特許第5700565号(P5700565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5700565波長分割多重装置およびインタフェース盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700565
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】波長分割多重装置およびインタフェース盤
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/572 20130101AFI20150326BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20150326BHJP
【FI】
   H04B9/00 572
   H04L12/70 100Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-3928(P2012-3928)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-143724(P2013-143724A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2013年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237662
【氏名又は名称】富士通テレコムネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】楠見 崇文
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−041444(JP,A)
【文献】 特開2010−041660(JP,A)
【文献】 特開2004−072323(JP,A)
【文献】 特開2004−274113(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/081545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの伝送路で双方向にデータ伝送する波長分割多重装置であって、
ユーザ端末が接続され、接続された前記ユーザ端末と間でデータの受け渡しを行う複数のインタフェース盤と、
前記複数のインタフェース盤からの前記データの光信号を波長多重し、波長多重された前記光信号を前記伝送路に出力するとともに、前記伝送路から前記波長多重された光信号を受信して波長分割し前記インタフェース盤に出力する波長分割多重盤と、
前記波長分割多重装置を制御監視する制御部とを備え、
前記インタフェース盤は、
前記制御部より前記インタフェース盤が配置された位置の位置情報を受信し、前記位置情報に基づいて前記波長分割多重盤に出力する光信号の波長を決定する波長制御部と、
続される前記ユーザ端末からの前記データを前記波長制御部により決定された前記波長の光信号で前記波長分割多重盤に出力し、前記波長分割多重盤からの光信号接続される前記ユーザ端末への前記データとして送信する光モジュールとを備える
ことを特徴とする波長分割多重装置。
【請求項2】
請求項1に記載の波長分割多重装置において、
複数の前記波長分割多重盤を備え、
前記インタフェース盤は、
前記波長分割多重盤のいずれかに切り替える切替部をさらに備え、
前記波長分割多重盤は、前記波長分割多重盤を識別する識別情報を有し、
前記インタフェース盤は、現用系に設定された前記波長分割多重盤より前記識別情報を受信し、
前記切替部は、受信した前記識別情報に基づいて切り替え動作し、
前記波長制御部は、前記位置情報とともに前記識別情報に基づいて、切り替えられた前記波長分割多重盤に出力する前記光信号の波長を決定する
ことを特徴とする波長分割多重装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波長分割多重装置であって、
前記インタフェース盤は着脱可能であることを特徴とする波長分割多重装置。
【請求項4】
一つの伝送路で双方向にデータ伝送する波長分割多重装置と前記波長分割多重装置に接続されるユーザ端末との間でデータの受け渡しを行うインタフェース盤であって、
前記波長分割多重装置の制御部より前記インタフェース盤が配置された位置の位置情報を受信し、前記位置情報に基づいて前記波長分割多重装置の波長分割多重盤に前記データを出力する光信号の波長を決定する波長制御部と、
前記ユーザ端末からの前記データを前記波長制御部により決定された前記波長の光信号で前記波長分割多重盤に出力し、前記波長分割多重盤からの光信号を前記ユーザ端末への前記データとして送信する光モジュールと、
