特許第5700258号(P5700258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5700258磁気熱量による熱発生器およびその熱交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700258
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】磁気熱量による熱発生器およびその熱交換方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 21/00 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   F25B21/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-500287(P2012-500287)
(86)(22)【出願日】2010年3月16日
(65)【公表番号】特表2012-520986(P2012-520986A)
(43)【公表日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】FR2010000215
(87)【国際公開番号】WO2010106242
(87)【国際公開日】20100923
【審査請求日】2013年3月13日
(31)【優先権主張番号】0951805
(32)【優先日】2009年3月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510088941
【氏名又は名称】クールテック アプリケーションズ エス.エイ.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ハイツラー,ジャン−クロード
(72)【発明者】
【氏名】ムラー,クリスティアン
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−183265(JP,A)
【文献】 特開昭59−183264(JP,A)
【文献】 特開昭59−180254(JP,A)
【文献】 特開昭62−182557(JP,A)
【文献】 特開2004−333097(JP,A)
【文献】 米国特許第02589775(US,A)
【文献】 米国特許第04507928(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気熱量による熱発生器であって、冷却端部(3)および加熱端部(4)を備える少なくとも1つの熱モジュール(2、20)を有し、少なくとも1つの磁気熱量効果素子(5)と、前記磁気熱量効果素子(5)を変動磁場下に置くようにする磁化配列であって、前記磁気熱量効果素子(5)に加熱段階と冷却段階とを交互に生成する磁化配列と、前記磁気熱量効果素子(5)と熱的に接触する冷却液が一方の端部(3)の方向に流れたのちにもう一方(4)の方向に流れ、またその逆に流れて磁場変動と同期化するように駆動する冷却液の駆動手段(26、16)と、前記熱モジュール(2、20)によって産生される熱エネルギーを前記熱発生器(1、10)の少なくとも1つの外部装置に転移させる少なくとも2つの熱交換手段(7、27)とを有する熱交換器(1、10)において、冷却液の前記駆動手段(26、16)が、一定容積の閉鎖した流体回路内で、前記交換手段(7、27)を介して前記熱モジュール(2、20)のそれぞれの冷却端部(3)および加熱端部(4)に流体的に連結していることと、前記熱交換手段(7、27)がそれぞれ、並列して連結する互いに異なる2つの交換領域(8および9、28および29)を有し、この両領域が冷却液の循環方向を制御する制御手段(11)を備えて冷却液がこの両領域を一方向のみに交互に通過するようになっており、加熱段階と冷却段階のそれぞれの熱的段階毎に冷却液は両領域のどちらか一方の交換領域内のみを流れ、他方の交換領域内では冷却液が次の熱的段階まで流れずにとどまることとを特徴とする熱発生器(1、10)。
【請求項2】
