特許第5700333号(P5700333)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700333
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】製袋充填包装機のエンドシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20150326BHJP
   B65B 51/30 20060101ALI20150326BHJP
   B65B 59/04 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   B65B51/10 W
   B65B51/30
   B65B59/04
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-12447(P2011-12447)
(22)【出願日】2011年1月25日
(65)【公開番号】特開2012-153385(P2012-153385A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
(72)【発明者】
【氏名】穂積 貴史
(72)【発明者】
【氏名】土橋 大介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳平
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036977(JP,A)
【文献】 特開2004−189286(JP,A)
【文献】 特開平04−128104(JP,A)
【文献】 実開平02−052704(JP,U)
【文献】 実公昭54−009164(JP,Y1)
【文献】 特開2006−36248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/30
B65B 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を内包する筒状フィルムを、その包装フィルムの進行方向横方向にシールするとともにカットする製袋充填包装機のエンドシール装置であって、
前記包装フィルムを挟んで上下に配置されるヒーターブロックと、
そのヒーターブロックをシール面を対向させた状態を保持しながら、前後及び上下方向に移動させる駆動機構と、
前記上下に配置されるヒーターブロックのうちの少なくとも一方に、そのヒーターブロック内を上下方向に移動可能に配置したカッタと、
そのカッタの先端の刃部を前記シール面から突出及び引き込みの動作を行うアクチュエータと、
を備え
前記カッタが、把持柄を備えたカッタホルダに取り付けられ、
前記カッタホルダが昇降ブロックにボルト等の固定金具により取外し可能に固定され、
前記アクチュエータが前記カッタホルダの上方を避けるようにして前記昇降ブロック上方に取り付けられていることを特徴とする製袋充填包装機のエンドシール装置。
【請求項2】
ボルト等の固定金具が、ハンドル等の把持する部位を備えており工具を使用せずに取外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の製袋充填包装機のエンドシール装置。
【請求項3】
前記アクチュエータがエアシリンダであることを特徴とする請求項1に記載の製袋充填包装機のエンドシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋充填包装機のエンドシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製袋充填包装機は、製袋器により筒状に成形されて水平に移送される筒状フィルム中に、供給コンベヤにより物品を所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、前記物品が供給された筒状フィルムにおける長手方向端縁部の重合面にセンタシーラにより、センタシールを施し、更に筒状フィルムの物品を挟む前後に夫々エンドシール装置により、エンドシール・切断を施してなるピロー包装体を製造する。
【0003】
前記エンドシール装置は、筒状フィルムの移送路を挟んで上下に対向する一対のヒーターブロックを備え、両ヒーターブロックによって筒状フィルムを挟持した状態で、筒状フィルムの移送方向に沿って筒状フィルムの移送速度と同じ速度で水平移動してエンドシールを施し、ヒーターブロックに内蔵したカッタを突出させ、エンドシールの中央部分をカットした後、カッタを引き込みつつ相互に離間して後退し、再び相互に当接して水平移動する運動を繰返すものが好適に採用される。このような、エンドシール装置の方式をボックスモーション式と称する(例えば、特許文献1参照のこと)。