を備えることを特徴とするインタフェース盤。
【請求項5】
請求項4に記載のインタフェース盤において、
前記波長分割多重装置が複数の前記波長分割多重盤を備える場合、前記波長分割多重盤のいずれかに切り替える切替部を備え、
前記切替部は、前記インタフェース盤が現用系に設定された前記波長分割多重盤より受信する波長分割多重盤識別する識別情報に基づいて切り替え動作し、
前記波長制御部は、前記位置情報とともに前記識別情報に基づいて、切り替えられた前記波長分割多重盤に出力する前記光信号の波長を決定する
ことを特徴とするインタフェース盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一芯の光ファイバで双方向にデータ伝送する波長分割多重装置およびインタフェース盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing)装置間で双方向のデータ伝送を一芯の光ファイバで行うにあたり、対向する波長分割多重装置間で波長多重される光信号の波長は、互いに異なっていなければならない。そこで、波長分割多重装置間で波長多重される光信号の波長を自動設定する技術が開発されている。
【0003】
例えば、波長分割多重装置は、送信波長の情報を送信データに重畳して送信するとともに、対向する波長分割多重装置からの受信データに重畳された上記送信データの送信波長である受信波長の情報を受信することにより、初期設定時において、受信波長の情報に基づいて送信波長を自動設定する技術がある(特許文献1など参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−41444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、初期設定において、送信波長を順次変えながら対向する波長分割多重装置に出力することから、設定が完了するまでに時間がかかるとともに、光ファイバに無駄なトラフィックが増大してしまうという問題がある。
【0006】
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、無駄なトラフィックを生じさせることなく、迅速に波長多重される光信号の波長を設定することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明が例示する波長分割多重装置の一態様は、一つの伝送路で双方向にデータ伝送する波長分割多重装置であって、ユーザ端末が接続されユーザ端末と波長分割多重装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインタフェース盤と、複数のインタフェース盤からのデータの光信号を波長多重し、波長多重された光信号を伝送路に出力するとともに、伝送路から波長多重された光信号を受信して波長分割しインタフェース盤に出力する波長分割多重盤と、波長分割多重装置を制御監視する制御部とを備え、インタフェース盤は、制御部より自身が配置された位置の位置情報を受信し、位置情報に基づいて波長分割多重盤に出力する光信号の波長を決定する波長制御部と、自身に接続されるユーザ端末からのデータを波長制御部により決定された波長の光信号で波長分割多重盤に出力し、波長分割多重盤からの光信号を自身に接続されるユーザ端末へのデータとして送信する光モジュールとを備える。
【0008】
また、複数の波長分割多重盤を備え、インタフェース盤は、波長分割多重盤のいずれかに切り替える切替部をさらに備え、波長分割多重盤は、自身を識別する識別情報を有し、切替部は、識別情報に基づいて切り替え動作し、波長制御部は、位置情報とともに識別情報に基づいて、切り替えられた波長分割多重盤に出力する光信号の波長を決定してもよい。
【0009】
また、インタフェース盤は着脱可能であってもよい。
【0010】
本発明が例示するインタフェース盤の一態様は、一つの伝送路で双方向にデータ伝送する波長分割多重装置と波長分割多重装置に接続されるユーザ端末との間でデータの受け渡しを行うインタフェース盤であって、波長分割多重装置の制御部よりインタフェース盤が配置された位置の位置情報を受信し、位置情報に基づいて波長分割多重装置の波長分割多重盤にデータを出力する光信号の波長を決定する波長制御部と、ユーザ端末からのデータを波長制御部により決定された波長の光信号で波長分割多重盤に出力し、波長分割多重盤からの光信号をユーザ端末へのデータとして送信する光モジュールと、を備える。
【0011】
