(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数個所それぞれの再生可能エネルギー発電設備毎に、自設備の発電量を計測して計測時刻と共に前記通信ネットワークを介して前記制御装置へ送信するデータ送信装置を備え、
前記合成データ生成手段は、前記各再生可能エネルギー発電設備の発電量を合成する際、前記計測時刻に基づいて略同一の時刻に計測された発電量同士を合成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発電出力変動補完システム。
それぞれが大規模電力系統に接続されその発電出力を該大規模電力系統に供給する複数地点にそれぞれ設置される再生可能エネルギー発電設備から、通信ネットワークを介して、その発電量データを収集する発電量データ収集手段と、
該収集した複数の発電量データを合成して成る合成データを生成する合成データ生成手段と、
該生成した合成データに基づいて前記複数の再生可能エネルギー発電設備全体の発電出力の変動に対応する発電量を求め、該求めた発電量を、前記大規模電力系統に接続されその発電出力を該大規模電力系統に供給する自家発電設備として設置された分散型の燃料発電設備に指示することで、該分散型の燃料発電設備に該発電量の発電を行わせる発電量算出・制御手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
それぞれが大規模電力系統に接続されその発電出力を該大規模電力系統に供給する複数地点にそれぞれ設置される再生可能エネルギー発電設備から、通信ネットワークを介して、その発電量データを収集する発電量データ収集手段と、
該収集した複数の発電量データを合成して成る合成データを生成する合成データ生成手段と、
該生成した合成データに基づいて前記複数の再生可能エネルギー発電設備全体の発電出力の変動に対応する発電量を求め、該求めた発電量を、前記大規模電力系統に接続されその発電出力を該大規模電力系統に供給する自家発電設備として設置された分散型の燃料発電設備に指示することで、該分散型の燃料発電設備に該発電量の発電を行わせる発電量算出・制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電、風力発電、燃料電池、発電用ガスエンジンといった様々な分散型電源の実用化、導入が進められている。そのような分散型電源をビル内等の自家発電設備として採用することは、地球温暖化ガスの排出量削減が期待でき、電力会社から供給される電力量の削減、あるいは、震災や火災時の自立安定性も確保し易いといった様々な利点がある。したがって、分散型電源を用いた電力供給システムは、今後広く普及するものと予測される。
【0003】
太陽光発電や風力発電は、再生可能エネルギー利用発電の一例である。よく知られているように、この様な再生可能エネルギー利用発電の発電量は、日射量次第、風速次第であり、コントロール不能な出力変動が生じるものである。
【0004】
なお、ガスエンジンとは、ガスを燃料として駆動するエンジンである。発電用ガスエンジンは、ガスエンジンによって発電する自家発電設備である。ガス器具・設備での利用としては、熱と電気を発生させるコージェネレーションシステムに多く利用され、そのほとんどが自動車用のガソリンエンジンと同様の原理である。
【0005】
一連の工程は、1.シリンダ内(燃焼室)に燃料ガスと空気をあらかじめ混合して供給し、2.混合気をピストンにより圧縮し、電気火花で点火。3.燃焼後の混合気(=燃焼ガス)が膨張しピストンを押し下げる。4.最後にピストンにより燃焼ガスはシリンダから排出される。この3の膨張工程時ピストンが下がるときに外部に仕事をし(クランク機構を経て回転力に変換)し、接続された発電機を回転させ、発電する。業務用、工業用途のほか、都市ガスで発電し、そのとき出る熱でお湯もつくり、暖房もできる家庭用のガスコージェネレーションシステムとして使われている。
【0006】
またコージェネレーションの動力としては、この他にガスタービンもある。
また、燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて電気を生成する発電装置であり、水素と酸素を供給し続けることで継続的に発電しつづけることができる。
【0007】
ところで、上記分散型電源を用いた電力供給システムでは、再生可能エネルギー利用発電と商用系統(大規模電力会社の電力網)を併用(系統連系)して運転させると、再生可能エネルギーの出力変動により商用系統に影響が出ることがある。特に、今後、太陽光発電が電力供給システムに大量に組み込まれる場合、太陽光発電の出力が日射量によって変動し、商用系統側調整能力不足によって電力の需要と供給のバランスが崩れるため、商用系統上に周波数変動が生ずる可能性がある。
【0008】
この周波数変動は、周波数の数値に依存して動く機械もあるため、50Hz系統では一般的には±0.2Hz以上の周波数変動が生じるのは好ましくない。また、商用系統における負荷変動の補償を電力会社にばかり求めると、電力会社の負荷変動に対する調整能力に大きな負担が掛かる。
【0009】
