特許第5700542号(P5700542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700542
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】通気部及び通気部付き建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20150326BHJP
   E06B 7/10 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   E06B7/28 K
   E06B7/10
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-77903(P2011-77903)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-211480(P2012-211480A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2013年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】竹長 宰児
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
(72)【発明者】
【氏名】川妻 洋介
(72)【発明者】
【氏名】眞田 亜由美
【審査官】 神崎 共哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−049589(JP,A)
【文献】 特開2008−031730(JP,A)
【文献】 特開2006−239221(JP,A)
【文献】 特開2005−297514(JP,A)
【文献】 特開2004−301355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向した第1枠材、第2枠材と、前記第1枠材の長さ方向一端部と前記第2枠材の長さ方向一端部に渡る第3枠材と、前記第1枠材の長さ方向他端部と前記第2枠材の長さ方向他端部に渡る第4枠材との間に通気孔を有した通気部用枠と、
前記通気孔内に設けられ、前記第1枠材と第2枠材の長手方向に移動自在である掃除用具を有し、
前記第1枠材は、本体部と、本体部の見込み方向一側に下向きに設けた一側縦板を備え、
前記第2枠材は、本体部と、本体部の見込み方向他側に上向きに設けた他側縦板を備え、
前記第1枠材の一側縦板と前記第2枠材の本体部の上面は離隔し、その間に前記通気孔の一側開口を有し、
前記第2枠材の他側縦板と前記第1枠材の本体部の下面は離隔し、その間に前記通気孔の他側開口を有し、
前記掃除用具は、本体と、該本体に設けた軟質の清掃部材を備え、
前記本体は、前記第1枠材の本体部の下面と対向した上面と、前記第1枠材の一側縦板の内面と対向した見込み方向一側面と、前記第2枠材の本体部の上面と対向した下面と、前記第2枠材の他側縦板の内面と対向した見込み方向他側面を有し、
前記本体の見込み方向一側面と見込み方向他側面に軟質の清掃部材が設けられ、前記各軟質の清掃部材が前記第1枠材の一側縦板の内面、前記第2枠材の他側縦板の内面にそれぞれ接触していることを特徴とする通気部。
【請求項2】
前記第1枠材の本体部の下面と、前記第1枠材の一側縦板の内面にガイド部を、第1枠材の長手方向に連続して有し、
前記掃除用具の本体の上面と、本体の見込方向一側面に、前記ガイド部に摺動自在に嵌まり合う摺動部を有し、
前記掃除用具の本体における前記一側開口と対向した部分と、前記他側開口と対向した部分の少なくとも一方に手掛け部を有している請求項1記載の通気部。
【請求項3】
前記第1枠材と第2枠材との間に補助枠材が設けられ、この補助枠材と第1枠材との間に第1の通気孔、補助枠材と第2枠材との間に第2の通気孔をそれぞれ有し、
前記掃除用具の本体は、前記補助枠材が挿通する補助枠材挿通孔を有すると共に、前記第1の通気孔と第2の通気孔とに亘って第1枠材、第2枠材の長手方向に移動自在に設けられ、この本体の補助枠材挿通孔の内面に補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設けた請求項1記載の通気部。
【請求項4】
前記第1枠材と第2枠材との間に補助枠材が設けられ、この補助枠材と第1枠材との間に第1の通気孔、補助枠材と第2枠材との間に第2の通気孔をそれぞれ有し、
