(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、ノート型パソコンや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)などの電子機器の電源として、繰り返し充放電可能な蓄電池が用いられている。
このような蓄電池には、例えば、ニッケル水素二次電池等の水系電池、リチウムイオン二次電池等の非水系電池、電気二重層キャパシター等のキャパシター、コンデンサーなどがある。
【0003】
その構造としては、
図26に示した部分切断分解斜視図に示したように、例えば、リチウムイオン二次電池(蓄電池)100では、正電極102として、アルミニウム箔の両面にコバルト酸リチウムなどを溶剤で溶いて、塗布後、乾燥、プレスして作製している。また、負電極104として、 銅箔の両面に、グラファイトなどの炭素材料を溶媒で溶いて、塗布後、乾燥、プレスして作製している。
【0004】
そして、これらの正電極102と負電極104との間に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などの合成樹脂からなり、イオンが移動できる多孔質の絶縁フィルムからなるセパレーター106を介装して、積層している。
【0005】
さらに、リチウムイオン二次電池100が、図示したように、円筒形の場合には、積層体が、バームクーヘンの様に円筒状に巻かれて電極体103を構成している。
そして、この電極体103を、例えば、ニッケルメッキされた鉄製の円筒形状の容器本体108内に、負電極104の負極タブ110を缶底に電気的に接触させ、電解液を注入している。その後、蓋部材112を正電極102の正極タブ114に電気的に接続した後、かしめることによって封止して封入容器101を構成している。なお、リチウムイオン二次電池100が角型の場合には、電極体は、扁平形状に巻かれる。
【0006】
また、
図26中、符号116、118は、絶縁部材、120は、例えば、ダイヤフラムなどの圧力安全弁、122は、パッキン、124は、PTC素子、126は、電流遮断機構、128は、正電極端子である。
【0007】
このようなリチウムイオン二次電池100では、容器本体108が負極であり、128の部分が正極を構成することになる。
近年、このようにして構成される繰り返し充放電可能な蓄電池100は、その需要が高まっており、さらなる小型軽量化および大容量化が進められ、その研究が盛んに行われている。
【0008】
ところでこのような蓄電池100では、電極材料の研究開発や製造工程における金属粉などの異物混入の可能性がないかを確認するために、蓄電池100を分解し、封入容器101内から電極体103を取り出すことが頻繁に行われている。
【0009】
また、使用時における安全性が確保されるように様々な安全基準が設けられている。例えば、JIS規格の強制内部短絡試験(JIS C8714:2007)が定められており、この強制内部短絡試験を実施するためには、露点−25℃以下の環境において、満充電された蓄電池100を分解し、封入容器101内から電極体103を取り出す必要がある。
【0010】
このような規格試験において、封入容器101内から電極体103を取り出す方法としては、従来では、例えば、導電性を有する金属製のニッパーなどを用いて封入容器101を手作業で分解することで、内部の電極体103を取り出している。
【0011】
このような手作業により、満充電された蓄電池100を解体するには、熟練を要し、発熱出火のおそれがあり危険性を伴うものである。
また、露点−25℃以下の水分が除去された雰囲気において蓄電池100を分解するためには、ドライルームやアルゴンなどの不活性ガス雰囲気の作業室(グローブボックス)内にて行う必要があるが、作業性の悪いグローブボックスでの作業は困難であり、ドライルーム内にて行われている。しかしながら、ドライルームは、設備が大掛りで高価となり、保有するのは電池製造業者などの一部に限られている。
【0012】
このため、本出願人は、既に、特許文献1(特願2009−041303号)において、専用の分解装置を用いて蓄電池100を分解する方法を提案している。
このような分解装置は、特許文献1に開示されているように、先ず、封入容器101の蓋側を切断機で切断した後、封入容器101の底側の一部を加圧機で押圧変形させ、これにより、電極体103を封入容器101内で上方に押し上げるようにしている。
【0013】
そして、この押圧されて底上げされた封入容器101の底側を、再度切断機で切断することで、露出された電極体103を封入容器101内から取り出すようにしている。
一方、このような蓄電池100は、構成する部材の中に、例えば、コバルト、リチウムなどの高価でリサイクル可能な資源物が含まれているので、不要になった蓄電池100を分解して部材毎に分別することで、資源物をリサイクルすることも、従来より行われている。
【0014】
このように蓄電池100から資源物を取り出す方法には、様々な方法があるが、例えば、蓄電池100をスリッターで破壊した後、これを焼却処理し、残った金属を比重分離することで所望の金属を回収している。
【0015】
また、特許文献2(特開昭61−11191号公報)には、円筒形状の蓄電池を切断分離することによって、蓄電池を構成する部材の中から資源物を回収できるようにした切断分離処理装置が開示されている。
【0016】
この特許文献2の切断分離処理装置では、蓄電池を縦方向に配置するとともに、蓄電池の外筒部分をダイスに引っ掛けて、この状態で、蓄電池の上端部分を、上方から下方に向けて押圧することによって、外筒の内部を下方に押し下げるようにしている。
【0017】
この際、ダイスの下方には、押し下げられた蓄電池の外筒内部の外周部分と接触するように刃物が配置されており、外筒の内部を下方に押し下げることによって、この刃物によって、蓄電池の外筒の内部が縦方向に切断されるように構成されている。
【0018】
これにより、蓄電池を構成する各部材を分離し、部材毎に回収してリサイクルできるようになっている。
さらに、特許文献3(特許第4358489号公報)では、円筒形状の蓄電池の外装缶に、外装缶の上端から下端に向かって複数の切れ目を入れ、この複数に切断された外装缶を放射状に押し広げ、内部の電極体を外装缶から分離して回収する方法が開示されている。
【0019】
また、特許文献4(特開平08−037039号公報)では、電力の大量貯蔵用などに使用される廃棄NaS電池のキャップを、人手を要することなく簡単かつ確実に剥がすことができる方法が提案されている。
【0020】
すなわち、この特許文献4の方法では、廃棄NaS電池を、その中心軸線のまわりに回転させながら、キャップの外周に環状の切込みを入れ、この環状の切込みに爪を挿入して、廃棄NaS電池の軸線方向に動かしてキャップを剥がす方法が開示されている。
【0021】
このように上記したような方法や装置を用いて蓄電池を分解し、封入容器内から電極体を取り出すことは、蓄電池の研究開発を行う上でも必要不可欠であり、また、蓄電池をリサイクルする面でも必要不可欠である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献1に記載の分解装置は、封入容器の切削時に発生する切粉が、封入容器内に入り、電極体に付着してしまうことがある。
リチウムイオン電池などの蓄電池の構造は、製造時に金属粉などの異物が混入しても、電極体内部まで異物が入りにくい構造を有しているが、この付着した切粉が電極体の内部に入ってしまうと、内部短絡をおこし、発熱出火のおそれがある。
【0024】
このため、電極体に切粉が付着しないように、吸引機を別途設けて、切粉を吸引しながら封入容器を切断することも行われている。
しかしながら、この場合でも、切粉を完全に取り除くことは困難であり、切断後に電極体に付着した切粉を吸引する作業が必要となる。
【0025】
このように電極体に切粉が付着してしまう状態は、蓄電池の分解では好ましくなく、また、製造時に付着した金属片なのか、判断ができないことにもなる。
さらに、このような分解装置は、水分が除去された雰囲気に配置する必要がある場合は、ドライルームなどの大型で高価な設備を必要としないために、小型で作業性が悪いが、普及しているグローブボックス内に配置されることが好ましい。
【0026】
しかしながら、グローブボックスは、限られたスペース(例えば、幅800mm×高さ600mm×奥行き600mm)であるので、この限られたスペース内に、切断機,吸引機,加圧機を配設された状態での分解作業は、両手でこれらの装置を取り扱うには、作業が困難であり、改善が必要なものであった。
【0027】
また、特許文献2に記載の切断分離処理装置については、特定の構造を有する蓄電池の分離処理に特化した装置であるため、例えば、他の形状や構造の蓄電池には適用し難いものであった。
【0028】
また、この切断分離処理装置では、刃物で直接外筒内部を切断しているため、規格試験用として封入容器内から電極体を取り出すのに用いることはできず、あくまでリサイクル用にしか用いることのできないものであった。
【0029】
さらに、特許文献3に記載の方法においても、封入容器の厚み以上の切断が行われているため、切断時に発生した切粉が電極体に付着してしまうことは免れず、これについてもリサイクル用にしか使用ができないものであった。
【0030】
また、特許文献4に記載の方法では、特殊な電池である廃棄NaS電池を処理するための方法であり、例えば、他の形状や構造の蓄電池には適用し難いものであった。その方法も、キャップを取り外して、封入容器を開封して、カートリッジ内に存在するナトリウムや硫黄を取り出す方法が開示されている。
【0031】
しかしながら、封入容器を開封することは開示されてはいるものの、その他の電極体などの部材をいかに取り出すかについては何ら言及されていない。すなわち、この方法では、キャップを取り外ししても、電極体を把持する掴み代が存在しないので、電極体を封入容器から取り外すことは困難である。
【0032】
しかも、この方法では、電極体をそのまま取り出すことができないので、強制内部短絡試験などの規格試験を行うことは不可能である。
さらに、この方法では、キャップの外周に環状の切込みを入れ、この環状の切込みに爪を挿入して、廃棄NaS電池の軸線方向に動かしてキャップを剥がすための特殊で、大型の装置が必要となり、リチウムイオン電池などの蓄電池において、不活性雰囲気下で、グローブボックスなどの限られたスペースに配置するのは困難である。
【0033】
本発明は、このような現状に鑑み、例えば、強制内部短絡試験のように満充電された蓄電池を分解する際に、安全で確実に封入容器内から電極体を取り出すことができるとともに、不活性ガス雰囲気の作業室内での分解作業がし易く、しかも、分解後に分別が容易でリサイクル性が良好な蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置ならびにそのための蓄電池および蓄電池の製造方法および蓄電池製造用の容器本体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の蓄電池の分解方法は、
封入容器内に電極体が封入された蓄電池を分解し、封入容器内より電極体を取り出すための蓄電池の分解方法であって、
前記蓄電池の封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けるための破断用溝入れ工程と、
前記封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封する封入容器破断工程と、
前記封入容器破断工程で破断された封入容器を離反する方向に移動することにより、電極体を露出させる封入容器分離工程と、
前記封入容器分離工程により露出した電極体を把持する電極体把持工程と、
前記電極体を把持した状態で、電極体と封入容器とが離反するように移動させることにより、封入容器から電極体を取り出す電極体取り出し工程と、を有することを特徴とする。
【0035】
また、本発明の蓄電池の分解装置は、
封入容器内に電極体が封入された蓄電池を分解し、封入容器内より電極体を取り出すための蓄電池の分解装置であって、
前記蓄電池の封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けるための破断用溝入れ機構と、
