(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5700608
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】プレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20150326BHJP
E04B 5/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
E01D19/12
E04B5/02 R
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-128787(P2014-128787)
(22)【出願日】2014年6月24日
【審査請求日】2014年9月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395013212
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラ建設
(73)【特許権者】
【識別番号】591116885
【氏名又は名称】ジャパンライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 祐介
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇
(72)【発明者】
【氏名】廣井 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 定明
(72)【発明者】
【氏名】山本 豊
(72)【発明者】
【氏名】張 永康
(72)【発明者】
【氏名】神吉 祐輔
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−324211(JP,A)
【文献】
特開2012−062664(JP,A)
【文献】
特開2008−111228(JP,A)
【文献】
特開2007−231569(JP,A)
【文献】
特開2003−268720(JP,A)
【文献】
特開平09−100512(JP,A)
【文献】
特開平01−105807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E04B 5/02
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート床版の接合端部から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を介し、相隣るプレキャストコンクリート床版を接続するプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であり、
前記プレキャストコンクリート床版の接合端面厚み方向の同一線上に間隔をおいて一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突設され、該一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋は、前記接合端面の長手方向に向かい間隔をおいて複数設けられ、
前記上部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が下向きに張り出して形成されると共に、該係止部の上面部は上部継手鉄筋の上面と略面一となるよう形成され、下部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が上向きに張り出して形成されると共に、該係止部の下面部は下部継手鉄筋の下面と略面一となるよう、前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋先端部を加熱して金型に収納し、熱間鍛造して上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と一体形成されてなり、
相隣るプレキャストコンクリート床版からの前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を突き合わせるように配置し、相隣る他方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と、該上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と接合端面の長手方向に向かい隣り合う上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋との間に、一方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が収まるよう、一方側のプレキャストコンクリート床版を下側に移動させて、相隣るプレキャストコンクリート床版が直線状になるよう配置し、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突き合わされて配置された継手空間内にコンクリートが打設される、
ことを特徴とするプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造。
【請求項2】
プレキャストコンクリート床版の接合端部から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を介し、相隣るプレキャストコンクリート床版を接続するプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であり、
前記プレキャストコンクリート床版の接合端面厚み方向の同一線上に間隔をおいて一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突設され、該一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋は、前記接合端面の長手方向に向かい間隔をおいて複数設けられ、