前記掃除用具の本体は、前記第1の通気孔、第2の通気孔にそれぞれ第1枠材、第2枠材の長手方向に移動自在に設けた第1の本体と、第2の本体を備え、この第1の本体に前記第1枠材の一側縦板の内面、補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設け、前記第2の本体に前記第2枠材の他側縦板の内面、補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設けた請求項1記載の通気部。
【請求項5】
前記第1の本体と第2の本体とに亘って、その第1の本体と第2の本体の一方が移動すると他方も移動するような連動手段を設けた請求項4記載の通気部。
【請求項6】
枠体に障子を開閉自在に設けた建具であって、
前記枠体又は障子に、請求項1〜5いずれか1項に記載の通気部を設けたことを特徴とする通気部付き建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具の障子や建物の壁体、室内間仕切り等に設けられ、室内外に空気を流通して室内を換気等する通気部、及びその通気部を備えた通気部付き建具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の建物は室内が高気密化されているので、室内外に空気を流通して室内を換気することが望まれ、通気部を備えた建具が種々提案されている。
例えば、特許文献1に開示したように、障子の横框の前壁の下部と後壁の上部に開口(隙間)をそれぞれ形成することで、横框内に前後に連通した通気孔を形成し、その通気孔を通して室内外に空気が流通するようにした通気部とした通気部を備えた建具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−68275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した通気部においては、その通気孔内にゴミやホコリが付着するので、人が、開口から手を差し込んで通気孔内に付着したゴミやホコリを拭き取るようにして清掃しているが、その作業がやりづらく、大変面倒で手間がかかる。
特に、前述した従来の通気部のように前後の開口が上下にずれていると、前後両方の開口から手を挿し込んで清掃しなければならず、より手間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、通気孔内を手間をかけずに容易に清掃できるようにした通気部及び、その通気部を備えた通気部付き建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通気部は、対向した第1枠材、第2枠材と、前記第1枠材の長さ方向一端部と前記第2枠材の長さ方向一端部に渡る第3枠材と、前記第1枠材の長さ方向他端部と前記第2枠材の長さ方向他端部に渡る第4枠材との間に通気孔を有した通気部用枠と、
前記通気孔内に設けられ、前記第1枠材と第2枠材の長手方向に移動自在である掃除用具を有し、
前記第1枠材は、本体部と、本体部の見込み方向一側に下向きに設けた一側縦板を備え、
前記第2枠材は、本体部と、本体部の見込み方向他側に上向きに設けた他側縦板を備え、
前記第1枠材の一側縦板と前記第2枠材の本体部の上面は離隔し、その間に前記通気孔の一側開口を有し、
前記第2枠材の他側縦板と前記第1枠材の本体部の下面は離隔し、その間に前記通気孔の他側開口を有し、
前記掃除用具は、本体と、該本体に設けた軟質の清掃部材を備え、
前記本体は、前記第1枠材の本体部の下面と対向した上面と、前記第1枠材の一側縦板の内面と対向した見込み方向一側面と、前記第2枠材の本体部の上面と対向した下面と、前記第2枠材の他側縦板の内面と対向した見込み方向他側面を有し、
前記本体の見込み方向一側面と見込み方向他側面に軟質の清掃部材が設けられ、前記各軟質の清掃部材が前記第1枠材の一側縦板の内面、前記第2枠材の他側縦板の内面にそれぞれ接触していることを特徴とする通気部である。
【0007】
本発明の通気部においては、前記第1枠材の本体部の下面と、前記第1枠材の一側縦板の内面にガイド部を、第1枠材の長手方向に連続して有し、
前記掃除用具の本体の上面と、本体の見込方向一側面に、前記ガイド部に摺動自在に嵌まり合う摺動部を有し、
前記掃除用具の本体における前記一側開口と対向した部分と、前記他側開口と対向した部分の少なくとも一方に手掛け部を有しているものとすることができる。
このようにすれば、本体を移動することで軟質の清掃部材が通気孔の内面に摺動するので、その通気孔の内面に付着したゴミやホコリを除去して清掃できるし、通気孔の内面に傷がついたりしない。