したがって、近年では、分散型電源を個別にその負荷に追従させて運転させること、特に太陽光発電が導入される場合、その出力変動を抑制するように運転させることが、求められている。このようにすれば、商用系統にかかる負荷変動抑制の電力会社側の負担を軽減させることができる。
【0010】
この様なことに関して、例えば特許文献1〜4の従来技術が知られている。
特許文献1には、再生可能エネルギーや負荷の変動を蓄電池設備と自家発電設備を統合して制御することにより、電力系統と接続する連系線潮流を設定値とする技術が開示されている。特許文献1に記載の技術は、電力系統と1点で接続されている連系線潮流を設定値にする技術である。
【0011】
特許文献2には、分散型電源の性能に見合った運転をすることで、発電と負荷のバランスを保つマイクログリッドシステムについて開示されている。
特許文献3には、マイクログリッド内に存在する最も負荷追従性能の良い分散型電源1台にのみ、自立的な高速の負荷追従運転を行わせることで、デジタル通信網に対応した制御システムによる負荷追従運転を行うことができる分散側電源の制御方法について開示されている。
【0012】
特許文献4には、各分散型電源の運転制御を実施する際に高精度な負荷追従運転を実現することができる分散型電源システムについて開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1(a),(b)に、本例の発電出力変動補完システムのシステム構成図を示す。
ここでは、
図1(a)には主に電力系統に係る部分、
図1(b)にはデータ送受信・制御に係る部分を示すものとする。つまり、本例の発電出力変動補完システムは、
図1(a)の構成と
図1(b)の構成の両方を有するものである。
【0021】
尚、図示の例では再生可能エネルギー発電設備の一例として太陽光発電設備を示すが、これは一例であり、この例に限らない。例えば再生可能エネルギー発電設備の他の例としては風力発電等がある。
【0022】
上記のことから、
図1(a)、(b)の両方を参照しながら説明する。
まず、
図1(a)において、電力系統1は、商用電力系統(大規模電力会社の電力網;大規模電力系統)であり、例えば50Hzあるいは60Hzの周波数の電力供給を行う大規模電力系統である。従って、特に図示しないが、この電力系統1に対しては大規模電力会社の発電施設(原子力発電所、火力発電所、水力発電所など)によって発電された電力も供給されている。また、特に図示しないが、この電力系統1にはその末端に各種負荷(工場、オフィス、一般家庭など)が接続されており、当然、随時、負荷変動が生じていることになる。この様な負荷変動に対しては、大規模電力会社側で随時、電力系統1に対する電力供給量を調整する等して対応している。
【0023】
しかしながら、太陽光発電設備等からの電力供給に係る変動に対しても大規模電力会社側で対応することには負担が大きいし、今度、電力系統1に接続する太陽光発電設備等が更に増加していけば、対応困難となる可能性もある。この為、本例の発電出力変動補完システムによって、大規模電力会社とは別に、各太陽光発電設備等から電力系統1に供給する電力に係る変動に対応する。
【0024】
尚、本システムの運用例としては、一例として、後述するガスエンジン発電設備3、データ受信装置6、制御装置10等を有する事業者が、各太陽光発電事業者と契約して、これら各太陽光発電事業者の太陽光発電の出力変動に対応する発電出力を、ガスエンジン発電設備3から電力系統1へ供給することが考えられる。
【0025】
これによって、各太陽光発電事業者は、各々が個別にガスエンジン発電設備やバッテリー等を設置して自己の太陽光発電の出力変動に対応する(変動を抑制する/均す)等というような手間が掛かることを回避できる。また、全体としても、複数の太陽光発電事業者に係る太陽光発電の出力変動に対してまとめて対応できるので、効率よく低コストの発電出力変動補完を実現できることになる。さらに後述する“均し効果”も得られるので、各太陽光発電の出力変動が、例えばガスエンジン発電設備では対応し易くなる。
【0026】
さらに、本システムは、電力系統1上の周波数変動の抑制にも寄与する。すなわち、上述したように、例えば50Hz系統では一般的には±0.2Hz以上の周波数変動が生じるのは好ましくない。この為、通常、大規模電力会社側で主に火力発電所の発電出力を調整制御することで、周波数を50Hzや60Hzに維持している。しかしながら、火力発電の場合、(応答速度の関係等から)中周期(中周期とは、例えば周期1min〜20min程度;あるいは周期が数分〜十数分程度)の変動に対応可能であるが、太陽光発電が増加した場合は調整容量が不足することが考えられる。ガスエンジン発電の場合でも(応答速度の関係等から)上記中周期の変動にも対応できる。これより、本システムによって後述するように電力系統1上の中周期の変動に対応することは、電力系統1上の周波数変動の抑制にも寄与することになる。詳しくは後述する。
【0027】
上記電力系統1に対して、複数地点に設置されている各太陽光発電設備2が、接続(系統連系)している。これは、例えば上記のように各太陽光発電事業者が有する太陽光発電設備等である。尚、上記“複数地点”については特に限定はしないが、後述する「均し効果」を考慮すると、各太陽光発電設備2相互の距離がある程度以上離れている(例えば数十km(キロメートル)以上離れている)ことが望ましい。
