【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年6月10日〜13日、東京ビッグサイトにおける「2014国際食品工業展」(主催:一般社団法人 日本食品機械工業会)に出品
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つのモータの回転運動を、前記発熱部を所定の基準位置から前記降下台上方へ旋回させるための前記支持部の回転運動と、前記支持部の降下および上昇と、前記発熱部を前記降下台上方から前記基準位置へ旋回させるための前記支持部の回転運動とに変換するためのカムおよびクランクを有する第1リンク機構を更に備える
ことを特徴とする請求項5記載の包装装置。
1つのモータの回転運動を、前記一対の揺動板における揺動運動に変換すると共に前記一対の移動板の往復直線運動に変換するためのカムおよびクランクを有する第2リンク機構を更に備える
ことを特徴とする請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の包装装置。
前記筺体の上面から前記開口内にかけて侵入するよう折り曲げられ且つ互いに対向する位置に設けられ、前記開口内に侵入する部分に、前記一対の移動板を前記互いに接近する方向へ移動可能に案内する一対の案内穴が形成された移動板案内部を更に備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の包装装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態においては、1つの菓子等の被包装物のみをPP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PVC(polyvinyl chloride)、PE(polyethylene)といった1枚の薄いシート状(フィルム状)の包装材、特に熱溶着可能な包装材で包装する1包装完結型の卓上包装装置を例にとり説明を行う。なお、包装材は、上述したものに限られるものではなく、被包装物を包装可能なものであれば、何を用いてもよい。
【0011】
(装置構成要素)
先ず、本実施の形態に係る卓上包装装置の全体構成について説明する。
図1〜
図3に示されるように、本実施の形態に係る卓上包装装置1は、矩形の立方体であり上面の略中央にX−X方向に長い長方形の開口10aが形成された筐体10と、開口10a内に設けられ包装材Aおよび図示しない被包装物を載置するための降下台20と、包装材Aを折り重ねるためのシャッタ板31a,31b、2つのサイドシャッタ板32a,32b、及び押え込み板33a,33bと、包装材Aの折り重ねられた個所を熱溶着するための溶着部40と、シャッタ板31a,31bそれぞれを案内するための2つのシャッタガイド板50と、シャッタガイド板50の位置をそれぞれ調節するための調節ハンドル501、ガイドピン502、ガイド溝503と、を備える。
【0012】
また、卓上包装装置1は、その正面に、卓上包装装置1の電源スイッチ61と、溶着部40が備える後述するヒータの電源のON/OFFを操作する温調スイッチ62aと、ヒータの温度の表示および調節可能なヒータ調節器62bと、溶着部40の昇降及び旋回の一連の動作を手動で調節するための溶着部調節ハンドル62cと、卓上包装装置1を1サイクルのみ駆動させるための1サイクルスイッチ63と、後述するモータを寸動運転させるための寸動スイッチ64と、降下台20の高さを調節するための降下台調節ハンドル65と、モータを停止および逆転運転させるための停止/逆転スイッチ66と、ヒューズ67とを備え、その側面に、家庭用電圧(例えば100V)の電源コード68を備える。なお、前述した溶着部40の昇降及び旋回の一連の動作についての詳細は後述する。また、説明上、図に向かって卓上包装装置1の側面右側をX、側面左側をX’背面側をY、正面側をY’、として以後説明を行う。
【0013】
本実施の形態の理解を深めるため、この卓上包装装置1の動作を簡単に説明する。
【0014】
図3に示されるように、降下台20上に包装材Aを載せ、その上に図示しない被包装物を載置する。なお、
図1及び