前記熱交換手段(7、27)の第1の交換領域(8、28)の入力部(12)と第2の交換領域(9、29)の出力部(15)とが前記熱モジュール(2、20)の対応する端部の一方(3、4)に流体的に連結していることと、第1の交換領域(8、28)の出力部(13)と第2の交換領域(9、29)の入力部(14)とが前記駆動手段(26、16)に流体的に連結していることとを特徴とする、請求項1に記載の熱発生器。
【請求項3】
前記駆動手段は複動ジャッキのピストン(6)であり、該ピストンの2つのチャンバ(17、18)はそれぞれ前記熱モジュール(2)の前記端部の一方(3または4)と前記熱交換手段(7、27)を介して流体的につながっていることを特徴とする、請求項2に記載の熱発生器。
【請求項4】
前記熱モジュール(20)が、少なくとも2つの磁気熱量効果素子(5)であって、共通セル(19)によって流体的に連結し、それぞれが加熱または冷却の別々の段階の影響を受け、冷却液が逆方向に通過する磁気熱量効果素子を有する、請求項2に記載の熱発生器において、前記駆動手段(16)は、
− 前記共通セル(19)に流体的に連結する中央の作動機(21)と、
− 前記熱モジュール(20)の端部の一方(3または4)にそれぞれが流体的に連結する2つの端部の作動機(22および23)
とを有することを特徴とする熱発生器。
【請求項5】
前記中央の作動機(21)および前記端部の作動機(22、23)は、同じ操作装置が制御するピストンを有することを特徴とする、請求項4に記載の熱発生器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱発生器(1、10)によって産生された熱エネルギーを、少なくとも1つの熱交換手段(7、27)を介して少なくとも1つの外部装置と交換する方法であって、前記熱発生器(1、10)が、冷却液が通過する両端部(3、4)を備えている少なくとも1つの熱モジュール(2、20)を有し、連続する加熱段階と冷却段階とに従わせる変動磁場の影響を受ける少なくとも1つの磁気熱量効果素子(5)を有し、前記冷却液が、冷却液の駆動手段(26、16)を介して前記端部(3、4)の一方からもう一方への方向へ、またこの逆方向へ、磁場変動と交互に同期化するように各磁気熱量効果素子(5)を通って流れる方法において、各動作の段階で、一定容積である閉鎖した流体回路内の熱交換手段(7、27)と接続する駆動手段(26、16)によって冷却液を前記磁気熱量効果素子(5)内に少しずつ移動させることと、各動作の段階で前記熱発生器によって産生される熱エネルギーであって、各熱交換手段(7、27)の連続する2つの交換領域(8、9および28、29)に加熱段階および冷却段階を有する各磁気サイクルで、前記冷却液によって運搬される熱エネルギーを交換することとを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気熱量による熱発生器であって、冷却端部および加熱端部を備える少なくとも1つの熱モジュールを有し、少なくとも1つの磁気熱量効果素子と、各磁気熱量効果素子を変動磁場下に置くようにする磁化配列であって、前記磁気熱量効果素子に加熱段階と冷却段階とを交互に生成する磁化配列と、前記磁気熱量効果素子と熱的に接触する冷却液が一方の端部の方向に流れたのちにもう一方の方向に流れ、またその逆に流れて磁場変動と同期化するように駆動する冷却液の駆動手段と、前記熱モジュールによって産生される熱エネルギーを前記熱発生器の少なくとも1つの外部装置と交換する少なくとも1つの交換手段とを有する熱交換器に関する。
【0002】
また、本発明は、上記のように定義した熱モジュールによって産生される熱エネルギーの交換方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
磁気冷却技術は20数年以上前から知られており、環境配慮および持続可能な開発の観点からこの技術がもたらす利点は承知している。また、この技術の熱出力および効率には限度があることも知られている。そのため、この分野に関わる研究者はこぞってこのような熱発生器の性能改善に取り組み、磁力、磁気熱量効果素子の性能、冷却液と磁気熱量効果素子との間の熱交換面積、熱交換器の性能など、さまざまなパラメータを研究している。
【0004】