【0008】
本発明の通気部においては、前記第1枠材と第2枠材との間に補助枠材が設けられ、この補助枠材と第1枠材との間に第1の通気孔、補助枠材と第2枠材との間に第2の通気孔をそれぞれ有し、
前記掃除用具の本体は、前記補助枠材が挿通する補助枠材挿通孔を有すると共に、前記第1の通気孔と第2の通気孔とに亘って第1枠材、第2枠材の長手方向に移動自在に設けられ、この本体の補助枠材挿通孔の内面に補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設けたものとすることができる。
このようにすれば、2つの通気孔の内面に付着したゴミやホコリを同時に除去して清掃することができる。
【0009】
本発明の通気部においては、前記第1枠材と第2枠材との間に補助枠材が設けられ、この補助枠材と第1枠材との間に第1の通気孔、補助枠材と第2枠材との間に第2の通気孔をそれぞれ有し、
前記掃除用具の本体は、前記第1の通気孔、第2の通気孔にそれぞれ第1枠材、第2枠材の長手方向に移動自在に設けた第1の本体と、第2の本体を備え、この第1の本体に前記第1枠材の一側縦板の内面、補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設け、前記第2の本体に前記第2枠材の他側縦板の内面、補助枠材に接触する軟質の清掃部材を設けたものとすることができる。
このようにすれば、第1の本体、第2の本体を移動することで第1の通気孔、第2の通気孔の内面に付着したゴミやホコリを除去して清掃することができる。
【0010】
本発明の通気部においては、前記第1の本体と第2の本体とに亘って、その第1の本体と第2の本体の一方が移動すると他方も移動するような連動手段を設けることができる。
このようにすれば、第1・第2の本体の一方のみを移動することで、第1・第2の本体が移動するので、その移動操作がやり易い。
【0011】
本発明の通気部付き建具は、枠体に障子を開閉自在に設けた建具であって、
前記枠体又は障子に、請求項1〜5いずれか1項に記載の通気部を設けたことを特徴とする通気部付き建具である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通気部によれば、掃除用具の本体を第1枠材、第2枠材の長手方向に移動することで、本体に設けた軟質の清掃部材が第1枠材の一側縦板の内面及び第2枠材の他側縦板の内面を摺動するから、掃除用具の本体を移動するだけで通気孔の内面に付着したゴミやホコリを除去できるので、通気孔内を手間をかけずに容易に清掃できる。
しかも、清掃部材は軟質であるから、通気孔の内面に傷がついたりしない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す建具の正面図である。
図2図1のA−A拡大断面図である。
図3】本体の斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態を示す建具の正面図である。
図5図4のB−B拡大横断図である。
図6】本体の斜視図である。
図7】本発明の第3の実施の形態を示す縦断面図である。
図8】本発明の第4の実施の形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、枠体1に障子2を開閉自在に設けて建具としてある。
前記枠体1は上枠10と下枠11と左右の縦枠12で方形状である。
前記障子2は2つの障子2a,2aの召合せ部を折曲自在に連結し、一方の障子2aの戸尻部を上枠10と下枠11に見込み方向(室内外側方向)に回動自在に支持し、他方の障子2aの戸先部を上枠10と下枠11に見付け方向に移動自在に支承してあり、前記建具は折りたたみ戸である。
【0015】
前記建具は折りたたみ戸に限ることはなく、開き戸、引き戸などでも良い。
【0016】
前記障子2(2つの障子2a)は、上框20と下框21と左右の縦框22を方形状に連結し、その内部にガラス、樹脂プレート等のパネル23を設けてある。
前記障子2(2つの障子2a)の下部に本発明の通気部3が設けられ、通気部付き建具としてある。
この通気部3は、通気部用枠4内に通気孔5を有し、その通気孔5は通気部用枠4の室内側(見込み方向一側)と室外側(見込み方向他側)にそれぞれ開口し、その通気孔5を通して室内外に空気が流通する。
【0017】
前記通気部用枠4は、見付け方向に離隔して対向した第1枠材、第2枠材と、前記第1・第2枠材の長手方向両端部に設けられ見付け方向に離隔して対向した第3枠材、第4枠材を備え、その第1〜第4枠材間に通気孔5を有している。