図2に示される、筺体10の上面上において、開口10aから四方(X,X’,Y,Y’方向)に延在する7は、包装材Aの大きさを測るための目盛りであり、この目盛り7を目安として包装材Aが載置される。この状態において、被包装物が包装材Aに載せられると、降下台20が被包装物の自重で開口10a内へ降下し、完全に没入する。没入後、没入状態にある降下台20の四方に設けられたシャッタ板31a,31b、サイドシャッタ板32a,32b、及び押え込み板33a,33bにより包装材Aが折り重ねられ、その折り重ねられた箇所に溶着部40が備えるヒータの当接部が当接することより、当該箇所が熱溶着され被包装物の包装が完了となる。
【0015】
なお、この卓上包装装置1を使用する際には、電源スイッチ61をONに切り替えると共に温調スイッチ62aをONに切り替え、溶着部40のヒータが予めヒータ調節器62bにより設定しておいた温度となった後、1サイクルスイッチ63を押下することにより、前述した動作が実行される。なお、使用する包装材Aの素材や大きさ、被包装物の種類により、適宜ヒータ調節器62bにより温度を調節することが好ましい。以上のように、卓上包装装置1は1個1行程で完結するものであるため、使用者は適宜降下台20への包装材Aおよび被包装物の載置、1サイクルスイッチ63の押下、包装された被包装物の取り去りを手動で行う。
【0016】
以下、前述した各構成要素を
図4〜
図15を用いて詳細に説明する。なお、以降の図面においては、説明する主たる構成要素以外の他の構成要素を、説明を容易にするために適宜省略している。
【0017】
(降下台20)
降下台20は、
図4(a)に示されるように、包装材Aや被包装物が載置される円形のテーブル201と、テーブル201を支持するようその下面円心部に連結されたシャフト202と、シャフト202を上下動可能に支持するバネ203と、バネ203を内部に収容すると共に上面がシャフト202に摺動可能に貫通されるシリンダ204と、一端がシリンダ204の下面を摺動可能に貫通し、他端が筺体10内に設けられた支持台10b(
図6参照)に固定されたシャフト205と、を備えて構成される。
【0018】
テーブル201上に包装材Aおよび被包装物Bが載置されると、
図4(b)に示されるように、被包装物Bの重さにより、バネ203が圧縮されて、テーブル201が降下し始め、
図4(c)に示されるように、完全に被包装物Bが開口10a内に没入する。この状態において、包装材Aの2つの端部(2つの角隅部)がそれぞれ近傍に位置するシャッタガイド板50に当接して折り曲がる状態とすることができる。なお、本実施の形態においては、筺体10の内壁面上側と被包装物Bとの間の空間において、対向する2方向(X,X’方向)からシャッタ板31a,31b、サイドシャッタ板32a,32bが進出することにより、当該端部を折り曲げ且つ折り重ねる(
図8,
図9参照)。したがって、適切な位置、即ちシャッタ31等により包装材Aを折り重ね可能な位置まで包装材Aおよび被包装物Bが降下するよう調節可能とすることが好ましい。そのため、本実施の形態では、シリンダ204の下方に、シリンダ204を上下方向に調節可能な調節コマ206が設けられている。
【0019】
調節コマ206は、
図5に示されるように、シリンダ204の下面と接触するために降下台調節ハンドル65側(Y’方向側)に傾斜した斜面206aと、降下台調節ハンドル65に連結されたネジ部55aが螺合可能に内部に螺旋状の溝が形成された、降下台調節ハンドル65側の側面から斜面206aまで貫通する螺合穴206bと、シャフト205が挿通するための切り込み部206cとが形成されている。
【0020】
調節コマ206は、筺体10内に設けられた支持台10bに摺動可能に支持されており、降下台調節ハンドル65が回転されることにより、そのネジ部65aが回転して螺合穴206b内部を周方向に摺動するため、YまたはY’方向へ移動することができる。当該移動をシャフト205が阻害しないよう、切り込み部206cは、Y−Y’方向に長く形成されている。切り込み部206cの幅は、シャフト205に対して摺動可能な幅とし、最もY方向へ移動した際にシャフト205と係合可能にU字形状とすることが好ましい。これにより、調節コマ206は、シャフト205に対して真直ぐ安定して移動することができ、当該移動に伴い、斜面206aの傾斜に応じてシリンダ204を上下動させることができる。
【0021】
例えば、
図6(a)に示されるように、被包装物Bを載置する前に、シリンダ204の下面が斜面206aの上方に位置している状態において、
図6(b)に示されるように、テーブル201上に被包装物Bを載置しても、完全に開口10a内に被包装物Bが没入しない場合がある。この場合、