熱交換器は、熱発生器によって産生され、1つまたは複数の外部の適用物からくる別の流体(液体または気体)に向かって冷却液が運搬する熱エネルギーを移動させたり交換したりする機能を果たしている。この外部の適用物は、熱発生器を包囲する空気とすることができ、外部の適用物に搭載される板状の熱装置、サーマルチャンバまたは環境の冷房、空気調節、温度調節もしくは暖房をしようとするその他のあらゆる適用物などとすることができる。
【0005】
従来の磁気熱量による熱発生器は、冷却液が交互に通過する磁気熱量効果素子を有する。従来の第1の構成では、この冷却液は、磁気熱量効果素子の第1の端部と通じている第1のセルと、磁気熱量効果素子の第2の端部と通じている第2のセルとの間を交互に流れ、前記セルのそれぞれに熱交換器が流体的に連結されている。磁気熱量サイクルに応じて熱交換器に冷却液を誘導するために、さまざまなバルブが用いられている。第2の構成では、各セルは油圧リングに搭載される熱交換器と流体的に連結している。
【0006】
前述した第1の構成では、冷却液は2つのセルの間を交互に移動し、加熱段階または冷却段階の際に、磁気熱量効果素子から出るたび、および磁気熱量効果素子に入るたびに、外部の適用物の熱交換器を通過する。よってこの構成では、冷却液が作動している部品すべてを通り、外部の適用物と磁気熱量効果素子との熱交換器に連結している管路、導管および接続を全体的に移動して行き来するために、大量のエネルギーを供給する必要があり、循環方向が変わるたびに前記流体および作動中の部品の慣性の問題を解決しなければならない。このほか、さらに詳細には、非常に短時間の段階の場合で、流体の速度が速いか周波数が高い場合、この冷却液が方向を変えて磁気熱量効果素子に再度入る際には、熱交換器と冷却液との間の熱移動は達成されない。よって冷却液は、磁気熱量効果素子との最適な熱交換を実現することができる入力温度にはならない。
【0007】
前記第2の構成では、磁気熱量効果素子の出力部と熱交換器との熱移動領域との間で、冷却液からの熱エネルギーの一部が失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上に述べた課題への解決策を提供してこのような欠点を緩和することを狙いとしている。そのために、本発明の磁気熱量による熱発生器は、熱発生器と外部の適用物との間の熱エネルギー移動が最適化されるように作製される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、上で述べた類の磁気熱量による熱発生器であって、冷却液の前記駆動手段が、一定容積の閉鎖した流体回路内で、前記交換手段を介して前記熱モジュールのそれぞれの冷却端部および加熱端部に流体的に連結していることと、前記熱交換手段が、並列して連結する互いに異なる2つの交換領域を有し、この両領域が冷却液の循環方向を制御する制御手段を備えて冷却液がこの両領域を一方向のみに交互に通過するようになっていることとを特徴とする熱発生器に関する。
【0010】
また、本発明は、本発明による熱発生器によって産生された熱エネルギーを、少なくとも1つの熱交換手段を介して少なくとも1つの外部装置と交換する方法であって、前記熱発生器が、冷却液が通過する両端部を備えている少なくとも1つの熱モジュールを有し、連続する加熱段階と冷却段階とに従わせる変動磁場の影響を受ける少なくとも1つの磁気熱量効果素子を有し、前記冷却液が、冷却液の駆動手段を介して前記端部の一方からもう一方への方向へ、またこの逆方向へ、磁場変動と交互に同期化するように各磁気熱量効果素子を通って流れる方法も目的とする。本方法は、各動作の段階で、一定容積である閉鎖した流体回路内の熱交換手段と接続する駆動手段によって冷却液を前記磁気熱量効果素子内に少しずつ移動させることと、各動作の段階で前記熱発生器によって産生される熱エネルギーであって、各熱交換手段の連続する2つの交換領域に加熱段階および冷却段階を有する各磁気サイクルで、前記冷却液によって運搬される熱エネルギーを交換することとを特徴とする。
【0011】
