特許第5700689号(P5700689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5700689硬化性組成物、硬化物および硬化性組成物の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700689
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物および硬化性組成物の使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20150326BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20150326BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20150326BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20150326BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20150326BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20150326BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150326BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20150326BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20150326BHJP
   C08G 77/04 20060101ALN20150326BHJP
【FI】
   C08L83/04
   C08L63/00 C
   C08K5/49
   C08G59/42
   C09J183/04
   C09J163/00
   C09J11/06
   H01L33/00 420
   C09K3/10 G
   C09K3/10 L
   !C08G77/04
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-553855(P2011-553855)
(86)(22)【出願日】2011年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2011052709
(87)【国際公開番号】WO2011099501
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】特願2010-27271(P2010-27271)
(32)【優先日】2010年2月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】樫尾 幹広
(72)【発明者】
【氏名】趙 立民
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/104505(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/101753(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/119634(WO,A1)
【文献】 特開2009−030013(JP,A)
【文献】 特開2008−266585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00−83/16
63/00−63/10
C08G 59/00−59/72
77/00−77/62
C08K 5/00−5/59
C09J 11/00−11/08
163/00−163/10
183/00−183/16
C09K 3/00−3/32
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子内に、下記式(i)、(ii)及び(iii)
【化1】
〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子、シアノ基又は式:OGで表される基(式中、Gは水酸基の保護基を表す。)を表し、Dは単結合又は連結基を表す。Rは炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。〕
で表される繰り返し単位のうち、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)及び(iii)の繰り返し単位を有し、重量平均分子量が、1,500〜6,000であるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、及び
(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とカルボキシル基を有しない脂環式酸無水物を含有する硬化剤
を、(A)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で含有する硬化性組成物。
【請求項2】
前記(A)のシラン化合物共重合体が、式:R−CH(X)−D−で表される基の存在量(〔R−CH(X)−D〕)とRの存在量(〔R〕)のモル比で、〔R−CH(X)−D〕:〔R〕=55:45〜25:75のシラン化合物共重合体である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(A’)式(1):R−CH(X)−D−Si(OR(X3−p
〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子、シアノ基又は式:OGで表される基(式中、Gは水酸基の保護基を表す。)を表し、Dは単結合又は連結基を表す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0〜3の整数を表す。〕
で表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、及び
式(2):RSi(OR(X3−q
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、qは0〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られる、重量平均分子量が1,500〜6,000であるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、及び
(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とカルボキシル基を有しない脂環式酸無水物を含有する硬化剤
を、(A’)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A’):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で含有する硬化性組成物。
【請求項4】
前記(A’)のシラン化合物共重合体が、シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とを、モル比で、〔シラン化合物(1)〕:〔シラン化合物(2)〕=55:45〜25:75の割合で縮合させて得られるシラン化合物共重合体である請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(C)の硬化剤の質量比が、(カルボキシル基を有する脂環式酸無水物):(カルボキシル基を有しない脂環式酸無水物)=50:50〜10:90である請求項1又は3に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記(B)のエポキシ化合物が、エポキシ基を2個以上有する脂環式エポキシ化合物である、請求項1又は3に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
(B)成分と(C)成分の使用割合が、質量比で、(B):(C)=4:6〜6:4である、請求項1又は3に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
さらに酸化防止剤を含む請求項1又は3に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
酸化防止剤がリン系の酸化防止剤である請求項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
光素子固定材用組成物である請求項1又は3に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
請求項1又は3に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項12】
光素子固定材である請求項11に記載の硬化物。
【請求項13】
請求項1又は3に記載の硬化性組成物を、光素子固定材用接着剤として使用する方法。
【請求項14】
