特許第5700818号(P5700818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700818
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】車輌用前照灯
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/11 20060101AFI20150326BHJP
   F21S 8/12 20060101ALI20150326BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20150326BHJP
【FI】
   B60Q1/11
   F21S8/12 210
   F21S8/12 253
   F21W101:10
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-120732(P2011-120732)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-245933(P2012-245933A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕己
【審査官】 川内野 真介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−015888(JP,A)
【文献】 特開2003−054310(JP,A)
【文献】 特開2007−134021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/06−1/136
F21S 8/10−8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーとによって形成された灯室に配置されると共にエイミング支点部と二つのエイミング作用部を有し前記エイミング作用部に対する作用によって前記エイミング支点部を支点として前記ランプハウジングに対して水平面内又は垂直面内において傾動されるフレームと、
駆動制御部と前記駆動制御部から突出され前記駆動制御部の駆動力によって軸方向へ移動される駆動軸とを有すると共に前記駆動制御部が前記フレームに取り付けられて前記灯室に配置されたレベリングアクチュエーターと、
光源と軸連結部と支点用連結部を有し前記フレームに垂直面内において前記支点用連結部を支点として傾動可能に支持されると共に前記軸連結部が前記レベリングアクチュエーターの駆動軸に連結された灯具ユニットとを備え、
前記軸連結部と前記支点用連結部が一体に形成され、
前記フレームに連結用突部が設けられ、
前記連結用突部に前記支点用連結部を回動可能に支持し上方に開口された略U字状の支持部を設け、
前記支持部に支持される前記支点用連結部を回動可能な状態で押さえ前記支持部に取り付けられる抜け防止部材を設けた
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
前記支持部又は前記支点用連結部の一方に、成形時に前記支点用連結部に生じるバリを前記支持部に対し前記支点用連結部の前記フレームに対する回動範囲において非接触の状態にする逃げ部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、レベリングアクチュエーターを灯室に配置されたフレームに取り付けて小型化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源を有する灯具ユニットが配置されたものがある。
【0003】
車輌用前照灯の灯具ユニットには、光軸調整機構によって照射方向の初期調整であるエイミング調整と車載物の重量による照射方向の傾きを補正するレベリング調整とが可能とされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、灯具ユニットが前後に貫通された枠状のフレームに支持され、フレームが螺軸部(ネジ部)を有する二つの調整軸と一つの支点軸(駆動軸)を介してランプハウジングに支持されている。支点軸及び二つの調整軸は各後端部がランプハウジングに連結され、支点軸の前端部がフレームの下端部に連結され、二つの調整軸の各前端部がフレームの上端部に左右に離隔して連結されている。
【0005】
