特許第5700519号(P5700519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700519
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】安全カミソリ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/16 20060101AFI20150326BHJP
   B26B 21/52 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   B26B21/16 B
   B26B21/52 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-268843(P2010-268843)
(22)【出願日】2010年12月1日
(65)【公開番号】特開2012-115527(P2012-115527A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 浩之
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−039549(JP,A)
【文献】 特開昭51−063766(JP,A)
【文献】 特表2012−505730(JP,A)
【文献】 特開2005−103036(JP,A)
【文献】 特開2007−307078(JP,A)
【文献】 米国特許第3793723(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カミソリヘッドに取り付けられたカミソリ刃が柄に対して横方向に延びるように配設され、カミソリヘッドのいずれかの部分が柄から延びる2つの接続部の上端部に一体に結合され、且つ前記カミソリヘッドのいずれかの部分と前記接続部と前記柄はプラスチックの射出成型により一体に形成されており、安全カミソリの使用時に皮膚に向く側を前側、その反対側を後側と定義したときに、接続部の前後方向の厚みはその基部から上端部まで上端部に行くに従って徐々に薄くなるように形成され、その接続部の所定の厚みに形成された部分から前記上端部までの間の部分が安全カミソリの使用時に撓んでカミソリヘッドを揺動させることを特徴とする安全カミソリ。
【請求項2】
接続部の厚みが薄くなっていく変化率は、接続部の基部から接続部の中ほどまでの変化率よりも、接続部の中ほどから上端部までの変化率の方が小さい請求項1記載の安全カミソリ。
【請求項3】
カミソリヘッドは、刃台部と天板とこれらの間に装着されたカミソリ刃を含んで構成されており、刃台部と接続部の上端部が一体に結合されている請求項1又は請求項2記載の安全カミソリ。
【請求項4】
カミソリヘッドは、その最前部において接続部と結合している請求項3記載の安全カミソリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭で使用され、使用時にカミソリヘッドが揺動する安全カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
カミソリヘッドが揺動する安全カミソリは、ひげ剃り中にカミソリヘッドが皮膚の起伏に従動して揺動し、良好なひげ剃り結果をもたらすように構成されている。このような安全カミソリは、カミソリヘッドが柄の上端に設けられたアームに揺動可能に保持されており、通常はカミソリヘッドが一定の位置を保つように弾性的に支持されつつアームにジャーナル結合されている。カミソリヘッドが皮膚の起伏に従動して揺動するのは、ひげ剃り時に一定の圧力以上でカミソリヘッドを皮膚に当てたときに、カミソリヘッドが皮膚から受ける応力が、カミソリヘッドを一定の位置に保っている弾性力以上の力となってカミソリヘッドを揺動させるのである。このように優れた効果を発揮する安全カミソリは需要者に受け入れられ、長く安全カミソリの主流の地位を保っている。
【0003】
安全カミソリは主にひげ剃りに使用するものであるが、使用者はうぶ毛剃りにも使用する。うぶ毛は細くて柔らかいので、ひげ剃りの場合に比べてカミソリヘッドを皮膚に強く当てなくても剃ることができる。首などうぶ毛を剃る部位によってはカミソリヘッドを皮膚に弱く当てることが好ましい場合もある。
【0004】
