特許第5700510号(P5700510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700510
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/56 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   A01D34/56
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-206665(P2010-206665)
(22)【出願日】2010年9月15日
(65)【公開番号】特開2012-60911(P2012-60911A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2013年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】星原 宏文
(72)【発明者】
【氏名】小出 盛人
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−220211(JP,A)
【文献】 特開2010−011796(JP,A)
【文献】 特開2002−291303(JP,A)
【文献】 特開2010−057443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 − 63/12
A01D 34/42 − 34/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、
トラクタに装着してトラクタからの動力を入力する第1入力軸を有する装着部と、第2入力軸を有し前記第2入力軸から伝達した動力により草刈軸を回転させて草刈作業を行う作業部と、前記装着部と前記作業部をオフセット可能に連結するリンク部と、前記第1入力軸と前記第2入力軸を接続して動力を伝達し途中で角度の変化と伸縮が可能な動力伝達部材とを備え、
記リンク部は、前記作業部を前記装着部の後ろの位置から横方向外側へオフセット移動させたときに前記作業部を前記第1入力軸方向に傾いた状態になるように構成して、このときの前記動力伝達部材の折れ角を前記作業部を傾けない構成の場合に比べて小さくさせ、
前記作業部は、前記装着部の後ろの位置及び横方向外側へオフセット移動させた位置のいずれの位置でも草刈作業が可能であることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1に記載の草刈機において、
前記作業部が前記第1入力軸方向に傾く角度は1°〜30°の範囲内であることを特徴とする草刈機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の草刈機において、
前記リンク部は、前記装着部側と前記作業部側にそれぞれ水平方向に回動可能な支点により支持された2つのアームにより形成され
前記アームは、平行に配置され、一方のアームの長さが長いことを特徴とする草刈機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の草刈機において、
前記リンク部は、前記装着部側と前記作業部側にそれぞれ水平方向に回動可能な支点により支持された2つのアームにより形成され、
前記アームは、同じ長さであり、前記装着部側の支点間距離は、前記作業部側の支点間距離より短いことを特徴とする草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機に関し、特に、トラクタに装着する装着部に対して草刈り作業を行う作業部をオフセット移動可能で動力伝達部材によりトラクタからの動力を伝達させる草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の草刈機の例を示す平面図であり、図5は、従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。従来の草刈機100は、装着部110と作業部150とこれらの間を連結するアーム120、125や取付部材130、動力伝達部材であるジョイント140等によって構成されている。装着部110を図示を省略したトラクタ200の後部に装着して作業部150で草刈作業を行う。
【0003】
2つのアーム120、125により装着部110と作業部150間で平行リンクを形成し、図5に示すように、オフセットシリンダ128を作動させると平行リンクが動き、装着部110に対して、作業部150の位置をPとQの間で横方向に変化させることができる。また、装着部110と作業部150間の動力の伝達は、ジョイント140を介して伝達される。
【0004】
