特許第5700742号(P5700742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5700742構築物および構築物を用いた雨水等の流出抑制施設
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700742
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】構築物および構築物を用いた雨水等の流出抑制施設
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20150326BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   E03F1/00 A
   E03B3/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-240421(P2010-240421)
(22)【出願日】2010年10月27日
(65)【公開番号】特開2012-92552(P2012-92552A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−048010(JP,A)
【文献】 特開2008−255767(JP,A)
【文献】 特開平09−041434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
E03B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に構築物を埋設し、当該構築物を貯留空間とし前記貯留空間をシートで覆った雨水等の流出抑制施設において、前記構築物を以下の構成により構築した雨水等の流出抑制施設。
盤体部の表面に突出する四本の柱部Aの形成する隙間が梁形成用部材Cを挟むよう互いに直交して配列して設けられ、裏面に梁形成用部材Cを挟む溝部Aが直交する方向に設けられ、かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Aが設けられた柱形成用部材Aと、
盤体状で表面には梁形成用部材Cを挟む溝部Bが直交する方向に設けられ、かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Bが設けられ、裏面には柱形成用部材Aの柱部Aの頂部が係合する凹部Bが設けられた柱形成用部材Bと、
両端に上記貫通孔Aおよび貫通孔Bに係合する係合部Cが設けられ、当該係合部に続く圧狭部Cは上記溝部Aおよび溝部Bに挟み込まれ、中央部は柱間をつなぐ梁部Cとなる梁部形成用部材Cと、
上に突のU字状で、両端上部には前記柱形成用部材Aの柱部Aが貫入する孔部Dが設けられた壁および天井形成用部材Dとからなり、構築物の周囲壁部は柱形成用部材Aの横方向に壁および天井形成用部材Dを係合し、柱形成用部材Aの縦方向に柱形成用部材Bを係合することを繰り返し、構築物の内部の柱および梁は柱形成用部材Aの横方向に梁形成用部材Cを係合し、柱形成用部材Aの縦方向に柱形成用部材Bを係合することを繰り返し、天井部は壁および天井形成用部材Dを最上部の梁形成部材Cと壁および天井形成用部材Dの間に壁および天井形成用部材Dを渡すことで構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水の流出抑制施設の構築に利用される部材とそれを用いた雨水流出抑制技術に属する。
【背景技術】
【0002】
雨水等の流出抑制を目的として、プラスチックなどで製造された単位部材を地下に配列充填しその周囲を適宜シートで覆った雨水貯留浸透施設が普及している。この目的のため各種の異なる形状の単位部材が例えば特開昭62-101097、特開昭62-126179、特開平9-296486、特開平10-252108、特開平10-115778、特開平11-43971、特開平11-222886などに提案且つ使用されている。いずれの方法も単位部材を地下に配列し、その周囲を透水性若しくは遮水性のシートで包み、その内部空間に雨水等を貯留する浸透・貯留施設とするものであった。
それらの単位部材に変わる新しい単位部材の提案にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-101097
【特許文献2】特開昭62-126179
【特許文献3】特開平9-296486
【特許文献4】特開平10-252108
【特許文献5】特開平10-115778
【特許文献6】特開平11-43971
【特許文献7】特開平11-222886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、雨水の流出抑制施設の形成に使用される新規の単位部材の提案にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地下に構築物を埋設し、当該構築物を貯留空間とし前記貯留空間をシートで覆った雨水等の流出抑制施設において、前記構築物を以下の構成により構築した雨水等の流出抑制施設。
盤体部の表面に突出する四本の柱部Aの形成する隙間が梁形成用部材Cを挟むよう互いに直交して配列して設けられ、裏面に梁形成用部材Cを挟む溝部Aが直交する方向に設けられ、かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Aが設けられた柱形成用部材Aと、
盤体状で表面には梁形成用部材Cを挟む溝部Bが直交する方向に設けられ、かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Bが設けられ、裏面には柱形成用部材Aの柱部Aの頂部が係合する凹部Bが設けられた柱形成用部材Bと、
両端に上記貫通孔Aおよび貫通孔Bに係合する係合部Cが設けられ、当該係合部に続く圧狭部Cは上記溝部Aおよび溝部Bに挟み込まれ、中央部は柱間をつなぐ梁部Cとなる梁部形成用部材Cと、