請求項1又は3に記載の硬化性組成物を、光素子固定材用封止剤として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性及び耐熱性に優れ、かつ、高い接着力を有する硬化物が得られる硬化性組成物、該組成物を硬化してなる硬化物、並びに、該組成物を光素子固定材用接着剤又は光素子固定材用封止剤として使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、硬化性組成物は、用途に応じて様々な改良がなされ、光学部品や成形体の原料、接着剤、コーティング剤等として産業上広く利用されてきている。例えば、透明性に優れる硬化物を形成する硬化性組成物は、光学部品の原料やコーティング剤として、また、高い接着力を有する硬化物を形成する硬化性組成物は、接着剤やコーティング剤として好ましく用いられることが多い。
また、近年、硬化性組成物は、光素子封止体を製造する際に、光素子固定材用接着剤や光素子固定材用封止剤等の光素子固定材用組成物としても利用されてきている。
【0003】
光素子には、半導体レーザー(LD)等の各種レーザーや発光ダイオード(LED)等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等がある。近年においては、発光のピーク波長がより短波長である青色光や白色光の光素子が開発され広く使用されてきている。このような発光のピーク波長の短い発光素子の高輝度化が飛躍的に進み、これに伴い光素子の発熱量がさらに大きくなっていく傾向にある。
【0004】
ところが、近年における光素子の高輝度化に伴い、光素子固定材用組成物の硬化物が、より高いエネルギーの光や光素子から発生するより高温の熱に長時間さらされ、劣化してクラックが発生したり、剥離したりするという問題が生じた。
【0005】
この問題を解決するべく、特許文献1〜3において、ポリシルセスキオキサン化合物を主成分とする光素子固定材用組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたポリシルセスキオキサン化合物を主成分とする光素子固定材用組成物の硬化物であっても、十分な接着力を保ちつつ、耐熱性及び透明性を得るのは困難な場合があった。
【0006】
また、光素子封止用に用いる組成物として、特許文献4には、脂環式エポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物が、特許文献5には、ポリチオール化合物を含有するエポキシ樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、これらの組成物を用いる場合であっても、経時変化に伴う十分な耐光劣化性を満足することができなかったり、接着力が低下する場合があった。
従って、耐熱性、透明性により優れ、高い接着力を有する硬化物が得られる硬化性組成物の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−359933号公報
【特許文献2】特開2005−263869号公報
【特許文献3】特開2006−328231号公報
【特許文献4】特開平7−309927号公報
【特許文献5】特開2009−001752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び透明性に優れ、かつ、高い接着力を有する硬化物が得られる硬化性組成物、該組成物を硬化してなる硬化物、並びに、該組成物を光素子固定材用接着剤又は光素子固定材用封止剤として使用する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)特定のシラン化合物共重合体、(B)エポキシ化合物、及び(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物を含有する組成物の硬化物は、長期にわたって優れた透明性、耐熱性を保ちつつ、かつ、高温においても高い接着力を有する硬化物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明の第1によれば、下記〔1〕〜〔8〕の硬化性組成物が提供される。
〔1〕(A)分子内に、下記式(i)、(ii)及び(iii)
【0011】
【化1】
【0012】
〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子、シアノ基又は式:OGで表される基(式中、Gは水酸基の保護基を表す。)を表し、Dは単結合又は連結基を表す。Rは炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。〕
で表される繰り返し単位のうち、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)及び(iii)の繰り返し単位を有し、重量平均分子量が、1,000〜30,000であるシラン化合物共重合体、(B)エポキシ化合物、及び(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物を含有する硬化剤を、(A)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で含有する硬化性組成物。
【0013】
〔2〕前記(A)のシラン化合物共重合体が、式:R−CH(X)−D−で表される基の存在量(〔R−CH(X)−D〕)とRの存在量(〔R〕)のモル比で、〔R−CH(X)−D〕:〔R〕=55:45〜25:75のシラン化合物共重合体である〔1〕に記載の硬化性組成物。
【0014】
〔3〕(A’)式(1):R−CH(X)−D−Si(OR(X3−p
〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子、シアノ基又は式:OGで表される基(式中、Gは水酸基の保護基を表す。)を表し、Dは単結合又は連結基を表す。Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0〜3の整数を表す。〕
で表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、及び
式(2):RSi(OR(X3−q
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、qは0〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られる、重量平均分子量が1,000〜30,000であるシラン化合物共重合体、(B)エポキシ化合物、及び(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物を含有する硬化剤を、(A’)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A’):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で含有する硬化性組成物。
【0015】
〔4〕前記(A’)のシラン化合物共重合体が、シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とを、モル比で、〔シラン化合物(1)〕:〔シラン化合物(2)〕=55:45〜25:75の割合で縮合させて得られるシラン化合物共重合体である〔3〕に記載の硬化性組成物。
【0016】
〔5〕前記(C)の硬化剤の質量比が、(カルボキシル基を有する脂環式酸無水物):(その他の脂環式酸無水物)=50:50〜10:90である〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物。
【0017】
〔6〕さらに酸化防止剤を含む〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物。
〔7〕酸化防止剤がリン系の酸化防止剤である〔6〕に記載の硬化性組成物。
〔8〕光素子固定材用組成物である〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物。
【0018】
本発明の第2によれば、下記〔9〕、〔10〕の硬化物が提供される。
〔9〕〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
〔10〕光素子固定材である〔9〕に記載の硬化物。
【0019】
本発明の第3によれば、下記〔11〕、〔12〕の、本発明の硬化性組成物を使用する方法が提供される。
〔11〕〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物を、光素子固定材用接着剤として使用する方法。
〔12〕〔1〕又は〔3〕に記載の硬化性組成物を、光素子固定材用封止剤として使用する方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の硬化性組成物によれば、高エネルギーの光が照射される場合や高温状態であっても、着色して透明性が低下したりすることがなく、長期にわたって優れた透明性を有し、かつ、高温においても高い接着力を有する硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物は、光素子固定材を形成する際に使用することができ、特に、光素子固定材用接着剤、及び光素子固定材用封止剤として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、1)硬化性組成物、2)硬化物、及び、3)硬化性組成物の使用方法、に項分けして詳細に説明する。
1)硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、
(A)分子内に、下記式(i)、(ii)及び(iii)
【0022】
【化2】
【0023】