図6(c)に示されるように、調節コマ206を降下台調節ハンドル65側(Y’方向側)に移動させてシリンダ204を降下させ、開口10a内に被包装物Bを没入させると共に包装材Aを折り重ね可能な位置に調節することができる。よって、調節コマ206により、多種多様な被包装物Bに対応して、包装を行うことが可能となる。
【0022】
(シャッタ板31a,31b)
シャッタ板31a,31b(以後、これら2つを区別しない場合はシャッタ板31と称する)は、
図7〜
図9に示されるように、筺体10の上壁の下方に開口10aを間に挟んで設けられた、互いに接近および離間する方向に水平移動、即ち往復直線運動可能な一対の長方形平板部材である。本実施の形態においては、
図1〜
図3に示されるように、長方形の開口10aにおける長手方向に直行する形で設けられている。したがって、被包装物Bが載置されてテーブル201が降下した場合、シャッタ板31から見て互いに接近する方向には、シャッタガイド板50に当接して折り曲げられた包装材Aの端部が位置することとなる。この端部は、本実施の形態においては、
図10(a)に示される包装材AのX−X’方向における対角上に位置する角隅部Cに相当する。シャッタ板31が互いに接近する方向へ移動することにより、その先端が角隅部Cに当接し、更に該方向へ移動することにより該角隅部Cを互いに折り重ねることができる。
【0023】
本実施の形態においては、
図8(a)および
図8(b)に示されるように、シャッタ板31aがシャッタ板31bの方向(X’の方向)に向かって移動した後、
図9(a)および
図9(b)に示されるように、シャッタ板31bがシャッタ板31bの方向(Xの方向)に向かって移動する。なお、包装材Aの角隅部Cが良好に折り重ねられるよう、一対のシャッタ板31は、その一端部が互いにわずかな隙間を設けて重なる、即ち、平面視で重なると共に上下方向で位置が異なることが好ましい。そのため、本実施の形態では、
図9(b)に示されるように、シャッタ板31bがシャッタ板31aの上方に移動するよう、上下方向に位置をずらして設けられている。なお、本実施の形態においては、サイドシャッタ板32bも同様にサイドシャッタ板32aの上方に位置されているが、上下方向において同一の位置としてもよい。
【0024】
(サイドシャッタ板32a,32b)
サイドシャッタ板32a,32b(以後、これら2つを区別しない場合はサイドシャッタ板32と称する)は、
図7,
図8に示されるように、シャッタ板31を挟むよう、その両サイドに離間して設けられており、対向するサイドシャッタ板32と互いに接近および離間する方向にシャッタ板31と連動して水平移動、即ち往復直線運動可能な一対の長方形平板部材である。また、サイドシャッタ板32は、その平面がシャッタ板31の平面と直行するよう配設されている。したがって、サイドシャッタ板32が移動することにより、その先端が
図10(a)及び
図10(b)に示される包装材Aの角隅部Cの近傍に位置する両端部Dに接触し、シャッタ板31が角隅部Cを正確に折り曲げられるよう、補助することができる。
【0025】
また、サイドシャッタ板32は、その長手方向に沿うよう、ガイド溝321が設けられており、筺体10内で固定されたガイド322がガイド溝321に挿入されている。これにより、後述するサイドシャッタ板32の駆動機構とガイド322とでサイドシャッタ板32を支持することができ、サイドシャッタ板32が移動しても、ガイド322に対して摺動するため、その移動先の位置精度を良好なものとすることができる。即ち、サイドシャッタ板32の上下方向のブレが規制されている。
【0026】
なお、サイドシャッタ板32の互いに接近する方向における先端は、対向するサイドシャッタ板32と接触しないよう、シャッタ板31の先端より後方に位置することが好ましい。また、一対のサイドシャッタ板32(サイドシャッタ板32a,32aおよび32b,32b)間の間隔は、移動の際に被包装物Bに当接しないよう、テーブル201の直径より大きくすることが好ましい。
【0027】
(シャッタガイド板50)
シャッタガイド板50は、
図7〜
図9に示されるように、開口10aの長手方向に直行するよう、開口10aの両サイドに位置する筺体10の上面に設けられた長方形の板状部材であり、その一端部が開口10a内に垂直に侵入するよう折り曲げられている。この折り曲げ部分50aが形成されることにより、テーブル201が降下した場合に、包装材Aの角隅部Cが開口10a内に没入して筺体10の上壁の下方に入り込むことを防止している。
【0028】
また、折り曲げ部分50aは、
図11(a)に示されるように、シャッタ板31の水平移動(直線運動)を可能とするための案内口50bが設けられており、
