特許第5700761号(P5700761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700761
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20150326BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   G01R1/073 E
   G01R1/073 D
   H01L21/66 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-158498(P2010-158498)
(22)【出願日】2010年7月13日
(65)【公開番号】特開2012-21826(P2012-21826A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】森 隆一郎
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−002759(JP,A)
【文献】 特開昭62−179732(JP,A)
【文献】 特開2009−200272(JP,A)
【文献】 特開2005−150642(JP,A)
【文献】 実開昭56−065666(JP,U)
【文献】 特開2009−098153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂からなるプローブ基板と、
上記プローブ基板の第1面に設けられた2以上のコンタクトプローブと、
上記プローブ基板の第2面に対向させて配置された配線基板と、
上記プローブ基板を補強するための補強材であって、上記プローブ基板の第1面に電気めっきにより形成された金属からなり、上記2以上のコンタクトプローブを取り囲むように配置された金属補強材とを備えたことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
上記金属補強材は、上記コンタクトプローブを構成するベース部の一部を形成する工程にて形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続装置及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、半導体ウェハ上の電子回路の電気的特性を検査するために、検査対象の電子回路に接触させてテスター装置からの信号を伝達する電気的接続装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上に形成された電子回路の電気的特性を検査する検査工程では、検査対象とする電子回路にテスト信号を入力し、その応答を検出するテスター装置が用いられる。通常、テスター装置から出力されたテスト信号は、プローブカードを介して電子回路に伝達される。プローブカードは、電子回路の微小な電極に接触させてテスト信号を伝達するための多数のコンタクトプローブと、これらのコンタクトプローブとテスター装置とを導通させる配線基板からなる電気的接続装置である。
【0003】
近年、電子回路は、微細加工技術の進歩によって集積度が向上し、電極の配置が狭ピッチ化される傾向にある。このため、コンタクトプローブをプローブ基板上に配設する一方、テスター装置を接続するための外部端子はプローブ基板よりも大きなメイン基板上に配設されるようになってきた。メイン基板は、複数のプローブ基板に共通の配線基板であり、各プローブ基板は、半導体ウェハ上の電子回路に合わせた配置態様でメイン基板に固着される。プローブ基板は、不具合が生じたプローブ基板をリペアし、或いは、検査対象物に合わせてプローブ基板を取り替える場合などに、メイン基板から取り外し可能なように固着される。
【0004】
従来のプローブカードでは、プローブ基板として、剛性を確保するために、高価なセラミック基板やシリコン基板が用いられていた(例えば、特許文献1)。特に、プローブ基板内に配線層を設け、この配線層を介して主面間を導通させるものは、高価であり、プローブカードの製造コストを増大させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−203273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減させることができる電気的接続装置及びその製造方法を提供することを目的としている。特に、コンタクトプローブが固着されるプローブ基板の剛性を確保しつつ、製造コストを低減させることができる電気的接続装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明による電気的接続装置は、絶縁樹脂からなるプローブ基板と、上記プローブ基板の第1面に設けられた2以上のコンタクトプローブと、上記プローブ基板の第2面に対向させて配置された配線基板と、上記プローブ基板を補強するための補強材であって、上記プローブ基板の第1面に電気めっきにより形成された金属からなり、上記2以上のコンタクトプローブを取り囲むように配置された金属補強材とを備えて構成される。