前記上部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が下向きに張り出して形成されると共に、該係止部の上面部は上部継手鉄筋の上面と略面一となるよう形成され、下部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が上向きに張り出して形成されると共に、該係止部の下面部は下部継手鉄筋の下面と略面一となるよう、前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋先端部を加熱して金型に収納し、熱間鍛造して上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と一体形成されてなり、
相隣るプレキャストコンクリート床版からの前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を突き合わせるように配置し、相隣る他方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と、該上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と接合端面の長手方向に向かい隣り合う上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋との間に、一方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が収まるよう、一方側のプレキャストコンクリート床版を下側に移動させて、相隣るプレキャストコンクリート床版が直線状になるよう配置し、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突き合わされて配置された継手空間内にコンクリートが打設され、
前記継手鉄筋間の引張力を前記継手鉄筋とコンクリートの付着力及び前記係止部の支圧力とで伝達する、
ことを特徴とするプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造。
【請求項3】
前記継手鉄筋先端部に形成された係止部は、継手鉄筋先端部を略1000℃に加熱して金型に収納し、熱間鍛造して形成した、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート床版同士の接合部における鉄筋継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造としては、主に重ね継手構造やループ鉄筋継手構造が一般的に知られている。
【0003】
ここで、重ね継手構造(
図10参照)によって鉄筋を継ぐ場合には、いわゆる道路橋示方書で定められた必要重ね継手長は、一般的に鉄筋径の30倍程度となり、例えば、鉄筋径D19の場合には接合部の長さは650mm程度の長さとなる。
【0004】
そして、この長さは、ループ鉄筋継手構造の接合部の長さよりも長くなってしまい、その接合部に打設される現場打ちコンクリートの量も多いものであった。
【0005】
前記接合部の現場打ちコンクリートは、プレキャストコンクリート床版で打設されるコンクリートよりも高価であり、当該打設量が多いとコストが割高になってしまいきわめて不経済となる。
【0006】
また、現場打ちコンクリートの量が多いことで、現場の作業時間が長くなるとの課題がある。
【0007】
さらに、二車線以上の幅員を有する既設床版につきプレキャストコンクリート床版を取り替える作業は、例えば、一般車両の片側通行を確保しながらプレキャストコンクリート床版の取り替え作業を行うものとなり、もって前記プレキャストコンクリート床版を橋軸直角方向に分割する幅員分割施工が採用される。
【0008】
しかしながら、前記幅員分割施工で、前記接合部の幅が長くなると、幅員の幅によっては施工の作業幅や車両通行幅を広く確保できないとの課題があった(
図8、
図9参照)。
【0009】
また、プレキャストコンクリート床版の橋軸直角方向をプレストレストコンクリート構造(PC構造)として設計した場合には、接合部が長いことで鉄筋コンクリート構造(RC構造)の範囲が広くなり、耐久性の面でも不利となるとの課題がある。
【0010】
次に、ループ鉄筋継手(
図11参照)にて鉄筋を継ぐ場合には、必要重ね継手長を前述した重ね継手構造よりも短くすることで接合部の長さを短くできるが、いわゆる道路橋示方書で定められる鉄筋の曲げ内半径によってループ形状が決定するため、重ね継手構造に比べて床版厚が厚くなるとの課題がある。
【0011】
床版厚が厚くなると、所定の計画高に適用できない場合や、床版重量が増加するために反力や応力が増加し、支承部や既設桁、下部構造が構造的に不利となる課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−303538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
かくして、本発明は前記従来の課題を解決するために創案されたものであり、プレキャストコンクリート床版同士の接合部の長さを短く設定して施工でき、もって現場打ちコンクリートの打設量を減少すること、及び現場の作業時間を短くすることができ、幅員分割施工においては、施工時の作業幅や車両通行幅を広く確保でき、プレキャストコンクリート床版の橋軸直角方向をプレストレストコンクリート構造(PC構造)として設計した場合に、鉄筋コンクリート構造(RC構造)の範囲を狭くでき、しかも、鉄筋径の増大や床版厚の増加をももたらすことのないプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明によるプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造は、
プレキャストコンクリート床版の接合端部から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を介し、相隣るプレキャスト
コンクリート床版を接続するプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であり、