【0028】
また、電力系統1に対して、1以上のガスエンジン発電設備3が接続している。図では2つのGE3が接続しているが、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
上記各太陽光発電設備2とガスエンジン発電設備3は、電力系統1に系統連系している。基本的には、各太陽光発電設備2による発電出力は、そのまま全て、電力系統1上に供給されるものとする。同様に、各ガスエンジン発電設備3による発電出力も、そのまま全て、電力系統1上に供給されるものとする。
【0029】
そして、各太陽光発電設備2による発電量(=電力系統1へ供給する電力量)を、リアルタイムで制御装置10が収集する。これは、通信ネットワーク4を介して収集するものである。尚、通信ネットワーク4は、たとえばインターネット等であり、以下、インターネットを例にして説明するものとし、インターネット4等を記す場合もあるものとする。
そして、制御装置10は、収集データ等に基づいて、各ガスエンジン発電設備3の発電量を調整・制御する。この様なデータ収集については、
図1(b)を参照して説明する。
【0030】
図1(b)に示すように、上記各太陽光発電設備2は、太陽光パネル2aやインバータ2b等の一般的な構成を備えるものであり、インバータ出力が上記電力系統1に供給されることになる。尚、インバータ2bは、太陽光発電用インバータである。よく知られているように、太陽光発電用インバータは、PV(Phovoltaic;光電池)セルの可変DC(直流)出力を、50Hzや60Hz等の正弦波電流(AC;交流)に変換して出力するものである。
【0031】
ここで、本手法では、各太陽光発電設備2側に更に図示のデータ送信装置5を備えている。データ送信装置5は、インバータ2bの出力値等をリアルタイムで計測して(現在の発電量を計測して)、これを直ちにインターネット4を介してデータ受信装置6へ送信する機能を有している。
【0032】
データ受信装置6は、上記制御装置10と接続しており、各データ受信装置6から送られてくる上記太陽光発電量を、制御装置10へ転送する。このようにして、制御装置10は、各太陽光発電設備2の太陽光発電出力値をリアルタイムで収集することができる。そして、制御装置10は、この収集データに基づいて、上記1以上のガスエンジン発電設備(GE)3の発電出力を制御する。
【0033】
尚、本例では、データ受信装置6と制御装置10とに分けて図示・説明するが、この例に限るものではなく、例えば制御装置10がデータ受信装置6の機能を有するものであってもよい。つまり、制御装置10が、上記太陽光発電量データ収集、後述する合成データの生成、ガスエンジン発電設備3の制御等を全て行うものであってもよい。
【0034】
また、制御装置10は、例えば汎用コンピュータ(一般的なパソコンやサーバ装置等)であってよく、特に図示しないが、CPU/MPU等の演算プロセッサや、ハードディスク、メモリ等の記憶装置や、通信機能部等を有している。記憶装置には予め所定のプログラムが記憶されており、演算プロセッサがこのプログラムを読出し・実行することにより、本説明における制御装置10の各種処理機能(例えば、合成データの生成、ガスエンジン発電設備3の制御等、上記の通り更に太陽光発電量データ収集も行うようにしてもよい)が実現される。
【0035】
ここで、上記各太陽光発電設備2は、それぞれ、例えば中規模/小規模発電事業者が所有する太陽光発電設備である。太陽光発電であるので、当然、それぞれの設置地点での天候(雲のかかり方、晴れ方等)や時間等により、太陽光発電の出力は変化する。
【0036】
この様な太陽光発電の出力変動に対して、従来では、例えば上記特許文献1〜4のように、各太陽光発電設備の設置場所で、それぞれ、ガスエンジン、二次電池、電力貯蔵装置等を設けることで対応していた。しかしながら、特に中規模/小規模発電事業者等にとっては、この様な対応を行うには負担が大きい(特に金銭的な負担が大きい)。
【0037】
また、各所でそれぞれ太陽光発電の出力変動の補完(抑制)の為の設備を設置するのは、全体から見れば効率が悪いものであり、例えば複数個所の太陽光発電設備の出力変動に対して、例えば一箇所でまとめて対応する方が、効率よく出力変動の補完(抑制)を行えることになる。
【0038】
また、ガスエンジンやガスタービンでは、中期的な変動(例えば数分〜十数分程度の周期の変動)には充分に対応できる。更に、現状では、上述したように、電力系統1を管理する上記大規模電力会社が、例えば50Hz系統では±0.2Hz以上の周波数変動が生じないようにしているが、今後、太陽光発電設備が増加していけば、対応困難となる可能性がある。
【0039】
上述したことから、本手法では、上記複数の太陽光発電設備2の発電出力変動に対して、1台以上のガスエンジン発電設備(GE)3によって補完を行うように、制御装置10がガスエンジン発電設備(GE)3による発電量(=電力系統1への供給量)を調整制御する。
【0040】
