特許第5700810号(P5700810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700810
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】経皮吸収型貼付剤キット
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20150326BHJP
   A61K 31/465 20060101ALI20150326BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   A61K9/70 401
   A61K31/465
   A61K45/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-66236(P2011-66236)
(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公開番号】特開2012-201613(P2012-201613A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2013年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】丹波 卓也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】宮田 壮
(72)【発明者】
【氏名】松島 大
【審査官】 高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−273873(JP,A)
【文献】 特表平03−505835(JP,A)
【文献】 特開2010−222269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬物を含有する複数の第1の貼付剤と、
前記第1の薬物とは異なる第2の薬物を含有する第2の貼付剤と、
複数の前記第1の貼付剤の上に、前記第2の貼付剤を同一部位付近に重ねて貼付することを指示する指示事項、および、治療の経過に伴って、前記第1の貼付剤を貼付する枚数を調整することを指示する指示事項を記載した説明書と、を含むことを特徴とする経皮吸収型貼付剤キット。
【請求項2】
前記第1の薬物は、ニコチンである請求項1に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【請求項3】
前記第2の薬物は、抗炎症剤である請求項に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【請求項4】
前記第2の貼付剤の貼付面積は、前記第1の貼付剤の貼付面積よりも3倍以上大きく、10倍以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【請求項5】
前記第1の薬物は、ニコチンであり、
前記第2の薬物は、抗炎症剤である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収型貼付剤キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲み薬に変わる治療薬として、局所作用や全身作用を目的とした経皮吸収性の皮膚貼付剤が、種々開発されている。このような皮膚貼付剤は、飲み薬に比べて副作用が少ない点や治療中断が容易である点等の利点を有している。
【0003】
従来、このような皮膚貼付剤としては、常温で粘着性を示す高分子物質層を基材上に設け、高分子物質層に薬剤(ニコチンや抗炎症剤等)を含有させた徐放性貼付剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、主薬と副作用を低減する助薬、主薬と主薬の効能を助ける助薬や、主薬と主薬の主薬と異なる効能を有する助薬等を組み合わせると治療効果が期待できる場合に、主薬と助薬とを混ぜてしまうと主薬と助薬との相互作用により、主薬の安定性が低下してしまい、製剤として成り立たなくなる問題があった。例えば、ニコチン貼付剤においては、ニコチンの皮膚刺激性を抑える助薬(抗炎痛剤)を併用したいような場合に、ニコチンの安定性が低下してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−251619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、異なる薬物を同時に使用した場合であっても、個々の薬物の効果を十分に発揮し得る経皮吸収型貼付剤キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 第1の薬物を含有する複数の第1の貼付剤と、
前記第1の薬物とは異なる第2の薬物を含有する第2の貼付剤と、
複数の前記第1の貼付剤の上に、前記第2の貼付剤を同一部位付近に重ねて貼付することを指示する指示事項、および、治療の経過に伴って、前記第1の貼付剤を貼付する枚数を調整することを指示する指示事項を記載した説明書と、を含むことを特徴とする経皮吸収型貼付剤キット。
【0008】
(2) 前記第1の薬物は、ニコチンである上記(1)に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【0009】
(3) 前記第2の薬物は、抗炎症剤である上記(1)に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【0010】