図11(b)に示されるように、この案内口50bに挿通する形でシャッタ板31が水平移動することにより、シャッタ板31を適切な位置へ案内することを可能としている。また、この折り曲げ部分50aは、サイドシャッタ板32の水平移動を可能とするため、即ち接触しないために下方の角隅部分が切欠かれている。なお、
図11には、X’方向側のシャッタガイド板50が図示されており、ここでは当該シャッタガイド板50を説明したが、X方向側のシャッタガイド板50においても同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0029】
また、シャッタガイド板50は、その短手方向の略中央に、シャッタガイド板50の長手方向に沿って延びるガイド溝503が設けられている。ガイド溝503には、筺体10の上壁に螺合する調節ハンドル501と、筺体10の上壁に固定されたガイドピン502とが挿通されている。これにより、シャッタガイド板50を、その長手方向(X−X’方向)に適宜移動させることができ、被包装物Bの直径といった形状に即して、包装材Aの折り曲げ、折り重ね具合を調節することができる。なお、この調節ハンドル501を、筺体10側に押し込まれるよう回転させることにより、シャッタガイド板50を筺体10に押し付けることができ、固定することができ、移動させたい場合は、調節ハンドル502を逆に回転し、当該押しつけを緩めればよい。また、ガイドピン502がガイド溝503に挿通されているため、シャッタガイド板50の短手方向(Y−Y’方向)への移動を規制している。
【0030】
(押え込み板33a,33b)
押え込み板33a,33b(以後、これら2つを区別しない場合は押え込み板33と称する)は、
図12,
図13に示されるように、開口10a内部にテーブル201を間に挟む形で設けられた、互いに接近および離間する方向に揺動可能なS字クランク形部材である。本実施の形態において、押え込み板33は、長方の開口10aにおける長手方向に揺動する形、即ちシャッタ板31の移動方向に直行する形で揺動するよう、開口10aの短手方向(X−X’方向)に延び筺体10内部で回転可能に支持される回転軸331aに支持部材331bを介して連結されている。なお、支持部材331bは、押え込み板33の下方側端部にビス等を介して回転軸331aに固定されている。押え込み板33は、この回転軸331aを起点として揺動する。
【0031】
押え込み板33は、S字の形状を成すことで、被包装物Bが載置されてテーブル201が降下した後に互いに接近する方向へ揺動した場合、図示しない包装材Aの角隅部Cを下方から上方にかけて掬い上げるよう折り曲げ、折り重ねることができる。したがって、被包装物Bが載置されてテーブル201が降下した際に、当該角隅部Cが開口10aの縁に当接しない場合、即ち角隅部Cが折り曲がっていない場合であっても、良好に角隅部Cを折り曲げることができる。なお、ここで折り重ねられる角隅部Cは、シャッタ板31が折り曲げる角隅部Cがなす対角線と直行する対角線上の角隅部Cである。
【0032】
また、押え込み板33は、回転軸331aの連結部分とは逆の端部に、下方に傾斜が形成された押さえ部332が形成されている。これにより、
図13に示されるように、互いに接近する方向に揺動しきった状態において、図示しない包装材Aの角隅部Cを被包装物Bの方へ押さえることができ、当該角隅部Cをより良好に折り重ねることができる。また、この押さえ部332には、その端部に略半円形状の切欠き333が設けられており、2つの押さえ部332が互いに接近しきった状態において、2つの切欠き333により
図12(b)に示されるような挿通口334が形成される。この挿通口334が形成されることにより、押さえ部332による折り重ねられた角隅部Cの被包装物Bへの押さえを継続した状態で、当該角隅部Cが上方に露出するため、この個所に溶着部40の後述するヒータ401及び当接部402による確実且つ正確な熱溶着を行うことができる。
【0033】
本実施の形態においては、
図12(b),
図13(b)に示されるように、押え込み板33aが対向する押え込み板33bの方向(Y’の方向)に向かって揺動した後、押え込み板33bが対向する押え込み板33aの方向(Yの方向)に向かって揺動する。なお、角隅部Cが良好に折り重ねられるよう、押さえ部332が互いに重なることが好ましい。
【0034】
(溶着部40)
溶着部40は、
図14に示されるように、略L字形状を成して筺体10に水平方向へ旋回可能に設けられたものであり、
