(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入退出検知手段は、前記映画館の所定の出入口に備えられ、前記顧客が携帯するICカードと無線交信可能な非接触型ICカード読取機であることを特徴とする請求項1に記載の映画再視聴提供システム。
前記再入館サービスは、前記顧客が前記映画館を途中退館した時刻に上映されていたシーンが再入館先の映画館において上映される時刻に合わせて、再入館可能時刻を設定することを特徴とする請求項1に記載の映画再視聴提供システム。
前記再入館サービスは、前記顧客が再入館して視聴しようとする映画がロードショーを終了していた場合、代替となる映画を割引料金で提示することを特徴とする請求項1に記載の映画再視聴提供システム。
前記配信サービスは、前記顧客が前記映画館で視聴できなかった映画のシーンを、前記顧客が前記映画を上映した劇場から一時退場した時刻から特定し、配信することを特徴とする請求項1に記載の映画再視聴提供システム。
前記配信サービスは、前記顧客が一時退場又は途中退館しなかった場合においても、前記顧客が所望するシーンを配信することを特徴とする請求項1に記載の映画再視聴提供システム。
【背景技術】
【0002】
昨今、大型テレビや、DVD、ブルーレイディスク等の記録メディアが普及し、家庭でも手軽に高解像で映画を鑑賞できる環境が整ってきた。多くの映画がロードショウ終了後、一定期間後にはDVD等で発売されたり、VOD(Video On Demand)等で配信されたりするので、映画館に行かなくても済むようになってきた。しかし、最新の映画を、映画館の大迫力の大型スクリーンで、高品質な音響効果や3D等の付加効果と共に、臨場感が溢れる環境で楽しみたいという需要も依然として多く存在する。
【0003】
しかし、映画館においては、
1)上映場所や上映期間が限られるのでスケジュールが合わない場合がある。
2)長時間座席に拘束される。ちょっとした休息がしづらい。同じ場所にじっとしていなければならず、特に年少の子供にはつらい。隣に不快な客がいても我慢を強いられる。
3)見はじめた後に、面白くないと分かっても料金を払っているので最後まで見なければ損という気持ちになり、無駄な時間を過ごす。試しに視聴ができない。
4)長編映画などの場合、分割視聴ができない。
などの課題もある。
【0004】
そのため、映画館の利用環境を向上させるための工夫も考えられている。例えば、特許文献1には、顧客が所望の映画を所望の時間に鑑賞できるようにするため、映画を鑑賞するためのディスプレイ及び音響装置が設けられた複数の個室と、複数の映画データの中から要求された映画データを選択して配信する管理サーバ及び映画サーバと、複数の個室から選択された映画データの配信を映画サーバに要求し、配信された映画データを対応するディスプレイ及び音響装置に再生させる複数の個室クライアントとを備えた映画配信システムが開示されている。
【0005】
一方、家庭での視聴における様々な要求に応えるため、映像配信をより柔軟にするような工夫も考えられている。例えば、特許文献2には、ユーザー側に設置されたセットトップボックスをリモコンを用いて操作し、配信サーバに接続し、コンテンツの一覧を表示させ、最初の再生の際には、その再生モード(コンテンツ全体を再生する基本視聴モード、コンテンツのとびとびの部分を再生できるハイライト視聴モード等)に基づく課金処理を行うコンテンツ配信システム等が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1や2に記載のようなシステムは、映画館での与えられた条件での視聴環境、家庭でのオンデマンドな視聴環境をそれぞれ個別に改善するものであるが、映画館での鑑賞と家庭での鑑賞とを融合させたものはいまだに存在しない。映画館のよさを生かしつつ、且つ、何処でも好きな時間に最新の映画を見られるようになると、又、見逃した映画をDVD等の発売を待たずに部分的にでも見られるようになると、映画館の利用も促進され、同時に、家庭等における映像の視聴環境もより多彩にすると、映画文化の発展にも寄与する。
【0008】
特に、せっかく映画館に行ったが、やむをえない事情(緊急の呼び出し、体調不良、子供のぐずり等)で途中退場するような場合であっても、家庭で後日、その映画の続きが見られれば嬉しい。あるいは、後日、同じ映画館、又は別の都合のよい場所の映画館に行って、再度料金を支払うことなく、その映画の続きを見られるようになれば便利である。また、映画館で見た感動のシーンや、うっかり居眠りしてしまったり、トイレに行ったりして、見逃したシーンをもう一度見ることができれば楽しい。また、長編映画は、場合によっては、いっきに見ると疲れたりするので、視聴者の都合により分割して視聴できるとさらによい。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑み、映画鑑賞をより柔軟に、たとえ映画館を途中退場するような事態になっても、後日、その続きが何時でも何処でも見られるようにする手段を備えた映画再視聴提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の映画再視聴提供システムは、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
