(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明を適用した実施形態に係る車載機器1の機能的構成を示すブロック図である。車載機器1は、図示は省略したが、バッテリーに充電された電力により電気モーターを駆動させて走行する車両に搭載される。車載機器1が搭載される車両は、自動車や自動二輪車を含む広義の車両を意味する。車載機器1は、制御部10と、走行距離検出部(走行距離検出手段)11と、位置検出部29、速度検出部12と、表示部13と、入力部14と、ガソリン価格取得部15と、記憶部16と、電力料金取得部27と、電力料金算出部28と、電力走行コスト算出部17と、残電力検出部18と、ガソリン走行コスト推定部19と、回収コスト算出部20と、を備える。
【0010】
なお、本実施形態における電費/燃費とは、エネルギー消費率、つまりエネルギー源の単位消費量あたりの走行距離を示すものであり、エネルギー源は、電費においては電力であり、燃費においてはガソリンである。エネルギー源の単位量は電力においては1Kwhであり、ガソリンにおいては1Lである。また、本実施形態において、単位走行距離は、1Kmであり、単位走行距離あたりのエネルギー源のコストを、エネルギー源の単位量あたりの走行距離と、エネルギー源の単位量あたりの料金あるいは価格から算出するものとする。
【0011】
制御部10は、車載機器1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行される基本制御プログラムをコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備えている。制御部10は、また、現在日時を計時するRTC(Real Time Clock)を備える。
【0012】
走行距離検出部11は、制御部10の制御の下、車両に搭載された不図示のオドメーターの検出結果から、車両の走行距離を検出する。走行距離検出部11は、或いは、記憶部16に記憶された地図データ32と、位置検出部29で検出される車両の位置情報から車両が実際に走行した経路を走行経路データ33に記憶し、走行経路データ33に記憶されたデータに基づいて、車両の走行距離を検出する構成であっても良い。走行経路データ33には、また、車両が走行した走行経路上の勾配情報も記憶される。
位置検出部29は、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機を備え、GPS受信機で受信した信号に基づいて車両の位置を算出する。車載機器1は、地図データ35と、位置検出部29で検出される車両の現在位置とに基づいてナビゲーションを行うナビゲーション装置であっても良い。
【0013】
走行距離検出部11で検出された走行距離は制御部10に出力され、制御部10は、日ごとに1日のトータルの走行距離、及び、月ごとの1月のトータルの走行距離を記憶部16の走行距離データ31に記憶する。走行距離データ31に記憶される日ごとの1日のトータルの走行距離は、RTCの計時結果に基づいて、制御部10によって毎日例えば0時00分に0Kmに書きかえられる構成としても良い。また、走行距離データ31に記憶される月ごとの1月のトータルの走行距離は、制御部10によって毎月例えば月初めの日の0時00分に0Kmに書きかえられる構成としても良い。
【0014】
速度検出部12は、車両より得られる車速パルスに基づいて車両の速度を検出して、検出した速度を制御部10に出力する。制御部10は、速度検出部12の検出値に基づいて車両の速度を記憶部16の走行速度データ34に記憶する。走行速度データ34は、車両の運行時間中の走行速度の変化をグラフにしたタコグラフを用いて記憶されていても良い。
【0015】
表示部13は、液晶表示パネルや有機ELディスプレイ等の表示パネル35を備え、制御部10の制御の下、表示パネル35に地図情報や、操作メニュー等の各種情報を表示する。
入力部14は、車載機器1に設けられたキーパッド36と、表示部13の表示パネルに重ねて配設されたタッチパネル37を備え、ユーザーのキーパッド36や、タッチパネル37に対する操作を検出して制御部10に出力する。また、入力部14は、図示は省略したが、リモートコントローラーを備える構成としても良い。
【0016】
ガソリン価格取得部15は、不図示のインターネットを介して、インターネット上の外部サーバーにアクセスし、この外部サーバーから任意の日時におけるガソリン価格を取得する。ガソリン価格取得部15は、また、入力部14を介してユーザーが手入力するガソリン価格を取得する構成としても良い。
【0017】