【0008】
この様な構成によれば、セラミック基板などに比べて安価な樹脂基板をプローブ基板として用いるので、製造コストを低減させることができる。その際、コンタクトプローブが固着されるプローブ基板には、コンタクトプローブを取り囲むように金属補強材が配置されるので、プローブ基板の剛性を確保しつつ、製造コストを低減させることができる。
【0010】
第2の本発明による電気的接続装置は、上記構成に加えて、上記金属補強材が、上記コンタクトプローブを構成するベース部の一部を形成する工程にて形成される。

【発明の効果】
【0011】
本発明による電気的接続装置及びその製造方法によれば、セラミック基板などに比べて安価な樹脂基板をプローブ基板として用いるので、製造コストを低減させることができる。特に、コンタクトプローブが固着されるプローブ基板には、コンタクトプローブを取り囲むように金属補強材が配置されるので、プローブ基板の剛性を確保しつつ、電気的接続装置の製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態によるプローブカードの概略構成の一例を示した図であり、複数のプローブ基板10が固着されたプローブカード100が示されている。
図2図1のプローブカード100の要部における構成例を示した斜視図であり、メイン基板20に対するプローブ基板10の取付構造が示されている。
図3図1のプローブカード100の要部における構成例を示した断面図であり、A−A線による切断面が示されている。
図4図2のプローブ基板10の構成例を示した図であり、複数のコンタクトプローブ11が固着されたプローブ基板10が示されている。
図5図2のプローブ基板10の他の構成例を示した図である。
図6図2のプローブ基板10の製造工程の一例を示した断面図であり、貫通電極4、金属補強材12及びベース部3の一部を形成する工程が示されている。
図7図2のプローブ基板10の製造工程の一例を示した断面図であり、ベース部3の他の部分、ビーム部2及びコンタクト部1を形成する工程が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<プローブカード>
図1(a)及び(b)は、本発明の実施の形態によるプローブカードの概略構成の一例を示した図であり、複数のプローブ基板10が固着されたプローブカード100が示されている。図1(a)には、プローブカード100を下側から見た様子が示され、図1(b)には、プローブカード100を水平方向から見た様子が示されている。
【0014】
プローブカード100は、半導体ウェハ上に形成された電子回路の電気的特性を検査する際に用いられる電気的接続装置であり、複数のプローブ基板10及びメイン基板20により構成される。メイン基板20は、プローブ装置(図示せず)に着脱可能に取り付けられる配線基板、例えば、円形形状のPCB(プリント回路基板)であり、テスター装置(図示せず)との間で信号の入出力を行うための多数の外部端子21が周縁部に設けられている。
【0015】
プローブ基板10は、一方の主面上に複数のコンタクトプローブ11が固着されたプローブユニットであり、プローブタイルと呼ばれることもある。各プローブ基板10は、他方の主面をメイン基板20に対向させて当該メイン基板20に固着されている。
【0016】
各コンタクトプローブ11は、電子回路の微小な電極に接触させる探針であり、検査対象とする電子回路の電極の配置に対応付けて整列配置されている。この例では、縦長の矩形形状のプローブ基板10に対し、プローブ基板10の長辺に沿って配列された9本のコンタクトプローブ11からなる2つのプローブ列が形成されている。各プローブ基板10は、半導体ウェハ上の1又は2以上の電子回路に対応付けて形成され、互いに離間させてメイン基板20上に配列されている。この例では、2行3列のマトリクス状に配置されている。
【0017】
プローブカード100は、プローブ装置によって、コンタクトプローブ11が配設されている面を下にして水平に保持され、テスター装置が接続される。この状態で半導体ウェハを下方から近づけ、コンタクトプローブ11を半導体ウェハ上の電子回路の電極に当接させれば、当該コンタクトプローブ11を介してテスト信号をテスター装置及び電子回路間で入出力させることができる。