前記封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封する封入容器破断機構と、
前記封入容器破断機構によって破断された封入容器を離反する方向に移動することにより、電極体を露出させる封入容器分離機構と、
前記封入容器分離機構によって露出した電極体を把持する電極体把持機構と、
前記電極体把持機構により電極体を把持した状態で、電極体と封入容器とが離反するように移動させることにより、封入容器から電極体を取り出す電極体取り出し機構と、を備えることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、封入容器に設ける破断用の溝は、封入容器の内部まで貫通しない程度の深さであり、封入容器は開封しないので、切粉が封入容器内部に混入することがないので、破断用溝入れ工程は大気中にて行うことができる。
【0037】
このため、破断用溝入れ工程を、サイズに制約があり、作業性の悪い不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン雰囲気の作業室(グローブボックス)などで行う必要がない。従って、作業の効率が向上するとともに、グローブボックス内に配置されるその他の装置を簡素化することができる。
【0038】
すなわち、従来の装置では、切削加工が行われるため、切粉を吸引するための吸引機を、わざわざ限られた不活性ガス雰囲気のグローブボックス内に配設させる必要があったが、本発明では、その必要が全くなく、特に、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内に配設される装置を簡素化することができる。
【0039】
また、封入容器破断工程において、例えば、破断用溝を境にして封入容器を把持し、外力として引張り荷重を封入容器に加えることで、強度が最も弱い破断用溝に材料強度(引張り強さ)以上の応力を発生させて、強制的に封入容器を破断用溝から破断させ開封することができる。
【0040】
このため、切削などとは異なり、切粉は発生しないので、電極体に切粉が付着してショートさせてしまうおそれもない。このため、強制内部短絡試験のような規格試験を行うために、充電された蓄電池から電極体を得るのに好適である。
【0041】
また、封入容器分離工程において、破断用溝により破断された封入容器を把持し、破断された封入容器を互いに離反させるように移動させることで、電極体が露出される。しかも、この場合、蓄電池の封入容器の容器本体の外側面に破断用溝が設けられているので、電極体が露出した状態で、電極体を把持する把持代が存在することになるので、電極体把持工程において、電極体を把持することが可能となり、電極体取り出し工程において、封入容器から電極体を破損損傷することなくそのままの状態で取り出すことができる。
【0042】
このため、取り出された電極体に対して、強制内部短絡試験のような規格試験を確実に行うことができるとともに、分解も容易であり、分別回収して資源物をリサイクルすることができる。
【0043】
なお、この場合、封入容器を互いに分離する距離は、電極体を把持できる距離であれば良く、既に前工程である電極体把持工程において、封入容器は把持している状態であるので、改めて把持し直す必要がなく、工程を簡略化することができる。
【0044】
さらに、この場合、封入容器破断工程と封入容器分離工程に用いる装置は同一のものであって良く、この場合には、さらにグローブボックス内に配設される装置を簡素化することができる。
【0045】
また、電極体取り出し工程において、露出した電極体を把持し、電極体と分離された封入容器を、互いが離反するように移動させることにより、折り曲げられて収納されていた集電タブ(正極タブと負極タブ)が伸び、引張り荷重がかかることで、集電タブを破断させるととともに、封入容器から電極体を取り出すことができる。
【0046】
従って、封入容器から、形状を保持した綺麗な状態(集電タブが付いた状態)の電極体を取り出すことができるので、取り出された電極体に対して、強制内部短絡試験のような規格試験を確実に行うことができるとともに、分解も容易であり、分別回収して資源物をリサイクルすることができる。
【0047】
さらに、封入容器を開封し、電極体を取り出すまでの一連の工程が簡素化されているので、グローブボックス内での作業においても容易に行うことができ、グローブボックス内配置される装置が簡素化され、自動化も容易に行うことができる。
【0048】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
封入容器内に電極体が封入された蓄電池を分解し、封入容器内より電極体を取り出すための蓄電池の分解方法であって、
前記封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封する封入容器破断工程と、
前記封入容器破断工程で破断された封入容器を離反する方向に移動することにより、電極体を露出させる封入容器分離工程と、
前記封入容器分離工程により露出した電極体を把持する電極体把持工程と、
前記電極体を把持した状態で、電極体と封入容器とが離反するように移動させることにより、封入容器から電極体を取り出す電極体取り出し工程と、を有することを特徴とする。
【0049】
また、本発明の蓄電池の分解装置は、
封入容器内に電極体が封入された蓄電池を分解し、封入容器内より電極体を取り出すための蓄電池の分解装置であって、
前記封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封する封入容器破断機構と、
前記封入容器破断機構によって破断された封入容器を離反する方向に移動することにより、電極体を露出させる封入容器分離機構と、
前記封入容器分離機構によって露出した電極体を把持する電極体把持機構と、
前記電極体把持機構により電極体を把持した状態で、電極体と封入容器とが離反するように移動させることにより、封入容器から電極体を取り出す電極体取り出し機構と、を備えることを特徴とする。
【0050】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記蓄電池が、予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けた蓄電池であることを特徴とする。
【0051】
また、本発明の蓄電池の分解装置は、
前記蓄電池が、予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けた蓄電池を用いるように構成されていることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の蓄電池は、予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けたことを特徴とする。
このように蓄電池が、すなわち、製品として製造、販売される蓄電池が、予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けた蓄電池であれば、破断用溝入れ機構(破断用溝入れ工程)が不要となる。
【0053】
従って、例えば、大学や研究機関などにおいて、旋盤などの破断用溝入れ機構を有していない場所においても、蓄電池の分解方法を実施することができる。
また、このように、破断用溝入れ機構(破断用溝入れ工程)が不要であるので、工程が簡略化されて、効率良く蓄電池の分解を行うことができる。
【0054】
しかも、蓄電池の分解装置として、破断用溝入れ機構を備える必要がないので、コンパクトな蓄電池の分解装置を提供することができる。
ところで、上記の破断用溝入れ機構(破断用溝入れ工程)は、封入容器内に電極体が封入された蓄電池に対して、破断用溝を設けても良いが、封口後の蓄電池に破断用溝を設けると、容器本体に表面処理としてメッキが施されている場合、メッキが剥がれてしまい、数年という長い期間で蓄電池として使用する際には、破断用溝が腐食し、腐食部から電解液が液漏れてしまうおそれがある。
【0055】
このため、容器本体の製造工程において、容器本体に予め破断用溝を設け、従来通り、容器本体にメッキを施せばこの問題が解消する。
従って、破断用溝入れ工程は、容器本体の製造工程の中で行われることが望ましい。すなわち、蓄電池の製造に用いる部材として、予め破断用溝を設けた蓄電池製造用の容器本体を供給するだけで、従来の蓄電池の製造設備を用いて、予め破断用溝を設けた蓄電池製造用の容器本体に電極体を挿入し、注液し、封口できるので、予め破断用溝を設けた蓄電池を簡単に製造することができる。
【0056】
従って、本発明の蓄電池の製造方法は、
蓄電池の製造方法であって、
予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けた容器本体を用いることを特徴とする。
【0057】
また、本発明の蓄電池製造用の容器本体は、
予め封入容器の容器本体の外側面に、封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設けたことを特徴とする。
【0058】
また、後述する封入容器を把持し易くするための把持用溝を設ける場合、上記と同様に、封入容器内に電極体が封入された蓄電池に対して、把持用溝を設けても良いが、封口後に蓄電池に把持用溝を設けると、容器本体に表面処理としてメッキが施されている場合、メッキが剥がれてしまい、数年という長い期間で蓄電池として使用する際には、把持用溝が腐食し、腐食部から電解液が液漏れてしまうおそれがある。
【0059】
このため、容器本体の製造工程において、容器本体に予め把持用溝を設け、従来通り、容器本体にメッキを施せばこの問題が解消する。
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記封入容器破断工程の前に、封入容器の破断用溝を境にして、封入容器の一方側と他方側をそれぞれ把持する封入容器把持工程を有し、
前記封入容器破断工程において、封入容器を把持した状態で封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封することを特徴とする。
【0060】
また、本発明の蓄電池の分解装置は、
前記封入容器破断機構の前に、封入容器の破断用溝を境にして、封入容器の一方側と他方側をそれぞれ把持する封入容器把持機構を備え、
前記封入容器破断機構において、封入容器を把持した状態で封入容器に外力を加えることにより、破断用溝より封入容器を破断させ開封するように構成されていることを特徴とする。
【0061】
このように破断用溝を境にして、封入容器の一方側と他方側をそれぞれ把持し、例えば、外力として、ねじり、曲げ、引張り荷重などを封入容器に加えることで、強度が最も弱い破断用溝に材料強度以上の応力を発生させることができ、強制的に封入容器を破断用溝から破断させ開封することができる。
【0062】
なお、例えば、封入容器に加える外力が、圧縮荷重の場合には、このように封入容器の一方側と他方側をそれぞれ把持する必要がなく、封入容器の一端部側と他端部側から中央方向に圧縮するようにすれば良い。
【0063】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記封入容器破断工程において、
前記封入容器に対して、封入容器の破断用溝より破断するために加える外力が、引張り、圧縮、ねじり、曲げのいずれかであるか、または、これらの少なくとも2つ以上の組み合わせであることを特徴とする。
【0064】
このように構成することによって、封入容器破断工程において、破断用溝を境にして封入容器を把持したまま、離反する方向に移動させることで、例えば、外力として引張り荷重を封入容器に加えることができ、強度が最も弱い破断用溝に材料強度(引張り強さ)以上の応力を発生させて、強制的に封入容器を破断用溝から容易に破断させ開封することができる。
【0065】
このため、封入容器を離反する方向が引張りとなるため、作業性や装置を考慮すれば、封入容器を破断する外力は、引張りが最も簡単である。
しかしながら、引張り荷重と同様に、外力として、圧縮、ねじり、曲げのいずれかの外力を単独に加えても、封入容器を破断用溝より破断させることがきる。
【0066】
また、これらの少なくとも2つ以上の外力を組み合わせても、例えば、封入容器をねじりながら引っ張っても、同様に封入容器を破断用溝より破断することができる。