記憶部25は、ハードディスクやEEPROM等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に記憶する。
記憶部25には、上述した地図データ32、走行経路データ33、走行距離データ31、走行速度データ34、と共に、充電料金データ38、電力料金データ39、ガソリン価格データ40、ガソリン燃費データ41、乗車人数データ42、電力走行コストデータ45、ガソリン走行推定コストデータ46、車両価格データ47が記憶される。
【0018】
充電料金データ38は、車両に搭載される不図示のバッテリーに充電されている残電力の単位電力量当たりの電力料金を記憶している。充電料金データ38に記憶されるバッテリーの残電力の単位電力量当たりの電力料金は、電力料金算出部28で算出される。なお、本実施形態において残電力とは、バッテリーに充電されている電力で、バッテリーに残っている電力のことである。
電力料金データ39には、家庭用電源を利用してバッテリーを充電した場合の、充電時間毎の単位電力量あたりの電力料金が記憶されている。例えば、充電時間が朝7時から夜11時の間である場合に適応される昼間電力料金と、充電時間が夜11から朝7時までの間である場合に適応される夜間電力料金とが電力料金データ39に記憶されている。電力料金データ39に記憶されているデータはユーザーによって書き換え自在であり、例えば家庭用自家発電装置等で発電した電力を用いてバッテリーに充電を行う場合等に、入力部14を介して単位電力量あたりの電力料金を書き換えることができるように構成されている。
【0019】
ガソリン価格データ40は、ガソリン価格取得部15を介して取得されたガソリン価格が記憶される。ガソリン価格データ40に記憶されているガソリン価格は、バッテリーの充電時に、ガソリン価格取得部15を介して取得された、バッテリー充電時現在のガソリン価格であり、外部サーバーから取得したバッテリー充電時のガソリン価格であっても良いし、或いは、ユーザーによって入力部14を介して手入力されたガソリン価格であっても良い。バッテリー充電時のガソリン価格が、ガソリン価格取得部15を介して外部サーバーから受信可能な構成である場合、ガソリン価格が変動しても、バッテリー充電時のガソリン価格が取得できるため、バッテリーに充電した電力の電力料金と、充電時のガソリン価格とをより正確に比較することができるように算出することができる。
【0020】
ガソリン燃費データ41には、車両を特定の走行状態で走行した場合、単位量のガソリンで走行可能な推定距離が記憶されている。車両の走行状態には、車両の走行速度、走行経路の勾配、乗車人数が含まれる。
乗車人数データ42には、今回の走行時に車両に乗車している人数が記憶される。乗車人数データ42に記憶される乗車人数は、車両の走行開始時に、ユーザーによって入力部14を介して入力される。乗車人数データ42に記憶される車両の乗車人数は、或いは、車両に搭載した不図示のセンサーで検出して、制御部10を介して乗車人数データ42に記憶される構成としても良い。
【0021】
車両価格データ47には、ユーザーによって入力部14を介して入力される、車載機器1が搭載された車両の初期投資に係る価格が記憶される。車両価格データ47に記憶する車両の価格は、車両の購入価格や、この車両と同じクラスのガソリンで走行する車両との価格差、或いは車両の乗り換えによる支出等、ユーザーが初期投資として考える価格に基づいて自由に設定可能である。
【0022】
電力料金取得部27は、制御部10の制御のもと、バッテリーの充電が行われるたびに、今回バッテリーに充電した電力の単位電力量当たりの電力料金を取得する。今回バッテリーに充電した電力の単位電力量当たりの電力料金は、制御部10のRTCで検出された充電時の現在時刻に基づいて、昼間電力料金適用時間か夜間電力料金適用時間かを判断して、電力料金データ39から昼間電力料金或いは夜間電力料金を抽出する構成であっても良い。或いは、充電した電力の単位電力量当たりの電力料金は、バッテリーの充電時に、車載機器1の入力部14を介してユーザーによって手入力される構成としても良い。不図示の急速充電装置からの電力を用いてバッテリーの充電を行う場合には、急速充電の電力料金が適応される。
【0023】
急速充電装置からの電力を用いてバッテリーを充電する場合の電力料金は、記憶部16に予め記憶されている構成であっても良いし、入力部14を介してユーザーが入力する構成であっても良いし、或いは、電力料金取得部27が制御部10を介して急速充電装置と通信して、急速充電装置或いは該急速充電装置を管理するサーバーから取得する構成であっても良い。
電力料金取得部27は、取得したバッテリーに充電した電力の単位電力量当たりの電力料金を制御部10に出力する。制御部10は、電力料金取得部27から入力された単位電力量当たりの電力料金を電力料金算出部28に出力する。