うぶ毛を剃るときにカミソリヘッドを弱めに皮膚に当てた場合であっても、カミソリヘッドはひげを剃るときと同様に皮膚の起伏に従動して揺動することが好ましい。カミソリヘッドの揺動によって、うぶ毛を剃るときの皮膚に対する刃の角度を良好なものにすることができるからである。しかし、従来の安全カミソリにおいて、カミソリヘッドを弱めに皮膚に当てたときは、うぶ毛を剃るときにカミソリヘッドが皮膚から受ける応力が、カミソリヘッドを一定の位置に保っている弾性力以上の力とならずカミソリヘッドを揺動させづらい。したがって、うぶ毛を剃るときにカミソリヘッドを弱めに皮膚に当てたときは、カミソリヘッドが容易に揺動するように接続部が撓み易いことが好ましい。カミソリヘッドを弱めに皮膚に当てて使用するときにカミソリヘッドを揺動させるためには、例えば接続部を薄く形成して撓み易くすればよい。このようにすれば、カミソリヘッドを皮膚に弱く当てながらうぶ毛を剃るときでもカミソリヘッドが揺動し、良好なうぶ毛剃り結果をもたらすことができる。このような、うぶ毛を剃るときの接続部の撓み易い状態は、カミソリヘッドの揺動角の狭い範囲で生じれば十分である。なぜならば、うぶ毛の生えている場所はひげの生えている顎などと比べて皮膚の起伏が非常に緩やかであり、うぶ毛を剃るときのカミソリヘッドの揺動角は小さいからである。
【0005】
これに対して、ひげを剃るときにはカミソリヘッドの揺動角が大きくなるのであるが、このような場合まで接続部がうぶ毛剃り時と同様の撓み易さを有すると、カミソリヘッドは皮膚の起伏以外にひげを切断する際にひげから受ける抵抗力によって影響を受け、必要以上にカミソリヘッドが揺動してしまうのである。したがって、カミソリヘッドの揺動角が小さいときは接続部が撓み易いことが好ましいが、カミソリヘッドの揺動がその小さな揺動角を超えたときは、自動的に接続部の撓み易さを減少させる必要がある。
【0006】
接続部の撓み易さを調節できる安全カミソリはすでに提案されている。それは、柄とカミソリヘッドが可撓性を有する接続部で結合され、接続部の露出長さを調節できる手段を有している安全カミソリである。接続部の露出長さを長くしたときは接続部が撓み易く、接続部の一部を筒状体で覆って露出長さを短くしたときは接続部の撓み易さが減少するので、接続部の撓み易さを調節することができる。しかし、調節はその都度手で行わなければならず自動的に行われるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭55−143177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
常時接続部が撓み易くうぶ毛に適した安全カミソリをひげ剃りに使用した場合には、ひげから受ける抵抗がうぶ毛に比べて格段に大きいので、ひげが切断される前に刃がひげに引っ掛かった状態で接続部が必要以上に撓むことになる。この結果、刃が皮膚に対する好ましい角度よりも立ってしまうので、良好なひげ剃り結果を得ることができないことが問題点である。そこで、簡易な構成で接続部の撓み易さを自動的に調節することができる安全カミソリが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、うぶ毛を剃る場合のようにカミソリヘッドを皮膚に弱く当てたときにカミソリヘッドが容易に揺動し、ひげを剃るときにひげから大きな抵抗を受けてカミソリヘッドが一定の角度以上に揺動したときは、角度に応じて撓み易さが自動的に減少する安全カミソリを簡易な構成で安価に提供することを目的とするものであって、請求項1記載の発明は、カミソリヘッドのいずれかの部分が柄から延びる2つの接続部の上端部に一体に結合され、且つ前記カミソリヘッドのいずれかの部分と前記接続部と前記柄はプラスチックの射出成型により一体に形成されており、安全カミソリの使用時に皮膚に向く側を前側、その反対側を後側と定義したときに、接続部の前後方向の厚みはその基部から上端部まで上端部に行くに従って徐々に薄くなるように形成され、その接続部の所定の厚みに形成された部分から上端部までの間の部分が安全カミソリの使用時に撓んでカミソリヘッドを揺動させる
【0010】
請求項2記載の発明は、続部の厚みが薄くなっていく変化率が、接続部の基部から接続部の中ほどまでの変化率よりも、接続部の中ほどから上端部までの変化率の方が小さい構成である。
【0011】
請求項3記載の発明は、カミソリヘッドが、刃台部と天板とこれらの間に装着されたカミソリ刃を含んで構成されており、刃台部と接続部の上端部が一体に結合されている構成である。
【0012】