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記破断用溝を設ける位置が、封入容器分離工程によって封入容器から露出した電極体を、電極体把持工程において把持できる位置に設けることを特徴とする。
【0067】
また、本発明の蓄電池は、
前記破断用溝を設ける位置が、封入容器から露出した電極体を、把持できる位置に設けたことを特徴とする。
【0068】
このように、破断用溝を設ける位置が、封入容器分離工程によって封入容器から露出した電極体を、電極体把持工程において把持できる位置に設けることによって、電極体が露出した状態で、電極体を把持する把持代が存在することになるので、電極体把持工程において、電極体を把持することが可能となり、電極体取り出し工程において、封入容器から電極体を破損損傷することなくそのままの状態で取り出すことができる。
【0069】
この場合、破断用溝を封入容器の容器本体の外側面に設ける位置は、電極体把持工程において、電極体を把持することが可能となる位置であれば、特に限定されるものではないが、蓄電池の長さの中央を境にして、円筒形状の蓄電池の場合には、封入容器の外側面の底側寄りに、四角柱形状の蓄電池の場合には、封入容器の蓋側寄りに設けることが好ましい。
【0070】
しかしながら、破断用溝の位置が、極端に封入容器の底側あるいは蓋側に設けてしまうと、電極体が露出しなかったり、露出する長さが短かったりするので、電極体を把持できなり、封入容器から電極体を取り出せなくなってしまうので、電極体が露出した状態で、電極体を把持する把持代が存在するような位置を適宜選択すればよい。
【0071】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記破断用溝を、蓄電池の両端面に対して略平行に設けることを特徴とする。
また、本発明の蓄電池は、
前記破断用溝を、蓄電池の両端面に対して略平行に設けたことを特徴とする。
【0072】
このように、破断用溝を蓄電池の両端面に対して略平行に設けることにより、旋盤やフライスで容易に加工することができる。
また、封入容器の破断用溝に対して、外力を加えた際に、この破断用溝から効果的に破断させることができる。
【0073】
この場合、破断用溝の溝の形状は、凹溝でも、角度がついた溝でも構わない。また、溝の幅は、封入容器を、例えば、引張り破断させる場合、後述するように、破断用の溝としての機能だけでなく、把持用の溝として、引っ掛けて滑り止めの役割を果たせるように、幅を広くするなどしても良い。
【0074】
さらに、破断用溝の溝の深さは、封入容器の容器本体の外側面の寸法精度を考慮して、封入容器を貫通させない程度にすれば良い。極端に溝を深くしても良いが、容器本体を手で引張ったり、落としたりする程度で、破断用溝から容器本体より破断したり割れたりしてしまうと、蓄電池を次の工程に運ぶ際、誤って封入容器が開封するおそれがある。
【0075】
このため、破断用溝は、ある程度の強度を持ち、ネジやエアーシリンダーなどによる大きな外力により、破断させるような溝深さにすることが好ましい。
また、破断用溝の溝の長さは、封入容器の外側面に全周に渡り連続的に繋がっていても、断続的に切れていても構わない。
【0076】
このように、破断用溝の溝の長さが、封入容器の容器本体の外側面に全周に渡り連続的に繋がっていれば、いずれの箇所からも破断が生じ易く、確実に封入容器を破断させて、蓄電池を分解することができる。また、破断用溝の溝の長さが、断続的に切れていても、破断用溝が形成されている部分から最初に破断されて、それ以外の箇所も一緒に破断されることとなるため、確実に封入容器を破断させて、蓄電池を分解することができる。
【0077】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記封入容器把持工程の前に、
前記封入容器の外側面に、破断用溝とは略平行に、封入容器を把持し易くするための把持用溝を設ける把持用溝入れ工程を有することを特徴とする。
【0078】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記蓄電池が、予め封入容器の外側面に、破断用溝とは略平行に、封入容器を把持し易くするための把持用溝を設けた蓄電池であることを特徴とする。
【0079】
また、本発明の蓄電池は、
予め封入容器の容器本体の外側面に、破断用溝とは略平行に、封入容器を把持し易くするための把持用溝を設けたことを特徴とする。
【0080】
このように封入容器に把持用溝を設ければ、封入容器の一端部と他端部とを把持して引張る際に、この把持用溝の部分が滑り止めとして機能することになる。
従って、封入容器破断工程において、途中で把持手段と封入容器との間で滑りを生ずることがなく、確実に封入容器を破断させて、蓄電池を分解することができる。
【0081】
この場合、把持用溝は、破断用溝より強度を強くするため、例えば、その深さを破断用溝より浅くしたり、破断用溝の長さを、断続的に切れた状態となるように形成すれば良い。
【0082】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、前記封入容器の破断用溝を、封入容器を把持し易くするための把持用溝としても用いることを特徴とする。
このように、封入容器の破断用溝を、破断用の溝としての機能だけでなく、封入容器を把持し易くするための把持用の溝として、引っ掛けて滑り止めの役割を果たせるように、幅を広くするなどしても良い。
【0083】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記電極体取り出し工程において、
前記封入容器から集電タブを切り離すことにより、封入容器から集電タブを取り外すことを特徴とする。
【0084】
このようにすれば、切断具などを用いて、封入容器から集電タブを切り離すことにより、集電タブ、例えば、封入容器との接合部分が強固である負極タブと、この負極タブと接続された銅箔を主とする負電極が破れて、電極体が破損してしまうことを防止することができる。これにより、取り出された電極体に対して、集電タブから電圧測定が容易にできるので、強制内部短絡試験のような規格試験を確実に行うことができる。
【0085】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記電極体取り出し工程において、
前記電極体とともに集電タブを把持した状態で、封入容器と電極体とが離反するように移動させることにより、封入容器から電極体を取り外すことを特徴とする。
【0086】
このようにすれば、電極体とともに集電タブを把持した状態であるので、封入容器の破断用溝に対して、外力を加えた際にも、集電タブ、例えば、封入容器との接合部分が強固である負極タブであっても、負極タブと封入容器との接合部分が破断する前に、この負極タブと接続された銅箔を主とする負電極が破れて電極体が破損してしまうことを防止することができる。また、切断具などを用いて集電タブを切断するような切断工程を省略して、封入容器から電極体を集電タブが付いた状態で取り出すことができる。
【0087】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、
前記破断用溝が、複数本の破断用溝が離間して設けられた破断用溝であることを特徴とする。
【0088】
また、本発明の蓄電池は、
前記破断用溝が、複数本の破断用溝が離間して設けられた破断用溝であることを特徴とする。
【0089】
このように、複数本の破断用溝を離間して設けることによって、例えば、四角柱形状の蓄電池の場合に、封入容器の蓋部材側に、集電タブを切断するための第1の破断用溝と、封入容器の底部側に電極体を露出するための第2の破断用溝を設けることができる。これにより、第1の破断用溝を破断させて、集電タブを切断した後、第2の破断用溝を破断させて、電極体を露出させて把持して電極体を封入容器から取り外すことができる。
【0090】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、前記蓄電池が、円筒形状、または四角柱形状のいずれかであることを特徴とする。
このような形態を有する蓄電池であれば、本発明の蓄電池の分解方法に用いるのに好適である。
【0091】
また、本発明の蓄電池の分解方法は、前記蓄電池が、充電された蓄電池であることを特徴とする。
このように蓄電池が、充電された蓄電池であっても、本発明の蓄電池の分解方法を適用することができるとともに、取り出された電極体に対して、強制内部短絡試験のような規格試験を確実に行うことができる
また、本発明の蓄電池の分解方法は、少なくとも封入容器破断工程を、不活性ガス雰囲気の作業室内にて行うことを特徴とする。
【0092】
このように、少なくとも封入容器破断工程を、不活性ガス雰囲気の作業室内にて行うことによって、例えば、満充電されている蓄電池を分解する際においても、安全に分解作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0093】
本発明によれば、先ず、大気中にて封入容器の外側面に封入容器内部までは貫通しない破断用溝を設け、この後、不活性ガスの作業室の雰囲気にて、例えば、封入容器の破断用溝を境にして封入容器を把持し、引張り荷重などの外力を加えることで、破断用溝より封入容器を破断開封することができる。
【0094】
次に、破断した封入容器を互いに離反する方向に移動して分離して、電極体を露出させ、露出した電極体を把持し、電極体と分離された封入容器を互いに離反するように移動させることにより、封入容器から蓄電池を取り出すことができるので、短絡させることなく、簡単に安全に形状保持した状態で電極体を取り出すことができる。
【0095】
このため、強制内部短絡試験を行う場合には、満充電された蓄電池を安全に簡単に解体することができ、規格試験を安全で確実に行うことができる。
さらに、満充電された蓄電池を分解する際には、不活性ガス雰囲気の作業室で作業が行われるが、この際にも作業室内に配設される必要の有るものが把持手段と移動手段のみであるため、効率良く分解作業を行うことができる。
【0096】
また、封入容器内から形状を保持したままの状態で電極体を取り出すことができるため、取り出した電極体を部材毎に分別し、資源物のリサイクルを簡単かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
本発明は、例えば、電子機器などに用いられる蓄電池において、蓄電池が充電されていても、封入容器内の内容物である電極体を、封入容器内から形状保持したままの状態で取り出すための蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置に関する。
【0099】
図1に示したように、符号1は、全体で本発明の蓄電池の分解方法に用いる蓄電池の分解装置を示しており、蓄電池の分解装置1は、破断用溝入れ機構10と、封入容器破断機構20と、封入容器分離機構30と、電極体取り出し機構40とを備えている。
【0100】
このうち、封入容器破断機構20、封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40については、不活性ガス雰囲気の作業室2(例えば、グローブボックス2)内に配設されている。
【0101】
なお、この実施例では、封入容器破断機構20、封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40を、不活性ガス雰囲気の作業室2内に配置したが、少なくとも封入容器破断機構20を不活性ガス雰囲気の作業室2内に配置するのが望ましい。
【0102】
このように、少なくとも封入容器破断工程を、不活性ガス雰囲気の作業室内にて行うことによって、例えば、満充電されている蓄電池を分解する際においても、安全に分解作業を行うことができる。
【0103】
この理由としては、分解対象となる蓄電池100が、例えば、充電されたものである場合、分解作業時に、電極体103に含浸された電解液が反応して、発火などを生ずる場合があり、安全性を確保するためである。また、露点−25℃以下といった水分が除去された乾燥した雰囲気にて作業を行うためである。
【0104】
なお、放電済みの蓄電池100を分解するのであれば、発火などの危険を生ずることはほとんどないため、大気中での分解作業も可能である。