また、波長分割多重装置が複数の波長分割多重盤を備える場合、波長分割多重盤のいずれかに切り替える切替部を備え、切替部は、波長分割多重盤が有する自身を識別する識別情報に基づいて切り替え動作し、波長制御部は、位置情報とともに識別情報に基づいて、切り替えられた波長分割多重盤に出力する光信号の波長を決定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無駄なトラフィックを生じさせることなく、迅速に波長多重される光信号の波長を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一の実施形態に係る伝送システムの構成を示す図
図2】一の実施形態のIF盤の構成の一例を示す図
図3】IF盤の不図示のメモリに記憶される一覧表の一例を示す図
図4】設置時における波長分割多重装置による波長設定動作を示すフローチャート
図5】IF盤の交換時における波長分割多重装置による波長設定動作を示すフローチャート
図6】伝送路の異常発生時における波長分割多重装置による波長設定動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の実施形態に係る伝送システムSYSの構成を示す。
【0015】
本実施形態の伝送システムSYSは、対向して配置される波長分割多重装置10、20、それらの波長分割多重装置間でデータ伝送する一芯の光ファイバ30、および端末装置40−1〜40−N、50−1〜50−Nから構成される(Nは自然数)。なお、本実施形態の伝送システムSYSの光ファイバ30は、現用系と予備系との2つの光ファイバ30aと30bとからなる。また、図1に示す伝送システムSYSは、波長分割多重装置10、20は光ファイバ30で互いに直接接続されるが、光ファイバ30上に中継装置やOADM(Optical Add/Drop Multiplexing)装置などが配置されてもよい。
【0016】
波長分割多重装置10、20それぞれは、制御部11、21、インタフェース(IF)盤12−1〜12−N、22−1〜22−N、および波長分割多重盤13a、13b、23a、23bとから構成される。なお、以下において、波長分割多重装置の各構成要素の説明は、波長分割多重装置10のものについて説明するが、波長分割多重装置20についても同様に動作し説明を省略する。
【0017】
制御部11は、波長分割多重装置10の各部を統括的に制御監視するプロセッサである。制御部11は、制御プログラムを実行することにより、波長分割多重装置20との間でのWDM方式のデータ伝送を制御監視する。
【0018】
IF盤12−1〜12−Nは、それぞれに接続されるコンピュータやサーバなどのユーザ端末である端末装置40−1〜40−Nと波長分割多重装置10との間でデータの受け渡しを行う。本実施形態のIF盤12−1〜12−Nは、波長分割多重装置10に設けられた不図示のスロット1〜Nそれぞれに差し込まれて配置され、自身が故障した場合、容易に交換可能である。
【0019】
図2は、本実施形態のIF盤12−kの構成の一例を示す(k=1〜Nの自然数)。つまり、IF盤12−kは、波長制御部60、受信部61、65、送信部62、66、および光スイッチ63、64から構成される。
【0020】
波長制御部60は、制御部11の制御指示および現用系の波長分割多重盤13aまたは13bからの情報に基づいて、後述する送信部62が出力する光信号の波長を決定し設定する。
【0021】
受信部61は、端末装置40−kからのデータを光信号で受信して電気信号に変換する光−電気コンバータである。
【0022】
送信部62は、受信部61で受信された端末装置40−kからのデータの電気信号を、波長制御部60によって設定された波長の光信号に変換して現用系の波長分割多重盤13に出力する。送信部62には、波長可変の電気−光コンバータなどを用いることができる。
【0023】
光スイッチ63は、現用系の波長分割多重盤13からの指示に基づいて切り替え動作し、送信部62からの光信号を現用系の波長分割多重盤13に出力する。同様に、光スイッチ64は、現用系の波長分割多重盤13からの指示に基づいて切り替え動作し、現用系の波長分割多重盤13からの光信号を光−電気コンバータである受信部65へ出力する。なお、本実施形態の送信部62および受信部65は光モジュール70として動作する。
【0024】
送信部66は、電気−光コンバータとして、受信部65で変換された電気信号を、光信号に再度変換して端末装置40−kへのデータとして出力する。なお、送信部66の光信号の波長は固定でも可変でもよい。
【0025】
波長分割多重盤13a、13bは、図1に示すように、メモリ14a、14bおよびWDM部15a、15bから構成される。WDM部15aまたは15bは、IF盤12−1〜12−Nからの光信号を波長多重して波長分割多重装置20にデータ伝送し、波長分割多重装置20からデータ伝送されてきた光信号を波長分割してIF盤12−1〜12−Nに出力する。
