特許第5700656号(P5700656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700656
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】錠受けガイド及び建具
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20150326BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20150326BHJP
   E05F 7/04 20060101ALI20150326BHJP
   E05C 3/12 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   E05D13/00 F
   E06B3/46
   E05F7/04
   E05C3/12
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-67898(P2011-67898)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-202116(P2012-202116A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2013年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高山 幸久
(72)【発明者】
【氏名】白浜 朋彦
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭56−6631(JP,Y2)
【文献】 実開昭52−44639(JP,U)
【文献】 実公昭60−18525(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E05C 3/12
E05F 7/04
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
框のと対向する戸先壁に形成された引込用開口にガイド本体が装着され、枠に前記框が近接された場合に前記枠に設けられた錠受けが前記引込用開口を介して内部に進入されるとともに、前記ガイド本体に対して前記枠の見込み面に設けられた突条が当接される錠受けガイドであって、
前記ガイド本体には、前記突条が当接する部分の延長上となる部分から突出して前記戸先壁に対向した支持壁との間に介在し、かつ前記突条が前記ガイド本体に当接した場合に前記支持壁に当接する支持受部と、前記戸先壁の戸先面に当接する取付面とを設けたことを特徴とする錠受けガイド。
【請求項2】
框の枠と対向する戸先壁に形成された引込用開口に錠受けガイドが装着されるとともに、前記引込用開口に通じた前記框の内部に施錠機構を配設した障子と、
前記障子をスライド可能に支持し、かつ前記障子の戸先面に対向する枠の見込み面に突条を備えるとともに、前記引込用開口に対向する部位に錠受けを備えた開口枠と
を備え、前記枠に前記框を近接させて前記突条を前記錠受けガイドのガイド本体に当接させた場合に、前記引込用開口から前記框の内部に進入した錠受けを介して前記施錠機構が前記枠に係合し、これら枠及び框の互いに離隔する移動を阻止するようにした建具において、
前記ガイド本体には、前記突条が当接する部分の延長上となる部分から突出して前記戸先壁に対向する支持壁との間に介在し、かつ前記突条が前記ガイド本体に当接した場合に前記支持壁に当接する支持受部と、前記戸先壁の戸先面に当接する取付面とを設けたことを特徴とする建具。
【請求項3】
柱状を成す支持受部を前記ガイド本体と一体に形成し、前記支持受部の先端面を前記支持壁に当接させることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記ガイド本体には、当該ガイド本体が前記戸先壁に取り付けられた状態において前記引込用開口の端縁と対向する部位に互いの接触を回避する窪部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子の戸先に設けられる錠受けガイド及び錠受けガイドを備えた建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓等の建具には、戸先錠と称される施錠装置を備えたものが提供されている。施錠装置は、例えば、障子において戸先に位置する縦框に配設された施錠機構と、開口枠において戸先の縦框に対向する縦枠に配設された錠受けとによって構成されている。この施錠装置では、障子が閉じられた際に、縦框の戸先壁に形成した引込用開口を通じて錠受けが縦框の内部に進入し、やがて進入した錠受けが施錠機構に係合する。これにより、縦枠及び縦框の互いに離隔する移動が阻止され、開口枠に対して障子が閉じた状態に維持されることになる。