一方、破断用溝入れ機構10については、後述するように、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面から内部まで貫通するような加工が行われないため、蓄電池100であっても大気中での取り扱いができ、グローブボックス2内に配設する必要がない。
【0105】
ただし、例えば、強制内部短絡試験のように、満充電した電池を解体する場合などは、破断用溝入れ工程では、誤って溝を深く入れたりなどして、発熱や発火などのおそれがある。このため、放電した電池を用いて、破断用や把持用の溝入れを終えることが好ましく、その後に、充電すれば良い。また、電極体に含まれるレアメタルなど抽出するリサイクルを行う場合は、蓄電池は放電しておけば良い。
【0106】
以下に、本発明の蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置について、
図1〜
図6の実施例について説明する。
この実施例における蓄電池の分解装置1では、
図2に示したように、円筒形状を有する蓄電池を分解対象とするものである。
【0107】
このような円筒形状の蓄電池100は、背景技術の欄で、
図26の部分切断分解斜視図を用いて説明した蓄電池100ものと同様なものである。なお、
図2では、説明の便宜上、主たる部材のみを図示している。
【0108】
なお、容器本体108は金属缶であり、円筒形状の蓄電池100の場合には、内外面にメッキをされた鉄鋼材から構成されている。
先ず、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)について説明する。
【0109】
破断用溝入れ機構10は、
図3に示したように、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面に、封入容器101内部までは貫通しないように、破断用溝132を設けるための機構である。
【0110】
このような破断用溝入れ機構10は、
図3(a)に示したように、蓄電池100を固定する固定具12と、蓄電池100の容器本体108の外側面に破断用溝132を切削形成するための加工機14から構成されている。
【0111】
この実施例では、円筒形状の蓄電池100において、
図3(a)に示したように、容器本体108の蓋部材112側の外側面を固定具12で固定して、この状態で固定具12を回転させ、刃物16を当接させることで、
図3(b)に示したように、封入容器101の容器本体108の外側面に、破断用溝132が形成される。
【0112】
ここで用いられる加工機14としては、特に限定されるものではないが、この実施例のように円筒形状の蓄電池100においては、加工機14として、旋盤を用い、固定具12として、蓄電池の外径に合わせたコレットチャックを用意し、刃物16として、バイトを用いて、破断用溝132を形成している。
【0113】
また、破断用溝132は、その溝の深さは、封入容器101の容器本体108の外側面の寸法精度を考慮して、封入容器101の容器本体108を貫通させない程度にするのが望ましい。
【0114】
これにより、切削などにより発生する切粉は、封入容器101の内部には入らず、電極体103には付着しない。また、封入容器101を開封しないので、破断用溝入れ工程を大気中で行うことができる。なお、封入容器101に付着した切粉などは、エアーブローなどをして、除去すれば良い。
【0115】
このため、破断用溝入れ工程を、サイズに制約があり、作業性の悪い不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン雰囲気の作業室2(グローブボックス2)などで行う必要がない。従って、作業の効率が向上するとともに、グローブボックス内に配置されるその他の装置を簡素化することができる。
【0116】
すなわち、従来の装置では、切削加工が行われるため、切粉を吸引するための吸引機を、わざわざ限られた不活性ガス雰囲気のグローブボックス内に配設させる必要があったが、本発明では、その必要が全くなく、特に、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内に配設される装置を簡素化することができる。
【0117】
また、破断用溝132を容器本体108の外側面に設ける位置は、特に限定されないが、破断用溝入れ工程において、破断用溝132を設ける位置が、後述する封入容器分離工程によって封入容器101から露出した電極体103を、封入容器分離工程において把持できる位置に設けることが望ましい。
【0118】
すなわち、この実施例のように円筒形状の蓄電池100では、
図3、
図4に示したように、蓄電池100の長さの中央を境にして、容器本体108の外側面の底部側寄りに設けるのが望ましい。
【0119】
これは、容器本体108に外力を加えて、容器本体108を破断用溝132より強制的に破断し、蓋側108Aを電極体103から分離することによって、電極体103の大半を容器本体108より露出させることができるからである。
【0120】
なお、破断用溝132を、極端に容器本体108の底部側あるいは蓋部材112側に設けてしまうと、容器本体108を電極体103が露出しなかったり、露出する長さが短かったりすることになる。その結果、電極体103を把持できなり、容器本体108から電極体103を取り出せなくなってしまうので、破断用溝132を設ける位置としては、電極体103が露出した状態で、電極体103を把持する把持代が存在するような位置を適宜選択すればよい。
【0121】
また、破断用溝132は、封入容器101の両端面に対して略平行に設けるのが望ましい。このように、破断用溝を蓄電池の両端面に対して略平行に設けることにより、旋盤やフライスで容易に加工することができる。また、封入容器101の破断用溝132に対して、外力を加えた際に、この破断用溝132から効果的に破断させることができる。
【0122】
この場合、破断用溝132の溝の形状は、
図23(a)に示したように、凹溝でも、角度がついた溝でも構わない。また、溝の幅は、封入容器101を、例えば、引張り破断させる場合、後述するように、破断用の溝としての機能だけでなく、把持用の溝として、引っ掛けて滑り止めの役割を果たせるように、
図23(b)に示したように、幅を広くするなどしても良い。
【0123】
また、破断用溝132の溝の深さは、容器本体108の外側面の寸法精度を考慮して、容器本体108を貫通させない程度にすれば良い。極端に溝を深くしても良いが、容器本体108を手で引張ったり、落としたりする程度で、破断用溝132から容器本体108より破断したり割れたりしてしまうと、蓄電池100を次の工程に運ぶ際、誤って封入容器101が開封するおそれがある。
【0124】
このため、破断用溝132は、ある程度の強度を持ち、ネジやエアーシリンダーなどによる大きな外力により、破断させるような溝深さにすることが好ましい。
また、破断用溝132の溝の長さは、
図4(a)に示したように、封入容器101の容器本体108の外側面に全周に渡り連続的に繋がっていても、
図4(b)に示したように、断続的に切れていても構わない。
【0125】
このように、破断用溝132の溝の長さが、封入容器の外側面に全周に渡り連続的に繋がっていれば、いずれの箇所からも破断が生じ易く、確実に封入容器101を破断させて、蓄電池100を分解することができる。また、破断用溝132の溝の長さが、断続的に切れていても、破断用溝132が形成されている部分から最初に破断されて、それ以外の箇所も一緒に破断されることとなるため、確実に封入容器101を破断させて、蓄電池100を分解することができる。
【0126】
次に、このように破断用溝入れ工程において、破断用溝132が容器本体108の外側面に形成された蓄電池100は、
図5に示したような、封入容器破断機構20(封入容器破断工程)に送られる。
【0127】
この封入容器破断機構20は、破断用溝132を境にして、封入容器101の一方側と他方側を把持した状態で、封入容器101に外力を加えることにより、容器本体108を破断用溝132より破断させ開封するための機構である。
【0128】
以下、封入容器101の破断用溝132を境にして、蓋部材112の在る側を、『蓋側』、蓋部材112とは逆の容器本体108の底に在る側を、『底側』と言う。
図5に示したように、封入容器破断機構20では、破断用溝132を境にして、封入容器101の蓋側を把持具22で把持するとともに、底側を把持具26で把持する。
【0129】
この場合、把持具22、26は、円筒形状の封入容器101の形状に合わせて、円筒形状のものを用意し、外径寸法に合わせている。
なお、この実施例の封入容器破断機構20では、
図5(a)に示したように、蓄電池100の蓋側のネッキング溝130に係止片24を引っ掛けて把持する把持具22と、破断用溝入れ工程で形成された破断用溝132に係止片28を引っ掛けて把持する把持具26と、を備えている。
【0130】
この場合、把持具22、26としては、上記のような構成のものに特に限定されるものではなく、一般的なコレットチャックやバイスなどで、封入容器101を把持することもできる。
【0131】
この状態で、封入容器101に外力、この実施例の場合には、引張り荷重を加えて、封入容器101を材料強度の最も弱い破断用溝132より破断し、開封する。なお、この時点で、
図5(b)に示したように、容器本体108は、蓋側108Aと底側108Bとに分離されている。
【0132】
すなわち、把持具26の係止片28に破断用溝132を引っ掛けるとともに、把持具22ではネッキング溝130に係止片24を引っ掛けて、
図5(a)に示したように、把持具26を固定して、把持具22をAの方向に移動することにより、引張り荷重を加えることにより、容器本体108を破断させる。
【0133】
なお、この実施例のように、円筒形状の蓄電池100の場合には、ネッキング溝130があるので、把持用の溝として利用することができる。また、破断用溝132は、破断用の溝としてだけでなく、把持用の溝として利用している。
【0134】
しかしながら、
図23(b)に示したように、破断用溝132の幅を広くして、破断用溝132に係止片24、26の双方を引っ掛けるようにしても良い。
なお、この実施例では、把持具26を固定し、もう一方の把持具22を移動するようにしているが、特に限定されるものではなく、逆であっても、また両方ともが移動可能であっても良い。
【0135】
次に、このように封入容器破断工程において、容器本体108を破断用溝132より破断させ開封された蓄電池100は、
図5(b)および(c)に示したような、封入容器分離機構30(封入容器分離工程)に送られる。
【0136】
この封入容器分離機構30は、破断され分離した容器本体108の蓋側108Aと底側108Bをそれぞれ把持して、互いに離反する方向(矢印Bの方向)に移動することで、蓋側108Aと底側108Bとを互いに離反させる方向に移動させ、これにより、電極体103を露出させる機構である。
【0137】
すなわち、
図5(b)において、ネッキング溝130に係止片24を引っ掛けて把持した把持具22を、矢印Bの方向に移動させていくと、封入容器101の内部の電極体103が露出されるようになる。
【0138】
また、蓋部材112と接合された電極体103の正極タブ114は、引張り荷重が加わることによって、蓋部材112の近傍でちぎれて切断されることとなる。
そして、さらに把持具22を矢印Bの方向にさらに移動させると、
図5(c)に示したように、電極体103は、蓋側108Aから完全に露出されるようになる。
【0139】
この場合、容器本体108の蓋側と底側を互いに分離する距離は、電極体103を把持できる距離であれば良い。
なお、別の把持具を設けて、容器本体108の蓋側108Aと、底側108Bを把持しても良いが、封入容器破断機構20において、把持具22、26によりすでに把持しているので、特に限定されるものではないが、新たに把持手段は用いず、把持具22、26をそのまま把持した状態で用いることが好ましい。
【0140】
この実施例では、把持具22、26をそのまま用いて、把持具22と把持具26とを、互いに離反するように移動することにより、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bの距離を離して、電極体103を露出させている。