例えば、通気部用枠4は、上下方向に離隔して対向した中桟40(第1枠材)、障子2の下框21(第2枠材)と、左右方向に離隔して対向した障子2の一方の縦框22(第3枠材)、他方の縦框22(第3枠材)で方形状で、長手形状の通気孔5を有している。
【0018】
前記通気孔5に掃除用具6が、第1・第2枠材(中桟40、下框21)の長手方向に向けて移動可能に設けてある。
この掃除用具6は、図2に示すように、本体60と、その本体60の外側の面に設けた軟質の清掃部材、例えばモヘヤ61を有し、そのモヘヤ61が中桟40、下框21の通気孔5を形成する内側面、つまり通気孔5の内面に接している。
【0019】
このようであるから、通気部用枠4の見込み方向一側又は他側から掃除用具6を中桟40、下框21の長手方向に移動することで、モヘヤ61が中桟40、下框21の通気孔5を形成する内側面に沿って摺動し、その内側面に付着したゴミやホコリを除去することができるから、通気孔5内を手間をかけずに容易に清掃することができる。
【0020】
次に、各部材を詳細に説明する。
前記中桟40は、本体部41と、この本体部41の見込み方向一側(室内側)に下向きに設けた一側縦板42を備え、その本体部41の下面41aと一側縦板42の見込み方向他側面42a(つまり、通気孔5の内面)にガイド部、例えば凹部43が長手方向に連続して設けてある。
前記下框21は、本体部45と、この本体部45の見込み方向他側に上向きに設けた他側縦板46を備え、その他側縦板46の見込み方向一側面46a(つまり、通気孔5の内面)にガイド部、例えば凹部47が長手方向に連続して設けてある。
【0021】
前記中桟40の本体部41の下面41aと下框21の本体部45の上面45aは上下方向に離隔すると共に、一側縦板42と他側縦板46は見込み方向に離隔して中桟40と下框21との間に空洞50を形成している。
前記一側縦板42の下端部42bと下框21の本体部45の上面45aは上下方向に離隔し、前記空洞50を見込み方向一側に連通する一側開口51を形成している。
前記他側縦板46の上端部46bと中桟40の本体部41の下面41aは上下方向に離隔し、前記空洞50を見込み方向他側に連通する他側開口52を形成している。
そして、空洞50と一側開口51と他側開口52で通気孔5を形成している。
この通気孔5はほぼクランク形状で、一側開口51よりも他側開口52が上であるので、見込み方向一側から通気孔5に流れ込んだ水は見込み方向他側に流れに難く、浴室建具として好ましい。
【0022】
前記掃除用具6の本体60は、前記通気部用枠4内の空洞50内に設けられるブロック形状で、その本体60の上面60a、見込み方向一側面60bの上部寄り、下面60c、見込み方向他側面60dの下部寄りにモヘヤ61がそれぞれ設けてある。
前記本体60の上面60a、見込み方向一側面60bのモヘヤ61が設けられていない部分に前記ガイド部(凹部43)に摺動自在に嵌まり合う摺動部、例えば突起62が設けてある。
前記本体60の見込み方向他側面60dのモヘヤ61が設けられていない部分に前記ガイド部(凹部47)に摺動自在に嵌まり合う摺動部、例えば突起63が設けてある。
【0023】
前記各突起62,63が凹部43,47に摺動自在に嵌まり合うように本体60が空洞50内に設けられ、前記モヘヤ61が本体部41の下面41a、一側縦板42の見込み方向他側面42a、本体部45の上面45a、他側縦板46の見込み方向一側面46a(つまり、通気孔5の内面)にそれぞれ接触している。
このようであるから、本体60を通気孔5内でスムーズに移動できると共に、モヘヤ61により本体部41の下面41a、一側縦板42の見込み方向他側面42a、本体部45の上面45a、他側縦板46の見込み方向一側面46a(つまり、通気孔5の内面)に付着したゴミやホコリを確実に除去することができ、通気孔5の内面を傷つけることもない。
【0024】
前記本体60の見込み方向一側面60bの下部寄りに手掛け部64が設けられ、一側開口51から手掛け部64に手を掛けることができるようにしてある。
例えば、図3に示すように本体60の左右面60eにおける下部で見込み方向一側寄りに切欠部65をそれぞれ形成して薄肉部66を形成し、その薄肉部66を手掛け部64としてある。
このようであるから、一側開口51から手掛け部64に手を掛けることで、掃除用具6をスムーズに移動することができる。
【0025】
前記モヘヤ61は本体60の各面に設けることなく、通気孔5内に手を入れて清掃しづらい面と対向した面にのみ設けても良い。
