特許第5700207号(P5700207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700207
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】ブイ
(51)【国際特許分類】
   B63B 22/00 20060101AFI20150326BHJP
   B63B 22/20 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   B63B22/00 C
   B63B22/20
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-36029(P2011-36029)
(22)【出願日】2011年2月22日
(65)【公開番号】特開2011-195139(P2011-195139A)
(43)【公開日】2011年10月6日
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2010-38525(P2010-38525)
(32)【優先日】2010年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591101674
【氏名又は名称】株式会社緑星社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】小沢 美喜男
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−018272(JP,Y1)
【文献】 特開2004−017844(JP,A)
【文献】 実公昭43−021300(JP,Y1)
【文献】 実公昭44−005130(JP,Y1)
【文献】 実公昭44−005129(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 22/00−22/28
A01K 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが備えられるブイ胴体部と、前記ブイ胴体部に備えられる浮体と、前記ブイ胴体部及び前記浮体よりも下方に備えられた錘部とを有するブイであって、
棒形状に形成され、上下方向に沿って配置され、下端部又は該下端部近傍に前記錘部が固定されるとともに該錘部を支持する支持部材と、
前記ブイ胴体部に備えられるとともに、前記錘部が前記ブイ胴体部に対して上下方向に沿って移動可能となるように、前記支持部材をその長手方向に沿って移動自在に保持する支持部材保持部と、
前記支持部材の上端部又は上端部近傍に設けられ、前記錘部の上下方向に沿った最下位置を規制する最下位置規制部とを有し、
前記最下位置規制部は、前記支持部材の上端部から伸縮自在に設けられ、前記支持部材の上端部から所定長さだけ突出するとそれ以上は伸長しない伸縮部材と、前記ブイ胴体部に対する、前記伸縮部材の上端部の下降限度位置を定めるストッパー部材とで構成されており、
前記ストッパー部材により定められる、前記ブイ胴体部に対する前記伸縮部材の上端部の下降限度位置が、前記ブイ胴体部の上部から上方へと突出する位置にあることを特徴とするブイ。
【請求項2】
前記錘部は、前記ブイが水に浮いた状態で、前記上下方向に沿った前記最下位置に位置することを特徴とする請求項1に記載のブイ。
【請求項3】
前記支持部材保持部は、前記支持部材の下端部又は該下端部近傍に固定された前記錘部の上部に当接した状態で、前記錘部の上下方向に沿った最上位置を規制することを特徴とする請求項又は請求項2に記載のブイ。
【請求項4】
前記伸縮部材の最上部に、引き上げハンドルが形成されていることを特徴とする請求項に記載のブイ。
【請求項5】
前記支持部材は、前記錘部が上下方向に沿った前記最上位置に位置する状態で、該支持部材の最上部が前記浮体及び前記ブイ胴体部の上部から突出するように形成されるとともに、該支持部材の最上部に把持部を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項6】
前記浮体と前記ブイ胴体部との間に、前記支持部材が貫通自在な孔部を有し、
前記支持部材は、前記錘部が上下方向に沿った前記最上位置に位置する状態で、当該支持部材の最上部が、前記孔部を通って前記浮体及び前記ブイ胴体部の上部から突出するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項7】
前記支持部材は、少なくとも2つの棒形状の支柱部を有し、
前記支柱部の最上部が連結されて前記把持部が形成されていることを特徴とする請求項5または請求項に記載のブイ。
【請求項8】
前記錘部の上下方向に沿った前記最上位置にて、前記ブイ胴体部に対する前記錘部の上下方向の位置を固定する、ロック機構が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項9】
前記ロック機構は、前記ブイ胴体部に対し、格納位置と突出位置との間を上下に揺動自在に軸支されたフックと、
前記ブイ胴体部に上下に揺動自在に軸支され、その傾斜角度に応じて前記フックを前記突出位置に固定するアームと、
前記支持部材の下端部又はその近傍ないし前記錘部に固定され、前記フックの前記ブイ胴体部からの突出量に応じて前記フックと係合ないし分離する、フック受けとを含むことを特徴とする請求項に記載のブイ。
【請求項10】
前記ロック機構は、前記ブイ胴体部の前記浮体よりも下方に突出する範囲を、前記ブイ胴体部に沿って上下方向に移動可能な可動浮体を備え、
該可動浮体の可動範囲の最下位置にて、該可動浮体により前記アームの揺動角度が制限されて、前記アームが、前記フックを前記突出位置に固定する傾斜角度に保持されることを特徴とする請求項に記載のブイ。
【請求項11】
前記フックは、上方に所定角度だけ傾斜した時に、その先端面が前記ブイ胴体部と平行な面をなすよう形成された棒体であり、
前記フック受けは、前記フックの傾斜角度に応じたオーバーラップ量を有する門型部材であることを特徴とする請求項又は請求項10記載のブイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブイに関し、特に保管が容易で、海上での使用時には長い状態で使用できるブイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、海、湖、川などの水面に浮べて使用されるラジオブイが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなラジオブイは、水面上に突き出るように設けられたアンテナを有する。
比較的小型のラジオブイでは、波や風等からの力により、アンテナが比較的大きく揺れる場合があり、アンテナの揺れが大きいと、アンテナからの電波放射特性が低下する。アンテナの揺れを小さくするために、ラジオブイの水面下の部分は、水上部分に対して比較的大きく形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−153876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、水面下で下方向に比較的長い胴体部を備える大型のブイでは、水面下部分の水による抵抗が比較的大きいので、アンテナの揺れが比較的小さい。しかし、この大型のブイ胴体部は比較的長いので、船や運搬車両等で運搬しにくい場合がある。また、ブイ胴体部が比較的長いので、船上等の保管場所で保管しにくい場合がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、水上で使用時には波や風等から力を受けてもアンテナの揺れが比較的小さく、運搬時には運搬しやすく、保管時には保管しやすい、比較的簡単な構造のブイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。又、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)アンテナが備えられるブイ胴体部と、前記ブイ胴体部に備えられる浮体と、前記ブイ胴体部及び前記浮体よりも下方に備えられた錘部とを有するブイであって、棒形状に形成され、上下方向に沿って配置され、下端部又は該下端部近傍に前記錘部が固定されるとともに該錘部を支持する支持部材と、前記ブイ胴体部に備えられるとともに、前記錘部が前記ブイ胴体部に対して上下方向に沿って移動可能となるように、前記支持部材をその長手方向に沿って移動自在に保持する支持部材保持部と、前記支持部材の上端部又は上端部近傍に設けられ、前記錘部の上下方向に沿った最下位置を規制する最下位置規制部とを有し、
