特許第5700255号(P5700255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700255
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】物品保管設備及び物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-71915(P2012-71915)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-206970(P2013-206970A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 秀郎
(72)【発明者】
【氏名】菅野 崇道
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−070027(JP,A)
【文献】 特開2005−001886(JP,A)
【文献】 特表2010−514211(JP,A)
【文献】 特開2000−091401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67 − 21/687
B65G 49/00 − 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ及びレチクルを保管する保管棚と、入出庫用搬送手段とが設けられた物品保管設備であって、
前記保管棚に、前記半導体ウェハを収納するウェハ収納容器を保管する第1収納部及び前記レチクルを収納し前記ウェハ収納容器とは外形が異なるレチクル収納容器を保管する第2収納部が備えられ、
前記入出庫用搬送手段が、前記ウェハ収納容器の上部に形成したトップフランジを把持して前記ウェハ収納容器を吊下げ状態で支持するための把持部を備えるように構成され、
前記レチクル収納容器の上部に、前記入出庫用搬送手段が前記把持部にて把持して前記レチクル収納容器を吊下げ状態で支持するためのフランジ部が形成され
前記入出庫用搬送手段に、前記把持部にて前記ウェハ収納容器を把持しているか、前記把持部にて前記レチクル収納容器を把持しているかを、前記ウェハ収納容器及び前記レチクル容器の外形の違いに応じた情報に基づいて判別する容器判別センサが装備され、
設備管理用制御部が、システム停止後に運転を再開する場合には、前記容器判別センサの検出情報に基づいて、前記把持部にて前記ウェハ収納容器を把持しているか、前記把持部にて前記レチクル収納容器を把持しているかを判別するように構成され、
前記入出庫用搬送手段は、前記設備管理用制御部の判別結果に基づいて、前記ウェハ収納容器を前記第1収納部に搬送し、前記レチクル収納容器を前記第2収納部に搬送するように構成されている物品保管設備。
【請求項2】
前記ウェハ収納容器に対する第1入出庫部と、前記レチクル収納容器に対する第2入出庫部とが各別に設けられ、
前記入出庫用搬送手段が、前記第1入出庫部と前記第1収納部との間で前記ウェハ収納容器を搬送し、前記第2入出庫部と前記第2収納部との間で前記レチクル収納容器を搬送するように構成されている請求項1記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記保管棚が、建物の複数階に亘る状態で設けられ、
前記第1入出庫部及び前記第2入出庫部が、前記複数階のうちの、異なる階の夫々に設けられている請求項2記載の物品保管設備。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の物品保管設備を備えた物品搬送設備であって、
前記第1入出庫部と露光処理装置におけるウェハ用搬出入部との間で前記ウェハ収納容器を搬送するホイスト式の第1天井搬送車、及び、前記第2入出庫部と前記露光処理装置におけるレチクル用搬出入部との間で前記レチクル収納容器を搬送するホイスト式の第2天井搬送車とが設けられ、
前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車についての走行経路が、少なくとも一部を前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車の夫々が走行する共用走行経路部分とする形態で設定され、
前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車の夫々が、前記走行経路に沿って天井側に設置する走行レールを走行自在に構成されている物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ及びレチクルを保管する保管棚と、入出庫用搬送手段とが設けられた物品管設備、及び、その物品保管設備を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品保管設備は、半導体ウェハ、及び、半導体ウェハを露光処理するために使用するレチクルを保管するために使用されるものである。つまり、保管されている半導体ウェハ及びレチクルは、出庫された後、露光処理装置に搬送されることになる。
ちなみに、露光処理済みの半導体ウェハは、次の処理を行う処理装置に搬送されることになるが、一時保管のために、再び、保管棚に入庫されて保管される場合や、別の保管棚に保管される場合もある。
また、使用済みのレチクルは、一般に、再び、保管棚に入庫されて保管される。
【0003】
このような物品保管設備の従来例として、下記のものがある。
すなわち、半導体ウェハが、ウェハ収納容器に収納された状態で保管棚のカセット棚に保管され、レチクルが、そのままの状態で、又は、レチクル積載冶具に載置された状態で保管棚のレチクル棚に保管される。また、保管棚には、ウェハ収納容器と同じ形式の空の収納容器が保管されている。
【0004】
入出庫用搬送手段が、ウェハ収納容器に対するカセット用ハンドと、レチクル収納容器に対するレチクル用ハンドと、ウェハ収納容器と同じ形式の空の収納容器の蓋を開閉する開閉機構を備える形態に構成されている。
【0005】
そして、ウェハ収納容器を出庫する際には、入出庫用搬送手段が、カセット棚から入出庫口へウェハ収納容器を搬送するように構成されている。
また、レチクルを出庫する際には、入出庫用搬送手段が、ウェハ収納容器と同じ形式の空の収納容器を予め保管棚から取出して蓋を開けて保持し、次に、レチクル棚から取出したレチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を、蓋を開けた空の収納容器に収納し、その後、その収納容器を、蓋を閉じて、入出庫口へ搬送するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1には、入庫作業については詳細な説明はないが、ウェハ収納容器を入庫する際には、入出庫用搬送手段が入出庫口からカセット棚へウェハ収納容器を搬送するものであると考えられる。
また、レチクルを入庫する際には、入出庫用搬送手段が、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を収納した収納容器を入出庫口から取出して、その取出した収納容器の蓋を外し、その蓋を外した容器から、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を取出してレチクル棚に搬送し、そして、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を取出した空の収納容器に蓋をして、その空の収納容器を保管棚に収納するものであると考えられる。
【0007】
また、特許文献1には、カセット用ハンドがウェハ収納容器を支持する形態や、レチクル用ハンドがレチクル又はレチクル積載冶具を支持する形態についての説明はないが、図面の記載を参照すると、カセット用ハンドがウェハ収納容器を載置支持する形態であり、レチクル用ハンドがレチクル又レチクル積載冶具を載置支持する形態であると考えることができる。