映画館に設置された映画館制御端末と管理サーバ、及び映画配信サーバがネットワークを介して接続された映画再視聴提供システムであって、前記映画館制御端末は、顧客の前記映画館への入館及び退館したこと、前記顧客が前記映画館で上映中の劇場に入場及び退場したことを、当該顧客の識別情報と共に検知する入退出検知手段を備え、前記顧客の前記映画館からの退館後、該顧客の該映画館
の入退館及び前記劇場の入退場の記録である入退出状況を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記入退出状況を記録し、前記顧客
の前記入退出状況に応じて、前記顧客が前記映画館で視聴した映画を上映中の映画館に再入館させる再入館サービス
、前記顧客が途中退場又は途中退館したために視聴できなかった映画の一部シーンの映像を前記映画配信サーバから該顧客の所持する端末への配信サービスを提供する、ことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、映画館に設置された映画館制御端末が、顧客の映画館への入館及び退館を検知、及び/又は当該顧客の映画館内で上映中の劇場(スクリーン)ヘの入場及び退場を当該顧客の識別情報と共に検知する入退出検知手段と接続され、個々の顧客の入退出状況を逐次記録する。映画館制御端末は、顧客が映画館を退館後、管理サーバに、その顧客の入退出状況を送信する。管理サーバでは、サービス対象となるすべての映画館における入退出状況を顧客ごとに記録しておき、顧客から求めがあった際に、顧客の映画館での最新の利用状況に応じて、顧客が視聴した映画を、同じ映画館、又は別の映画館に再入館することを許可し再視聴させる再入館サービス、又は当該映画の一部シ−ン映像を映画配信サーバから当該顧客の所持する端末への配信サービスを提供する。
【0013】
なお、ここでいう「入退出」とは、映画館への入館または退館と、上映中の劇場(スクリーン)への入場又は退場のいずれかを表す用語とする。また、顧客の識別情報と共に入退出を検知する「入退出検知手段」は、例えば、顧客の携帯する携帯電話、ICカード、又はICチップを装着したその他携帯器具を、映画館内の所定の場所に設置された読取器(センサ)が検知することによって実現される。
【0014】
同じ映画に対し、再入館させたり配信することによって再視聴させるサービスを提供するのは、顧客がなんらかの事情で映画館を途中退館したり、映画館内には留まるものの、一時的に劇場外に退出した場合など、顧客が、上映された映画を全編にわたって視聴できなかったこと、または意図的に視聴しなかったことが、記録された顧客の入退出状況(入館時刻,入場時刻,退場時刻,退館時刻,上映開始時刻,上映終了時刻等から得られる情報)を参照することによって判断できるからである。
【0015】
このようにすることによって、顧客が、都合により途中までしか見られなかった映画を、後日あらためて、映画館に再入館して続きを視聴したり、劇場から一時退場して見逃したシーンがあったら、家庭でそのシーンの映像を受信して視聴することができる。
【0016】
上記システムにおいて、好ましくは、前記の入退出検知手段は、前記映画館の所定の出入口に備えられ、前記顧客が携帯するICカードと無線交信可能な非接触型ICカード読取機であるように構成してもよい。このようにすることで、顧客が携帯する非接触型のICカードと、映画館の入退出検知手段とが自動的に無線交信して、顧客がこのICカード読取機の前を通るだけで、自動的にその顧客の入退出状況を記録することができる。
【0017】
また、上記システムにおいて、さらに好ましくは、前記ICカードは、クレジットカードであるように構成してもよい。このようにすることで、入退出管理のために会員カードやICチップを装着した特別の器具を用意しなくとも、顧客が普段携帯しているICチップ付のクレジットカードをそのまま利用できる。また、映画館の座席予約や利用料金の支払いもそのクレジットカードでできるので大変便利である。
【0018】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記再入館サービスは、前記顧客が前記映画館を途中退館した時刻に上映されていたシーンが再入館先の映画館において上映される時刻に合わせて、再入館可能時刻を設定するように構成してもよい。このようにすることで、途中退館した映画を再入館して視聴する場合には、その続きのシーンがすぐに見られるような最適な入館時間を提示してくれるので、その時間に合わせて映画館に行くことができる。
【0019】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記再入館サービスは、前記顧客が再入館して視聴しようとする映画がロードショーを終了していた場合、代替となる映画を割引料金で提示するように構成してもよい。このようにすることで、たとえ目的の映画がロードショー公開を終了していても、顧客は代替サービスとして、別の映画を割引料金で見ることができるので、得した気分になる。