前記最下位置規制部は、前記支持部材の上端部から伸縮自在に設けられ、前記支持部材の上端部から所定長さだけ突出するとそれ以上は伸長しない伸縮部材と、前記ブイ胴体部に対する、前記伸縮部材の上端部の下降限度位置を定めるストッパー部材とで構成されており、前記ストッパー部材により定められる、前記ブイ胴体部に対する前記伸縮部材の上端部の下降限度位置が、前記ブイ胴体部の上部から上方へと突出する位置にあるブイ(請求項1)。
(2)上記(1)項において、前記錘部は、前記ブイが水に浮いた状態で、前記上下方向に沿った前記最下位置に位置するブイ(請求項2)。
【0008】
上記ブイは、支持部材保持部により保持された錘部が、ブイ胴体部に対して上下方向に移動自在に構成される。また、上記ブイは、最下位置規制部により錘部の上下方向に沿った最下位置が規制される。このため、例えば上記ブイが水上に浮いた状態では、錘部が自重により下方に向かって移動し、錘部は支持部材により最下位置で保持される。
例えば水上で使用時には、上記ブイ胴体部に相当する部分は比較的大型となり、ブイの重心が比較的低い位置となる。このため、上記ブイでは、波や風等から力を受けてもアンテナの揺れが比較的小さい。
また、例えば保管時又は運搬時には、船上等の設置面上にブイが配置されると、錘部が上向きにブイ胴体部に向かって移動する。このため、上記ブイは、保管時又は運搬時に比較的小型のブイとなる。
【0009】
【0010】
【0011】
、例えば水上に浮いた状態では、錘部が自重により下方に向かって移動し、支持部材に対する伸縮部材の最大伸張状態において、ストッパー部材によりブイ胴体部に対する伸縮部材の上端部の下降限度位置が定められると、ストッパー部材に対する支持部材の長手方向下方への移動も、ストッパー部材及び伸縮部材によって定められる。その結果、支持部材に固定された錘部の上下方向に沿った最下位置が規制され、錘部は支持部材により最下位置で保持されるものである。
【0012】
、ブイ胴体部に対する伸縮部材の上端部の下降限度位置が、ストッパー部材により、ブイ胴体部の上部から上方へと突出する位置に定められることで、例えば水上に浮いた状態において、伸縮部材の上端部は、ブイ胴体部の上部から上方へと突出する位置に保持されることとなる。そして、この突出した伸縮部材に対し、例えば操作者が、水面上から上向きに力を加え、伸縮部材を上方へと引き上げることで、伸張部材とともに支持部材が引き上げられ、支持部材により最下位置で保持された状態の錘部も上向きにブイ胴体部に向かって移動する。このため、ブイは比較的小型となる。
【0013】
)上記()()項において、前記支持部材保持部は、前記支持部材の下端部又は該下端部近傍に固定された前記錘部の上部に当接した状態で、前記錘部の上下方向に沿った最上位置を規制するブイ(請求項)。
本項に記載のブイは、比較的簡単な構造で、錘部の上下方向に沿った最上位置を規制することが可能である。例えば操作者が、支持部材に上向きに力を加えた場合、支持部材の下端部又は該下端部近傍に固定された錘部の上部が支持部材保持部に当接し、錘部の上下方向に沿った最上位置を規制することで、支持部材保持部を介してブイ胴体部に上向きの力が加わり、比較的安定した状態でブイを持ち上げることが可能である。
【0014】
)上記()項において、前記伸縮部材の最上部に、引き上げハンドルが形成されているブイ(請求項)。
本項に記載のブイは、例えば操作者が、引き上げハンドルに上向きに力を加えた場合、引き上げハンドルを最上部に備える伸縮部材は、支持部材に対する伸縮部材の最大伸張状態まで伸張し、支持部材に上向きの力を伝える。すると、支持部材の下端部又は該下端部近傍に固定された錘部の上部が支持部材保持部に当接し、錘部の上下方向に沿った最上位置を規制することで、支持部材保持部を介してブイ胴体部に上向きの力が加わり、比較的安定した状態でブイを持ち上げることが可能である。
【0015】
)上記(1)から()項において、前記錘部が上下方向に沿った前記最上位置に位置する状態で、支持部材の最上部が前記浮体及び前記ブイ胴体部の上部から突出するように形成されるとともに、支持部材の最上部に把持部を備えるブイ(請求項)。
上記ブイによれば、錘部が上下方向に沿った最上位置に位置する状態で、支持部材の最上部が浮体及びブイ胴体部の上部から突出している。このため、例えば操作者が、ブイ胴体部の上部から突出した支持部材最上部の把持部に対して、上向きに力を加えると、錘部が下方に移動することなく、錘部が最上位置に位置する状態で、比較的小型状態のブイを簡単に持ち上げることが可能である。
【0016】
)上記(1)から()項において、前記浮体と前記ブイ胴体部との間に、前記支持部材が貫通自在な孔部を有し、前記支持部材は、前記錘部が上下方向に沿った前記最上位置に位置する状態で、当該支持部材の最上部が、前記孔部を通って前記浮体及び前記ブイ胴体部の上部から突出するように形成されているブイ(請求項)。
上記ブイでは、錘部が上下方向に沿った最上位置に位置する状態で、支持部材の最上部が孔部を通って浮体及びブイ胴体部の上部から突出する。すなわち、例えば操作者が、前記孔部を通って前記浮体及び前記ブイ胴体部の上部から突出する、支持部材の最上部に形成された把持部に上向きに力を加えると、上記ブイを比較的簡単に、且つ比較的安定した状態で持ち上げることが可能である。
【0017】
)上記()から()項において、前記支持部材は、少なくとも2つの棒形状の支柱部を有し、前記支柱部の最上部が連結されて前記把持部が形成されているブイ(請求項)。
上記ブイでは、支柱部の最上部が連結されて把持部が形成されるので、この把持部は、比較的簡単な構造で高い強度を有する。
【0018】
)上記(1)から()項において、前記錘部の上下方向に沿った前記最上位置にて、前記ブイ胴体部に対する前記錘部の上下方向の位置を固定する、ロック機構が設けられているブイ(請求項)。
本項に記載のブイは、例えば保管時又は運搬時には、ロック機構によって、ブイ胴体部に対する錘部の上下方向の位置が、錘部の上下方向に沿った最上位置に固定され、比較的小型のブイとなる。一方、例えば水上で使用時には、ロック機構を開放することで、錘部が自重により下方に向かって移動し、ブイ胴体部に相当する部分は比較的大型となり、ブイの重心が比較的低い位置となる。このため、上記ブイでは、波や風等から力を受けてもアンテナの揺れが比較的小さいものとなる。
【0019】
)上記()項において、前記ロック機構は、前記ブイ胴体部に対し、格納位置と突出位置との間を上下に揺動自在に軸支されたフックと、前記ブイ胴体部に上下に揺動自在に軸支され、その傾斜角度に応じて前記フックを前記突出位置に固定するアームと、前記支持部材の下端部又はその近傍ないし前記錘部に固定され、前記フックの前記ブイ胴体部からの突出量に応じて前記フックと係合ないし分離する、フック受けとを含むブイ(請求項)。
【0020】
