(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック部は、前記保護カバーに係合することにより、前記保護カバーを開状態不可に維持し、当該保護カバーに係合する部分が、前記スイッチ部と接触/非接触となる、請求項1に記載の安全装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1及び
図2は、本発明の実施の形態1に係る安全装置の構成を示す斜視図である。基板10には、発熱体2が設けられている。ここで、発熱体2とは、それ自体が発熱する発熱体を示す他、当該発熱体に設けられるヒートシンクも含む。本発明に係る安全装置100は、高温状態の発熱体2にユーザが触れることを回避するための装置である。
図1に示すように、安全装置100は、保護カバー1、ロック部5、及びスイッチ部7を備えている。
【0013】
保護カバー1は、内部に空間を有し、この空間に発熱体2を収容する。保護カバー1は、発熱体2を収容した状態において、発熱体2の上面及び側面を覆うように構成されている。保護カバー1は、基板10に対しX方向にスライド移動することで、開状態又は閉状態となる。保護カバー1は、閉状態において、発熱体2の上面及び側面を覆い、開状態において、X方向にスライド移動することで、発熱体2を露出させる。ユーザが発熱体2のメインテナンス作業等を行う場合には、保護カバー1を基板10に対してX方向にスライド移動させることにより、発熱体2を露出させ、発熱体2に触れることができる。なお、保護カバー1の形態は、必ずしも発熱体2の全面を覆う必要はなく、
図1に示すように、ユーザが誤って接触しやすい部分のみを覆うように構成することができる。
【0014】
保護カバー1の上面には、係合孔1aが設けられている。係合孔1aは、保護カバー1のスライド方向Xと直交する方向Yに延びるように形成されている。係合孔1aには、後述するように、ロック部5の係止片5aが係合する。なお、係合孔1aを設ける位置は、上面に限られず、保護カバー1の側面等に設けてもよい。
【0015】
ロック部5は、少なくとも一部が、発熱体2に接触するように配置されている。ロック部5は、保護カバー1の係合孔1aに係合する係止片5aと、発熱体2の温度に応じて、形状が変化する形状記憶金属5bを有している。形状記憶金属5bは、発熱体2の熱が直接伝導するように配置されている。形状記憶金属5bは、発熱体2の温度に応じて形状が変化する。なお、形状記憶金属5bは、発熱体2の熱が伝導する位置であれば、発熱体2に直接接触していなくても、隙間を介して発熱体2に対向するように配置してもよい。
【0016】
形状記憶金属5bは、一枚の板状の金属により構成されている。形状記憶金属5bは、
図1に示すように、常温において、直線的な板形状を有し、
図2に示すように、高温において、中央が保護カバー1側に突出するように撓む。換言すれば、形状記憶金属5bは、
図1に示すように、常温において、発熱体2の表面に沿うように発熱体2の上面と接し、
図2に示すように、高温において、発熱体2から中央部が離隔するように湾曲する。
【0017】
係止片5aは、形状記憶金属5bの板状の金属の中央に固定されている。係止片5aは、形状記憶金属5bの形状変化に応じて、上端の位置が上下する。すなわち、常温において、係止片5aの上端は、係合孔1aの下方に位置するが(
図1)、高温になると、保護カバー1に設けられた係合孔1aから外側に突出する(
図2)。このように、係止片5aが、常温においいて係合孔1aの下方に位置している状態では、保護カバー1は開状態可能となり(
図1)、係止片5aが、高温において係合孔1aに係合している状態では、保護カバー1は開状態不可となる(
図2)。
【0018】
このように、ロック部5は、形状記憶金属5bの変形によって、高温下で、保護カバー1を開状態不可に維持し、常温下(ユーザが発熱体2に触れても火傷等を負う危険がない温度)で、保護カバー1を開状態可能とする。
【0019】
また、ロック部5は、形状記憶金属5bの温度変化による形状変化に応じて、後述するスイッチ部7と接触/非接触するよう構成されている。スイッチ部7は、
図1に示すように、保護カバー1の係合孔1aの上方に設けられている。
図1に示すように、係止片5aの上端は、常温において、係合孔1aの下方に位置するため、スイッチ部7と非接触となる。一方、
図2に示すように、高温において、係止片5aの上端は、係合孔1aから突出するため、スイッチ部7と接触する。スイッチ部7は、後述するように、ロック部5と接触/非接触であるかに応じて、表示部8の表示状態を切り替える。
【0020】
表示部8は、ユーザが保護カバー1を開状態とすることができるか否かを表示する機能を有している。表示部8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)により構成することができる。表示部8をLEDによって構成した場合には、LEDの点灯中を、保護カバー1を開くことができない状態(開状態不可)とし、LEDの消灯中を、保護カバー1を開くことができる状態(開状態可能)として構成することができる。なお、表示部8は、LEDによって構成する他、液晶ディスプレイによっても構成することができる。表示部8を、液晶ディスプレイによって構成する場合には、液晶ディスプレイへの電源供給をスイッチ部7によって切り替えることにより、「開状態可能」等の文字を、表示/非表示とするよう構成することができる。また、表示部8として、パーソナルコンピュータ等のディスプレイを利用してもよい。この場合、ディスプレイに供給される電気信号を、スイッチ部7によって切り替えればよい。