また、従来の草刈機の別の例として、特許文献1に、作業部の水平回動により、走行機の前進による側方作業と後進による後方作業ができる草刈取り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−11796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オフセット移動の移動量は、ジョイントの折れ角によって制限される。図4図5で示された従来例の場合、ジョイント140の折れ角は作業部150が外側の位置、すなわち、図4図5のQの位置で最大となる(図4のA)。このように、オフセット量を確保するためには、このジョイントの折れ角を大きくとる必要があるため、オフセットした位置での作業は、振動したり負荷が大きくなったりしジョイントが破損することがあった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する装着部に対して草刈り作業を行う作業部をオフセット移動して草刈り作業する場合、使用する動力伝達部材の折れ角を緩和して草刈作業が可能な草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の草刈機は、トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタに装着してトラクタからの動力を入力する第1入力軸を有する装着部と、第2入力軸を有し前記第2入力軸から伝達した動力により草刈軸を回転させて草刈作業を行う作業部と、前記装着部と前記作業部をオフセット可能に連結するリンク部と、前記第1入力軸と前記第2入力軸を接続して動力を伝達し途中で角度の変化と伸縮が可能な動力伝達部材とを備え、前記リンク部は、前記作業部を前記装着部の後ろの位置から横方向外側へオフセット移動させたときに前記作業部を前記第1入力軸方向に傾いた状態になるように構成して、このときの前記動力伝達部材の折れ角を前記作業部を傾けない構成の場合に比べて小さくさせ、前記作業部は、前記装着部の後ろの位置及び横方向外側へオフセット移動させた位置のいずれの位置でも草刈作業が可能であることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の草刈機は、前記作業部が前記第1入力軸方向に傾く角度が1°〜30°の範囲内であることを特徴とする。
さらに本発明の草刈機は、前記リンク部が、前記装着部側と前記作業部側にそれぞれ水平方向に回動可能な支点により支持された2つのアームにより形成され、前記アームは、平行に配置され、一方のアームの長さが長いことを特徴とする。
さらに本発明の草刈機は、前記リンク部が、前記装着部側と前記作業部側にそれぞれ水平方向に回動可能な支点により支持された2つのアームにより形成され、前記アームは、同じ長さであり、前記装着部側の支点間距離は、前記作業部側の支点間距離より短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、草刈機において、草刈り作業を行う作業部をオフセット移動して草刈り作業する場合、使用する動力伝達部材の折れ角を緩和して草刈作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1の草刈機を示す平面図である。
図2】本発明の草刈機の一実施形態を示す作業部の側面図である。
図3】本発明の実施例2の草刈機を示す平面図である。
図4】従来の草刈機の例を示す平面図である。
図5】従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1の草刈機を示す平面図である。図2は、本発明の草刈機の一実施形態を示す作業部の側面図である。
【0014】
実施例1の草刈機1は、装着部10と作業部150とこれらの間を連結するアーム21、22や取付部材30、ジョイント140等によって構成されている。装着部10を図示を省略したトラクタ200の後部に装着して作業部150で草刈作業を行う。
【0015】
トラクタ200からの動力は、装着部10に取り付けられる第1入力軸115、ジョイント140、作業部150側の第2入力軸161へ伝達される。第2入力軸161は、カバー151上の左側(オフセット移動の反対側)端部付近に設けられているミッションケース165に設置されており、第2入力軸161からの動力は、ミッションケース165内のベベルギア162、163を介して作業部150の側部に送られる。そして、作業部150の側部のベルトカバー152内では、伝達された動力は、第1プーリー170、ベルト171、第2プーリー172を介して、カバー151下部の横方向に配置された草刈軸175へ伝達される。草刈軸175には、草刈爪176が取り付けられており、草刈軸175を回転させると、地面上の草をカットしていく。このとき、後方のローラ159を接地して作業機を地面に受けることができる。