錠受けと施錠装置との係合状態を解除すれば、障子を開けることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の建具では、縦枠において障子の戸先面に対向する部位に突条が設けられる一方、障子に形成された引込用開口に錠受けガイドが装着され、障子を閉じた際に突条を錠受けガイドに当接させるようにしたものがある。錠受けガイドとしては、合成樹脂材によって成形されたものを適用するのが一般的である。こうした建具によれば、開口枠の突条に対して障子の錠受けガイドが当接することで、開口枠に対して障子の閉じた位置を正確に規定することが可能となる。従って、例えば開口枠の突条に対して障子の錠受けガイドが当接した時点で錠受けが施錠機構に係合するように構成すれば、施錠状態において障子がガタ付く事態を防止することができるようになる。
【0005】
しかしながら、縦框の戸先壁は、引込用開口が大きく切り欠かれたものであり、必ずしも十分な剛性を確保できるとはいえない。このため、大きな速度を持って障子を閉める等、開口枠の突条に対して障子の錠受けガイドが衝撃的に当接した場合には、縦框の戸先壁に損傷を来す恐れがある。
【0006】
こうした問題を解決するには、戸先壁の肉厚を大きくとることが考えられるが、建具の製造コストが増大したり、製品重量が増大する問題を招来するのは否めない。特に、縦框として押し出し型材を適用した場合には、全長に渡って肉厚が大きくならざるを得ず、上述の製造コストや製品重量が増大する問題が一層顕著となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストや製品重量が増大する問題を抑えた上で、ガタ付くことなく障子と開口枠との間を施錠することのできる錠受けガイド及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る錠受けガイドは、框の枠と対向する戸先壁に形成された引込用開口にガイド本体が装着され、枠に前記框が近接された場合に前記枠に設けられた錠受けが前記引込用開口を介して内部に進入されるとともに、前記ガイド本体に対して前記枠の見込み面に設けられた突条が当接される錠受けガイドであって、前記ガイド本体には、前記突条が当接する部分の延長上となる部分から突出して前記戸先壁に対向した支持壁との間に介在し、かつ前記突条が前記ガイド本体に当接した場合に前記支持壁に当接する支持受部と、前記戸先壁の戸先面に当接する取付面とを設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、障子閉動作を行い錠受けガイドのガイド本体に開口枠の突条が当接した場合、ガイド本体と戸先壁に作用する外力をガイド本体の支持受部を介して支持壁に伝えることができ、戸先壁の変形を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る建具は、框の枠と対向する戸先壁に形成された引込用開口に錠受けガイドが装着されるとともに、前記引込用開口に通じた前記框の内部に施錠機構を配設した障子と、前記障子をスライド可能に支持し、かつ前記障子の戸先面に対向する枠の見込み面に突条を備えるとともに、前記引込用開口に対向する部位に錠受けを備えた開口枠とを備え、前記枠に前記框を近接させて前記突条を前記錠受けガイドのガイド本体に当接させた場合に、前記引込用開口から前記框の内部に進入した錠受けを介して前記施錠機構が前記枠に係合し、これら枠及び框の互いに離隔する移動を阻止するようにした建具において、前記ガイド本体には、前記突条が当接する部分の延長上となる部分から突出して前記戸先壁に対向する支持壁との間に介在し、かつ前記突条が前記ガイド本体に当接した場合に前記支持壁に当接する支持受部と、前記戸先壁の戸先面に当接する取付面とを設けたことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、障子閉動作を行い錠受けガイドのガイド本体に開口枠の突条が当接した場合、ガイド本体と戸先壁に作用する外力をガイド本体の支持受部を介して支持壁に伝えることができ、戸先壁の変形を抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、上述した建具において、柱状を成す支持受部を前記ガイド本体と一体に形成し、前記支持受部の先端面を前記支持壁に当接させることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、ガイド本体と支持受部とを一体の部品として取り扱うことができる。
【0014】