【0004】
前記上下一対のヒーターブロックにおいて、上側のヒーターブロックはカッタを内蔵するための貫通孔が設けられており、下側のヒーターブロックには、突出したカッタを受けるための貫通孔が設けられている。上側のヒーターブロックに内蔵されているカッタは、その上部に位置するエアシリンダなどのアクチュエータにより突出、引き込みの動作がなされる。ヒートシールのときに突出し、それ以外のときは引き込まれている。また、ヒーターブロックはフィルムにヒートシールを施すため、加熱用のヒーターを備えている。
【0005】
このようなボックスモーションタイプのエンドシール装置では、ヒーターブロックに装着したカッタの清掃、刃の研摩、及び部品交換等の理由によりカッタを取り外すことがある。これは、エンドシール装置の使用に伴い、ヒーターブロックの熱により溶着したフィルムカスがカッタに付着してしまうことがある。また、上下のヒーターブロック間で被包装物を噛み込んでしまった際には、カッタの刃先、及び貫通孔に被包装物が詰まってしまうことがある。このようにカッタに異物が付着した状態では、良好なフィルムの切断が出来ないばかりでなく、切断不良にて、包装体が連続して後工程に流れてしまうという問題が発生する。このため適宜のタイミングでカッタの清掃を行う必要がある。
【0006】
図8に示すようにカッタ12は昇降ブロック18に対してボルトを用いて固定されており、昇降ブロック18の直上にはエアシリンダ16などのアクチュエータが設置されている。このため、取外し作業においては、図9に示すようにカッタ12の刃先側より、すなわち上下のヒーターブロック5a,5bが開いた状態においてボルトを外し、上側ヒーターブロック5aの下方にカッタ12を移動させることにより取外しを行っており、作業は煩雑なものあった。まず、上下のヒーターブロック5a,5bを最大開き位置に移動させ、2本のカッタ取付けボルト21を工具を用いて外す。これにより、エンドシール部との固定を解かれたカッタ12は、ヒーターブロック5a,5bの貫通溝を下方に落下してくるのでこれを、作業者が受け止めるか又はヒーターブロック5a,5bの直下に敷いておいたウエス等の作業シートに落下させていた。ヒーターブロック5a,5bが開いた空間という狭いスペースでの作業となるうえ、カッタ12はヒーターブロック5aに内蔵されているので、高温になっており、取り扱いには注意を要するものであった。
【0007】
カッタ12を上方へ引き出せれば交換作業は容易になるが、カッタ12を内蔵した上側ヒーターブロック5aの上方には、カッタ作動用のエアシリンダ16などが存在し、上方にカッタ12を引き出すことは困難であった。
【0008】
これに対する、解決策として、カッタ作動用のエアシリンダの位置をメンテナンス時に回動可能にする技術が提案されている(特許文献2参照のこと)。これにより、メンテナンスの容易性については一定程度の解決されている。
【0009】
しかしながら、特許文献2の方法は、従来の機構に比べて、部品点数が増え、回動軸やガイドピンを設けるなどやや複雑なものになっている。さらに、エアシリンダを回動させるのでエアシリンダにつながる配管に余裕を持たせ、回動を妨げないようにする必要があるなど、機械組み付け時に工夫を要するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−312470号公報 段落2から段落3
【特許文献2】特開2010−36977号公報 段落6から段落14及び図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
簡易な構成で、組み付け時にも手間がかからずカッタを上方へ引き出せるようにして、メンテナンスの容易性を実現できる製袋充填包装機のエンドシール装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第一の発明は、被包装物を内包する筒状フィルムを、その包装フィルムの進行方向横方向にシールするとともにカットする製袋充填包装機のエンドシール装置であって、
前記筒状フィルムを挟んで上下に配置されるヒーターブロックと、
前記ヒーターブロックをシール面を対向させた状態を保持しながら前後及び上下方向に移動させる駆動機構と、
前記上下に配置されるヒーターブロックのうちの少なくとも一方に、前記ヒーターブロック内を上下方向に移動可能に配置したカッタと、
そのカッタの先端の刃部を前記シール面から突出及び引き込みの動作を行うアクチュエータと、
を備え
前記カッタが、把持柄を備えたカッタホルダに取り付けられ、