【0021】
スイッチ部7は、表示部8の表示状態を切り替えるように構成されている。スイッチ部7は、表示部8と電池9との間に設けられ、表示部8への電流の供給/非供給を切り替えるよう構成されている。スイッチ部7は、
図1に示すように、常温において係止片5aと非接触となり、表示部8と電池9を電気的に切り離す。一方、スイッチ部7は、
図2に示すように、高温において係止片5aと接触し、表示部8と電池9を電気的に接続する。
【0022】
具体的なスイッチ部7の構成としては、表示部8に接続された第1部分と、電池9に接続された第2部分を備え、第1部分と第2部分が隙間を介して対向するように構成することができる。この隙間に、導電性の係止片5aを接触/非接触させることにより、第1部分と第2部分の導通状態が切り替わり、表示部8に供給される電力の供給/非供給を切り替えることができる。これにより、表示部8の表示状態を切り替えることができる。
【0023】
なお、
図1及び2の例では、常温時に表示部8と電池9を電気的に切り離し、高温時に表示部8と電池9を接続するように構成しているが、逆に、常温時に表示部8と電池9を電気的に接続し、高温時に表示部8と電池9を切り離すように構成してもよい。また、電池9の代わりに、表示部8を、スイッチ部7を介して電源に接続することもできる。
【0024】
次に、このように構成された安全装置の動作について説明する。
図1に示すように、発熱体2が常温のときには、発熱体2に接触している形状記憶金属5bは板形状のままとなっている。そのため、形状記憶金属5bの中央部に設けられた係止片5aの上端は、保護カバー1の係合孔1aには届かず、係止片5aは、係合孔1aに係合していない。そのため、保護カバー1は、基板10に対してスライド移動可能な開状態可能となっている。この状態において、ユーザは、保護カバー1を任意に開くことができる。一方、スイッチ部7は、係止片5aと接触していないため、電池9と表示部8とは電気的に切り離されている。そのため、表示部8は、消灯状態となり、保護カバー1が開状態可能(発熱体2が常温)であることを示す。
【0025】
次第に発熱体2の温度が上昇すると、発熱体2に接触している形状記憶金属5bは、中央部が保護カバー1側に突出するように変形する。これにより、形状記憶金属5bの中央に固定された係止片5aは、保護カバー1側に押し出され、係止片5aの上端は、保護カバー1の係合孔1aから突出するようになる。これにより、係止片5aは、係合孔5aに係合する。この結果、保護カバー1は、基板10に対してスライド移動ができなくなり、開状態不可となる。この状況では、ユーザは、保護カバー1を開くことができない。一方、スイッチ部7は、係止片5aと接触することにより、電池9から表示部8に電流が供給される。このため、表示部8は、点灯状態となり、保護カバー1が開状態不可(発熱体2が高温)であることを示す。
【0026】
このように、本実施の形態に係る安全装置100は、ロック部5の形状記憶金属5bの形状変化に応じて、高温において保護カバー1を開状態不可に維持し、常温において前記保護カバーを開状態可能とすると共に、係止片5aがスイッチ部7と接触/非接触となる。そして、スイッチ部7は、ロック部5と接触/非接触であるかに応じて、表示部8の表示状態を切り替える。これにより、ユーザは、表示部8の表示状態、具体的には、点灯状態が消灯状態かを確認することで、保護カバー1を開くことを試みなくても、容易に保護カバー1を開くことができるのか否かを事前に知ることができる。
【0027】
実施の形態2
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。
図3及び4は、本発明の実施の形態2に係る安全装置200の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、前述された構成要素と略同一の構成要素については、同一符号を付すことにより、その説明を省略する。実施の形態1では、ロック部5が、係止片5a及び形状記憶金属5bによって構成されていたが、実施の形態2では、ロック部5Aが、形状記憶金属のみから構成されている。実施の形態2では、形状記憶金属であるロック部5A自身が保護カバー1の係合孔1aに係合すると共に、スイッチ部7に接触/非接触となる。
【0028】
図3に示すように、この形状記憶金属からなるロック部5Aは、一枚の板形状を有している。ロック部5Aの一端は、発熱体2の側面に接触するように配されている。ロック部5Aの上端は、
図3に示すように、常温において、係合孔1aの下方に位置し、
図4に示すように、高温において、係合孔1aから保護カバー1の外側に突出する。また、実施の形態2では、ロック部5Aが、
図3に示すように、常温において、スイッチ部7と離隔し、