また、本発明は、上述した建具において、前記ガイド本体には、当該ガイド本体が前記戸先壁に取り付けられた状態において前記引込用開口の端縁と対向する部位に互いの接触を回避する窪部を設けたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、ガイド本体に開口枠の突条が当接した場合、戸先壁において引込用開口の端縁に外力が加えられることがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガイド本体に開口枠の突条が当接した場合、ガイド本体と戸先壁に作用する外力が支持受部を介して支持壁に作用する。これにより、戸先壁の肉厚を大きくとることなく、戸先壁に損傷を来す恐れがなくなるため、製造コストや製品重量が増大する問題を抑えた上で、ガタ付くことなく障子と開口枠との間を施錠することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態である錠受けガイドを適用した建具が閉じる状態を示す要部横断面図である。
図2図2は、図1に示した建具において障子が閉じる際の錠受けと施錠機構との関係を示す要部横断面図である。
図3図3は、図1に示した建具の要部を示す分解斜視図である。
図4図4は、図1に示した建具の要部を示す縦断面図である。
図5図5は、図1に示した建具を室内側から見た図である。
図6図6は、図1に示した建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る錠受けガイド及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である錠受けガイドを適用した建具を示すものである。ここで例示する建具は、図5及び図6に示すように、開口枠10に左右2枚の障子20を備え、開口枠10に対して2枚の障子20を左右方向にスライドさせて開閉する、いわゆる引き違い窓と称されるものである。開口枠10は、上枠11、下枠12及び一対の縦枠13を四周枠組みすることによって構成した矩形状を成すものである。障子20は、それぞれ上框21、下框22及び一対の縦框23,24を四周框組みし、かつこれら上框21、下框22及び一対の縦框23,24の間にガラス板等の面材25を配設することによって構成したものである。尚、本実施の形態では、開口枠10の各枠11,12,13及び障子20の各框21,22,23,24として、それぞれアルミニウムやアルミニウム合金の押し出し型材によって成形されたものを適用している。
【0020】
開口枠10の縦枠13には、図1及び図2に示すように、障子20の戸先框23に対向する部位に突条13aが設けてある。突条13aは、縦枠13の上端から下端に渡る全長に設けたヒレ状の突部であり、先端部が室内側に向けてほぼ直角に屈曲し、その突出端部に当接面13bを構成している。
【0021】
一方、障子20の戸先に位置する縦框(以下、縦框を区別する場合に「戸先框23」という)は、戸先側に位置する戸先壁23aに対して面材25側に支持壁23bを有し、かつこれら戸先壁23aと支持壁23bとの端縁部間がそれぞれ見付け壁23c,23dによって接合された中空の角筒状を成している。さらに、この戸先框23には、戸先壁23aの両側縁部にカバー片23e,23fが一体に設けてある。これらのカバー片23e,23fは、縦枠13に向けて互いにほぼ平行となるように延在しており、戸先壁23aの戸先面23g及び互いの間に縦枠13の突条13aが進入する収容部23Hを構成している。
【0022】
この建具には、障子20の戸先框23と、開口枠10の対応する縦枠13との間に、戸先錠と称される施錠装置が構成してある。施錠装置は、図2及び図5に示すように、縦枠13において高さ方向のほぼ中央となる位置に錠受け31を設ける一方、戸先框23に引込用開口32を形成し、かつ戸先框23の内部に施錠機構300を設けて構成したものである。
【0023】
錠受け31は、縦枠13の見込み面から突出したプレート状部材である。この錠受け31は、その突出端部に係合孔31aを有しており、係合孔31aが見込み方向に沿って開口する姿勢で縦枠13に取り付けてある。係合孔31aは、錠受け31の突出端部側に縦枠13の見付け面に対向する係合面31bを構成するものである。
【0024】
引込用開口32は、戸先框23の戸先壁23aにおいて錠受け31に対向する部位に設けた切欠であり、図3に示すように、上下方向に沿って縦長に形成してある。この引込用開口32は、戸先框23を縦枠13に近接させた場合に縦枠13の錠受け31を戸先框23の内部に受け入れることが可能である。また、戸先框23の戸先壁23aにおいて引込用開口32の上下となる位置には、それぞれ開口が円形状の挿通孔33が形成してある。これらの挿通孔33は、後述する錠受けガイド40の支持受部42を挿通するためのものである。
【0025】
施錠機構300は、引込用開口32を通じて錠受け31が戸先框23の内部に進入された場合に錠受け31に係合し、錠受け31の退行方向への移動を阻止するものである。施錠機構300としては、如何なる構成のものを適用しても構わないが、本実施の形態では、図2に示すように、係合フック310とラチェット320とを備えたものを例示している。
【0026】