本項に記載のブイは、ブイ胴体部に対する錘部の上下方向の位置が、錘部の上下方向に沿った最上位置にあるとき、支持部材の下端部又はその近傍ないし錘部に固定されたフック受けに対し、ブイ胴体部に対し、格納位置と突出位置との間を上下に揺動自在に軸支されたフックが係合する。そして、ブイ胴体部に上下に揺動自在に軸支されたアームにより、フックを突出位置に固定することで、フック受けに対するフックの係合状態が維持され、錘部の上下方向に沿った最上位置にて、ブイ胴体部に対する錘部の上下方向の位置を固定するものである。
一方、ブイ胴体部に上下に揺動自在に軸支されたアームの傾斜角度を変えて、フックの突出位置での固定を解除し格納位置へと揺動させることで、フック受けに対するフックの係合状態が解除され、ロック機構は開放されることとなる。
【0021】
10)上記()項において、前記ロック機構は、前記ブイ胴体部の前記浮体よりも下方に突出する範囲を、前記ブイ胴体部に沿って上下方向に移動可能な可動浮体を備え、該可動浮体の可動範囲の最下位置にて、該可動浮体により前記アームの揺動角度が制限されて、前記アームが、前記フックを前記突出位置に固定する傾斜角度に保持されるブイ(請求項10)。
【0022】
本項に記載のブイは、ブイ胴体部の浮体よりも下方に突出する範囲を、ブイ胴体部に沿って上下方向に移動可能な可動浮体を備えており、この可動浮体は、例えば保管時又は運搬時には、可動浮体が自重により可動範囲の最下位置に下降し、アームの揺動角度を制限するものである。このとき、アームが、フックを突出位置に固定する傾斜角度に保持されることで、フック受けに対するフックの係合状態が維持され、ロック機構はロック状態となり、錘部の上下方向に沿った最上位置にて、ブイ胴体部に対する錘部の上下方向の位置を固定するものである。
一方、例えば水上で使用時には、可動浮体が浮力を受けて可動範囲の最下位置からブイ胴体部の上方へと移動することで、アームの揺動角度の制限が解除され、ブイ胴体部に対しアームが上下に揺動自在な状態となる。よって、フックの突出位置での固定が解除され、格納位置への揺動か可能となり、フック受けに対するフックの係合状態が解除され、ロック機構は開放されることとなる。
【0023】
11)上記()(10)項において、前記フックは、上方に所定角度だけ傾斜した時に、その先端面が前記ブイ胴体部と平行な面をなすよう形成された棒体であり、前記フック受けは、前記フックの傾斜角度に応じたオーバーラップ量を有する門型部材であるブイ(請求項11)。
【0024】
本項に記載のブイは、門型部材であるフック受けに対して、フックの傾斜角度に応じたオーバーラップが生じた状態で、フックとフック受けとが係合状態となり、ロック機構はロック状態となる。又、例えば、フックが突出位置から上方ないし下方傾斜して、フック受けに対するフックのオーバーラップが解消されると、ロック機構は開放され、錘部が自重により下方に向かって移動することが可能となる。
更に、例えば上記ブイが水上に浮き、錘部が支持部材により最下位置で保持された状態において、操作者が、引き上げハンドルを持上げる等により、支持部材に上向きに力を加えた場合には、支持部材と共に錘部が上方へ向かって移動する。そして、支持部材の下端部又はその近傍ないし錘部に固定されたフック受けが、フックの近傍まで上昇する。このとき、フックの先端面がブイ胴体部と平行な面をなすことで、フック受けはフックの先端をすり抜けて更に上昇し、フックと係合する位置となる。
又、フックの角度の如何にかかわらず、可動浮体がブイ胴体部の上方へと移動し、アームの揺動角度の制限が解除されている状態では、フック受けによってフックを上方へと押し上げ、フックが上方に所定角度だけ傾斜することで、フック受けはフックの先端をすり抜けて更に上昇することとなる。その後は、フック受けに対して、フックの傾斜角度に応じたオーバーラップが生じて、フックとフック受けとが係合状態となり、ロック機構が再びロックされ得る状態となる。そして、可動浮体が可動範囲の最下位置へと下降し、アームの揺動角度を制限することで、ロック機構のロック状態が維持される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、水上で使用時には波や風等から力を受けてもアンテナの揺れが比較的小さく、運搬時には運搬しやすく、保管時には保管しやすい、比較的簡単な構造のブイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の参考例のブイの側面図(運搬時又は保管時)である。
図2図2は、図1に示したブイの側面図(水上使用時)である。
図3図3は、図1に示したブイの上面図である。
図4図4は、図3に示したブイの上面側の斜視図である。
図5図5は、図3に示したブイのA−A線に沿った断面図(錘部が最上位置)である。
図6図6は、図1に示したブイのブイ胴体部、支持部材、錘部の拡大斜視図である。
図7図7は、図1に示したブイの下面図である。
図8図8は、図4に示したブイの透視下面図である。
図9図9は、錘部が最上位置と最下位置の間に位置した状態のブイの断面図である。
図10図10は、錘部が最下位置のブイの断面図である。
図11図11は、本発明の他の参考例のブイの側面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態のブイを示すものであり、(a)は平面図、(b)は運搬時又は保管時の側面図である。
図13図13は、図12に示したブイの錘部が最下位置の側面図(水上使用時)である。
図14図14は、図12に示したブイのロック機構を示すものであり、(a)は図12(b)のB−B線に沿った断面図、(b)は(a)のC−C線に沿った断面図である。
図15図15は、図14(b)の矢視D図である。
図16図16は、図14図15に示したロック機構の、ロック状態を示す斜視図である。
図17図17は、図16に示したロック機構の、ロック状態からロック解除状態への移行中を示す斜視図である。
図18図18は、図16に示したロック機構の、ロック解除状態を示す斜視図である。
図19図19は、図12に示したブイの上面側の斜視図であり、支持部材に対して、伸縮部材(引き上げハンドル)が最も短縮した状態を示すものである。
図20図20は、図12に示したブイの上面側の斜視図であり、支持部材に対して、伸縮部材(引き上げハンドル)が最も伸張した状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の参考例のブイ1は、例えば、海、川、湖などの水面に浮べて使用され、電波を反射可能または所定の電波を送受信可能に構成されている。また、参考例のブイ1は、例えば、漁場の所定位置の海面に浮べて使用されるラジオブイである。例えば、電波受信装置は、このブイ1から放射された電波、又はブイ1で反射された電波を受信することで、このブイ1の位置を特定し、漁場の所定位置を検知することができる。
また、参考例のブイ1は本体部が上下方向に伸縮自在に構成されている。図1に示すように、運搬時又は保管時には、ブイ1は、船上の甲板や地面などの設置面100上に配置されて比較的小型である。
また、図2に示すように、水面101上で使用時には、ブイ1は本体部が上下方向に伸びた状態となり比較的大型になる。
以下、本発明の参考例のブイ1について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1図2に示すように、参考例のブイ1は、ブイ胴体部2と、浮体3と、錘部4と、支持部材5と、支持部材保持部6と、アンテナ7とを有する。
ブイ胴体部2には、アンテナ7が備えられる。浮体3は、ブイ胴体部2に備えられる。錘部4は、ブイ胴体部2及び浮体3よりも下方に備えられる。また、参考例のブイ1では、錘部4がブイ胴体部2に対して上下方向に移動自在に構成されている。
以下、ブイ1の各構成要素について説明する。
【0029】