【0016】
ジョイント140は、第1入力軸115と第2入力軸161を接続し、継手構造を有する2箇所の折れ部141、142で一定角度の範囲内で角度(折れ角)を変更でき、これらの間の中央部143では、スライド構造により長さ変更が可能となっている。このため、回転中心軸がずれた2つの軸間(第1入力軸115、第2入力軸161)で動力を伝達可能となっている。なお、ジョイント140は、例えば、ユニバーサルジョイントやドライブシャフト等の角度が変化し伸縮が可能な動力伝達部材であればよい。
【0017】
第1アーム21と第2アーム22は、両端がそれぞれ、装着部10の右側(オフセット移動側)に備える取付部11と、作業部150側に取り付けられる取付部材30に、水平方向に回動可能な支点(21a、22a、21b、22b)によって支持される。これらの支点は、例えば、取付軸を介するなどして構成される。これにより、装着部10と作業部150間でリンクを形成している。なお、取付部材30は、例えば、カバー151のやや左側に位置する接合部153に取り付けられる支持部材155に装着できる。
【0018】
アーム22は中央側、第アーム21は外側に配置されており、これらの第1アーム21と第2アーム22は、平行に取り付けられている。そして、第アーム22の方が、第アーム21より支点間の距離が長くなっている。そのため、装着部10の取付部11における、第1アーム21の装着部側支点21aは、第2アーム22の装着部側支点22aよりも、所定量だけ作業部150側に近くなるように構成されている。同じく、取付部材30における第1アーム21の作業部側支点21bも、第2アーム22の作業部側支点22bよりも、所定量だけ装着部10側に近くなるように構成されている。
【0019】
第1アーム21と第2アーム22により形成されるリンクにより、オフセットシリンダ128を作動させるなどして、作業部150をSとTの間でオフセット移動させることができる。このとき、第1入力軸115に対して第2入力軸161は、一方向(左)から他方向(右)へ移動するが、作業部150が、外側へオフセット移動させたときの方が、ジョイント140の折れ角がきつくなっている。そのため、この位置で、作業部150が内側に傾くように設定することができる。
【0020】
作業部150を内側すなわち図1の位置Sに移動させたときは、アーム21、22は、装着部側支点21a、22aに対して作業部側支点21b、22bが内側(左側)に傾き、作業部150は、トラクタ200(装着部10)の後ろに位置している。このとき作業部150の向きは、トラクタ200の進行方向に対し直角方向が横方向となっている。この状態で、トラクタ200を前進させてトラクタのPTOを回転させると第1入力軸115やジョイント140等を介して草刈軸175が回転してトラクタ200の後ろで草を刈ることができる。このとき草刈軸175は、進行方向に対して直角方向となっている。
【0021】
一方、作業部150を外側すなわち図1の位置Tに移動させたときは、アーム21、22は、装着部側支点21a、22aに対して作業部側支点21b、22bが外側(右側)に傾き、作業部150は、トラクタ200(装着部10)より外側(右側)にはみ出した位置に移動する。このとき作業部150の横方向の向きは、トラクタ200の進行方向に対し直角より内側(第1入力軸115方向)に少し傾いた状態となっている。これは、上述したアーム21、22の長さを変え支点の位置を調整したことによって可能となる。これにより、ジョイント140の折れ角Bは、従来例の折れ角A(図4)よりも緩和される。この状態で、トラクタ200を前進させてトラクタのPTOを回転させると、第1入力軸115やジョイント140等を介して草刈軸175が回転して、トラクタ200の横に位置する草を刈ることができる。このとき草刈軸175は、進行方向に対して直角方向より内側にやや傾いて回転させながら草刈作業を行うこととなる。
【0022】
また、この場合の、作業部150の直角方向に対する傾き量αは、ジョイントの折れ角や作業部の作業性を考慮し決めることができ、例えば、1°〜30°の範囲で決めることができる。さらに作業性を考慮すれば、1°〜10°がより好ましい範囲となる。
【0023】
このように、実施例1では、アーム21、22を左右に振りながら作業部150を一方向にオフセットすることでアームを短くでき、重心位置が後ろにならずにオフセット可能となっている。
【実施例2】
【0024】
図3は、本発明の実施例2の草刈機を示す平面図である。実施例2の草刈機2は、実施例1と異なる点について主に説明し、同一の箇所は同一の符号を付してある。
【0025】
実施例2の草刈機2は、作業部150’には、ミッションケース165が、カバー151の中央付近に設置されている。これにより、作業部150’を中央に位置させたときは、第1入力軸115と、第2入力軸161はほぼ直線上の位置関係となる。