図15,
図16に示されるように、ヒータ401と、ヒータ401により加熱されて包装材Aに当接可能に当該ヒータ401より下方に突出する当接部402と、ヒータ401を支持するヒータ支持部403と、ヒータ支持部403を支持する水平方向に延びるアーム404と、ヒータ支持部403及びアーム404の間に設けられたヒンジピン405と、アーム404と直行するよう上下方向に延びアーム404端部に連結して支持するマスト406と、マスト406を上下動可能に筺体10に固定する固定台407と、を備えて構成される。
【0035】
溶着部40は、
図15(a)に示されるように、テーブル201の上方にヒータ401が位置するよう旋回すると、
図15(b)に示されるように、マスト406が筺体10内に入り込み、当接部402を折り重ねられた角隅部Cに当接することができる。なお、当接部402が降下する位置は、予め決められているため、降下台20のテーブル201の上下方向の位置を降下台調節ハンドル65により適宜設定することが好ましい。
【0036】
また、
図16(b)に示されるように、ヒータ支持部403のアーム404側先端は、アーム404との間に隙間Eが形成されるよう、上方から下方にかけてヒータ401側へ傾斜した斜面が形成され、アーム404のヒータ支持部403側先端は、当該傾斜より緩やかな斜面が形成されている。これらの傾斜により、隙間Eが形成されることで、ヒータ401はヒンジピン405を軸にして上下方向に揺動可能となる。即ち、隙間Eが、ヒータ401の首振りのための遊び代となる。ヒータ401が首振り可能となっているため、溶着部40が降下し、当接部402が角隅部Cに当接した場合、その押圧力を適度に吸収することができ、被包装物Bに過度な損傷を与えることを防止している。
【0037】
(包装方法)
次に、本実施の形態に係る卓上包装装置1による被包装物Bの包装方法を
図17〜
図19を用いて詳細に説明する。なお、説明上、
図17および
図18では、開口10a近傍のみが示されており、包装材Aおよび被包装物Bは省略している。
【0038】
図17(a)に示される状態は、包装材Aがテーブル201に載せられ、その上に被包装物Bが載置されて、テーブル201が降下した状態であり、本実施の形態においては、この状態から卓上包装装置1による包装方法が始まる。先ず、この状態において、
図17(b)に示されるように、シャッタ板31a及びサイドシャッタ板32aが、対向するシャッタ板31b及びサイドシャッタ板32bの方向へ移動し、開口10a内において被包装物B上方まで進出する。当該進出により、包装材Aのシャッタガイド板50と当接して折り曲げられた状態にある角隅部C1が、
図19(a)に示されるように被包装物B上に折り畳まれる。よって、被包装物Bの上方に角隅部C1が折り畳まれ、角隅部C1の上にシャッタ板31aが位置した状態となる。
【0039】
角隅部C1が折り畳まれた後、
図17(c)に示されるように、シャッタ板31b及びサイドシャッタ板32bが、対向するシャッタ板31a及びサイドシャッタ板32aの方向へ移動し、開口10a内において被包装物B上方まで進出する。ここで、シャッタ板31bは、被包装物B上方においてその先端部がシャッタ板31aの先端部と重なる。当該進出により、包装材Aのシャッタガイド板50と当接して折り曲げられた状態にある角隅部C2が、
図19(b)に示されるように被包装物B上方に折り畳まれる。よって、角隅部C1の上に位置するシャッタ板31aの上に角隅部C2が折り重なり、角隅部C2の上にシャッタ板31bが位置することとなる。即ち、角隅部C1、シャッタ板31a、角隅部C2、シャッタ板31bの順に積層された状態となる。
【0040】
角隅部C2が折り畳まれた後、
図17(d)に示されるように、押え込み板33aが、対向する押え込み板33bの方向へ揺動し、開口10a内において被包装物B上方まで進出する。当該進出により、
図19(c)に示されるように、包装材Aの略平面状にある角隅部C3が、被包装物B上方に折り畳まれる。この状態において、押え込み板33aの押さえ部332により、角隅部C3が下方に押さえられている。よって、角隅部C2の上に位置するシャッタ板31bの上に角隅部C3が折り重なり、角隅部C3の上に押え込み板33aが位置することとなる。即ち、角隅部C1、シャッタ板31a、角隅部C2、シャッタ板31b、角隅部C3、押え込み板33aの順に積層された状態となる。
【0041】
角隅部C3が折り畳まれた後、