【0141】
この場合、既に容器本体108は、破断され分離しているので、手で引張る程度の力で十分であり、大きな力は必要がなく、送りねじやエアーシリンダーなどは不要である。
特に限定されるものではないが、封入容器破断機構20において、すでに把持具22、26がすでに送りねじやエアーシリンダーなどの移動手段と連結し、把持具22と把持具26が離反するように移動する場合は、新たに移動手段を設ける必要がなく、そのまま用いることが好ましい。このため、本実施例では、移動手段も封入容器破断機構20と同一のものを用いている。
【0142】
次に、このように封入容器分離工程において、破断された容器本体108の蓋側108Aと底側108Bを互いに離反させる方向に移動させることによって、電極体103が露出された蓄電池100は、
図6に示したような、電極体取り出し機構40(電極体取り出し工程)に送られる。
【0143】
この電極体取り出し機構40は、封入容器分離機構30において、蓋側108Aと底側108Bの距離が離されることにより露出した電極体103を把持して、電極体103と、残された容器本体108の底側108Bとを、離反するように移動するように構成されている。
【0144】
これにより、封入容器101内に折り曲げられて収納された集電タブ(正極タブ114と負極タブ110)を引張ることにより破断させて、封入容器101から電極体103を取り出す機構である。
【0145】
すなわち、
図6(a)に示したように、電極体103を把持具42で把持し、これを封入容器101とは離反する方向(矢印Cの方向)に移動させると、
図6(b)に示したように、封入容器101から電極体103が外れるとともに、封入容器101の容器底と接続された負極タブ110が、容器底の近傍でちぎれて切断されることとなる。
【0146】
この場合、特に限定されるものではないが、この実施例おいて、電極体取り出し機構40についても、封入容器101の容器本体108の底側108Bは、封入容器分離機構30において、把持具26によってすでに把持されているので、あらため把持する必要はないので、そのまま把持具26を用いている。
【0147】
なお、負極タブ110は、銅箔を主材とする負電極104と接合されているため、単に電極体103を、封入容器101とは離反する方向(矢印Cの方向)に移動させると、銅箔の方が破れてしまうおそれがある。
【0148】
このため、
図6(a)に示したように、電極体取り出し機構40の作動時には、負極タブ110部分を電極体103と一緒に把持具42で把持し、この状態で把持具42を封入容器101とは離反する方向(矢印Cの方向)に移動させて、負極タブ110の容器底側が切断されるようにすることが好ましい。
【0149】
これにより、
図7に示したように、封入容器101の内部に電極体103が封入された蓄電池100は、破断用溝132を境にして、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bとに分離された封入容器101と、内部の電極体103とに分離されることとなる。
【0150】
なお、分解された蓄電池100を部材毎に分類してリサイクルする場合には、封入容器101内から取り出した電極体103を別途分解することで、例えば、レアメタルなどの資源物を、簡単でしかも確実に分別回収することができる。
【0151】
また取り出された電極体103を用いて規格試験を行う場合には、それぞれの試験に応じた手順で試験を進めれば良い。
例えば、JIS規格の強制内部短絡試験(JIS C8714:2007)であれば、満充電された蓄電池100を分解して取り出された電極体103が使用されることとなる。
【0152】
この強制内部短絡試験では、所定手順を経た後、取り出された電極体103の電圧測定が行われるが、本発明の蓄電池の分解装置1で分解されて取り出された電極体103であれば、正極タブ114および負極タブ110が残された状態であるため、規定の時間内に電圧測定を確実に終えることができる。
【0153】
このように本発明の蓄電池の分解装置1および蓄電池分解方法は、上記したように、形状を保持したままの状態で封入容器101から電極体103を取り出せるため、蓄電池100を構成する部材の分別を容易にして、資源物のリサイクルを行うことができる。
【0154】
また、封入容器101を切断させる時は、不活性ガス雰囲気の作業室(例えば、グローブボックス2)内で行うようになっており、しかも内部の電極体103には、封入容器101が分断されるまで一切触れることがないため、電極体103を安全で確実に得ることができ、規格試験に用いられる電極体103を得るのに、本発明の蓄電池の分解装置1および蓄電池分解方法は好適である。
【0155】
なお、上記実施例では、封入容器破断工程において、封入容器101に加える外力として、引張り荷重を用いたが、何らこれに限定されるものではなく、封入容器に対して、封入容器の破断用溝より破断するために加える外力が、引張り、圧縮、ねじり、曲げのいずれかであるか、または、これらの少なくとも2つ以上の組み合わせとすることができる。
【0156】
図8(a)に、外力が引張り荷重である場合の概略図を示している。
この場合、把持具22、26を、離反するように移動させ、強度の最も弱い破断用溝132より材料強度(引張り強さ)以上の応力を発生させて、容器本体108を破断用溝132より引張り破断させる。把持具22、26は、両方とも移動しても良いし、片側が固定されていても良い。また、把持具22、26は、送りネジやエアーシリンダーなどに連結され、容器本体108を破断する力を容易に発生できる。
【0157】
また、
図8(b)、
図8(c)に、外力が圧縮荷重である場合の概略図を示している。
この場合、
図8(b)、
図8(c)の矢印で示したように、把持具22、26を近接させて、破断用溝132に圧縮応力を発生させて、容器本体108を破断用溝132より圧縮破断させる。この場合も、把持具22、26は、両方とも移動しても良いし、片側が固定されていても良い。
【0158】
なお、
図8(c)に示したように、外力が圧縮荷重の場合、把持具22、26で封入容器101を把持する必要はなく、把持具22、26を用いずに、押圧部材22'、26'によって、封入容器101の両端面を加圧するだけでも良い。また、把持具22、26は、送りネジやエアーシリンダーなどに連結され、容器本体108を破断する力を容易に発生できる。
【0159】
また、
図9(a)に、外力がねじり荷重である場合の概略図を示している。
この場合、
図9(a)の矢印で示したように、把持具22、26を封入容器101の中心軸周りに、互いに相反する方向に回転することにより、容器本体108を破断用溝132よりねじり破断させる。把持具22、26は、両方ともに回転しても良いし、片側が固定されていても良い。また、把持具22、26はモーターなどに連結され、容器本体を破断する力を容易に発生できる。
【0160】
また、
図9(b)に、外力が曲げ荷重である場合の概略図を示している。
この場合、
図9(b)の矢印で示したように、把持具22、26が、支点Pの周りに回転させることで、破断用溝132に曲げモーメントを発生させて、容器本体108を破断用溝132より曲げ破断させる。把持具22、26は、支点Pの周りに、両方とも回転しても良いし、片側が固定されていても良い。
【0161】
把持具22、26は、支点周りに回転できるように、リンクやピンなどを介してエアーシリンダーなどに連結され、容器本体108を破断する力を容易に発生できる。
なお、曲げ荷重に関しては、破断用溝132の位置は、封入容器101の長手方向の中央部分などに形成すると、電極体も一緒に曲げてしまうので、蓋部材112の近傍、または、容器本体108の缶底の近傍に形成するのが望ましい。
【0162】
さらに、上記の外力は、単独である場合を説明したが、これらの少なくとも2つ以上の外力を組み合わせても、例えば、封入容器101をねじりながら引っ張っても、同様に封入容器101を破断用溝132より破断することができる。
【0163】
なお、最終的に電極体103を封入容器101から取り出すには、電極体103を把持する必要がある。このため、破断(分離)された容器本体108の蓋側108Aと底側108Bを、離反するように移動して、距離を離して、電極体103を容器本体108から露出させる必要がある。このため、破断(分離)された容器本体108を離反する方向が封入容器101の中心軸となるので、作業性や装置を考慮すれば、容器本体108を破断させる外力は引張りまたは圧縮が最も簡単であり、好ましい。
【0164】
なお、この実施例の蓄電池の分解装置(蓄電池の分解方法)では、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)を設けたが、使用する蓄電池100として、予め封入容器101の容器本体108の外側面に、封入容器101の内部までは貫通しない破断用溝132を設けた蓄電池100を用いて、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)を設けないようにすることも可能である。
【0165】
このように蓄電池100が、すなわち、製品として製造、販売される蓄電池100が、予め封入容器101の容器本体108の外側面に、封入容器101の内部までは貫通しない破断用溝132を設けた蓄電池100であれば、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)が不要となる。
【0166】
従って、例えば、大学や研究機関などにおいて、旋盤などの破断用溝入れ機構10を有していない場所においても、蓄電池100の分解方法を実施することができる。
また、このように、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)が不要であるので、工程が簡略化されて、効率良く蓄電池100の分解を行うことができる。
【0167】
しかも、蓄電池の分解装置として、破断用溝入れ機構10を備える必要がないので、コンパクトな蓄電池の分解装置を提供することができる。
なお、このように、使用する蓄電池100として、予め封入容器101の容器本体108の外側面に、封入容器101の内部までは貫通しない破断用溝132を設けた蓄電池100を用いて、破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)を設けないようにすることも可能であることは、以下の実施例においても同様である。
【0168】
ところで、上記の破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)は、封入容器内101に電極体103が封入された蓄電池100に対して、破断用溝132を設けても良いが、封口後の蓄電池100に破断用溝132を設けると、容器本体108に表面処理としてメッキが施されている場合、メッキが剥がれてしまい、数年という長い期間で蓄電池100として使用する際には、破断用溝132が腐食し、腐食部から電解液が液漏れてしまうおそれがある。
【0169】
このため、容器本体108の製造工程において、容器本体108に予め破断用溝132を設け、従来通り、容器本体108にメッキを施せばこの問題が解消する。
従って、破断用溝入れ工程は、容器本体108の製造工程の中で行われることが望ましい。すなわち、蓄電池の製造に用いる部材として、予め破断用溝132を設けた蓄電池製造用の容器本体108を供給するだけで、従来の蓄電池100の製造設備を用いて、予め破断用溝132を設けた蓄電池製造用の容器本体108に電極体103を挿入し、注液し、封口できるので、破断用溝132を設けた蓄電池100を簡単に製造することができる。
【0170】
図24は、このような予め破断用溝132を設けた、円筒形状の蓄電池100を製造する際に用いる部材である、蓄電池製造用の容器本体108の正面図であって、
図24(a)は、破断用溝132が、直線状に、容器本体108の外側面に全周に渡り連続的に繋がった状態に形成された容器本体108の正面図、
図24(b)は、破断用溝132が、部分線状に、断続的に切れた状態に形成された容器本体108の正面図を示している。
【0171】
なお、円筒形状の蓄電池100を製造する際に用いる部材である、蓄電池製造用の容器本体108の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄鋼材にニッケルメッキ処理を施したものが使用可能である。