こうすることにより、冷却または加熱の各段階で、前記端部の一方から出る冷却液は、前記交換手段の第1の交換領域を通って駆動手段の方へ誘導され、次の加熱または冷却の各段階で、前記駆動手段の冷却液は、前記交換手段の第2の交換領域を通ってこの同じ端部の方へ誘導される結果、前記端部を出た各流体部分は、第1の交換領域を通って駆動手段の方向へ、または第2の交換領域を通って同じ端部の方向へ、互いに混ざることも同じ回路または管路の部分で逆方向に移動することも一切なく、段階が変わるごとに少しずつ移動する。
【0012】
有利なように、前記熱交換手段の第1の交換領域の入力部と第2の交換領域の出力部とを前記熱モジュールの対応する端部の一方に流体的に連結させ、第1の交換領域の出力部と第2の交換領域の入力部とを前記駆動手段に流体的に連結させることができる。
【0013】
第1の実施形態では、駆動手段は、複動ジャッキのピストンとすることができ、このピストンの2つのチャンバがそれぞれ前記熱モジュールの前記端部の一方と前記熱交換手段を介して流体的につながるようにすることができる。
【0014】
第2の実施形態では、前記熱モジュールは、少なくとも2つの磁気熱量効果素子であって、共通セルによって流体的に連結し、それぞれが加熱または冷却の別々の段階の影響を受け、冷却液が相反する方向に通過する磁気熱量効果素子を有することができ、前記駆動手段は、
− 前記共通セルに流体的に連結する中央の作動機と、
− 前記熱モジュールの端部の一方にそれぞれが流体的に連結する2つの端部の作動機
とを有することができる。
【0015】
この実施形態では、前記中央の作動機および前記端部の作動機は、同じ操作装置が制御するピストンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明およびその利点は、添付の図を参照しながら非限定的な例として挙げた2つの実施形態を述べた以下の説明文を読めばさらに明らかになるだろう。
【0017】
図1A】第1の実施形態による熱発生器の概略図である。
図1B】第1の実施形態による熱発生器の概略図である。
図1C】第1の実施形態による熱発生器の概略図である。
図1D】第1の実施形態による熱発生器の概略図である。
図2A】第2の実施形態による熱発生器の概略図である。
図2B】第2の実施形態による熱発生器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図に示す実施例では、同じ部品または部分には同じ符号を付している。
【0019】
図は、本発明の2つの実施形態による熱発生器1、10の概略図であり、本発明は後述する最初の熱移動方法を実装している。この熱発生器1、10は、磁気熱量効果素子5を含む熱モジュール2、20を有する。当然ながら、この熱発生器は、2つ以上の熱モジュール2、20を有してもよく、各モジュールが2つ以上の磁気熱量効果素子5を有してもよい。
【0020】
各磁気熱量効果素子5は、冷却液を通過させることができる1つまたは複数の磁気熱量効果材料で構成することができる。そのために、前記磁気熱量効果材料を多孔質にし、その孔が流体を通過させる通路を形成するようにすることができる。また、磁気熱量効果材料は、ミニチャンネルまたはマイクロチャンネルを加工した中実ブロックの形態をとったり、場合によっては溝入りで積層されたプレートの集合体でその間を冷却液が流れるもので構成したりすることもできる。また、磁気熱量効果材料は、粉末または粒子の形態をとってその隙間が流体の通路を形成するようにすることもできる。これ以外のあらゆる実施形態で、冷却液がそれぞれの磁気熱量効果素子5と熱交換することができるものも当然認められる。したがって、特定の構成では、薄板形状の磁気熱量効果素子で、冷却液は通過しないが、たとえばこの薄板の上面と下面を2つの相反する方向に循環する前記冷却液と熱的に接触し、この薄板を有する熱モジュールの両端部を形成する前記薄板の一方の端部で常に流体を流すものを有することができる。
【0021】
熱モジュール2、20は、磁化配列25を介して変動磁場の影響を受け、磁化配列は、添付の一連の図が示すように、各磁気熱量効果素子5に対して相対的な動きをする永久磁石を組み立てるか、あるいは連続的に給電される電磁石または磁場変動を生成することができるほかのあらゆる類似の方法で構成することができる。
【0022】