図17(e)に示されるように、押え込み板33bが、対向する押え込み板33aの方向へ揺動し、開口10a内において被包装物B上方まで進出する。ここで、押え込み板33bは、被包装物B上方においてその押さえ部332が押え込み板33aの押さえ部332と一部重なり、挿通口334が形成される。当該進出により、
図19(d)に示されるように、包装材Aの略平面状にある角隅部C4が、被包装物B上方に折り畳まれる。この状態において、押え込み板33aの押さえ部332により、角隅部C4が下方に押さえられている。よって、角隅部C3の上に位置する押え込み板33aの上に角隅部C4が折り重なり、角隅部C4の上に押え込み板33bが位置することとなる。即ち、角隅部C1、シャッタ板31a、角隅部C2、シャッタ板31b、角隅部C3、押え込み板33a、角隅部C4、押え込み板33bの順に積層された状態となる。
【0042】
角隅部C4が折り畳まれた後、
図18(f)に示されるように、シャッタ板31a及びサイドシャッタ板32aが元の位置に後退し、これにより、角隅部C1の上に角隅部C2が折り重ねられた状態となる。その後、
図18(g)に示されるように、シャッタ板31b及びサイドシャッタ板32bが元の位置に後退する。よって、挿通口334の下方では、角隅部C1〜角隅部C4のみが積層された状態となる。
【0043】
挿通口334下方で角隅部C1〜C4のみが積層された状態となった後、
図18(h)に示されるように、溶着部40が所定の位置まで旋回し、下降することにより、そのヒータ401の当接部402が挿通口334に挿通され、当該積層個所に熱溶着、即ちヒートシールがなされる。角隅部C1〜角隅部C4は、その一部が押さえ部332により押さえられているため、極めて精度よくヒートシールを行うことができる。ヒートシール後、溶着部40が上昇し、
図18(i)に示されるように、元の位置へ旋回し、
図18(j)及び
図18(k)に示されるように、押え込み板33a,33bがそれぞれ元の位置まで揺動し、被包装物Bの包装が完了となる。なお、
図18(i)〜
図18(k)に示される符号Fは、角隅部C1〜C4が折り重ねられ、ヒートシールがなされた箇所を示している。
【0044】
次に、本実施の形態に係る卓上包装装置1の前述した各種構成要素の具体的な内部構成を
図20を用いて詳細に説明する。なお、前述した電源スイッチ61、温調スイッチ62a、ヒータ調節器62b、溶着部調節ハンドル62c、1サイクルスイッチ63、寸動スイッチ64、停止/逆転スイッチ66、ヒューズ67、電源コード68についての筐体10内部における具体的な装置構成は、一般的なものであるため、本明細書においてその説明は省略する。
【0045】
図20に示されるように、筺体10内には、シャッタ板31、サイドシャッタ板32、押え込み板33、及び溶着部40を駆動するための回転伝達軸801a〜801d(以後、これらを区別しない場合は回転伝達軸801と称する)が、筺体10の壁面に沿って四角形をなすよう配置されており、軸受801eに回転可能に支持されている。このうちの回転伝達軸801aの一方の端部には、回転伝達軸801を回転するためのモータ802が連結されている。モータ802は、前述した1サイクルスイッチ63、寸動スイッチ64、停止/逆転スイッチ66等の操作に応じて、自己の回転伝達軸に設けられたギヤ802aを回転駆動するものであり、このギヤ802aと回転伝達軸801aの一方の端部とが継ぎ手803を介して連結されている。また、回転伝達軸801における互いに隣接する端部には、べベルギヤ804が設けられており、各回転伝達軸801に対するモータ802の回転運動の伝達を可能にしている。
【0046】
回転伝達軸801aには、押え込み板33aを揺動するための押え込みカム805aと、溶着部40を旋回させるための旋回カム805bと、溶着部40を昇降するための昇降カム805cと、が設けられている。押え込みカム805aは、フック806が設けられており、このフック806が押え込み板33aと連結されたクランク機構807aに連結されている。クランク機構807aは、押え込みカム805aの動きに連動して押え込み板33aとの連結部分を水平移動させるよう構築されたものであり、このようなカム・クランクからなるリンク機構により、回転伝達軸801aの回転運動を押え込み板33aのY−Y’方向への水平運動に変換している。なお、押え込み板33aはその一端部が筺体10内で固定された回転軸331aに連結されているため、回転軸331を起点として、その上方に位置するクランク機構807aとの連結部分が、当該クランクの動きに連動して水平運動することにより、押さえ部332等が形成された他端部の揺動を実現している。
