【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムは、吸着性流体の吸着親和性を有する固相物理的吸着媒体を保持するよう、また吸着性流体を選択的に流入ならびに流出させるよう構成、配置された貯蔵ならびに計量分配用容器からなる。この流体の吸着親和性を備える固相物理的吸着媒体は、内部気体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置し、そして流体を前記固相物理的吸着媒体上に物理的に吸着させる。計量分配アセンブリーは前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結される。この計量分配アセンブリーは、前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、内圧以下の圧力を供給して、前記固相物理的吸着媒体からの流体の脱着と、脱着流体の前記計量分配アセンブリーを通る流体に流れを起こさせる。別の方法として、貯蔵ならびに前記計量分配システムが、吸着材料を選択的に加熱して流体の固相物理的吸着媒体からの脱着を起こさせる手段と、熱的脱着の時、脱着流体を、計量分配アセンブリーを通すよう流体流れを収容するよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結された計量分配アセンブリーと共に構成されることもできる。なお、別の実施例として、本発明の貯蔵と計量分配システムは、流体の固相物理的吸着媒体からの差熱ならびに差圧脱着を組合せるよう構成、配置することも可能である。
【0017】
この計量分配アセンブリーは、本発明の流体貯蔵ならびに計量分配アセンブリーの特定の最終用途に適切なものとして、どのような種類の導管、管、チューブ、流路、弁調節、計装、監視手段、流量調節器、ポンプ、送風機、アスピレーターまたは同種の他のものからもなることができる。本発明は適当であればどのような構造もしくは寸法の貯蔵ならびに計量分配用容器、例えば約0.01リットル乃至約20リットルといった内容積を有する容器に構成できる。
【0018】
特定の実施態様にあっては、本発明は上述の形式で、固相物理的吸着媒体として炭素吸着材料を利用する流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。広範な種類の炭素吸着剤は本発明の貯蔵ならびに計量分配システムで有効な吸着媒体として使用できる。
【0019】
一実施態様における本発明は高性能吸着媒体上に1200トル以下の内圧で物理的に吸着された流体を含む小型で、ポータブルの使用場所で使える流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【0020】
この明細書で用いられている用語「小型で、ポータブルの使用場所で使える原料貯蔵ならびに計量分配システム」は上記のように広範囲に説明されたシステムであって、その貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積が約0.01リットル乃至約20リットルのものである。
【0021】
本発明は、まさに小型低圧流体源を設けることに技術上の最大の進歩を有し、従来のあらゆる種類の気体を必要とする用途、例えば溶接ガス、麻酔ガス、酸素もしくは酸素富化救命ガス、半導体製造用ガス、不活性シール用ガス、例えば燃焼もしくは化学反応抑制用の窒素などを必要とする用途にいたるところで用いられてきた高圧流体用ボンベに十分取替えがきく能力を達成できる。
【0022】
特に工業用途、例えばイオン注入、ドーピング用などの試薬ガスの量が非常に少量であり、かつ半導体製造用二次加工設備が極めて小型で据付面積がプレミアム付きであるような半導体製造の場合に、低圧気体源の設置は現在の種々の欠点を伴う高圧ガスボンベの使用全体に亘る主要な改良である。
【0023】
本発明の低圧貯蔵ならびに計量分配システムの吸着剤を含む容器内の内圧が約1200トル以下である。その圧力は800トルが好ましく、最も好ましくは700トル以下である。減圧した吸着流体を貯蔵ならびに計量分配用容器に供給することで、吸収された流体が周囲環境に漏れたり、大量分散する危険は、流体の高圧収納が絶えることのない、またかなりの危険と、それに対応する安全策と処理問題を必然的に伴うのと対照的に、未然に防ぐことができる。
【0024】
他の特定の実施態様にあっては、本発明は上記に広範に亘って述べた種類であって、高作業能力吸着材料からなる流体貯蔵ならびに計量分配システムに関するものである。
【0025】
本発明の貯蔵ならびに計量分配に応用する吸着剤に適応できる性能特性は、吸着充填能力(吸着材料の単位重量当りの吸着剤に貯蔵される吸収流体の量)と、吸着材料の単位容積当りの、所定の圧力と温度条件で流体計量分配作業中に吸着媒体から除去できる吸着材料に初めに充填された収着質の重量として規定される吸着作業能力Cwを含む。すなわちCw=[収着質の重量−脱着後に残留する収着質の重量]/[吸着剤の容積]