【0018】
<プローブ基板の取付構造>
図2は、図1のプローブカード100の要部における構成例を示した斜視図であり、メイン基板20に対するプローブ基板10の取付構造が示されている。この図では、プローブカード100の下面を上に向けた状態で当該プローブカード100を水平方向から見た様子が示されている。
【0019】
プローブ基板10の一方の主面、この図では、上面には、複数のコンタクトプローブ11と、これらのコンタクトプローブ11を取り囲むように配置された金属補強材12とが固着されている。金属補強材12は、撓んだり、反ったりしないようにプローブ基板10を補強するための金属材料からなる構造体であり、この例では、プローブ基板10の外縁に沿って形成された環状形状からなる。
【0020】
プローブ基板10は、接着シート30を介してメイン基板20に固着される。接着シート30は、フィルム状の接着剤からなり、プローブ基板10の外縁に沿って形成された環状形状からなる。
【0021】
メイン基板20は、プローブ基板10の他方の主面、この図では、下面に対向させて配置される。このメイン基板20には、プローブ基板10上のコンタクトプローブ11と接続するための複数の端子電極22が形成されている。端子電極22は、コンタクトプローブ11ごとに設けられ、図示しない配線パターンや配線層を介して外部端子21と導通している。
【0022】
<A−A断面図>
図3は、図1のプローブカード100の要部における構成例を示した断面図であり、A−A線による切断面が示されている。プローブ基板10は、一方の主面にコンタクトプローブ11及び金属補強材12が固着され、一方の主面から他方の主面に貫通する貫通電極4が形成されている。
【0023】
貫通電極4は、コンタクトプローブ11と導通し、当該コンタクトプローブ11をメイン基板20上の端子電極22と導通させるための導体層からなり、コンタクトプローブ11ごとに形成される。
【0024】
このコンタクトプローブ11は、カンチレバー(片持ち梁)型のプローブであり、検査対象物に接触させるコンタクト部1と、コンタクト部1を弾性的に支持するビーム部2と、プローブ基板10に固着されるベース部3からなる。ビーム部2は、プローブ基板10の基板面と平行に延伸する形状からなる弾性変形部であり、その一端にコンタクト部1が配置され、他端にベース部3が結合されている。貫通電極4は、ベース部3と結合している。
【0025】
金属補強材12は、例えば、ベース部3と同じ導電性の金属からなり、ベース部3の一部と同時に形成される。プローブ基板10は、絶縁樹脂、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、或いは、エポキシ樹脂(EP)からなり、接着シート30を介してメイン基板20に固着されている。
【0026】
プローブ基板10がメイン基板20に固着された状態で、貫通電極4の端面がメイン基板20上の端子電極22に当接している。貫通電極4及び端子電極22は、プローブ基板10をメイン基板20に取り付ける際に、半田を用いて接合される。なお、貫通電極4のメイン基板20側の端面には、端子電極22に対する接触性を良くするために、必要に応じて、金メッキや半田メッキからなるメッキ膜が成膜される。
【0027】
<プローブ基板>
図4(a)及び(b)は、図2のプローブ基板10の構成例を示した図であり、複数のコンタクトプローブ11及び金属補強材12が固着されたプローブ基板10が示されている。図4(a)には、プローブ基板10を針側から見た図が示され、図4(b)には、裏側から見た図が示されている。
【0028】
このプローブ基板10には、2つのプローブ列が形成されている。プローブ列は、プローブ基板10の長辺に平行な直線上に配列された複数のコンタクトプローブ11、この例では、9本のコンタクトプローブ11からなる。プローブ列内の各コンタクトプローブ11は、ビーム部2の延伸方向がプローブ基板10の短辺に平行となるように配置されている。
【0029】
また、プローブ基板10には、プローブ基板10をメイン基板20に取り付ける際の位置合わせ用のマーク13が形成されている。このマーク13は、金属補強材12上に形成されている。プローブ基板10を貫通する複数の貫通電極4は、プローブ基板10の長辺に平行な直線上に配列されている。
【0030】
<貫通電極の他の配置例>
図5(a)及び(b)は、図2のプローブ基板10の他の構成例を示した図であり、図5(a)には、プローブ基板10を針側から見た図が示され、図5(b)には、裏側から見た図が示されている。このプローブ基板10では、各貫通電極4が、互いに隣接する2つのコンタクトプローブ11間で、ビーム部2の延伸方向の位置を異ならせて配置されている。