磁気熱量効果素子5は両端部を有し、たとえば第1の端部3が冷却端部、第2の端部が加熱端部であり、この両端部は熱モジュール2、20の両端部と同じである。この磁気熱量効果素子5を端部3および4の一方またはもう一方の方向へ冷却液が前記磁場変動と連携して流れ、この磁気熱量効果素子5の両端部3と4との間の温度勾配を生成したのちにそれを維持する。
【0023】
図1A〜1Dに示す第1の実施形態では、冷却液は、冷却液の駆動手段26を形成する複動ジャッキのピストン6が動くことによって起こる往来の動きに沿って磁気熱量効果素子5を流れる。当然ながら、たとえば膜など、冷却液を動かすことができるこれ以外のあらゆる手段を用いてもよい。ピストン6またはこれに類似のものを動かすのは、図示していない操作装置によって制御され、カム、磁気装置、リニアモーター、または前記ピストンを往来の動きに沿って動かすことができるこれ以外のあらゆる手段で行うことができる。このピストン6は、ジャケットの容積を2つのチャンバ17および18に分離し、2つのチャンバは互いに隔離され、それぞれが熱モジュール2の端部3および4で流体的に連結している。
【0024】
冷却液が流れる流体回路は閉鎖され、容積は一定である。図2Aおよび2Bに示す第2の実施形態では、冷却液の駆動手段16は、後述する3つのピストン21、22および23を有する。
【0025】
図に示す2つの実施形態では、熱発生器1、10は、熱エネルギーを2つの外部装置と効率的に交換するように設計され、そのために2つの熱交換手段7、27を備え、同手段はそれぞれ熱モジュール2、20の端部3、4と連結して駆動手段26と連続している。各熱交換手段7、27は、冷却液が通過し、外部の適用物または外部装置と熱的に連結し、駆動手段26は熱モジュール2、20の両端部3、4と流体的に連結している。
【0026】
記載した実施例では、熱発生器1、10は2つの同じ熱交換手段7、27を有するが、本発明は、一方の端部3または4と連結する単一の熱交換手段7、27、または場合によっては熱モジュール2、20の端部3および4と連結する異なる熱交換手段のみを有する熱発生器にも及ぶ。
【0027】
熱交換手段7および27は、有利なように、冷却液が交互に通過する2つの交換領域8および9、ならびに28および29をそれぞれ有する。複数の交換領域8および9または28および29を有することによって、熱発生器1、10と前記交換手段7、27と熱的に連結している外部装置との間の熱交換容量を増大させることができる。
【0028】
さらに、熱交換手段7、27を介して駆動手段26、16を熱モジュール2、20に流体的に連結させることによって、追加の駆動手段を解放して熱モジュール2、20および熱交換手段7、27に同時に冷却液を移動させる機能を持たせることができる。この構成によって、消費エネルギーの軽減、利得(パフォーマンス係数、COP)の獲得、および熱発生器1、10の外形寸法の縮小を達成することができる。
【0029】
図に示す2つの熱発生器1、10において、熱交換手段7および27の2つの交換領域8、9および28、29は、駆動手段26、16が熱モジュール2、20の端部3、4と連結している流体回路の中で並列または分岐して配置されているため、冷却液が常に一方方向に流れている。さらに詳細には、冷却液は、熱モジュール2、20の端部3、4から出る際には第1の交換領域8、28の方向に流れたのちに、次の段階で熱モジュール2、20の端部3、4に入る際には第2の交換領域9、29の方向に流れる。このようにするために、冷却液の循環方向を制御する、たとえば逆止弁などの制御手段11は、前記流体回路内に取り付けられる。熱モジュール2、20の端部3および4は、それぞれ熱交換手段7、27のうちの対応する第1の交換領域8、28の入力部12および第2の交換領域9、29の出力部15に連結している。第1の交換領域8、28の出力部13および第2の交換領域9、29の入力部14は互いに駆動手段26、16のチャンバ17、18と流体的に連結している。
【0030】
図1A〜1Dは、冷却液がP0〜P7およびP0’〜P7’の部分ごとに熱発生器1の中を流体回路を通って4つの連続する段階に分かれて少しずつ移動する様子を示している。段階とは、加熱段階または冷却段階のことであり、加熱段階とそれに続く冷却段階に相当する1回の磁気サイクルのことである。添付の図に示す磁気熱量効果材料5は、磁場下に置かれているときは加熱され、磁場から外れているとき、またはきわめて弱い磁場下に置かれているときは冷却される。