【0026】
上記の収着質の重量ならびに脱着後に残留する重量をグラムで測り、また吸着材料の容積をリットルで測る。このような測定に用いられる吸着材料の容積は吸着材料のベッドの容積である。この吸着材料は典型的例としてペレット、粒子、押出物、粒状もしくは他の分割体にして供給し、従って作業能力の測定における容積は充填密度と吸着材料の空隙(間空隙)容積を考慮に入れる。
【0027】
本発明の広範な実施に総体的に有用に利用できる吸着材料の効力の別の目安は、吸着材料に圧力760トルで最初に充填され、その後圧力を、25βCで10トルに下げた圧力脱着だけにより脱着できる収着質気体の割合として規定される吸着材料の「脱着可能の収着質の割合」である。すなわち:
脱着可能な収着質の割合={(収着質の重量−脱着後に残留する収着質の重量)/(収着質の重量)}×100%
前記脱着可能の収着質の割合は少なくとも15%くらいで、少なくとも25%くらいが好ましく、さらに好ましくは少なくとも50%くらい、最も好ましくは少なくとも60%くらいである。
【0028】
さらに本発明の実施に用いられる吸着材料は有利なことには第1例として収着質流体を適切な高効率で容易に吸着し、先に吸着ずみ流体を、(1)貯蔵ならびに計量分配用容器の内容積と外部位置の間の比較的低い圧力での差圧、および/または(2)貯蔵ならびに計量分配システムが流体計量分配作業モードである時の吸着剤の加熱に応答して、迅速に対応して放出する特徴を備える。
【0029】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な好ましい吸着材料は、吸着材料の1g当り約0.1乃至約5.0cm
3の範囲、好ましくは吸着材料1g当り約0.5乃至約2.0cm
3の範囲の気孔容積(累積気孔容積)を具える材料を含む。
【0030】
吸着材料は好ましくは直径が約2オングストローム乃至100オングストロームの範囲の気孔からなる主要部分、すなわちその気孔容積の50%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは吸着剤の気孔容積のほぼ全てを有することである。
【0031】
好ましい材料は平均気孔直径が約2乃至20オングストロームの範囲内であり、また気孔の主要部分が前記範囲内にあること、前記直径範囲内で、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは気孔容積のほぼ全てである吸着剤を含むことである。
【0032】
本発明の広範な実施で有用な高性能吸着剤は、アルシンガスを40トルと650トルの圧力で測定し、吸着材料1リットル当り少なくとも50、好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも150、そして最も好ましくは少なくとも200gの「吸着剤作業能力、Cw」を有するものを含み、次のように測定される:
Cw=(圧力650トル、温度25℃における1リットルの吸着剤に対するアルシンガスのgで示す重量)−(圧力
40トル、温度25℃における1リットルの吸着剤に対するアルシンガスのgで示す重量)
[式中、アルシンはこのようなCw特徴に対する基準流体であり、そして吸着剤のリットル基準は説明の通り、空隙もしくは間空隙を含む吸着媒体のベッドのベッド形態におけるリットル容積である]。この点で、増大する作業能力は圧力を1トルという低い値に下げることで可能であることを注目すべきである。
【0033】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な吸着材料は、ビーズ、顆粒、ペレット、タブレット、粉末、粒子、押出物、布もしくはウエブ状材料、ハニカム・マトリックス・モノリスならびに(吸着剤と他の成分との)複合材料、同様に前述の吸着材料の形態をとる微粉砕もしくは圧潰形状を含む適切であればどのような寸法、形状および形態のものでもよい。
【0034】
吸着材料は重合体(例えば微孔質テフロン(登録商標)、大型網状重合体、ガラス状ドメイン重合体など)、ホスホシリケートアルミニウム(ALPOS)、クレー、ゼオライト、多孔質珪素、ハニカム・マトリックス材料、炭素材料などを含む適切であればどのような材料からでもなることができる。
【0035】
最も好ましい吸着材料はゼオライト吸着材料と炭素吸着剤を含む。好ましい炭素吸着剤の中には、高均一性球面形状をもち、直径が約0.1mm乃至1cmの範囲、さらに好ましくは直径が約0.25乃至約2mmの粒径をもつビーズ活性炭素材料がいちばん好ましいものである。
【0036】
さらに他の実施態様では、アルシンを特徴づける基準ガスとして用いて、本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムで有用な吸着材料は、吸着剤1リットル当りの吸着ずみアルシンのg数で測定し、トルで示す圧力の関数として、温度25℃におけるアルシンガス吸着等温線をもつ材料からなり、次の吸着充填特性を有する:
圧力(トル) 最小限の充填量(吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30
50 62
100 105
200 145
300 168
400 177
500 185
550 188
650 〜192
【0037】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムで用いられる吸着材料が、貯蔵され続いて吸着剤から計量分配されることになる吸着流体にとって著しい充填特性を有することが一般に好ましいことであるが、極めて高い吸着剤充填能力が、いくつかの事例では貯蔵ならびに計量分配システムに関して吸着熱の見地から不利となり得る。吸着剤上での吸着性流体の吸着は典型的例として発熱性である。アルシンやホスフィンのような気体にとっては、気体の吸着剤上での充填速度によって、発熱量は100βC以上くらいの温度上昇を必然的に伴うものである。従って、吸着剤に後続計量分配のため貯蔵されることになる流体で吸着媒体を最初に充填している間に、吸着作用のかなりの熱を伴わない範囲内の高い吸着能力を有する吸着媒体を使用することが好ましい。
【0038】
従って、本発明の実施に有用な吸着材料は、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数で測定され、トルで示す圧力の関数として測定される25℃の温度におけるアルシンガスの吸着等温線を有し、それが
図1の曲線G
1とG
0に囲まれた等温線の範囲内である材料を含む。このような吸着材料は次の吸着充填特性をもつ。
圧力(トル) 充填量(吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 30−106
50 62−138
100 105−185
200 145−232
300 168−263
400 177−288
500 185−308
550 188−315
650 192−330
【0039】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムに用いられる吸着剤は好ましくは上記で様々に述べられた吸着剤特性の適当であればどのような組合せもしくは入替えによっても特徴づけられる吸着剤であることができる。
【0040】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムに適切な炭素吸着材料は、例えば、温度が25℃で下記の吸着充填特性を有するものである。
圧力(トル) 最小限の充填量(吸着剤1リットル当りのアルシンのg数)
25 35− 60
50 75−100
100 100−115
200 160−175
300 200−220
400 225−245
500 240−260
550 250−275
650 260−300
【0041】
本発明の広範な実施に有用な極めて好ましい炭素吸着材料は、吸着剤1リットル当り吸着されたアルシンのg数として測定され、トルで示す圧力の関数としての、温度25℃におけるアルシンガスの、
図1の曲線Aの特性をもつ吸着等温線を備える材料を含む(吸着等温線特性というのは
図1にある吸着等温線の事実上の形状を言うのであって、それは吸着等温線が温度レベルの変化に伴いxとyの方向に移動するためであるが、その全体の形状は事実上同一である)。
【0042】
本発明の気体貯蔵ならびに計量分配システムに用いることができる炭素吸着剤は、上記様々に述べられた吸着剤特性の適切であればどのような組合せもしくは入替えにより特徴づけられる吸着剤を含む。
【0043】
一実施態様における本発明は流体の貯蔵ならびに計量分配用の小型でポータブルの使用場所で使用できる流体貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置を企図しており:
・固相物理的吸着媒体を保持し、該吸着媒体を選択的に流入、流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・1200トル以下の内部流体圧力で該貯蔵ならびに計量分配用容器に配置した吸着材料と;
・前記吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結され、吸着材料からの流体の差熱および/または差圧脱着の後、脱着ずみ流体の選択的求めに応じて計量分配できるように構成、配置された計量分配アセンブリーと;
からなり、前記計量分配アセンブリーが:
(I)前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、前記内圧以下の圧力を供給して流体を吸着材料から脱着させ、また脱着ずみ流体の流れを前記計量分配アセンブリーを通して前記容器から流させ;および/または
(II)熱的に脱着させた流体をそれに通して流せるよう、かつ吸着材料を加熱して流体を脱着させて、脱着ずみ流体が容器から前記計量分配アセンブリーに流入するようにさせる手段を構成するよう、構成、配置していることを特徴とする。
【0044】