カッタホルダが昇降ブロックにボルト等の固定金具により取外し可能に固定され、
前記アクチュエータが前記カッタホルダの上方を避けるようにして前記昇降ブロック上方に取り付けられていることを特徴とする製袋充填包装機のエンドシール装置である。
【0013】
第一の発明によれば、カッタホルダの上方は遮るものがないので、把持柄を掴んだ状態で、ボルト等の固定金具を取り外せば、カッタが取り付けられたカッタホルダを上方に引き抜くことができる。
【0014】
第二の発明は、第一の発明に係わるもので、前記ボルト等の固定金具が、ハンドル等の把持する部位を備えており工具を使用せずに取外し可能であることを特徴とする製袋充填包装機のエンドシール装置である。
【0015】
第二の発明によれば、前記ボルト等の固定金具がハンドル等の把持できる部位を備えているので、工具なしで取付け及び取外しができる。
【0016】
第三の発明は、第一の発明に係わるもので、前記アクチュエータがエアシリンダであることを特徴とする製袋充填包装機のエンドシール装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、カッタが取り付けられた把持柄を備えたカッタホルダと、エアシリンダのピストンロッドが取り付けられた昇降ブロックと、これらを連結するボルトによる簡易な構成で、カッタを上方へ引き出すことができるので、メンテナンスが容易に行える。また、エアシリンダは、固定されたままなので組み付け時にも手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明が適用される製袋充填包装機の概略図である。
図2】エンドシール装置のボックスモーション動作を説明する図である。
図3】ヒーターブロックの概略図である。
図4】エンドシール装置とカッタの関係を説明する斜視図である。
図5】カッタの動作を説明する図である。
図6】カッタの取外し手順を説明する図である。
図7】カッタの取外しを説明する斜視図である。
図8】従来例のエンドシール装置とカッタの関係を説明する斜視図である。
図9】従来例のカッタの取外し手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明が適用される製袋充填包装機の全体を示す概略図である。図1を用いて製袋充填包装機の動作について説明する。製袋充填包装機の動作は、以下のようなものである。紙送り機構(紙送りローラ1及び紙引きローラ2)により帯状フィルムFwが原反ロールFrから引き出され連続的に下流方向へ送られ、フィルムは製筒器3により略閉じた湾曲状フィルムに成形され、被包装品Pが送り込まれる。被包装品Pが中に入った湾曲状フィルムは、その幅方向の両端部をセンタシーラ4によって貼り合わせてセンタシール6が施されて筒状フィルムFtに成形され、被包装品Pと被包装品Pの間で、筒状包装材Ftを横切る方向に上側ヒーターブロック5a,下側ヒーターブロック5bからなるエンドシール装置5によりエンドシールを施されるとともに上側ヒーターブロック5aに内蔵されるカッタ(図1では図示せず)によって、筒状フィルムFtは該エンドシールのシール幅方向の中間で切断され、被包装品Pが包装袋内に包まれた袋包装体Bpが製作される。
【0020】
次に、図2を用いてエンドシール装置の動作を説明する。本実施例のエンドシール装置5は、ボックスモーションタイプと称されるもので、筒状フィルムFtを挟んで上下に配置された一対のヒーターブロック5a,5bが、互いのシール面10a,10bを対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動する。つまり、両ヒーターブロック5a,5bは、基準位置から互いに接近移動して筒状フィルムFtを上下から挟み込むことで、そのシール面10a,10bに接触したフィルム部位を所定の圧力で加圧すると共に加熱する。そして、両ヒーターブロック5a,5bは、上記のように互いに接近して筒状フィルムFtを挟持した状態を維持したまま互いに筒状フィルムFtの移動方向に沿って前進移動する。このときの移動速度は、筒状フィルムFtの移動速度と等しくしている。一対のヒーターブロック5a,5bは、所定距離だけ移動すると、両ヒーターブロック5a,5bは互いに離反移動すると共に、筒状フィルムFtの移動方向と逆方向に移動して基準位置に至る。
【0021】