また、支点軸はレベリングアクチュエーターに設けられた駆動軸であり、レベリングアクチュエーターの駆動制御部から前方へ突出されている。レベリングアクチュエーターは駆動制御部がランプハウジングの外面に取り付けられている。
【0006】
車輌用前照灯において、調整軸が回転されてフレームに螺軸部が捩じ込まれ又は捩じ戻されると、支点軸を支点としてフレームと灯具ユニットが一体になって水平面内又は垂直面内において傾動され、左右エイミング調整又は上下エイミング調整が行われる。
【0007】
一方、レベリングアクチュエーターの駆動制御部の駆動力によって駆動軸(支点軸)が前後方向へ移動されると、二つの調整軸を支点としてフレームと灯具ユニットが一体になって垂直面内において傾動され、レベリング調整が行われる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−227933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、ランプハウジングの外面にレベリングアクチュエーターの駆動制御部が取り付けられているため、ランプハウジングから駆動制御部が後方へ突出された状態とされ、その分、駆動制御部を配置するためのスペースが必要となり車輌用前照灯の小型化を阻害してしまう。
【0010】
そこで、本発明車輌用前照灯は、上記した問題点を克服し、小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーとによって形成された灯室に配置されると共にエイミング支点部と二つのエイミング作用部を有し前記エイミング作用部に対する作用によって前記エイミング支点部を支点として前記ランプハウジングに対して水平面内又は垂直面内において傾動されるフレームと、駆動制御部と前記駆動制御部から突出され前記駆動制御部の駆動力によって軸方向へ移動される駆動軸とを有すると共に前記駆動制御部が前記フレームに取り付けられて前記灯室に配置されたレベリングアクチュエーターと、光源と軸連結部と支点用連結部を有し前記フレームに垂直面内において前記支点用連結部を支点として傾動可能に支持されると共に前記軸連結部が前記レベリングアクチュエーターの駆動軸に連結された灯具ユニットとを備え、前記軸連結部と前記支点用連結部が一体に形成され、前記フレームに連結用突部が設けられ、前記連結用突部に前記支点用連結部を回動可能に支持し上方に開口された略U字状の支持部を設け、前記支持部に支持される前記支点用連結部を回動可能な状態で押さえ前記支持部に取り付けられる抜け防止部材を設けたものである。
【0012】
従って、車輌用前照灯にあっては、フレームに取り付けられて灯室に配置されたレベリングアクチュエーターによってレベリング調整が行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明車輌用前照灯は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの開口を閉塞するカバーとによって形成された灯室に配置されると共にエイミング支点部と二つのエイミング作用部を有し前記エイミング作用部に対する作用によって前記エイミング支点部を支点として前記ランプハウジングに対して水平面内又は垂直面内において傾動されるフレームと、駆動制御部と前記駆動制御部から突出され前記駆動制御部の駆動力によって軸方向へ移動される駆動軸とを有すると共に前記駆動制御部が前記フレームに取り付けられて前記灯室に配置されたレベリングアクチュエーターと、光源と軸連結部と支点用連結部を有し前記フレームに垂直面内において前記支点用連結部を支点として傾動可能に支持されると共に前記軸連結部が前記レベリングアクチュエーターの駆動軸に連結された灯具ユニットとを備え、前記軸連結部と前記支点用連結部が一体に形成され、前記フレームに連結用突部が設けられ、前記連結用突部に前記支点用連結部を回動可能に支持し上方に開口された略U字状の支持部を設け、前記支持部に支持される前記支点用連結部を回動可能な状態で押さえ前記支持部に取り付けられる抜け防止部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
従って、ランプハウジングの外面側にレベリングアクチュエーターが存在しないため、車輌用前照灯の小型化を図ることができる。そして、フレームに対する支点用連結部の組付が簡単になるので、フレームに対する灯具ユニットの組付作業における作業性の向上を図ることができる。そして、さらに、抜け防止部材により、簡素な構造で確実かつ容易に支点用連結部の支持部からの脱落を防止することができる。