<ブイ胴体部2>
ブイ胴体部2は、例えば円柱形状に形成されている。ブイ胴体部2の形成材料としては、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属を採用することができる。ブイ胴体部2の内部には、図5に示すように、例えば送信回路や受信回路等の無線回路、バッテリ、制御回路、GPS(Global Positioning System)信号受信回路等の各種装置8が備えられている。
【0030】
参考例のブイ胴体部2は、図5に示すように、筒形状部21と、底部22と、蓋部23とを有する。参考例では、筒形状部21と底部22とが一体的に形成されている。
【0031】
図3図5に示すように、筒形状部21の上部には、突出部211、リング形状部212、及び複数の腕部213が形成されている。リング形状部212は、浮体3の外径より小さく、蓋部23の外径より大きい形状に形成されている。リング形状部212と突出部211とは、複数(参考例では4本)の腕部213を介して接続されている。また、図3図4に示すように、突出部211とリング形状部212の間には、複数(参考例では4つ)の穴部214が形成されている。また、リング形状部212の上部には、複数の把持部215が形成されている。
【0032】
上記突出部211、リング形状部212、及び腕部213は、浮体3の上部を保持する上部浮体保持部に相当する。
【0033】
突出部211は、図3図5に示すように、ブイ胴体部2の上部近傍又は上端部に形成され、径方向外側に向けて屈曲するとともに突出した形状に形成されている。参考例の突出部211は、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する手段に相当する。
【0034】
蓋部23は、図3図5に示すように、筒形状部21の上端部に着脱自在に設けられている。参考例では、例えばボルトやナット等の固定部材23aにより、蓋部23が筒形状部21の上端部に固定される。
【0035】
参考例の蓋部23は、図3図4に示すように、第1のアンテナ取付部(垂直設置用)231と、第2のアンテナ取付部(傾斜設置用)232と、窓部233と、調節用金具234と、導電線引込部235とを有する。
【0036】
第1のアンテナ取付部231は、図2図5に示すように、筒形状に形成され、蓋部23の中央部に設けられ、アンテナ7を着脱可能に形成されている。また、第1のアンテナ取付部231は、アンテナ7がブイ胴体部2の長手方向に沿って上向きに延出するように形成されている。第1のアンテナ取付部231の内部には、図5に示すように、アンテナ取付金具231aが設けられている。アンテナ7の下端部が、アンテナ取付金具231aに電気的に接続可能である。
【0037】
第2のアンテナ取付部232は、図2図5に示すように、筒形状に形成され、蓋部23の外周近傍に設けられ、アンテナ7を着脱可能に形成されている。また、第2のアンテナ取付部232は、アンテナ装着時、アンテナ7がブイ胴体部2の長手方向に対して傾斜するように形成されている。
【0038】
図3図4に示すように、窓部233は、例えば樹脂やガラス等の光透過性部材で構成されている。この窓部233を通して、ブイ胴体部2内部の各種装置8の所定部分を視認することが可能である。
【0039】
調節用金具234は、例えば蓋部234に対して回転自在に設けられており、ブイ胴体部2内部の各種装置8の調節部に接続されている。調節用金具234は、例えば、ブイ胴体部2の各種装置8を調節する際に、操作者により操作される。
【0040】
導電線引込部235には、例えば、ブイ胴体部2内部の各種装置8と外部装置とに電気的に接続可能な導電線が設けられている。
【0041】
ブイ胴体部2の側面部の略中央部には、図1図2図5図8に示すように、平板形状の浮体保持部24が設けられている。この浮体保持部24は、浮体3の下部に配置されており、ブイ胴体部2に対して浮体3を支持する。参考例の浮体保持部24は、2つの平板形状部を有する。ブイ胴体部2は、この2つの平板形状部の間に位置するように配置されている。この2つの平板形状部のブイ胴体部側は、ブイ胴体部2に例えば溶接などにより接続されている。また、図5図8に示すように、この浮体保持部24の2つの平板形状部は、ブイ胴体部2と浮体3との間に形成される孔部36に、支持部材5が貫通自在となるように設けられている。
【0042】
ブイ胴体部2の下部には、図6に示すように、補強用のリング形状部材25が備えられている。このリング形状部材25は、板形状の複数(参考例では4つ)のリング保持部26により保持されている。
【0043】
<浮体3>
浮体3は、図1図5図7図8に示すように、円筒形状(環形状)に形成されている。参考例の浮体3は、図3に示すように、半円筒状の第1の浮体部31と第2の浮体部32とを有し、それぞれが紐や布等の固定部33,34で固定される。
浮体3は、例えば1より小さい比重の材料で構成されている。浮体3の形成材料としては、例えば発泡プラスチック等の樹脂を採用することができ、側面には、防水布が設けられている。
また、浮体3は、図1,2に示すように、ブイ胴体部2の側面の上部近傍に、ブイ胴体部2に対して同心状に設けられている。上述したように、浮体3は、ブイ胴体部2の突出部211と、リング形状部212と、及び腕部213と、浮体保持部24とにより保持されている。
【0044】
また、浮体3の内周部35は、図8に示すように、上下方向に直交する方向に沿った断面が、トラック形状又は略楕円形状に形成されている。上記浮体3が、円柱形状のブイ胴体部2に装着された場合、図4図5図8に示すように、浮体3とブイ胴体部2との間に、孔部36が形成される。そしてブイ1は、孔部36に支持部材5の最上部が貫通自在となるように構成されている。
【0045】
<錘部4>
錘部4は、図1図2図5図6に示すように、ブイ胴体部2及び浮体3よりも下方に備えられ、支持部材5により支持され、ブイ胴体部2に対して上下方向に沿って移動自在となるように構成されている。錘部4の形成材料としては、例えば、鉄などの金属を採用することができる。
錘部4は、図6に示すように、円板形状に形成されており、中央部に通水用の孔部41が形成されている。錘部4の外周部には、例えばゴム等の樹脂材料で形成された緩衝部材42が設けられている。
【0046】
上記錘部4の重量は、ブイ1を水上に浮べた場合に、錘部4の自重により下方向に移動するように規定されている。また、錘部4の重量は、ブイ1に波や風による力を受けた場合に、アンテナ7の揺れが比較的小さくなるように規定されている。
また、錘部4の上下方向に沿った最上位置は、ブイ1に波や風による力を受けた場合に、アンテナ7の揺れが比較的小さくなるように規定されている。
【0047】
<支持部材5>
支持部材5は、棒形状に形成されており、図1図2図5図6に示すように、上下方向に沿って配置されている。詳細には、棒形状の支持部材5の長手方向が、筒形状部21の長手方向と平行になるように配置される。上述したように、支持部材5の下端部又は下端部近傍には、錘部4が固定されている。つまり、支持部材5は錘部4を支持している。
【0048】
この支持部材5の支柱部の上端部又は上端部近傍は、図6に示すように、屈曲形状に形成されており、錘部4の上下方向に沿った最下位置を規制する最下位置規制部を有する。
【0049】
また、図6に示すように、支持部材5は、少なくとも2つの棒形状の支柱部(参考例では4つの支柱部501,502,503,504)を有する。以下、支持部材5の支柱部について詳細に説明する。
【0050】
図6に示すように、参考例の支持部材5の支柱部501〜504は、棒形状部51と、屈曲部52と、棒形状部53と、把持部54とを有し、それぞれが一体的に形成されている。
【0051】
