特許第5700602号(P5700602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5700602
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】不揮発性半導体メモリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/105 20060101AFI20150326BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20150326BHJP
   H01L 49/00 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   H01L27/10 448
   H01L45/00 Z
   H01L49/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-20505(P2014-20505)
(22)【出願日】2014年2月5日
【審査請求日】2014年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋樹
【審査官】 上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−021765(JP,A)
【文献】 特開2010−140530(JP,A)
【文献】 特開2012−203944(JP,A)
【文献】 特開2008−034441(JP,A)
【文献】 特開2004−185755(JP,A)
【文献】 特開2009−105383(JP,A)
【文献】 特開2012−079367(JP,A)
【文献】 特開2010−166047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/105,45/00,49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆的かつ不揮発的に遷移する記憶素子と当該記憶素子に接続されたトランジスタとを含むセルユニットが行列状に複数形成されたメモリアレイを有し、
トランジスタのゲートはワード線に接続され、トランジスタの一方の拡散領域は前記記憶素子を介してビット線またはソース線に接続され、他方の拡散領域はソース線またはビット線に接続され、
前記記憶素子は、前記メモリアレイの行方向に延在する薄膜内に選択的に形成され、
前記記憶素子は、ビット線およびソース線とのコンタクトの位置に自己整合的に形成され、前記記憶素子は可変抵抗素子であり、前記ビット線と接触する領域でフォーミングすることにより可変抵抗素子が選択的に形成され、前記ビット線と接触する可変抵抗素子をリセットにした状態で前記ソース線と接触する領域でフォーミングすることにより可変抵抗素子が選択的に形成され、前記ソース線と接触する可変抵抗素子は、フォーミング後に低抵抗状態にリセットされる、不揮発性半導体メモリ。
【請求項2】
可逆的かつ不揮発的に遷移する記憶素子と当該記憶素子に接続されたトランジスタとを含むセルユニットが行列状に複数形成されたメモリアレイを有し、
トランジスタのゲートはワード線に接続され、トランジスタの一方の拡散領域は前記記憶素子を介してビット線またはソース線に接続され、他方の拡散領域はソース線またはビット線に接続され、
前記記憶素子は、前記メモリアレイの行方向に延在する薄膜内に選択的に形成され、
前記薄膜は、前記トランジスタのゲートを形成する層と半導体基板表面との間に形成される、不揮発性半導体メモリ。
【請求項3】
前記記憶素子は、ビット線またはソース線とのコンタクトの位置に自己整合的に形成される、請求項に記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項4】
前記薄膜は、前記トランジスタのゲートを形成する層と前記ビット線またはソース線を形成する層との間に形成される、請求項に記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項5】
前記薄膜は、複数行のトランジスタを覆うように前記メモリアレイの列方向に延在する、請求項1ないし4いずれか1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項6】
前記記憶素子は、可変抵抗素子である、請求項ないし5いずれか1つに記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項7】
前記薄膜は、前記ビット線と接触する領域でフォーミングされることにより可変抵抗素子を選択的に形成する、請求項6に記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項8】
