【実施例1】
【0028】
図1に示すように、アンダーカバー1は、前方部1aと中間部1bと後方部1cとを備えた構成になっており、前方部1aは、アンダーカバー1を取付けるラジエーターコアサポート部材2a(
図2参照)と同様の平面形状に構成されている。
図1のIV−IV断面図である
図4に示すように、アンダーカバー1は、前方部1aから中間部1bにかけて下り傾斜の傾斜面として構成されており、中間部1bからは立上り面17が形成されている。
【0029】
前方部1aには、アンダーカバー1をフロントバンパー3に取付けるための取付け面11が形成されている。また、中間部1bに形成した立上り面17の後方側には、アンダーカバー1を車体構造部材2に取付けるための取付け面12が形成されている。取付け面12の後方側にはアンダーカバー1の後方部1cが延設されており、図示は省略しているが後方部1cにも、アンダーカバー1をサスペンションフレーム2b(
図1参照)に取付けるための取付け面が形成されている。
ラジエーターコアサポート部材2a及びサスペンションフレーム2bは、車体構造部材2を構成している構成の一部として使用されている。
【0030】
アンダーカバー1を取付ける車体構造部材2は、
図2に示すような構成になっている。ラジエーターコアサポート部材2aの先端部には、
図4に示すように、アンダーカバー1の取付け面12を取付けるための取付け孔6が、車幅方向に沿って複数形成されている。ラジエーターコアサポート部材2aの取付け孔6とアンダーカバー1の取付け面12に形成した取付け
孔12aとは、クリップ4bを介して連結されることになる。
【0031】
ラジエーターコアサポート部材2aの前方には、フロントバンパー3が配されており、フロントバンパー3の裏面には、アンダーカバー1の取付け面11を取付けるための取付け孔5が、車幅方向に沿って複数形成されている。
図4に示すように、フロントバンパー3の取付け孔5とアンダーカバー1の取付け面11に形成した取付け孔11aとは、クリップ4aを介して連結されることになる。
【0032】
図1、
図2、
図4に示すように、アンダーカバー1の前方部1aと中間部1bに形成した立上り面17の前面との間には、車両の前後方向に沿って形成された複数のリブ18aが、車両の車幅方向に複数形成されている。また、立上り面17の裏面にも、車両の前後方向に沿って形成された複数のリブ18bが、車両の車幅方向に複数形成されている。
【0033】
図1、
図2に示すように、車幅方向における立上り面17の一部部位は、更に延設されて形成されており、延設されて形成された部位は、車幅方向に幅寸法を有した突出部15として形成されている。
図1では、突出部15を車幅方向に二つ設けた構成を示しているが、突出部15としては、車幅方向に少なくとも一つ以上設けておくことができる。
【0034】
図2に示すように、立上り面17の前面に連接して形成されたリブ18aのうちで、突出部15の前方傾斜面15aの位置に配されているリブ18aは、突出部15の前方傾斜面15aに沿って、突出部15の頂部面15cまで延びるように形成されている。同様に
図4に示すように、立上り面17の裏面に連接したリブ18bに関しても、立上り面17の裏面と突出部15の後方傾斜面15bの裏面との間に配されるリブ18bは、立上り面17の裏面と突出部15の後方傾斜面15bの裏面と突出部15の頂部面15cの裏面とをそれぞれ接続するように形成されている。
【0035】
図4及び突出部15の要部拡大図である
図6に示すように、突出部15の後方傾斜面15bは、下り傾斜の傾斜面として形成されている。即ち、突出部15の後方傾斜面15bは、アンダーカバー1の車両前後方向への変形時に突出部15の後方傾斜面15bが当接するラジエーターコアサポート部材2aの当接部20から離れる方向に向かって下り傾斜の傾斜面として形成されている。そして、突出部15の頂部面15cにおける後方側端縁から、前方側に角度θ傾いた形状に構成されている。
【0036】
図4、
図5に示すように、アンダーカバー1を車体構造部材2に装着したときには、突出部15の後方傾斜面15bから後方に延設された取付け面12は、ラジエーターコアサポート部材2aの底面から下方に配されており、突出部15の頂部面15cの高さ位置は、ラジエーターコアサポート部材2aの当接部20の高さ位置よりも上方の位置に配されることになる。そして、突出部15の後方傾斜面15bとラジエーターコアサポート部材2aの当接部20との間は、車両前後方向において所定寸法L離間して配設されることになる。
【0037】
次に、
図6〜
図8を用いて、衝撃力が車両前方から加わった場合について説明する。
図8に示すように、車両前方から衝撃力が加わると、フロントバンパー3は、破線で示す初期状態の位置から細線で示す後方の位置に移動する。このとき、フロントバンパー3に接続しているアンダーカバー1は、前方部1aと中間部1bとの間での傾斜面と立上り面17との間での弾性変形と
