(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700628
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】面付け錠ユニット
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20150326BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20150326BHJP
E05B 63/22 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
E05B9/08 F
E05B65/06 C
E05B63/22
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-214792(P2010-214792)
(22)【出願日】2010年9月27日
(65)【公開番号】特開2012-67542(P2012-67542A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】木下 琢生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓磨
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−159613(JP,A)
【文献】
特許第4407883(JP,B2)
【文献】
特開2008−150864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも扉(1)の内壁面(1a)に第1固定手段(17)を介して面付け状態に直接固定されるケース状収納体(7A)と、このケース状収納体に第2固定手段(25)を介して固定的に収納される掘り込み型錠前(8A)と、該掘り込み型錠前を、前記ケース状収納体(7A)を介して全体的にカバーすると共に、該ケース状収納体に外嵌合するプッシュプル式ハンドル装着用のカバー台座(10A)を備える面付け錠ユニット。
【請求項2】
請求項1に於いて、カバー台座(10A)は、一側壁(10a)に縦方向の切欠部分(32)を有し、錠前(8A)のフロント(21)は、前記一側壁と略面一状態になるように前記切欠部分に位置していることを特徴とする面付け錠ユニット。
【請求項3】
面付け錠ユニット(2A)は、扉(1)の内壁面(1a)に直接固定されると共に縦長の内部空間(15)を有するケース状収納体(7A)と、このケース状収納体(7A)に内装される掘り込み型錠前(8A)と、前記ケース状収納体7Aに対して被せるように外嵌合するプッシュプル式ハンドル装着用のカバー台座(10A)を備え、該面付け錠ユニット(2A)の真下に所定間隔離間して位置しかつ前記扉(1)の内壁面(1a)に固定される下方の面付け錠ユニット(2B)も該面付け錠ユニット(2A)と同一の構成部材から成り、上方の面付け錠ユニット(2A)のカバー台座(10A)と下方の面付け錠ユニット(2B)のカバー台座(10B)には室内側の前記プッシュプル式ハンドル(4)が縦方向に配設されることを特徴とする面付け錠ユニット。
【請求項4】
請求項3に於いて、取付け体(9A)は扉を貫通する複数本の連結柱を有する連結手段(3)によってケース状収納体(7A)側に引寄せられ、ケース状収納体(7A)は扉(1)の内壁面(1a)と取付け体(9A)の垂直板部分(9a)とによってサンドイッチ状態に挟持されることを特徴とする面付け錠ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面付け錠ユニットに関し、特に縦長ハンドルを装着するのに適合する面付け錠ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくともラッチボルト11と該ラッチボルトを出没させる作動機構とを有するラッチ錠10と、扉aの開く方向に対して押し操作または引き操作ができるように保持された室内側ハンドル20および室外側ハンドル30と、このハンドルの押し又は引きの操作によりラッチ錠10のラッチボルト11を後退又は後退を許容させて開扉可能としてなるプッシュプル式の扉錠であって、前記ラッチ錠10は錠箱1内に収納して、少なくともラッチ錠のラッチボルト11を錠箱1から出没できるようにしてあり、前記錠箱1は扉の室内側の扉面に面付けするとともに、この錠箱1の表面側に取り付ける室内側ハンドル20と、扉の室外側の扉面側に取り付ける室外側ハンドル30とを固定してあることを特徴とするプッシュプル式扉錠」が開示されている。