【0020】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記配信サービスは、ストリーミング配信又はダウンロード配信であり、シーンごとの要約情報を含むように構成してもよい。このようにすることで、顧客は好みの方法、時間、場所で、映画配信サーバを介して、その映画の再視聴をすることができる。また、各シーン毎に簡単な要約(文字情報)が含まれるのでそれを読むことができる。
【0021】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記配信サービスは、前記顧客が前記映画館で視聴できなかった映画のシーンを、前記顧客が前記映画を上映した劇場から一時退場した時刻から特定し、配信するように構成してもよい。このようにすることで、顧客が、劇場を一時退場して見逃したシーンを、映画の上映開始時刻と退出時刻及び再入場時刻から自動的に特定するので、目的のシーンを探す手間が不要になる。
【0022】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記配信サービスは、前記顧客が一時退場又は途中退館しなかった場合においても、前記顧客が所望するシーンを配信するように構成してもよい。このようにすることで、一時退場や途中退館しなかった顧客に対しても、所望するシーン(もう一度見たいシーン)を再視聴させるサービスを提供する。このようにすることで、顧客は、映画館で見たシーンを思い出し、再度楽しむことができ、映画館に行ったすべての顧客に、映画館に行くメリットを感じさせることができる。
【0023】
また、上記システムにおいて、好ましくは、前記管理サーバは、前記再入館サービスまたは前記配信サービスの利用料金を、前記顧客が前記映画館で上映した映画を実際に視聴した時間
と視聴できなかった時間の割合に基づいて、割引率を設定するように構成してもよい。このようにすることで、再視聴の場合は、利用料金が映画館で実際に視聴した時間の割合(逆に言えば、見逃した時間の割合)に応じて割引されるので、再視聴がし易くなる。もちろん、場合によっては、追加利用料金は無料としてもよい。顧客は、視聴しなかった分まで含めて料金を既に支払っているからである。
【0024】
上記のシステムは、下記のように、映画再視聴サービス提供方法の発明と捉えることもでき、上記のシステムと同様な作用効果を奏する。
【0025】
映画館に設置された映画館制御端末と管理サーバ、及び映画配信サーバがネットワークを介して接続されたシステムが実行する映画再視聴サービス提供方法であって、顧客が映画館で上映中の劇場に入場及び退場したことを当該顧客の識別情報と共に検知するステップと、前記顧客の前記映画館
の入退館及び前記劇場の入退場の記録である入退出状況を記憶するステップと、前記顧客が退場後に、該顧客からのサービス利用要求を受付けるステップと、前記顧客の前記入退出状況に応じて、前記顧客が前記映画館で視聴した映画を上映中の映画館に再入館させる再入館サービスを提供するステップと、前記顧客の前記入退出状況に応じて、
前記顧客が前記映画館で視聴した映画を上映中の映画館に再入館させる再入館サービス、前記顧客が途中退場又は途中退館したために視聴できなかった映画の一部シーンの映像を前記映画配信サーバから該顧客の所持する端末への配信サービスを提供するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、映画鑑賞をより柔軟に、映画館を途中退場するような場合であっても、後日、その続きが何時でも何処でも見られるようにする手段を備えた映画館システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る映画再視聴提供システム(以下、本システムという)の概略構成を示す図である。本システムでは、ネットワーク40を介して、管理サーバ10が、各映画館にある映画館制御端末21と映画配給元の映画配信サーバ30と接続されている。ネットワーク40は、専用ネットワークであっても、インターネットのような公衆ネットワークであってもよい。
【0030】
管理サーバ10は、データベース(以下、DBと略す)として、入退出管理DB11,顧客DB12,映画館DB13を備える。管理サーバ10は、これらのDBと必要なデータを読み書きする。映画配信サーバ30は、映画情報DB31を備える。管理サーバ10は、映画配信サーバ30から、管理する映画館で上映するすべての映画の情報を取得することができる。
【0031】
入退出管理DB11は、顧客が特定の映画館に入館・退館した時刻、劇場に入場・退場した時刻、顧客が視聴した映画の上映情報等を記録したデータを管理するためのDBである。後で述べるように、顧客の映画館の利用状況は、顧客が携帯したICカード等と、映画館内に設置されたICカード読取機からの情報を逐次受信することによって得られる。
【0032】
顧客DB12は、本システムが提供するサービスに加入した顧客を管理するためのDBであり、各顧客は、事前に住所、氏名、生年月日、料金支払いの方法等の情報を登録をすると、顧客番号(ユーザID)とログインパスワードが発行され、顧客DB12に保存される。