【0031】
図1Aに示す段階は加熱段階であり、磁化配列25は磁気熱量効果材料5を磁場下に置いている。この段階では、ピストン6は左側へ移動し、図1Aの左にある冷却端部3から図1Aの右にある加熱端部4の方へ向かって磁気熱量効果材料5へ冷却液を移動させる(流体部分P6)。ピストン6のチャンバ17から出る冷却液(流体部分P3)は、熱交換手段7の第2の交換領域9の方向へ流れ、熱モジュール2の冷却端部3まで流れる(流体部分P4に次いでP5)。これらの循環方向は、閉鎖した流体回路に配置されている逆止弁11によって制御される。冷却液は磁気熱量効果材料5を通過し(部分P6)、その後、逆止弁11によって熱交換手段27の第1の交換領域28の方へ誘導され、ピストン6のチャンバ18の方向に流れる(流体部分P7、P0、Plに次いでP2)。冷却液はこの行程に従って駆動手段26のチャンバ18を充填する。
【0032】
2つの逆止弁は、熱モジュール2、20の各端部3または4と、駆動手段26、16のこれに対応するチャンバ17または18との間の流体回路に対面して配置される。したがって、第1の交換領域8、28では、冷却液は、前記端部3または4からこれに対応するチャンバ17または18に向かってしか流れず(=流体の往回路)、第2の交換領域9、29では、冷却液は、前記チャンバ17または18からこれに対応する端部3または4に向かってしか流れない(=流体の復回路)。
【0033】
図1Aに示す加熱段階では、冷却液は、冷却側にある熱交換手段7の第2の交換領域9、および加熱側にある交換手段27の第1の交換領域28のみに移動することがわかる。
【0034】
図1Bに示す冷却段階である次の段階では、流体はほかの2つの交換領域、つまり冷却側にある交換手段7の第1の交換領域8、および加熱側にある交換手段27の第2の交換領域29のみに流れる。ピストン6は、右側に移動し、冷却液は磁気熱量効果材料5の加熱端部4から冷却端部3の方へ移動する(流体部分P6’)。ピストン6のチャンバ18から出る冷却液(流体部分P3’)は、熱交換手段27の第2の交換領域29の方向へ流れ、熱モジュール2の加熱端部4まで流れる(流体部分P4’に次いでP5’)。この循環方向は、閉鎖した流体回路に配置されている逆止弁11によって制御される。冷却液は磁気熱量効果材料5を通過し(部分P6’)、その後、逆止弁11によって熱交換手段7の第1の交換領域8の方へ誘導され、ピストン6のチャンバ17の方向に流れる(流体部分P7’、P0’、Pl’に次いでP2’)。冷却液はこの行程に従って駆動手段26のチャンバ17を充填する。
【0035】
図1Cに示す次の加熱段階では、流体は、図1Aについて説明したのと同じように流れ、流体部分P7が流体部分P6に代わり、流体部分P6が流体部分P5に代わり、以下同様に代わる。
【0036】
同じように、図1Dに示す次の冷却段階では、流体は、図1Bについて説明したのと同じように流れ、流体部分P7’が流体部分P6’に代わり、流体部分P6’が流体部分P5’に代わり、以下同様に代わる。
【0037】
それぞれの熱的段階で、冷却液は熱交換手段7、27の別々の交換領域を通って流れる。熱モジュール2、20の端部3または4から出た流体は、熱交換手段7、27の対応する2つの交換領域8および9、または28および29を通過したあとにかぎってこの同じ端部3または4に戻る。したがって、熱発生器1と外部の適用物との間で最大のエネルギーを交換することができる。さらに、再び熱モジュール2に戻ってくる冷却液は、熱交換手段7および17を介して外部の適用物との大規模な熱交換を行うことができ、次の段階で再び磁気熱量効果材料5を通過するのに適切な温度に戻る。
【0038】
さらに、この熱交換は、冷却液が少しずつ流れることと、それぞれの流体部分が2段階のうちの1段階しか移動しないこととによって有利になるため、交換時間が長くなり、それによって交換領域8、9、28、29での外部の適用物との熱交換が向上する。実際に、交換される全体の出力は、(移動しない流体の)静的な時間の間に交換される出力に(移動する流体の)動的な時間の間に交換される出力を加えたものと等しくなる。
【0039】