他の実施態様において、本発明は気体の貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置において、
・固相物理的吸着媒体を保持し、気体を選択的に流入ならびに流出させるよう構成、配置した貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・内部気体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置された吸着材料と;
・前記吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器と気体流れ連通して連結し、かつ前記吸着材料からの流体の差熱および/または差圧媒介脱着の後、脱着ずみ流体の選択的求めに応じて計量分配するよう構成、配置された計量分配アセンブリーと;
からなり、前記計量分配アセンブリーが:
(I)前記貯蔵ならび計量分配用容器の外部に、前記内圧以下の圧力を供給して流体を吸着剤材料から脱着し、また脱着ずみ流体の流れを前記計量分配アセンブリーに通して前記容器から流させ;および/または
(II)熱的に脱着した流体をそれに通して流せるよう、かつ吸着材料を加熱して流体をそれから脱着させて、脱着ずみ流体が容器から前記計量分配アセンブリーに流入するようにさせる手段からなるよう、構成、配置したことを特徴とする。
【0045】
前記吸着材料は微量成分、例えば、水、金属および酸化遷移金属種(例えば、オキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)からなる群より選ばれるものに避け、前記貯蔵ならびに計量分配用容器で収着質流体を分解させるだけ十分に濃縮されていることが好ましい。
【0046】
本発明の貯蔵ならびに計量分配装置にあって、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の吸着材料の濃度(吸着材料の重量に対し)は好ましくは温度25℃で1年後、25℃の温度と、前記内圧での収着質流体の5重量%以上、好ましくは1%重量以上の分解に不十分であることである。吸着剤上でのこのような拘束は、水素化物気体、例えばアルシン、ホスフィンなどのような流体で、水、金属ならびに酸化遷移金属種(例えばオキシド、スルフィットおよび/またはニトレート)の存在下においての分解に感受性のある取着質流体をこのような種に事実上曝すことなく維持して、前記収着質気体の相当なレベルの分解とその結果生ずる圧力増大問題を未然に防ぐことを保証する。
【0047】
好ましくは、水、金属および酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の吸着材料の重量に対する濃度は、増大が結果として25%以上、好ましくは10%以上になる収着質流体の分解を貯蔵ならびに計量分配用容器内で25℃の温度で1週間後に起こさせるには不十分であるものである。
【0048】
本発明の実施に有利に用いられる炭素吸着材料は、水と酸化遷移金属種からなる群から選ばれる微量成分の350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは、10重量ppm以下、そして最も好ましくは1重量ppm以下を吸着媒体の重量に対して含む炭素材料を含む。
【0049】
本発明の実施での好ましい炭素吸着剤をさらにその灰分の点でも条件として規定することができる。好ましい炭素は約7%以下、好ましくは約5%以下、最も好ましくは約0.1%の灰分を含んでいる。様々な炭素吸着剤の灰分は15%という高いものである。灰分は特定の炭素材料源に広く左右されて変化できる。
【0050】
灰は弗化水素や三弗化硼素のような、これらの種類の化合物に不可逆的に化学吸着することになる吸着性流体を必要とする用途に有害となり得るシリカのような成分を含む無機材料である。このような化学吸着は、それが結果として化学吸着化合物を失うことになるので極めて不利である。従って、低灰分炭素吸着剤が実施の上でとりわけ好ましい。
【0051】
上記で討議した高灰分炭素吸着剤の使用で起り易い問題は弗化物の場合に特に厳しい。弗化物の高灰分炭素吸着剤による吸収は実際には貯蔵ならびに計量分配用容器での内圧が収着質と高灰分吸着剤中の不純物の間の反応の生成物が不揮発性生成物を生成するに従って低下する。
【0052】
好ましくは水、金属および酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の、吸着材料の重量に対する濃度は、貯蔵ならびに計量分配用容器内での25℃の温度で1週間後の内圧の25%以上、好ましくは10%以上の最大に結果としてなる収着質物流体の分解を起こさせるには不十分なものである。
【0053】
本発明の実施で有利に用いられる吸着材料は、水と酸化遷移金属種からなる群より選ばれる微量成分の350重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは10重量ppm以下、そして最も好ましくは1重量ppm以下を吸着媒体の重量に対して含む炭素材料を含むものである。