棒形状部51は、上下方向に沿って配置されている。棒形状部51は、筒形状部21の下端部近傍に設けられた支持部材保持部6によりブイ胴体部2にスライド自在に設けられている。この棒形状部51の下端部に錘部4が固定され、棒形状部51の上端部に屈曲部52が設けられている。
【0052】
屈曲部52は、図4図6に示すように、ブイ胴体部2に対して離間する方向(外方向)に屈曲するとともに突出した形状に形成され、棒形状部53の下端部に接続されている。屈曲部52の上面部521は、図5に示すように、突出部211の下部211aに当接した状態で、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する。つまり、屈曲部52と突出部211は、錘部4の最上位置を規制する最上位置規制部の一実施形態に相当する。
【0053】
また、屈曲部52の下面部522は、支持部材保持部6の上部61に当接することで、錘部4の上下方向に沿った最下位置を規制する。屈曲部52は、本発明の最下位置規制部の一実施形態に相当する。
【0054】
棒形状部53は、上下方向に沿って配置されている。この棒形状部53の上端部には、把持部54が備えられている。詳細には、図6に示すように、支柱部501と支柱部502との最上部が連結されており、その最上部に把持部54(541)が形成されている。支柱部503と支柱部504との最上部が連結されており、その最上部に把持部54(542)が形成されている。
【0055】
また、参考例のブイ1では、図1図4図5に示すように、錘部4が上下方向に沿った最上位置に位置する状態で、支持部材5の最上部に形成された把持部54が、浮体3とブイ胴体部2との間に形成された孔部36を通って、浮体3及びブイ胴体部2の上部から突出するように形成されている。
【0056】
<支持部材保持部6>
支持部材保持部6は、図1図2図5図6図9に示すように、ブイ胴体部2の側面の下端部又は下端部近傍に備えられている。支持部材保持部6は、錘部4がブイ胴体部2に対して上下方向に沿って移動可能となるように、支持部材5をその長手方向に沿って移動自在に保持する。詳細には、図6に示すように、支持部材保持部6は、筒形状に形成されており、支持部材5の支柱が貫通された状態で、その支持部材5を移動自在に保持している。支持部材保持部6の内径は、支持部材5の支柱の外径よりも大きい径又は略同じ径である。
参考例の支持部材保持部6の長手方向の長さは、例えば、支持部材保持部6とブイ胴体部2との間の接合強度、支持部材5の移動時の摩擦抵抗、錘部4の横揺れ時の安定性などが最適となるように規定される。参考例の支持部材保持部6の長手方向の長さは、ブイ胴体部2の長手方向の長さの約10〜20%程度に規定されている。
また、参考例のブイ1は、屈曲部52の下面部522が、支持部材保持部6の上部61に当接することで、錘部4の上下方向に沿った最下位置を規制する。
【0057】
<アンテナ7>
アンテナ7は、下部から上部にかけて徐々にその径が小となるように形成された棒形状の部材である。アンテナ7は内部に長手方向に沿った金属線を有し、外周にFRP(Fiber Reinforced Plastics)などの樹脂を有する。アンテナ7は下端部が第1のアンテナ取付部231又は第2のアンテナ取付部232に設けられる。参考例では、アンテナ7が、ブイ胴体部2の内部に備えられた無線回路に電気的に接続される。参考例のアンテナ7の長さは、約1m〜4m程度である。
【0058】
参考例のブイ1の製造方法>
次に、参考例のブイ1の製造方法を説明する。
第1のステップでは、ブイ胴体部2、浮体3、錘部4、及び支持部材5を準備する。この際、支持部材5は、複数の棒形状の金属部材を加工することにより、図5図6に示す形状に形成する。
第2のステップでは、図5に示すように、支持部材5及び支持部材保持部6を、ブイ胴体部2の所定位置に設ける。
第3のステップでは、支持部材5の下部に錘部4を固定する。
第4のステップでは、ブイ胴体部2に浮体3を取り付ける。
上記ステップにより、参考例のブイ1が作製される。
【0059】
なお、ブイ使用時には、アンテナ7がブイ胴体部2のアンテナ取付部231,232に取り付けられ、保管時や運搬時にはアンテナ7が取り外される。
【0060】
ブイ1の製造方法は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、参考例のブイ1を作製することができれば、各ステップの順番は適宜変更してもよい。
【0061】
次に、参考例のブイ1の使用方法を、図1から図10を参照しながら説明する。なお、図9図10ではアンテナ7を省略している。
【0062】
<運搬時又は保管時>
運搬時又は保管時には、図1に示すように、ブイ1が船上や地面などの設置面100上に配置されている。この状態では、図1図5に示すように、錘部4は設置面100から上方向に力を受ける。図4図5に示すように、突出部211の下部211aに、支持部材5の屈曲部52の上面部521が当接した状態であり、錘部4の上下方向に沿った最上位置L1が規制されている。ブイ1は、図1図5に示すように、錘部4が上下方向に沿った最上位置L1に位置し、比較的小型となっている。また、図5に示すように、この状態のブイ1の重心位置G1は、例えばブイ胴体部2の略中央に位置する。
【0063】
図3図5に示すように、ブイ1は、支持部材5の最上部に形成された把持部54が、孔部36を通って浮体及びブイ胴体部2の上面部よりも突出している。例えば、操作者が手により把持部54を把持して、把持部54に上向きの力を加えると、ブイ1のブイ胴体部2の上部に形成された突出部211に上向きに力が加わる。このため、ブイ1の錘部4が下方向に移動することなく、操作者はブイ1を比較的安定した状態で持ち上げることが可能である。
【0064】
<水上使用時>
次に、ブイ1を海上などの水面101上で使用する場合を説明する。
例えば操作者は、図2に示すように、ブイ1のアンテナ取付部231にアンテナ7を取り付けて、ブイ1を水面101に浮べる。詳細には、ブイ1を水面101に浮べた直後には、図9に示すように、錘部4が自重により下方向に移動する。この際、支持部材5が支持部材保持部6に保持された状態で、下方向にスライドすることにより、錘部4が下方向に移動する。錘部4の下方向への移動途中、錘部4が中間位置L3に位置している状態を図9に示す。
【0065】
所定時間後、更に錘部4が下方に移動すると、図10に示すように、支持部材5の屈曲部52の下面部522が、支持部材保持部6の上部61に当接して、錘部4が最下位置L2に保持される。この状態では、ブイ1の重心位置G2は、図10に示すように、例えばブイ胴体部2の下部付近に位置する。この状態のブイ1では、図5に示す重心位置G1と比較して、重心位置G2は下方に位置している。
このため、水上使用時、ブイ1の重心位置G2が比較的下方に位置しているので、風や波等による力を受けたとしても、アンテナ7の揺れが比較的小さい。
【0066】
以上、本発明の参考例によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。参考例のブイ1は、ブイ胴体部2と、浮体3と、ブイ胴体部2及び浮体3よりも下方に備えられた錘部4とを有する。上記ブイ1は、棒形状に形成され、上下方向に沿って配置され、下端部又は該下端部近傍に錘部4が固定されるとともにその錘部4を支持する支持部材5と、ブイ胴体部2に備えられるとともに、錘部4がブイ胴体部2に対して上下方向に沿って移動可能となるように、支持部材5をその長手方向に沿って移動自在に保持する支持部材保持部6とを有する。
上記ブイ1によれば、支持部材保持部6により保持された支持部材5が、ブイ胴体部2に対して上下方向に移動自在に構成される。つまり、上記ブイ1では、支持部材5に固定された錘部4が、ブイ胴体部2に対して上下方向に移動自在に構成される。