【0031】
この例では、奇数番目の貫通電極4と、偶数番目の貫通電極4とが、それぞれプローブ基板10の長辺に平行な2つの直線上に配列されている。この様に各貫通電極4をプローブ列に対して互い違いに配置させることにより、貫通電極4を形成するためのスペースを容易に確保することができるとともに、貫通電極4の存在によりプローブ基板10の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0032】
<プローブ基板の製造工程>
図6及び図7は、図2のプローブ基板10の製造工程の一例を示した断面図である。図6(a)〜(d)には、貫通電極4、金属補強材12及びベース部3の一部を形成する工程が示され、図7(a)〜(d)には、ベース部3の他の部分、ビーム部2及びコンタクト部1を形成する工程が示されている。
【0033】
図6(a)では、基材40上に電気メッキ用の下地膜41を形成する工程が示されている。基材40は、絶縁性材料、例えば、セラミック又はシリコン(Si)からなる基板である。下地膜41は、例えば、銅からなるメッキ層であり、メッキ処理により成膜される。
【0034】
図6(b)では、図6(a)の下地膜41の形成後の基材40に対し、導電性金属からなるメッキ層43を選択的に形成する工程が示されている。メッキ層43は、貫通電極4を構成し、フォトリソグラフィ技術を利用して下地膜41上に形成される。具体的には、下地膜41上にフォトレジストを塗布することによりレジスト層42を形成し、このレジスト層42をパターニングした後、電気メッキにより、メッキ層43が形成される。メッキ層43は、例えば、ニッケル(Ni)合金からなり、メッキ層43の形成後、レジスト層42は所定の剥離剤を用いて除去される。
【0035】
図6(c)では、図6(b)のメッキ層43の形成後の基材40に対し、樹脂層44を形成する工程が示されている。樹脂層44は、絶縁性の樹脂部材、例えば、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂からなり、樹脂部材を塗布して固化させた後、メッキ層43が完全に露出するまで表面を研磨することにより形成される。なお、絶縁性の樹脂部材の膨張係数を下げる必要がある場合には、絶縁物からなる微細なフィラーを混入させる。
【0036】
図6(d)では、図6(c)の樹脂層44の形成後の基材40に対し、導電性金属からなるメッキ層46を選択的に形成する工程が示されている。樹脂層44の形成後、表面が研磨処理された基材40に対し、レジスト層45を形成してパターニングした後、電気メッキにより、メッキ層46が形成される。
【0037】
メッキ層46は、ベース部3の一部及び金属補強材12を含む配線層を構成し、フォトリソグラフィ技術を利用してメッキ層43及び樹脂層44上に形成される。ベース部3の一部及び金属補強材12は、レジスト層45のパターニングにより同時に形成される。メッキ層46は、例えば、ニッケル合金からなり、メッキ層46の形成後、レジスト層45は剥離剤を用いて除去される。
【0038】
図7(a)では、図6(d)のメッキ層46の形成後の基材40に対し、犠牲層47を形成する工程が示されている。メッキ層46が形成され、レジスト層45が除去された基材40に対し、ビーム部2を形成するための犠牲層47が形成される。犠牲層47は、導電性金属、例えば、銅からなるメッキ層であり、メッキ処理により形成される。犠牲層47の形成後、メッキ層46が完全に露出するまで表面が研磨される。
【0039】
図7(b)では、図7(a)の犠牲層47の形成後の基材40に対し、メッキ層48,50,52、犠牲層49,51及び53を形成する工程が示されている。犠牲層47の形成後、表面が研磨処理された基材40に対し、レジスト層を形成してパターニングした後、電気メッキにより、メッキ層48が形成される。
【0040】
メッキ層48の形成後、犠牲層49が形成され、メッキ層48が完全に露出するまで表面が研磨される。メッキ層48及び犠牲層49を形成する処理手順を繰り返すことにより、メッキ層50,52、犠牲層51及び53が形成される。
【0041】
図7(c)では、図7(b)の犠牲層53の形成後の基材40に対し、メッキ層54〜56を形成する工程が示されている。メッキ層54〜56は、レジスト層を形成してパターニングした後、電気メッキすることを繰り返すことにより形成される。メッキ層48,50,52,54及び55は、ベース部3の他の部分及びビーム部2を構成し、例えば、ニッケル合金からなる。また、メッキ層56は、コンタクト部1を構成し、メッキ層46,48,50,52,54及び55よりも硬くて耐摩耗性が高い金属、例えば、ロジウム又はパラジウムなどの貴金属からなる。