【0026】
なお、メモリ14a、14bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)で形成され、それぞれが配置される波長分割多重盤13a、13bを識別するデータを、識別情報としてテキスト形式などのファイルで記憶する。また、本実施形態の波長分割多重装置10は、図1に示すように、スロット1〜N(不図示)の位置に応じて各IF盤12が送受信する光信号の波長の組み合わせが、波長λ1〜λ2Nの範囲で、波長分割多重盤13a、13bに応じて予め決められており、その組み合わせ情報がメモリ14a、14bに記憶され、WDM部15a、15bはその組み合わせ情報に基づいて動作する。
【0027】
次に、本実施形態の伝送システムSYSによる波長設定動作を、(A)波長分割多重装置の設置時、(B)IF盤12の交換時、および(C)伝送路の異常発生時それぞれの場合について説明する。なお、以下の説明では、波長分割多重装置10の動作についてするが、波長分割多重装置20についても同様に動作する。また、光ファイバ30aが現用系の伝送路(実線)で、光ファイバ30bが予備系の伝送路(点線)であるとする。さらに、各IF盤12、22は、不図示のメモリを有し、図3(a)、(b)に示すような、自身が配置されたスロット位置および現用系の波長分割多重盤13に応じて決まる送信部62の光信号の波長の一覧表を記憶する。
(A)波長分割多重装置の設置時
設置時における波長分割多重装置10による波長設定動作について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0028】
波長分割多重装置10が設置され、設置者により電源が投入されると、制御部11は、制御プログラムを読み込み、波長分割多重装置10の初期化を行う。制御部11は、ステップS101からの波長設定動作を開始する。
【0029】
ステップS101:制御部11は、波長分割多重盤13aおよび13bに対し、現用系および予備系として動作させるための制御指示を出力し設定する。
【0030】
ステップS102:制御部11は、IF盤12−1〜12−Nに対して、それぞれが配置された不図示のスロット1〜Nの位置情報を出力する。同時に、制御部11は、現用系として設定した波長分割多重盤13aに対して、メモリ14aに記憶されている識別情報をIF盤12−1〜12−Nに出力させ、波長分割多重盤13aが現用系であることをIF盤12−1〜12−Nに通知する
ステップS103:IF盤12−kの光スイッチ63、64は、受信した識別情報に基づいて、光モジュール70が波長分割多重盤13aとの間で光信号を送受信できるように切り替え動作する。
【0031】
ステップS104:IF盤12−kの波長制御部60は、メモリ(不図示)から図3(a)に示す一覧表を読み込み、受信した位置情報および識別情報に基づいて、送信部62に設定すべき光信号の波長の値を取得し決定する。波長制御部60は、決定した波長の値を送信部62に設定する。制御部11は、IF盤12−1〜12−Nから設定完了の信号を受信したら波長設定を終了する。
(B)IF盤12の交換時
故障などによるIF盤12の交換時における波長分割多重装置10による波長設定動作について、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0032】
制御部11は、波長分割多重装置10の波長分割多重盤13a、13bなどとともに、IF盤12−1〜12−Nそれぞれの動作状態を監視する。制御部11は、例えば、IF盤12−kにおける動作異常を検出した場合、不図示のネットワークなどを介して、伝送システムSYSを監視する不図示の監視制御装置に、IF盤12−kにおいて動作異常が発生したことを通知する。その後、その通知に基づいて、管理者などによりIF盤12−kが新しいものに交換された場合、制御部11は、ステップS201からの波長設定動作を開始する。
【0033】
ステップS201:制御部11は、IF盤12−kが新しいものに交換されたことを検出し、IF盤12−kに対して配置されたスロットk(不図示)の位置情報を出力する。同時に、制御部11は、現用系の波長分割多重盤13aに対して、メモリ14aに記憶されている識別情報をIF盤12−kに出力させる。
【0034】
ステップS202:IF盤12−kの光スイッチ63、64は、受信した識別情報に基づいて、光モジュール70が波長分割多重盤13aとの間で光信号を送受信できるように切り替え動作する。
【0035】