【0024】
電力料金算出部28は、制御部10から入力される今回の充電でバッテリーに充電した電力の単位電力量当たりの電力料金と、今回バッテリーに充電した充電量と、充電料金データ38に記憶されている今回の充電開始前のバッテリーに充電されている電力の単位電力量当たりの電力料金とから、今回の充電終了後のバッテリーに充電されている単位電力量当たりの電力料金を算出する。算出結果は、制御部10に出力され、制御部10は、この算出結果に基づいて、充電料金データ38に記憶されている、バッテリーに充電されている電力の単位電力量当たりの電力料金を書き換える。なお、今回バッテリーに充電した充電量は、残電力検出部18で検出される充電開始時のバッテリーの残電力量と、充電終了時のバッテリーの残電力量との差分から算出される。
【0025】
電力料金算出部28で行われる充電後の単位電力量当たりの電力料金の算出方法を、充電開始時に残電力検出部18で検出された残電力量が3kWh、充電料金データ38に記憶されている単位電力量当たりの電力料金が14円/kWh、充電終了時に残電力検出部18で検出された残電力量が8kWh、今回の充電が深夜電力(例えば、10円/kWh)でおこなわれた場合を例に説明する。
【0026】
電力料金算出部28は、充電開始時のバッテリーの残電力量と、この残電力の単位電力量当たりの電力料金とから、充電開始時のバッテリーの残電力の電力料金3kWhX14円/kWh=42円を算出する。また、電力料金算出部28は、今回の充電終了時のバッテリーの残電力量と、充電開始時のバッテリーの残電力量とから、今回の充電で充電した電力量8kWh−3kWh=5kWhを算出する。次に、今回の充電で充電した電力量と、今回の充電でバッテリーに充電した電力の単位電力量あたりの電力料金とから、今回の充電で充電した電力料金5kWhX10円/kWh=50円を算出する。続いて、電力料金算出部28は、今回の充電で充電した電力料金と、充電開始時のバッテリーの残電力の電力料金とから、今回の充電終了後のバッテリーの残電力の電力料金42円+50円=92円を算出する。そして、電力料金算出部28は、今回の充電終了後のバッテリーの残電力の電力料金と、充電終了時のバッテリーの残電力量とから、充電終了時のバッテリーの残電力の単位電力量当たりの電力料金を92円÷8kWh=11.5円/kWhと算出する。
【0027】
電力走行コスト算出部17は、制御部10の制御のもと、残電力検出部18で検出されるバッテリーの残電力量の変化と、走行距離検出部11で検出される車両の走行距離の変化とから、電費、つまり、単位電力量あたりの車両の走行距離を算出する。例えば、100m走行した際のバッテリーの残電力量の変化が0.01kWhの場合、車両の電費は10Km/kWhと算出される。
電力走行コスト算出部17は、また、算出した電費と、制御部10を介して電力料金算出部28から電力走行コスト算出部17に入力される単位電力量当たりの電力料金とから、単位走行距離当たりの電力料金を算出する。例えば、単位電力量あたりの車両の走行距離が10Km/kWhで、単位電力量当たりの電力料金が11.5円/kWhである場合には、単位走行距離当たりの電力料金は11.5円/kWh÷10Km/kWh=1.15円/Kmと算出される。
【0028】
電力走行コスト算出部17は、さらに、算出した単位走行距離当たりの電力料金と、制御部10を介して走行距離データ31から入力される車両の日ごとの1日のトータルの走行距離とから、一日のトータルの走行コストを算出する。例えば、単位走行距離当たりの電力料金が1.15円/Kmで、その日のトータルの走行距離が32.8Kmの場合、その日一日のトータルの走行コストは、1.15円/Km×32.8Km=37.72円と算出される。
電力走行コスト算出部17は、算出した電費と、単位走行距離当たりの電力料金と、日ごとの一日のトータルの走行コストと、を制御部10に出力する。制御部10は、入力された電力走行コスト算出部17の算出結果を表示部13の表示パネル35に表示することが可能である。制御部10はまた、日ごとにその日1日の走行コストを記憶部16の電力走行コストデータ45に記憶する。
【0029】
電力走行コスト算出部17はまた、制御部10の制御のもと、電力走行コストデータ45に記憶された日ごとの1日の走行コストに基づいて、ユーザーが車載機器1を搭載した車両を購入してから現在までの累計の電力走行時のコストを算出し、算出結果を制御部10に出力する。制御部10は、算出された現在までの累計の電力走行時のコストを電力走行コストデータ45に記憶する。
【0030】