上記のように、各太陽光発電設備2の発電出力は、たとえ大きな変動があっても関係なくそのまま電力系統1へ供給されるが、本システムでは、複数の太陽光発電設備2の発電出力変動をまとめて補完するような発電出力を、ガスエンジン発電設備(GE)3が電力系統1に供給する。これによって、結果的に、電力系統1における上記周波数変動の抑制に寄与できることになる。
【0041】
更に、上記のように、1台の太陽光発電設備から発生する短周期の出力変動に対して、複数台の太陽光発電設備の出力変動に対してまとめて対応することで、短周期成分は打ち消しあい、所謂「均し効果」によって均されるため、得られる中期的な周期の出力変動(例えば数分〜十数分程度や1分〜20分程度の周期の変動)に対しては、ガスエンジン等によって充分に出力変動補完することが可能である。
【0042】
ここで、
図2を参照して、「均し効果」について説明する。
図2(a)には、例えば
図1(a)に示す4箇所の各所(A地点、B地点、C地点、D地点とする)の太陽光発電設備2の発電出力例を示す。この発電出力が図示のように短期間に細かく変動する(短周期の出力変動)場合であっても、例えば
図2(b)に示すように、これらの複数地点の太陽光発電出力を合成することにより、太陽光発電出力の変動(特に早い変動成分)は均される事となる。これを「均し効果」という。図示の合成後の太陽光発電出力(合成データ)は、例えば上記中期的な変動成分(例えば数分〜十数分程度の周期の変動)が主な変動成分となる。よって、分散型の燃料発電設備等であっても充分に対応可能となる。また、ガスエンジンに限らず、ガスタービン、ディーゼルエンジン等による発電機であっても、上記中期的な変動成分に対しては対応可能である。よって、
図1のガスエンジン発電設備3を、ガスタービン設備、ディーゼルエンジン発電設備等に置き換えても構わない。
【0043】
上述したことから、上記制御装置10は、上記のようにインターネット4、データ受信装置6等を介して各太陽光発電設備2による現在の発電量をリアルタイムで収集すると、この収集データに基づいて例えば
図2(b)に示すような複数地点の太陽光発電出力の合成データを生成する。この合成データは、例えば、上記複数の太陽光発電量同士を加算して総和を求めて得られるものである。この処理(合成データ生成処理)は、例えばデータ受信装置6や制御装置10が実行する。
【0044】
制御装置10は、上記複数地点の太陽光発電出力の合成データを生成したら、これに基づいて、ガスエンジン発電設備3の発電量を制御する。つまり、ガスエンジン発電設備3の発電量を指示する指示信号を生成して、この指示信号を不図示の信号線を介してガスエンジン発電設備3に送信する。
【0045】
上記指示信号の生成処理は様々であってよく特に限定はしないが、一例を挙げるならば、例えば「全ての太陽光発電設備2の発電量+全てのガスエンジン発電設備3の発電量」が、予め決められた一定値となるように、各ガスエンジン発電設備3の発電量を決定して、決定した発電量を各ガスエンジン発電設備3に対して上記指示信号として送信する。
【0046】
上記“複数地点の太陽光発電出力の合成データ”が上記“全ての太陽光発電設備2の発電量”に相当する。仮に、合成データが示す発電量をPVnとし、上記“全てのガスエンジン発電設備3の発電量”をKとし、上記一定値を100とするならば、K=100−PVnによってKの値を算出し、このKを例えばガスエンジン発電設備3の台数で除算することで、各ガスエンジン発電設備3の発電量を決定する。例えば、
図1(a)に示す例ではガスエンジン発電設備3は2台であり、仮にある時点での合成データ値PV=70であったとするならば、K=30となり、これを‘2’で除算するので、各ガスエンジン発電設備3の発電量は‘15’となる。勿論、これは一例であり、この様な例に限らない。
【0047】
図3に、上述した複数の太陽光発電出力の変動をまとめてガスエンジンで補完する処理のイメージを示す。
図示のように、制御装置10は、複数台の太陽光発電設備2の出力(発電量)をインターネット4等を介して収集して、例えばこれら複数の発電量の総和(合成値)を算出する。この合成値は、上記「均し(ならし)効果」によって図示のように比較的緩やかな変動(例えば上記中期的な周期の変動)を示すものとなる。制御装置10は、この合成データに基づいて、複数の太陽光発電出力の変動に対してまとめて補完するためのガスエンジン出力(発電量)を算出して、これをガスエンジン発電設備3に送信する。これより、例えば全てのガスエンジン発電設備3のトータルの発電量が、図示のようになるものとする。
【0048】
ここで、本手法では、各所で太陽光発電設備2の出力変動に対してガスエンジン等で補完することで変動を抑えたうえで電力系統1に発電電力供給するようなものではなく、例えば
図2(a)に示すような4箇所の各所の太陽光発電設備2の発電出力が、そのまま電力系統1上に供給される。また、ガスエンジン発電設備3の発電出力も、そのまま電力系統1上に供給される。電力系統1上で考えると、これら複数の太陽光発電設備2の発電出力はトータルで
図2(b)や
図3に示すような均されたものとなり、またガスエンジン発電設備3のトータル発電出力も
図3に示すようなものとなり、両者を合わせる(合成する)と
図3に示す「出力変動補完結果」のようになる。つまり、殆ど変動せずに略一定値を保つようになる。