【0019】
請求項に記載した発明にあっては、前記支持部又は前記支点用連結部の一方に、成形時に前記支点用連結部に生じるバリを前記支持部に対し前記支点用連結部の前記フレームに対する回動範囲において非接触の状態にする逃げ部を形成している。
【0020】
従って、支点用連結部のバリと支持部の接触を支点用連結部の回動範囲において防止することができ、支持部における傷付きや摩耗の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0022】
車輌用前照灯1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0023】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0024】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された取付孔2aが形成されている。取付孔2aにはバックカバー6が取り付けられている。
【0025】
ランプハウジング2の後端寄りの位置における下端寄りの位置には、前後に貫通された軸挿通孔2b、2bが左右に離隔して形成されている。
【0026】
灯室5には灯具ユニット7が配置されている(図1乃至図3参照)。灯具ユニット7は、レンズホルダー8とレンズホルダー8の前端部に取り付けられた投影レンズ9とレンズホルダー8の後端部が取り付けられたシェード10とシェード10に前端部が取り付けられたリフレクター11とリフレクター11の後端部に配置された光源12と、レンズホルダー8等を保持するジョイント13とを有している。
【0027】
レンズホルダー8は前後に貫通された略円筒状に形成された保持部8aと保持部8aから後方へ突出された取付脚部8b、8b、・・・とから成り、取付脚部8b、8b、・・・が周方向に離隔して設けられている。
【0028】
投影レンズ9は前方側の表面が凸面に形成され後方側の表面が後方を向く平面に形成されている。投影レンズ9は後側焦点を含む焦点面上の像を反転して光源12から出射された光を前方へ投影する機能を有している。
【0029】
シェード10は前後方向を向く遮蔽面部14と遮蔽面部14の左右両側縁からそれぞれ前方へ突出された被保持片部15、15とが一体に形成されて成り、被保持片部15、15は遮蔽面部14の上下方向における略中央部から突出されている。
【0030】
遮蔽面部14には前後に貫通された光透過孔14aが形成されている。遮蔽面部14によって光源12から出射された光の一部が遮蔽され、光源12から出射され光透過孔14aを透過された光が前方へ向けて照射される。
【0031】
シェード10における遮蔽面部14の外周部にはレンズホルダー8の取付脚部8b、8b、・・・の後端部がネジ止め等によって取り付けられる。
【0032】
リフレクター11は内面が反射面11aとして形成され、反射面11aは一部を除き、例えば、略楕円球面に形成されている。反射面11aは、光源12の後述する発光部に第1焦点が一致され投影レンズ9の後側焦点に第2焦点が一致されるように形成されている。
【0033】
リフレクター11は前端部がシェード10における遮蔽面部14の外周部にネジ止め等によって取り付けられる。
【0034】
光源12は、例えば、放電バルブであり、外管12aの内部に設けられた発光部12bから光を出射する。発光部12bから出射された光は前方へ向かうか又はリフレクター11の反射面11aで反射され、投影レンズ9の後側焦点を含む焦点面上に集光され、投影レンズ9によって照明光として前方へ投影される。
【0035】
レンズホルダー8とシェード10とリフレクター11は結合された状態でジョイント13に保持されている。ジョイント13は、図2及び図4に示すように、上下に延びる軸連結部16と軸連結部16の上端に連続し上方に開口された略U字状に形成されたアーム部17とアーム部17の上端部からそれぞれ外方(側方)へ突出された支点用連結部18、18とが、例えば、樹脂材料によって一体に形成されて成る。
【0036】
軸連結部16と支点用連結部18、18間の中央部とは略上下に位置し、軸連結部16と支点用連結部18、18間の中央部とを結ぶ軸上又はその近傍に灯具ユニット7の重心が位置されている。
【0037】
軸連結部16には連結用凹部16aと連結用凹部16aに連通された挿入孔16bとが形成されている。連結用凹部16aは後方に開口され水平断面形状において略円形状に形成されている。挿入孔16bは連結用凹部16aの後側に連続されている。