【0008】
ちなみに、特許文献1においては、ウェハ収納容器の上部にトップフランジが装備されることが例示されている。
そして、詳細な説明はないが、ウェハ収納容器や、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を収納した収納容器を、天井走行式無人搬送車によって、露光処理装置としての半導体露光装置に搬送する物品搬送設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−91401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の物品保管設備においては、レチクルの出庫作業や入庫作業を迅速に行い難いものであり、しかも、入出庫用搬送手段が複雑な構成となるものであり、改善が望まれるものであった。
【0011】
すなわち、レチクルを出庫する際には、空の収納容器を保管棚から取出して蓋を開ける行程、レチクル棚から取出したレチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を、蓋を開けた空の収納容器に収納する行程、その収納容器の蓋を閉じる行程、及び、蓋が閉じられた収納容器を入出庫口に搬送する行程を要するものであるため、レチクルの出庫作業を迅速に行えないものとなる。
【0012】
また、レチクルを入庫する際には、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を収納した収納容器を入出庫口から取出して、その収納容器の蓋を開ける行程、蓋が開けられた収納容器からレチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具を取出して、レチクル棚に収納する行程、レチクル又はレチクルを載置したレチクル積載冶具が取出された収納容器の蓋を閉める行程、及び、蓋が閉められた収納容器を保管棚に収納する行程を要するものであるため、レチクルの入庫作業を迅速に行えないものとなる。
【0013】
しかも、入出庫用搬送手段には、ウェハ収納容器に対するカセット用ハンドと、レチクル収納容器に対するレチクル用ハンドと、ウェハ収納容器と同じ形式の空の収納容器の蓋を開閉する開閉機構とを備えさせる必要があるため、入出庫用搬送手段の構成が複雑となるものであった。
【0014】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、半導体ウェハ及びレチクルの入出庫作業を迅速に行うことができ、しかも、入出庫用搬送手段の構成の簡素化を図ることができる物品保管設備を提供する点にある。
又、本発明の別の目的は、設備全体の簡素化を図ることができる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の物品保管設備は、半導体ウェハ及びレチクルを保管する保管棚と、入出庫用搬送手段とが設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記保管棚に、前記半導体ウェハを収納するウェハ収納容器を保管する第1収納部及び前記レチクルを収納し前記ウェハ収納容器とは外形が異なるレチクル収納容器を保管する第2収納部が備えられ、
前記入出庫用搬送手段が、前記ウェハ収納容器の上部に形成したトップフランジを把持して前記ウェハ収納容器を吊下げ状態で支持するための把持部を備えるように構成され、
前記レチクル収納容器の上部に、前記入出庫用搬送手段が前記把持部にて把持して前記レチクル収納容器を吊下げ状態で支持するためのフランジ部が形成され、前記入出庫用搬送手段に、前記把持部にて前記ウェハ収納容器を把持しているか、前記把持部にて前記レチクル収納容器を把持しているかを、前記ウェハ収納容器及び前記レチクル容器の外形の違いに応じた情報に基づいて判別する容器判別センサが装備され、設備管理用制御部が、システム停止後に運転を再開する場合には、前記容器判別センサの検出情報に基づいて、前記把持部にて前記ウェハ収納容器を把持しているか、前記把持部にて前記レチクル収納容器を把持しているかを判別するように構成され、前記入出庫用搬送手段は、前記設備管理用制御部の判別結果に基づいて、前記ウェハ収納容器を前記第1収納部に搬送し、前記レチクル収納容器を前記第2収納部に搬送するように構成されている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、半導体ウェハが、ウェハ収納容器に収納された状態で、保管棚の第1収納部に保管されることになり、レチクルが、レチクル収納容器に収納された状態で、保管棚の第2収納部に保管されることになる。
ちなみに、一般に、ウェハ収納容器には、複数枚の半導体ウェハが上下方向に並ぶ状態で収納されることになり、そして、レチクル収納容器には、1枚のレチクルが収納されることになる。
【0017】
そして、入出庫用搬送手段が、ウェハ収納容器の上部に形成したトップフランジを把持部にて把持してウェハ収納容器を吊下げ状態で支持しながら、ウェハ収納容器の入出庫作業を行うことになり、また、入出庫用搬送手段が、レチクル収納容器の上部に形成したフランジ部を把持部にて把持してレチクル収納容器を吊下げ状態で支持しながら、レチクル収納容器の入出庫作業を行うことになる。
【0018】
つまり、入出庫用搬送手段は、ウェハ収納容器のトップフランジを把持する把持部を、レチクル収納容器のフランジ部を把持する把持部としても利用しながら、ウェハ収納容器やレチクル収納容器の搬送を行うことになる。
【0019】
したがって、半導体ウェハの入庫や出庫を行う際には、入出庫用搬送手段によってウェハ収納容器を吊下げ状態で支持しながらウェハ収納容器を搬送すればよく、同様に、レチクルの入庫や出庫を行う際には、入出庫用搬送手段によってレチクル収納容器を吊下げ状態で支持しながらレチクル収納容器を搬送すればよく、半導体ウェハの入出庫作業やレチクルの入出庫作業を迅速に行うことができるものとなる。
【0020】
そして、入出庫用搬送手段には、ウェハ収納容器及びレチクル収納容器の搬送のために、ウェハ収納容器のトップフランジ及びレチクル収納容器のフランジ部の把持に共用する把持部を備えさせるだけでよいため、入出庫用搬送手段の構成の簡素化を図ることができるのである。
【0021】
説明を加えると、レチクルは半導体ウェハよりも小径のため、平面視において、レチクル収納容器はウェハ収納容器よりも小型になるが、ウェハ収納容器のトップフランジと同様の形態のフランジ部を、レチクル収納容器に形成できる点に着目して、ウェハ収納容器のトップフランジと同様の形態のフランジ部をレチクル収納容器に備えさせることにより、入出庫用搬送手段には、ウェハ収納容器のトップフランジ及びレチクル収納容器のフランジ部の把持に共用する把持部を備えさせるだけでよいため、入出庫用搬送手段の構成の簡素化を図ることができるのである。
【0022】
また、本発明の第1特徴構成によれば、入出庫用搬送手段に、把持部にてウェハ収納容器を把持しているか、把持部にてレチクル収納容器を把持しているかを判別するための容器判別センサが装備されているから、入出庫用搬送手段にてウェハ収納容器やレチクル収納容器を入庫や出庫のため搬送する搬送中において、停電等により、入出庫用搬送手段の作動を管理するシステムが停止することがあっても、そのシステムの復旧後においては、搬送中のウェハ収納容器やレチクル収納容器を搬送すべき搬送先に適切に搬送することができる。
つまり、入出庫用搬送手段の作動を管理するシステムは、復旧後において、容器判別センサの検出情報に基づいて、搬送中の収納容器がウェハ収納容器であるか、レチクル収納容器であるかを判別して、搬送中の収納容器についての適正な搬送先を定めることができるため、搬送中のウェハ収納容器やレチクル収納容器を搬送すべき搬送先に適切に搬送することができる。