【0003】
しかして、この特許文献1の
図4を参照にすると、例えば面付け錠ユニットは、少なくとも、扉aの内壁面に第1固定手段71、71を介して面付け状態に固定される縦長ベース板70と、この縦長のベース板70に第2固定手段4、4等を介して固定的に取り付けられる一側開口の縦長錠箱1と、この縦長錠箱1に内装される既存の錠前(例えばラッチ錠)と、前記縦長錠箱1の外壁面に固定される上下の台座とから成り、前記上下の台座には、プッシュプル式の縦長ハンドル20が縦方向に配設される。
【0004】
上記構成の面付け錠ユニットは、縦長錠箱1に既存の錠前を固定的に内装することができるもの、縦長ベース板70と、これに一体的に固定される一側開口の縦長錠箱1とは別個の部材であることから、面付け錠ユニットの各部材を扉aの内壁面に簡単に取り付けることができない、上下の台座は縦長錠箱1の外面に複数本のねじ28、29を介してそれぞれ固定されるものであるから、前記ねじ28、29が弛む可能性があり、台座がガタツキ易い等の問題点があった。
【0005】
なお、特許文献1の
図13の上下の面付け錠ユニットは、それぞれ別個であるものの、これらのサムターンケース94、95の内部構成は、全く不明である(符号は特許文献1のもの)。
【0006】
また、特許文献2には、扉の内壁面に固定される面付け錠ユニットが、錠前2と、該錠前の内壁面を除く外壁面を包む略断面コ字形状のカバー体19と、該コ字形状カバー体の外壁面中央部に外方向に突出成形された取付け座23から成る室内側の面付け錠ユニットが開示されている(符号は特許文献2のもの)。
【0007】
この特許文献2に記載の実施例は、錠前を略断面コ字形状のカバー体で錠前を包むので、現場での取付け施工が楽である、結露対策としての意味合いがそれなりにある等発明の効果が認められるものの、前記面付け錠ユニットは、本願発明の実施形態の如く、カバー体19が、本願発明の如く錠前全体を収納することができるケース状収納体でない、ケース状収納体及び台座(取付け座23)の他にケース状収納体を扉の内壁面に挟持状態に固定する取付け体が存在しない、台座がケース状収納体の外面を全体的にカバーするものではない等から、扉の内壁面側に扉の木口相当の環境作りを十分に発揮させることができず、従来の掘り込み型に使用されているラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等の錠前を、面付け状態に簡単に取り付けることができない、結露対策を十分に発揮することができない、防犯性が十分ではない、台座そのものを交換することができない、修理の際に台座のみを取り外しことができない等の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−159613号公報
【特許文献2】特開平9−256706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の所期の目的は、従来の特許文献に記載の実施例の問題点に鑑み、扉の木口に嵌め込まれる、いわゆる「掘り込み型錠前(例えばラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等)」を、木口に嵌め込む場合と同様に、扉の内壁面側に扉の木口相当の環境作りを錠前の取付け現場で簡単に実行することができ、従来の掘り込み型に使用されているラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等の錠前を、面付け状態に簡単に取り付けることができる面付け錠ユニットを提供することである。それと共に、結露対策を十分に発揮することができる、防犯性も発揮することができる、使用者の希望や修理のことも考え、台座そのものを簡単に交換することができることを目的とする。
【0010】
第2の目的は、面付け錠ユニットを構成するカバー台座を扉の内壁面に固定される木口相当のケース状収納体に「がたつく」ことがないように確実(しっかりと)に固定することである。
【0011】
第3の目的は、ケース状収納体そのものが「がたつく」ことがないように扉の壁面に確実に固定することである。
【0012】
第4の目的は、例えばプッシュプル式の縦長ハンドルを装着するのに適合する面付け錠ユニットを提供することである。その他、外観上の美観を考慮し、扉の内壁面の正面から見たとき、ラッチ錠を収納するケース状収納体がカバー台座から見えないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の面付け錠ユニットは、少なくとも扉(1)の内壁面(1a)に第1固定手段(17)を介して面付け状態に