請求項4記載の発明は、カミソリヘッドが、その最前部において接続部と結合している構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、カミソリヘッドのいずれかの部分が柄から延びる接続部の上端部に一体に結合され、安全カミソリの使用時に皮膚に向く側を前側、その反対側を後側と定義したときに、接続部は、その上端部から柄に向かう所定の長さの部分の前後方向の厚みが上端部に行くに従って徐々に薄くなるように形成され、その所定の長さの部分の中の一定の長さの部分が安全カミソリの使用時に撓んでカミソリヘッドを揺動させる構成である。接続部はその上端部付近が最も薄く形成されているから、カミソリヘッドを皮膚に弱く当ててうぶ毛を剃るときは、その上端部付近が容易に撓むのでカミソリヘッドを揺動させながら剃ることができ、良好なうぶ毛剃り結果を得ることができる。また、接続部はその上端部から柄の方向に行くに従って徐々に厚みが増すので、撓みについて接続部はいわゆる腰が強い性質を有する。したがって、ひげ剃りをするときには、カミソリヘッドの揺動角が徐々に大きくなるにつれ自動的に接続部の撓み易さが減少するので、カミソリヘッドは必要以上に揺動せず良好なひげ剃り結果を得ることができる。さらに、このような効果を得るための構成は、接続部の上端部から柄に向かう所定の長さの部分について、接続部の前後方向の厚みをその上端部に行くに従って徐々に薄くなるように形成するだけであるから、構成が簡易であって製造コストを抑えることができる。
【0014】
また、カミソリヘッドが刃台部と天板の間にカミソリ刃を装着した構成で、カミソリヘッドの最前部において刃台部と接続部を一体に結合したものとするときは、接続部の上端部の前面から刃台部の表面にかけて連続する表面を形成することが可能である。カミソリヘッドにカミソリ刃の刃先縁よりも前方で刃先縁と平行に延びる皮膚係合面が形成され、接続部の上端部の前面が前記皮膚係合面と連続した面に形成してあるときは、接続部の上端部の前面も皮膚係合面として作用する。また、接続部を上方に向かって二股に分かれるアーム状に形成したときは、2つのアームの間から肌面を確認しながら剃ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の斜視図である。
図2】本発明の側面図である。
図3】本発明の前面図である。
図4図2におけるA−A端面図である。
図5図2におけるB−B端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態について説明する。安全カミソリ1は、柄2の上端から上方に向かって二股に分かれるアーム状の接続部3,3が柄2と一体に設けられ、この接続部3,3の上端部にカミソリヘッド4が結合されている。
【0017】
カミソリヘッド4は、刃台部5と天板6との間にカミソリ刃7が装着されている。カミソリ刃7の装着方法としては、例えば、天板6の下面から一体に延びる2つの脚部(図示せず。)をカミソリ刃7及び刃台5に設けた挿通孔(図示せず。)に挿通し、刃台5の下面から突出した脚部の端部を潰して脚部の抜け止め部10,10を形成することにより、カミソリ刃7を刃台部5と天板6との間に装着する。他の装着方法として、前記脚部(図示せず。)の端部側面に小さな突部を形成し、刃台部の挿通孔(図示せず。)に圧入してその突部が挿通孔を通り抜けた所で固定してもよい。カミソリ刃7にはその刃先縁を一定間隔で露出させるガードシート18が装着されている。また、このガードシート18には、天板6の前縁に沿って一列に並ぶように露出する複数の小孔21が設けられている。
【0018】
カミソリヘッド4は、カミソリ刃7よりも前側でその刃先縁13と平行に延びるガードバー8を有している。ガードバー8の両端部は接続部3,3の上端部に一体に結合されていると共に、2つのリブ19によって刃台部5に一体に結合されている。ガードバー8の表面が皮膚係合面16であり4つのリブ9が設けられている。ガードバー8の皮膚係合面16は凹凸のない滑らかな面でもよく、長さ方向に複数の条溝を設けた面であってもよい。ガードバー8と接続部3,3の上端部がカミソリヘッド4の最前部である。接続部3,3の上端部の前面は、ガードバー8の皮膚係合面16と滑らかに連続する皮膚係合面17,17に形成されている。この皮膚係合面17,17は皮膚係合面16と同じように形成されることが好ましく、凹凸のない滑らかな面でもよく、長さ方向に複数の条溝を設けた面であってもよい。接続部3,3の上端部の外側面11,11と刃台部5の外側面12,12は面一となるように形成されている。
【0019】