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、半導体ウェハ及びレチクルの入出庫作業を迅速に行うことができ、しかも、入出庫用搬送手段の構成の簡素化を図ることができる物品保管設備を提供でき、加えて、入出庫用搬送手段の作動を管理するシステムが停止することがあっても、そのシステムの復旧後のおいては、搬送中のウェハ収納容器やレチクル収納容器を搬送すべき搬送先に適切に搬送することができる物品保管設備を提供できる。
【0023】
本発明の物品保管設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記ウェハ収納容器に対する第1入出庫部と、前記レチクル収納容器に対する第2入出庫部とが各別に設けられ、
前記入出庫用搬送手段が、前記第1入出庫部と前記第1収納部との間で前記ウェハ収納容器を搬送し、前記第2入出庫部と前記第2収納部との間で前記レチクル収納容器を搬送するように構成されている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、ウェハ収納容器に対する第1入出庫部と、レチクル収納容器に対する第2入出庫部とが各別に設けられる。
そして、入出庫用搬送手段が、第1入出庫部と第1収納部との間でウェハ収納容器を搬送し、第2入出庫部と第2収納部との間でレチクル収納容器を搬送することになる。
【0025】
したがって、ウェハ収納容器とレチクル収納容器とを一つの保管棚に保管するものでありながらも、ウェハ収納容器とレチクル収納容器とが、異なる入出庫部と異なる収納部との間で搬送されることになるから、ウェハ収納容器をレチクル収納容器と誤って入出庫作業を行うことや、レチクル収納容器をウェハ収納容器と誤って入出庫作業を行うことを回避しながら、ウェハ収納容器及びレチクル収納容器を適切に入出庫することができる。
【0026】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴による作用効果に加えて、ウェハ収納容器及びレチクル収納容器を適切に入出庫できる物品保管設備を提供できる。
【0027】
本発明の物品保管設備の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記保管棚が、建物の複数階に亘る状態で設けられ、
前記第1入出庫部及び前記第2入出庫部が、前記複数階のうちの、異なる階の夫々に設けられている点を特徴とする。
【0028】
すなわち、保管棚が、建物の複数階に亘る状態で設けられ、そして、第1入出庫部及び第2入出庫部が、複数階のうちの、異なる階の夫々に設けられているから、複数階のうちの、第1入出庫部及び第2入出庫部が設置される複数の階の夫々を、半導体ウェハを処理するための作業空間として利用しながら、半導体ウェハに対する処理を行わせることができる。
つまり、複数階のうちの、第1入出庫部及び第2入出庫部が設置される複数の階にて、半導体ウェハに対する処理を行うことができる。
【0029】
したがって、複数階のうちの、第1入出庫部及び第2入出庫部が設置される複数の階にて、半導体ウェハに対する処理を行うことができるため、半導体ウェハを処理する設備を、平面視のスペースを減少させた形態で設置できる。
【0030】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、平面視のスペースを減少させた形態で、半導体ウェハを処理する設備を設置することが可能となる物品保管設備を提供できる。
【0035】
本発明の物品搬送設備は、第2又は第3特徴構成の物品保管設備を備えたものであって、
前記第1入出庫部と露光処理装置におけるウェハ用搬出入部との間で前記ウェハ収納容器を搬送するホイスト式の第1天井搬送車、及び、前記第2入出庫部と前記露光処理装置におけるレチクル用搬出入部との間で前記レチクル収納容器を搬送するホイスト式の第2天井搬送車とが設けられ、
前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車についての走行経路が、少なくとも一部を前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車の夫々が走行する共用走行経路部分とする形態で設定され、
前記第1天井搬送車及び前記第2天井搬送車の夫々が、前記走行経路に沿って天井側に設置する走行レールを走行自在に構成されている点を特徴とする。
【0036】
すなわち、ウェハ収納容器が、ホイスト式の第1天井搬送車によって、第1入出庫部とウェハ処理装置におけるウェハ用搬出入部との間で搬送され、レチクル収納容器が、ホイスト式の第2天井搬送車によって、第2入出庫部と露光処理装置におけるレチクル用搬出入部との間で搬送される。
ちなみに、ホイスト式の第1天井搬送車は、ウェハ収納容器のトップフランジを把持して、ウェハ収納容器を吊下げ状態に支持して搬送することになり、ホイスト式の第2天井搬送車は、レチクル収納容器のフランジ部を把持して、レチクル収納容器を吊下げ状態に支持して搬送することになる。
【0037】
そして、第1天井搬送車及び第2天井搬送車の夫々を走行させるための走行経路が、少なくとも一部を第1天井搬送車及び第2天井搬送車の夫々が走行する共用走行経路部分とする形態で設定されて、第1天井搬送車及び第2天井搬送車の夫々が、走行経路に沿って天井側に設置する走行レールを走行することになる。
【0038】
したがって、第1天井搬送車及び第2天井搬送車の走行経路に沿って天井側に設置する走行レールを、第1天井搬送車のみならず、第2天井搬送車の走行レールとしても利用するものであるから、第1天井搬送車及び第2天井搬送車を走行させるために設置する走行レールの全設置長さの減少化を図り、設備全体の簡素化を図ることができるのである。
【0039】
つまり、第1天井搬送車に対する専用の走行経路と、第2天井搬送車に対する専用の走行経路とを、互いに分離した状態で各別に設定し、それらの走行経路の夫々について、第1天井搬送車が走行する走行レールや、第2天井搬送車が走行する走行レールを設置することが考えられるが、この場合には、両走行経路に沿って設置する走行レールの全設置長さが長くなる不都合がある。
【0040】
これに対して、第1天井搬送車及び第2天井搬送車の走行経路に沿って天井側に設置する走行レールを、第1天井搬送車のみならず、第2天井搬送車の走行レールとしても利用するものであるから、第1天井搬送車及び第2天井搬送車を走行させるために設置する走行レールの全設置長さが減少して、設備全体の簡素化を図ることができるのである。
【0041】
要するに、本発明の物品搬送設備によれば、設備全体の簡素化を図ることができる物品搬送設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】物品保管設備の一部切欠正面図
図2】同設備の上方部の一部切欠正面図
図3】同部の横断平面図
図4】同設備の下方部の横断平面図
図5】第1収納部の斜視図
図6】同収納部にウェハ収納容器を保管する状態の側面図
図7】第2収納部の平面図
図8】同収納部の側面図
図9】昇降搬送機構の側面図
図10】同機構がウェハ収納容器及びレチクル収納容器を把持した状態の側面図
図11】同機構の平面図
図12】把持部がレチクル収納容器を把持した状態の斜視図
図13】物品搬送設備の搬送経路を示す平面図
図14】第1天井搬送車の側面図
図15】同車の一部切欠正面図
図16】第2天井搬送車の一部切欠側面図
図17】同車の一部切欠正面図
図18】レチクル収納容器の搬送経路を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(物品保管設備の全体構成)
図1に示すように、半導体ウェハWh(図15参照)及びレチクルRt(図17参照)を保管する保管棚1が、建物の1階から3階に亘る状態で設けられ、そして、入出庫用搬送手段としての昇降式搬送装置2(図9参照)が、1階から3階に亘る状態で設けられている。
【0044】
すなわち、保管棚1が、建物の1階に設置する下部構成体1D、建物の3階に設置する上部構成体1U、下部構成体1Dと上部構成体1Uとの間に設置する中間構成体1Mを備えて、下部構成体1Dと上部構成体1Uとに、半導体ウェハWh及びレチクルRtを保管するように構成されている。