前記薄膜内にソース線との接続のための低抵抗のコンタクト領域が形成される、請求項ないし7いずれか1つに記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項9】
前記コンタクト領域は、フォーミング後に低抵抗状態にリセットされる、請求項に記載の不揮発性半導体メモリ。
【請求項10】
前記セルユニットは、一対のアクセス用のトランジスタと一対の記憶素子を含み、一対のトランジスタのゲートはワード線に共通に接続され、一対の記憶素子には相補的な状態が記憶される、請求項1ないし9いずれか1つに記載の不揮発性半導体メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体メモリに関し、特に、可変抵抗素子等を含む相変化素子を利用した抵抗変化型メモリのメモリアレイの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリに代わる不揮発性メモリとして、可変抵抗素子を利用した抵抗変化型メモリが注目されている。抵抗変化型メモリは、金属酸化物などの膜にパルス電圧を印加し、膜の抵抗を可逆的かつ不揮発的に設定することでデータを記憶するメモリとして知られている。抵抗変化型メモリは、電圧でデータを書き換えることができるため(電流が微量で)消費電力が小さく、また、1トランジスタ+1抵抗からなる比較的単純な構造のためセル面積が約6F2(Fは配線の径で、数十nm程)と小さく、高密度化が可能であり、さらに、読み出し時間が10ナノ秒程度とDRAM並に高速であるという利点がある(特許文献1、2等)。
【0003】
図1は、従来の抵抗変化型メモリのメモリアレイの典型的な構成を示す回路図である。1つのメモリセルユニットは、可変抵抗素子とこれに直列に接続されたアクセス用のトランジスタとから構成される。m×n(m、nは、1以上の整数)個のセルユニットが二次元アレイ状に形成され、トランジスタのゲートがワード線に接続され、ドレイン領域が可変抵抗素子の一方の電極に接続され、ソース領域がソース線に接続される。可変抵抗素子の他方の電極がビット線に接続される。
【0004】
可変抵抗素子は、酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜から構成され、印加されるパルス電圧の大きさおよび極性によって抵抗値を低抵抗状態または高抵抗状態に可逆的にかつ不揮発性に設定することができる。可変抵抗素子を高抵抗状態に設定(または書込み)することをセット(SET)、低抵抗状態に設定(書込み)することをリセット(RESET)という。
【0005】
セルユニットは、ワード線、ビット線およびソース線によってビット単位で選択することができる。例えば、セルユニットM11に書込みを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には、セットまたはリセットに応じた電圧が印加される。これにより、可変抵抗素子がセットまたはリセットされる。セルユニットM11の読み出しを行う場合には、ワード線WL1によってトランジスタがオンされ、ビット線BL1、ソース線SL1には読み出しのための電圧が印加される。ビット線BL1には、可変抵抗素子のセットまたはリセットに応じた電圧または電流が表れ、これがセンス回路によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−64286号公報
【特許文献2】特開2008−41704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
抵抗変化型メモリは、図1に示したように1T+1Rのセルユニットのアレイから構成されるものや、それ以外にも2T+2Rのセルユニットのアレイから構成されるものもある。後者は、アクセス速度を向上させるため、一対の可変抵抗素子に相補的なデータを保持させるものである。そのようなセルユニットの回路構成の一例を図2に示す。同図に示すように、1つのセルユニットCUは、相補的なデータを記憶することが可能であり、一対のビット線BL、/BL(ビット線バー)との間に直列に接続された一対のアクセス用のトランジスタT1、T2と一対の可変抵抗素子R1、R2とを含む、いわゆる2トランジスタ+2抵抗から構成される。トランジスタT1、T2のソースに共通ソース線SLが接続され、トランジスタT1と可変抵抗素子R1がビット線BLと共通ソース線SL間に直列に接続され、トランジスタT2と可変抵抗素子R2が共通ソース線SLとビット線/BL間に直列に接続される。また、トランジスタT1、T2のゲートがワード線WLに共通に接続される。
【0008】
コンプリメンタリのセルユニットCUは、いずれか一方の可変抵抗素子がセットされるとき、他方の可変抵抗素子がリセットされる。このため、一対のビット線BL、/BL間には差信号が表れ、この差信号を利用してデータ「0」、「1」の判定が行われる。それ故、シングルビット線のときよりも信頼性が高くなり、高速アクセスが可能となる。
【0009】