【0033】
映画館DB13は、本システムが提供するサービスに参加する映画館の情報を管理するDBである。映画館の情報には、スクリーン(劇場)毎に、上映中の映画と上映スケジュールが含まれ、逐次更新されるものとする。本システムに参加する映画館は、グループ・系列の映画館が典型的であるが、それ以外にもできるだけ多くの映画館と連携して参加してもらうことが望ましい。
【0034】
映画情報DB31は、本システムが提供するサービスが利用できる映画のタイトル,上映時間,監督,出演者,ストーリ等の映画の詳細情報を集めたDBであり、これらの情報は、通常、映画の配給元から提供される。多くの映画がこのサービスで利用できればできるほど、本システムの有用性が高まるのは言うまでもない。
【0035】
映画館制御端末21は、対象となる映画館20の管理室等の適切な場所に設置され、その映画館内での情報を管理するコンピュータである。特に、本発明においては、映画館エントランス・センサ22(以下、入館センサ22)、スクリーンエントランス・センサ23(以下、入場センサ23)の2種類のセンサと接続される。また、映画館制御端末21は、映画館における映画の実際の上映を制御している映写制御装置21aとも接続され、上映中の映画のID,上映開始時刻,上映終了時刻,及び上映中のシーン番号を逐次受信することができる。
【0036】
入館センサ22と入場センサ23は、顧客の識別情報と共に顧客の入退出を検知する入退出検知手段として機能し、典型的には、ICカード又はICカード機能を持った携帯電話と交信して情報を読み取ることができるICカード読取機である。入館センサ22は、映画館のエントランス(入退館口)に設置され、顧客の映画館への入館及び退館を検知する。入場センサ23は、映画館内の一又は複数のスクリーン(劇場)のエントランス(入退場口)に設置され、顧客の各スクリーンへの入場及び退場を検知する。顧客がこれらのセンサの横を通過するたびに、各センサが顧客が携帯したICカード、携帯電話、その他ICチップ付き小型携帯器具(以下、ICカード等)と交信することによって、顧客番号等が識別され、その情報を読み取った時刻が記録される。
【0037】
各センサは、顧客の入館と退館、及び入場と退場を区別するための手段を有している。例えば、それぞれのセンサは、顧客の通路に沿ってICカード読取機を離れた位置に2箇所備え、先に顧客のICカードと交信した読取機が入口側で、後で交信した読取機が出口側と判断し顧客の進行方向を検知する。入館センサ22と入場センサ23は、設置場所が異なるだけで、物理的には同じものであってよい。
【0038】
顧客が携帯するICカードは、専用のICチップを装着した会員カードであってもよいが、さらに好ましくは、ICチップ付のクレジットカードであるとよい。この場合、映画館での料金を支払うクレジットカードの番号が上記のセンサで自動的に読み取られ、紐付けされた顧客番号を認識し、顧客の映画館への来館・退館、スクリーンへの入場・退場が検知される。クレジットカードを利用するには、所定のWebサイトで映画館のチケットをインターネット購入する際に、クレジットカードの番号,有効期限,パスワードを入力すると、支払手続きも同時に完了することができる。ここで入力したクレジットカード番号が、その映画館において、顧客識別子の役割を果し、入退出の管理に用いられる。もちろん、クレジットカードを複数持っていれば、使用するカードをその都度変えることも可能である。
【0039】
なお、ここで使用されるICカードは、非接触型の無線交信方式のものが好ましい。現在、普及している非接触型のICカードは、交信距離が10cm以下の近傍型(ISO/IEC1444)であり、ICカード読取機に数cm程度に近づけないと反応しないが、将来、近傍型(ISO/IEC1564;交信距離70cm以下)が普及すると、カードをいちいち取り出す必要がなくなる。
【0040】
以上、典型的なシステム構成を説明したが、上記のシステム構成は、あくまで一例であり、管理サーバ10や映画配信サーバ30を複数のサーバで構成したり、映画館制御端末21と映写制御装置21aを1つの装置として構成したりしてもよい。管理サーバ10、映画配信サーバ30、及び映画館制御端末21は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、またはハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わない。
【0041】
図2は、本発明の実施形態に係るシネマ・コンプレックス内の配置を示す図である。本システムは、単一のスクリーンしか持たない映画館であっても、複数のスクリーンを持つシネマ・コンプレックス型の映画館であってもどちらにも対応できる。ここでは、後者のシネマ・コンプレックス型の映画館を例に説明する。
【0042】