また、昇降式搬送装置2における昇降台2A(図9参照)が、保管棚1における下部構成体1D、中間構成体1M、及び、上部構成体1Uの内部空間を通して昇降するように構成されている。
【0045】
ちなみに、本実施形態においては、上述の説明から明らかな如く、中間構成体1Mは、半導体ウェハWh及びレチクルRtを保管することなく、昇降式搬送装置2における昇降台2Aの昇降通路を形成するものであるが、この中間構成体1Mにも、半導体ウェハWhやレチクルRtを保管する形態で実施するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、上部構成体1U、及び、中間構成体1Mの2階の床面よりも上方に位置する部分が、壁状体K1にて外周部を覆われ、下部構成体1D、及び、中間構成体1Mの2階の床面よりも下方に位置する部分が、板状体K2(図4参照)にて外周部を覆われている。
そして、詳述はしないが、上部構成体1U、中間構成体1M及び下部構成体1Dの内部空間を清浄な状態に維持するための通風手段が各所に装備されている。
尚、詳述はしないが、建物の1階及び3階はクリーンルームとして構成されている。
【0047】
下部構成体1D及び上部構成体1Uは、図2図4に示すように、長尺状の枠形成部材を枠組みして、外形が縦長の直方体状となるように構成されている。
上部構成体1Uには、第2図に示すように、半導体ウェハWhを収納するウェハ収納容器Wを保管する2つの第1収納部S1、及び、レチクルRtを収納する1つのレチクル収納容器Rを保管する第2収納部S2が、上下方向に並ぶ状態で備えられている。
【0048】
下部構成体1Dには、図4に示すように、2つの第1収納部S1、及び、2つの第2収納部S2が、周方向に沿って並ぶ状態で設けられている。
尚、下部構成体1Dには、図示はしないが、図4に示す2つの第1収納部S1とは別の箇所に、2つの第2収納部S2が別途設けられている。
【0049】
上部構成体1Uには、図1図3に示すように、ウェハ収納容器Wに対する第1入出庫部F1として、上部側の左側箇所に前後方向に並ぶ状態で配設される一対の上部ウェハコンベヤ3と、下部側の左側箇所に配設される下部ウェハコンベヤ4とが装備されている。
下部ウェハコンベヤ4は、作業者が手作業によってウェハ収納容器Wを移載するために設けられている。
前後一対の上部ウェハコンベヤ3は、後述の如く、ホイスト式の第1天井搬送車B1がウェハ収納容器Wを移載するために設けられている。
【0050】
また、上部構成体1Uには、図1図3に示すように、レチクル収納容器Rに対する第2入出庫部F2として、上部側の右側箇所に前後に並ぶ状態で配設される一対の上部レチクルコンベヤ5と、上述した下部ウェハコンベヤ4と前後方向に並ぶ状態で、下部側の左箇所に配設される下部レチクルコンベヤ6とが装備されている。
下部レチクルコンベヤ6は、作業者が手作業によってレチクル収納容器Rを移載するために設けられるものである。
前後一対の上部レチクルコンベヤ5は、後述の如く、ホイスト式の第2天井搬送車B2がレチクル収納容器Rを移載するために設けられている。
【0051】
下部構成体1Dには、図1に示すように、第1入出庫部F1として、上部側箇所に配設される左右一対の上部ウェハコンベヤ7と、下部側箇所に配設される下部ウェハコンベヤ8とが装備されている。
下部ウェハコンベヤ8は、作業者が手作業によってウェハ収納容器Wを移載するために設けられている。
左右一対の上部ウェハコンベヤ7は、ホイスト式の第1天井搬送車B1がウェハ収納容器Wを移載するために設けられている。
【0052】
また、下部構成体1Dには、第2入出庫部F2として、下部側箇所に配設される下部レチクルコンベヤ9とが装備されている。
下部レチクルコンベヤ9は、作業者が手作業によってレチクル収納容器Rを移載するために設けられている。
【0053】
ちなみに、本実施形態においては、昇降式搬送装置2の昇降台2Aに装備する容器移載装置2B(図9参照)が、後述の如く、上下方向に沿う旋回軸心Z回りでの旋回により移載対象箇所を選択するように構成されている。
このため、第1収納部S1が、ウェハ収納容器Wの前後方向を旋回軸心Zに向ける姿勢で、ウェハ収納容器Wを支持するように構成され、同様に、第2収納部S2が、レチクル収納容器Rの前後方向を旋回軸心Zに向ける姿勢で、レチクル収納容器Rを支持するように構成されている。
【0054】
そして、図3に示すように、上部構成体1Uに装備する容器搬送用のコンベヤ、つまり、上部ウェハコンベヤ3、下部ウェハコンベヤ4、上部レチクルコンベヤ5、及び、下部レチクルコンベヤ6の夫々は、ローラコンベヤを利用して構成されるものであるが、それらコンベヤの棚内方側端部には、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rの前後方向を旋回軸心Zに向けるようにすべく、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rの姿勢を変更操作する姿勢変更装置(図示せず)が装備されることになる。
【0055】
同様に、下部構成体1Dに装備する容器搬送用のコンベヤ、つまり、上部ウェハコンベヤ7、下部ウェハコンベヤ8、及び、下部レチクルコンベヤ9の夫々は、ローラコンベヤを利用して構成されるものであるが、それらコンベヤにおける棚内方側端部には、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rの前後方向を旋回軸心Zに向けるようにすべく、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rの姿勢を変更操作する姿勢変更装置(図示せず)が装備されることになる。
【0056】
姿勢変更装置は、詳述はしないが、容器支持台を昇降自在、旋回自在、及び、搬送方向に移動自在に装備して、容器の姿勢を変更することになる。
ちなみに、姿勢変更装置は、容器を出庫するときには、容器移載装置2Bから供給される容器の姿勢を、容器搬送用のコンベヤにて搬送する姿勢に戻して、容器搬送コンベヤに供給することになる。
【0057】
(ウェハ収納容器の構成)
半導体ウェハWhを収納するウェハ収納容器Wは、合成樹脂製の気密容器であり、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)規格に準拠して作成されて、一般には、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼称される。
このウェハ収納容器Wは、詳細な説明は省略するが、図15に示すように、複数枚の半導体ウェハWhを上下方向に並べた状態で収納するように構成され、上述したホイスト式の第1天井搬送車B1により把持されるトップフランジ10が上部に形成され、そして、着脱自在な蓋体にて開閉される基板出入用の開口が前面に形成され、さらに、位置決めピン11(図5参照)が係合する3つの係合溝(図示せず)が底部に形成されている。
【0058】
(レチクル収納容器の構成)
レチクルRtを収納するレチクル収納容器Rは、図16及び図17に示すように、底部が開口する下向き開口状の本体部分13Aと、その本体部分13Aの下部開口に着脱自在に装着される蓋体13Bとからなる合成樹脂製の気密容器であり、蓋体13Bの上面に、レチクルRtを載置支持するように構成されている。
このレチクル収納容器Rの上部には、上述したホイスト式の第2天井搬送車B2により把持されるフランジ部13Cが形成されている。
ちなみに、このレチクル収納容器Rのフランジ部13Cは、ウェハ収納容器Wのトップフランジ10と同様の形状で同じ大きさに形成されている。
【0059】
(第1収納部の構成)
第1収納部S1は、図5及び図6に示すように、平面視形状がU字状の本体部14の上面部に、上述した3つの位置決めピン11を備えている。本体部14は、支柱枠Tに片持ち状態に取付けられている。
そして、第1収納部S1は、3つの位置決めピン11(図5参照)をウェハ収納容器Wの係合溝(図示せず)に係合させた位置決め状態で、ウェハ収納容器Wを載置支持するように構成されている。