前記プレキャストコンクリート床版の接合端面厚み方向の同一線上に間隔をおいて一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突設され、該一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋は、前記接合端面の長手方向に向かい間隔をおいて複数設けられ、
前記上部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が下向きに張り出して形成されると共に、該係止部の上面部は上部継手鉄筋の上面と略面一となるよう形成され、下部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が上向きに張り出して形成されると共に、該係止部の下面部は下部継手鉄筋の下面と略面一となるよう、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋先端部を加熱して金型に収納し、熱間鍛造して上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と一体形成されてなり、
相隣るプレキャストコンクリート床版からの前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を突き合わせるように配置し、相隣る他方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と、該上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と接合端面の長手方向に向かい隣り合う上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋との間に、一方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が収まるよう、一方側のプレキャストコンクリート床版を下側に移動させて、相隣るプレキャストコンクリート床版が直線状になるよう配置し、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突き合わされて配置された継手空間内にコンクリートが打設される、
ことを特徴とし、
または、
プレキャストコンクリート床版の接合端部から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を介し、相隣るプレキャスト
コンクリート床版を接続するプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であり、
前記プレキャストコンクリート床版の接合端面厚み方向の同一線上に間隔をおいて一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突設され、該一対の上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋は、前記接合端面の長手方向に向かい間隔をおいて複数設けられ、
前記上部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が下向きに張り出して形成されると共に、該係止部の上面部は上部継手鉄筋の上面と略面一となるよう形成され、下部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が上向きに張り出して形成されると共に、該係止部の下面部は下部継手鉄筋の下面と略面一となるよう、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋先端部を加熱して金型に収納し、熱間鍛造して上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と一体形成されてなり、
相隣るプレキャストコンクリート床版からの前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋を突き合わせるように配置し、相隣る他方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と、該上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋と接合端面の長手方向に向かい隣り合う上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋との間に、一方側のプレキャストコンクリート床版から突設された上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が収まるよう、一方側のプレキャストコンクリート床版を下側に移動させて、相隣るプレキャストコンクリート床版が直線状になるよう配置し、
前記上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突き合わされて配置された継手空間内にコンクリートが打設され、
前記継手鉄筋間の引張力を前記継手鉄筋とコンクリートの付着力及び前記係止部の支圧力とで伝達する、
ことを特徴とし、
または、
前記継手鉄筋先端部に形成された係止部は、継手鉄筋先端部を略1000℃に加熱して金型に収納し、熱間鍛造して形成した、
ことを特徴とするものである。
【0015】
よって、継手鉄筋の先端部を例えば半楕円形の拡径に加工した継手鉄筋とし、これを使用することによって、従来の重ね継手構造よりも必要重ね継手長を短くして接合部の長さを短くできる。また、ループ鉄筋継手構造のように継手鉄筋の曲げ内半径によって床版厚が厚くなることがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であれば、接合部の長さを短くすることができるため、現場打ちコンクリートの打設量を減少することや現場打ちコンクリートの打設量を減少させることで、コストを安価にし、現場の作業時間を短くすることができる。
【0017】
また、幅員分割施工において、接合部の長さを短くすることで、施工時の作業幅や車両通行幅を広く確保できる。そして、プレキャストコンクリート床版の橋軸直角方向をプレストレストコンクリート構造(PC構造)として設計した場合に、鉄筋コンクリート構造(RC構造)の範囲を狭くでき、耐久性を向上させることが出来る。