図1A〜1Dに示す例では、第1の交換領域8、28の出力部13および第2の交換領域9、29の入力部14は、駆動手段26の対応するチャンバ17、18に直接連結している。この出力部および入力部を、駆動手段26の対応するチャンバ17または18に流体的に連結している分岐点で互いに流体的に連結するようにしてもよい。このような構成では、距離、さらに詳細にはこの分岐点と対象となるチャンバ17、18との間の容積をできるかぎり小さくして不感帯が現れないようにし、冷却液が前記不感帯を出ずにこの不感帯内を交互に移動することのないようにする必要がある。
【0040】
図2Aおよび2Bに示す熱発生器10は、第2の実施形態であり、熱モジュール20は、常に異なる磁気熱量段階の影響を受ける2つの磁気熱量効果素子5を有する。したがって、磁気熱量効果素子5のうちの1つが磁場下にあって加熱されるとき、もう1つの磁気熱量効果素子は磁場外にあるか、きわめて弱い磁場下にあって冷却され、この逆も同様である。さらに、冷却液は2つの磁気熱量効果素子5を相反する方向に流れる。すなわち、熱モジュール20の端部3、4の一方またはもう一方の方向へ、またその逆に流れる。
【0041】
この熱発生器10の熱モジュール20に連結している熱交換手段7および27は、図1A〜1Dに示す熱発生器1の熱交換手段と同じものである。ただし、冷却液の駆動手段16は別の構成である。実際に、駆動手段は中央の作動機21を有し、この作動機はピストンの形状に作製され、ピストンは2つの磁気熱量効果素子5の共通セル19に流体的に連結し、この共通セル19を通って冷却液が2つの磁気熱量効果素子5の方向、つまり逆方向に移動する。また、駆動手段は、2つの端部の作動機22および23も有し、この作動機も同じくピストンの形状に作製され、ピストンはそれぞれ熱モジュール20の一方の端部3およびもう一方の端部4に流体的に連結している。これらのピストン全体を動かすのは、図示していない単一の操作装置によって制御され、この装置はカム、磁気装置、リニアモーター、または前記ピストンを往来の動きに沿って動かすことができるこれ以外のあらゆる手段で行うことができる。
【0042】
したがって、この構成では、各熱交換手段7、27は端部の作動機22および23のうちのいずれかに連結している。熱発生器10の動作は、熱交換手段7および27のそれぞれの交換領域8および9または28および29の2段階のうちの1段階で冷却液を循環させることに関しては、ほぼ同じである。
【0043】
第1の段階を示す図2Aでは、図の左側にある磁気熱量効果素子5は加熱段階に従い、図の右側にある磁気熱量効果素子5は冷却段階に従う。ピストン21、22、23はすべて左の方へ移動し、冷却液は、ピストン22のチャンバから熱モジュール20の(冷却)端部3に連結している熱交換手段7の第2の交換領域9の方向へ流れ、右側にある磁気熱量効果素子5を通過するために、冷却側の前記端部3から共通セル19を通過して中央の作動機を形成するピストン21のチャンバまで流れるとともに、冷却液は、ピストン23のチャンバから熱モジュール20の(加熱)端部4に連結している熱交換手段27の第2の交換領域29の方向へ流れ、左側にある磁気熱量効果素子5を通過するために、加熱側の前記端部4から共通セル19を通過して中央の作動機を形成するピストン21のチャンバまで流れる。そのため、ピストン21のジャケットは、ほかのピストン22および23のジャケットの2倍の大きさである必要がある。
【0044】
前述の例のように、冷却液の循環方向は、逆止弁11またはこれに類似のものによって制御される。
【0045】
この熱発生器10では、熱交換手段7、27の第1の交換領域8、28の入力部12および第2の交換領域9、29の出力部15は、対応する端部3、4に直接流体的に連結している。ただし、図1A〜1Dの熱発生器1では、第1の交換領域8、28の入力部12および第2の交換領域9、29の出力部15は、互いに分岐点で連結しており、この分岐点自体は対応する端部3、4に連結している。2つのタイプの接続はいずれも2つの熱発生器1および10のそれぞれで行うことができる。しかしながら、分岐点のない直接の接続であれば、不感帯が現れないようにし、冷却液が前記不感帯を出ずにこの不感帯内を移動することのないようにすることができるため、有利である。