ステップS203:IF盤12−kの波長制御部60は、メモリ(不図示)から図3(a)に示す一覧表を読み込み、受信した位置情報および識別情報に基づいて、送信部62に設定すべき光信号の波長の値を取得し決定する。波長制御部60は、決定した波長の値を送信部62に設定する。制御部11は、IF盤12−kから設定完了の信号を受信したら波長設定を終了する。
(C)伝送路の異常発生時
伝送路の異常発生時における波長分割多重装置10による波長設定動作について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0036】
制御部11は、波長分割多重装置10のIF盤12−1〜12−Nなどとともに、WDM部15a、15bが波長分割多重装置20からの光信号の光レベルを測定し、現用系の光ファイバ30aおよび予備系の光ファイバ30bに異常がないか否かを監視する。制御部11は、例えば、現用系の光ファイバ30aを伝送する光信号の光レベルが所定値より小さくなった場合、光ファイバ30aの伝送路に異常が発生したと判定する。制御部11は、波長分割多重盤13aを予備系に、波長分割多重盤13bを現用系に切り替え制御する。そして、制御部11は、ステップS301からの波長設定動作を開始する。
【0037】
ステップS301:制御部11は、現用系に切り替えた波長分割多重盤13bに対して、メモリ14bに記憶されている識別情報をIF盤12−1〜12−Nに出力させ、波長分割多重盤13bが現用系となったことをIF盤12−1〜12−Nに通知する。
【0038】
ステップS302:IF盤12−kの光スイッチ63、64は、受信した識別情報に基づいて、光モジュール70が波長分割多重盤13bとの間で光信号を送受信できるように切り替え動作する。
【0039】
ステップS303:IF盤12−kの波長制御部60は、メモリ(不図示)から図3(a)に示す一覧表を読み込み、位置情報および識別情報に基づいて、送信部62に設定すべき光信号の波長の値を取得し決定する。波長制御部60は、決定した波長の値を送信部62に設定する。制御部11は、IF盤12−1〜12−Nから設定完了の信号を受信したら波長設定を終了する。
【0040】
このように、本実施形態では、IF盤12、22が、波長可変な電気−光コンバータなどの送信部62を備え、かつ図3に示す一覧表を予め記憶することにより、無駄なトラフィックを生じさせることなく、迅速に波長多重される光信号の波長を設定することができる。
【0041】
また、IF盤12、22が波長可変の送信部62および図3に示す一覧表を記憶することにより、各IF盤12、22の構成を共通にすることができ、部品点数を削減しコスト削減を図ることができる。そして、1種類のIF盤12、22を予備として備えるだけでよく、たとえIF盤12、22が故障したとしても、単に新しいIF盤に入れ替えるだけで送信部62の光信号の波長が自動設定され、伝送システムSYSの管理作業効率の向上を図ることができる。
《実施形態の補足事項》
・上記実施形態では、波長分割多重装置10、20は、現用系と予備系との波長分割多重盤13a、13bおよび23a、23bを有したが、本発明はこれに限定されず、1つの波長分割多重盤または3つ以上の波長分割多重盤を有してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、IF盤12、22が、図3に示す一覧表を不図示のメモリに記憶し、波長制御部60は、位置情報および識別情報とともに一覧表に基づいて、送信部62の光信号の波長を決定し設定するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、波長制御部60は、制御部11からの位置情報とともに、メモリ14からの識別情報および組み合わせ情報に基づいて、送信部62の光信号の波長を決定し設定してもよい。
【0043】
また、IF盤12、22は現用系の波長分割多重盤13、23が切り替わった場合、送信部62の光信号の波長を変更したが、本発明はこれに限定されず、同じのままでもよい。
【0044】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10、20…波長分割多重装置、11、21…制御部、12−1〜12−N、22−1〜22−N…IF盤、13a、13b、23a、23b…波長分割多重盤、14a、14b、24a、24b…メモリ、15a、15b、25a、25b…WDM部、30a、30b…光ファイバ、40−1〜40−N、50−1〜50−N…端末装置、60…波長制御部、61、65…受信部、62、66…送信部、63、64…光スイッチ、70…光モジュール、SYS…伝送システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6