また、このブイ1は、支持部材5の上端部又は上端部近傍に屈曲形状に形成された屈曲部52を有する。詳細には、屈曲部52の下面部522は、伸状態のときに、支持部材保持部の上部に当接することで、錘部4の上下方向に沿った最下位置を規制する。
【0067】
例えば水上使用時には、錘部4が自重によりブイ胴体部2の下方に向かって移動して、錘部4が最下位置に保持される。そして、上記ブイ1の重心位置G2が比較的低くなる。すなわち、波や風等から力を受けてもアンテナ7の揺れが比較的小さいブイ1を提供することができる。
【0068】
また、参考例のブイ1は、例えば操作者は、煩雑な操作を行うことなく、ブイ1を水に投下するだけで、ブイ1の錘部4が自動的に移動して最下位置に位置して、ブイ胴体部2が比較的大型となる。つまり、例えば操作者が煩雑な操作を行うことなく、水上使用時には、揺れの小さいブイ1を提供することができる。
【0069】
また、参考例のブイ1は、水上使用時にアンテナ7の揺れが小さいので、アンテナ7と海面(水面)との距離の変動が小さい。このため、アンテナ7のインピーダンス特性の変動が小さい。このため、比較的マッチングのとれた状態で、且つ安定した状態で、アンテナ7から電波を放射可能なブイ1を提供することができる。
【0070】
また、参考例では、例えば、操作者がブイ1のリング形状部212の上部に設けられた把持部215を持って、ブイ1を水上から引き上げ、そのブイ1を船上等の設置面100上に配置する(錘部4が浮体3より下方に位置する状態で配置する)。この状態では、錘部4が設置面100から上向きの力を受けて、錘部4がブイ胴体部2に向かって自動的に上方に移動して、ブイ1が比較的小型となる。
すなわち、例えば操作者が、煩雑な操作を行うことなく、保管しやすく、運搬しやすいブイ1を提供することができる。
【0071】
また、参考例のブイ1は、支持部材5が、錘部4が上下方向に沿った最上位置L1に位置する状態で、支持部材5の最上部が浮体3及びブイ胴体部2の上部から突出するように形成されるとともに、支持部材5の最上部に把持部54を備えている。
このため、例えば操作者が把持部54に上向きに力を加えることにより、錘部4が下方に移動することなく、錘部4が最上位置に位置する状態で、ブイ1を比較的簡単に且つ比較的安定した状態で持ち上げることが可能である。
【0072】
また、参考例のブイ1では、錘部4が上下方向に沿った最上位置に位置する状態で、支持部材5の最上部が孔部36を通って浮体3及びブイ胴体部2の上部から突出しており、この支持部材5の最上部に形成された把持部54を把持可能である。
このため、例えば操作者が把持部54に上向きに力を加えることにより、このブイ1を更に安定した状態で持ち上げることが可能である。
【0073】
また、参考例のブイ1では、支持部材5の支柱部の最上部が連結されて把持部54が形成されるので、この把持部54は、比較的簡単な構造で比較的高い強度を有する。
【0074】
参考例のブイ1は、ブイ胴体部2の上部近傍に突出した突出部211が形成されており、支持部材5の屈曲部52が突出部211の下部211aに当接した状態で、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する。
すなわち、例えば、操作者が把持部54に上向きに力を加えることにより、ブイ胴体部2の上部の突出部211に上向きの力が加わり、比較的安定した状態でブイ1を持ち上げることが可能である。
【0075】
また、参考例のブイ1は、蓋部23上端から錘部4の下端までの上下方向の長さが、縮状態では約450mmであり、伸状態では約810mmとなるように形成される(アンテナ7を除く)。
比較例として、例えば一般的な大型、中型、小型のラジオブイの長さを示す。一般的な大型ブイの長さは約600〜700mm、一般的な中型ブイでは約500mm〜550mm、一般的な小型ブイでは約450mm〜500mm程度である。
つまり、参考例のブイ1は、例えば運搬時又は保管時には、一般的な小型ブイと略同等の大きさであり、水上使用時には一般的な大型ブイと略同等な大きさであり、一般的な大型ブイと略同等の揺れに関する安定性を有する。
【0076】
また、参考例のブイ1は、一般的な小型ブイと略同等となるように軽量に形成されている場合であっても、一般的な小型ブイと比較して大きな安定性を有する。
【0077】
また、参考例のブイ1は、比較的小型のアンテナ7を設けて使用する場合には、大型ブイ用のアンテナを設けた場合と比較して、安定した状態で使用することができる。
【0078】
また、参考例のブイ1の製造方法は、上記第1〜第4のステップを有するので、詳細には、ブイ胴体部2の所定位置に支持部材5及び支持部材保持部6を設け、支持部材5の下端部に錘部4を固定するので、比較的簡単に参考例のブイ1を作製することができる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。本発明の効果が得られれば、各構成要素が、任意の材料、任意の形状に形成されていてもよい。
【0080】
上記実施形態では、アンテナ7は第1のアンテナ取付部(傾斜設置用)231に取り付けられていたが、この形態に限られるものではない。例えば、図11に示すように、第2のアンテナ取付部(傾斜設置用)232にアンテナ7が取り付けられてもよい。
【0081】
なお、参考例の支持部材5は、棒形状に形成されていたが、この形態に限られるものではない。例えば支持部材は、筒形状で、ブイ胴体部2の外径よりも大きい径となるように形成され、下端部に錘部4が設けられるような構成であってもよい。
【0082】
また、参考例の錘部4は、支持部材5の最下部に固定されていたが、この形態に限られるものではない。例えば、支持部材5の下端部付近に錘部4が設けられていてもよい。
【0083】
また、参考例のブイ1は、アンテナ7を備えないブイであってもよい。例えば、ブイ1は、アンテナ7の代わりに発光部を有していてもよい。
【0084】
また、参考例のブイ1は、支持部材5の上部付近に屈曲部52が形成され、この屈曲部52がブイ胴体部2の突出部211に当接可能に形成されていたが、この形態に限られるものではない。例えば、ブイ胴体部2の突出部211はなくともよい。このブイでは、錘部4の上部がブイ胴体部2の下部又はリング状部材25に当接した状態で、錘部4の最上位置が規制される。
【0085】
また、参考例のブイ1の浮体3は、上記実施形態に限られるものではない。浮体3は、例えば円筒形状に形成され、偏心させて貫通するようにブイ胴体部2が設けられていてもよい。
【0086】
また、錘部4の重量や形状、錘部4の最下位置等は、上記実施形態に限られるものではなく、例えば水上使用時のアンテナ7の揺れの程度等により規定されることが好ましい。
【0087】
続いて、図12図20を参照しながら、本発明の実施の形態のブイについての説明を行う。
本発明の実施の形態に係るブイ1’は、参考例に係る、ブイ胴体部2と、浮体3と、錘部4と、支持部材5と、支持部材保持部6と、アンテナ7とに相当する部分に加え、ロック機構9を有するものである。以下、ブイ1’の各構成要素について説明する。ここで、参考例またはその変形例と同一部分、若しくは相当する部分については、適宜同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0088】
<ブイ胴体部2>
本発明の実施の形態に係るブイ1’のブイ胴体部2は、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する最上位置規制部の構成の違いから、参考例に係る図3図5に示される突出部211は、必須の構成ではない。
【0089】