で表される繰り返し単位のうち、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)及び(iii)の繰り返し単位を有し、重量平均分子量が、1,000〜30,000であるシラン化合物共重合体、(B)エポキシ化合物、及び(C)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物を含有する硬化剤を、(A)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で含有することを特徴とする。
【0024】
(A)シラン化合物共重合体
本発明の硬化性組成物は、(A)成分として、前記式(i)、(ii)及び(iii)で表される繰り返し単位のうち、(i)及び(ii)、(i)及び(iii)、(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)及び(iii)の繰り返し単位を有し、重量平均分子量が、1,000〜30,000であるシラン化合物共重合体(以下、「シラン化合物共重合体(A)」ということがある。)を含有する。
シラン化合物共重合体(A)は、(i)、(ii)、(iii)で表される繰り返し単位をそれぞれ一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。
【0025】
式(i)〜(iii)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、水素原子が好ましい。
で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;又は式:OGで表される基;を表す。
【0027】
Gは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、特に制約はなく、水酸基の保護基として知られている公知の保護基が挙げられる。例えば、アシル系の保護基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル系の保護基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−2−イル基等のアセタール系の保護基;t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル系の保護基;メチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等のエーテル系の保護基;等が挙げられる。これらの中でも、Gとしては、アシル系の保護基が好ましい。
【0028】
アシル系の保護基は、具体的には、式:−C(=O)Rで表される基である。式中、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
【0029】
で表される置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、Xとしては、入手容易性、及び、高い接着力を有する硬化物が得られることから、塩素原子、式:OG’で表される基(式中、G’はアシル系の保護基を表す。)、及びシアノ基から選ばれる基が好ましく、塩素原子、アセトキシ基及びシアノ基から選ばれる基がより好ましく、アセトキシ基が特に好ましい。
【0031】
Dは単結合又は連結基を表す。
連結基としては置換基を有していてもよい2価の有機基が挙げられる。当該有機基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
置換基を有していてもよい2価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)と置換基を有していてもよいアリーレン基との組み合わせからなる2価の基等が挙げられる。
【0032】
置換基を有していてもよいアルキレン基のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニレン基のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等の炭素数2〜20のアルケニレン基、好ましくは、炭素数2〜10のアルケニレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキニレン基のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等の炭素数2〜20のアルキニレン基、好ましくは炭素数2〜10のアルキニレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基、好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基が挙げられる。
【0033】
前記アルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0034】
前記アリーレン基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の基において任意の位置に結合していてよく、同一若しくは相異なって複数個が結合していてもよい。
【0035】
置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)と置換基を有していてもよいアリーレン基との組み合わせからなる2価の基としては、前記置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)の少なくとも一種と、前記置換基を有していてもよいアリーレン基の少なくとも一種とが直列に結合した基が挙げられる。具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
【0036】
【化3】
【0037】
これらの中でも、Dとしては、高い接着力を有する硬化物が得られることから、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
【0038】
式(ii)〜(iii)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0039】
で表される置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0040】
で表される置換基を有していてもよいフェニル基の具体例としては、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基等が挙げられる。
【0041】
シラン化合物共重合体(A)においては、式:R−CH(X)−D−で表される基の存在量(〔R−CH(X)−D〕)とRの存在量(〔R〕)のモル比が、〔R−CH(X)−D〕:〔R〕=55:45〜25:75が好ましい。当該範囲内であることで、得られる硬化物は透明性及び接着性に優れ、かつ、耐熱性に優れるため高温に置いた後であってもこれらの性質の低下が抑えられる。
式:R−CH(X)−D−で表される基及びRの存在量は、例えば、シラン化合物共重合体(A)のNMRスペクトルを測定して定量することができる。
【0042】
シラン化合物共重合体(A)の単位構造配列は特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等が挙げられるが、ランダム共重合体が特に好ましい。
【0043】
シラン化合物共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜30,000の範囲であり、好ましくは1,500〜6,000の範囲である。当該範囲内にあることで、組成物の取扱性に優れ、かつ、接着性、耐熱性に優れる硬化物が得られる。重量平均分子量(Mw)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0044】
シラン化合物共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限されないが、通常1.0〜3.0好ましくは1.1〜2.0の範囲である。当該範囲内にあることで、接着性、耐熱性に優れる硬化物が得られる。
【0045】
シラン化合物共重合体(A)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
シラン化合物共重合体(A)は、ラダー型構造のポリシルセスキオキサン化合物である。
シラン化合物共重合体がラダー型構造を有していることは、例えば、反応生成物の赤外線吸収スペクトル測定、X線回折測定、NMR測定を行うことによって確認することができる。
【0047】
本発明の硬化性組成物においては、前記(A)成分のシラン化合物共重合体(A)が、式(1):R−CH(X)−D−Si(OR(X3−p
で表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、及び、
式(2):RSi(OR(X3−q
で表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られる、重量平均分子量が1,000〜30,000であるシラン化合物共重合体(以下、「シラン化合物共重合体(A’)」ということがある。)であってもよく、シラン化合物共重合体(A)が、シラン化合物共重合体(A’)であることが好ましい。
【0048】
〔シラン化合物(1)〕
シラン化合物(1)は、式(1):R−CH(X)−D−Si(OR(X3−pで表される化合物である。シラン化合物(1)を用いることにより、硬化後においても透明性、接着力が良好なシラン化合物共重合体を得ることができる。