【0054】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムを容器からの流体の差圧による計量分配に主として関連し以下に述べるが、本発明の貯蔵ならびに計量分配システムが収着質流体の差圧脱着だけにより、また同様に流体を上述した吸着された吸着材料から熱的に脱着させて計量分配を行えることがわかるであろう。別の例として、充填する吸着媒体からの収着質流体の脱着は、差圧と収着質の収着質媒体からの熱媒介放出との組合せで有用に実施できる。
【0055】
(圧力および/または熱的な)脱着およびそのための付随する方法の条件の特殊な様式の選択は、吸着材料、特殊な収着質流体、および特に脱着流体を使用する最終用途に基づいて不必要な経験なしに当業者によって容易に選択かつ調べることができる。
【0056】
本発明の流体貯蔵ならびに計量分配システムを流体の容器中の吸着材料からの熱脱着が実施できるよう構成、配置する時、加熱手段を貯蔵ならびに計量分配用容器に関連して動作的に配置して、収着質気体を吸着材料から熱強化脱着をすることができる。この加熱手段は電気抵抗加熱素子、エキステンド熱伝達面部材、放射加熱部材、もしくは貯蔵ならびに計量分配用容器の吸着ベッドに配置されるか、あるいは他の方法で吸着材料に対する熱伝達もしくは現場発熱用に配置された他の熱作動性加熱手段を備え、吸着剤の温度の上昇と、収着質流体の脱着を実施させる。
【0057】
本発明の実施に用いられる吸着材料は適切に加工もしくは処理されて、それが成分もしくは汚染物、例えば上記に討議した微量成分に欠けることを保証するものであり、該微量成分は収着質流体の吸着と脱着に関する気体貯蔵ならびに計量分配システムの性能に有害に影響するものである。例えば、吸着剤を、弗化水素酸を用いて洗浄処理にかけて、それを微量成分、例えば金属や酸化遷位金属種が十分にないようにすることができる。
【0058】
吸着材料はさらに様々に処理して吸着剤の吸着能力および/または他の性能特性を強化させることができる。例えば、吸着剤が処理もしくは吸着剤の表面を、(1)吸着剤が続いて計量分配されることになる流体をはじめに充填する時、特定の流体の吸着媒体での吸着、および/または(2)吸着剤が流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から計量分配するための処理条件にある時、流体の脱着、を容易にするか、あるいは高める化学成分でより機能的にすることができる。
【0059】
そのうえ、前記の処理は脱着物の純度を向上させることができる。例えば、表面酸化物類の還元的処理は脱着物中のCO、CO
2ならびに炭化水素不純物の量を減少するために用いることができる。
【0060】
またさらに、様々の温度範囲をガス抜き工程中に用いることができる。典型的例として炭素材料はそれ以上の温度処理も適用できるが、最高500℃でガス抜きされる。
【0061】
吸着材料の特別な追加の修正方法は材料の内部気孔表面を含む表面上の吸着強化材料の適用を含め、本発明の広範な実施に様々に用いることができる。例えば、吸着強化液状、固体状もしくは半固体状材料、例えばカルボワックス(Carbowax)を吸着剤に施して、吸着剤の表面上の固体吸着部位の流体の物理的吸着と、吸着剤の表面に施された吸着強化材料それ自体上の吸着もしくはそれ自体内での可溶化を容易にすることができる。
【0062】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムはさらに、貯蔵ならびに計量分配用容器に入った吸着材料
を、前記容器に入った収着質気体の汚染物、例えば分解生成物に対する親和力を具える化学吸着材料と共に
含む。このような
化学吸着剤は非還元雰囲気ガスに対する化学吸着剤親和力を有する固体吸着剤組成物からなる。
潜在的に適切な化学吸着剤材料の例は、
(A
)前記汚染物の存在下で反応性がある陰イオンを供給して
前記汚染物を除去させる効果がある化合物と
、共有結合していないが、関連した支持体を含み
、該化合物が、
(i)対応プロトン化カルボアニオン化合物が約22乃至約36のpKa値を有するカルボアニオン源化合物と、
(ii)前記カルボアニオン源化合物の収着質気体との反応により形成された陰イオン源化合物と、からなる群の1種以上より選ばれる掃去剤と、
(B)
(i)1g当り約50乃至約1000m
2の範囲の表面面積を有し、最高少なくとも約250℃の温度まで熱的に安定した不活性支持体と、
(ii)前記支持体上に、支持体1リットル当り約0.01乃至約1.0モルの濃度で存在し、ナトリウム、カリウム、ルビジウムならびにセシウムと、その混合物および合金から選ばれる族IA金属の支持体上の脱着と、前記支持体上のその熱分解により形成された活性掃去種とからなる掃去剤、
からなる群より選ばれる掃去剤を含む。
【0063】
更なる実施例として、前記化学吸着材料はトリチルリチウムおよび砒化カリウムからなる群より選ばれる掃去剤成分から有利になる。