又、図13図19図20から明らかなように、リング形状部212には、把持部215(図4参照)は設けられていない。その代わりに、腕部213には、最下位置規制部を構成するストッパー部材216が設けられている。ストッパー部材216は、後述するように、支持部材5の上端部から所定長さだけ伸縮自在に設けられた伸縮部材55の上端部の、ブイ胴体部2に対する下降限度位置を定めるものであり、腕部213から上方へと脚部217を立設し、脚部217の上端部に、伸縮部材55の支柱部551を挿通するブラケット218を固定したものである。
【0090】
又、ブイ胴体部2の浮体3よりも下方に突出する範囲には、後述するロック機構9を構成する可動浮体94が、ブイ胴体部に沿って上下方向に移動可能に設けられている。ブイ胴体部2の浮体3よりも下方位置には、可動浮体94の可動範囲の最上位地を定めるブラケット219が設けられており、可動浮体94の上面がブラケット219に当接することで、ブイ胴体部2に対する可動浮体94の上昇が停止する。なお、可動浮体94の可動範囲の最下位地は、後述するロック機構9を構成するアーム92に当接することで定められる。
【0091】
<錘部4>
錘部4には、図12図13図16に示すように、ロック機構9を構成するためのフック受け93が固定されている。フック受け93は、後述するフック91の傾斜角度に応じて、上下方向のオーバーラップが生じるように、棒材等を門型に形成して、錘部4の上方へ向けて突設させたものである。なお、フック受け93は、支持部材5の下端部又はその近傍に固定されていても良い。
【0092】
<支持部材5>
支持部材5の棒形状部51は、中空棒により形成されており、図12図13に示すように、上下方向に沿って配置され、支持部材5の下端部又は下端部近傍には、錘部4が固定されている。又、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する最上位置規制部、及び同最下位置を規制する最下位置規制部の構成の違いから、参考例に係る支持部材5と異なり、図4図6に示す屈曲部52は設けられておらず、支持部材5の棒形状部51はその全長にわたり直線状に形成されている。
【0093】
そして、支持部材5の上端部から、伸縮部材55が所定長さだけ伸縮自在に設けられている。又、図19図20に示されるように、伸縮部材55の二本の支柱部551の上端部をつなぐことにより、引き上げハンドル552が形成されている。そして、引き上げハンドル552は、ストッパー部材216の脚部217の上端部に固定された、ブラケット218に当接することで、ブイ胴体部2に対する下降限度位置が定められる。そして、この伸縮部材55が、支持部材5の上端部から一定長さだけ突出すると、それ以上は伸長しない周知の適切な構造を有していることから、伸縮部材55は、ストッパー部材216と共に、支持部材5の下端部又はその近傍に固定された錘部4の、上下方向に沿った最下位置を規制する、最下位置規制部を構成するものである。
【0094】
なお、ストッパー部材216の脚部217の上端部に固定されたブラケット218は、ブイ胴体部2の上部から上方へと突出する位置にあることから、ストッパー部材216により定められる、ブイ胴体部2に対する伸縮部材55の上端部552の下降限度位置も、図19に示されるように、ブイ胴体部2の上部から上方へと突出する位置となる。
【0095】
<支持部材保持部6>
支持部材保持部6は、支持部材5の下端部又は該下端部近傍に固定された錘部4の上部に当接した状態で、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制するものであり、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制する最上位置規制部を構成するものである。
【0096】
<ロック機構9>
ロック機構9は、錘部4の上下方向に沿った最上位置にて、ブイ胴体部2に対する錘部4の上下方向の位置を固定するものである。そして、このロック機構9は、図14図18に示すフック91と、アーム92と、フック受け93と、可動浮体94とを含むものである。
【0097】
ロック機構9のフック91は、ブイ胴体部2の下端部又はその近傍において、ブイ胴体部2に対し、格納位置と突出位置との間を上下に揺動自在となるように軸支された棒体であり、図18に示すように、上方に所定角度だけ傾斜した時に、その先端面911がブイ胴体部2と平行な面をなすよう形成されている。本説明において、フック91の「格納位置」は、図18及び図14(b)に仮想線で示されるように、フック受け93との上下方向のオーバーラップが生じない位置を意味し、フック91の「突出位置」は、図16及び図14(b)に実線で示されるように、フック受け93との上下方向のオーバーラップが生じる位置を意味するものである。
なお、フック91の基端部は、ブイ胴体部2の上下方向と直交する方向に延びるピボット912によって、ブイ胴体部2の下端部近傍に固定されたブラケット913に軸支されている。
【0098】
ロック機構9のアーム92は、ブイ胴体部2に上下に揺動自在に軸支されており、その傾斜角度に応じてフックを突出位置に固定するものである。アーム92は、図14(a)に示されるように、平面視J字状をなし、その中央寄りの部分921が、フック91のピボット912を軸支するブラケット913によって、ピボット912の下方位置にて軸支されている。又、アーム92の中央寄りの部分921は、ホルダー922に固定されて連結されることで、全体として、アーム92は平面視U字状に構成される。又、ホルダー922は、フック91に対して下方から当接して、フック91の傾斜角度を決定するものであり、図示の例では、ホルダー922は鉤の字状に折り曲げられた板材からなり、アーム92の中央寄りの部分921に、ボルト等により固定されている。
【0099】
更に、アーム92は、図14(b)に示されるように、側面視で弓状に上方へと反り返り、その弓状部分923が、可動浮体94の可動範囲の最下位地にて、可動浮体94の下面941(図14(b)に仮想線で示す)と当接する。そして、可動浮体94によりアーム92の揺動角度が制限されて、アーム92は、フック91を突出位置に固定する傾斜角度に保持されるものである。
なお、可動浮体94が可動範囲の最下位置から上方へと移動すると、アーム92の揺動制限は解除され、アーム92は、図14(b)に仮想線で示されるように、中央寄りの部分921を中心に上方へと旋回可能となる。そして、アーム92の中央寄りの部分921に固定されたホルダー922も、図14(b)に仮想線で示されるように下方へと旋回して、フック91は下方傾斜することとなる。
【0100】
なお、全体として平面視U字状に形成されたアーム92の中央寄りの部分921の近傍がブラケット913に軸支されていることから、梃子の原理により、可動浮体94が例えば発泡プラスチック等の樹脂からなる、比較的軽量の部品であるにもかかわらず、アーム92の弓状部分923が、可動浮体94の可動範囲の最下位地にて、可動浮体94の下面941(図14(b)に仮想線で示す)と当接すると、アーム92の揺動は確実に制限され、中央寄りの部分921に固定されているホルダー922は、フック91を突出位置に確実に維持することとなる。又、アーム92の弓状部分923は、可動浮体94の下面941と当接した状態で、その下方からブイ胴体部2に固定されたストッパー924に支持されることで、回転が規制される。
【0101】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
すなわち、本実施形態のブイ1’においても、例えば水面101(図2参照)に浮いた状態では、錘部4が自重により下方に向かって移動し、支持部材5に対する伸縮部材55の最大伸張状態(図13参照)において、ストッパー部材216によりブイ胴体部2に対する伸縮部材55の上端部552の下降限度位置が定められる。すると、支持部材5の長手方向下方への移動及び下降限度位置も、ストッパー部材216及び伸縮部材55によって定められる。その結果、支持部材5に固定された錘部4の上下方向に沿った最下位置が規制され、錘部4は支持部材5により最下位置で保持されることとなる。