例えば、本体60の見込み方向一側面60b、他側面60dにのみモヘヤ61を設け、一側縦板42、他側縦板46の見込み方向他側面42a、一側面46aを清掃し、本体部41の下面41a、本体部45の上面45aは人が手で清掃するようにしても良い。
前記手掛け部64は本体60の見込み方向他側面60dに設けても良いし、見込み方向一側面60bと他側面60dにそれぞれ設けても良い。
前述の軟質の清掃部材は、モヘヤに限ることはなく、ブラシ、軟質樹脂のヒレなどでも良い。
【0026】
次に、第2の実施の形態を説明する。
図4に示すように、障子2は枠体1の上枠10、下枠11の長手方向に移動自在に設けられ、引き戸としてある。
前記障子2の下部に通気部3が設けてある。この通気部3の通気部用枠4は、第1枠材(中桟40)と第2枠材(下框21)との間に補助枠材7を設け、その補助枠材7と中桟40との間、及び補助枠材7と下框21との間に通気孔5をそれぞれ形成している。
【0027】
前記中桟40と下框21は図5に示すように、前述の図2に示す中桟40、下框21と同様に本体部41,45と一側縦板42、他側縦板46を有している。
前記補助枠材7は、見込み方向一側寄りの一側縦向板71と、見込み方向他側寄りの他側縦向板72と、一側縦向板71の上部と他側縦向板72の下部を連結する斜めの連結板73でほぼクランク形状である。
【0028】
この補助枠材7は通気部用枠4の空洞50内に設けられて空洞50を上下の第1・第2空洞50a,50bに区画している。その一側縦向板71が中桟40の一側縦板42の下端部42bと下框21の本体部45の上面45aとの間に位置すると共に、他側縦向板72が中桟40の本体部41の下面41aと下框21の他側縦板46の上端部46bとの間に位置する。
前記一側縦向板71の上部と一側縦板42の下端部42bが上下方向に離隔して第1の空洞50aを見込み方向一側に連通する第1の一側開口51aを形成し、一側縦向板71の下部と下框21の本体部45の上面45aが上下方向に離隔して第2の空洞50bを見込み方向一側に開口する第2の一側開口51bを形成する。
前記他側縦向板72の上部と中桟40の本体部41の下面41aが上下方向に離隔して第1の空洞50aを見込み方向他側に連通する第1の他側開口52aを形成し、他側縦向板72の下部と他側縦板46の上端部46bが上下方向に離隔して第2の空洞50bを見込み方方向他側に連通する第2の他側開口52bを形成している。
【0029】
前記第1の空洞50aと第1の一側開口51aと第1の他側開口52aで第1の通気孔5aを形成する。
前記第2の空洞50bと第2の一側開口51bと第2の他側開口52bで第2の通気孔5bを形成する。
この第1の通気孔5a、第2の通気孔5bは、ほぼクランク形状で、第1の一側開口51aよりも第1の他側開口52aが上で、第2の一側開口51bよりも第2の他側開口52bが上である。
このようであるから、見込み方向一側から上下の通気孔5a,5bに流れ込んだ水は、見込み方向他側に流れ難いので、浴室建具として好ましい。
【0030】
前記掃除用具6は第1の通気孔5aと第2の通気孔5bとに亘って設けられ、第1の実施の形態の掃除用具6と同様に本体60とモヘヤ61を有している。
この本体60は、図5図6に示すように上面60a、見込み方向一側面60bに設けた突起62(摺動部)が中桟40の凹部43(ガイド部)に摺動自在に嵌合し、見込み方向他側面60dに設けた凹部63a(摺動部)が下框21に設けた突部47a(ガイド部)に摺動自在に嵌合している。
前記本体60の左右面60eに連通した補助枠材挿通孔67を有し、この補助枠材挿通孔67内に補助枠材7が隙間を有して挿通し、本体60は補助枠材7の長手方向に移動可能である。
前記本体60の見込み方向一側面60bの下部寄りと、見込み方向他側面60dの上部寄りに手掛け64が設けてある。
この手掛け64は通気部用枠4の見込み方向一側面、他側面よりも突出したヒレ形状で、その手掛け64を持って本体60を移動できるようにしてある。
【0031】
前記本体60にはモヘヤ61が第1の実施の形態と同様に、本体部41の下面41a、一側縦板42の見込み方向他側面42a、及び本体部45の上面45a、他側縦板46の見込み方向一側面46aに接触するように設けてあると共に、前記補助枠材挿通孔67の内面にもモヘヤ61が、補助枠材7の見込み方向一側面、他側面、上面、下面(つまり、補助枠材7の表面)に接触するように設けてある。
【0032】
このようであるから、掃除用具6を移動することで、上の通気孔5aの内面、下の通気孔5bの内面に付着したゴミやホコリを除去して清掃することができる。