しい。
【0049】
式(1)中、R、X及びDの具体例としては、シラン化合物共重合体(A)における、R、X及びDとして例示したものが挙げられる。
【0050】
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
pは0〜3の整数を表す。
pが2以上のとき、OR同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−p)が2以上のとき、X同士は同一であっても相異なっていてもよい。
【0051】
シラン化合物(1)の具体例としては、クロロメチルトリメトキシシラン、ブロモメチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリプロポキシシラン、2−ブロモエチルトリブトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3−クロロプロピルトリブトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリプロポキシシラン、3−ブロモプロピルトリブトキシシラン、3−フルオロプロピルトリメトキシシラン、3−フルオロプロピルトリエトキシシラン、3−フルオロプロピルトリプロポキシシラン、3−フルオロプロピルトリブトキシシラン、3−アイオドプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、4−クロロブチルトリプロポキシシラン、5−クロロペンチルトリプロポキシシラン、2−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロ−3−アセチルプロピルトリメトキシシラン、3−クロロ−3−メトキシカルボニルプロピルトリメトキシシラン、o−(2−クロロエチル)フェニルトリプロポキシシラン、m−(2−クロロエチル)フェニルトリメトキシシラン、p−(2−クロロエチル)フェニルトリエトキシシラン、p−(2−フルオロエチル)フェニルトリメトキシシラン等の、Xがハロゲン原子であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0052】
クロロメチルトリクロロシラン、ブロモメチルブロモジメトキシシラン、2−クロロエチルジクロロメトキシシラン、2−ブロモエチルジクロロエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリブロモシラン、3−クロロプロピルジクロロメトキシシラン、3−クロロプロピルジクロロエトキシシラン、3−クロロプロピルクロロジメトキシシラン、3−クロロプロピルクロロジエトキシシラン、3−ブロモプロピルジクロロエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリブロモシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルクロロジメトキシシラン、3−フルオロプロピルトリクロロシラン、3−フルオロプロピルクロロジメトキシシラン、3−フルオロプロピルジクロロメトキシシラン、3−フルオロプロピルクロロジエトキシシラン、3−アイオドプロピルトリクロロシラン、4−クロロブチルクロロジエトキシシラン、3−クロロ−n−ブチルクロロジエトキシシラン、3−クロロ−3−アセチルプロピルジクロロエトキシシラン、3−クロロ−3−メトキシカルボニルプロピルトリブロモシラン等の、Xがハロゲン原子であるハロゲノシラン化合物類;
【0053】
シアノメチルトリメトキシシラン、シアノメチルトリエトキシシラン、1−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリプロポキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリプロポキシシラン、3−シアノプロピルトリブトキシシラン、4−シアノブチルトリメトキシシラン、5−シアノペンチルトリメトキシシラン、2−シアノプロピルトリメトキシシラン、2−(シアノメトキシ)エチルトリメトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルトリメトキシシラン、o−(シアノメチル)フェニルトリプロポキシシラン、m−(シアノメチル)フェニルトリメトキシシラン、p−(シアノメチル)フェニルトリエトキシシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルトリメトキシシラン等の、Xがシアノ基であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0054】
シアノメチルトリクロロシラン、シアノメチルブロモジメトキシシラン、2−シアノエチルジクロロメトキシシラン、2−シアノエチルジクロロエトキシシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、3−シアノプロピルトリブロモシラン、3−シアノプロピルジクロロメトキシシラン、3−シアノプロピルジクロロエトキシシラン、3−シアノプロピルクロロジメトキシシラン、3−シアノプロピルクロロジエトキシシラン、4−シアノブチルクロロジエトキシシラン、3−シアノ−n−ブチルクロロジエトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルトリクロロシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルブロモジエトキシシラン、2−(2−シアノエトキシ)エチルジクロロプロポキシシラン、o−(2−シアノエチル)フェニルトリクロロシラン、m−(2−シアノエチル)フェニルメトキシジブロモシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルジメトキシクロロシラン、p−(2−シアノエチル)フェニルトリブロモシラン等の、Xがシアノ基であるハロゲノシラン化合物類;
【0055】
3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリプロポキシシラン、3−アセトキシプロピルトリブトキシシラン、3−プロピオニルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−プロピオニルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリブトキシシラン、2−トリメチルシリルオキシエチルトリメトキシシラン、3−トリエチルシリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)プロピルトリプロポキシシラン、3−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)プロピルトリブトキシシラン、3−メトキシメチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メトキシエトキシメチルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(1−エトキシエチルオキシ)プロピルトリプロポキシシラン、3−(t−ブトキシカルボニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−t−ブトキシプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−トリフェニルメトキシプロピルトリエトキシシラン等の、Xが前記式:OGで表される基であるトリアルコキシシラン化合物類;
【0056】
3−アセトキシプロピルトリクロロシラン、3−アセトキシプロピルトリブロモシラン、3−アセトキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−アセトキシプロピルジクロロエトキシシラン、3−アセトキシプロピルクロロジメトキシシラン、3−アセトキシプロピルクロロジエトキシシラン、3−ベンゾイルオキシプロピルトリクロロシラン、3−トリメチルシリルオキシプロピルクロロジメトキシシラン、3−トリエチルシリルオキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)プロピルクロロジエトキシシラン、3−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)プロピルジクロロエトキシシラン、3−メトキシメチルオキシプロピルトリブロモシラン、3−メトキシエトキシメチルオキシプロピルトリクロロシラン、3−(1−エトキシエチルオキシ)プロピルクロロジメトキシシラン、3−t−ブトキシカルボニルオキシプロピルジクロロメトキシシラン、3−t−ブトキシプロピルクロロジエトキシシラン、3−トリフェニルメトキシプロピルジクロロエトキシシラン、3−ベンジロキシプロピルトリブロモシラン等の、Xが前記式:OGで表される基であるハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。
これらのシラン化合物(1)は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