上に突のU字状で、両端上部には前記柱形成用部材Aの柱部Aが貫入する孔部Dが設けられた壁および天井形成用部材Dとからなり、構築物の周囲壁部は柱形成用部材Aの横方向に壁および天井形成用部材Dを係合し、柱形成用部材Aの縦方向に柱形成用部材Bを係合することを繰り返し、構築物の内部の柱および梁は柱形成用部材Aの横方向に梁形成用部材Cを係合し、柱形成用部材Aの縦方向に柱形成用部材Bを係合することを繰り返し、天井部は壁および天井形成用部材Dを最上部の梁形成部材Cと壁および天井形成用部材Dの間に壁および天井形成用部材Dを渡すことで構築する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、柱形成用部材A、Bと梁形成部材Cと壁および天井部材Dの4つの部材を組合せることで、貯留空間を形成する構築物が形成できる。
柱形成用部材AとBとの間に梁形成部材Cを上下および横方向から挟み固定し、梁形成部材Cの上下および横方向の動きを制限する。そのため構築物の強度が上がる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】は、柱形成用部材Aを示す概念図である。
図2】は、柱形成用部材Bを示す概念図である。
図3】は、梁形成用部材Cを示す概念図である。
図4】は、壁および天井部材Dを示す概念図である。
図5】は、部材A、B、C、Dを組合わせた貯留空間を示す構築物の概念図である。
図6】は、構築物の形成手段を示す手順を示す。
図7】は、構築物を雨水の流出抑制施設として使用する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、図を用いて、より詳細に説明する。本発明を構成する柱形成用部材A、B、梁部形成用部材C、壁および天井部形成用部材Dは以後それぞれ部材A、B、C、Dと称する。
本発明を構成する部材Aを図1に示す。図1aは、部材Aを上から見た斜視図および平面図、断面図である。図1bは、部材Aを下から見た斜視図および平面図、断面図である。図に示すように、盤体部の表面に突出する4本の柱部Aが柱部間の隙間がX、Y方向に向くよう配列して設けられている。裏面に部材Cを挟み上下および水平に固定するための溝部Aが盤体部の中心にX、Y方向に端部から端部に向け設けられている。かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Aが溝部Aに設けられている。貫通孔Aは、後述する部材Cを挟みかつ部材C間で互いに干渉しないよう柱部Aの間に当たる溝部Aに設けられている。
【0009】
部材Bを図2に示す。図2aは、部材Bを上から見た斜視図および平面図、断面図である。図2bは、部材Bを下から見た斜視図および平面図、断面図である。図に示すように、盤体状で表面には部材Cを挟む溝部Bが盤体部の中心にX、Y方向に端部から端部に向け部材Aの裏面に設けられた溝部Aに対応する位置に設けられている。かつ盤体を表面から裏面に貫通する貫通孔Bが溝部Bに設けられている。貫通孔Bは部材AとBとを張り合わせた時貫通するように設けられる。裏面には部材Aの頂部が係合するための凹部Bが設けられている。
【0010】
部材Cは、図3に示すように、両端に部材AとBとに挟まれ貫通孔A、貫通孔Bに係合される係合部Cと溝部A、溝部Bとに挟まれる圧挟部Cとその間の梁部形成部Cから構成される。
係合部Cは両端が上下に突出しその突出部がそれぞれ部材AとBとを重ねたときの貫通孔A、Bに係合され、圧挟部Cは部材AとBに設けられた溝部AとBとに挟まれる用になっている。梁部形成部Cはその最上段で部材Dが配置する場所をも兼ねている。図3では表面は平坦とされているが、部材Dを構成する両側の壁の下縁部が係合する係合溝を設けておいてもよい。また必要な強度を確保し、リブを組合わせた格子状の部材としてもよい。
【0011】
部材Dは、図4に示すように、上に突のU字状で、両端上部には前記柱部Aの頂部が貫入する孔部Dが設けられる。
【0012】
図5は、部材A、B、C、Dを組合わせた貯留空間を示す構築物の平面、断面を示す概念図である。部材A、Bが柱部を形成し、部材Cが柱部間を繋ぐ梁部を形成し、部材Dが貯留空間の縁部と天井部を壁材および天井材として覆っている。部材DをU字形状とすることで水平からの圧力に対する抗力を高めている。
【0013】
図6は、上記構築物を部材A、B、C、Dを用いて形成する手順の概略を示したものである。
(1)部材Bを並べその間に部材Cの両端にある係合部Cをそれぞれ部材Bの貫通孔Bに嵌め、圧挟部Cを溝部Bに嵌めるようにして乗せる。
(2)部材Aを部材Bの上から重ね、部材Cの両端にある係合部Cをそれぞれ部材Aの貫通孔Aに嵌め、圧挟部Cを溝部Aに嵌めるようにして乗せる。
(3)構築物の縁部に位置する柱部Aの頂部を部材Dの孔部Dに通過させるようにして部材Aの盤体上かつ部材C上に載せる。
(4)部材Bの凹部Bを、部材Aの柱部Aに嵌めるように重ねる。
(5)上記を上下左右方向に繰り返し貯留空間である構築物を形成する。
(6)構築物の天井部に部材Dを配置し天井部を覆う。
【0014】
上記手順で構築物が形成されるため、部材A、B、C、Dがコンクリート製の場合、地上に設けたコンクリート基盤上に形成し、内部にウレタン防水加工を施すことにより部材間の隙間を塞ぎ、水槽として使用することが可能となる。
【0015】
図7は、上記構築物の周囲をシート類で覆い雨水等の流出抑制用に使用される貯留空間を構築し、必要に応じ泥だめます、オリフィスますを付した状態を示している。シートの選択は地下水のある場所では地下水の施設内への流入を防止するため遮水シートを用い、地下水のない状態では透水性のシートを使用することは従来の流出抑制用施設と同様である。
【0016】
部材A、B、C、Dの材質はコンクリート製、樹脂製など従来の流出抑制施設に使用される材質のものが使用できる。それぞれの部材はそれらの強度を考慮し、構築物内の水の流れを確保するため、適宜透孔を設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
雨水の流出抑制施設である貯留槽、浸透槽としてあるいは雨水の有効利用を図る貯留槽として利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 柱形成用部材A
11 柱部A
12 溝部A
13 貫通孔A
2 柱形成用部材B
21 溝部B
22 貫通孔B
23 凹部B
3 梁部形成用部材C
31 係合部C
32 圧挟部C
33 梁部C
4 壁部および天井部形成用部材D
41 孔部D

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7