電力走行コスト算出部17は、また、制御部10の制御の下、制御部10を介して入力される日ごとの1日の走行コストに基づいて、その月、或いは、ユーザーによって特定された月の、月ごとのトータルの走行コストを算出することができる。
詳述すると、制御部10は、入力部14を介してユーザーによって指定された月の1か月分の日ごとの1日の電力走行示のコストを電力走行コスト算出部17に入力する。電力走行コスト算出部17は、入力された1か月分の日ごとの1日の電力走行時のコストを加算して、月ごとのトータルの電力走行時のコストを求める。
その月の、その日までのトータルの電力走行時のコストは、その月の月初めの日から、その日までの日ごとの1日の電力走行時のコストを加算することで求めることができる。
電力走行コスト算出部17は、算出した月ごとのトータルの走行コストを制御部10に出力する。制御部10は、入力された月ごとのトータルの走行コストを表示部13の表示パネル35に表示することが可能である。
【0031】
ガソリン走行コスト推定部19は、ガソリン価格データ40に記憶されているガソリン価格と、ガソリン燃費データ41に記憶されている単位ガソリン消費量当たりの推定走行距離、つまり推定燃費とから、車載機器1が搭載されている車両と走行状態が近似するガソリン自動車の単位走行距離当たりのガソリンコストと、日ごとの1日の走行コストを推定する。
車載機器1が搭載されている車両と走行状態が近似するガソリン自動車の推定のガソリン燃費は、制御部10によって、ガソリン燃費データ41から抽出される。制御部10は、この車両の走行状態を反映したガソリン走行時の推定燃費と、ガソリン価格データ40に記憶されているガソリン価格と、走行距離データ31に記憶されている日ごとの1日のトータルの走行距離とをガソリン走行コスト推定部19に入力する。ガソリン走行コスト推定部19は、制御部10を介して入力されるこれらのデータをもとにガソリン走行時のコストを推定する。
【0032】
これらの構成によれば、ガソリンで走行する車両の特定走行状態における単位量のガソリンで走行可能な推定距離をガソリン燃費データ41に予め記憶しておくことで、ガソリンで走行する車両と、電力で走行する車両での、車両の速度とエネルギーの消費率との関係の違いを考慮したガソリン走行時のコストを推定することができ、より正確にガソリン走行時の推定コストを求めることができる。
【0033】
例えば、制御部10がガソリン燃費データ41から抽出した推定のガソリン燃費が10Km/Lであり、ガソリン価格が130円/Lであり、その日1日のトータルの走行距離が32.8Kmである場合、単位走行距離当たりのガソリンコストは、130円/L÷10Km/L=13円/Kmと推定される。また、その日一日のトータルの走行コストは、13円/Km×32.8Km=426.4円と推定される。ガソリン走行コスト推定部19は、推定した単位走行距離当たりのガソリンコストと、その日一日のトータルの推定走行コストとを制御部10に出力する。制御部10は、ガソリン走行コスト推定部19から入力されたガソリン走行時の推定コストを表示部13の表示パネル35に表示可能である。制御部10はまた、日ごとにその日1日のガソリン走行時の推定コストを記憶部16のガソリン走行推定コストデータ46に記憶する。
【0034】
ガソリン走行コスト推定部19はまた、制御部10の制御のもと、ガソリン走行推定コストデータ46に記憶された日ごとの1日の推定走行コストに基づいて、ユーザーが車載機器1を搭載した車両を購入してから現在までの累計のガソリン走行時の推定コストを求め、推定結果を制御部10に出力する。制御部10は、推定された現在までの累計のガソリン走行時の推定コストをガソリン走行推定コストデータ46に記憶する。
【0035】
ガソリン走行コスト推定部19は、また、制御部10の制御の下、制御部10を介して入力される日ごとの1日のガソリン走行時の推定コストに基づいて、その月、或いは、ユーザーによって特定された月の、月ごとのトータルのガソリン走行時の推定コストを求めることができる。詳述すると、制御部10は、入力部14を介してユーザーによって指定された月の1か月分の日ごとの1日のガソリン走行時の推定コストをガソリン走行コスト推定部19に入力する。ガソリン走行コスト推定部19は、入力された1か月分の日ごとの1日のガソリン走行時の推定コストを加算して、月ごとのトータルのガソリン走行時の推定コストを求める。
その月の、その日までのトータルのガソリン走行時の推定コストは、その月の月初めの日から、その日までの日ごとの1日のガソリン走行時の推定コストを加算することで求めることができる。
ガソリン走行コスト推定部19は、推定した月ごとのトータルのガソリン走行時の推定コストを制御部10に出力する。制御部10は、入力された月ごとのトータルのガソリン走行時のトータルの推定コストを表示部13の表示パネル35に表示することが可能である。