これらの中でも、シラン化合物(1)としては、より優れた接着性を有する硬化物が得られることから、Xがハロゲン原子であるトリアルコキシシラン化合物類、Xがシアノ基であるトリアルコキシシラン化合物類、又はXが前記式:OGで表される基であるトリアルコキシシラン化合物類が好ましく、3−クロロプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類、3−アセトキシプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類、2−シアノエチル基を有するトリアルコキシシラン化合物類、又は3−シアノプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物類がより好ましい。
【0058】
〔シラン化合物(2)〕
シラン化合物(2)は、式(2):RSi(OR(X3−qで表される化合物である。
式(2)中、Rの具体例としては、シラン化合物共重合体(A)におけるRとして例示したものが挙げられる。
【0059】
は、前記Rと同様の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、前記Xと同様のハロゲン原子を表す。
qは0〜3のいずれかの整数を表す。
qが2以上のとき、OR同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−q)が2以上のとき、X同士は同一であっても相異なっていてもよい。
【0060】
シラン化合物(2)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、i−オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、メチルジメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物類;
メチルクロロジメトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、n−プロピルクロロジメトキシシラン、n−プロピルジクロロメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン、n−プロピルトリクロロシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;
【0061】
フェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−クロロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、2−メトキシフェニルトリエトキシシラン、フェニルジメトキシエトキシシラン、フェニルジエトキシメトキシシラン等の置換基を有していてもよいフェニルトリアルコキシシラン化合物類;
フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、フェニルクロロメトキシエトキシシラン、フェニルクロロジエトキシシラン、フェニルジクロロエトキシシラン等の置換基を有していてもよいフェニルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
フェニルトリクロロシラン、フェニルトリブロモシラン、4−メトキシフェニルトリクロロシラン、2−クロロフェニルトリクロロシラン、2−エトキシフェニルトリクロロシラン等の置換基を有していてもよいフェニルトリハロゲノシラン化合物;が挙げられる。
これらのシラン化合物(2)は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
〔シラン化合物の混合物〕
シラン化合物共重合体(A’)を製造する際に用いられるシラン化合物の混合物としては、シラン化合物(1)及びシラン化合物(2)からなる混合物であっても、さらに、本発明の目的を阻害しない範囲でその他のシラン化合物を含む混合物であってもよいが、シラン化合物(1)及びシラン化合物(2)からなる混合物が好ましい。
【0063】
シラン化合物(1)とシラン化合物(2)との使用割合は、モル比で、〔シラン化合物(1)〕:〔シラン化合物(2)〕=55:45〜25:75であるのが好ましい。
【0064】
前記シラン化合物の混合物を縮合させる方法としては、特に制限はないが、シラン化合物(1)、シラン化合物(2)、及び所望によりその他のシラン化合物を溶媒に溶解し、所定量の触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法が挙げられる。
【0065】
用いる触媒は、酸触媒及び塩基触媒のいずれであってもよい。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;等が挙げられる。
【0066】
塩基触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アニリン、ピコリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール等の有機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機塩水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
【0067】
これらの中でも、用いる触媒としては、酸触媒が好ましく、無機酸がより好ましい。
【0068】
触媒の使用量は、シラン化合物の総モル量に対して、通常、0.1mol%〜10mol%、好ましくは1mol%〜5mol%の範囲である。
【0069】
用いる溶媒は、シラン化合物の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、或いは二種以上を混合して用いることができる。
【0070】
これらの中でも、水、芳香族炭化水素類、及びこれらの混合溶媒が好ましく、水とトルエンの混合溶媒が特に好ましい。水とトルエンを用いる場合、水とトルエンの比率(容積比)は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは7:3〜3:7である。
【0071】
溶媒の使用量は、溶媒1リットルあたり、シラン化合物の総モル量が、通常0.1mol〜10mol、好ましくは0.5mol〜10molとなる量である。
【0072】
シラン化合物を縮合(反応)させるときの温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは20℃〜100℃の範囲である。反応温度があまりに低いと縮合反応の進行が不十分となる場合がある。一方、反応温度が高くなりすぎるとゲル化抑制が困難となる。反応は、通常30分から20時間で完結する。
【0073】
反応終了後は、酸触媒を用いた場合は、反応溶液に炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、塩基触媒を用いた場合は、反応溶液に塩酸等の酸を添加することにより中和を行い、その際に生じる塩をろ別又は水洗等により除去し、目的とするシラン化合物共重合体を得ることができる。
【0074】
(B)エポキシ化合物
本発明の硬化性組成物は、(B)成分として、エポキシ化合物(以下、「エポキシ化合物(B)」ということがある。)を含有する。
本発明の硬化性組成物は、エポキシ化合物(B)を含有するため、耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
【0075】
エポキシ化合物(B)としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であればよいが、エポキシ基を2個以上有する化合物が好ましい。
【0076】
エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類のグリシジルエーテル;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール類のグリシジルエーテル;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのカルボン酸のグリシジルエステル;炭素−炭素二重結合を有する脂環式構造を含む化合物の該二重結合を酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環式エポキシ化合物;
【0077】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、DPP(ジ−n−ペンチルフタレート)型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、含ケイ素エポキシ樹脂、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル、多塩基酸のポリグリシジルエステル、及びこれらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や核水素添加物等のエポキシ樹脂;等が挙げられる。
これらは一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
これらの中でも、高温においても高い接着力を有する硬化物が得られる観点から、脂環式エポキシ化合物を用いるのが好ましい。脂環式エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を2個以上有する、下記式(a)で表される3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド等が挙げられる。これらの中でも、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルが特に好ましい。
