ3からの熱によって悪影響を受けるのをより抑制することができるので、巻線切替部4をより良好に動作させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、隔壁14に、モータ3と巻線切替部4とを電気的に接続するための接続端子部64および65を通過させる切欠部14cを設ける。これにより、モータ3と巻線切替部4との間に隔壁14が配置されている場合でも、モータ3と巻線切替部4との接続作業を切欠部14cを介して容易に行うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、接続端子部64および65に対応する第1ケース部11の部分(第2ケース部12側(矢印Y1方向側)で、かつ、左右方向(X方向)の両側の部分)に第1開口部11eを設け、第1開口部11eを覆う開閉可能な第1蓋部15を設ける。これにより、接続端子部64および65の接続作業およびメンテナンス作業を、第1開口部11eを介して容易に行うことができる。また、第1開口部11eを第1蓋部15によって覆うことにより、第1開口部11eを介して異物が侵入するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、モータ3が配置される第1領域R1を第1ケース部11の中央部に設けるとともに、インバータ部1が配置される第2領域R2を第1領域R1に対して回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に設ける。これにより、モータ3およびインバータ部1を、第1領域R1および第2領域R2にそれぞれ配置することによって、容易に、インバータ部1をモータ3に対して回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に配置することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11を、モータ3の回転軸31に沿って延びる円筒状の部分11aを含むように構成する。そして、円筒状の部分11aの内側面側に第1領域R1を配置し、円筒状の部分11aの外側面側に第2領域R2を配置する。これにより、円筒状の部分11aの内側面側の領域を利用して、容易に、第1領域R1を第1ケース部11の中央部に設けることができる。また、円筒状の部分11aの外側面側の領域を利用して、容易に、第2領域R2を第1ケース部11の第1領域R1に対して回転軸31と直交する方向(矢印Z1方向)に設けることができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、第1ケース部11の第1領域R1および第2領域R2に対応する部分に、第2開口部11fおよび第3開口部11gをそれぞれ設ける。これにより、組立作業時やメンテナンス作業時において、第1領域R1に配置されたモータ3、および、第2領域R2に配置されたインバータ部1のそれぞれに対するアクセス(作業)を、第2開口部11fおよび第3開口部11gを介して容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、第2開口部11fを第2ケース部12によって開閉可能に覆うとともに、第3開口部11gを第2蓋部16によって開閉可能に覆う。これにより、第2ケース部12および第2蓋部16によって、第2開口部11fおよび第3開口部11gを介して異物が侵入するのを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、インバータ部1に入力される電力を平滑化する平滑コンデンサ2を、インバータ部1が配置される第2領域R2に配置する。これにより、平滑コンデンサ2とインバータ部1とを互いに近傍に配置することができるので、平滑コンデンサ2とインバータ部1との電気的な接続を容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、巻線切替部4およびインバータ部1の制御を行う制御部5を、第1ケース部11の第3開口部11gを覆う第2蓋部16の第3領域R3に配置する。これにより、制御部5を収容するための専用のケース部を第2蓋部16とは別個に設ける場合と異なり、部品点数を削減することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、第2蓋部16の制御部5が配置される第3領域R3に対応する部分に第4開口部16bを設けるとともに、第4開口部16bを覆う開閉可能な第3蓋部17を設ける。これにより、組立作業時やメンテナンス作業時において、第2蓋部16の第3領域R3に配置された制御部5に対するアクセス(作業)を、第4開口部16bを介して容易に行うことができる。また、第3蓋部17によって、第4開口部16bを介して異物が侵入するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、巻線切替部4の高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2と、インバータ部1のスイッチ素子Q1〜Q6を、それぞれ、SiCからなる半導体により構成する。これにより、スイッチ素子Q1〜Q6と、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2とが耐熱性に優れたSiCからなる半導体により構成されるので、インバータ部1および巻線切替部4が発熱体(たとえば、モータ3)の近傍に配置された場合でも、スイッチ素子Q1〜Q6と、高速巻線切替スイッチSW1および低速巻線切替スイッチSW2とを良好に動作させることができる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、モータ駆動部(モータ駆動装置)を車両に搭載する例を示したが、車両以外の船舶などに搭載してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、モータとインバータ部とを単一のケース部(第1ケース部)に収容する例を示したが、モータとインバータ部とをそれぞれ別々のケース部に収容してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、モータおよびインバータ部を水冷により冷却するとともに、巻線切替部を空冷により冷却する例を示したが、モータおよびインバータ部を空冷により冷却してもよいし、巻線切替部を水冷により冷却してもよい。また、モータ、インバータ部および巻線切替部を冷却素子により冷却してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、巻線切替部を空冷により冷却する場合の一例として、第2ケース部に一体的に設けた冷却フィンによって巻線切替部を冷却する例を示したが、第2ケース部とは別個に設けた冷却ファンによって巻線切替部を冷却してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、モータおよびインバータ部を水冷により冷却する場合の一例として、モータおよびインバータ部を同一の冷却水路(1つの冷却管)によって冷却する例を示したが、モータおよびインバータ部をそれぞれ別々の冷却管によって冷却してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、モータと巻線切替部との間に配置した隔壁に、モータと巻線切替部とを電気的に接続するための接続端子部を通過させる切欠部を設ける例を示したが、切欠部ではなく、穴部を設けてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、モータの接続端子部と巻線切替部の接続端子部との接続作業を、第1ケース部に設けた第1開口部を介して行う例を示したが、この第1開口部は、第2ケース部に設けてもよいし、第1ケース部および第2ケース部の両方に設けてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、円筒状の部分の内側面側および外側面側に互いに別個に設けられた2つの領域(第1領域および第2領域)内にモータおよびインバータ部をそれぞれ配置する例を示したが、単一のケース部の内側に形成される1つの領域内にモータおよびインバータ部を配置してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第1ケース部を円筒状の部分を含むように構成し、円筒状の部分の内側面側にモータを配置するとともに、円筒状の部分の外側面側にインバータ部を配置する例を示したが、第1ケース部を矩形形状の筒状部分を含むように構成し、矩形形状の筒状部分の内側面側にモータを配置するとともに、矩形形状の筒状部分の外側面側にインバータ部を配置してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、インバータ部が配置された第2領域に平滑コンデンサを配置する例を示したが、インバータ部と平滑コンデンサとをそれぞれ別々の領域に配置してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、制御部を収容するためのケース部(第3ケース部)を、第2蓋部と一体的に設ける例を示したが、第2蓋部とは別個に設けてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、インバータ部のスイッチ素子と、巻線切替部の高速巻線切替スイッチおよび低速巻線切替スイッチとを、それぞれ、SiCからなる半導体により構成する例を示したが、SiC以外のたとえばSiからなる半導体により構成してもよいし、半導体を含むスイッチ素子以外のスイッチ素子により構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、第1ケース部と第2ケース部とをねじ部材により互いに締結することによって結合する例を示したが、ねじ部材以外のたとえばカシメ部材などの締結部材によって締結することによって結合してもよいし、締結部材を用いずに、たとえば接着剤によって接着することにより結合してもよい。