図示するように、このシネマ・コンプレックスは、映画館のエントランス24eを入ると、まずロビーエリア24があり、その奥に、6つのスクリーン1〜6(劇場)が配置されたスクリーンエリア25がある。ロビーエリア24とスクリーンエリア25の間は、スクリーンエリア・エントランス25eで仕切られており、ここに係員が立って、入場する顧客のチケットを確認し、該当スクリーンの案内をする。ロビーエリア24には、インターネットで予約した顧客のチケットを発券する予約発券機28も備えられている。また、ロビーエリア24には、チケット売場26、飲食物やパンフレット等を販売する売店27が配置され、トイレ29もこのエリアに設置されるのが普通である。
【0043】
本シネマ・コンプレックスでは、映画館のエントランス24eに入館センサ22が設置され、入場センサ23が各スクリーンのエントランス23eに設置される。ICカード等を携帯した顧客がこの映画館のエントランスを通過すると、入館センサ22が顧客のICカード等と交信して顧客の来館を検知し、顧客番号及び来館時刻を映画館制御端末21(図示せず)に送り、映画館制御端末21がその情報を記録する。
【0044】
顧客は、インターネットでオンライン予約している場合は、予約発券機28に予約した際に指定したクレジットカードを挿入し、映画のチケットを受け取る。オンライン予約をしていない場合は、チケット売場26に行き、チケットを購入することになるが、このとき、ICチップ付クレジットカードで支払いをすると、以後そのクレジットカードが本システムの入退出カードとして認識される。この場合は、入館センサ22を通過する時点ではクレジットカードが特定されていないので、入館時刻はチケットを購入した時刻で近似される。オンライン予約をしている場合は、予約の際に指定したクレジットカードが入退出カードとして予め特定されているので、入館センサ22を通過した時点が入館時刻となる。
【0045】
いずれの場合も、顧客は、チケットを取得後、見たい映画の上映準備ができた旨のアナウンスを受けると、スクリーンエリア・エントランス25eに行き、係員にチケットを見せてスクリーンエリア25内に入り、該当するスクリーンに入場する。このとき各スクリーンエントランス23eには、入場センサ23が備えられているので、ここでも顧客のICカード等と交信し、顧客番号と入場時刻が記録される。2度に分けて顧客の映画館への入館とスクリーンへの入場を記録するのは、スクリーンから一時的に退場し短時間で再入場する場合と、再入場せずにそのまま映画館を退館する場合とを区別するためである。顧客がスクリーンから退場すると入場センサ23が退場時刻を記録し、映画館から退館すると入館センサ22が退館時刻を記録する。トイレ等で退場しても、退館するまでは購入したチケットが有効なのは言うまでもない。
【0046】
図3は、本発明の実施形態に係る入退出管理テーブル100、及び顧客テーブル200を示す図である。入退出管理テーブル100は、入退出管理DB11に保存されるデータを、顧客テーブル200は、顧客DB12に保存されるデータを、それぞれ模式的に表したもので、それぞれのDB内におけるデータ構造は任意であってよい。
【0047】
入退出管理テーブル100は、顧客番号が映画館を利用するごとに入退出利用状況データ102が保存される。入退出利用状況データ102には、入退出管理に指定されたクレジットカードの番号,入館時刻,映画館番号,映画館の住所コード,入場時刻,スクリーン番号,退場時刻,退館時刻等が記録される。上映時間中にスクリーンを一時的に退場した場合は、その途中退場時刻、再入場時刻も記録される。スクリーン鑑賞時間は、スクリーン入場から最終退場までの時間(スクリ−ン利用時間)から、途中退場中の時間および顧客が入場した後に上映された予告編やCM等の時間を除いたものであり、顧客が実際にスクリーンの席に座って映画を鑑賞していたと推定される時間を表す。スクリーン鑑賞時間が、映画の上映時間よりも短いと、顧客がすべてのシーンを鑑賞できなかったと判断できる。また、施設利用時間は、入館した時刻から退館した時刻の差であり、顧客の映画館での総滞在時間を表し、顧客の傾向を把握し、映画館でのサービス向上のために利用される。
【0048】
なお、このテーブル末尾の「最終顧客状態」とは、顧客がこの映画館を退館した時点での最終的な利用状態を表している。例えば、この例のように、「通常退館、一時退場あり」とは、上映途中で映画館を退館することなく上映終了後に通常に退館したが、途中でスクリーンから一時退場した時間があったことを示す。この情報は顧客テーブル200にも記録され、後述する退館後の利用可能サービスの条件判定に用いられる。上映終了前に退館した場合は、「最終顧客状態」は、「途中退館」となり、それ以前に一時退場もしていれば、「途中退館、一時退場あり」となる。
【0049】
顧客テーブル200は、本システムが提供するサービスに登録した顧客の個人情報201を保存したものであり、厳重なセミュリティが施されて管理される。また、顧客テーブル200には、映画館利用状況及びサービス利用状況202が保存され、顧客が映画館を利用した年月日,使用したクレジットカード番号,映画館の番号等が記録される。さらに加えて、前回の映画館での利用状況に応じて、利用可能なサービスの情報が記録される。この例の場合には、最終顧客状態が「通常退館」であるが、「一時退場あり」を示しており、かつ、上映時間よりもスクリーン鑑賞時間が短いので、見逃したシーンがあると判断されて、見逃したシーンを再視聴できることを示す「部分再視聴」のサービスが利用可能であることを表している。さらに、サービス利用状況には、実際に利用したサービスがあれば、そのサービス番号が保存される。なお、このような利用可能サービスの具体例については、後の図で説明する。