図6に示すように、後方への移動によって衝撃力を吸収してフロントバンパー3が破損するのを防止する。
【0038】
特に、アンダーカバー1は、前方部1aから中間部1bにかけて下り傾斜の傾斜面として構成されているので、傾斜させることによって意図した方向にアンダーカバー1を変形させることができる。
【0039】
また、アンダーカバー1をラジエーターコアサポート部材2aに取付けるのに当たって、アンダーカバー1の取付け面12に形成した取付け孔12aを、車両の前後方向に伸びる長孔として形成している。長孔として形成することによって、衝撃力がアンダーカバー1に作用したときに、アンダーカバー1の移動を容易に行わせることができ、後方への移動量を長く構成することができる。
【0040】
車両前方から衝撃力が小さいときには、アンダーカバー1は弾性復帰を行い、フロントバンパー3は、
図8で示すように細線の後退位置から破線で示した初期位置に戻ることができる。しかし、車両前方から衝撃力が大きいときには、
図7に示すように、突出部15の後方傾斜面15bはラジエーターコアサポート部材2aの当接部20に当接して、アンダーカバー1の後方への移動が規制されることになる。
【0041】
即ち、ラジエーターコアサポート部材2aの当接部20に、アンダーカバー1の後方への移動を規制するストッパとしての機能を奏させることができる。そして、突出部15の頂部面15cは、ラジエーターコアサポート部材2aの当接部20に引っ掛かることになり、アンダーカバー1が、ラジエーターコアサポート部材2aの当接部20との当接状態が解除されるのを防止しておくことができる。
【0042】
このように、ストッパとしての機能を奏する当接部20に当接したアンダーカバー1は、一種の構造体となってフロントバンパー3に対して反力を作用させることができる。そして、障害物がアンダーカバー1の下方に引き込まれてしまうのを防止することができる。
【0043】
このように、本願発明のアンダーカバー1では、車両前方から衝撃力によってアンダーカバー1に衝撃荷重を受けた際に、衝撃荷重が小さい場合と衝撃荷重が大きい場合に応じてそれぞれ適切な対応で作動することができる。しかも、衝撃荷重が大きい場合には、アンダーカバー1として反力を奏させるための剛性を確保することができる。
【0044】
また、補強用のリブ18a、18bを設けることにより、アンダーカバー1の底面を平面状態に構成しておくことができ、アンダーカバー1の底面に沿って流れる空気の流れを、層流状態の流れとして流すことができ、アンダーカバー1の底面に沿って流れる空気に対する空力抵抗を減らすことができる。しかも、アンダーカバー1の表面積を増加させても、必要な強度をリブ18a、18bによって保持することができるので、表面積増加に伴う質量の増加も抑えられる。
また、リブ18a、18bによって、アンダーカバー1としての必要剛性を確保することができるので、車両の衝突時にアンダーカバー1が破壊に至ることを防止できる。
【実施例2】
【0045】
図9〜
図11を用いて、本願発明に係わるアンダーカバー1の突出部の構成について、他の構成について説明する。実施例1では、突出部15をアンダーカバー1と一体的に形成した構成について説明を行ったが、実施例2では、突出部22をアンダーカバー1とは別体に構成して、アンダーカバー1に取付ける構成について説明する。
【0046】
他の構成は、実施例1と同様の構成となっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0047】
図9(a)、
図9(b)、
図10に示すように、アンダーカバー1には、中間部1bに形成した立上り面17の後面17bと取付け面12との間に突出部22を取付けるための凹部23が形成されている。
図10に示すように、凹部23に突出部22を固定することができる。
図9(a)の要部拡大図である
図9(b)に示すように、凹部23への突出部22の取付けは、リペ
ット等の固定手段を用いて行うことができる。突出部22の剛性を高めるため、突出部22の前面側及び裏面側には、リブ25a、25bがそれぞれ設けられている。
【0048】
また、突出部22がラジエーターコアサポート部材2aの当接部20に当接したときに、当接状態が外れないようにするため、突出部22の上部を当接部20側に曲げたカギ状の形状に構成しておくことができる。また、突出部22が当接部20に当接した際に、突出部22が位置ズレを生じさせないように、立上り面17の後面17bによって、位置ズレを防止させている。
【0049】
突出部22の位置ズレを防止するための構成としては、立上り面17の後面17bを用いる代わりに、隆起部を突出部22の位置ズレを防止する側に設けておくこともできる。即ち、エンボス部を設けておくことにより、突出部22の位置ズレを防止させることができる。エンボス部としては、アンダーカバー1に隆起させた隆起部や立上り面17の後面17b等を用いることができる。