図3は、図2に示すメモリセルの構成を示す模式的な断面図である。P型のシリコン基板またはウエル領域10内に、トランジスタT1のドレイン領域12、ソース領域14、およびトランジスタT2のドレイン領域16、ソース領域14のためにN+拡散領域が形成される。トランジスタT1、T2は、ゲート酸化膜20A、20B上に形成されたポリシリコンゲート22A、22Bを含み、両ポリシリコンゲート22A、22Bがワード線WLに共通接続される。ポリシリコンゲート22A、22Bの形成後に層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜には、ドレイン領域12、16に接続されるビアおよび/または埋め込みプラグ等のコンタクト24A、24Bが形成される。次いで、基板全面に酸化ハフニウム等の薄膜が形成され、公知のフォトリソ工程により薄膜が所定の形状に加工され、可変抵抗素子R1、R2が形成される。その後、層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜には、可変抵抗素子R1、R2に接続されるビアおよび/または埋め込みプラグ等のコンタクト26A、26Bが形成され、その後、コンタクト26A、26Bにビット線BL、/BLがそれぞれ接続される。
【0010】
基板上への素子の形成が終了すると、次に、フォーミングが行われる。酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜を可変抵抗素子の材料に用いる場合、初期設定として金属酸化物をフォーミングしなければならない。通常、フォーミングは、可変抵抗素子を書込むときよりも幾分大きな電圧Vfを薄膜に印加することにより実施され、電圧を印加したときに薄膜を流れる電流の向きによって、セットおよびリセットの極性が決定される。このようなフォーミングは、抵抗変化型メモリを出荷する前に行われる。こうして、ビット線BL、/BLとトランジスタT1、T2との間に可変抵抗素子R1、R2に直列に接続される。
【0011】
図1図2に示されるようなセルユニットCUを形成する場合、トランジスタの形成後に可変抵抗素子の前駆体である薄膜を基板全面に形成し、その後、当該薄膜をトランジスタのドレイン領域に整合するようにパターンニングしなければならず工程が煩雑である。また、パターニングにより可変抵抗素子の形状や大きさにバラツキが生じると、可変抵抗素子の抵抗値が変動し、メモリの信頼性が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、製造が容易であり、かつ信頼性の高い不揮発性半導体メモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る不揮発性半導体メモリは、可逆的かつ不揮発的に遷移する記憶素子と当該記憶素子に接続されたトランジスタとを含むセルユニットが行列状に複数形成されたメモリアレイを有し、トランジスタのゲートはワード線に接続され、トランジスタの一方の拡散領域は前記記憶素子を介してビット線またはソース線に接続され、他方の拡散領域はソース線またはビット線に接続され、前記記憶素子は、前記メモリアレイの行方向に延在する薄膜内に選択的に形成される。
【0014】
好ましくは前記記憶素子は、ビット線またはソース線とのコンタクトの位置に自己整合的に形成される。好ましくは前記薄膜は、前記トランジスタのゲートを形成する層と前記ビット線またはソース線を形成する層との間に形成される。好ましくは前記薄膜は、前記トランジスタのゲートを形成する層と半導体基板表面との間に形成される。好ましくは前記薄膜は、複数行のトランジスタを覆うように前記メモリアレイの列方向に延在する。好ましくは前記記憶素子は、可変抵抗素子である。好ましくは前記薄膜は、前記ビット線と接触する領域でフォーミングされることにより可変抵抗素子を選択的に形成する。好ましくは前記薄膜内にソース線との接続のための低抵抗のコンタクト領域が形成される。好ましくは前記コンタクト領域は、フォーミング後に低抵抗状態にリセットされる。好ましくは前記セルユニットは、一対のアクセス用のトランジスタと一対の記憶素子を含み、一対のトランジスタのゲートはワード線に共通に接続され、一対の記憶素子には相補的な状態が記憶される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メモリアレイの行方向に延在する薄膜内に記憶素子を選択的に形成するようにしたので、その構成および製造を簡略化することができる。さらに、記憶素子のバラツキを抑制し、メモリの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の抵抗変化型メモリのアレイ構成を示す図である。
図2】従来の抵抗変化型メモリの他のアレイ構成を示す図である。
図3図3に示すアレイ内に形成されるメモリセルの構成を示す模式的な断面図である。
図4】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す図である。