【0060】
(第2収納部の構成)
第2収納部S2は、図7及び図8に示すように、平面視形状が矩形状の本体部15の左右両側縁部に、上方に突出する起立姿勢の受止体15Aを備えている。本体部15は、支柱枠Tに片持ち状態に取付けられている。
【0061】
本体部15には、レチクル収納容器Rを載置支持する載置部分15aが、下方に凹入された状態に形成されている。
そして、第2収納部S2は、載置部分15aにてレチクル収納容器Rを載置支持し、かつ、載置部分15aの前後端部から連なる傾斜部分15b及び左右の受止体15Aにて、レチクル収納容器Rを位置決めするように構成されている。
【0062】
(昇降式搬送装置)
昇降式搬送装置2は、図9図11に示すように、上述の如く、昇降台2Aに容器移載装置2Bを装備したものであって、容器移載装置2Bが、ウェハ収納容器Wのトップフランジ10を把持してウェハ収納容器Wを吊下げ状態で支持し、かつ、レチクル収納容器Rのフランジ部13Cを把持してレチクル収納容器Rを吊下げ状態で支持するための把持部16備えている。
【0063】
そして、昇降式搬送装置2は、ウェハ収納容器Wを吊下げ支持した状態で、第1入出庫部F1と第1収納部S1との間でウェハ収納容器Wを搬送し、且つ、レチクル収納容器Rを吊下げ支持した状態で、第2入出庫部F2と第2収納部S2との間でレチクル収納容器Rを搬送するように構成されており、以下、各部について説明を加える。
【0064】
すなわち、昇降台2A及びバランスウェイト17を昇降自在に案内するためのガイドレール18が、保管棚1の内部の背部側箇所に、下部構成体1D、中間構成体1M及び上部構成体1Uに亘る状態で設けられている(図3及び図4参照)。
【0065】
昇降台2Aは、ガイドレール18の前方側箇所に位置するものであって、保管棚1の横幅方向に沿う軸心回りで回転する前後位置規制用の複数の第1輪体19、及び、保管棚1の前後幅方向に沿う軸心回りで回転する横位置規制用の複数の第2輪体20を、背部側箇所に備えている。
そして、昇降台2Aは、複数の第1輪体19及び複数の第2輪体20がガイドレール18にて案内されることによって、ガイドレール18に沿って昇降するように構成されている。
【0066】
バランスウェイト17は、ガイドレール18の内方側に位置するものであって、保管棚1の横幅方向における内方側ほど、保管棚1の前後幅方向における後方側に位置する傾斜軸心回りで回転する複数の第1ローラ21、及び、保管棚1の横幅方向における内方側ほど、保管棚1の前後幅方向における前方側に位置する傾斜軸心回りで回転する複数の第2ローラ22を備えている。
そして、バランスウェイト17は、複数の第1ローラ21及び複数の第2ローラ22がガイドレール18にて案内されることによって、ガイドレール18に沿って昇降するように構成されている。
【0067】
図9に示すように、上部構成体1Uの上部側箇所に、正逆に駆動回転されるスプレケット状の駆動回転体23が装備され、下部構成体1Dの下部側箇所に、前後一対の遊転回転体24が装備されている。
そして、駆動回転体23に巻き掛けられて両端が下方に伸びる姿勢となる第1昇降用ベルト25の一端部が、昇降台2Aの上端部に接続され、第1昇降用ベルト25の他端部が、バランスウェイト17の上端部に接続されている。
【0068】
また、一対の遊転回転体24に巻き掛けられて両端が上方に伸びる姿勢となる第2昇降用ベルト26の一端部が、昇降台2Aの下端部に接続され、第2昇降用ベルト26の他端部が、バランスウェイト17の下端部に接続されている。
【0069】
したがって、駆動回転体23が正逆に回転駆動されることによって、昇降台2Aがガイドレール18に沿って昇降するように構成されている。
【0070】
(容器移載装置の構成)
容器移載装置2Bは、図9及び図11に示すように、上述した旋回軸心Z回りで旋回操作自在に昇降台2Aに装備される旋回台27、旋回台27に支持されて屈伸作動する屈伸リンク28、及び、屈伸リンク28に対して起立姿勢に支持される縦枠体29を備え、上述の把持部16を、縦枠体29の上端部に装備している。
【0071】
把持部16は、図12に示すように、屈伸リンク28の屈伸方向に沿う方向の回転軸心Y回りで正逆に回転する一対の把持爪部16Aを備えるものであって、一対の把持爪部16Aの開閉により、把持状態と把持解除状態とに切換えるように構成されている。
【0072】
したがって、容器移載装置2Bは、旋回軸心Z回りでの旋回により、移載対象を選択しながら、屈伸リンク28の伸縮作動、把持部16の開閉作動、及び、昇降台2Aの昇降作動により、移載対象の容器、つまり、ウェハ収納容器W及びレチクル収納容器Rを吊下げ状態に支持して移載するように構成されている。
【0073】
容器移載装置2Bの移載作動について、ウェハ収納容器Wを、第1収納部S1から第1入出庫部F1に出庫する場合について説明を加える。
先ず、旋回軸心Z回りでの旋回により、把持部16を移載対象の第1収納部S1に対向する状態にする。次に、屈伸リンク28の伸長作動により、把持部16をウェハ収納容器Wの上方に位置させる。
その後、昇降台2Aの下降により、開き状態の把持部16を下降させて、ウェハ収納容器Wのトップフランジ10を把持するのに適する姿勢に下降させ、引き続き、把持部16を閉じ状態に切換えて、把持部16にてウェハ収納容器Wのトップフランジ10を把持する(図6参照)。
【0074】
次に、昇降台2Aの上昇により、ウェハ収納容器Wを吊下げ状態に支持し、引き続き、屈伸リンク28の短縮作動により、ウェハ収納容器Wを昇降台2Aの上方箇所に引退させる。
その後、昇降台2Aの昇降により、移載対象の第1入出庫部F1に対応する高さにウェハ収納容器Wを昇降させ、かつ、旋回軸心Z回りでの旋回により、把持部16を移載対象の第1入出庫部F1に対向する状態にする。
【0075】
次に、屈伸リンク28の伸長作動により、把持部16を第1入出庫部F1上方に位置させた後、昇降台2Aの下降により、ウェハ収納容器Wを第1入出庫部F1に供給する。
ウェハ収納容器Wを第1入出庫部F1に供給した後は、把持部16を開き状態に切換えた後、昇降台2Aの上昇により把持部16を上昇させ、引き続き、屈伸リンク28の短縮作動により、把持部16を引退させる。
【0076】
上述した移載作動の説明、つまり、ウェハ収納容器Wを、第1収納部S1から第1入出庫部F1に出庫する場合の移載作動の説明により、ウェハ収納容器Wを、第1入出庫部F1から第1収納部S1に入庫する場合、レチクル収納容器Rを、第2収納部S2から第2入出庫部F2に出庫する場合、及び、レチクル収納容器Rを、第2入出庫部F2から第2収納部S2に入庫する場合における移載作動は理解できるので、それらの場合について移載作動の説明は省略する。
【0077】
ちなみに、本実施形態においては、ウェハ収納容器Wを把持する場合、及び、レチクル収納容器Rを把持する場合のいずれにおいても、容器の上方に開き状態に位置させる把持部16を把持に適する位置に下降させる下降量が同じになるように、昇降台2Aの昇降により把持部16の高さを設定するように構成されている。
【0078】
(容器判別センサ)
図10に示すように、昇降式搬送装置2には、把持部16にてウェハ収納容器Wを把持しているか、把持部16にてレチクル収納容器Rを把持しているかを判別するための容器判別センサ30が装備されている。
すなわち、本実施形態においては、容器判別センサ30は、レーザー測距センサ等の距離センサを用いて構成されて、縦枠体29に取付けられている。
そして、容器判別センサ30は、把持部16に把持されている容器までの距離を検出するように構成されている。
【0079】
つまり、把持部16にウェハ収納容器Wが把持されている場合には、容器判別センサ30は、ウェハ収納容器Wに対応する第1距離U1を検出し、把持部16にレチクル収納容器Rが把持されている場合には、容器判別センサ30は、レチクル収納容器Rに対応する第2距離U2を検出することになる。