【0033】
前述の実施の形態では、掃除用具6の本体60を第1・第2の通気孔5a,5bに亘って設けられ一体形状としたが、第1の通気孔5a、第2の通気孔5bにそれぞれ設ける2つの本体に区画しても良い。
例えば、図7に示すように第1の通気孔5aに第1の本体60−1を設け、第2の通気孔5bに第2の本体60−2を設ける。
第1の本体60−1にモヘヤ61を、中桟40の一側縦板42の見込み方向他側面42a、補助枠材7の他側縦向板72の見込み方向一側面72bに接触するように設ける。
第2の本体60−2にモヘヤ61を、下框21の他側縦板46の見込み方向一側面46b、補助枠材7の一側縦向板71の見込み方向他側面71bに接触するように設ける。
【0034】
つまり、中桟40の本体部41の下面41aは第1の他側開口52aから手を入れて清掃し易く、下框21の本体部45の上面45aは第2の一側開口51bから手を入れて清掃し易いと共に、補助枠材7の連結板73は第1の一側開口51a、第2の他側開口52bから手を入れて清掃し易いので、それらの部分に接触するモヘヤを設けていない。
このようにすることで、中桟40、補助枠材7、下框21に接触するモヘヤ61の量が少なく、掃除用具6の摺動抵抗が小さくなるので、掃除用具6をスムーズに移動できる。
【0035】
前述した第1の本体60−1と第2の本体6−2に手掛けをそれぞれ設けて別々に移動するようにしても良いし、第1の本体60−1と第2の本体60−2とに亘って手掛けを設け、同時に移動するようにしても良い。
また、一方の本体にのみ手掛けを設けると共に、一方の本体と他方の本体に亘って、一方の本体が移動すると他方の本体が同時に移動するように連動手段を設けても良い。
例えば、図7に示すように第1の本体60−1、第2の本体60−2の補助枠材7の連結板73と対向した部分に磁石68をそれぞれ設け、第1の本体60−1と第2の本体60−2が同時に移動するようにし、第1の本体60−1にのみ手掛け64を設ける。
【0036】
前述の説明では、第1の本体60−1、第2の本体60−2を中桟40の本体部41の下面41a、下框21の本体部45の上面45a、補助枠材7の連結板73に接するようにしたが、第1・第2の一側開口51a,51b又は第1・第2の他側開口52a,52bと対向した部分には本体が存在しないようにしても良い。
例えば、図8に示すように、第1の本体60−1を補助枠材7の他側縦向板72の上部までとし、第1の他側開口52aと対向した部分には第1の本体60−1が存在しないようにする。
第2の本体60−2を下框21の他側縦板46の上部までとし、第2の縦側開口52bと対向した部分には第2の本体60−2が存在しないようにする。
【0037】
このようにすれば、中桟40の一側縦板42の見込み方向他側面42aにおける第1の他側開口52aと対応した部分を、その第1の他側開口52aから手を入れて清掃できる。
また、補助枠材7の一側縦向板71の見込み方向他側面71bにおける第2の他側開口52bと対向した部分を、その第2の他側開口52bから手を入れて清掃できる。
したがって、モヘヤ61の量がより少なく、モヘヤ61による摺動抵抗がより小さくなるので、掃除用具6を小さな力でスムーズに移動できる。
【0038】
前記第1の本体60−1と第2の本体60−2に亘って手掛け64を設け、この手掛け64に手を掛けることで第1・第2の本体60−1,60−2を同時に移動することができる。
これに限ることはなく、第1の本体60−1、第2の本体60−2にそれぞれ手掛けを設けても良いし、一方の本体にのみ手掛けを設けると共に、両方の本体を連動手段で同時に連動するようにしても良い。
【0039】
前述の実施の形態では通気部用枠4を障子2の下框21、縦框22を用いて形成したが、下框21、縦框22とは別の枠材で通気部用枠4を形成し、その通気部用枠4を障子2の任意の部分に設けても良い。
前述の第1枠材と第2枠材は上下方向に対向したが、左右に対向しても良い。
【0040】
前述の実施の形態では、通気部3を障子2に設けたが、枠体1に設けることができるし、建物の壁体や室内間仕切りに設けることができる。
【符号の説明】
【0041】
1…枠体、2…障子、3…通気部、4…通気部用枠、5…通気孔、5a…第1の通気孔、5b…第2の通気孔、6…掃除用具、7…補助枠材、21…下框(第2枠材)、22…縦框(第3・第4枠材)、40…中桟(第1枠材)、60…本体、60−1…第1の本体、60−2…第2の本体、61…モヘヤ(軟質の清掃部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8