図5】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリのアレイ構成を示す図である。
図6】本発明の実施例に係るセルユニットの模式的な概略断面図である。
図7】本発明の実施例に係るセルユニットのフォーミング時のバイアス電圧の一例を示す図である。
図8】本発明の実施例に係るセルユニットのフォーミング後の状態を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の実施例に係るメモリアレイの一部を示す模式的な平面図である。
図9A】本発明の実施例に係るメモリアレイの一部を示す模式的な平面図であり、セルユニットが1T+1Rから構成される例を示す図である。
図10】本発明の実施例に係る薄膜の他の形成例を示す模式的な平面図である。
図11】本発明の第2の実施例に係るメモリアレイの模式的な断面図である。
図12】本発明の第2の実施例に係るメモリアレイの模式的な平面図である。
図12A】本発明の第2の実施例に係るメモリアレイの模式的な平面図であり、セルユニットが1T+1Rから構成される例を示す図である。
図12B】本発明の第2の実施例に係るメモリアレイの模式的な平面図であり、セルユニットが2T+2Rから構成される例を示す図である。
図13】本発明の第2の実施例に係るメモリアレイの他の構成を示す平面図である。
図14】本発明の第3の実施例に係るメモリセルアレイの構成を示す模式的な断面図である。
図15】本発明の実施例による相補的な状態を記憶するセルユニットの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の好ましい形態では、不揮発性メモリの例に抵抗変化型メモリを用いる。なお、図面は、分かり易くするために各部を強調して示してあり、実際のデバイスのスケールとは異なることに留意すべきである。
【実施例】
【0018】
図4は、本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの全体構成を示すブロック図である。本実施例の抵抗変化型メモリ100は、行列状に配列された複数のセルユニットが配置されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され、入出力データを保持する入出力バッファ120と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力されるデータを保持するデータレジスタ140と、入出力バッファ120からのコマンドデータ等に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axをデコードしデコード結果に基づきワード線の選択および駆動を行うワード線選択回路160と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayをデコードしデコード結果に基づきビット線の選択および駆動を行う列選択回路170と、列選択回路170によって選択されたセルユニットから読み出された信号を検出したり、選択されたセルユニットへの書込みデータを保持するセンス回路180と、データの読出しや書込みに必要な電圧を発生させ、これをワード線選択回路160および列選択回路170へ供給する電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0019】
図5は、メモリアレイの一例を示す図である。メモリアレイ110は、図2に示すような2T+2RからなるセルユニットCUを二次元的にm×n個形成したものである。但し、本発明は、このようなメモリアレイに限定されるものではなく、図1に示すようなメモリアレイにも適用され得る。
【0020】
図6は、本実施例のセルユニットCUの模式的な概略断面図であり、図中、図3と同一構成については同一参照番号を付してある。本実施例では、可変抵抗素子を構成する薄膜は、従来のように各トランジスタのドレイン領域毎にパターニングされることなく、トランジスタ上を連続的に覆うように形成される。図6に示すように、セルユニットのアクセス用のトランジスタT1、T2の形成後に、層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜内にコンタクト24が形成される。次に、層間絶縁膜上に可変抵抗素子の前躯体である薄膜110が基板全面に形成される。次に、薄膜110は、公知のフォトリソ工程によりパターニングされるが、本実施例では、薄膜110は、少なくともトランジスタT1、T2の行方向を覆うように連続的に形成される。薄膜110は、任意の行数、任意の列数の領域を覆うように加工することができ、例えば、少なくとも1つまたは複数の行を覆うように行方向に連続的に延在されてもよい。要は、薄膜110は、従来の図3に示すセルユニットのように、各トランジスタのドレイン領域毎にパターニングされる必要はない。
【0021】