係合フック310は、フック基部311からフック部312及び当接部313が突出した形状のプレート状部材であり、鉛直方向に沿ったフック軸314によりフック基部311を介して戸先框23の内部に回転可能に配設してある。この係合フック310は、図2の(a)に示すように、引込用開口32の延長域に当接部313が位置し、かつフック部312が退避した解錠位置と、図2の(b)に示すように、引込用開口32の延長域に対して手前側(図2において左方)からフック部312及び当接部313が順次位置した施錠位置とに変位することが可能である。図には明示していないが、この係合フック310と戸先框23との間には、常時解錠位置となるように付勢する解錠バネが介在させてある。
【0027】
ラチェット320は、ラチェット基部321から係止部322が突出した形状のプレート状部材であり、鉛直方向に沿ったラチェット軸323によりラチェット基部321を介して戸先框23の内部に回転可能に配設してある。このラチェット320は、図示せぬラチェットバネの付勢力によって係止部322を常時フック基部311の外周面に当接させた状態にあり、解錠位置にある係合フック310が施錠位置に向けて回転するのを許容する一方、係合フック310が施錠位置に移動した場合に係止部322をフック基部311に係止させ、解錠位置に向けて回転するのを阻止するように機能する。尚、このラチェット320には、図示せぬ解除レバーが連係してある。解除レバー(図示せず)は、戸先框23の外部から操作された場合にラチェット320を係合フック310から離隔させ、施錠位置にある係合フック310が解錠位置へ回転するのを許容するものである。
【0028】
さらに建具には、障子20の戸先框23に錠受けガイド40が装着してある。錠受けガイド40は、図1図4に示すように、中央部にガイド孔41aを有したガイド本体41と、ガイド本体41の両端部から突出した一対の支持受部42とを合成樹脂材によって一体に成形したもので、一部が外部に露出した状態でガイド本体41を引込用開口32に挿入し、かつ支持受部42をそれぞれ挿通孔33に挿通させることにより、戸先框23の戸先壁23aに着脱可能に装着してある。より具体的に説明すると、錠受けガイド40は、ガイド本体41においてカバー片23e,23fに対応する部位にそれぞれ係止突起41b,41cを有しており、これらの係止突起41b,41cをカバー片23e,23fの係合ヒレ23i,23jに対して弾性的に係合させることにより、戸先框23の戸先壁23aに着脱可能に取り付けてある。
【0029】
ガイド本体41において縦枠13の突条13aに対向する部位には、受面41dが構成してある。受面41dは、突条13aの当接面13bに対して平行となるように形成した平面部分であり、戸先框23の戸先面23gから十分な肉厚を確保した位置に形成してある。この受面41dの位置は、突条13aの当接面13bが当接した時点で、引込用開口32に進入した錠受け31の係合孔31aに対して係合フック310のフック部312が進入し、係合フック310のフック部312が係合孔31aの係合面31bに当接した状態となるように設定してある。尚、図1の(b)に示すように、縦枠13の突条13aが受面41dに当接した場合には、カバー片23e,23fの先端と縦枠13の見込み面とが直接接触しないように間隙が確保してある。
【0030】
支持受部42は、図4に示すように、それぞれガイド本体41の受面41dにおいて突条13aが当接する部分の延長上となる部位から突出した円柱状を成すもので、戸先框23に装着された状態において個々の先端面が支持壁23bに当接している。
【0031】
また、ガイド本体41において戸先面23gに対向する取付面41eには、窪部41fが設けてある。窪部41fは、戸先壁23aにおいて引込用開口32の外周縁となる部位に形成した凹部であり、錠受けガイド40が戸先框23に装着された状態において、ガイド本体41と戸先壁23aの切断端縁とが互いに接触するのを回避している。
【0032】
上記のように構成した建具では、開口枠10に対して障子20が開いた状態にある場合、図1の(a)及び図2の(a)に示すように、施錠機構300の係合フック310が解錠バネ(図示せず)によって解錠位置に配置されている。障子20の戸先面23gに設けた錠受けガイド40は、戸先框23に構成した収容部23Hに収容され、カバー片23e,23fによってその大部分が覆われているため、室内側や室外側から容易に視認されることはなく、外観品質が著しく損なわれることはない。
【0033】
この状態から障子20を閉めると、図1の(b)及び図2の(b)に示すように、縦枠13に設けた錠受け31が引込用開口32を通じて戸先框23の内部に進入され、縦枠13の突条13aがガイド本体41の受面41dに当接した時点で錠受け31の係合孔31aに係合フック310のフック部312が進入して係合面31bに当接した状態となるとともに、ラチェット320の係止部322がフック基部311に係止されて係合フック310の解錠位置への回転が阻止される。