直接固定されるケース状収納体(7A)と、このケース状収納体に第2固定手段(25)を介して固定的に収納される
掘り込み型錠前(8A)と、該掘り込み型錠前を、前記ケース状収納体(7A)を
介して全体的にカバーする
と共に、該ケース状収納体に外嵌合するプッシュプル式ハンドル装着用のカバー台座(10A)を備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明の面付け錠ユニットは、面付け錠ユニット(2A)は、扉(1)の内壁面(1a)に
直接固定されると共に縦長の内部空間(15)を有するケース状収納体(7A)と、このケース状収納体(7A)に内装される
掘り込み型錠前(8A)と、前記ケース状収納体7Aに対して被せるように外嵌合する
プッシュプル式ハンドル装着用のカバー台座(10A)を備え、該面付け錠ユニット(2A)の真下に所定間隔離間して位置しかつ前記扉(1)の内壁面(1a)に固定される下方の面付け錠ユニット(2B)も該面付け錠ユニット(2A)と同一の構成部材から
成り、上方の面付け錠ユニット(2A)のカバー台座(10A)と下方の面付け錠ユニット(2B)のカバー台座(10B)には室内側の
前記プッシュプル式ハンドル(4)が縦方向に配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
(a)独立項に記載の発明は、扉の木口に嵌め込まれる、いわゆる「掘り込み型錠前(例えばラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等)」を、木口に嵌め込む場合と同様に、扉の内壁面側に扉の木口相当の環境作りを錠前の取付け現場で簡単に実行することができ、従来の掘り込み型に使用されているラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等の錠前を、そのまま面付け状態に簡単に取り付けることができる。また、面付け錠ユニットを構成するカバー台座を扉の内壁面に
直接固定される木口相当のケース状収納体に「がたつく」ことがないように確実(しっかりと)に固定することができる。さらに、
カバー台座(10A)はプッシュプル式の縦長ハンドルを装着するのに適合する。
(b)請求項2に記載の発明は、ラッチ錠を収納するケース状収納体及びラッチ錠のフロントが略カバー台座から突起しないので、突起部分が障害物とならない。
(c)請求項4に記載の発明は、ケース状収納体が容易にがたつかない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1乃至
図11は本発明の最良の実施形態を示す各説明図。
図12及び
図13は本発明の第2実施例を示す各説明図。
【
図2】戸枠を断面で示した平面視からの概略説明図。
【
図3】扉の自由端面(戸先)側から見た概略説明図。
【
図4】
図2の主要部を示す平面視からの概略説明図。
【
図6】主要部を示す斜視図(カバー台座で取付け体及びケース状収納体を全体的にカバーした状態)。
【
図7】主要部を構成する部材の分解斜視図(上方の面付け錠ユニット)。
【
図8】要部(ケース状収納体及び取付け体を扉の内壁面に固定した状態)の斜視図。
【
図9】
図8に於いて、ケース状収納体にラッチ錠を嵌め込みかつ固定した状態の概略断面説明図。
【
図10】扉の内壁面と取付け体とでケース状収納体を挟持する説明図。
【
図11】
図10に於いて、カバー台座でケース状収納体及び取付け体をカバーし、取付け体にカバー台座を固定した状態の概略断面説明図。
【
図12】本発明の第2実施例を示す
図6と同様の斜視図。
【
図14】要部(取付け体9Aの突片部分9b)の設計変更例を示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、
図1乃至
図11に示す本発明を実施するための最良の形態により説明する。
【0018】
(1)特定要件を含む環境説明
まず、本発明の特定要件を含む環境説明を簡単に説明する。
図1は扉の内壁面側から見た概略説明図、
図2は戸枠を断面で示した平面視からの概略説明図、
図3は扉の自由端面(戸先)側から見た概略説明図である。これらの図に於いて、1は開閉体としての扉、1aは扉の内壁面、1bは扉の外壁面である。2A、2Bは室内側の上下の面付け錠ユニット、一方、6A、6Bは室外側の上下の面付け錠ユニットである。
3は室内側の上下の面付け錠ユニット2A、2Bと、これに対応する室外側の上下の面付け錠ユニット6A、6Bをそれぞれ連結する複数の連結手段で、これらの上下の連結手段3、3は、扉1を挟んで互いに対向する内外のケース状収納体(後述)をそれぞれ一体的に連結する。