【0042】
図7(d)では、図7(c)のメッキ層56の形成後の基材40から下地膜41、犠牲層47,49,51及び53を除去することにより基材40から分離し、ダイシングする工程が示されている。メッキ層56の形成後の基材40から下地膜41、犠牲層47,49,51及び53を除去することにより、コンタクトプローブ11及び金属補強材12が固着された樹脂板が、基材40から剥離する。この樹脂板をダイサーを用いて切断すれば、プローブ基板10が完成する。ダイサーは、円盤状の回転刃を回転させて加工対象物を切削する切削装置である。
【0043】
本実施の形態によれば、セラミック基板などに比べて安価な樹脂基板をプローブ基板10として用いるので、製造コストを低減させることができる。その際、コンタクトプローブ11が固着されるプローブ基板10には、各コンタクトプローブ11を取り囲むように金属補強材12が配置されるので、プローブ基板10の剛性を確保しつつ、製造コストを低減させることができる。また、絶縁樹脂からなる層に穴あけ加工をしなくて良いので、絶縁樹脂からなる主要部分を形成してから貫通電極4を形成する場合に比べて、製造コストを低減させることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、プローブ基板10がメイン基板20に直接に固着される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、プローブ基板10をST(スペーストランスフォーマ)基板やインターポーザ基板などのサブ基板に固着させ、サブ基板を介してメイン基板20上に配設されるものであっても良い。
【0045】
また、本実施の形態では、貫通電極4がベース部3と結合している場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、所定の抵抗値を得るために、貫通電極4及びベース部3よりも抵抗率が高い金属材料からなる配線層により貫通電極4及びベース部3を連結するような構成であっても良い。また、本実施の形態では、下地膜や犠牲層を除去することにより、樹脂板を基材40から分離させてから樹脂板をダイシングする場合の例について説明したが、基材40ごと樹脂板をダイシングした後に、下地膜や犠牲層を除去して樹脂板を基材40から分離させても良い。
本発明は、例えば、以下のように構成される。
第1の本発明による電気的接続装置は、2以上のコンタクトプローブと、第1面に上記コンタクトプローブが固着され、上記コンタクトプローブと導通し、第1面から第2面に貫通する貫通電極が形成されたプローブ基板と、上記プローブ基板の第2面に対向させて配置され、上記貫通電極を当接させる端子電極が形成された配線基板とを備え、上記プローブ基板が、絶縁樹脂からなり、上記コンタクトプローブを取り囲むように配置された金属補強材を有するように構成される。この様な構成によれば、セラミック基板などに比べて安価な樹脂基板をプローブ基板として用いるので、製造コストを低減させることができる。その際、コンタクトプローブが固着されるプローブ基板には、コンタクトプローブを取り囲むように金属補強材が配置されるので、プローブ基板の剛性を確保しつつ、製造コストを低減させることができる。
第2の本発明による電気的接続装置は、上記構成に加え、上記金属補強材が、上記コンタクトプローブと同じ材質で形成されているように構成される。この様な構成によれば、金属補強材とコンタクトプローブとを同一工程によりプローブ基板上に形成することができるので、製造工程を簡素化することができる。
第3の本発明による電気的接続装置の製造方法は、基材上に貫通電極を形成するステップと、上記貫通電極の形成後の基材上に絶縁樹脂層を形成するステップと、上記絶縁樹脂層の形成後の基材上に、上記貫通電極と導通するコンタクトプローブ、及び、上記コンタクトプローブを取り囲む金属補強材を形成するステップと、上記コンタクトプローブ及び上記金属補強材の形成後、上記基材を除去し、上記貫通電極を当接させる端子電極が形成された配線基板に固着させるステップとからなるように構成される。この様な構成によれば、絶縁樹脂層に穴あけ加工をしなくて良いので、絶縁樹脂層を形成してから貫通電極を形成する場合に比べて、製造コストを低減させることができる。

【符号の説明】
【0046】
1 コンタクト部
2 ビーム部
3 ベース部
4 貫通電極
10 プローブ基板
11 コンタクトプローブ
12 金属補強材
13 位置合わせ用のマーク
20 メイン基板
21 外部端子
22 端子電極
30 接着シート
100 プローブカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7