レチクル収納容器Rは、ウェハ収納容器Wよりも外形が小さいため、第2距離U2が第1距離U1よりも大きな値となり、容器判別センサ30の検出距離にて、把持部16にてウェハ収納容器Wを把持しているか、把持部16にてレチクル収納容器Rを把持しているかを判別できることになる。
【0080】
ちなみに、図示はしないが、容器判別センサ30の検出情報は、設備管理用制御部に出力され、設備管理用制御部が、容器判別センサ30の検出情報に基づいて、把持部16にてウェハ収納容器Wを把持しているか、把持部16にてレチクル収納容器Rを把持しているかを判別することになる。
【0081】
尚、容器判別センサ30は、把持部16にウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rが把持されていない場合には、第2距離U2よりも大きな距離情報を出力するように構成されており、上記設備管理用制御部は、容器判別センサ30の検出情報に基づいて、把持部16には容器が把持されていない状態であることも判別できるようになっている。
【0082】
つまり、設備管理用制御部は、停電等が生じたときに、その後運転を再開する際には、容器判別センサ30の検出情報に基づいて、把持部16がウェハ収納容器Wを把持しているか、把持部16がレチクル収納容器Rを把持しているか、又は、把持部16が非把持状態であるかを判別して、昇降式搬送装置2の適正な作動状態を定めるように構成されている。
【0083】
(物品搬送設備の全体構成)
建物の3階には、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2を用いて、ウェハ収納容器W及びレチクル収納容器Rを搬送しながら、半導体ウェハWhに対する処理を行う処理設備が装備され、建物の1階には、第1天井搬送車B1を用いて、ウェハ収納容器Wを搬送しながら、半導体ウェハWhに対する処理を行う処理設備が装備されることになる。
以下、建物の3階に装備される物品搬送設備について説明する。
【0084】
すなわち、図13に示すように、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2についての走行経路Lが、一部を第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2の夫々が走行する共用走行経路部分La(図18参照)とする形態で設定されている。
そして、図14及び図15に示すように、走行レール41が、走行経路Lに沿って、3階の天井側に設けられ、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2が、走行レール41に沿って走行するように構成されている。
【0085】
ちなみに、第1天井搬送車B1は、上述の如く、ウェハ収納容器Wを搬送するものであり、第2天井搬送車B2は、上述の如く、レチクル収納容器Rを搬送するものである。
そして、以下の記載において、第1天井搬送車B1と第2天井搬送車B2とを区別する必要がないときには、単に、容器搬送車42と記載する。
【0086】
図13示すように、走行経路Lが、ウェハ処理装置Pを経由する複数の環状のサブ走行経路43、及び、2つの環状のメイン走行経路44を形成する状態に設置されている。
2つの環状のメイン走行経路44は、経路横幅方向に並べた状態で、かつ、2重の環状となる状態で設けられ、容器搬送車42が、これらメイン走行経路44を同じ方向に向けて走行するように設けられている。尚、図13においては、容器搬送車42の走行方向を、矢印にて示している。
ちなみに、2つの環状のメイン走行経路44の夫々は、平面視において、長方形の4つの角部を円弧状にした長四角状に形成されている。
【0087】
以下の説明においては、2重の環状となる一対のメイン走行経路44のうちの内方側のメイン走行経路44を、一方側メイン走行経路44Aとし、外方側のメイン走行経路44を他方側メイン走行経路44Bとして、説明を続けるが、両者を区別する必要がないときには、単に、メイン走行経路44と記載する。
2重の環状となる一対のメイン走行経路44の間には、一方側メイン走行経路44Aから他方側メイン走行経路44Bに容器搬送車42が分岐走行する第1分岐経路45A及び他方側メイン走行経路44Bから一方側メイン走行経路44Aに容器搬送車42が分岐走行する第2分岐経路45Bが設けられている。
【0088】
第1分岐経路45A及び第2分岐経路45Bは、平面視においてメイン走行経路44に対して傾斜する傾斜姿勢で、一方側メイン走行経路44Aと他方側メイン走行経路44Bとを接続するように設けられている、
また、一方側メイン走行経路44Aにおける左右一対の長辺相当部分の間には、それら長辺相当部分の一方から他方に向けて容器搬送車42を短絡走行させる短絡経路46が、一方側メイン走行経路44Aの長手方向に沿って、複数設けられている。
【0089】
複数の環状のサブ走行経路43は、並行な一対の直線相当部分の両端同士を円弧状部分にて接続した長円状に形成されるものであって、平面視において、2つの環状のメイン走行経路44の両側脇に、その長手方向をメイン走行経路44の長手方向と直交させる姿勢で、メイン走行経路44の長手方向に沿って間隔を隔てて並ぶ状態で設けられている。
【0090】
そして、一対のメイン走行経路44のうちの他方側メイン走行経路44Bからサブ走行経路43に向けて容器搬送車42を分岐走行させる分岐接続経路47A、及び、サブ走行経路43から他方側メイン走行経路44Bに向けて容器搬送車42を合流走行させる合流接続経路47Bが設けられている。
【0091】
本実施形態においては、図13に示すように、一方側メイン走行経路44Aの内方側に相当する箇所に、ウェハ収納容器W及びレチクル収納容器Rを保管する上述した保管棚1、及び、ウェハ収納容器Wを一時的に保管する複数のウェハ専用保管棚1Aが、一方側メイン走行経路44Aの長手方向に並ぶ状態で設けられている。
また、複数のウェハ処理装置Pとしては、半導体基板に対して異なる処理を行う複数種が存在することになり、それらのうちには、露光処理装置PRがある。
尚、図13においては、保管棚1が一棟装備され、かつ、露光処理装置PRが一台装備される場合を例示するが、保管棚1や露光処理装置PRの設置数は、種々変更されることになる。
【0092】
ウェハ収納容器W及びレチクル収納容器Rを保管する保管棚1には、上述の如く、ウェハ収納容器Wに対する第1入出庫部F1と、レチクル収納容器Rに対する第2入出庫部F2とが装備される。
ウェハ収納容器Wを保管する複数のウェハ専用保管棚1Aには、ウェハ収納容器Wに対する第1入出庫部F1が装備される。
【0093】
露光処理装置PRには、ウェハ収納容器Wに対するウェハ用搬出入部G1と、レチクル収納容器Rに対するレチクル用搬出入部G2とが装備され、他のウェハ処理装置Pには、ウェハ収納容器Wに対するウェハ用搬出入部G1が装備される。
【0094】
したがって、容器搬送車42としての第1天井搬送車B1は、保管棚1やウェハ専用保管棚1Aの第1入出庫部F1から受取ったウェハ収納容器Wを、ウェハ処理装置Pや露光処理装置PRのウェハ用搬出入部G1に搬送する作業、ウェハ処理装置Pや露光処理装置PRのウェハ用搬出入部G1から受取ったウェハ収納容器Wを、別の処理を行うウェハ処理装置Pのウェハ用搬出入部G1に搬送する作業、及び、ウェハ処理装置Pや露光処理装置PRのウェハ用搬出入部G1から受取ったウェハ収納容器Wを、保管棚1やウェハ専用保管棚1Aの第1入出庫部F1に搬送する作業を行うことになる。
【0095】
また、容器搬送車42としての第2天井搬送車B2は、保管棚1の第2入出庫部F2から受取ったレチクル収納容器Rを、露光処理装置PRのレチクル用搬出入部G2に搬送する作業、及び、露光処理装置PRのレチクル用搬出入部G2から受取ったレチクル収納容器Rを、保管棚1の第2入出庫部F2に搬送する作業を行うことになる。
【0096】