【0026】
第1アーム26と第2アーム27は、両端がそれぞれ、装着部15の中央に備える取付部16と、作業部150’側の中央に取り付けられる取付部材35に、水平方向に回動可能な支点(26a、27a、26b、27b)によって支持される。これらの支点は、例えば、取付軸を介するなどして構成される。これにより、装着部15と作業部150’間でリンクを形成している。また、取付部材35は、例えば、カバー151の中央に位置する接合部153に取り付けられる支持部材155に装着できる。
【0027】
第1アーム26と第2アーム27は、同じ長さのアームである。そして、作業部150’が中央にある場合、前進方向を上として全体として「ハ」の字の形状になるように設置される。すなわち、装着部側支点26a、27aの横方向の距離は、作業部側支点26b、27bの横方向の距離より短くなっている。なお、前後方向の位置は同じである。
【0028】
第1アーム26と第2アーム27により形成されるリンクにより、図示を省略したオフセットシリンダを作動させるなどして、下記に示すように、トラクタ200(装着部15)に対して両方向にオフセット移動させることができる。このとき中央の位置では、(図示を簡略した)ジョイント140は、まっすぐとなり折れ角はほぼ0°である。そして、両方向にオフセット移動した位置では、ジョイント140の折れ角が大きくなってくるため、それぞれの位置で作業部150’が内側に傾くように設定することができる。
【0029】
作業部150’を中央すなわち図3のVに位置させたときは、作業部150’は、トラクタ200(装着部10)の後ろに位置している。このとき作業部150’の向きは、トラクタ200の進行方向に対し直角方向が横方向となっている。この状態で、トラクタ200を前進させてトラクタのPTOを回転させると第1入力軸115や(図示を省略している)ジョイント140等を介して草刈軸175が回転してトラクタ200の後ろで草を刈ることができる。このとき草刈軸175は、進行方向に対して直角方向となっている。
【0030】
一方、作業部150’を右側すなわち図3のZに移動させたときは、アーム26、27は、装着部側支点26a、27aに対して作業部側支点26b、27bが右側に傾き、作業部150’は、トラクタ200(装着部15)より右側にはみ出した位置に移動する。このとき作業部150’の横方向の向きは、トラクタ200の進行方向に対し直角より内側(第1入力軸115方向)に少し傾いた状態となっている。これは、上述したアーム26、27の支点の位置を調整したことによって可能となる。これにより、ジョイント140の折れ角は小さくなり緩和される。この状態で、トラクタ200を前進させてトラクタのPTOを回転させると、第1入力軸115やジョイント140等を介して草刈軸175が回転して、トラクタ200の右横に位置する草を刈ることができる。このとき草刈軸175は、進行方向に対して直角方向より内側にやや傾いて回転させながら草刈作業を行うこととなる。
【0031】
また、作業部150’を左側すなわち図3のWに移動させたときも同様であり、アーム26、27は、装着部側支点26a、27aに対して作業部側支点26b、27bが左側に傾き、作業部150’は、トラクタ200(装着部15)より左側にはみ出した位置に移動する。このとき作業部150’の横方向の向きは、トラクタ200の進行方向に対し直角より内側(第1入力軸115側)に少し傾いた状態となっている。これにより、ジョイント140の折れ角は緩和されて、草刈作業が可能となる。
【0032】
また、この場合の、作業部150’の直角方向に対する傾き量βも実施例1と同様であり、ジョイントの折れ角や作業部の作業性を考慮し決めることができ、例えば、1°〜30°の範囲で決めることができる。さらに作業性を考慮すれば、1°〜10°がより好ましい範囲となる。
【0033】
このように実施例2では、左右の両方の外側の位置にオフセット可能となっており、両方の位置でジョイントの折れ角を緩和して草刈作業が可能となる。
【0034】
以上、実施例1と実施例2で示したように、本発明は作業部を外側にオフセット移動させると作業部が内側に傾くように移動するので、ジョイントの折れ角が小さくて済む。これにより、外側での作業でも、振動が少なくなり、耐久性が上がる。また、上記構成により草刈機の重心がトラクタ進行方向前側に近づくため、重量バランスも良くなる。
【符号の説明】
【0035】
10、15、110 装着部
11、16 取付部
21、26 第1アーム
22、27 第2アーム
30、35、130 取付部材
115 第1入力軸
120、125 アーム
128 オフセットシリンダ
140 ジョイント
150、150’ 作業部
151 カバー
161 第2入力軸
175 草刈軸
図1
図2
図3
図4
図5