【0064】
このような化学吸着材料を計量分配されることになる収着質流体の汚染物除去に対する使用に関し、広範な種類の掃去剤もしくは化学吸着材料のどれをも利用でき、それには1988年8月2日付けグレン.M.トム(Tom)他に発行された米国特許第4,761,395号と、1994年6月29日付けグレン.M.トムとジェームス.V.マクマナス(McManus)の名儀の米国特許願第08/084,414号で開示ならびに請求された形態の掃去剤組成物を含む。
【0065】
上記開示は本明細書では参考として取入れている。
化学吸着材料はそれを用いる時、別のベッドとして吸着材料のベッドと流体流れ連通して利用できるか、あるいは別の方法として、化学吸着剤
を吸着材料のベッド
に無作為あるいは選択的に通して
、貯蔵ならびに計量分配用容器に分散できる。
【0066】
本発明はさらに、流体試薬を供給し、次の工程からなる方法を企図している、
・物理的に前記流体試薬の吸着親和力を有する吸着材料を含む貯蔵ならびに計量分配用容器を準備する工程と;
・流体試薬を吸着材料上に物理的吸着的に充填させて収着質流体充填の吸着材料を生成する工程と;
・減圧(差圧)脱着および/または吸着材料の加熱により収着質流体充填の吸着材料から収着質流体を脱着する工程と;
・脱着ずみ流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から計量分配する工程と;
からなる。
【0067】
さらなる好ましい実施態様にあって、吸着材料はどのような特定形態(例えば、ビーズ、顆粒、ペレット、粉末、押出物など)のもので、上記様々に述べられた吸着剤特性を有するものである。
【0068】
本発明の貯蔵ならびに計量分配システムに有用に貯蔵して、続いて計量分配できる流体は、適切であればどのような種類の流体で吸着材料にとって吸着性親和力のある、例えば気体、蒸気、液体、多相流体ならびに流体混合物も含む。その例としては、酸性および水素化物気体、ハロゲン化物気体、水蒸気相有機金属化合物、酸化気体などを含む。
【0069】
本発明の実施で有用に貯蔵でき、かつ計量分配できる収着質気体種の特定の実施例は、シラン、ゲルマン、アルシン、ホスフィン、ホスゲン、ジボラン、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、亜酸化窒素、シアン化水素、酸化エチレン、重水素化水素化物、ハロゲン化物(塩素、臭素、弗素および沃素)化合物でF
2、SiF
4、Cl
2、ClF
3、GeF
4、SiF
4、硼化水素などのような化合物ならびに金属の有機金属化合物、例えばアルミニウム、バリウム、ストロンチウム、ガリウム、インジウム、タングステン、アンチモニ、銀、金、パラジウム、ガドリニウムなどの化合物を含む。
【0070】
さらに他の特定の実施態様にあっては、本発明は上述の一般形態のものであって、吸着剤流体としての三弗化硼素からなる貯蔵ならびに計量分配システムに関するもので、貯蔵ならびに計量分配システムから計量分配された前記三弗化硼素を水素化剤と接触させて前記三弗化硼素ガスをジボランに変換させる。この水素化剤はこのような変換実施に有用で、適当であればどのような水素化反応体、例えば重水素化マグネシウムからなっても差支えない。
【0071】
また、別の実施態様における本発明は、炭素吸着材料で吸着可能な流体の貯蔵ならびに計量分配用の吸着・脱着装置に関するものである。前記装置は:
・炭素吸着材料を保持し、容器に対し流入ならびに流出させる流体を選択的に流すよう構成、配置された貯蔵ならびに計量分配用容器と;
・内部流体圧力で前記貯蔵ならびに計量分配用容器に配置された炭素吸着材料と;
・炭素吸着材料上に物理的に吸着された収着質流体と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器と流体流れ連通して連結し、かつ前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に前記内圧以下の圧力を供給して、収着質気体の前記炭素吸着材料からの脱着と、その内部を通る脱着ずみ気体の気体流れを行うよう構成、配置された計量分配アセンブリーと;
・前記計量分配アセンブリーに連結して、脱着ずみ気体の加圧と、結果として加圧された気体の排出用クライオポンプと;
からなる。
【0072】
さらなる方法の態様にあっては、本発明は炭素吸着材料上で吸着可能な流体の貯蔵ならびに計量分配の方法に関し、下記の工程、すなわち
・炭素吸着材料を保持する貯蔵ならびに計量分配用容器を準備する工程と;
・前記流体を炭素吸着材料上で吸着させる工程と;
・前記貯蔵ならびに計量分配用容器の外部に、内圧以下の圧力を発生させて、収着質流体の炭素吸着材料からの脱着と、前記貯蔵ならびに計量分配用容器からの脱着ずみ流体を流出させる工程と;
・脱着ずみ流体を貯蔵ならびに計量分配用容器から、貯蔵ならびに計量分配用容器から流出させた脱着ずみ流体の圧力以上の所定の圧力でクライオポンプする工程と;
からなる。