第2天井搬送車B2がレチクル収納容器Rを搬送するために主として走行する主搬送経路は、例えば、図18に示すように、保管棚1の第2入出庫部F2を起点とすると、一方側メイン走行経路44A、短絡経路46、第1分岐経路45A、他方側メイン走行経路44B、分岐接続経路47A、及び、サブ走行経路43を通して、露光処理装置PRのレチクル用搬出入部G2に至る経路である。
【0097】
また、主搬送経路は、例えば、図18に示すように、レチクル用搬出入部G2を起点とすると、サブ走行経路43、合流接続経路47B、他方側メイン走行経路44B、第2分岐経路45B、短絡経路46、及び、一方側メイン走行経路44Aを通して、保管棚1の第2入出庫部F2に至る経路である。
【0098】
そして、上記した主搬送経路は、第1天井搬送車B1がウェハ収納容器Wを搬送するために走行する経路部分であるため、走行経路Lのうちの、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2の夫々が走行する共用走行経路部分Laに相当することになる。
【0099】
尚、本実施形態においては、第2天井搬送車B2が、共用走行経路部分Laのみを走行することにより、レチクル収納容器Rを搬送する場合を例示するものであるが、走行経路Lのうちに、第2天井搬送車B2のみが走行する経路を含む形態で実施してもよい。
【0100】
例えば、図13及ぶ図18においては、露光処理装置PRのレチクル用搬出入部G2を経由するサブ走行経路43が、ウェハ処理装置Pのウェハ用搬出入部G1を経由する場合を例示するが、このウェハ処理装置Pを省略すれば、露光処理装置PRのレチクル用搬出入部G2を経由するサブ走行経路43は、第2天井搬送車B2のみが走行することになり、共用走行経路部分Laから外れることになる。
【0101】
次に、各部の構成について説明を加える。
(走行レールの構成)
走行経路Lに沿って設置される走行レール41は、メイン走行経路44やサブ走行経路43に沿って延びるように配設されるものであって、図15に示すように、走行レール用支持体48により天井部に吊下げ状態で設置され、また、レール横幅方向に間隔を隔てる状態で左右一対のレール部41aを備えるように構成されている。
【0102】
(第1天井搬送車の構成)
容器搬送車42のうちの第1天井搬送車B1は、図14及び図15に示すように、走行レール41の下方に位置する車体本体部49Aと、走行レール41に沿って走行する走行部50とから構成されており、車体本体部49Aには、物品Bを吊り下げ状態で把持する把持部51が備えられている。
【0103】
走行部50が、前後に並ぶ前方走行部50Fと後方走行部50Rとから構成され、前方走行部50F及び後方走行部50Rの夫々から下方に延出される上下方向に沿う連結軸52が、左右一対のレール部41aの間を通して下方に伸びる状態で設けられている。
そして、車体本体部49Aが、前方走行部50F及び後方走行部50Rの夫々に、連結軸52の軸心周りで相対回転自在な状態で、連結軸52にて吊下げ支持されている。
【0104】
前方走行部50F及び後方走行部50Rの夫々には、電動式の駆動モータ53にて回転駆動される左右の走行輪54が、左右一対のレール部41a夫々の上面にて形成される走行面を走行する状態で装備され、また、上下軸心周りで自由回転する左右の案内輪55が、左右一対のレール部41aにおける内方側の側面にて形成される案内面に接当する状態で装備されている。
【0105】
したがって、第1天井搬送車B1は、前方走行部50F及び後方走行部50Rの案内輪55が一対のレール部41aにて案内されることによって、車体横幅方向での位置を規制されながら、前方走行部50F及び後方走行部50Rの走行輪54が回転駆動されることによって、走行レール41に沿って走行するように構成されている。
また、第1天井搬送車B1は、車体本体部49Aに対して前方走行部50F及び後方走行部50Rが連結軸52の軸心周りで屈曲することにより、メイン走行経路44の円弧状部分やサブ走行経路43の円弧状部分等の円弧状経路部分をも良好に走行できるようになっている。
【0106】
車体本体部49Aは、図14に示すように、上壁部における車体前後方向の前端側部分と後端側部分とが下方側に延びる逆U字状に形成されて、下方側や左右両側が開放されており、下方側に延びる前端側部分と後端側部分との間に把持部51が配設されている。
そして、車体本体部49Aには、把持部51を昇降させるための電動式の昇降用モータ56、把持部51を上下軸心周りで旋回させるための電動式の旋回用モータ57が備えられている。
【0107】
つまり、昇降用モータ56は、索状体としてのベルト58が巻回された回転ドラム59を正逆に回転駆動して、ベルト58を巻き取り又は繰り出すことにより、把持部51を上昇位置と下降位置とに昇降させるように構成されている。
尚、上昇位置とは、図14及び図15に示すように、把持部51を、車体本体部49Aにおける内方上部箇所に収納した位置であり、下降位置とは、図示は省略するが、把持部51を、ウェハ処理装置P及び露光処理装置PRのウェハ用搬出入部G1や、保管棚1及びウェハ専用保管棚1Aの第1入出庫部F1の近くに下降させた位置である。
【0108】
把持部51は、車体本体部49Aの上壁部から下方に延びる旋回軸60(図14参照)により、車体本体部49Aに対して上下軸心周りで回転自在に連結されている。そして、旋回用モータ57が、回転駆動力伝達部61を介して旋回軸60を上下軸心周りに回転駆動することによって、把持部51を上下軸心周りで旋回させるように構成されている。
【0109】
把持部51は、図15に示すように、ウェハ収納容器Wのトップフランジ10を把持するための一対の把持具62を、車体本体部49Aの前後方向に沿う軸心回りの揺動によって開閉自在な状態で備えている。
そして、電動式の把持用モータ63によって、一対の把持具62を閉じ姿勢にして、トップフランジ10を把持する把持状態と、一対の把持具62を開き姿勢にして、把持を解除する把持解除姿勢とに切換えるように構成されている。図15では、一対の把持具62を把持状態に切り換えた状態を示している。
【0110】
(第2天井搬送車の構成)
容器搬送車42のうちの第2天井搬送車B2は、図16及び図17に示すように、上述した第1天井搬送車B1の走行部50と同じ構成の走行部50を備え、かつ、第1天井搬送車B1の車体本体部49Aとは、異なる構成の車体本体部49Bとを備えるものであるが、基本的には、第1天井搬送車B1と類似する構成であるため、第1天井搬送車B1が備える部材と同じ部材については、同じ符号を記載して、詳細な説明を省略する。
【0111】
すなわち、車体本体部49Bが、走行部50における前方走行部50F及び後方走行部50Rの夫々に、連結軸52にて吊下げ支持されている。
車体本体部49Bの内部には、第1天井搬送車B1が装備する把持部51と同じ構成の把持部51が装備されている。
【0112】
この把持部51は、レチクル収納容器Rのフランジ部13Cを把持するための一対の把持具62を、電動式の把持用モータ63によって、フランジ部13Cを把持する把持状態と、把持を解除する把持解除姿勢とに切換えるように構成されている。図17では、一対の把持具62を把持状態に切り換えた状態を示している。
また、把持部51は、昇降用モータ56によって昇降され、旋回用モータ57によって旋回される点も、第1天井搬送車B1と同様である。
【0113】
第2天井搬送車B2の車体本体部49Bは、第1天井搬送車B1の車体本体部49Aと同様に、上壁部における車体前後方向の前端側部分と後端側部分とが下方側に延びる逆U字状に形成されて、下方側や左右両側が開放されるが、この第2天井搬送車B2においては、車体本体部49Bの左右両側の開口を閉じる一対の板状体74、及び、車体本体部49Bの下方側の開口を閉じる一対の板状蓋体75が装備されている。
【0114】
一対の板状体74は、図17に示すように、車体本体部49Bの左右両側の開口を閉じる状態で、車体本体部49Bに固定状態で取付けられている。
【0115】
一対の板状蓋体75は、上下方向の揺動により、車体本体部49Bの下方側の開口を閉じる閉じ位置と、車体本体部49Bの下方側の開口を開く開き位置とに切換自在で、かつ、開閉駆動手段(図示せず)により、開閉操作されるように構成されている。