【0036】
制御部10はまた、電力走行コスト算出部17で算出された電力走行時のコストと、ガソリン走行コスト推定部19で推定されたガソリン走行時の推定コストとをともに表示部13の表示パネル35に表示することが可能である。この構成によれば、電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとがともに表示パネル35に表示されるため、ユーザーは電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとを比較することで、電力で走行する車両のエネルギー効率の良さを直観的に認識することができる。
【0037】
また、表示部13の表示パネル35に表示させる情報は、ユーザーによって入力部14を介して設定自在な構成であっても良い。ユーザーは、電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとを自らが最も比較しやすいように表示することができる。ユーザーは、例えば、電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとともに、電力走行時の電費と、ガソリン走行時の推定燃費とを表示するように設定することも可能である。この構成によれば、ユーザーにとって最もわかりやすいように電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとを表示することができるため、ユーザーは、電力で走行する車両のエネルギー効率の良さを直観的に認識することができる。
【0038】
回収コスト算出部20は、制御部10の制御の下、車両価格データ47に記憶された車両の価格と、電力走行コストデータ45に記憶された電力走行時の累計コストと、ガソリン走行推定コストデータ46に記憶されたガソリン走行時の累計推定コストと、に基づいて、電力走行時と、ガソリン走行時の走行コストの累計差額、つまり走行コストの差額によって回収できた車両の初期投資に対するコスト、を算出することができる。回収コスト算出部20はまた、車両価格データ47に記憶された車両の価格と、算出した走行コストの差額とからコスト回収までの残額を算出することができる。回収コスト算出部20は、算出結果を制御部10に出力し、制御部10は、回収コスト算出部20の算出結果を表示部13の表示パネル35に表示することができる。
【0039】
次に、回収コスト算出部20で算出される走行コストの累計差額と、コスト回収までの残額とを、例を用いて説明する。例えば、ユーザーは、車両を300万円で購入し、この車両と同クラスのガソリンで走行する車両の価格である200万円との価格差100万円を初期投資として、車両価格データ47に記憶した場合に、電力走行コストデータ45に記憶された現在までの累計の電力走行時の累計コストが14,400円であり、ガソリン走行推定コストデータ46に記憶されたガソリン走行時の累計推定コストが187,200円であるとすると、回収コスト算出部20で算出される走行コストの累計差額は187,200−14,400=172、800円となり、コスト回収までの残額は1,000,000−172,800=827,200円となる。
【0040】
次に、車載機器1の動作について、
図2及び
図3のフローチャートを用いて説明する。
制御部10は、バッテリーへの充電が開始されたことを検出すると(ステップS1:Yes)、バッテリーに充電する電力の電力料金と、充電時現在のガソリン価格とを取得するために電力料金取得部27及びガソリン価格取得部15を制御する(ステップS2)。制御部10は、電力料金取得部27及びガソリン価格取得部15を制御するすると共に、残電力検出部18で検出されるバッテリーの充電開始時のバッテリーの残電力量と、充電料金データ38にすでに記憶されている今回の充電開始前のバッテリーの残電力の単位電力量当たりの電力料金とを取得して、電力料金算出部28にこれらを入力する。制御部10は、バッテリーの充電が終了するまで待機する(ステップS3:No)。
【0041】
制御部10は、バッテリーへの充電が終了したことを検出すると(ステップS3:Yes)、充電終了時のバッテリーの残電力量を残電力検出部18から取得して、充電終了時のバッテリーの残電力量を電力料金算出部28に出力する。制御部10は、電力料金算出部28を制御し、今回の充電終了時のバッテリー残電力の単位電力量当たりの電力料金を算出する(ステップS4)。電力料金算出部28は、上述したように、充電開始時のバッテリーの残電力量及び単位電力量当たりの電力料金と、今回バッテリーに充電した充電量及び充電した電力の単位電力量当たりの充電料金とから、今回の充電終了時のバッテリー残電力の単位電力量当たりの電力料金を算出し、算出結果を制御部10に出力する。制御部10は、電力料金算出部28から入力された今回の充電終了時のバッテリー残電力の単位電力量当たりの電力料金を充電料金データ38に出力して、充電料金データ38に記憶されているデータの書き換えを行う。