【0047】
同様に、旋回カム805bおよび昇降カム805cも、図示しない溶着部40と連結されたクランク機構にそれぞれ連結されており当該クランク機構が、回転伝達軸801aの回転運動を溶着部40の旋回運動および昇降運動に変換するよう構築されている。前述した溶着部調節ハンドル62cは、当該クランク機構に連結されており、手動にて回転させることにより、適宜クランク機構を駆動させることができる。
【0048】
回転伝達軸801bには、シャッタ板31aおよびサイドシャッタ板32aを水平移動するためのシャッタカム805dが設けられている。シャッタカム805dは、フック806が設けられており、このフック806がシャッタ板31aおよびサイドシャッタ板32aと連結されたクランク機構807bに連結されている。クランク機構807bは、シャッタカム805dの動きに連動してシャッタ板31aおよびサイドシャッタ板32aを水平移動させるよう構築されたものであり、このようなカム・クランクからなるリンク機構により、回転伝達軸801bの回転運動をシャッタ板31aのX−X’方向への水平運動に変換している。
【0049】
回転伝達軸801cには、押え込み板33bを揺動するための押え込みカム805eが設けられている。押え込みカム805aと同様に、押え込みカム805eは、フック806が設けられており、このフック806が押え込み板33bと連結されたクランク機構807cに連結されている。クランク機構807cは、押え込みカム805eの動きに連動して押え込み板33bとの連結部分を水平移動させるよう構築されたものであり、このようなカム・クランクからなるリンク機構により、回転伝達軸801cの回転運動を押え込み板33bのY−Y’方向への水平運動に変換している。
【0050】
回転伝達軸801dには、シャッタ板31bおよびサイドシャッタ板32bを水平移動するためのシャッタカム805fと、1サイクル完結カム805gとが設けられている。シャッタカム805dと同様に、シャッタカム805fは、フック806が設けられており、このフック806がシャッタ板31bおよびサイドシャッタ板32bと連結されたクランク機構807dに連結されている。クランク機構807dは、シャッタカム805fの動きに連動してシャッタ板31bおよびサイドシャッタ板32bを水平移動させるよう構築されたものであり、このようなカム・クランクからなるリンク機構により、回転伝達軸801dの回転運動をシャッタ板31bのX−X’方向への水平運動に変換している。
【0051】
1サイクル完結カム805gは、回転伝達軸801dの回転に応じて筺体10内に設けられたリミットスイッチ808を叩くものであり、このリミットスイッチ808が叩かれることにより、1サイクル、即ち1つの被包装物Bの包装が完了したとして、モータ802の回転駆動が停止されるようになっている。
【0052】
前述した各種カムは、各構成要素が順次駆動されるように切られており、本実施の形態においては、シャッタカム805d、シャッタカム805f、押え込みカム805a、押え込みカム805e、旋回カム805b、昇降カム805c、の順に、それぞれ連結されたクランク機構を駆動させ、各構成要素を元の位置から所定位置まで移動させるよう、各種カムが形成されている。また、各種カムは、昇降カム805c、旋回カム805b、シャッタカム805d、シャッタカム805f、押え込みカム805a、押え込みカム805eの順に、それぞれ連結されたクランク機構を駆動させ、各構成要素を所定位置から元の位置まで移動させるよう形成されている。
【0053】
(応用例)
なお、本実施の形態においては、包装材Aの角隅部Cを折り重ねると説明したが、これに限定されるものではなく、包装材Aの端部であれば、どの部分(例えば辺)であっても折り重ねられることは言うまでもない。また、テーブル201に載置できるのであれば、1個包装に限らず、複数の同時包装を行ってもよい。更に、降下台20が弾性体としてバネ23を備えているが、これに限らず、ゴムといった弾性力を有する弾性体であればよい。また、押え込み板33は、S字形と説明したが、角隅部Cが正確に折り曲げられるように押さえ部332が形成されていればよく、例えば端部が回転軸331aに直接連結されたL字形であってもよい。
【0054】