前述したように、接続部3,3は、柄2の上端から上方に向かって二股に分かれるアーム状に形成されている。接続部3,3は柄2と一体に形成されている。接続部3,3の前後方向の厚みはその基部14,14から上端部に行くに従って徐々に薄くなるように形成されている。図4に示すように接続部3,3の上端部付近の厚みは薄く、図5に示すように上端部付近よりも下方の部分の厚みは上端部付近の厚みよりも厚い。接続部3,3の厚みが最も薄く形成されている位置は、接続部3,3とカミソリヘッド4の結合点よりもやや下側に存在し、その最小厚みは約1mmでありその部分の幅は約5mmである。それよりも下方の、例えば図2におけるB−B線での厚みは約1.5mmで幅は約6mmである。接続部3,3とカミソリヘッド4の結合点における厚みは、前述した最小厚みより厚くなるように形成されている。これは、カミソリヘッド4に不意に大きな力が加わって応力が結合点に集中したときに、その部分が破断することを防止するためである。
接続部3,3の厚みが薄くなっていく変化率は接続部3,3の基部14,14から接続部3,3の中ほどまでは大きい。すなわち、比較的大きな割合でやや急に薄くなっていく。接続部3,3の中ほどから上端部までは薄くなる変化率が小さくなり、わずかの割合で徐々に薄くなっていく。薄くなる変化率が小さい部分が使用中に撓むのであるが、その全部が撓むのではなく、所定の薄さに形成された部分から上方の部分が撓むことになる。これは、釣竿と同じ撓み方である。すなわち、上端部付近の厚みの薄い部分は容易に撓み、基部方向に行くに従って撓み方が減少し、さらにそれよりも基部寄りの部分は撓まない。このような撓み方をする物は腰が強いと呼ばれる。すなわち、カミソリヘッド4を揺動させる力が加わったときに、最初は接続部3,3の上端部付近の厚みの薄い部分が容易に撓んでカミソリヘッド4が揺動するが、カミソリヘッド4が所定の位置まで揺動すると接続部3,3はほとんど撓まず揺動が規制される。
【0020】
図2に示すように、接続部3のA−A線とB−B線の間の区間では、接続部3の側面視中心線は直線をなしている。この側面視中心線の延長線と、カミソリヘッド4に取り付けられているカミソリ刃7の前後方向の延長線Xの後方に延びる延長線とのなす角度は、約100度である。このことは、カミソリヘッド4が接続部3,3に対して約100度の角度をもって取り付けられているということである。但し、約100度に限定されるものでなく70度〜160度であることが好ましい。また、接続部3のA−A線とB−B線の間の区間での側面視中心線が前側に凸の曲線であってもよい。また、B−B線から接続部3の下端までの側面視中心線は後ろ側に凸の曲線に形成され、それと連続するように接続部3の下端から柄の下端までの側面視中心線も後ろ側に凸の曲線に形成されている。
【0021】
天板6の上面にはひげ剃り又はうぶ毛剃りを円滑に行うためのシェービングエイド15が取り付けられている。シェービングエイド15は、射出成形によって天板6に取り付けてもよく、押出し成形で予め成形しておき、成形後に天板6に取り付けてもよい。シェービングエイド15は天板6以外の皮膚係合面に取り付けてもよい。すなわち、ガードバー8の皮膚係合面16に取り付けてもよく、接続部3,3の上端部前面の皮膚係合面17,17に取り付けてもよい。シェービングエイド15にイソフラボンやヒアルロン酸などの成分を添加してもよい。
【0022】
次に本発明の製造方法について説明すると、本発明の製造方法は、プラスチックの射出成型により柄2と接続部3,3と刃台部5を一体に形成し、同様にプラスチックの射出成型により天板6を形成し、刃台部5の上にカミソリ刃7を載置し、その上から天板6を取り付けてカミソリ刃7を挟着固定する。材料のプラスチックは、ポリプロピレンなどの樹脂を用いるのが良い。
【0023】
なお、本発明は、接続部3,3が刃台部5と結合せず、天板6の両端部と結合する構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、簡易な構成で、ひげ剃り又はうぶ毛剃りのいずれにも適したカミソリヘッドの揺動を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 安全カミソリ、 2 柄、 3 接続部、 4 カミソリヘッド、 5 刃台部、 6 天板、 7 カミソリ刃、 8 ガードバー、 9 リブ、 10 抜け止め部、 11 接続部の外側面、 12 刃台部の外側面、 13 刃先縁、 14 接続部の基部、 15 シェービングエイド、 16 ガードバーの皮膚係合面、 17 接続部の皮膚係合面、 18 ガードシート、 19 ブリッジ、 20 天板の前縁、 21 小孔
図1
図2
図3
図4
図5