【0042】
車両の電気モーターの駆動が開始されると、制御部10は、車両の走行状態を取得する(ステップS11)。車両の走行状態は、走行経路データ33に記憶されている車両が走行した経路及びこの経路の勾配と、走行速度データ34に記憶されている車両の走行速度と、乗車人数データ42に記憶されている車両の乗車人数とを含む。制御部10は、取得した車両の走行状態に基づいて、ガソリン燃費データ41から、ガソリン自動車でこの走行状態に近似する走行状態で走行した場合の、単位量のガソリンで走行可能な推定距離を抽出する。
【0043】
制御部10は、電気モーターの駆動が開始されると、走行距離検出部11で検出される走行距離と、残電力検出部18で検出されるバッテリーの残電力量とを取得して、走行距離が所定距離(例えば100m)変化する毎に、その時点のバッテリーの残電力量を電力走行コスト算出部17に出力し、電力走行コスト算出部17を制御して、単位電力量あたりの車両の走行距離と、単位走行距離当たりの電力料金と、日ごとの一日のトータルの走行コストとを算出する。制御部10はまた、抽出した単位量のガソリンで走行可能な推定距離を、ガソリン走行コスト推定部19に出力し、ガソリン走行コスト推定部19を制御して、ガソリン走行時の単位走行距離当たりのガソリンコストと、その日一日のトータルの走行コストとを推定する(ステップS12)。
【0044】
制御部10は、電力走行コスト算出部17から入力される電力走行時の日ごとの一日のトータルのコストと、ガソリン走行コスト推定部19から入力されるガソリン走行示の日ごとの一日のトータルの推定コストを、表示部13に出力して、表示パネル35に、電力走行時のコスト61と、ガソリン走行時の推定コスト62とを、
図4に示すようにともに表示する(ステップS13)。
【0045】
制御部10はまた、ユーザーが入力部14を介して月ごとのトータルの走行コストを表示する操作を行った場合には、電力走行コスト算出部17及び、ガソリン走行コスト推定部19を制御して、前述したように、月ごとのトータルの電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとを求め、表示部13の表示パネル35に、月ごとの電力走行時のコスト63と、月ごとのガソリン走行時の推定コスト64とを、
図5に示すようにともに表示することができる。
この構成によれば、月ごとの電力走行時のコスト63と、月ごとのガソリン走行時の推定コスト64とがともに表示されるため、ユーザーは、月ごとの電力で走行する車両の走行コスト63と、この車両をガソリンをエネルギー源にして走行したときの月ごとの推定コスト64とを比較することができ、電力で走行する車両のエネルギー効率の良さを認識して、お得感を感じることができる。
【0046】
制御部10はまた、ユーザーが入力部14を介して、電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとの差額で回収できた車両の初期投資に対するコストを表示する操作を行った場合には、回収コスト算出部20を制御して、前述したように、走行コストの累計差額65と、コスト回収までの残額66とを求め、
図6に示すように、表示部13の表示パネル35に車両の価格(初期投資)67とともに表示する。
この構成によれば、ユーザーは、車両のエネルギー源がガソリンから電力に変わったことで節約できたコストで、電力で走行する車両の購入にあたってユーザーが費やした初期投資を回収できていることを感じることができるため、ユーザーの、電力で走行する車両に対する満足感を向上させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、電力で走行する車両に搭載され、電力走行時のコストを算出する電力走行コスト算出部17と、ガソリンをエネルギー源にして走行したときのコストを推定するガソリン走行コスト推定部19と、を備え、電力走行時のコスト61とともに、ガソリン走行時の推定コスト62を表示するため、ユーザーは、電力で走行する車両の走行コスト61と、この車両をガソリンをエネルギー源にして走行したときの推定コスト62とを比較することができ、容易に電力で走行する車両のエネルギー効率の良さを認識することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