【0079】
【化4】
【0080】
(C)硬化剤
本発明の硬化性組成物は、(C)成分として、カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物を含有する硬化剤(以下、「硬化剤(C)」ということがある。)を含む。
本発明の硬化性組成物は、硬化剤(C)を含有するため、耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
【0081】
カルボキシル基を有する脂環式酸無水物は、少なくとも一つのカルボキシル基が置換した脂環式酸無水物である。
脂環式酸無水物の具体例としては、ポリアゼライン酸無水物、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
カルボキシル基は、脂環式酸無水物の脂環式構造の任意の位置で置換してよく、置換位置や置換するカルボキシル基の数は特に限定されない。
【0082】
これらの中でも、ヘキサヒドロ無水フタル酸にカルボキシル基が置換した、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2無水物が好ましく、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2無水物が特に好ましい。この化合物は、立体異性体が存在し得るが、いずれの異性体であってもよい。
カルボキシル基を有する脂環式酸無水物は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
その他の脂環式酸無水物は、カルボキシル基を有しない脂環式酸無水物である。その他の脂環式酸無水物としては、前記カルボキシル基を有する脂環式酸無水物の脂環式酸無水物として例示したのと同様のものが挙げられる。なかでも、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸が特に好ましい。
その他の脂環式酸無水物は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
硬化剤(C)において、カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物の使用割合は、カルボキシル基を有する脂環式酸無水物とその他の脂環式酸無水物の質量比で、(カルボキシル基を有する脂環式酸無水物):(その他の脂環式酸無水物)=50:50〜10:90であるのが好ましい。
【0085】
本発明の硬化性組成物においては、前記(A)、(B)、及び(C)成分を、(A)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で用い、前記(A’)、(B)、及び(C)成分を、(A’)と〔(B)+(C)〕の質量比で、(A’):〔(B)+(C)〕=100:20〜100:60の割合で用いる。(B)+(C)の割合が20より少ないと、十分な接着力が得られず、60より多いと、(A)成分又は(A’)成分との相溶性が悪くなり、優れた透明性が得られない。
【0086】
さらに、(B)、(C)成分の使用割合は、質量比で、(B):(C)=4:6〜6:4であるのが好ましく、5:5であるのが特に好ましい。
【0087】
このような割合で各成分を用いることにより、長期にわたって透明性、耐熱性に優れ、高温においても高い接着力を有する硬化物が得られる硬化性組成物を得ることができる。
【0088】
本発明の硬化性組成物は、前記成分に、さらに、加熱時の酸化劣化を防止するために酸化防止剤を含むのが好ましい。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でもリン系酸化防止剤が好ましい。
【0089】
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類;が挙げられる。
【0090】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類;が挙げられる。
【0091】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0092】
これら酸化防止剤は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)又は(A’)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。
【0093】
本発明の硬化性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに他の成分を含有させてもよい。
他の成分としては、紫外線吸収剤、光安定剤、希釈剤等が挙げられる。
【0094】
紫外線吸収剤は、得られる硬化物の耐光性を向上させる目的で添加される。
紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン類;等が挙げられる。
【0095】
これらの紫外線吸収剤は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)又は(A’)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。
【0096】
光安定剤は、得られる硬化物の耐光性を向上させる目的で添加される。
光安定剤としては、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類が挙げられる。
【0097】
これらの光安定剤は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。
光安定剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)又は(A’)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。
【0098】
希釈剤は、硬化性組成物の粘度を調整するため添加される。
希釈剤としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド等が挙げられる。
これらの希釈剤は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0099】
本発明の硬化性組成物は、例えば、前記(A)又は(A’)、(B)、(C)成分、並びに、所望により酸化防止剤及び他の成分を所定割合で配合して、公知の方法により混合、脱泡することにより得ることができる。
【0100】
以上のようにして得られる本発明の硬化性組成物によれば、高エネルギーの光が照射される場合や高温状態であっても、着色して透明性が低下したりすることがなく、長期にわたって優れた透明性を有し、かつ、高い接着力を有する硬化物を得ることができる。
したがって、本発明の硬化性組成物は、光学部品や成形体の原料、接着剤、コーティング剤等として好適に使用される。特に、光素子の高輝度化に伴う、光素子固定材の劣化に関する問題を解決することができることから、本発明の硬化性組成物は、光素子固定材用組成物として好適に使用することができる。
【0101】
2)硬化物
本発明の第2は、本発明の硬化性組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明の硬化性組成物を硬化する方法としては加熱硬化が挙げられる。硬化するときの加熱温度は、通常、100〜200℃であり、加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
【0102】
本発明の硬化物は、高エネルギーの光が照射される場合や高温状態であっても、着色して透明性が低下したりすることがなく、長期にわたって優れた透明性を有し、かつ、高い接着力を有する。
したがって、本発明の硬化物は、光学部品や成形体、接着層、コーティング層等として好適に使用される。特に、光素子の高輝度化に伴う、光素子固定材の劣化に関する問題を解決することができることから、本発明の硬化物は、光素子固定材として好適に使用することができる。
【0103】
本発明の硬化物が高い接着力を有することは、例えば、次のようにして接着力を測定することで確認することができる。すなわち、シリコンチップのミラー面に硬化性組成物を塗布し、塗布面を被着体の上に載せ圧着し、加熱処理して硬化させる。これを、予め所定温度(例えば、23℃)に加熱したボンドテスターの測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から50μmの高さの位置より、接着面に対し水平方法(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着力を測定する。
硬化物の接着力は、23℃において110N/2mm□以上であることが好ましい。
【0104】
前記硬化物が透明性に優れることは、光透過率を測定することで確認することができる。硬化物の光透過率は、波長450nmの光で、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
【0105】
前記硬化物が長期にわたって耐熱性に優れることは、硬化物を高温下に長時間置いた後であっても透明性の変化が小さいことから確認することができる。透明性は、150℃で300時間置いた後に、波長450nmの透過率が初期透過率の80%以上であることが好ましい。
【0106】
3)硬化性組成物の使用方法
本発明の第3は、本発明の硬化性組成物を、光素子固定材用接着剤又は光素子固定材用封止剤として使用する方法である。