【0049】
これは、本システム全体で考えると、電力系統1に対して
図3に示す「出力変動補完結果」のような発電出力が供給されるものと同等と見做すことができる。つまり、出力変動が殆どない良質な発電出力を電力系統1に供給することに等しいことが実現できる。これによって、商用系統における周波数変動を抑えることができ、大規模電力会社の負担を軽減できる。更に、複数の太陽光発電設備2の発電出力に対してまとめて発電出力変動補完を行うことができるので、効率よく補完が行えると共に、上記「均し(ならし)効果」によって上記中期的な変動に対する補完を行うことになり、ガスエンジンやガスタービン、ディーゼルエンジン発電機等で対応可能なものとなる。
【0050】
上記本例の発電出力変動補完システムでは、典型的には比較的距離が離れた太陽光発電設備2の発電出力を1箇所でリアルタイム収集することを想定しているので、インターネット回線を利用することを主に想定している。インターネットを介したデータ送受信や、合成データやガスエンジン発電設備3の発電出力の算出処理に、多少の時間が掛かるので、任意の時点における太陽光発電設備2の発電出力に応じたガスエンジン発電設備3の発電出力が決定されるのは、上記任意の時点から例えば0.数秒〜1秒程度遅れた時点となる。但し、この事自体は特に問題にはならない。これは、補完対象が上記「均し(ならし)効果」による数分〜十数分周期の変動であるので1、2秒程度の遅れは問題にはならないうえに、そもそも、ガスエンジン発電設備3自体が、任意の発電量の指示があっても直ちにその発電量となるようなものではないからである(タイムラグがある)。
【0051】
しかしながら、一方で、インターネットを介したデータ送受信には各通信パケット個別の遅れが生じ得るので、正しい“複数地点の太陽光発電出力の合成データ”が得られず、以って正しいガスエンジン発電量指示値も得られない場合が起こり得る。
【0052】
すなわち、上記本例のシステムでは、個別の太陽光発電出力値データを各データ送信装置5で取得させると共に、汎用的なインターネット回線4を介してこの複数地点の太陽光発電出力値データをデータ受信装置6(制御装置10)にて収集する。例えば、インターネット回線4を介したデータ送受信等に伴う通常の遅延が1秒であったとするならば、各地点A〜Dにおける例えば時刻「01時02分03秒」の発電量データは、データ受信装置6側で時刻「01時02分04秒」のときに受信されることになる。制御装置10は、時刻「01時02分04秒」に受信した4つの発電量データの総和を算出する。これが上記合成データとなる。例えば各データ送信装置5が1秒毎に発電量データを送信するならば、制御装置10側で1秒毎の合成データ生成を行うことになる。尚、
図2、
図3等には所定時間分の合成データを示しているものと言える。
【0053】
しかし、インターネット回線4を用いて太陽光発電出力値データを収集する際に何らかの理由によって一部に通信遅れが生じ(上記通常の通信に伴う遅れとは異なる、比較的大きな遅れ)、この通信遅れが生じた太陽光発電出力値を合成すると時間がずれた太陽光発電出力値を合成することになり、正しい合成データが得られない場合があり得る。
【0054】
上記の例では、例えば仮に地点Bからの送信データのみが4秒遅れて、例えば時刻「01時02分03秒」の発電量データが、データ受信装置6側で時刻「01時02分07秒」のときに受信されたとする。この場合、受信時刻「01時02分07秒」に係る合成データは、他の地点A,C,Dについては通信遅延が1秒であった場合、時刻「01時02分06秒」の発電量データであるが、地点Bだけは時刻「01時02分03秒」の発電量データとなってしまい、正しい合成データが得られないことになる。
【0055】
そこで、一例としては、複数地点の太陽光発電量データにそれぞれの計測時刻を添付するようにする。すなわち、例えば各データ送信装置5が時計機能を有し、各データ送信装置5は、インバータ2bから現在の太陽光発電量を計測する毎に、時計機能から現在時刻を取得してこれを計測時刻とし、計測した太陽光発電量データに計測時刻を付与してインターネット4上に送信する。この様な計測時刻付き太陽光発電量データをデータ受信装置6で収集する。
【0056】
尚、計測時刻だけではなく、どの太陽光発電設備2の太陽光発電量データであるのかを示す識別IDも付与するようにしてもよい。この場合、当然、予め各太陽光発電設備2に識別IDが割当てられていることになる。
【0057】
ここで、上述した説明では合成データの生成は制御装置10が実行するものとしたが、この例に限らず、データ受信装置6が実行してもよい。本説明では、この例を用いるものとする。つまり、データ受信装置6が合成データを生成してこれを制御装置10に渡し、制御装置10がこの合成データに基づいてガスエンジン発電設備3の発電出力を制御するものとする。勿論、この例に限るものではなく、例えば上記のように制御装置10がデータ受信装置6の機能を含むものとしてもよい。
【0058】
本例では、上記のことから、データ受信装置6は、収集した上記“計測時刻付き太陽光発電量データ”を、自装置内の不図示の記憶装置に記憶する。これは、例えば
図4に示すテーブル20に記憶するものである。