(4) 前記第2の貼付剤の貼付面積は、前記第1の貼付剤の貼付面積よりも3倍以上大きく、10倍以下である上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【0011】
(5) 前記第1の薬物は、ニコチンであり、
前記第2の薬物は、抗炎症剤である上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の経皮吸収型貼付剤キット。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、異なる薬物を同時に使用した場合であっても、個々の薬物の効果を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の経皮吸収型貼付剤キットの第1の貼付剤の一例を示す平面図(a)および断面図(b)、第2の貼付剤の一例を示す平面図(c)および断面図(d)である。
図2】本発明の経皮吸収型貼付剤キットの使用方法の第1形態を示す平面図(a)および断面図(b)である。
図3】本発明の経皮吸収型貼付剤キットの使用方法の第2形態を示す平面図(a)および断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の経皮吸収型貼付剤キットを好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の経皮吸収型貼付剤キットの第1の貼付剤の一例を示す平面図(a)および断面図(b)、第2の貼付剤の一例を示す平面図(c)および断面図(d)、図2は、本発明の経皮吸収型貼付剤キットの使用方法の第1形態を示す平面図(a)および断面図(b)、図3は、本発明の経皮吸収型貼付剤キットの使用方法の第2形態を示す平面図(a)および断面図(b)である。
【0016】
経皮吸収型貼付剤キット10は、図1に示すように、第1の薬物を含有する第1の貼付剤1と、第2の薬物を含有する第2の貼付剤2とを備えている。
【0017】
ところで、従来より、ニコチンなどを含有させた経皮吸収貼付剤が知られているが、主薬と副作用を低減する助薬、主薬と主薬の効能を助ける助薬や、主薬と主薬と異なる効能を有する助薬等を組み合わせると治療効果が期待できる場合に、主薬と助薬とを混ぜてしまうと主薬と助薬との相互作用により、主薬の安定性が低下してしまい、製剤として成り立たなくなる問題があった。例えば、ニコチン貼付剤においては、ニコチンの皮膚刺激性を抑える助薬(抗炎痛剤)を併用したいような場合に、ニコチンの安定性が低下してしまう問題があった。
【0018】
そこで、本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意検討した結果、異なる薬剤(第1の薬物および第2の薬物)を別の貼付剤(第1の貼付剤および第2の貼付剤)とし、これを同時に使用することで、上記のような問題を解消することができることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明の経皮吸収型貼付剤キットは、第1の薬物を含有する第1の貼付剤と、第2の薬物を含有する第2の貼付剤とを有する点に特徴を有し、これにより、異なる薬物を同時に使用した場合であっても、個々の薬物の効果を十分に発揮させることができる。
【0019】
[第1の貼付剤]
第1の薬物を含有する第1の貼付剤1は、図1に示すように平面視の形状が略円形状のシートである。
【0020】
第1の貼付剤1は、図1に示すように、第1の薬物を含有する第1の薬物含有部11と、第1の支持基材12とを有している。
【0021】
第1の薬物含有部11は、第1の薬物を含有しており、皮膚に対して第1の薬物を皮膚に対して放出する機能を有している。
【0022】
第1の薬物含有部11が含有する第1の薬物としては、経皮吸収性を有する薬物であれば特に制限なく、治療目的に応じて使用することができる。例えば、ニコチン等の禁煙補助薬、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ケトロラク、フェルビナク(4−ビフェニル酢酸)等の非ステロイド系鎮痛消炎薬、リドカイン、プリロカイン等の局所麻酔剤、フルドロキシコルチド、デプロドンプロピオン酸エステル等の副腎皮質ホルモン剤、ジフェンヒドラミン、ジメチルイソプロピルアズレン、グリチルレチン酸等の抗炎症剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、第1の薬物としてニコチンを用いるのが好ましい。従来のニコチン貼付剤においては、ニコチンの皮膚刺激性を抑える助薬(抗炎症剤)を併用したいような場合に、ニコチンの安定性が低下してしまう問題があったが、本発明のように、上記のような助剤を第2の貼付剤2に含有させることで、ニコチンの安定性が低下するのを防止し、ニコチンによる効果をより顕著に発揮させることができる。
【0023】
第1の薬物含有部11における第1の薬物の含有量は、0.1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。これにより、皮膚に対する良好な粘着性を維持させると共に、薬効を発現させるのに十分な量の薬物を放出させることができる。
【0024】
また、第1の薬物含有部11は、粘着基剤を含んでおり、皮膚に対して粘着性を有している。
【0025】