本実施の形態においては、シャッタ板31と押し込み板33とを備えると説明したが、シャッタ板31のみをテーブル201の四方に設けてもよく、押し込み板33のみを四方に設けてもよい。押し込み板33を四方に設けた場合、被包装物Bの降下時に包装材Aの2つの端部を折り曲げる必要がないため、シャッタガイド板は必要なく、また、開口10aを広く形成してもよい。シャッタ板31を四方に設けた場合は、押し込み板33と同様に、少なくとも対向する一対のシャッタ板31に切欠き333を設けてもよい。
【0055】
更に、本実施の形態では、シャッタ板31aおよびサイドシャッタ板32aが移動した後に、シャッタ板31bおよびサイドシャッタ板32bが移動すると説明したが、どちらが先に移動するかは適宜であり、同時に移動するようリンク機構を構築してもよい。これは、押し込み板33においても同様である。また、包装材Aの角隅部Cに予め糊等の接着剤が付着しているのであれば、溶着部40を除き、より迅速に包装を行うようにしてもよい。
【0056】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、包装材Aの角隅部Cを4方向から進出するシャッタ板31、サイドシャッタ板32、押え込み板33により正確に折り重ねることができるため、手作業で、テーブル201上に包装材Aを載せ、その上に被包装物Bを載置し、1サイクルスイッチ63を押下するのみでよく、その作業性は極めて良く、衛生的である。更に、このような折り重ね手法に加えて被包装物Bの上方で包装材Aをヒートシールする手法であるため、包装が困難な柔らかい洋菓子を含め、多種多様な被包装物を損傷なく簡便に包装することができる。
【0057】
更に、その駆動機構を、カム・クランク・リンク機構とべベルギヤ804の機械式で構築しているため、確実な駆動を行えると共に、耐久性に優れ、軽量化(例えばリンク機構の部品点数がカム6個、クランク5〜6個)を実現している。また、上述した構成要素を備えることにより、特に、被包装物Bの上方で包装材Aをヒートシールする手法であるため、装置構成を簡素化できる。例えば、筐体のサイズを、X−X’方向である横幅を400mm、Y−Y’方向である縦幅を350mm、上下方向の高さを200mmとすることができ、その重量を15kgとすることができる。したがって、小型且つ軽量であるため、作業台等のテーブルに設置したり、持ち運んだりすることができ、小規模の店舗においても使用可能なコンパクトな装置とすることができる。
【0058】
このような簡素な駆動機構によれば、駆動部分にエアシリンダ等を用いていない点から見ても、大企業が備える連続式の装置と比較し、1/3〜1/4程度の設備費で包装装置を導入することができる。また、本実施の形態によれば、省エネルギを実現でき、例えば、モータ802を25w、ヒータ401を120w(130℃)で駆動すれば、AV100V×135Wと、極めて消費エネルギは低い。なお、ヒータ401は、被包装物および包装材の材料、形状等により適宜温度を設定するものであるため、上記温度等の数値に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0059】
本実施の形態に係る卓上包装装置1によれば、被包装物Bの1個包装を2〜3秒(手置き、取り去り作業を除く)で行うことができ、およそ20〜30個/分程度の生産能力を有している。したがって、連続式の装置と見劣りしない生産能力を実現できる。また、大手メーカと同等レベルの包装を行うことができるため、多品種、少量生産に対応した、個人店等の小企業が望む能力を有している。更に、被包装物Bの形状に問わず包装することができる。当該形状としては、例えば、円柱型、円錐型、長方体型、立方体型、ダンゴ型等の、丸型・角形・直方形の立方体食品が挙げられる。
【0060】
また、外的要因等により卓上包装装置1の動作に不備が生じた場合や、動作の調整時には、溶着部調節ハンドル62cや、寸動スイッチ64、停止/逆転スイッチ66を操作することにより、適宜モータ802の回転を制御できるため、シャッタ板31、サイドシャッタ板32、及び押し込み板33の動作を任意に制御することができる。
【解決手段】上面に開口10aが設けられた筐体10と、前記開口内に設けられ、シート状の包装材Aが載置されると共に該包装材上に被包装物が載置された状態において、該被包装物が前記開口内に没入するまで降下する該包装材より小さい降下台20と、前記降下台が降下することにより該降下台からはみ出た前記包装材の少なくとも2つの端部が前記開口の縁部に接触して上方へ折り曲げられた後、前記開口内において、該折り曲げられた端部に向かって移動することにより該被包装物上面を覆うよう該端部を折り重ねる折り重ね部31,33とを備えた。