【0059】
図示のテーブル20は、合成時刻21、基点時刻22、遅延時間23、合成データ24、計測時刻A25、元データA26、計測時刻B27、元データB28、計測時刻C29、元データC30等の各データ項目より成る。
【0060】
計測時刻A25、元データA26、計測時刻B27、元データB28、計測時刻C29、元データC30は、収集した上記“計測時刻付き太陽光発電量データ”を格納するフィールドであり、ここでは太陽光発電設備2がA地点、B地点、C地点の3箇所にあるものとしている。すなわち、計測時刻A25と元データA26にはA地点、計測時刻B27と元データB28にはB地点、計測時刻C29と元データC30にはC地点の計測時刻と太陽光発電量データが、それぞれ格納されることになる。
【0061】
遅延時間23には、予め任意に指定された遅延時間(ここでは簡単のため1秒とする)が予め格納されている。合成時刻21には例えば現在時刻以降の各時刻が例えば1秒刻みで格納される。基点時刻22には、「合成時刻21=基点時刻22+遅延時間23」の関係となる時刻が格納される。換言すれば、正常な状態であれば、任意の合成時刻21の時刻に受信した太陽光発電量データの計測時刻が、基点時刻22と略同一となる可能性が非常に高くなるように、遅延時間23を設定しておくことが望まれる。
【0062】
何れにしても、合成時刻21、基点時刻22に上記のデータが格納された後、計測時刻A25〜元データC30に収集データが格納されていくことになる。すなわち、データ受信装置6は、インターネット4を介して任意の上記“計測時刻付き太陽光発電量データ”を受信する毎に、この受信データを上記テーブル20の該当フィールドに格納する。ここで、該当フィールドとは、その基点時刻22が受信データの計測時刻と略同一であるレコードのフィールドである。例えば、その計測時刻が“12:00:02:000”であるデータを受信した場合には、基点時刻22が“12:00:02:000”であるレコードが該当レコードとなり、この該当レコードにおいて送信元に対応するフィールドが該当フィールドとなる。仮に送信元が地点Bであったならば、該当レコードにおける計測時刻B27と元データB28が該当フィールドとなり、それぞれに受信データの計測時刻、太陽光発電量データを格納することになる。基点時刻と合致する時間データがない場合は、計測時刻が最も近いデータが格納される。これにより通信不良などによりデータが届かない際も急激な変動とはならない。
【0063】
そして、各レコードに、その計測時刻A25〜元データC30の全てにデータが格納された時点で、合成データ(全ての太陽光発電量データの総和等)を求めてこれを合成データ24のフィールドに格納する。そして、合成データが算出されたレコードに関して、その合成時刻21と合成データ24とを制御装置10へ送信する。尚、この合成時刻21が、例えば
図2(b)に示すグラフの横軸に相当することになる。
【0064】
尚、図示の例では合成データ24は、元データの総和(合成データ=元データA26+元データB28+元データC30)となっている。
ここで
図4に基づいて従来技術を説明するならば、従来技術の場合、合成時刻21と各元データ(元データA26、元データB28、元データC30)のみが存在し、任意の太陽光発電量データを受信する毎に、その受信時刻と同じ合成時刻21のレコードが上記該当レコードに相当することになる。よって、例えば“12:00:02:000”に計測された太陽光発電量データが、何らかの理由で遅延して仮に時刻“12:00:07:000”に受信されたならば、従来であればこの受信データは合成時刻21が“12:00:07:000”のレコードに格納されてしまうことになり、正しい合成データが得られないことになる。
【0065】
一方、本手法ではこの様な場合でも、基点時刻22が“12:00:02:000”のレコード(換言すれば合成時刻21が“12:00:03:000”のレコード)に、受信データが格納されることになり、ほぼ同じ時刻に計測された3箇所の太陽光発電量データに基づいて、合成データが得られることになる。つまり、正しい合成データが得られることになる。
【0066】
この様に、本手法によれば、計測時刻が合っている太陽光発電出力同士を合成することができ、適切な合成データが得られ、以ってガスエンジンの発電出力指示に関しても適切な数値が得られることになる。この様にして適切な“均し効果”の得られるはずの太陽光発電出力の合成値を利用して、ガスエンジンにより出力変動補完を実施することができる。
【0067】
尚、上記効果を得る為には、全てのデータ送信装置5とデータ受信装置6の時計機能による時刻が合致している(時刻が正確である)ことが必要となるが、これについても、全てのデータ送信装置5とデータ受信装置6がインターネット回線4に接続されているので、インターネット内の不図示の時刻サーバに定期的にアクセスして時刻合わせを実施することなどによって、時刻の正確性を保つことができる。
【0068】
尚、既に述べた通り、上記太陽光発電設備2は、再生可能エネルギー発電設備の一例であり、この例に限るものではなく、他の再生可能エネルギー発電設備(たとえば風力発電等)であってもよい。
【0069】