ボックスモーション動作は、従来公知の技術なので、詳しい説明は省略するが、ヒーターブロック5a,5bはそれぞれ取付け台(図示せず)に装着され、その取付け台に設けられたカムフロア(図示せず)が、カム板(図示せず)に設けられた溝カム(図示せず)に符合し、その溝カムの形状に従って上述した公転移動する。カム板はサーボモータ(図示せず)により、筒状フィルムFtの搬送速度と同期するように回転される。また、このようにカムを用いるのではなく、ヒーターブロック5a,5bを上下移動させるための駆動モータと、前後進移動させるための駆動モータというように複数の駆動モータを設け、それら各駆動モータを適宜のタイミングで動作させることでヒーターブロック5a,5bを公転移動させることもできる。
【0022】
ヒーターブロック5a,5bは、図3に示すように、シール面10a,10bの中央部には、それぞれ貫通孔11を設けている。また、加熱用ヒーター13とシール面10a,10bの表面温度を均一に保つ機能を持つヒートパイプ14が内蔵されている。そして、図4に示すように上側ヒーターブロック5aに設けた貫通孔11内には、カッタ12を上下移動可能に配置している。このカッタ12は、下端に鋸歯状の刃部12aが形成される。このカッタ12は、上側シーラ取り付台15の上面に取り付けられたアクチュエータからの力を受けて、上側ヒーターブロック5aに対して相対的に昇降移動可能に構成されている。本実施例におけるカッタ12を動かすアクチュエータはエアシリンダ16である。図4(a)は、上側ヒーターブロック5a付近を正面から見た図であり、図4(b)は側面から見た図でカッタ12が引き込まれた状態を表している。図4(c)は側面から見た図でカッタ12が突出した状態を表している。
【0023】
カッタ12は、図5に示すように、上側ヒーターブロック5aが最下降位置にくると、エアシリンダ16が動作し、刃部12aがシール面10aよりも下方に突出する。一方、下側ヒーターブロック5bに設けた貫通孔は、上側ヒーターブロック5aの貫通孔11に対向する位置に設けられ、シール面10a下方に突出したカッタ12の刃部12aは、筒状フィルムFtを押し切るとともに、その貫通孔内に挿入位置する。これにより、筒状フィルムFtは、刃部12aに沿って横方向に切断される。
【0024】
さらにカッタ12の駆動機構について説明する図4(b)に示すように、上側シーラ取付台15と上側ヒーターブロック5aには、それぞれ貫通孔11を設けている。貫通孔11は、同一平面上に位置され、貫通孔11内にカッタ12が昇降可能に挿入される。カッタ12は、その上端においてカッタホルダ17に連結される。カッタホルダ17は、把持柄19を備えており、昇降ブロック18にボルト20で連結される。本実施例のボルト20は、六角レンチを用いて締めたり緩めたりするボルトである。昇降ブロック18は、カッタホルダ17の直上を避けるようにしてエアシリンダ16に連結されている。エアシリンダ16は、ここでは図示しない連結部材により、上側シーラ取り付台15に連結されている。これにより、カッタ12はエアシリンダ16の動作により、上側ヒーターブロック5aに対して相対的に昇降移動可能になっている。
【0025】
上述のように、カッタホルダ17の上方は、開放空間となっている。また、カッタ12が連結されたカッタホルダ17は、ボルト20により、連結されている。したがって、図6及び図7に示すように、ボルト20を取外し、把持柄19を持って上方に引き上げるだけで、カッタ12を取り外すことができる。また、従来のようにヒーターブロック5aが開いた状態でなくても、カッタ12の取り外すことができる。また、清掃、刃の研摩等のメンテナンスを終えたカッタ12を取り付ける時も、取り外しの時と同様に容易に作業することが可能である。
【0026】
本実施例においては、ボルト20を、六角レンチを用いて締めたり緩めたりするボルトとしたが、ボルトであれば、他の形状のものでもかまわない。例えばハンドル付きのボルトとして、工具を使用しなくても締めたり緩めたりできるようにしてもかまわない。また、ボルト以外でも、確実にロック可能で工具を使用しなくても取外しが容易な、例えばワンタッチロックと称されるような他の固定金具であってもよい。
【0027】
本実施例におけるカッタ12を動かすアクチュエータはエアシリンダ16であるが、その他の流体シリンダやソレノイドやモータであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 紙送りローラ 2 紙引きローラ
3 製筒器 4 センタシーラ
5 エンドシール装置 5a 上側ヒーターブロック
5b 下側ヒーターブロック 6 センタシール
10a,10b シール面 11 貫通孔
12 カッタ 12a 鋸刃
13 加熱用ヒーター 14 ヒートパイプ
15 ヒーターブロック取付け台 16 エアシリンダ
17 カッタホルダ 18 昇降ブロック
19 把持柄 20 ボルト
21 カッタ取付けボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9