【0172】
図10は、本発明の別の実施例の封入容器分離機構30(封入容器分離工程)と、電極体取り出し機構40(電極体取り出し工程)の構成について説明する概略図である。
この実施例の封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40は、
図5および
図6に示した封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0173】
この実施例では、予め、破断用溝入れ工程において、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面に、容器本体108の長手方向の略中央部分に破断用溝132を形成している。また、予め、封入容器破断工程において、封入容器101に外力として引っ張り荷重を加えて、封入容器101を材料強度の最も弱い破断用溝132より破断し、開封している。
【0174】
そして、
図10(a)に示したように、封入容器分離機構30では、破断され分離した容器本体108の蓋側108Aと底側108Bをそれぞれ、把持具22、26によって把持して、互いに離反する方向(
図10(a)の矢印の方向)に移動させる。これにより、破断された容器本体108A、108Bを互いに離反する方向に移動させて、電極体103を露出させている。
【0175】
この際、
図10(a)に示したように、電極体取り出し機構40の一部を構成する電極体103の把持手段として、露出した電極体103を上下方向から挟持する上下一対の把持具42が設けられており、露出した電極体103とは離間した位置にある。
【0176】
そして、この状態から、
図10(b)の矢印で示したように、電極体取り出し機構40の一部を構成する、上下一対の把持具42の間隔を狭めるように移動させて、露出した電極体103の外表面を挟持した状態とする。
【0177】
次いで、
図10(c)に示したように、このように露出した電極体103を、上下一対の把持具42で挟持した状態で、しかも、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bをそれぞれ、把持具22、26によって把持した状態で、
図10(c)の矢印で示したように、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bを相互に離反するように移動させる。
【0178】
これにより、
図10(c)に示したように、封入容器101内に折り曲げられて収納された集電タブ(正極タブ114と負極タブ110)を引張ることにより破断させることができる。すなわち、正極タブ114は、蓋部材112から、負極タブ110は、容器本体108の缶底からそれぞれ溶接などの接合部から外れた状態となる。
【0179】
そして、
図10(d)の矢印で示したように、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bを相互に離反するようにさらに移動させる。これにより、
図10(d)に示したように、封入容器101の内部に電極体103が封入された蓄電池100は、破断用溝132を境にして、容器本体108の蓋側108Aと底側108Bとに分離された封入容器101と、内部の電極体103とに分離されることとなる。
【0180】
なお、集電タブを切断具などでカットせずに、電極体103を取り出すことができる。また、把持具42は、電極体103と負極タブ110の双方を把持している。
なお、この実施例では、把持具42として、上下一対の把持具42で挟持するような把持具42を用いたが、把持具42としては、特に限定されるものではない。
【0181】
例えば、把持具42は露出した電極体の外側面を、この実施例のように上下方向から挟持する構成のものの他、左右方向から挟持するものであってもよい。
さらに、特に、円筒形状の蓄電池100においては、負極タブ110が最外周に配置されているので、把持具42は、電極体103の外径に合うような形状を有し、電極体103の全外周面を把持することで、電極体103と負極タブ110の双方を把持することが好ましい。
【0182】
このようにすることで、負極タブ110は、把持具42により把持されているため、電極体103と負極タブ110を溶接などにより接合した接合部には、せん断荷重がかからない。
【0183】
このため、電極体103と、容器本体108の底側108Bとを離反するように移動することで、負極タブ110に引張り荷重を加えれば、負極タブ110は、電極体103からではなく、容器本体108の缶底から確実に外すことが可能である。従って、負極タブ110をカットするような、切断具や作業が不要となる。
【0184】
また、円筒形状の蓄電池100の正極タブ114は、電極体103の中心付近に配置されているので、電極体103の外周を把持具42により把持しても、正極タブ114は把持できない。
【0185】
しかしながら、正極タブ114の溶接などによる接合強度は、電極体103の接合強度と蓋部材112との接合強度と比べた場合、電極体103との接合強度の方が、圧倒的に強くなるような構造を有している。
【0186】
このため、電極体103と容器本体108の蓋側108Aを離反する方向に移動させることにより、正極タブ114に引張り荷重を加えた場合、正極タブ114も、電極体103からではなく、蓋側108Aから外すことが可能である。
【0187】
なお、正極タブ114と蓋部材112との接合は、過電流が発生した際、正極タブ114と蓋部材112とが外れるように、一点接合になっているのに対し、正極タブ114は、電極体103の正極箔と数点、あるいは線や面で接合されている。
【0188】
ところで、電極体103からレアメタルを取り出すようなリサイクルを目的とする場合、電極体103に集電タブが付いているかどうかは問題にはならない。しかしながら、強制内部短絡試験においては、取り出した満充電された電極体103を電圧測定する必要がある。
【0189】
集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)が電極体103に付いた状態であれば、集電タブにクリップなどを用いて電圧計に接続するだけ、電極体103の電圧測定が容易に行うことができる。この実施例のように、集電タブが電極体103に付いた状態で、封入容器101から電極体103を取り出すことができれば、電極体103の電圧測定も容易に行うことができる。
【0190】
図11および
図12は、本発明の別の実施例の封入容器分離機構30(封入容器分離工程)と、電極体取り出し機構40(電極体取り出し工程)の構成について説明する概略図である。
【0191】
この実施例の封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40は、
図10に示した封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0192】
この実施例では、
図10の実施例の封入容器分離機構30と同様に、予め、破断用溝入れ工程において、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面に、容器本体108の長手方向の略中央部分に破断用溝132を形成している。また、予め、封入容器破断工程において、封入容器101に外力として引っ張り荷重を加えて、封入容器101を材料強度の最も弱い破断用溝132より破断し、開封している。
【0193】
そして、
図11(a)の矢印で示したように、封入容器分離機構30では、把持具22、26を離反する方向に動かすことにより、破断用溝132を境に破断分離した容器本体108の蓋側108Aと底側108Bの距離を離して、電極体103を露出させる。
【0194】
次に、
図11(b)の矢印で示したように、封入容器分離機構30を用いて、把持具26側を固定して、把持具22を把持具26から離反するように移動させる。
これにより、容器本体108の蓋側108Aを電極体103に対して離反するように移動させることにより、正極タブ114に引張り荷重をかけて、正極タブ114を蓋側108Aから引張り破断させる。
【0195】
さらに、
図11(c)の矢印で示したように、さらに把持具22を移動して、容器本体108の蓋側108Aに収納されていた電極体103を完全に露出させる。
次に、
図12(a)の矢印で示したように、電極体取り出し機構40の把持具42を用いて、露出した電極体103を把持する。この場合、把持具42は、図示しないが、電極体103と負極タブ110の双方を把持している。
【0196】
この状態で、
図12(b)の矢印で示したように、把持具42を移動させて、電極体103を蓋側108Bから離反する方向に移動させることによって、負極タブ110に引張り荷重を加えて、負極タブを底側100Bから引張り破断させる。
【0197】
さらに、
図12(c)に示したように、さらに把持具42を矢印方向に移動させることによって、電極体103を容器本体108の底側108Bから取り出すことができる。
以下に、本発明の別の蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置について、
図13〜
図18の実施例について説明する。
【0198】
この実施例では、
図13(a)に示した四角柱形状を有する蓄電池100が分解対象である。
このような蓄電池100は、
図2に示した円筒形状のものと基本的には同じ部材から構成されているが、円筒形状の蓄電池とは、
図13に示したように、形状が四角柱状であるために電極体103が扁平形状である点、負極タブ110の接続箇所が蓋部材112側である点、封入容器101にネッキング溝130がない点が相違する。なお、四角柱形状の蓄電池100は、容器本体108は、アルミ材である。
【0199】
また、この実施例の対象である四角柱形状の蓄電池100は、
図13(b)に示したように、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)は、封入容器101とは、蓋部材112に溶接などにより接合されている。
【0200】
また、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)は、電極体103と集電箔に溶接などにより接合されている。そして、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)は、電極体103の中央部に配置されている。
【0201】
なお、
図13についても、説明の便宜上、主たる部材のみを図示している。
さらに、この実施例における蓄電池100についても、蓋部材112の在る側を、『蓋側』、蓋部材112とは逆の封入容器101の底の側を、『底側』と言う。
【0202】
このような四角柱形状の蓄電池100では、
図14(a)に示したように、破断用溝入れ工程において、破断用溝入れ機構10により、容器本体108の底部側の外側面を固定具12で固定する。
【0203】
この状態で、容器本体108の蓋側の外側面に、加工機14の刃物16を当接させて回転させ、封入容器101の容器本体108外側面に沿うように移動させ、破断用溝132を形成した。
【0204】
次いで、この破断用溝132が形成された蓄電池100は、
図14(b)に示したように、破断用溝入れ機構10の固定具12で、
図14(a)とは逆に、容器本体108の蓋側が固定される。
【0205】
この状態で、
図14(b)に示したように、容器本体108の底側の外側面に、把持用溝入れ機構として、加工機14の刃物16を当接させて回転させ、封入容器101の容器本体108外側面に沿うように移動させることにより、
図14(c)に示したように、封入容器101の容器本体108の底側の外側面に、破断用溝132と平行に把持用溝134を形成した。
【0206】
なお、把持用溝134は、後述するように、封入容器破断機構20において、把持具26の係止片28を引っ掛けるためのものである。
この場合、用いられる加工機14としては、特に限定されるものではないが、加工機14にフライス盤を用い、固定具12には、バイスを用意し、刃物16には、メタルソーを用いて、破断用溝132と把持用溝134を形成している。
【0207】