【0018】
さらに、道路橋示方書で定められるかぶりで決定する鉄筋の有効高が小さく、鉄筋径の増大や床版厚の増加をもたらすことがないとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図8】本発明の使用例を説明する説明図(1)である。
【
図9】本発明の使用例を説明する説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図に基づいて説明する。
【0021】
図1乃至
図4に本発明の一実施例を示す。
符号1はプレキャストコンクリート床版を示し、該プレキャストコンクリート床版1の接合端部2からは上部継手鉄筋3及び下部継手鉄筋4がプレキャストコンクリート床版1の前方に向かって突設されている。
【0022】
そして、この上部継手鉄筋3の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部5が下向きに張り出して形成されると共に、該係止部5の上面部6は、前記上部継手鉄筋3の上面と略面一となるよう形成されている(
図5(a)、(b)参照)。
【0023】
また、下部継手鉄筋4の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部5が前記上部継手鉄筋3の場合とは異なり、上向きに張り出して形成されている。そして、この係止部4の下面部7は下部継手鉄筋4の下面と略面一となるよう形成されている。
【0024】
ここで、前記係止部4の形成方法については、何ら限定されるものではないが、前記継手鉄筋の先端部を略1000℃程度に加熱し、その後、加熱した先端部を金型に収納し、もって熱間鍛造して形成することが考えられる。
【0025】
しかして、プレキャストコンクリート床版1の接合端部2から突設された上部継手鉄筋3及び下部継手鉄筋4を介し、相隣るプレキャスト
コンクリート床版1、1を接続するものとなる。
【0026】
すなわち、
図2に示すように、各々のプレキャストコンクリート床版1、1の接合端部2から突設された上部継手鉄筋3及び下部継手鉄筋4を突き合わせるようにして配置し、一方側のプレキャストコンクリート床版1を下側に移動させて、相隣るプレキャストコンクリート床版1、1を直線状に、すなわち
図3に示すように設置する。
【0027】
符号8は、相隣るプレキャストコンクリート床版1、1を直線状に、すなわち
図3に示すように設置した際の接合部であり、この接合部8内にコンクリートが打設されてプレキャストコンクリート床版1、1が接続されるものとなる。
【0028】
ここで、前述したように、上部継手鉄筋3の先端部に形成された係止部5は下向きに張り出すと共に、その上面部は
図3,
図5から理解されるように、上部継手鉄筋3の上面と略面一となるよう形成されており、また下部継手鉄筋4の先端部に形成された係止部5は、上向きに張り出すと共に、その下面部は
図2、
図3から理解されるように、下部継手鉄筋4の下面と略面一となるよう形成されている。
【0029】
よって、
図6に示すように、係止部5の形状が正円状に正楕円状に張り出し、上部継手鉄筋3の上面と略面一に上面部6を形成せず、また下部継手鉄筋4についても、その下面と略面一に下面部7を形成しない場合と、本発明の係止部5の様に、上部継手鉄筋3の上面と略面一に上面部6を形成し、また下部継手鉄筋4についても、その下面と略面一に下面部7を形成した場合では明らかに「かぶり」幅が異なり、本発明の係止部5の場合には
図6(b)に示すようにかぶり幅を狭く形成でき、もって継手鉄筋の有効高を大きく取ることが出来るものとなる。
【0030】
なお、本発明の継手構造により、前記接合部8における継手鉄筋間の引張力を前記上部継手鉄筋3、下部継手鉄筋4とコンクリートとの付着力及び前記係止部5の支圧力とで伝達するものとしてある。
【0031】
次に、
図7,
図8、
図9に本発明を二車線以上の幅員を有する既設床版、すなわちプレキャストコンクリート床版1を取り替える作業に適用した具体例を示す。
【0032】
本件のような具体例の場合は、例えば、一般車両の片側通行を確保しながらプレキャストコンクリート床版1の取り替え作業を行なわなければならない。従って、プレキャストコンクリート床版1を橋軸直角方向に分割する幅員分割施工が採用される(
図7乃至
図9参照)。
【0033】
しかしながら、前記幅員分割施工で、前記接合部8の幅が長くなると、幅員の幅によっては施工の作業幅や車両通行幅を広く確保できない。また、プレキャストコンクリート床版1の橋軸直角方向をプレストレストコンクリート構造(PC構造)として設計した場合には、接合部が長いことで鉄筋コンクリート構造(RC構造)の範囲が広くなり、耐久性の面でも不利となる。
【0034】
しかし、本発明を適用すれば、
図9(b)に示すように、車両通行幅を広く確保できることが出来るのである。
【符号の説明】
【0035】
1 プレキャストコンクリート床版
2 接合端部
3 上部継手鉄筋
4 下部継手鉄筋
5 係止部
6 係止部の上面部
7 係止部の下面部
8 接合部
【要約】
【課題】本発明は、プレキャストコンクリート床版同士の接合部の長さを短く設定して施工でき、幅員分割施工においては施工時の作業幅や車両通行幅を広く確保でき、プレキャストコンクリート床版の橋軸直角方向をPC構造として設計した場合にRC構造の範囲を狭くでき、鉄筋径の増大や床版厚の増加をももたらすことのないプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本願発明は、相隣るプレキャストコンリート床版を接続するプレキャストコンクリート床版の鉄筋継手構造であり、上部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が下向きに張り出して形成され、下部継手鉄筋の先端部からは、略半円盤状に張り出す係止部が上向きに張り出して形成されてなり、継手空間内では上部継手鉄筋及び下部継手鉄筋が突き合わされて配置されてコンクリートが打設されることを特徴とする。
【選択図】
図1