光素子としては、LED、LD等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等が挙げられる。
【0107】
〈光素子固定材用接着剤〉
本発明の硬化性組成物は、光素子固定材用接着剤として好適に使用することができる。
【0108】
本発明の硬化性組成物を光素子固定材用接着剤として使用する方法としては、接着の対象とする材料(光素子とその基板等)の一方又は両方の接着面に該組成物を塗布し、圧着した後、加熱硬化させ、接着の対象とする材料同士を強固に接着させる方法が挙げられる。
【0109】
光素子を接着するための主な基板材料としては、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラス等のガラス類;セラミックス;鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン及びこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等の金属類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂;等が挙げられる。
【0110】
加熱硬化させる際の加熱温度は、用いる硬化性組成物等にもよるが、通常、100〜200℃である。加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
【0111】
〈光素子固定材用封止剤〉
本発明の硬化性組成物は、光素子封止体の封止剤として好適に用いることができる。
【0112】
本発明の硬化性組成物を光素子固定材用封止剤として使用する方法としては、例えば、該組成物を所望の形状に成形して、光素子を内包した成形体を得た後、そのものを加熱硬化させることにより光素子封止体を製造する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を所望の形状に成形する方法としては、特に限定されるものではなく、通常のトランスファー成形法や、注型法等の公知のモールド法を採用できる。
【0113】
加熱硬化する際の加熱温度は、用いる硬化性組成物等にもよるが、通常、100〜200℃である。加熱時間は、通常10分から20時間、好ましくは30分から10時間である。
【0114】
得られる光素子封止体は、本発明の硬化性組成物を用いているので、光素子に、白色や青色発光LED等の、発光のピーク波長が400〜490nmと短波長のものを用いても、熱や光により着色劣化することがない透明性、耐熱性に優れるものである。
【実施例】
【0115】
次に実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0116】
(重量平均分子量測定)
製造例で得たシラン化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)は標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置及び条件にて測定した。
装置名:HLC−8220GPC、東ソー社製
カラム:TSKgelGMHXL、TSKgelGMHXLおよびTSKgel2000HXLを順次連結したもの
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
【0117】
(IRスペクトルの測定)
製造例で得たシラン化合物共重合体のIRスペクトルは以下の装置を使用して測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計(Spectrum100、パーキンエルマー社製)
【0118】
(製造例1)
300mlのナス型フラスコに、シラン化合物(2)としてフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)16.7g(84mmol)と、シラン化合物(1)として3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン(アヅマックス社製)8.0g(36mmol)、溶媒としてトルエン120ml、蒸留水60mlを仕込んだ後、攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.15g(1.5mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
【0119】
反応終了後、反応混合物に酢酸エチル100mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和した。しばらく静置した後、水を除去し有機層を蒸留水にて2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別後、ろ液をエバポレーターにて50mlまで濃縮し、これを多量のn−ヘキサン中に滴下して再沈殿させ、沈殿物をデカンテーションにより分離した。得られた沈殿物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して回収し、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、シラン化合物共重合体(A1)14.7gを得た。
【0120】
シラン化合物共重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は2,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.53であった。
また、シラン化合物共重合体(A1)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
【0121】
(製造例2)
製造例1において、フェニルトリメトキシシランの使用量を14.3g(72mmol)とし、3−アセトキシプロピルトリメトキシシランの使用量を10.7g(48mmol)とした以外は製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A2)15.9gを得た。
【0122】
シラン化合物共重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は2,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
また、シラン化合物共重合体(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
【0123】
(製造例3)
製造例1において、フェニルトリメトキシシランの使用量を11.9g(60mmol)とし、3−アセトキシプロピルトリメトキシシランの使用量を13.3g(60mmol)とした以外は製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A3)15.3gを得た。
【0124】
シラン化合物共重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は2,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.60であった。
また、シラン化合物共重合体(A3)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
【0125】
(製造例4)
製造例1において、フェニルトリメトキシシラン16.7g(84mmol)と3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン8.0g(36mmol)を用いる代わりに、フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)11.9g(60mmol)と3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)14.2g(60mmol)を用いる以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A4)16.3gを得た。
【0126】
シラン化合物共重合体(A4)の重量平均分子量(Mw)は2,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.56であった。
また、シラン化合物共重合体(A4)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1132cm−1,エポキシ基:1254cm−1
【0127】
(製造例5)
300mlのナス型フラスコにシラン化合物(2)としてフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)11.9g(60mmol)と、シラン化合物(1)として3−クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)11.9g(60mmol)、溶媒としてトルエン60ml、蒸留水30mlを仕込んだ後、攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.15g(1.5mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
【0128】