図4に示すように、高温において、スイッチ部7と接触する。このように、ロック部5Aが、スイッチ部7と接触/非接触となるのに応じて、表示部8の表示状態が切り替わる。この結果、ユーザは、表示部8の表示状態を確認し、保護カバー1を開くことができるのか否か判別することができる。
【0029】
このように、実施の形態2では、形状記憶金属からなるロック部5Aが、実施の形態1における係止片5aの機能、すなわち、スイッチ部7へ接触/非接触となる機能を兼用している。これにより、実施の形態2に係る安全装置200は、実施の形態1よりも簡易な構成で、本発明を実施することができる。
【0030】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図5及び6は、本発明の実施の形態3に係る安全装置300の構成を説明する斜視図である。
図5に示すように、実施の形態3の特徴は、ロック部5の形状記憶金属5bが、発熱体2に直接接触しておらず、熱伝導性部材6を介して発熱体2に接続されている点にある。実施の形態3に係る安全装置300では、発熱体2が高温になると、発熱体2の温度が熱伝導性部材6を介して、形状記憶金属5bに伝達される。この結果、形状記憶金属5bは、
図6に示すように、係止片5aを係合孔1a側に押し上げるように変形する。この結果、係止片5aが係合孔1aに係合し、保護カバー1を開状態不可に維持する。
【0031】
このように、実施の形態3に係る安全装置では、温度によって形状が変換する形状記憶金属5bが、熱伝導性部材6を介して発熱体2に接続されるため、熱伝導性部材6を任意の形状とすることにより、保護カバー1や発熱体2の形状等に制約を受けずに、任意の位置に、ロック部5や係合孔1aを配置することができる。
【0032】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4に係る安全装置400について説明する。
図7及び8は、本発明の実施の形態4に係る安全装置400の構成を示す斜視図である。実施の形態1乃至3に係る安全装置では、ロック部が、保護カバー1の係合孔1aに係合するよう構成されていたが、実施の形態4では、保護カバー1には係合孔1aは形成されておらず、代わりに、係合部材1Bが設けられている。
図7に示すように、係合部材1Bは、保護カバー1によって覆われていない発熱体2の側面(図面における正面)において、発熱体2と対向するように設けられている。また、係合部材1Bの一部は、所定の隙間を介して、保護カバー1と対向している。保護カバー1裏面の係合部材1Bに相当する位置には、点線で示すように、板状のロック部5Bが設けられている。ロック部5Bは、発熱体2の温度によって形状が変化する形状記憶金属である。板状のロック部5Bは、常温において、
図7のような板状となり、高温において、
図8のように、X方向の中央を中心として湾曲する。
【0033】
ロック部5Bは、
図7の常温状態においては、係合部材1Bと係合しない。このため、
図7の状態では、保護カバー1は、基板10に対してスライド移動可能(開状態可能)となっている。一方、
図8の高温状態においては、係合部材1Bは、中央が湾曲することにより、紙面正面側の端部が係合部材1Bに係合する。これにより、保護カバー1は、基板10に対して、スライド移動ができなくなる(開状態不可)。
【0034】
なお、
図7及び8には、実施の形態1乃至3における、スイッチ部7、表示部8、電池9を説明のため、省略して示している。実施の形態4において、スイッチ部は、高温時にロック部5Bと接触する係合部材1Bの部分に設けられている。そのため、発熱体2の温度変化に応じて、ロック部5Bはこのスイッチ部と接触/非接触する。このように、発熱体2の温度変化に応じて、ロック部5Bと図示しないスイッチ部とが接触/非接触することにより、図示しない表示部の表示状態が切り替わる。なお、ロック部5Bとスイッチ部の接触/非接触に応じた表示状態の切り替えについては、実施の形態1乃至3と略同一であるため、その説明を省略する。
【0035】
このように、本実施の形態4に係る安全装置400のように、保護カバー1に係合孔1aを設けなくても、保護カバー1をロック部5Bによって係止する構造を実現することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記の実施の形態1乃至4では、保護カバー1が基板10に対してスライド移動することにより開状態、閉状態となるが、保護カバー1は、高温において発熱体2を収容できれば、どのように開閉してもよい。
【0037】
また、本発明に係る実施の形態1乃至4に係る安全装置は、パーソナルコンピュータ等の種色の電子機器に搭載することができる。また、実施の形態1乃至3では、ロック部は、係合孔1aと係合する部分において、スイッチ部7と接触/非接触するが、係合孔1aと係合する部分と、スイッチ部7と接触/非接触となる部分を、それぞれロック部に設けるように構成してもよい。すなわち、ロック部の有する形状記憶金属の温度変化に応じた形状変化に応じて、ロック部の第1の部分がスイッチ部7の接触/非接触が切り替わると共に、ロック部の第2の部分が係合孔1aに係合/非係合するように構成してもよい。