【0038】
アーム部17は左右に延びる基部19と基部19の外側の端部からそれぞれ上方へ突出するように設けられた側端部20、20とから成る。アーム部17の内面側には上方及び内方に連続して開口された保持溝17aが形成されている。側端部20、20の上端部にはそれぞれ前後に延び上方に開口された挿入溝20a、20aが形成されている。
【0039】
支点用連結部18はアーム部17に連続された、例えば、丸軸状の被支持軸部18aと被支持軸部18aの外面に連続して設けられた規制部18bとから成り、規制部18bが被支持軸部18aより径が大きい円板状に形成されている。
【0040】
シェード10はレンズホルダー8及びリフレクター11とともにジョイント13に保持される(図4参照)。ジョイント13によるシェード10等の保持は、シェード10にレンズホルダー8及びリフレクター11が取り付けられた状態において、シェード10の被保持片部15、15がそれぞれ挿入溝20a、20aに挿入されシェード10とレンズホルダー8の後端部とリフレクター11の前端部との各一部が保持溝17aに挿入され、ネジ止め等によってシェード10がアーム部17に取り付けられることにより行われる。
【0041】
灯室5にはフレーム21が配置され、フレーム21は後述する光軸調整機構によってランプハウジング2に傾動自在に支持されている(図1乃至図3参照)。
【0042】
フレーム21は上方に開口された略U字状の連結ベース22を有し、連結ベース22が左右方向に延びる取付部23と取付部23の左端部から上方へ突出された第1の突部24と取付部23の右端寄りの位置から上方へ突出された第2の突部25とによって構成されている。
【0043】
取付部23の左右両端部にはそれぞれ前後に貫通された連結孔23a、23aが形成されている。取付部23の左右方向における略中央部には前後に貫通された挿通孔23bが形成されている。取付部23の左右方向における略中央部には、その前端寄りの位置に上下に貫通された挿入配置孔23cが形成されている。
【0044】
第1の突部24の上端部には前後に貫通された嵌合孔24aが形成されている。第1の突部24の上端寄りの位置には側方へ突出された連結用突部26が設けられ、連結用突部26の前端部には上方に開口された支持部26aが設けられている。
【0045】
第2の突部25の上端部には前方へ突出された連結用突部27が設けられ、連結用突部27の前端部には上方に開口された支持部27aが設けられている。
【0046】
フレーム21の支持部26a、27aには灯具ユニット7が垂直面内において回動可能(傾動可能)に支持される。灯具ユニット7は支持部26a、27aにそれぞれジョイント13に設けられた支点用連結部18、18の被支持軸部18a、18aが上方から挿入されて支持され、支点用連結部18、18を支点としてフレーム21に対して回動可能とされる。
【0047】
フレーム21に灯具ユニット7が支持された状態において、取付部23の挿入配置孔23cにジョイント13の軸連結部16が上側から挿入されて配置される。
【0048】
フレーム21に灯具ユニット7が支持された状態において、支持部26a、27aにそれぞれ上方から抜け防止部材28、28が結合される。抜け防止部材28には下方へ突出された押さえ突部28aが設けられ、押さえ突部28aに上方に凸の円弧状に形成された押さえ面が形成されている。抜け防止部材28、28はそれぞれ支持部26a、27aに、例えば、係合やネジ止め等の適宜の手段によって結合される。
【0049】
支持部26a、27aにそれぞれ抜け防止部材28、28が結合された状態においては、抜け防止部材28、28の押さえ突部28a、28aによって支点用連結部18、18の被支持軸部18a、18aが回転可能な状態で押さえられ、支点用連結部18、18の支持部26a、27aからの脱落が抜け防止部材28、28によって防止される。
【0050】
このように支持部26a、27aにそれぞれ抜け防止部材28、28を結合することにより支点用連結部18、18の支持部26a、27aからの脱落が防止されるため、簡素な構造により確実かつ容易に支点用連結部18、18の支持部26a、27aからの脱落を防止することができる。
【0051】
フレーム21における取付部23の一方の連結孔23aには第1の連結部材29を介して第1の操作軸30が連結される(図2及び図3参照)。第1の連結部材29はベース部29aとベース部29aの前面から前方へ突出された連結部29bとベース部29aの後面から後方へ突出された受け凹部29cとベース部29aから下方へ突出された被支持部29dとから成り、内部に前後に貫通された図示しない螺孔が形成されている。第1の連結部材29は連結部29bがフレーム21の一方の連結孔23aに嵌合されて固定される。