、バッテリーの充電時の電力料金に基づいて電力走行時のコスト61を算出するとともに、この充電時のガソリン価格に基づいてガソリン走行時の推定コスト62を求めるため、ガソリン走行時の推定コスト62を、ユーザーにとって電力走行時のコスト61に対するより正確な比較対象となるように推定することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、車両の走行状態を反映してガソリン走行時のコスト62を推定するため、車両の速度変化、経路上の勾配、乗車人数までも加味して、車両のこれらの走行状態と近似する状態でガソリンをエネルギー源にして走行したときの推定コスト62を算出することができ、ガソリン走行時の推定コスト62を、ユーザーにとって電力走行時のコスト61に対するより正確な比較対象となるように推定することができる。
【0050】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態について説明する。なお、以下の説明について、上述した第一実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、電力をエネルギー源として走行する車両3に搭載された車載機器1Bは、無線基地局5を介してインターネットや移動通信網等の通信ネットワーク6に接続可能に構成される。車載機器1Bは、この通信ネットワーク6を介して外部サーバー2と、ガソリンをエネルギー源として走行する他車両4に搭載された通信端末50と通信可能に構成される。
図7には、説明を簡略化するために、車両3と他車両4とをそれぞれ一台ずつ図示したが、外部サーバー2は、複数台の車両と同時に通信可能に構成されている。
【0051】
図8は車載機器1Bの、
図9は通信端末50の、
図10は外部サーバー2の機能的構成を示すブロック図である。
図8に示すように、車載機器1Bは、制御部10と、通信部15Bと、入力部14と、表示部13と、走行距離検出部11と、速度検出部12と、残電力検出部18と、位置検出部29と、電力走行コスト算出部17と、ガソリン走行コスト推定部19と、電力料金取得部27と、電力料金算出部28と、記憶部16とを備える。走行距離検出部11、速度検出部12、残電力検出部18、位置検出部29を含む車両3の各部に設けられた不図示のセンサーの検出結果(プローブデータ)、及び、入力部14を介してユーザーから入力される情報は、制御部10の制御の下、車両3の走行状態として、車両3の識別情報と共に、通信部15Bを介して、外部サーバー2に送信される。車両3の識別情報には、記憶部16に記憶された車両或いは車載機器の識別情報43が用いられる。車両3の走行状態には、また、前回の車両3のバッテリーへの充電を行った日時が含まれる。
【0052】
図9に示すように、通信端末50は、制御部51と、通信部52と、走行距離検出部53と、速度検出部54と、位置検出部55と、燃費(単位ガソリン消費量当たりの走行距離)検出部56と、入力部57と、記憶部58とを備える。走行距離検出部53、速度検出部54、位置検出部55、燃費検出部56は、他車両4の各部に設けられた不図示のセンサーの検出結果(プローブデータ)を取得して、制御部51に出力する。制御部51は、走行距離検出部53、速度検出部54、位置検出部55、燃費検出部56から入力されたこれらのプローブデータ、及び、入力部57を介してユーザーから入力される他車両4の乗車人数を他車両4の走行状態として、記憶部58に記憶された他車両4の識別情報59と共に、通信部52を介して、外部サーバー2に送信する。通信端末50は、他車両4に搭載されたナビゲーション装置であっても良い。
【0053】
図10に示すように、外部サーバー2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備え、記憶部22には、ガソリン価格の変動を時系列で示した、所定日時におけるガソリン価格24が記憶されている。記憶部22にはまた、外部サーバー2と通信可能な各車両から受信した各車両の走行状態が車両識別情報と共に記憶されている。外部サーバー2の記憶部22にはまた、各車両から受信する車両の識別情報から、車両の出力或いは最大出力を特定するための車両出力データ25が記憶されている。車両出力データ25に記憶されている車両の出力データは、例えば、車種/モデル毎に記憶されている構成としても良い。
【0054】