薄膜110は、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)等の遷移金属酸化物が用いられる。薄膜110を成膜した時点では、非常に高い抵抗値を有しており、これをスイッチングする可変抵抗素子として機能させるには、初期化処理としてフォーミングが実施される。フォーミングは、すべての素子を形成した後(出荷前)、薄膜110に一定のバイアス電圧を印加することにより実施される。フォーミングをすることによって薄膜内に導電性のフィラメントまたは導電路の一部が形成される。
【0022】
図7に、本実施例のセルユニットをフォーミングするときのバイアス電圧の一例を示す。
ビット線BL、/BL=0V、ソース線SL=4V、ワード線WL(ゲート22)=6Vを印加する。これにより、トランジスタT1、T2がオンし、可変抵抗素子R1、R2が高抵抗状態にセットされる。
【0023】
図8は、セルユニットがフォーミングされた後の模式的な断面図である。フォーミングされる前の薄膜110は、非常に高い抵抗を有している。図7に示すようなバイアス電圧が印加されると、ドレイン領域12に接続されたコンタクト24Aには約4Vが供給され、ビット線BLに接続されたコンタクト26Aには約0Vが供給される。これにより、コンタクト24A、26A間に挟まれた薄膜110の領域(図中、クロスハッチングされた領域)に電圧が印加され、この領域に可変抵抗素子R1が形成される。フォーミングされていない薄膜110は、非常に高い抵抗を有しているため、コンタクト24Aとコンタクト26B間、あるいはコンタクト26Aとコンタクト24B間には事実上電圧が印加されない。従って、可変抵抗素子R1は、コンタクト24Aと26Aによって接触された領域に自己整合的に形成される。言い換えれば、可変抵抗素子R1の精度は、コンタクト24A、26Aの精度に依存する。同様に、ビット線/BLに接続されたコンタクト26Bとドレイン領域16に接続されたコンタクト24B間に挟まれた薄膜110の領域に、可変抵抗素子R2が自己整合的に形成される。なお、フォーミングされた後の可変抵抗素子R1、R2は、高抵抗状態にセットされる。
【0024】
このように本実施例によれば、アクセス用トランジスタのドレイン領域に対応して薄膜をパターンニングする必要がなくなるので、製造工程を従来よりも簡単にすることができる。さらに、可変抵抗素子R1、R2は、コンタクト24A、24Bとコンタクト26A、26Bとによって挟まれた領域に自己整合的に形成されるので、コンタクト24A、24B、コンタクト26A、26Bの加工精度を向上させることで可変抵抗素子R1、R2の抵抗値のバラツキを小さくすることができる。
【0025】
また、コンタクト24A、24B、26A、26Bは、公知のプロセスを用いて構成される。例えば、コンタクト24A、24は、ドレイン領域24A、24Bとの界面にTi、W、Pt等のシリサイド層を含むことができる。さらにコンタクト層24A、24B、26A、26Bは、層間絶縁膜に形成されたビアまたは開口内にタングステン等の埋め込みプラグを含むことができる。
【0026】
次に、トランジスタT1、T2のソース領域14とソース線SLとの接続例について説明する。図9は、複数のセルユニットの模式的な平面図である。薄膜110の形状、大きさは任意に設定することができ、例えば、薄膜110は、行方向(X方向)に一定の距離だけ延在し、かつ、列方向(Y方向)に一定距離だけ延在する大きさにすることができる。図に示す例では、薄膜110は、少なくとも1つのセルユニットCUを覆うように行方向に延び、かつ複数のワード線WL1〜Wliを覆うように列方向に延びる。
【0027】
ポリシリコンゲート22A、22BのX方向の両側にN型の拡散領域が形成され、この拡散領域は、ドレイン領域12、16、ソース領域14をそれぞれ形成する。ここで留意すべきは、ソース領域14は、列方向に連続するように形成され、かつ薄膜110のY方向の大きさより幾分大きく形成される。ドレイン領域12、16上のビット線BL、/BLの直下には、上記したように可変抵抗素子R1、R2が形成される。ソース領域14は、薄膜110とソース線SLとを電気的に接続するためのコンタクト120は、薄膜110と干渉しない位置に形成される。また、ワード線WL1〜WLiについて、ここには詳述しないが、例えば、薄膜110と干渉しないように薄膜110よりも下層に配線層を形成し、当該配線層がポリシリコンゲート22A、22Bに接続される。
【0028】
次に、セルユニットの構成が図1に示すアレイのように1T+1Rから構成されるときの模式的な平面図を図9Aに示す。図9に示すコンプリメンタリのセルユニットではソース領域14が共通であるが、図9A(A)に示す1T+1Rのセルユニットでは、ソース領域14A、14Bがそれぞれ分離されて形成される。また、図9A(A)に示す例では、各ビット線BL1、BL2、…BLiがX方向に延在され、ワード線W1、W2…がY方向に延在される。各ビット線BL1〜BLiは、可変抵抗素子R1、R2を介してドレイン領域12、16に電気的に接続される。各ワード線WL1、WL2は、ビット線BLよりも下層に配線され、これにより、薄膜110に干渉することなく対応するゲート22A、22Bに接続される。図の例では、ワード線WL1は、コンタクト130を介してゲート22Aにそれぞれ接続され、ワード線WL2は、コンタクト130を介してゲート22Bにそれぞれ接続される。