以上説明したように、本手法の発電出力変動補完システムでは、複数地点の再生可能エネルギー発電設備の出力変動に対して、まとめて、ガスエンジン発電等を用いて大規模電力系統(商用系統)上で出力変動補完を実施させる。ガスエンジン等の発電出力が、複数地点の再生可能エネルギー発電設備の発電出力に対してまとめて出力変動補完を行うものとなるように、制御装置で制御する。複数地点の再生可能エネルギー発電設備の発電出力をまとめて扱うことで、“均し効果”によって早い変動成分が均される事により、ガスエンジン発電等によって上記中期的な周期の出力変動に対応した補完が実現できることになる。これは、ガスエンジン発電設備に限らず、ガスタービン発電設備、ディーゼルエンジン発電設備等であっても略同様である。
【0070】
よって、ガスエンジン発電設備3の代わりにガスタービン発電設備、ディーゼルエンジン発電設備等を用いるようにしてもよい(尚、これらは、都市ガスやディーゼル燃料(軽油や重油等)などの燃料を用いて発電するものであるので、まとめて“分散型の燃料発電設備”と呼ぶものとする)。
【0071】
尚、ガスエンジン発電設備は、応答速度が例えば2(%/s)(定格出力に対する%)であり、また、火力発電所の応答速度は例えば0.5(%/s)である。これより、ガスエンジン発電機は、火力発電所と比較した場合、比較的周期が短い変動にも対応可能であり、例えば上述したように例えば数分〜十数分程度(あるいは1分〜20分程度)の中期的な周期の発電出力変動にも対応可能である。
【0072】
上記複数地点の再生可能エネルギー発電設備は、相互の距離がある程度離れていることが望ましい。相互に近い場所にある場合、発電出力の変動パターンが似るために、“均し効果”が充分に得られなくなる可能性があるからである。
【0073】
本手法では、上記のような複数地点に設置されている再生可能エネルギー発電設備の発電量データを、インターネット等を介してリアルタイムで収集し、1台以上のガスエンジン発電設備3等を用いて再生可能エネルギー発電の出力変動補完を実施する。しかし、インターネットを利用する場合、通信遅れ等が生じて上記のような問題が生じる可能性がある。
【0074】
これに対して、複数地点の再生可能エネルギー発電設備の発電量データを汎用的なインターネット回線などを用いて1箇所でリアルタイムに収集する際に、送信側で再生可能エネルギー発電の出力データ毎に計測時刻のタイムスタンプを付けてデータ送信するように構成してもよい。これによって、制御装置10側で計測時刻を合わせた発電量データの合成を行うことができ、適切な合成データに基づく出力変動補完を実施することが出来るようになる。
【0075】
また、本手法では、複数の再生可能エネルギー発電による“均し効果”を得て、分散型の燃料発電設備による再生可能エネルギー発電の出力変動補完を実現することができる。
尚、上記特許文献1の従来技術は、電力系統と1点で接続されている連系線潮流を設定値にする技術であり、離れた地点の複数の再生可能エネルギー発電の出力変動に対してまとめて対応すること、それに伴う“均し効果”等については、何等記載されておらず、示唆もされない。これは、他の従来技術(特許文献2,3,4等)に関しても略同様である。
【0076】
尚、特許文献3には、デジタル通信網の通信遅延に関する開示もあるが、この遅延があるので最も負荷追従性能の良い分散型電源1台にのみ、自立的な高速の負荷追従運転をさせるものであり、本手法の上記計測時刻付与やこれに基づく合成データの生成を示唆するような開示はない。
【0077】
最後に、上記“「全ての太陽光発電設備2の発電量+全てのガスエンジン発電設備3の発電量」が、予め決められた一定値となるように、ガスエンジン発電設備3の発電量を決定する”処理について、
図5を参照してより詳細に説明する。
【0078】
本例では、まず、仮に全ての太陽光発電設備2による全体の最大発電量が10000(1万)kw(キロワット)であるものとする。太陽光発電は、夜間等には発電量が‘0’となるので、複数の太陽光発電設備2全体の発電量は、0〜1万kwの間で変動し得ることになる。この例の場合、全てのガスエンジン発電設備3による全体の最大発電量を、例えば20000(2万)kw程度とすることが考えられる。その理由を以下に説明する。
【0079】
まず、ガスエンジン発電設備3は、その特性上、運転中は例えば発電出力50%以上を維持することが要求される。従って、上記のように全体の最大発電量が2万kwの例の場合、発電出力1万kw以上を維持して運転する必要があり、全体の発電量は、1万〜2万kwの間で変動し得ることになる。
【0080】
図5(a)には、上記のことに基づいて、太陽光発電設備2全体の発電量の変動例と、この変動例に応じたガスエンジン発電設備3全体の発電量とを示す。太陽光発電設備2全体の発電量の変動例は一点鎖線で示し、この変動例に応じたガスエンジン発電設備3全体の発電量を実線で示すものとする。
【0081】
尚、以下の説明では、逐一述べないが、太陽光、ガスエンジンの両方とも、発電量とは全体の発電量を意味するものとする。