【0019】
したがって、例えば室外側の上下の面付け錠ユニット6A、6Bを構成する不番の取付けベース或いはケース状収納体には、それぞれ複数本(例えばそれぞれ2本)の連結柱3a、3aが設けられ、一方、後述する室内側の上下の面付け錠ユニット2A、2Bを構成するケース状収納体7A,7B乃至上下の取付け体9A、9Bは、前記連結柱3a、3aの先端部がそれぞれ貫通する複数個の連結孔3b、3b並びにこれらのそれぞれ螺合するネジ3c、3cが存在する。
【0020】
本発明では、室内側の上下の面付け錠ユニット2A、2Bの内、一方の、例えば上方に位置する面付け錠ユニット2Aの主要部について説明するが、下方に位置する面付け錠ユニット2Bも、その技術的思想は同一である。したがって、ここでは面付け錠ユニット2Bの主要部について説明は、上方に位置する面付け錠ユニット2Aの主要部についての説明をそのまま援用する。
【0021】
ところで、室外側の上下の面付け錠ユニット6A、6Bの構成は、上方に位置する面付け錠ユニット2Aの主要部と同一又は異なるものであっても良い。本発明は、少なくとも室内側の面付け錠ユニット2A、2Bの構成を権利範囲として請求するものである。
【0022】
そこで、室内側の上下に位置する面付け錠ユニット2A、2Bは、少なくとも、扉1の内壁面1aに第1固定手段17を介して面付け状態に固定される上下のケース状収納体7A,7Bと、上方のケース状収納体7Aに第2固定手段を介して固定的に収納される上方のラッチ錠8A並びに下方のケース状収納体に第2固定手段を介して面付け状態に固定される下方の本施錠(カマデッド)8Bと、前記ケース状収納体7A,7Bの外壁面7bにそれぞれ設けられ、かつ突片部分を有する上下の取付け体9A、9Bと、縦長の内部空間15を有すると共に、該取付け体及び前記ケース状収納体を全体的にカバーした状態で該取付け体に第3固定手段を介して固定される上下のカバー台座10A、10Bを備え、前記上下のカバー台座10A、10Bには、
図1及び
図3で示すように、垂直状態に可動式の内外の長尺状ハンドル4、5をそれぞれ配設することができる。
【0023】
ここで、
図2を参照にして、内側の長尺状ハンドル4の取付け態様の一例を簡単に説明する。
図2に於いて、a、aは左右の戸枠で、この左右の戸枠a、aの間に扉1が水平方向に開閉可能に設けられている。そして、1cは扉1の吊元側で、一方、1dは戸先側である。室内側に位置するように扉1の内壁面1aの戸先側1dに設置された上下の面付け錠ユニット2A、2Bは、それぞれデットボルト、駆動カム等を備え、内側の機械的操作手段(摘みを備えたサムターン装置)13、13により、本実施例ではカマデッド11が出没する。
【0024】
また、本実施例では、面付け錠ユニット2A、2Bのいずれか一方、例えば上方の面付け錠ユニット2Aはカマデッド11の他に、内側のプッシュプル式長尺状ハンドル4の操作力に基づいて後退動する反転ラッチ、ラッチボルト等のラッチ本体12を備えている。内側の長尺状ハンドル4は、面付け錠ユニット2A、2Bに、その基端部が適宜に軸支された枢支部4aと、該枢支部から吊元1cに向いてやや弧状に延出する腕部4bと、この腕部の先端部に縦方向に固定された棒状の操作部4cとから成り、前記枢支部4aには、面付け錠ユニット2A、2Bに入り込む図示しない駆動片が取り付けられている。
【0025】
(2)面付け錠ユニット2Aの具体的構成
図6は、主要部を示す斜視図で、この図では、カバー台座10Aでもって、取付け体9A及びケース状収納体7Aを全体的にカバーした状態を示す。また、
図7は前記主要部を構成する各部材の分解斜視図である。
【0026】
前述したように、本発明は、少なくとも室内側の面付け錠ユニットの構成を権利範囲として請求するものであるから、ここでは、
図6乃至
図11を参照にして、上方の面付け錠ユニット2Aの構成を具体的に説明する。
【0027】
本実施形態の面付け錠ユニット2Aは、扉1の内壁面1aに固定されると共に縦長の内部空間15を有するケース状収納体7Aと、このケース状収納体7Aに内装されるラッチ錠8Aと前記ケース状収納体7Aの外壁面7bにそれぞれ設けられかつ複数の突片部分を有する取付け体9Aと、前記ケース状収納体7Aと同様に縦長内部空間を有し該取付け体9A及び前記ケース状収納体7Aに対して被せるように外嵌合するカバー台座10Aを備え、該面付け錠ユニット2Aの真下に所定間隔離間して位置しかつ前記扉1の内壁面1aに固定される下方の面付け錠ユニット2Bも該面付け錠ユニット2Aと同一の構成部材から成る場合には、上方の面付け錠ユニット2Aのカバー台座10Aと下方の面付け錠ユニット2Bのカバー台座10Bには、室内側の長尺状ハンドル4が縦方向に配設される。