したがって、把持部51を昇降させるときには、一対の板状蓋体75を開き位置に操作することにより、車体本体部49Bの下方側の開口を開き、把持部51が車体本体部49Bの内部に位置するときには、一対の板状蓋体75を閉じ位置に操作して、車体本体部49Bの下方側の開口を通して、塵埃等が外部から侵入することを抑制するようになっている。
【0116】
また、車体本体部49Bの前壁部や後壁部に、清浄な空気を車体本体部49Bの内部に送風する浄化空気送風手段76が装備され、そして、上述した一対の板状体74に、排出量を調整自在な排気手段77が装備されている。
したがって、浄化空気送風手段76にて、清浄な空気を車体本体部49Bの内部に送風しながら、排気手段77にて、車体本体部49Bの内部の空気を外部に排出することにより、車体本体部49Bの内部を清浄な空気にて満たされた状態にして、レチクル収納容器Rやその内部のレチクルRtを清浄な状態に維持できるように構成されている。
【0117】
ちなみに、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2には、つまり、複数の容器搬送車42には、前方走行部50F及び後方走行部50Rの走行作動、把持部51の昇降作動、及び、一対の把持具62の開閉作動等を制御して、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2の運転を制御する台車側制御部(図示せず)が備えられている。
そして、台車側制御部は、複数の容器搬送車42の運行を管理する設備管理用制御部から、無線通信等により、搬送元及び搬送先を指定する搬送指令を受けると、その搬送指令にて指定された搬送元から搬送先に向けて、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rを搬送する搬送処理を行うように構成されている。
【0118】
つまり、容器搬送車42には、搬送先や搬送元に対応する目標停止位置を検出するためのセンサや基準点からの容器搬送車42の走行距離を検出するための距離センサ等の各種センサが備えられている。
そして、台車側制御部は、それら各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送元に走行することや、搬送元から指定された搬送先に走行することを行うために、前方走行部50F及び後方走行部50Rの走行作動を制御するように構成され、また、搬送元においては、搬送元からウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rを受け取るために、把持部51の昇降作動や一対の把持具62の開閉作動を制御し、かつ、搬送先においては、搬送先にウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rを降ろすために、把持部51の昇降作動や一対の把持具62の開閉作動を制御ように構成されている。
【0119】
以上の通り、本実施形態によれば、ウェハ収納容器Wとレチクル収納容器Rを保管棚1に保管するにあたり、入出庫用搬送手段としての昇降式搬送装置2に、ウェハ収納容器Wのトップフランジ10及びレチクル収納容器Rのフランジ部13Cを把持する把持部16を備えさせて、昇降式搬送装置2にて、ウェハ収納容器Wやレチクル収納容器Rを吊下げ状態で支持しながら、入出庫を行わせるものであるから、入出庫作業の効率を向上でき、しかも、昇降式搬送装置2の構成の簡素化を図ることができる。
【0120】
また、ウェハ収納容器Wとレチクル収納容器Rを保管する保管棚1を、建物の1階から3階に亘る状態で設けて、建物の1階部分や3階部分を、物品搬送設備を設置する空間として利用するものであるから、物品搬送設備を、平面視での設置スペースを減少させて状態で設置できるものとなる。
【0121】
さらに、ウェハ収納容器Wを搬送する第1天井搬送車B1及びレチクル収納容器Rを搬送する第2天井搬送車B2の走行経路Lを、少なくとも一部を第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2の夫々が走行する共用走行経路部分Laとする形態で設定して、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2の夫々を、走行経路Lに沿って天井側に設置した走行レール41を走行させるものであるから、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2を走行させるために設置する走行レール41の全設置長さを減少させて、設備全体の設置コストの低減化を図ることができる。
【0122】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、ウェハ収納容器Wとレチクル収納容器Rを保管する保管棚1とて、建物の3階に亘る状態で設けられて、1階部分と3階部分とにウェハ収納容器Wとレチクル収納容器Rを保管する保管棚1を例示したが、保管棚1の具体構成は各種変更できる。
例えば、ウェハ収納容器Wを収納する第1収納部S1を縦横に並ぶ状態で備え、かつ、レチクル収納容器Rを収納する第2収納部S2を縦横に並ぶ状態で備える形態で、保管棚1を構成してもよい。
この場合においては、入出庫用搬送手段としては、棚横幅方向に走行する走行台車、及び、その走行台車に立設した昇降マストに昇降自在に装着した昇降台を備える、いわゆるスタッカークレーンを設け、そのスタッカークレーンの昇降台に、把持部を出退自在に装備する形態で構成するとよい。
【0123】
(2)上記実施形態では、第1天井搬送車B1の走行部50と、第2天井搬送車B2の走行部50とを同じ構成にすることによって、第1天井搬送車B1及び第2天井搬送車B2が共用の走行レール41を走行する場合を例示したが、第1天井搬送車B1と第2天井搬送車B2とは、共用の走行レール41を走行できるものでありさえすれば、第1天井搬送車B1や第2天井搬送車B2の具体構成は、異なる構成に構成してもよい。
【0124】
(3)上記実施形態では、第1天井搬送車B1と第2天井搬送車B2とが、同じ構成の把持部51を備える場合を例示したが、第1天井搬送車B1の把持部51と、第2天井搬送車B2の把持部51とを異なる構成にする形態で実施してもよい。
【0125】
(4)上記実施形態では、走行経路Lとして、2つの環状のメイン走行経路44が、経路横幅方向に並べた状態で、かつ、2重の環状となる状態で設けられ、複数の環状のサブ走行経路43が、メイン走行経路44の両脇に並ぶ状態に形成される場合を例示したが、例えば、複数の環状のサブ走行経路43が、メイン走行経路44の片側脇に並ぶ状態に形成する等、走行経路Lの具体構成は各種変更できる。
【0126】
(5)上記実施形態では、第1入出庫部F1及び第2入出庫部F2が、入出庫兼用のローラコンベヤを用いて構成される場合を例示したが、入庫用のローラコンベヤと出庫用のローラコンベヤとを別途設けるようにする形態で実施してもよい。
【0127】
(6)上記実施形態では、第1入出庫部F1及び第2入出庫部F2が、ローラコンベヤを用いて構成される場合を例示したが、容器載置台を保管棚1の内外方向に移動自在に設けたもの等、第1入出庫部F1及び第2入出庫部F2の具体構成は各種変更できる。
【符号の説明】
【0128】
1 保管棚
2 入出庫用搬送手段
R レチクル収納容器
10 トップフランジ
13C フランジ部
16 把持部
30 容器判別センサ
41 走行レール
B1 第1天井搬送車
B2 第2天井搬送車
F1 第1入出庫部
F2 第2入出庫部
L 走行経路
La 共用走行経路部分
PR 露光処理装置
Rt レチクル
S1 第1収納部
S2 第2収納部
W ウェハ収納容器
Wh 半導体ウェハ
図1
図2
図3
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図5
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