また、破断用溝132を容器本体108の外側面に設ける位置は、特に限定されないが、破断用溝入れ工程において、破断用溝132を設ける位置が、後述する封入容器分離工程によって封入容器101から露出した電極体103を、封入容器分離工程において把持できる位置に設けるのが望ましい。
【0208】
すなわち、この実施例にように四角柱形状の蓄電池100では、
図14、
図15に示したように、蓄電池100の長さの中央を境にして、容器本体108の蓋側寄りに設けるのが望ましい。
【0209】
また、この実施例のような四角柱形状の蓄電池100は、通常、
図2に示した円筒形状の蓄電池100のように、ネッキング溝130が設けられておらず、容器本体108の外側面がフラットな面であるため、封入容器101を一方側と他方側に引張る際に引張り難い。このため、把持用の把持用溝134を破断用溝132とともに形成することが好ましい。
【0210】
なお、この把持用溝134は、あくまで把持具26を引っ掛ける箇所であって破断させるための溝ではないため、破断用溝132よりも溝の深さを浅くなどして、破断用溝132より強度があれば良い。
【0211】
なお、ここで破断用溝入れ機構10と把持用溝入れ機構とは、同一のものであって、一つの構成で両機構として使用しても良い。
また、破断用溝132、把持用溝134の溝の長さは、
図15(a)に示したように、封入容器101の容器本体108の外側面に全周に渡り連続的に繋がっていても、
図15(b)に示したように、断続的に切れていても構わない。
【0212】
しかしながら、これら破断用溝132と把持用溝134は、特にこれらの形態に限定されるものではなく、把持用溝134に把持具26の係止片28を引っ掛けることができて、破断用溝132を境に一方側と他方側に封入容器101を破断させることができれば、どのような形態であっても良い。
【0213】
なお、この実施例のような四角柱形状の蓄電池100の場合には、破断用溝132については、最低限、強度が強くなり易いコーナー部分に形成することで、確実に破断を生じさせるようにすることができる。
【0214】
次に、このように破断用溝入れ工程において、破断用溝132と把持用溝134とが容器本体108の外側面に形成された蓄電池100は、
図16に示したような、封入容器破断機構20(封入容器破断工程)、封入容器分離機構30(封入容器分離工程)に送られる。
【0215】
封入容器破断機構20、封入容器分離機構30では、
図16(a)に示したように、容器本体108の蓋側に形成された破断用溝132に把持具22の係止片24を引っ掛けて把持する。
【0216】
一方、容器本体108の底側に形成された把持用溝134にも把持具26の係止片28を引っ掛けて把持する。
この状態で、封入容器101に外力、この実施例の場合には、引っ張り荷重を加えて、封入容器101を材料強度の最も弱い破断用溝132より破断し、開封する。
【0217】
すなわち、
図16(a)に示したように、把持用溝134に係止片28を引っ掛けた容器本体108の底側の把持具26を固定し、破断用溝132に係止片24を引っ掛けた把持具22を、把持具26に対して離反する方向(
図16(a)の矢印Dの方向)に移動させる。
【0218】
これにより、
図16(b)に示したように、封入容器101の破断用溝132を境にして、蓋側108Aと底側108Bとに、封入容器101が破断されて、電極体103の一部が露出されることとなる。
【0219】
この際、蓋部材112と接合された電極体103の正極タブ114は、封入容器101の破断によって、蓋部材112の近傍で切断されることとなるが、負極タブ110については、
図16(b)に示したように蓋部材112に接続されたままとなる場合がある。
【0220】
この場合には、
図16(c)に示したように、絶縁性を有する切断具(例えば、セラミックス製のはさみ)52で、負極タブ110を切断することが好ましい。
なお、この場合にも、
図1〜
図6に示した円筒形状の蓄電池100の実施例と同様に、
図8(a)に示したように、外力が引張り荷重である場合、
図8(b)、
図8(c)に示したように、外力が圧縮荷重である場合、
図9(a)に示したように、外力がねじり荷重である場合、
図9(b)に示したように、曲げ荷重である場合と同様に、外力は、単独である場合でも、これらの少なくとも2つ以上の外力を組み合わせても、例えば、封入容器101をねじりながら引っ張っても、同様に封入容器101を破断用溝32より破断することができる。
【0221】
次に、このように封入容器破断工程、封入容器分離工程において、電極体103が露出された蓄電池100は、
図17に示したような、電極体取り出し機構40(電極体取り出し工程)に送られる。
【0222】
電極体取り出し機構40では、
図17(a)に示したように、電極体103の露出された部分が把持具42で把持されることとなる。
次いで、
図17(b)に示したように、この状態でこの把持具42を封入容器101に対して、離反する方向(矢印Eの方向)に移動させることによって、電極体103が封入容器101から完全に外れることとなる。
【0223】
これにより、
図18に示したように、封入容器101の内部に電極体103が封入されていた四角柱形状の蓄電池100は、破断用溝132を境にして底側108Bと蓋側108Aとに分離された封入容器101と、内部の電極体103とに分離されることとなる。
【0224】
なお、封入容器101を把持し易くするための把持用溝134を設ける場合、上記と同様に、封入容器101内に電極体103が封入された蓄電池100に対して、把持用溝134を設けても良いが、封口後に蓄電池100に把持用溝134を設けると、容器本体108に表面処理としてメッキが施されている場合、メッキが剥がれてしまい、数年という長い期間で蓄電池100として使用する際には、把持用溝134が腐食し、腐食部から電解液が液漏れてしまうおそれがある。
【0225】
このため、容器本体108の製造工程において、容器108に予め把持用溝134を設け、従来通り、容器本体108にメッキを施すのが望ましい。
図25は、このような予め破断用溝132と把持用溝134を設けた、四角柱形状の蓄電池を製造する際に用いる部材である、蓄電池製造用の容器本体108の正面図であって、
図25(a)は、破断用溝132と把持用溝134が、直線状に、容器本体108の外側面に全周に渡り連続的に繋がった状態に形成された容器本体108の正面図、
図25(b)は、破断用溝132と把持用溝134が、部分線状に、断続的に切れた状態に形成された容器本体108の正面図を示している。
【0226】
なお、四角柱形状の蓄電池100を製造する際に用いる部材である、蓄電池製造用の容器本体108の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミ材が使用可能である。
【0227】
蓄電池100の形状に関わらず、蓄電池製造用の容器本体108の材質として、例えば、アルミ材を用いれば、錆止めとしてのメッキ処理は不要となり、破断用溝132を設けても、メッキが剥がれることによる腐食の問題は起きない。しかしながら、破断用溝132を最も安価に容易に設ける観点からも、破断用溝入れ工程は、容器本体108の製造工程の中で行われることが望ましい。
【0228】
さらに、例えば、大学や研究機関などにおいて、旋盤などの破断用溝入れ機構10(破断用溝入れ工程)を有していない場所においても、蓄電池100を製造するための部材として、予め破断用溝132を設けた蓄電池製造用の容器本体108を供給するだけで、従来の製造設備を用いて、予め破断用溝132を設けた蓄電池100を簡単に製造することが可能となる。
【0229】
図19〜
図21は、本発明の別の実施例の封入容器分離機構30(封入容器分離工程)と、電極体取り出し機構40(電極体取り出し工程)の構成について説明する概略図である。
【0230】
この実施例の封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40は、
図16および
図17に示した封入容器分離機構30、電極体取り出し機構40と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0231】
この実施例では、四角柱形状の蓄電池100を対象としており、予め、破断用溝入れ工程において、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面に、容器本体108の長手方向の略中央部分に破断用溝132を形成している。
【0232】
また、予め、封入容器破断工程において、封入容器101に外力として引張り荷重を加えて、封入容器101を材料強度の最も弱い破断用溝132より破断し、開封している。
そして、
図19(a)の矢印で示したように、封入容器分離機構30では、破断され分離した容器本体108の蓋側108Aを把持具22で把持するとともに、底側108Bを把持具26で把持している。
【0233】
そして、この状態で、把持具22と把持具26を、互いに離反する方向(
図19(a)の矢印の方向)に移動させる。これにより、破断された容器本体108A、108Bを互いに離反する方向に移動させて、電極体103を露出させている。
【0234】
さらに、
図19(b)の矢印で示したように、把持具26側を固定して、把持具22を把持具26に対して離反する方向に移動させることによって、把持具26に把持された電極体103と、把持具22によって把持された容器本体108の蓋側108Aが離反する方向に移動する。
【0235】
これにより、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)には、引張り荷重がかかり、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)が、蓋部材112から外れる。
さらに、
図19(b)の矢印で示したように、さらに把持具22を、把持具26に対して離反する方向に移動させる。これにより、
図19(c)に示したように、把持具26に把持された電極体103に対して、把持具22に把持された容器本体108の蓋側108Aを離反する方向に移動させて、容器本体108の蓋側108Aに収納されていた電極体103を完全に露出させる。
【0236】
そして、この状態から、
図20(a)に示したように、電極体取り出し機構40の一部を構成する電極体103の把持手段として、露出した電極体103を上下方向から挟持する上下一対の把持具42を用いて、電極体103の外側面を把持した状態とする。
【0237】
次いで、
図20(b)に示したように、把持具42を把持具26に対して離反する方向に移動させることで、把持具42に把持された電極体103を、把持具26に把持された容器本体108の底側108Bに対して、離反する方向に移動させる。これにより、電極体103を、把持具26に把持された容器本体108の底側108Bから取り出すことができる。
【0238】
ところで、
図21(a)に示したように、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)は、引張り荷重を加えた場合、負極タブ110だけが、電極体103との接合部(負極箔と負極タブの接合部)から外れてしまい、電極体103から負極タブ110が外れてしまう場合がある。なお、この現象は、蓄電池製造業者による製造工程などの違いにより発生するが、ごく稀なケースである。
【0239】
電圧測定をする際には、取り出された電極体103には、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)が共に付いていることが好ましい。しかしながら、円筒形状の蓄電池100とは異なり、この実施例の対象とする四角柱形状の蓄電池100は、把持具42により電極体103の外側面を把持しても、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)を一緒に把持することができない。
【0240】
このため、
図21(b)に示したように、負極タブ110を、セラミックスなどの絶縁性をもつ切断具52で、負極タブ110が電極体103から抜けてしまう前に、カットするのが望ましい。
【0241】
図21(c)に示したように、負極タブ110のみは、電極体との接合部からは外れているが、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)は長いので、負極タブ110は、電極体103にしっかりと触れている。