【0046】
図2Aの段階では、冷却液は、交換手段7および27の第2の交換領域8および28を有する回路部分しか移動しないことがわかる。
【0047】
図2Bに示す次の段階では、冷却側にある磁気熱量効果素子5はもはや磁場下にないか、またはきわめて弱い磁場下にあり、もう一方の磁気熱量効果素子5は磁場下にあり、ピストン21、22および23は右の方へ移動する。冷却液は中央のピストン21のチャンバから共通チャンバ19の方へ移動し、その後この冷却液は(左の)冷却側にある磁気熱量効果素子5を通過したのちに、同じ側にある熱交換手段7の第1の交換領域8を通過してピストン22のチャンバを充填するとともに、この冷却液は(右の)加熱側にある磁気熱量効果素子5を通過したのちに、同じ側にある熱交換手段27の第1の交換領域28を通過してピストン23のチャンバを充填する。
【0048】
この段階でも同じく、冷却液は、2つの交換領域8および28、すなわち前の段階で冷却液が通過していない領域のみを通って移動する。
【0049】
この構成でも同じく、流体は各交換領域8、28、9、29を通って少しずつ2段階のうちの1段階を移動する。したがって、交換時間は増大するが、これが加熱段階および冷却段階に影響を及ぼすことはない。これによってさらに良好で長い時間、熱発生器1、10によって産生される熱エネルギーを外部の適用物または装置のそれぞれと交換することが可能になる。
【0050】
さらに、これは図示している2つの熱発生器1、10に対しても当てはまることだが、冷却液の各部分は常に同一方向に移動するため、循環方向の変更によって起こる慣性の問題を解決する必要がない。
【0051】
そのために、第1および第2の交換領域8、28および9、29は、外部装置内に配置するか、あるいはこの装置に直接接触させて配置することができる。例として、交換領域は、たとえばアルミニウムまたは銅などの熱伝導性材料製の導管形状に作製することができ、外部装置は、液体の環境(たとえば加熱、冷却または温度調節用の浴)または気体(たとえば加熱、冷却または温度調節用のチャンバまたは容積)とすることができる。
【0052】
記載した2つの実施形態では、冷却液の循環方向の制御手段は逆止弁である。ただし、この制御手段は、たとえば電気または差圧によって制御される油圧バルブなど、同じ機能を持つ同等のあらゆる手段に代替することができる。
【0053】
最後に、本発明は、熱モジュール2、20に1つまたは2つの磁気熱量効果素子5のみを搭載することにも、熱モジュール2、20を1つのみ有する熱発生器1、10にも限定されるものではない。
【0054】
記載した2つの熱発生器1、10は、本発明による熱エネルギーの交換方法を実装する。交換手段7、27によって、熱発生器によって産生されたエネルギーを外部装置と交換することが可能になる。そのために、流体は、磁気段階に応じて、2つの熱交換手段7、27の2つの交換領域9、28に次いで8、29を少しずつ交互に移動する。各交換領域9、28、8、29への流体の移動は一方向であり、この移動は、2つの熱交換手段7、27に接続している駆動装置によって行う。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、設定した目的、すなわち簡易な構造で、前記熱発生器1、10によって産生された最大の熱エネルギーを外部の適用物に移動させることができる少なくとも1つの熱交換手段7、27を備える熱発生器1、10を提供するとともに、熱モジュール2、20と外部(外部の装置または外部の適用物で構成される外部)との間の熱交換をもっとも効率よくすることができる方法を提供するという目的を達成することができることが本明細書から明らかになる。
【0056】
本発明による方法および熱発生器1、10は、暖房、冷房、温度調節、冷却またはその他の分野で、競争に耐え得る価格で場所を取らない寸法に抑え、工業用にも家庭用にも用途を見出すことができる。
【0057】
本発明は、記載した実施例に限定されるものではなく、添付の請求項に定義した保護範囲内である限り、当業者に自明のあらゆる修正および変形例も範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B