図5(a)は、横軸は時間(t)であり、縦軸は上記各発電量を上記最大発電量に対する%(パーセンテージ)で示している。これは、太陽光発電量については図上右側の縦軸が対応し、ガスエンジン発電量については図上左側の縦軸が対応するものとする。図示の通り、ガスエンジン発電量は、発電出力50%〜100%の間で変動し得る(すなわち、発電出力の変動可能範囲は1万〜2万kwの間となる)。一方、太陽光発電量は、発電出力0%〜100%(すなわち、発電出力0〜1万kw)の間で変動し得る。
【0082】
ここで、太陽光発電量が図示のように1点鎖線で示すように変動するとした場合、ガスエンジン発電量が図示の実線で示すものとなるように制御することになる。すなわち、例えば太陽光の発電出力100%のときには、ガスエンジン発電量が上記変動可能範囲における最低値すなわち発電出力50%(1万kw)となるように制御する。また、例えば、太陽光の発電出力0%のときには、ガスエンジン発電量が上記変動可能範囲における最大値すなわち発電出力100%(2万kw)となるように制御する。
【0083】
このようにして、この例では、「全ての太陽光発電設備2の発電量+全てのガスエンジン発電設備3の発電量」が、常に2万kwとなるように制御することになる。この制御方法は、様々であってよく、例えば各時間(t)に、そのときの“全ての太陽光発電設備2の発電量”(合成データ値)を、上記2万kwから減算することで、“全てのガスエンジン発電設備3の発電量”を演算するようにしてもよい。そして、求めた“全てのガスエンジン発電設備3の発電量”を、例えばガスエンジン発電設備3の台数で除算することで、各ガスエンジン発電設備3の発電量指示値を求めるようにしてもよい。勿論、この発電量指示値は、各ガスエンジン発電設備3へ送信する。
【0084】
あるいは、例えば
図5(b)に示す構成によって、上記各ガスエンジン発電設備3の発電量指示信号を生成するようにしてもよい。図示の構成は、フィルタ回路41、加減算器42、PIDコントローラ43等を有し、上記合成データを入力する。入力した合成データと、この合成データをフィルタ回路41(ローパスフィルタ等;あるいはガスエンジンが追従できる範囲の周波数成分のみを通過させるフィルタ等)でフィルタリングしたものとを、加減算器42で加減算する(フィルタ後の信号から入力信号を減算する)。この加減算器42による加減算結果を、PIDコントローラ43に入力させる。PIDコントローラ43は、この入力に応じた出力を出す。尚、PIDコントローラは、一般的なものであり、ここでは特に説明しない。
【0085】
PIDコントローラ43の出力を、上記ガスエンジン発電設備3の発電量指示信号としてもよいし、あるいは、このPIDコントローラ43の出力にベース信号を加算したものを、上記発電量指示信号としてもよい。尚、例えば、
図5(a)に示す上記ガスエンジン発電量の変動可能範囲(50%〜100%の範囲)は、75%を中心とする上下25%の範囲と見做すことができるので、当該“75%”を上記ベース信号としてもよい。
【0086】
上述したことから、本例の発電出力変動補完システムは、例えば、それぞれが大規模電力系統に接続され、その発電出力を該大規模電力系統に供給する、複数地点にそれぞれ設置される再生可能エネルギー発電設備と、上記大規模電力系統に接続され、その発電出力を該大規模電力系統に供給する分散型の燃料発電設備と、制御装置10とを有するものと言える。
【0087】
上記再生可能エネルギー発電設備は、例えば太陽光発電設備2や、風力発電設備等である。上記分散型の燃料発電設備は、例えばガスエンジン発電設備(GE)3や、ガスタービン発電設備、ディーゼルエンジン発電設備等である。
【0088】
上記制御装置10は、上記プログラムを実行することにより、例えば以下の各機能部(不図示)の機能を有するものと言える。これは、換言すれば、上記プログラムが、制御装置10(コンピュータ)に以下の各機能部(不図示)の機能を実現させるものと言える。
【0089】
すなわち、制御装置10は、例えば通信ネットワークを介して、上記各所の再生可能エネルギー発電設備の発電量データを収集する発電量データ収集部と、該収集した複数の発電量データを合成して成る合成データを生成する合成データ生成部と、該生成した合成データに基づいて上記複数の再生可能エネルギー発電設備全体の発電出力の変動に対応する発電量を求め、該求めた発電量を上記分散型の燃料発電設備に指示することで、該分散型の燃料発電設備に該発電量の発電を行わせる発電量算出・制御部とを有するものと言える。
【0090】
そして、既に説明したように、例えば上記各再生可能エネルギー発電設備それぞれの発電出力を合成することによって、その変動分は均し効果により、中期的な周期の変動となり、前記分散型の燃料発電設備で対応できるものとなる。
【0091】
また、上記合成データは、周波数成分の変動(短期的な変動)が、均し効果によって均されたものということもでき、主に上記中期的な周期の変動成分を有するものと言える。
また、例えば、上記複数個所それぞれの再生可能エネルギー発電設備毎に、自設備の発電量を計測して計測時刻と共に通信ネットワーク4を介して制御装置10へ送信するデータ送信装置5を備えるようにしてもよい。この場合、制御装置10の上記合成データ生成部は、上記のように各再生可能エネルギー発電設備の発電量を合成する際、上記計測時刻に基づいて略同一の時刻に計測された発電量同士を合成するようにしてもよい。