【0028】
そこで、例えば
図7を参照にすると、7Aはケース状収納体で、このケース状収納体7Aの縦長の内部空間15は、扉1の木口に嵌め込まれる、いわゆる「掘り込み型錠前(例えばラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等)」を、木口に嵌め込む場合と同様に、扉1の内壁面1aに扉の木口に相当する環境作りをし、従来の掘り込み型に使用されているラッチ錠、本施錠付きラッチ錠、本施錠等の錠前を、そのまま面付け状態に簡単に取り付けることができる大きさに設定されている。
【0029】
実施形態では、少なくとも木口に相当する嵌め込み口16が前記縦長の内部空間15に連通して設けられている。ケース状収納体7Aに上壁や下壁を設けるか否かは単なる設計事項であるが、ケース状収納体7Aは、少なくとも断面コ字形状の周壁を有する。
【0030】
しかして、ケース状収納体7Aは、扉1の内壁面1aに固定される内側の取付けベース板部分7aを有する断面コ字形状に形成され、該ケース状収納体7Aの前方開口端面に前述した木口相当の嵌め込み口16が形成されている。そして、取付けベース板部分7a及び該取付けベース板部分7aと対向する手前側の外壁面7bには、必要に応じて、例えば第1固定具17用の内外の複数個の第1取付け孔18a、18bが形成され、前記手前側の外壁面7bに形成された第1取付け孔18bは、取付けベース板部分7aに形成された第1取付け孔18aよりも比較的大きく形成されている。
【0031】
その理由は、手前側の外壁面7bの第1取付け孔18bを介して第1固定具17(例えばねじ)を入れ、縦長の内部空間15内で第1固定具17をドライバー等で適宜に回してケース状収納体7Aを内壁面1aに固定するからである。また前記取付けベース板部分7a及び外壁面7bには、前述した連結柱3a(
図3参照)が貫通する複数の貫通孔19、19が形成されている。さらに、不番の機械的操作装置用の孔、長尺状ハンドル4の駆動片用開口26等が適宜に形成されている。加えて、ケース状収納体7Aの嵌め込み口16の上下には、例えばラッチ錠8Aのフロントの上下端部が面接触する取付け突片20、20が設けられている。
【0032】
次に、8Aはケース状収納体7Aに内装されるラッチ錠である。このラッチ錠8Aは、周知のラッチ錠と同様に、フロント21を有する錠ケース22の内部に、カマデッド11を作動させるためのデッド出没機構及びラッチ本体12を後退動させるためのラッチ機構が組み込まれている。
【0033】
しかして、錠前の一例としてのラッチ錠8Aは、ケース状収納体7Aと同様に、機械的操作装置用の孔、長尺状ハンドル4の駆動片用開口24等が適宜に形成されている。そして、ラッチ錠8Aは、ケース状収納体7Aに嵌め込み口16を介して完全(全体的)に収納されると、フロント21の貫通孔を貫通して取付け突片20、20に螺合する第2固定手段25を介して該ケース状収納体7Aに固定的に内装される。
【0034】
なお、ラッチ錠8Aがケース状収納体7Aに完全に収納されると、ラッチ錠8Aの駆動片用開口24とケース状収納体7Aの駆動片用開口26等は符合する。
【0035】
次に、9Aは取付け体で、この取付け体9Aは、ケース状収納体7Aの外壁面7bに添設状態設けられ、かつ複数の突片部分を有する取付け体である。本実施形態では、断面コ字形状に形成され、前記外壁面7bに面接触状態で添設される垂直板部分9aと、この垂直板部分9aの端板部分に相当する上下或いは左右一対の突片部分9b、9bとから成る。
【0036】
しかして、前記垂直板部分9aには、前述したように、連結手段を構成する複数の連結孔3b、3bが形成されていると共に、前述した駆動片用開口26と符合する駆動片用開口27が形成されている。また、機械的操作装置用の孔28も形成されている。
【0037】
一方、前記左右の突片部分9b、9bには、第3固定具29用の取付け孔30、30がそれぞれ形成されている。ところで、この取付け体9Aの垂直板部分9aの前記連結孔3b、3bには、室外側の上の面付け錠ユニット6Aの連結柱3a、3aがそれぞれ貫通するので、ネジ3cによって取付け体9Aがケース状収納体7A側に引寄せられると、ケース状収納体7Aは扉1の内壁面1aと取付け体9Aの垂直板部分9aとによってサンドイッチ状態に挟持される(
図10参照)。
【0038】
したがって、ケース状収納体7Aは第1固定具17と連結手段3の両方によってしっかりと弛まないように固定される。また、このケース状収納体7Aは、カバー台座10Aの内部空間の一部に入り込んで、該カバー台座10Aを安定した状態に支持する機能を有する。
【0039】