外部サーバー2の制御部21は、車載機器1Bから受信した車両3の位置、速度、乗車人数等の走行状態、及び、車両3の識別情報43から特定した車両3の出力と、通信端末50から受信した他車両4の位置、速度、乗車人数等の走行状態、及び、他車両4の識別情報59から特定した他車両4の出力と、に基づいて、車両3の走行状態及び出力と近似する走行状態及び出力で、車両3の周辺を走行する他車両4を特定する。制御部21は、車両3の位置から所定の距離以内(例えば、半径1Km以内)を、車両3の走行方向と同じ方向に走行する複数の車両のうち、車両3の走行状態及び出力と最も近い走行状態及び出力で走行する車両を他車両4と特定する構成としても良い。
制御部21は、特定した他車両4から受信した、他車両4のガソリン走行時のコストに係る情報、例えば、単位ガソリン消費量当たりの走行距離を、通信部23を介して、車両3に搭載された車載機器1Bに送信する。制御部21はまた、車両3から受信した、車両3の前回のバッテリーへの充電を行った日時に基づいて、記憶部22のガソリン価格24からバッテリー充電時のガソリン価格を抽出し、このガソリン価格を通信部23を介して、車両3に搭載された車載機器1Bに送信する。
【0055】
バッテリー充電時のガソリン価格は、或いは、バッテリーの充電時に車載機器1Bからの要求を受けて、外部サーバー2から車載機器1Bに送信され、車載機器1Bは外部サーバー2から受信したバッテリー充電時のガソリン価格を、記憶部16に記憶する構成としても良い。この場合、車載機器1Bの制御部10は、車両3のバッテリーの充電時に、位置検出部29で検出される位置情報を外部サーバー2に送信する。外部サーバー2は、車載機器1Bから受信した位置情報をもとに、バッテリーの充電に使用した電源の電力契約の内容と、充電時現在時刻とから、バッテリーに充電した電力の単位電力量あたりの電力料金を検出し、検出結果を車載機器1Bに送信し、車載機器1Bは、外部サーバー2から送信される電力料金を、電力料金取得部27で取得する構成であっても良い。
この構成によれば、バッテリーに充電する電力の電力料金が充電する場所、及び、充電する時間で異なる場合においても、バッテリーに充電した電力の正確な電力料金を電費の算出に用いることができる。
【0056】
車載機器1Bの制御部10は、通信部15Bを介して外部サーバー2から受信した、車両3の走行状態と近似する走行状態で走行する他車両4のガソリン走行時のコストに係る情報、例えば他車両4の燃費と、車両3の前回のバッテリー充電時のガソリン価格とを、ガソリン走行コスト推定部19に出力する。制御部10は、ガソリン走行コスト推定部19を制御して、ガソリン走行時の単位走行距離当たりのガソリンコスト43、及び、一日のトータルの走行コスト44を推定する。制御部10は、電力走行コスト算出部17で算出した車両3の電力走行時のコスト61と、他車両4から受信した他車両4のガソリン走行時のコストに係る情報に基づいて推定した車両3のガソリン走行時の推定コスト62と、を表示部13の表示パネル35に並べて表示する(
図4参照)。
【0057】
外部サーバー2の制御部21が、車両3の走行状態で走行する他車両4を特定できなかった場合には、該当する他車両が車両3の周辺を走行していないことを車両3の車載機器1Bに送信し、この結果を受信した車載機器1Bが、車載機器1Bの記憶部16に記憶されている推定のガソリン燃費データに基づいて、ガソリン走行時のコストを推定する構成としても良い。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、ガソリン走行コスト推定部19は、自車両である車両3の周辺を走行する他車両4から受信したガソリン走行時のコストに係る情報に基づいて、自車両3のガソリン走行時のコストを推定するため、天候や道路状態などの外的要因の影響がある場合にも、電力走行時のコストと、電力走行時のコストと比較されるガソリン走行時の推定コストとをより正確に求めることができる。
また、車両3に走行状態が近似する他車両4のガソリン走行時のコストに係る情報に基づいて車両3のガソリン走行時の推定コストを推定するため、車両3の電力走行時のコストの比較対象となるガソリン走行時の推定コストをより正確に求めることができる。
【0059】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、表示部13の表示パネル35に電費及び燃費を表示パネル35に表示する構成としたがこれに限らず、不図示のスピーカーから音声でこれらの情報を出力する構成としても良い。
また、本実施形態では、車両の走行状態を車両の速度変化、走行経路上の勾配、走行時の乗車人数としたが、これらの他に、車両の空調システムの状態を走行状態に含む構成として、ガソリン走行をする車両と、電力走行をする車両との、空調システムの稼働とエネルギー消費率の関係の違いを考慮して、電力走行時のコストと、ガソリン走行時の推定コストとを求める構成としても良い。