【0242】
このため、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)に、電圧計を接続して、電極体103の電圧を測定したところ、分解の前と後で、電圧降下がないので、このような集電タブが接合部から外れた電極体に対しても、強制内部短絡試験のような規格試験に用いることができる。このように、作業工程が増えるが、切断具52などを用いて集電タブをカットしても良い。
【0243】
図22は、本発明の別の実施例の蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置の実施例の構成について説明する概略図である。
この実施例の蓄電池の分解方法およびそのための蓄電池の分解装置は、
図16〜21に示した実施例と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0244】
この実施例では、四角柱形状の蓄電池100を対象としており、予め、破断用溝入れ工程において、蓄電池100の封入容器101の容器本体108の外側面に、第1の破断用溝132Aと、第2の破断用溝132Bの複数本の破断用溝132設けている。
【0245】
この場合、第1の破断用溝132Aは、電極体が露出しない程の極端に蓋寄りに設けており、第2の破断用溝132Bは、電極体が露出するような位置に設けている。
この第1の破断用溝132Aは、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)をカットするための破断用溝であり、上記した実施例と同様にして、
図22(a)に示したように、封入容器破断工程、封入容器分離工程で、この第1の破断用溝132Aを境に、封入容器101(容器本体108)を破断し、開封させている。これにより、容器本体108の蓋側108Aを、電極体103を収容した容器本体108の底側108Bから離反させる。
【0246】
そして、
図22(b)に示したように、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)を、セラミックスなどの絶縁性をもつ切断具52で、カットする。この場合、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)には、引張り荷重がかからないので、電極体103から外れてしまうことがない。
【0247】
次いで、上記した実施例と同様にして、
図22(c)に示したように、封入容器破断工程、封入容器分離工程、電極体取り出し工程を実施して、第2の破断用溝132Bより容器本体108を破断させて分離して、容器本体108より電極体103を露出させた後、上記の実施例と同様に、容器本体108から電極体103を取り出すようになっている。
【実施例1】
【0248】
分解対象として、電圧3.8Vに充電された円筒形状のリチウムイオン電池100(直径φ18mm、長さ65mm,)を用意した。容器本体108は鉄鋼材にニッケルメッキが施され、肉厚は0.2mmである。
【0249】
このリチウムイオン電池の外側面に、
図3に示された破断用溝入れ機構10を用いて幅1mm,深さ0.1mmの直線状の破断用溝132を大気中で形成した。なお、破断用溝132の形成位置は、容器底から6mmとした。
図4(a)に破断用溝132が形成された円筒形状の蓄電池100を示す。
【0250】
破断用溝132が形成された封入容器101は、手で引張ったり、落下させたりしても、破断せず、十分な強度が保たれていることを確認した。蓄電池100をハンドリングする際、軽い衝撃や荷重などで、封入容器101が開封してしまえば、誤って大気中で開封しておそれがある。このため、破断用溝132は十分な強度が保たれていることが好ましい。
【0251】
なお、破断用溝132の幅や深さや溝形状は、便宜変更可能である。例えば、破断用溝132の幅を大きくして、次の工程で用いる把持具22、26の係止片24、28を破断用溝132に嵌めて把持しても良い。
【0252】
円筒形状のリチウムイオン二次電池100は、容器本体108より電極体103を取り出す際、蓋側108Aと底側108Bを比較した場合、底側108Bの方が遥かに取り出しにくい。これは、電極体103の外径は、下側(容器底側)が大きく、負極のタブ110の厚み0.1mm程度だけ径が大きいことや、また、タブの溶接強度は負極側の方が強いことなどが挙げられる。このため、破断用溝132の形成位置は、容器本体108の底寄りに入れることが好ましい。
【0253】
破断用溝入れ工程は、容器本体108を切断して開封しないので、大気中で行うことができる。このため、設備の大きさに制限がない。大量に行う場合などは、専用機が好ましいが、今回は旋盤を使用した。封入容器のみに付着した切粉はエアーブローなどをして、除去すれば良い。
【0254】
また、充電した蓄電池100を用いたが、誤って溝を深く入れ過ぎてしまうと、刃物16や切粉により電極体103を短絡させてしまい、発熱や発火のおそれがある。作業の安全性を考慮すれば、放電した蓄電池100に破断用溝132を形成した後に、充電すれば良い。
【0255】
次いで、不活性ガス雰囲気の作業室2(グローブボックス)にて、
図5(a)に示された封入容器破断機構20で、容器本体108を、破断用溝132を境にして、把持具22、26でそれぞれ把持した。
【0256】
なお、把持具22は、封入容器101のネッキング溝130に係止片24を嵌めて把持するようにし、把持具26は、破断用溝132に係止片28を嵌めて把持するようにした。
【0257】
次いで、把持具26を固定し、把持具22を、把持具26に対して離反する方向(矢印Aの方向)に移動させた。把持具22は送りネジ(不図示)と連結されて、ハンドル(不図示)を操作することにより移動する。
【0258】
これにより容器本体108は、
図5(b)に示したように、破断用溝132から、送りネジの力で引張り破断して開封され、蓋側108Aと底側108Bとに分離する。
さらに把持具22を、把持具26に対して離反する方向(
図5(b)の矢印の方向)に移動させ、これにより、把持具22に把持された蓋側108Aに対して、把持具26に把持された底側108Bを、離反する方向(
図5(b)の矢印の方向)に移動させた。
【0259】
そして、
図5(b)に示したたように、正極タブ114に、引張り荷重を発生させて、正極タブ114を蓋側108Aから外した。
さらに、
図5(c)に示したように、把持具22を
図5(b)の矢印の方向に移動させて、電極体103を蓋側108Aから露出させる。
【0260】
この場合、破断用溝132を容器本体108の底寄りに設けることにより、電極体103の大半を露出させ、電極体103を取り出し易い状態になっている。
次いで、
図6(a)に示された電極体取り出し機構40の把持具42により、露出した電極体103の外周を把持することで、負極タブ110も把持する。この状態で、把持具42に連結されたレバー(不図示)を操作することにより、把持具42を把持具26に対して離反する方向(
図6の矢印C方向)に移動させる。
【0261】
これにより、把持具42に把持された電極体103を、把持具26に把持された容器本体108の底側108Bに対して、離反する方向に移動させる。
これにより、
図6(b)に示したように、負極タブ110には引張り荷重が加わり、負極タブ110は、容器本体108の底側108Bから外れる。
【0262】
把持具42は、負極タブ110も把持しているので、確実に負極タブ110を底側108Bから外すことができる。さらに、
図6(b)に示したように、把持具42をさらに移動させて、電極体103を容器本体108の底側108Bより取り出した。
【0263】
分解して取り出した電極体103の正極タブ114と負極タブ110に、電圧計を接続し、電圧を測定したところ、分解前と電圧変化を生ずることがないことが確認された。
また、破断された封入容器101には、切粉は確認されなかった。さらに、封入容器101から取り出された電極体103には、損傷もなく、作業性の悪いグローブボックス内において、安全に簡単に分解ができることが確認された。
【実施例2】
【0264】
分解対象として、電圧3.8Vに充電された四角柱形状のリチウムイオン電池100(長辺幅34mm,短辺幅10mm,長さ50mm)を用意した。容器本体108はアルミ材で肉厚0.5mmである。
【0265】
このリチウムイオン電池の外側面に、
図14に示された破断用(把持用)溝入れ機構10を用いて、容器本体108の蓋部材112の端面より10mmの位置に、幅1mm,深さ0.35mmの直線状の破断用溝132を全周に渡り形成した。
【0266】
さらに、幅1mm,深さ0.35mmで、コーナー部分以外の箇所に把持用溝134を形成した。
なお、把持用溝134の形成位置は、容器底の端面から10mmとした。以上の様にして、四角柱形状の蓄電池100に、
図15(a)に示したように、破断用溝132と把持用溝134を形成した。
【0267】
これらの破断用溝132と把持用溝134を形成を大量に行う場合などは、専用機を用いるのが好ましいが、今回はフライス盤を使用している。容器本体108のみに付着した切粉はエアーブローなどをして、除去すれば良い。
【0268】
次いで、不活性ガス雰囲気の作業室2(グローブボックス)にて、
図16(a)に示した封入容器破断機構20で、まず封入容器101の蓋側の破断用溝132に、把持具22の係止片24を掛けて把持した。
【0269】
さらに、封入容器101の容器底側の把持用溝134に、把持具26の係止片28をかけて把持した。
次いで、容器本体108の底側108Bの把持具26を固定し、
図16(b)に示したように、容器本体108の蓋側108Aの把持具22を、把持具26に対して離反する方向(
図16(a)の矢印Dの方向)に移動させた。把持具22は送りネジ(不図示)と連結されて、ハンドル(不図示)を操作することにより移動する。
【0270】
これにより、容器本体108は、破断用溝132より、ネジの力で破断開封して、蓋側108Aと底側108Bに分離される。
さらに、
図16(b)に示したように、把持具22をさらに移動して、集電タブ(正極タブ114、負極タブ110)に引張り荷重を加えて、正極タブ114は蓋部材112の接合部から、負極タブ110は電極体の接合部から外れた状態で、電極体103を蓋側108Aより露出させた。
【0271】
次に、
図16(c)に示したように、セラミックスなどの絶縁性を有する切断具52を用いて、負極タブ110を切断しカットした。
次に、
図17に示したように、電極体取り出し機構40を用いて、露出された電極体103の外側面を把持具42で把持し、把持具42を把持具26に対して離反する方向に移動させて、容器本体108の底側108Bから電極体103を取り出した。
【0272】
分解して取り出した電極体103の正極タブ114と負極タブ110に、電圧計を接続し、電圧を測定したところ、分解前と電圧変化を生ずることがないことが確認された。
また、破断された容器本体108には、切粉などは確認されなかった。
【0273】
さらに、封入容器101から取り出された電極体103には、損傷もなく、作業性の悪いグローブボックス内において、安全に簡単に分解ができることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0274】
例えば、蓄電池の分解装置1において、分解対象となる蓄電池100は、上記した円筒形状のもの、四角柱形状のものに限らず、いかなる形態であっても良い。また、分解対象となる蓄電池100のサイズについても、例えば、携帯電話に用いられる小さなものから、自動車に用いられる大型のものまで対応可能である。
【0275】
また、把持手段を移動手段で移動させる際においても、単に左右方向に移動させるだけでなく、捻りながらであっても、振動を加えながらであっても良い。
さらに、破断用溝132についても蓄電池の両端面に対して略平行に設ける以外に、蓄電池100の両端面に対して斜めに設けたりしても良い。
【0276】
また、蓄電池の分解装置1において蓄電池100を把持する方法についても、上記したものに限定されるものではなく、公知の把持手段を用いることも当然可能である。
このように本発明における蓄電池の分解装置および蓄電池分解方法は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。