【0050】
図4は、本発明の実施形態に係る映画館テーブル300及び映画情報テーブル400を示す図である。映画館テーブル300は、映画館DB13に保存されるデータを、映画情報テーブル400は、映画情報DB31に格納されたデータをそれぞれ模式的に表したものであり、DB内におけるそれぞれのデータ構造は任意であってよい。
【0051】
映画館テーブル300には、映画館ごとに、映画館コードと映画館名が保存され(レコード301)、さらに、その映画館に設置されたスクリーンごとに、スクリーン番号,上映中の映画コード,及び上映期間と上映時間の上映スケジュールが保存される(レコード302a,302b,303c・・・)。また、ここには図示していないが、上映スケジュールには、日々のスケジュールと、マンスリースケジュールが含まれる。
【0052】
映画情報テーブル400は、映画ごとに、配給元から提供される映画の詳細情報を保存したものである。映画情報には、映画コード,映画タイトル,公開日,製作国,上映時間,配給元,監督名,出演者名,ストーリー(あらすじ)等の情報が含まれるが、映画の各シーンの情報を含まれる。各シーンの情報とは、映画全体を数分から十数分のシ−ンに分割し、それぞれのシーンの開始時刻,終了時刻,シーンの上映時間等を含んだ情報である。各シーンのタイトルや特徴を表すキーワード、シーンの要約(文字情報)、サムネイル画像等を含めるとさらに好ましい。上記2つのテーブルのデータは、利用可能サービスを提示する際に、管理サーバ10によって読み出される。
【0053】
図5は、映画館制御端末21が行う入退出管理処理のフローを示す図である。また、
図6は、映画館制御端末21が行う再入館処理のフローを示す図である。
図5、
図6は、全体で一つのフローチャートなので、以下、まとめて説明する。以降の処理は、映画館制御端末21が入館センサ22及び入場センサ23が検知した情報を元に処理するものである。映画館制御端末21は、所定のタイミング(例えば、1本の映画の上映が終了する毎、あるいは、所定時間毎)で、データを管理サーバ10に送り、管理サーバ10が必要なデータを各DBに記録する。上記の所定のタイミングは、ネットワーク負荷とリアルタイム性のバランスを考慮して決定される。
【0054】
図5のフローチャートについての説明に戻る。まず、ステップS10において、顧客が入館センサ22を通過したかどうかをチェックする。入館センサ22が顧客の入館を検知したら、ステップS11において、その入館が再入館であるかどうかをチェックする。再入館は、前回利用した映画館で途中退館した顧客が再度入館することを申し込んだ場合に成立する。再入館が成立する場合は、
図6のステップS30に移る(この場合については後で説明する)。
【0055】
以降の説明では、顧客がオンライン予約と、クレジットカードを使用して支払いを済ませているとする。再入館が成立しない場合(通常の入館の場合)、
図5のステップS12に移り、顧客状態を「入館状態」にセットする。そして、ステップS13において、同じ顧客が入場センサ23を通過するのを待つ。入場センサ23を通過しないで、入館センサ22を再度通過した場合、又は所定時間待っても入場センサ23を通過しない場合は、顧客が退館したものとみなし、顧客状態を「通常退館状態」にする。
【0056】
顧客が入場センサ23を通過すると、ステップS14において、その顧客状態を「入場状態」として記憶する。そして、その後、ステップS15において、顧客が再度入場センサ23を通過した場合(スクリーンから退場した場合)は、ステップS16に移り、その退場が途中退場であるかどうかをチェックする。途中退場かどうかは、入場センサ23を通過した時間が、映画の上映終了時刻後であれば通常退場であるとみなし、それ以外であれば途中退場であるとみなす。
【0057】
通常退場であれば、ステップS17に移り、顧客状態を「通常退場状態」として記憶する。そして、ステップS18において、同じ顧客が入館センサ22を通過するのを待つ。入館センサ22を同じ顧客が通過したら、ステップS19において、顧客状態を「通常退館状態」とし、処理を終了する。なお、図示していないが、ステップS18において、所定時間待っても入館センサ22が同じ顧客の通過を検知しない場合は、なんらかの異常があったとして、顧客状態を「異常退館状態」として記憶する。
【0058】
ステップS16において、途中退場であると判断された場合は、ステップS20に移り、顧客状態を「一時退場状態」であるとして記憶する。その後、ステップS21において、同じ顧客が入場センサ23を通過した場合は、再入場したものとみなし、ステップS14に戻り、顧客状態を「入場状態」に戻す。ただし、この場合は、途中退場したことを示す「一時退場あり」が記憶される。入場センサ23を通過せず、ステップS22において、そのまま入館センサ22を通過した場合は、何らかの事情で途中退館したものとみなし、顧客状態を「途中退館状態」として記憶し(ステップS23)、処理を終了する。そして、記憶した顧客状態を先に説明した「最終顧客状態」として記録する。