粘着基剤には、高分子材料や、必要に応じて粘着付与剤や可塑剤等が含まれている。高分子材料としては、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリプテン、ポリイソブチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、粘着付与剤としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素類;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等の石油系オイル;ホホバ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、ごま油、サフラワー油、スクワレン等の天然動植物油脂類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等のシリコーン類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;液状ポリブテン、液状イソプレンゴム等の液状ゴム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、粘着基剤には、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤等をさらに配合してもよい。
【0027】
抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0028】
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
【0029】
このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤は、粘着基剤全体の質量に基づいて合計で、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下の範囲内で適宜配合される。
【0030】
第1の薬物含有部11における粘着基剤の含有量は、30〜99.9質量%であるのが好ましく、40〜99質量%であるのがより好ましい。
【0031】
第1の薬物含有部11は、薬物の吸収を促進させる経皮吸収促進剤を含んでいてもよい。
【0032】
経皮吸収促進剤としては、従来皮膚での吸収促進作用が認められている化合物のいずれでも良く、例えば、炭素鎖数6〜20の脂肪酸、脂肪族系アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エーテル、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステル又はエーテル、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリソルベート系、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油等が挙げられる。
【0033】
第1の薬物含有部11中における経皮吸収促進剤の含有量は、0.1〜60質量%であるのが好ましく、10〜55質量%であるのがより好ましい。これにより、薬物の効果の速効性をより効果的に発揮させることができる。
【0034】
第1の薬物含有部11の平均厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、20〜300μmであるのがより好ましい。
【0035】
第1の支持基材12は、第1の薬物含有部11を支持する機能を有する。かかる第1の支持基材12は、可撓性(柔軟性)を有し、貼付時における曲面追従性をもち、加工時における裁断または打ち抜き等に適したものが好ましい。
【0036】
このような第1の支持基材12としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、アクリル等の樹脂からなるプラスチックフィルム、織物、編物および不織布を用いることが可能である。さらに、プラスチックフィルムと、プラスチックフィルム、織物、編物、不織布または紙等との2層以上のラミネートシートを用いることが可能である。
【0037】
第1の支持基材12の平均厚さは、2〜4000μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
【0038】
[第2の貼付剤]
第2の薬物を含有する第2の貼付剤2は、図1に示すように平面視の形状が略円形状のシートである。また、第2の貼付剤2は、図1図2に示すように、第2の貼付剤2の貼付面積が、第1の貼付剤1の貼付面積よりも大きくなるよう構成されている。このように構成し、第1の貼付剤1の上に第2の貼付剤2を重ねて貼付することで、第1の貼付剤1が皮膚から不本意に剥がれるのを効果的に防止することができる。
【0039】
また、第2の貼付剤2の貼付面積が、第1の貼付剤1の貼付面積よりも2倍以上大きくなるよう構成されていることが好ましく、3〜10倍であることがより好ましい。
【0040】
第2の貼付剤2は、図1に示すように、第2の薬物を含有する第2の薬物含有部21と、第2の支持基材22とを有している。
【0041】
第2の薬物含有部21は、第1の薬物とは異なる第2の薬物を含有しており、皮膚に対して第2の薬物を皮膚に対して放出する機能を有している。
【0042】
第2の薬物含有部21が含有する第2の薬物としては、上記第1の薬物とは異なるとともに、経皮吸収性を有する薬物であれば、特に制限なく、治療目的に応じて使用することができる。例えば、上記第1の薬物の説明で例示したものを挙げることができる。特に、第1の薬物としてニコチンを用いた場合、第2の薬物として、抗炎症剤を用いるのが好ましい。これにより、ニコチンの皮膚刺激性を効果的に抑制することができる。
【0043】
第2の薬物含有部21における第2の薬物の含有量は、0.1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。これにより、皮膚に対する良好な粘着性を維持させると共に、薬効を発現させるのに十分な量の第2の薬物を放出させることができる。