【0034】
この状態においては、施錠機構300の係合フック310と縦枠13の錠受け31とが係合することにより、縦枠13及び戸先框23の互いに離隔する移動が阻止され、開口枠10に対して障子20が閉じた状態に維持される。しかも、縦枠13の突条13aが錠受けガイド40の受面41dに当接した時点で係合フック310が錠受け31の係合面31bに当接するため、開口枠10に対して障子20を開ける方向のみならず、障子20を閉める方向にも移動が阻止される。従って、施錠状態において障子20がガタ付く事態を招来する恐れもない。
【0035】
一方、この状態から図示せぬ解除レバー(図示せず)を操作すると、ラチェット320の係止部322がフック基部311から離隔され、解錠バネ(図示せず)のバネ力によって係合フック310が解錠位置に復帰するため、係合フック310のフック部312が錠受けガイド40の係合孔31aから逸脱され、開口枠10に対して障子20を開くことができるようになる。
【0036】
ここで、開口枠10に対して障子20を閉めた場合には、縦枠13の突条13aが戸先框23に設けた錠受けガイド40の受面41dに当接することになるため、錠受けガイド40のガイド本体41に衝撃力が加えられる恐れがある。しかしながら、上述の建具によれば、錠受けガイド40のガイド本体41に支持受部42を設け、その先端面を戸先框23の支持壁23bに当接させるようにしている。従って、ガイド本体41に突条13aが当接した場合、ガイド本体41と戸先壁23aに作用する外力をガイド本体41の支持受部42を介して支持壁23bに伝えることができるようになり、錠受けガイド40を装着した戸先壁23aに大きな衝撃力が加えられる恐れがない。戸先框23の支持壁23bは、戸先壁23aのような引込用開口32が形成されておらず、大きな肉厚を確保せずとも十分な剛性を確保することが可能である。これにより、戸先壁23aの肉厚を大きくとることなく、戸先壁23aに損傷を来す恐れがなくなるため、製造コストや製品重量が増大する問題を抑えた上で、ガタ付くことなく障子20と開口枠10との間を施錠することが可能となる。
【0037】
尚、上述した実施の形態では、ガイド本体41と支持受部42とを一体成形しているため、取り扱う場合の部品点数が増大することがないが、ガイド本体41と支持受部42とを別体に成形しても構わない。また、支持受部42は、図4に示すように、戸先框23に装着された状態において個々の先端面が支持壁23bに当接しているが、例えば、障子20が開いた状態において支持受部42の個々の先端面が支持壁23bに離間し、障子20が閉じた場合に支持受部42の個々の先端面が支持壁23bに当接する構成としても良い。
【0038】
さらに、上述した実施の形態では、錠受けガイド40が戸先壁23aに取り付けられた状態において、ガイド本体41の戸先壁23aに対向する面と戸先壁23aとが当接したものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガイド本体41の戸先壁23aに対向する面と戸先壁23aとを離間しても設けても良い。この場合、錠受けガイド40は、ガイド本体41の係止突起41b,41cをカバー片23e,23fの係合ヒレ23i,23jに対して弾性的に係合させるだけ戸先壁23aに装着することができる。この状態において、ガイド本体41に開口枠10の突条13aが当接した場合、ガイド本体41のみに外力が作用し、さらにこの外力が支持受部42を介して支持壁23bに作用することになる。このため、ガイド本体41に作用した外力が戸先框23の戸先壁23aに加えられることがなく、戸先壁23aに変形を来す恐れがない。
【0039】
また、上述した実施の形態では、支持壁23bとして框の外表面を構成するものを例示しているが、例えば、框の内部に支持壁23bに相当する内壁が存在するのであれば、その内壁を支持壁として構成することも可能である。
【0040】
さらに、上述した実施の形態では、縦枠13と縦框23との間に施錠装置を設けるものを例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、開口枠10に対して障子20が上下にスライドする建具に適用する場合には、下枠12と下框22との間もしくは上枠11と上框21との間に施錠装置を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 開口枠
11 上枠
12 下枠
13 縦枠
13a 突条
13b 当接面
20 障子
21 上框
22 下框
23 戸先框
24 縦框
23a 戸先壁
23b 支持壁
23g 戸先面
31 錠受け
32 引込用開口
40 錠受けガイド
41 ガイド本体
41d 受面
41f 窪部
42 支持受部
300 施錠機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6