反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて中和した。これに酢酸エチル100mlを加え、しばらく撹拌し、これを静置した後、水を除去し有機層を蒸留水にて2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別後、ろ液を多量のn−ヘキサン中に滴下して再沈殿させ、ヘキサンを除去して沈殿物を取り出した。得られた沈殿物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して回収し、エバポレーターで溶媒を減圧留去し、真空乾燥することにより、シラン化合物共重合体(A5)12.9gを得た。
【0129】
シラン化合物共重合体(A5)の重量平均分子量(Mw)は3,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.63であった。
また、シラン化合物共重合体(A5)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm−1,741cm−1,Si−O:1133cm−1,−Cl:648cm−1
【0130】
(製造例6)
製造例5において、フェニルトリメトキシシランの使用量を16.7g(84mmol)とし、3−クロロプロピルトリメトキシシランの使用量を7.15g(36mmol)とした以外は製造例5と同様にし、シラン化合物共重合体(A6)13.4gを得た。
【0131】
シラン化合物共重合体(A6)の重量平均分子量(Mw)は3,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.59であった。
また、シラン化合物共重合体(A6)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1133cm−1,−Cl:648cm−1
【0132】
(製造例7)
製造例5において、フェニルトリメトキシシランの使用量を14.3g(72mmol)とし、3−クロロプロピルトリメトキシシランの使用量を9.54g(48mmol)とした以外は製造例5と同様にし、シラン化合物共重合体(A7)13.1gを得た。
【0133】
シラン化合物共重合体(A7)の重量平均分子量(Mw)は3,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.61であった。
また、シラン化合物共重合体(A7)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−Cl:648cm−1
【0134】
(製造例8)
製造例5において、3−クロロプロピルトリメトキシシラン11.9gに代えて、2−シアノエチルトリメトキシシラン(アヅマックス社製)10.5g(60mmol)を使用したこと以外は製造例5と同様にし、シラン化合物共重合体(A8)12.3gを得た。
【0135】
シラン化合物共重合体(A8)の重量平均分子量(Mw)は3,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.61であった。
また、シラン化合物共重合体(A8)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1133cm−1,−CN:2252cm−1
【0136】
(製造例9)
製造例8において、フェニルトリメトキシシランの使用量を16.7g(84mmol)とし、2−シアノエチルトリメトキシシランの使用量を6.31g(36mmol)とした以外は製造例8と同様にし、シラン化合物共重合体(A9)13.3gを得た。
【0137】
シラン化合物共重合体(A9)の重量平均分子量(Mw)は3,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.64であった。
また、シラン化合物共重合体(A9)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm−1,742cm−1,Si−O:1131cm−1,−CN:2253cm−1
【0138】
(製造例10)
製造例8において、フェニルトリメトキシシランの使用量を14.3g(72mmol)とし、2−シアノエチルトリメトキシシランの使用量を7.01g(48mmol)とした以外は製造例8と同様にし、シラン化合物共重合体(A10)12.9gを得た。
【0139】
シラン化合物共重合体(A10)の重量平均分子量(Mw)は3,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.62であった。
また、シラン化合物共重合体(A10)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si−Ph:699cm−1,742cm−1,Si−O:1131cm−1,−CN:2253cm−1
【0140】
(実施例1)
製造例1で得たシラン化合物共重合体(A1)10gに、(B)成分として3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(シグマアルドリッチ社製)1.5g、(C)成分として、カルボキシル基を有する脂環式酸無水物としてシクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物(三菱ガス化学社製)0.15g、及びその他の脂環式酸無水物として4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成社製)1.35gを加え、全容を十分に混合、脱泡し、硬化性組成物(1)を得た。
【0141】
(実施例2〜8)
実施例1において、シラン化合物共重合体、(B)成分、及び(C)成分を下記第1表−1に記載の種類及び配合量で用いる他は、実施例1と同様にして、硬化性組成物(2)〜(8)を得た。
【0142】
(実施例9、10)
実施例4、5において、さらにリン系の酸化防止剤であるIRGAFOS168(チバ・ジャパン社製)0.5質量部加えた以外、実施例4、5と同様にして、硬化性組成物(9)、(10)をそれぞれ得た。
【0143】
(比較例1、2)
実施例1において、シラン化合物共重合体、(B)成分、及び(C)成分を下記第1表−1に記載の配合量で用いる他は、実施例1と同様にして、硬化性組成物(11)、(12)をそれぞれ得た。
【0144】
(比較例3)
実施例1において、(C)成分に代えて脂環式アミン系硬化剤(商品名:EH3895、ADEKA社製)1.5gを用いる他は、実施例1と同様にして、硬化性組成物(13)を得た。
【0145】
(比較例4)
実施例1において、(C)成分に代えて4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成社製)1.45g及び硬化触媒のトリフェニルホスフィン(関東化学社製)0.05gを用いる他は、実施例1と同様にして、硬化性組成物(14)を得た。
【0146】
(比較例5)
実施例3において、シラン化合物共重合体(A2)に代えて製造例4で得たシラン化合物共重合体(A4)10gを用いる以外は、実施例3と同様にして、硬化性組成物(15)を得た。
【0147】
(実施例11〜16、比較例6〜13)
実施例1において、シラン化合物共重合体、(B)成分、及び(C)成分等を下記第1表−2に記載の種類及び配合量で用いる他は、実施例1と同様にして、硬化性組成物(16)〜(29)をそれぞれ得た。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
実施例1〜16及び比較例1〜13で得た硬化性組成物(1)〜(29)の硬化物につき、下記のようにして、接着力、初期透過率、及び加熱後の透過率を測定した。
測定結果を下記第2表−1、第2表−2に示す。
【0151】
(接着力試験)
2mm角のシリコンチップのミラー面に硬化性組成物を厚さが約2μmになるよう塗布し、塗布面を被着体(銀メッキ銅板)の上に載せ圧着した。その後、180℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、予め所定温度(23℃、100℃)に加熱したボンドテスター(シリーズ4000、デイジ社製)の測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から50μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方法(せん断方向)に応力をかけ、23℃及び100℃における、試験片と被着体との接着力を測定した。
【0152】
(初期透過率の測定)
硬化性組成物を、長さ25mm、幅20mm、厚さ1mmとなるように鋳型に流し込み、140℃で6時間加熱して硬化させ、試験片をそれぞれ作製した。得られた試験片につき、分光光度計(MPC−3100、島津製作所社製)にて、波長450nmの初期透過率(%)を測定した。
【0153】
(加熱後の透過率の測定)
初期透過率を測定した各試験片を150℃のオーブンに100時間及び300時間投入し、再度、波長450nmの透過率(%)を測定した。
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
第2表−1、第2表−2から、実施例1〜16の硬化物は、23℃においても100℃においても高い接着力を有し、初期の透過率も加熱後の透過率も優れるものであった。
一方、比較例1、6および10の硬化物は、接着力に劣り、比較例2、7および11の硬化物は加熱後の透過率が低く、比較例3、4、8、9、12および13の硬化物は接着力に劣り、加熱後の透過率も低いものであった。比較例5の硬化物は、300時間加熱することにより、透過率が低下することがわかった。