【0059】
図6に移り、顧客の今回の入館が再入館の条件を満たしていると判断された場合は、ステップS30に移り、顧客状態を「再入館状態」として記憶する。再入館の条件とは、顧客が前回、映画館を利用したときの最終顧客状態が「途中退館」として記録されており、且つ、顧客が所定のWebサイトから再視聴の申し込み、再入館する映画館の予約を完了していることである。再入館する映画館は前回と同じでもよいし、別の映画館でもよい。顧客は、前回、途中退館しているので、再入館時には料金を大幅に割り引くか、場合によっては無料で、同じ映画を再視聴することができる。途中退館時刻に応じて料金に割引率を変えてもよい。例えば、上映直後の10分以内に途中退館した場合は全額割引、上映時間の半分以上見た場合は、50%〜90%割り引く等である。
【0060】
次に、ステップS31において、同じ顧客が入場センサ23を通過するのを待つ。入場センサ23を通過したことを検知すると、ステップS32において、顧客状態を「再入館入場状態」にセットする。そして、ステップS34において、上映が終了して同じ顧客が退場するのを待つ。上映終了時刻を過ぎてからの退場の場合は、通常退場とみなし、ステップS35において、顧客状態を「通常退場状態」にセットする。そしてステップS36において、同じ顧客が入館センサ22を通過するのを待ち、通過を検知すれば、顧客状態を「通常退館状態」にセットし(ステップS37)、処理を終了する。
【0061】
ステップS34において、途中退場であると判断された場合は、ステップS38において、顧客状態を「一時退場状態」にセットし、同じ顧客が再度入場センサ23を通過すれば、再入場したとみなしステップS32に戻り、顧客状態を「再入館入場状態」にセットする。なお、再入館入場中に、再度、途中退館しても、通常入館の場合と違って、利用可能サービスを受ける権利は与えられないものとする。再入館を繰り返し悪用されることを防止するためである。
【0062】
図7は、途中退館後に後日、映画館に再入館することを申し込むための画面の一例を示す図である。顧客がなんらかの事情で、映画館を途中退館した場合であっても、本システムを利用すると、途中退館した記録が残っているので、後日、映画館に再入館して、同じ映画の続きを見ることが可能である。
【0063】
図7の画面500は、この再入館を申し込むための画面である。顧客が所定のWebサイトにアクセスし所定のメニューを選ぶと、この画面が表示され、顧客が前回利用した映画館の利用状況が表示される。符号501で示す領域に図示するように、表示されるデータは、映画館名、入館時刻,退館時刻,上映された映画のタイトル,上映開始時刻,上映終了時刻,上映時間の他、支払った利用料金や、支払いに使用したクレジットカードの下位4桁の番号,スクリーンからの退出時刻とそのときのシーンの状態,退出後の残り上映時間が表示される。この例では、残り上映時間が70分ある状態でスクリーンから退場し、そのまま映画館を退館したことを示している。
【0064】
このような場合、符号502で示す領域に図示するように、再入館が可能である旨のメッセージが表示され、顧客が再入館を希望する場合は、希望の映画館を選択し、再入館申込ボタンを押すと、選択した映画館の予約画面に移り、所望の上映日と上映時間を選択して予約ができるようになっている。このようにすることで、途中退場した映画を都合のよい映画館で再度視聴することができる。ここで、再入館した映画を最初から見られるようにしてもよいし、前回途中退館したときのシーンが上映される時刻の少し前から入場可能とするようにしてもよい。また、そのシーンに間に合うような最適な入館時刻を表示するようにしてもよい。後者の場合は、途中入場となるので、他の客にできるだけ迷惑にならないような席(端に近い位置)が予約時に優先的に選択されることが望ましい。専用の席を設ければさらに望ましい。
【0065】
なお、再入館を申し込む時点で、その映画のロードショーが終了している場合は、次の
図8で説明する配信サービスを利用するか、あるいは、上映中のお勧めの映画を、再視聴したかった映画の代替として、符号502で示す領域に表示し、割引料金で視聴できるようにしてもよい。
【0066】
また、映画を続きのシーンから視聴する場合は、前回途中退館するまでに視聴した割合に応じて割引率を表示するようにしてもよい。顧客がその映画を再度、最初から視聴したい場合にも、一定の割引料金が適用されるようにすることが望ましい。このようにすることで、途中退館した場合はもちろん、たとえ途中退館しない場合であっても、映画館で鑑賞することに対する信頼度が上がり、また映画館を利用したいと思う気持ちが高まる。入館後に、つまらない映画とわかっても、途中退館することに対する抵抗感が小さくなるので、試しに視聴したのと同様な効果が期待できる。なお、本システムの趣旨とは多少異なるが、途中退館せずとも同じ映画を再視聴できるようにし、その場合の割引料金を別途設定しておいてもよい。
【0067】