【0102】
又、ブイ胴体部2に対する伸縮部材55の上端部552の下降限度位置が、ストッパー部材216により、ブイ胴体部2の上部から上方へと突出する位置に定められることで、例えば水面101に浮いた状態において、伸縮部材55の上端部552は、ブイ胴体部2の上部から上方へと突出する位置に保持されることとなる。そして、この突出した伸縮部材55に対し、例えば操作者が、水面101上から上向きに力を加え、伸縮部材55を上方へと引き上げることで、伸張部材55とともに支持部材5が引き上げられ、支持部材5により最下位置で保持された状態の錘部4も上向きにブイ胴体部2に向かって移動する。このため、ブイ1’の引き上げ動作と同時に、ブイ1’は自動的に比較的小型(図12(b)参照)となる。
【0103】
本実施形態に係るブイ1’は、上述の如く支持部材5に上向きに力を加えた場合、支持部材5の下端部又は下端部近傍に固定された錘部4の上部が支持部材保持部6に当接し、錘部4の上下方向に沿った最上位置を規制することで、支持部材保持部6を介してブイ胴体部2に上向きの力が加わり、比較的安定した状態でブイ1’を持ち上げることが可能である。
【0104】
又、伸縮部材55の最上部552に、引き上げハンドルが形成されていることから、操作者が、引き上げハンドル552に上向きに力を加えた場合、引き上げハンドル552を最上部に備える伸縮部材55は、支持部材5に対する伸縮部材の最大伸張状態まで伸張し(図20参照)、支持部材5に上向きの力を伝えることが可能となる。
【0105】
又、本実施形態に係るブイ1’は、例えば保管時又は運搬時には、ロック機構9によって、ブイ胴体部2に対する錘部4の上下方向の位置が、錘部4の上下方向に沿った最上位置に固定され、図12(b)に示されるように、比較的小型のブイとなる。一方、例えば水面101で使用時には、ロック機構9を開放することで、錘部4が自重により下方に向かって移動し、図13に示されるように、ブイ胴体部2に相当する部分は比較的大型となり、ブイ1’の重心が比較的低い位置となる。このため、波や風等から力を受けてもアンテナ7(図2参照)の揺れが比較的小さいものとなる。
【0106】
このロック機構9は、ブイ胴体部2に対する錘部4の上下方向の位置が、錘部4の上下方向に沿った最上位置にあるとき、支持部材5の下端部又はその近傍ないし錘部4に固定されたフック受け93に対し、ブイ胴体部2に対し、格納位置と突出位置との間を上下に揺動自在に軸支されたフック91が係合するものである。そして、ブイ胴体部2に上下に揺動自在に軸支されたアーム92により、フック91を突出位置に固定することで、図16に示されるように、フック受け93に対するフック91の係合状態が維持され、錘部4の上下方向に沿った最上位置にて、ブイ胴体部2に対する錘部の上下方向の位置を固定することができる。
【0107】
一方、ブイ胴体部2に上下に揺動自在に軸支されたアーム92の傾斜角度を、図14(b)に示されるように変えて、図17から図18に示されるように、フック91の突出位置での固定を解除し格納位置へと揺動させることで、フック受け93に対するフック91の係合状態が解除され、ロック機構9は開放されることとなる。
【0108】
しかも、ロック機構9は、ブイ胴体部2の浮体3よりも下方に突出する範囲を、ブイ胴体部2に沿って上下方向に移動可能な可動浮体94を備えており、この可動浮体94は、例えば保管時又は運搬時(図12(b)参照)には、可動浮体94が自重により可動範囲の最下位置に下降し、アーム92の揺動角度を制限するものである。このとき、アーム92が、フック91を突出位置に固定する傾斜角度に保持されることで、フック受け93に対するフック91の係合状態が維持され、ロック機構9はロック状態となり、錘部4の上下方向に沿った最上位置にて、ブイ胴体部2に対する錘部4の上下方向の位置を固定するものである。
【0109】
一方、例えば水面101で使用時には、図13に示されるように、可動浮体84が浮力を受けて可動範囲の最下位置からブイ胴体部2の上方へと移動することで、アーム92の揺動角度の制限が解除され、ブイ胴体部2に対しアーム92が上下に揺動自在な状態となる。よって、フック91の突出位置(図14(b)の実線による図示参照)での固定が解除され、格納位置(図14(b)の仮想線による図示参照)への揺動か可能となり、フック受け93に対するフック91の係合状態が解除され、ロック機構9は自動開放されることとなる。
【0110】
より具体的には、門型部材であるフック受け93に対して、フック91の傾斜角度に応じたオーバーラップが生じた状態で、図16に示されるように、フック91とフック受け93とが係合状態となり、ロック機構9はロック状態となる。又、例えば、図17図18に示されるように、フック91が突出位置から上方ないし下方傾斜して、フック受け93に対するフック91のオーバーラップが解消されると、ロック機構9は開放され、錘部4が自重により下方に向かって移動することが可能となる。
【0111】
更に、例えばブイ1’が水面101に浮き、錘部4が支持部材5により最下位置で保持された状態において(図13参照)、操作者が、引き上げハンド552を持上げる等により、支持部材5に上向きに力を加えた場合には、支持部材5と共に錘部4が上方へ向かって移動する。そして、支持部材5の下端部又はその近傍ないし錘部に固定されたフック受け93が、図18に示されるように、フック91の近傍まで上昇する。このとき、フック91の先端面911がブイ胴体部2と平行な面をなすことで、フック受け93はフック91の先端をすり抜けて更に上昇し、フック91と係合する位置となる。
【0112】
又、フック91の角度の如何にかかわらず、可動浮体94がブイ胴体部2の上方へと移動し、アーム92の揺動角度の制限が解除されている状態では、フック受け93によってフック91を上方へと押し上げ、フック91が上方に所定角度だけ傾斜することで、フック受け93はフック91の先端をすり抜けて更に上昇することとなる。その後は、フック受け93に対して、フック91の傾斜角度に応じたオーバーラップが生じて(図14(b)参照)、フック91とフック受け93とが係合状態となり、ロック機構9が再びロックされ得る状態となる。そして、ブイ1’を水面101から引き上げることで、可動浮体94が可動範囲の最下位置へと下降し、アーム92に当接してその揺動角度を再び制限することで、ロック機構9は自動ロックされて、ロック状態が維持されるものとなる。
【0113】
以上、本発明の実施の形態のブイに1’の特徴部分を説明したが、参考例のブイ1と同一機能、同一の作用効果については、説明を省略する。
又、適宜、本発明の参考例特有の特徴部分を実施の形態に採用し、又、その逆のケースも可能であることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0114】
1、1’…ブイ(ラジオブイ)、2…ブイ胴体部、3…浮体、4…錘部、5…支持部材、6…支持部材保持部、7…アンテナ、9…ロック機構、21…筒形状部、22…底部、23…蓋部、24…浮体保持部、25…リング状部材、26…リング保持部、31…第1の浮体部、32…第2の浮体部、33,34…固定部、35…内周部、36…孔部、41…孔部、42…緩衝部材、51…棒形状部、52…屈曲部、53…棒形状部、54…把持部、55…伸縮部材、91…フック、92…アーム、93…フック受け、94…可動浮体、211…突出部、212…リング形状部、213…腕部、214…穴部、215…把持部、216…ストッパー部材、231…第1のアンテナ取付部、232…第2のアンテナ取付部、501〜504…支柱部
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