【0052】
第1の操作軸30は回転操作部31と回転操作部31から前方へ突出された軸部32とから成り、軸部32の前端部が螺軸部32aとして設けられている。第1の操作軸30は螺軸部32aが第1の連結部材29の受け凹部29cから挿入されて螺孔に螺合され、第1の連結部材29を介してフレーム21に連結される。
【0053】
フレーム21の一方の連結孔23aは、上記したように、第1の操作軸30が第1の連結部材29を介して連結される部分であり、エイミング調整を行うときのエイミング作用部として機能する。
【0054】
第1の操作軸30は軸部32がランプハウジング2に形成された下側の一方の軸挿通孔2bに挿入され、ランプハウジング2に軸回り方向へ回転可能かつ軸方向へ移動不能に支持される(図1参照)。
【0055】
フレーム21における取付部23の他方の連結孔23aには第2の連結部材33を介して第2の操作軸34が連結される。第2の連結部材33はベース部33aとベース部33aの前面から前方へ突出された連結部33bとベース部33aの後面から後方へ突出された受け凹部33cとベース部33aから下方へ突出された被支持部33dとから成り、内部に前後に貫通された図示しない螺孔を有している。第2の連結部材33は連結部33bがフレーム21の他方の連結孔23aに嵌合されて固定される。
【0056】
第2の操作軸34は回転操作部35と回転操作部35から前方へ突出された軸部36とから成り、軸部36に螺軸部36aが形成されている。第2の操作軸34は螺軸部36aが第2の連結部材33の受け凹部33cから挿入されて螺孔に螺合され、第2の連結部材33を介してフレーム21に連結される。
【0057】
フレーム21の他方の連結孔23aは、上記したように、第2の操作軸34が第2の連結部材33を介して連結される部分であり、エイミング調整を行うときのエイミング作用部として機能する。
【0058】
第2の操作軸34は軸部36がランプハウジング2に形成された下側の他方の軸挿通孔2bに挿入され、ランプハウジング2に軸回り方向へ回転可能かつ軸方向へ移動不能に支持される(図1参照)。
【0059】
フレーム21における第1の突部24の嵌合孔24aには軸受部材37を介してピボット軸38が連結される(図2及び図3参照)。ピボット軸38は第1の操作軸30及び第2の操作軸34とともにエイミング調整を行うための光軸調整機構の構成要素とされる。
【0060】
軸受部材37には嵌合孔24aに嵌合されて固定される嵌合部37aが設けられている。軸受部材37には後方に開口された図示しない軸受穴が形成され、軸受穴は略球面に形成されている。
【0061】
ピボット軸38は前端部に球状部38aを有し後端部にネジ結合部38bを有している。ピボット軸38は球状部38aが軸受部材37の軸受穴に回転可能な状態で嵌合され、軸受部材37を介してフレーム21に連結される。
【0062】
フレーム21の嵌合孔24aは、上記したように、ピボット軸38が軸受部材37を介して連結される部分であり、エイミング調整を行うときのエイミング支点部として機能する。
【0063】
フレーム21における連結ベース22の取付部23にはレベリングアクチュエーター39が取り付けられている(図1及び図2参照)。
【0064】
レベリングアクチュエーター39は駆動制御部40と駆動制御部40から前方へ突出された駆動軸41とから成り、駆動軸41が駆動制御部40の駆動力によって前後方向へ移動される。
【0065】
駆動軸41の前端部は球状連結部41aとして設けられている。
【0066】
レベリングアクチュエーター39は駆動制御部40がネジ止め等によってフレーム21の取付部23に後面側から取り付けられ、駆動軸41が挿通孔23bから前方へ突出される。
【0067】
レベリングアクチュエーター39は駆動軸41の球状連結部41aがジョイント13の軸連結部16に形成された挿入孔16aを介して連結用凹部16bに回転可能な状態で嵌合されることにより灯具ユニット7に連結される。
【0068】
ランプハウジング2の下面部における内面には荷重受部42、42が左右に離隔して、例えば、ランプハウジング2に一体に設けられている(図1参照)。荷重受部42、42は前後に延びる形状に形成され、図示しない支持溝を有している。
【0069】