【0044】
また、第2の薬物含有部21は、上記第1の薬物含有部11と同様に、粘着基剤を含んでおり、皮膚に対して粘着性を有している。
粘着基剤としては、上記第1の薬物含有部11の説明で例示したものが挙げられる。
【0045】
第2の薬物含有部21における粘着基剤の含有量は、30〜99.9質量%であるのが好ましく、40〜99質量%であるのがより好ましい。
【0046】
また、第2の薬物含有部21は、上記第1の薬物含有部11と同様に、第2の薬物の吸収を促進させる経皮吸収促進剤を含んでいてもよい。
【0047】
経皮吸収促進剤としては、上記第1の薬物含有部11の説明で例示したものが挙げられる。
【0048】
第2の薬物含有部21中における経皮吸収促進剤の含有量は、0.1〜60質量%であるのが好ましく、10〜55質量%であるのがより好ましい。これにより、第2の薬物の効果の速効性をより効果的に発揮させることができる。
【0049】
第2の薬物含有部21の平均厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、20〜300μmであるのがより好ましい。
【0050】
第2の支持基材22は、第2の薬物含有部21を支持する機能を有している。第2の支持基材22の詳細な構成は、前記第1の支持基材12と同様であるのでその説明を省略する。
【0051】
また、経皮吸収型貼付剤キット10を構成する第1の貼付剤1および第2の貼付剤2は、第1の薬物含有部11および第2の薬物含有部21が設けられている面に剥離シートを設けることが好ましい。剥離シートは、経皮吸収型貼付剤キット10の保管時(未使用時)において、第1の薬物含有部11および第2の薬物含有部21の貼着面を保護する機能を有している。
【0052】
このような剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等のラミネート紙類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム等の合成樹脂フィルム等が使用できる。また、剥離シートは、必要に応じてこれらの材料の片面または両面にシリコーン樹脂等により剥離処理が施されたものを使用してもよい。
【0053】
また、剥離シートの平均厚さは、10〜200μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。
【0054】
なお、上述したような第1の薬物含有部11および第2の薬物含有部21は、粘着基剤や各薬物等を含む材料を混合した溶液を塗布等の手段によって各支持基材上に設けてもよいし、支持基材上に薬物を含有しない粘着剤層を予め形成しておいたものに、各薬物を含む液を粘着剤層上に塗布、含浸させて形成してもよい。
【0055】
このような経皮吸収型貼付剤キット10は、例えば、図2に示すように、第1の貼付剤1の上に、第2の貼付剤2を同一部位付近に重ねて貼付して使用することができる。このように使用することにより、第1の貼付剤1の不本意な剥がれを防止することができるとともに、第1の薬物を安定して皮膚に供給することができる。
【0056】
このように使用する場合、経皮吸収型貼付剤キット10の構成として、第1の貼付剤の上に第2の貼付剤を同一部位付近に重ねて貼付することを指示する指示事項を記載した説明書を含めることができる。これにより、経皮吸収型貼付剤キット10の誤った使用を防止することができる。
【0057】
また、経皮吸収型貼付剤キット10は、例えば、図3に示すように、複数の第1の貼付剤1の上に第2の貼付剤2を同一部位付近に重ねて貼付して使用することができる。このように使用することにより、初期の治療では第1の貼付剤1の枚数を多くして集中的に治療し、治療の経過にともなって第1の貼付剤1の枚数を減らし、治療効率を向上させることができる。
【0058】
例えば、このような使用方法の具体例としては、第1の薬物としてのニコチンを含有する第1の貼付剤(ニコチンとして17.5mg含有)を、最初の4週間は3枚、次の2週間は2枚、最後の2週間は1枚を使用するといった、治療の経過に伴って、第1の貼付剤を貼付する枚数を調整することができる。
【0059】
このように使用する場合、経皮吸収型貼付剤キット10の構成として、治療の経過に伴って、第1の貼付剤を貼付する枚数を調整することを指示する指示事項を記載した説明書を含めることができる。これにより、経皮吸収型貼付剤キット10の誤った使用を防止することができる。
【0060】
以上、本発明の経皮吸収型貼付剤キットについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0061】
例えば、本発明の経皮吸収型貼付剤キットは、図示の構成のものに限定されない。
また、前述した実施形態では、経皮吸収型貼付剤キットを構成する第1の貼付剤および第2の貼付剤が円形状を有するものとして説明したが、楕円形状でもよいし、四角形状等であってもよい。
【0062】
また、前述した実施形態では、第1の貼付剤の上に第2の貼付剤を貼付するものとして説明したが、隣り合うように貼付するものであってもよい。
【0063】
また、前述した実施形態では、第2の貼付剤の貼付面積が第1の貼付剤の貼付面積よりも大きいものとして説明したが、同じ大きさであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 第1の貼付剤
2 第2の貼付剤
10 経皮吸収型貼付剤キット
11 第1の薬物含有部
12 第1の支持基材
21 第2の薬物含有部
22 第2の支持基材
図1
図2
図3