図8は、途中退館後に後日、映画の続きを視聴するための画面の一例を示す図である。本システムでは、割安で映画館に再入館できるサービスが提供される以外にも、家庭で、その映画の続きが見られる配信サービスが提供される。配信サービスは、管理サーバ10が、映画配信サーバ30に特定の顧客に対し、特定の映画の一部シーンの配信を依頼することで実現する。この配信サービスは、再入館を申し込もうとした時には、既にその映画のロードショーが終わっていたという場合にも有効である。
【0068】
この配信サービスを受けるため、該当する顧客が所定のWebサイトにアクセスし、所定のメニューを選択すると、
図8のような画面510が表示される。
画面510には、前図と同様に、符号511で示す領域に、顧客が前回利用した映画館の利用状況が表示される。この画面では、ストリーミング又はダウンロードを選択することができる。料金は、無料又は小額の手数料のみとすることが望ましい。ただし、途中退館したときのシーン以降がストリーミング又はダウンロードの対象となる。いずれも、視聴回数、視聴可能期間は制限されるが、ストリーミングの場合でも、一度に最後まで見なくとも数回に分けて見ることもできるし、シーンを選択して見られるようにしてもよい。このようにすることで、再度映画館に出向く時間のない顧客に対しても本サービスを提供することができる。
【0069】
図9は、スクリ−ンから一時退場した間、見逃したシーンを視聴するための画面の一例を示す図である。スクリーンから一時的に退退場する場合としては、売店での買い物、洗面所や喫煙所の利用等が考えられる。また子供がぐずったとき等、映画鑑賞を中断せざるを得ないこともある。このような場合、一時退場中のシーンを見逃すことになるが、それがクライマックスのシーンである場合や、好みの出演者が登場しているシーンであったりすると、悔やまれるものである。
【0070】
顧客が所定のWebサイトにアクセスし、所定のメニューを選択すると、
図9のような画面520が表示される。画面520では、前図と同様に、符号521で示す領域に、顧客が前回利用した映画館の利用状況が表示される。図示するように、この例では、退館時刻が上映終了後なので、途中退館とみなされることはないが、一時退場時間が18:50〜19:00の間に10分あったことを示している。そしてその時間に、シーン3とシーン4が上映されていたことも示している。このような場合にも、画面520から、該当シーンのみをストリーミング又はダウンロードすることが可能である。
【0071】
図10は、鑑賞済の映画を部分的に再視聴するための画面の一例を示す図である。顧客が所定のWebサイトにアクセスし、所定のメニューを選択すると、
図10のような画面530が表示される。画面530は、映画館では途中退館や一時退場することなく、全編を無事に鑑賞した顧客が、気に入ったシーンのみを再視聴したい場合に利用する画面である。
【0072】
画面530では、前回の映画館での利用状況は、符号531の領域で示すように、途中退館や一時退場を示すような表示はない。すなわち、「通常退館状態」としてシステムには記録されている。この場合には、画面530には符号532で示す領域に、映画の全シーンのタイトルと、このシーンの代表的なサムネイル画像が一覧で表示される。顧客は、ここから所望のシーンを選択し、選択したシーンのみをストリーミング又はダウンロードすることができる。ここで視聴できるシーンは1又は複数としてもよいが、所定の数以上のシーンをダウンロードすることはできないものとする。顧客は、ダウンロード等をしなくとも、サムネイル画像を見るだけで映画のシーンやストーリを思い出し、再度楽しむこともできる。このようなサービスを提供することで、一時退場や途中退館をしない大多数の顧客に対しても映画館に行ったことのメリットを味あわせることができる。
【0073】
以上の説明では、本システムの実施形態として、シネマ・コンプレックス型の映画館を例に説明したが、単一のスクリーンしか持たない映画館であっても基本的には同様である。このような映画館の場合には、
図2のように、入館センサ22と入場センサ23を必ずしも別個に備えてなくともよく、単一の入場センサ23を、
図2のエントランス25eのような、係員が入場をチェックする場所に設置して、顧客の入退出を検知するようにしてもよい。この場合は、入場=入館、及び退場=退館とみなし、入場して、いったん退場した後、所定時間内に再度入場したときに一時退場とみなす。所定の時間内に再度入場しない場合は、通常退場(=通常退館)とみなす。さらに、入場センサ23を通過した時刻を上映終了時刻と比較することで、通常退場と一時退場の区別の区別を判断することができる。
【0074】
以上の説明したように、本システムは、映画館で実際に映画を視聴した顧客に追加サービスを提供するものであり、その追加サービスを家庭等での視聴環境と結びつけたものである。本システムを利用することで、顧客は、両者の視聴環境を享受でき、かつ冒頭で述べたような、映画館のデメリットも補うことができる。また、このようにすることで、映画ファンの増加や映画館の利用促進にも繋げることができる。そして、映画館がより快適な空間になればなるほど、本システムの利用も促進される。
【0075】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。