荷重受部42、42の支持溝にはそれぞれ第1の連結部29の被支持部29dと第2の連結部材33の被支持部33dとが摺動自在に支持されている。従って、灯具ユニット7及びフレーム21の荷重が第1の連結部材29と第2の連結部材33を介して荷重受部42、42及びランプハウジング2によって受けられる。
【0070】
このように灯具ユニット7及びフレーム21の荷重が荷重受部42、42及びランプハウジング2によって受けられるため、フレーム21及び灯具ユニット7の灯室5における配置状態の安定化が図られ、フレーム21及び灯具ユニット7が車輌の走行時等に発生する振動による影響を受け難く、耐振動性の向上を図ることができる。
【0071】
また、灯具ユニット7においては、上記したように、支点用連結部18、18間の中央部と軸連結部16を結ぶ軸上又はその近傍に灯具ユニット7の重心が位置されているため、耐振動性の一層の向上を図ることができる。
【0072】
ランプハウジング2の内部における上端寄りの位置には前方へ突出された保持突部43が、例えば、ランプハウジング2に一体に設けられている(図1及び図2参照)。保持突部43の前端部には前方に開口された連結用螺穴43aが形成されている。
【0073】
保持突部43には連結用螺穴43aにネジ結合部38bが螺合されてピボット軸38が連結される。
【0074】
上記した車輌用前照灯1において、第1の操作軸30の回転操作部31が回転操作されて螺軸部32aが第1の連結部材29に対して捩じ込まれ又は捩じ戻されると、ピボット軸38と第2の連結部材33を結ぶ軸を支点として灯具ユニット7とフレーム21が一体になって垂直面内において傾動される。灯具ユニット7が傾動されることにより、光源12から出射され投影レンズ9を介して照射される光の照射方向が変更され、上下方向における光軸調整である所謂上下エイミング調整が行われる。このとき、軸受部材37がピボット軸38の球状部38aに対して回転されると共に荷重受部42の支持溝に対して第1の連結部29の被支持部29dが摺動される。
【0075】
また、第2の操作軸34の回転操作部31が回転操作されて螺軸部36aが第2の連結部材33に対して捩じ込まれ又は捩じ戻されると、ピボット軸38と第1の連結部材29を結ぶ軸を支点として灯具ユニット7とフレーム21が一体になって水平面内において傾動される。灯具ユニット7が傾動されることにより、光源12から出射され投影レンズ9を介して照射される光の照射方向が変更され、左右方向における光軸調整である所謂左右エイミング調整が行われる。このとき、軸受部材37がピボット軸38の球状部38aに対して回転されると共に荷重受部42の支持溝に対して第2の連結部33の被支持部33dが摺動される。
【0076】
一方、レベリングアクチュエーター39において駆動制御部40の駆動力によって駆動軸41が前後方向へ移動されると、灯具ユニット7がジョイント13の支点用連結部18、18を支点として垂直面内において傾動される。灯具ユニット7が傾動されることにより、光源12から出射され投影レンズ9を介して照射される光の照射方向が変更され、車載物の重量に応じて変化される光軸の向きを調整する所謂レベリング調整が行われる。このとき、駆動軸41の球状連結部41aが軸連結部16の連結用凹部16aに対して回転される。
【0077】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、レベリングアクチュエーター39がランプハウジング2の内部においてフレーム21に取り付けられている。
【0078】
従って、ランプハウジング2の外面側にレベリングアクチュエーター39が存在しないため、車輌用前照灯1の小型化を図ることができる。
【0079】
また、レベリング調整時の作用点となる軸連結部16と回動支点となる支点用連結部18、18とが一体に形成されているため、軸連結部16と支点用連結部18、18の間の位置精度が高く、レベリング調整時に歪み等が生じることなく、レベリング調整時における各部への負荷の軽減及び正確な光軸調整を行うことができる。
【0080】
さらに、軸連結部16と支点用連結部18、18が一体に形成されているため、その分、部品点数の削減による車輌用前照灯1の製造コストの低減を図ることができると共に軸連結部16と支点用連結部18、18を容易に形成することができる。
【0081】
尚、軸連結部16と支点用連結部18、18が設けられたジョイント13は、例えば、金型に溶融樹脂を充填して冷却する射出成形によって形成されるが、このときの金型の開閉方向は上下方向とされる。従って、ジョイント13の成形後において軸連結部18、18の被支持軸部18a、18aにおける外周面の上下方向における中央に成形上の微少な線状の突起であるバリが生じる可能性がある。