【0029】
また、図9A(A)に示す例では、各ワード線を各ポリシリコンゲートにコンタクト130を介して接続される例を示しているが、これ以外にも、図9(B)に示すように、アクセス用のトランジスタのポリシリコンゲート22A、22BをそれぞれY方向に連続的に接続し、これをワード線にすれば、個々のコンタクト130は不要である。
【0030】
図10は、本実施例による薄膜の他の形成例を示す模式的な平面図である。同図に示す薄膜110は、複数のセルユニットを覆うように1行単位のストリップ状に形成される。言い換えれば、各薄膜110は、各ワードと並行に延在するように形成される。1つのストリップ状の薄膜110は、ビット線BL、/BLと交差する位置に可変抵抗素子R1、R2を含む。薄膜110の列方向の幅、およびワード線の列方向の幅、ポリシリコンゲート22A、22Bの列方向の幅を適宜調整することで、各ワード線は、薄膜110と干渉しない位置でポリシリコンゲート22A、22Bとコンタクト130を介して接続することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、薄膜内に可変抵抗素子およびソースコンタクトを形成するものであり、図11にその概略断面図、図12に模式的な平面図を示す。図11に示すように、ソース線SLは、コンタクト26C、可変抵抗素子Rs、コンタクト24Cを介してソース領域14に電気的に接続される。好ましい態様では、コンタクト24Cは、コンタクト24A、24Bの形成と同時に形成され、コンタクト26Cは、コンタクト26A、26Bと同時に形成される。コンタクト26Cとコンタクト24Cとの間に挟まれた薄膜110の領域にフォーミングすることにより可変抵抗素子Rsが形成される。
【0032】
フォーミングのためのバイアス電圧は、例えば、SL=4V、BL=0V、/BL=0V、WL=6Vである。この場合、可変抵抗素子R1、R2のフォーミングを先に実施し、かつ可変抵抗素子R1、R2を低抵抗状態にリセットしておく必要がある。さらに、フォーミングされた可変抵抗素子Rsは高抵抗状態のセットであるため、可変抵抗素子Rsを低抵抗状態にリセットする必要がある。例えば、このときのバイアス電圧は、SL=2V、BL=0V、/BL=0V、WL=4Vである。
【0033】
また、コンタクト24C、26C、公知のプロセスを用いて構成される。例えば、コンタクト24Cは、ソース領域14の界面にTi、W、Pt等のシリサイド層を含むことができる。さらにコンタクト層24C、26Cは、層間絶縁膜に形成されたビアまたは開口内にタングステン等の埋め込みプラグを含むことができる。
【0034】
図12を参照すると、先の図9に示したソース領域と異なり、本実施例のソース領域14は、薄膜110の大きさに無関係に形成することができる。図示する例では、ソース領域14は、トランジスタ毎に分離して形成されている。ソース領域14上を列方向に延在するソース線SLは、コンタクト26Cを介して可変抵抗素子Rsに接続される。このように、薄膜110内にソース線SLとソース領域14とを電気的に接続する低抵抗のコンタクト領域を形成することで、薄膜110による制約を受けることなくソースコンタクトを得ることができる。なお、図の例では、各ソース領域14が列方向に分離されているが、これを連続させて形成してもよい。
【0035】
次に、セルユニットの構成が図1に示すアレイのように1T+1Rから構成されるときの模式的な平面図を図12Aに示す。図12に示すコンプリメンタリのセルユニットではソース領域14が共通であるが、図12Aに示す1T+1Rのセルユニットでは、ソース領域14A、14Bがそれぞれ分離されて形成される。また、図12Aに示す例では、各ビット線BL1、BL2、…BLiがX方向に延在され、ワード線W1、W2…がY方向に延在される。さらにワード線W1、WL2…に平行してソース線SL1、SL2…がY方向に延在される。
【0036】
各ビット線BL1〜BLiは、可変抵抗素子R1、R2を介してドレイン領域12、16に電気的に接続される。各ワード線WL1、WL2は、ビット線BLよりも下層に配線され、これにより、ワード線WL1、WL2は、薄膜110に干渉することなく、対応するゲート22A、22Bにそれぞれ接続される。さらに、ソース線SL1は、可変抵抗素子Rsを介してソース領域14Aに接続され、ソース線SL2は、可変抵抗素子Rsを介してソース領域14Bに接続される。このような構成により、ソース線の設計の自由度がさらに向上される。
【0037】