最後に、10Aはケース状収納体7Aの縦長の内部空間15よりも大きい縦長内部空間31を有し、前述した取付け体9A及びケース状収納体7Aを全体的にカバーした状態で該取付け体9Aの左右の突片部分9b、9bに第3固定手段30を介して固定されるカバー台座である。
【0040】
カバー台座10Aの意匠的な外観形態は適宜に設計変更し得る事項であるが、本実施例では、少なくとも、取付け体9A及びケース状収納体7Aに被せることができる大きさに形成されている。
【0041】
そして、実施形態では、一側壁10aに縦方向の切欠部分32を有し、ラッチ錠8Aの錠ケース22のフロント21は、前記一側壁と略面一状態になるように前記切欠部分32に位置している。また、前記一側壁10aと、該一側壁に対向する他方の側壁10bには、上下方向に所定間隔を有して複数の取付け孔33、33が形成されていると共に、前記他方の側壁10bと直交する手前の前壁10cには、内側ハンドル4の基端部を挿入する開口34及び機械的操作装置用の孔(サムターン摘みの軸孔)35が適宜に形成されている。
【0042】
(4)機械的操作装置、
機械的操作装置13は、例えばサムターン摘みを有するサムターン装置で、上下のサムターン装置13は、室内側の上下に位置する面付け錠ユニット2A、2Bにそれぞれ適宜に組み込まれている。なお、室外側の上下に位置する面付け錠ユニット6A、6Bには、上下の機械的操作装置(シリンダ錠)40、40がそれぞれ適宜に組み込まれている。したがって、本発明は、いわゆるツインロックにも使用することができる。
【0043】
(5)その他の構成−錠受け
図5を参照にすると、戸先側の戸枠aには、二つの錠受け41A、41Bが上下方向に所要間隔を有してそれぞれ固定されている。例えば
図4で示すように、上下の金属製錠受け41A、41Bは、扉枠aの外面に突出するようにそれぞれ固定されている。これら上下の金属製錠受け41A、41Bは、一体成形されていても良いが、本実施形態では、上下方向に所定間隔を有して扉枠aに配設され、例えば上方の金属製錠受け41Aは、本施錠片用の係合穴42aの他に、ラッチ本体用の係合穴42bを有している。扉側のラッチ本体12は1つで十分であることから、例えば下方の金属製錠受け41Bは、本施錠片11用の係合穴42aのみ有している。
【0044】
図12及び
図13は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。この第2実施例は、カバー台座(10A、10B)の一側壁10aに本施錠片(カマデッド)11の開口32A及び/又はラッチ本体12用の開口32Bを形成し、該カバー台座(10A、10B)でもって錠前(例えばラッチ錠)8Aのフロント21も含む、該錠前8Aを「すっぽりと」包むようした点が、前記第1実施形態と相違する。このように構成しても、本発明の本質的事項に変更はない。もちろん、第2実施形態の場合には、フロント21を有しない錠前8Aを「すっぽりと」包むようにしても良い。なお、取付け体そのものを取付け体の外壁面に突出成形しても良い。
【0045】
ところで、本発明の実施形態では、例えば
図7で示すように、取付け体9Aの左右の端部には左右一対の突片部分9b、9bが対向状態に設けられているが、この要部(突片部分9b)は、固定手段29が固着具であるか、或いは図示しないオス・メス係合片であるか、或いは両方を併用するか等の観点から当業者が任意に設計変更することができる。
図14は念のためにその変形例(例えば突片部分9b、9bが厳格な意味での左右一対でなくても良い)を示す斜視図である。
図14で示すように、固定手段29の設計変更は、当該技術分野に於いて、当業者に自明乃至周知事項である限り、本発明の本質的事項ではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、錠前や建具の分野で利用される。
【符号の説明】
【0047】
a…戸枠(扉枠)、1…扉、1a…内壁面、2A、2B…室内側の上下の面付け錠ユニット、3…連結手段、3a…連結柱、3b…連結孔、3c…ネジ、4…内側ハンドル、5…外側ハンドル、6A、6B…室外側の上下の面付け錠ユニット、7A、7B…上下のケース状収納体、7a…取付けベース板部分、7b…外壁面、8A…錠前(例えばラッチ錠)、9A、9B…上下の取付け体、10A、10B…上下のカバー台座、11…本施錠片(カマデッド)、12…ラッチ本体、15…縦長の内部空間、16…嵌め込み口、17…第1固定手段、18a、18b…第1取付け孔、19…貫通孔、20…取付け突片、21…フロント、22…錠ケース、24、26、27…駆動片用開口、25…第2固定手段、29…第3固定手段、31…カバー台座の縦長内部空間。