【0082】
このようなバリが生じていると、軸連結部18、18がフレーム21の支持部26a、27aに対して回転されたときに、支持部26a、27aに傷付きや摩耗が生じるおそれがある。
【0083】
そこで、車輌用前照灯1にあっては、図5に示すように、支持軸部18a、18aの前後両側に平面状の逃げ部18c、18cを形成して支持軸部18a、18aを断面形状で小判状に形成することにより、支点用連結部18、18のバリが生じる可能性のある部分と支持部26a、27aとの接触を支点用連結部18、18の回動範囲において防止することができる。
【0084】
また、図6に示すように、支持部26a、27aの前後両側の部分にそれぞれ凹状の逃げ部26b、26b、27b、27bを形成することによっても、支点用連結部18、18のバリが生じる可能性のある部分と支持部26a、27aとの接触を支点用連結部18、18の回動範囲において防止することができ、支持部26a、27aにおける傷付きや摩耗の発生を防止することができる。
【0085】
また、車輌用前照灯1にあっては、フレーム21に連結用突部26、27が設けられ、連結用突部26、27の各先端部にそれぞれ支点用連結部18、18を回動可能に支持し上方に開口された略U字状の支持部26a、27aを設けている。
【0086】
従って、上方に開口された略U字状の支持部26a、27aにそれぞれ支点用連結部18、18を上方から挿入して支持することができるため、フレーム21に対する支点用連結部18、18の組付が簡単であり、フレーム21に対するジョイント13の組付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0087】
尚、一般に、レベリングアクチュエーターにおける駆動軸の先端部に設けられる球状連結部が連結される連結部材の連結部分は、レベリングアクチュエーターの駆動力(トルク)が小さい場合においても灯具ユニットが円滑に回動されるようにするために、駆動軸が前後方向へ移動されたときに球状連結部に対する連結部材の上下方向への僅かな移動を許容するように縦長の形状に形成されることが望ましい。
【0088】
このとき連結部材にエイミング調整の支点となる部材が連結される場合には、当該支点となる部材が連結される部分についても連結部材の上下方向への僅かな移動を許容するように縦長の形状に形成する必要があるが、縦長の形状に形成した場合には、車輌の走行等に基づいて振動が発生したときにも連結部材が上下方向へ移動されるおそれがあるため、耐振動性が低い構造になってしまう。
【0089】
そこで、車輌用前照灯1にあっては、レベリングアクチュエーター40の球状連結部41aが連結される部材がジョイント13とされ、エイミング調整のための軸受部材37及びピボット軸38が連結される部材がフレーム21とされ、球状連結部41aが連結される部材と軸受部材37及びピボット軸38が連結される部材とが異なる部材とされている。
【0090】
従って、フレーム21における軸受部材37が連結される部分を縦長の形状に形成する必要がなく、軸受部材37が連結されるフレーム21の嵌合孔24aを円形に形成することができるため、耐振動性が高い構造を構成することができる。
【0091】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1図2乃至図6と共に本発明車輌用前照灯の実施の形態を示すものであり、本図は、概略縦断面図である。
図2】内部構成を示す分解斜視図である。
図3】内部構成を示す斜視図である。
図4】内部構成の一部を分離して示す斜視図である。
図5】ジョイントの支点用連結部に逃げ部が形成された構造を示す拡大断面図である。
図6】フレームの支持部に逃げ部が形成された構造を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1…車輌用前照灯、2…ランプハウジング、3…カバー、5…灯室、7…灯具ユニット、12…光源、16…軸連結部、18…支点用連結部、21…フレーム、26…連結用突部、26a…支持部、27…連結用突部、27a…支持部、28…抜け防止部材、39…レベリングアクチュエーター、40…駆動制御部、41…駆動軸、18c…逃げ部、26b…逃げ部、27b…逃げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6