なお、各ワード線WLは、コンタクト130を介してポリシリコンゲート22A、22Bに接続される必要はなく、図9A(B)に示したように、ポリシリコンゲート22A、22BをY方向に連続的に接続することで、これをワード線にすることができる。
【0038】
図12Bは、セルユニットが2T+2Rから構成されるときの模式的な平面図である。本例では、ポリシリコンゲート22A、22BがX方向に連続的に接続され、これがワード線WL1〜WL4を形成している。また、Y方向に隣接するセルユニットのドレイン領域12、16を分離するためダミーワード線DWLがX方向に形成される。セルユニットのトランジスタは、ワード線(ポリシリコンゲート)をマスクにソース・ドレインの拡散領域を自己整合的に形成するが、ダミーワード線DWLを配置させることで、ドレイン領域12、16を分離させることができる。動作時には、ダミーワード線DWLは、例えばグランドに印加される。このような構成により、2T、2Rのセルユニットの専有面積を小さくすることができる。
【0039】
また、上記した図10に示すようなワード線と薄膜とが行方向に並列に形成される構成を第2の実施例に適用してもよく、図13にその平面図を示す。
【0040】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図14は、第3の実施例によるセルユニットの模式的な断面図である。第3の実施例のメモリアレイでは、可変抵抗素子を形成するための薄膜110Aは、トランジスタT1、T2のゲート絶縁膜と提供するように構成される。P型のシリコン基板またはPウエルの表面に、N型の拡散領域12、14、16が形成される。次に、基板表面に、可変抵抗素子およびゲート絶縁膜を提供するための薄膜110Aが形成される。次に、拡散領域12、14、16に整合するように、薄膜110A上にゲート電極22A、22Bが形成される。次に、層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜内に薄膜110Aに繋がるコンタクト26A、26Bが形成され、次に、層間絶縁膜上にビット線BL、/BLが形成される。先に示した実施例のときと同様に、ソース線SL、ビット線BL、/BL、ワード線WLに所望のバイアス電圧を印加することで、薄膜110Aがコンタクト26A,26Bと接触している領域にフォーミングが行われる。これにより、ドレイン領域12、16上に可変抵抗素子R1、R2が形成される。一方、薄膜110Aは、非常に高抵抗の金属酸化物であり、この膜はゲート電極22A、22Bの直下でゲート絶縁膜として機能することができる。
【0041】
このように第3の実施例によれば、金属酸化物等の薄膜を基板表面に形成することで、可変抵抗素子とゲート絶縁膜とを同時に形成することができ、抵抗変化型メモリの製造工程をより簡略化させることができる。
【0042】
上記実施例では、図5に示すようなコンプリメンタリな状態を記憶するセルユニットが形成されたメモリアレイを例示したが、これに限らず、図1に示すような他のメモリアレイにも適用することができる。また、上記実施例では、相補的な状態を記憶するセルユニットとして、トランジスタとビット線との間に可変抵抗素子が介在するものを例示したが、これ以外にも図15に示すようにトランジスタとソース線SLとの間に可変抵抗素子を介在させるセルユニットにも本発明を適用することができる。さらに上記実施例は、抵抗変化型メモリを例示したが、可変抵抗素子の代わりに、可逆的、かつ不揮発的に特性を変化させる素子を置換することができるのであれば、本発明は、そのような不揮発性メモリのアレイにも適用することができる。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10:P型のシリコン基板またはウエル領域
12:ドレイン領域
14:ソース領域
16:ドレイン領域
20:ゲート酸化膜
22A、22B:ゲート
24A、24B、24C:コンタクト
26A、26B、26C:コンタクト
110:薄膜
120:コンタクト
130:コンタクト
R1、R2、Rs:可変抵抗素子
T1、T2:アクセス用トランジスタ
CU:セルユニット
【要約】
【課題】 製造が容易であり、かつ信頼性の高い不揮発性半導体メモリを提供する。
【解決手段】 本発明の抵抗変化型メモリは、可逆的かつ不揮発的に遷移する可変抵抗素子R1、R2と当該可変抵抗素子R1、R2に接続されたトランジスタT1、T2とを含むセルユニットCUが行列状に複数形成されたメモリアレイを有する。トランジスタT1、T2のゲートはワード線WLに接続され、トランジスタのドレイン領域12、16は可変抵抗素子R1、R2を介してビット線BL、/BLに接続され、ソース領域14はソース線SLに接続される。可変抵抗素子R1、R2は、メモリアレイの行方向に延在する薄膜110内に選択的に形成される。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図9A
図10
図11
図12
図12A
図12B
図13
図14
図15