特許第5700838号(P5700838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700838
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   G01L1/20 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-528840(P2011-528840)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2010064497
(87)【国際公開番号】WO2011024902
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2009-198704(P2009-198704)
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】日本写真印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152087
【弁理士】
【氏名又は名称】伏木 和博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴博
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 義宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 潤
(72)【発明者】
【氏名】今井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】平井 聖子
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−116230(JP,A)
【文献】 特開2009−134473(JP,A)
【文献】 特開2001−165788(JP,A)
【文献】 特開2006−266812(JP,A)
【文献】 特開平02−183133(JP,A)
【文献】 特表2002−506216(JP,A)
【文献】 特開2001−000610(JP,A)
【文献】 特開2008−046817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/20
G01L 5/00
G06F 3/033
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力機能を有しかつ外形が矩形状のパネル部材と、前記パネル部材の長手方向に沿う縁部の少なくとも一部に配置されて前記パネル部材に対する押圧操作力を検出する圧力検出部とを備える圧力検出装置であって、
前記圧力検出部が、
対向配置されて、外部からの荷重を受ける第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板に振分けて互いに線状に対向配置された一対の電極と、
前記一対の電極間にこれら一対の電極の少なくとも一方を覆う状態で配置され、前記荷重によって電気特性が変化する導電性の感圧インクと、
前記第1基板と前記第2基板とを前記一対の電極と前記感圧インクとが接する状態に接着する接着部材と、
前記第1基板の外面及び前記第2基板の外面のうちの少なくとも何れか一方に設けられ、前記感圧インクに荷重を集中させて伝達する荷重伝達部材と、を備え、
前記荷重伝達部材が非弾性部材で構成されているとともに、
前記電極の延在方向に直交する面での断面における前記荷重伝達部材の幅が、前記感圧インクの幅以下に設定され、かつ、
前記荷重伝達部材が、その延在方向が前記パネル部材の長手方向に沿うように設けられた圧力検出装置
【請求項2】
前記一対の電極を枠状に配置してある請求項1に記載の圧力検出装置
【請求項3】
前記第1基板及び前記第2基板を枠状に形成してある請求項1又は2に記載の圧力検出装置
【請求項4】
前記接着部材が、前記第1基板と前記第2基板とを引き付けて前記感圧インクに初期荷重を付与する請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力検出装置
【請求項5】
複数の前記荷重伝達部材が、前記電極の延在方向に沿って互いに離間して設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力検出装置
【請求項6】
前記荷重伝達部材が、前記第1基板あるいは前記第2基板の外面から遠ざかるほど断面積を小さく形成してある請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力検出装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがパネル部材上を押圧操作することで情報入力を可能にした情報入力装置等に用いられる圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧力を検出する押圧検出機能を有するものとして感圧センサが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の感圧センサは、電極、感圧インク層が順に積層されたプラスチックフィルム同士を、互いの感圧インク層を向かい合わせ、表裏面に接着層を有する絶縁層を介して接着したものである。
【0003】
また、本出願人は、特許文献1の感圧センサを視認性が必要とされるタッチパネルに採用する際に、表示部の視認性の低下を抑制するようにした構成について出願を行っている(特願2008−330288号、WO2010/074116号参照)。特願2008−330288号(WO2010/074116号)に記載のタッチパネルの感圧センサは、上下方向に積層されている部分の構成は特許文献1と同じであるが、さらに、図11に示すように、一対の電極21a,22aがプラスチックフィルム21A,22Aの縁部に沿って枠状に配置され、2層の感圧インク23a,23bがプラスチックフィルム21A,22Aの縁部に沿って点在するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−48658号公報
【発明の概要】
【0005】
図11に示す感圧センサでは、一対の電極21a,22aのうち、点在するセンサ部のみが感圧インク23a,23bで被覆されている。したがって、センサ部以外に位置する電極21a、21bは感圧インク23a,23bに被覆されていない。このため、センサ部以外に位置する電極21aと電極22aとが直接接触して通電したり、プラスチックフィルム21Aとプラスチックフィルム22Aの間に配置される接着層30を介して電極21aと電極22aとが通電したりするおそれがあった。そこで、図12に示すように、例えば、接着層30の中間に絶縁材30Aを配置して、センサ部以外に位置する電極21aと電極22aとが通電しないようにしていた。
【0006】
しかし、接着層30の中間に絶縁材30Aが配置されていると、接着層30は絶縁材30Aを粘着材30Bで挟む3層構造になるため、感圧センサが厚くなりがちになる。接着層30が厚くなると、センサ部への押圧操作が接着層30そのものによって阻害されることとなり、センサ部の感度が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、押圧操作によるセンサ部の感度が良好な圧力検出装置を提供することを目的としている。
【0008】
本発明に係る圧力検出装置の第1の特徴構成は、タッチ入力機能を有しかつ外形が矩形状のパネル部材と、前記パネル部材の長手方向に沿う縁部の少なくとも一部に配置されて前記パネル部材に対する押圧操作力を検出する圧力検出部とを備える圧力検出装置であって、前記圧力検出部が、対向配置されて、外部からの荷重を受ける第1基板及び第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板に振分けて互いに線状に対向配置された一対の電極と、前記一対の電極間にこれら一対の電極の少なくとも一方を覆う状態で配置され、前記荷重によって電気特性が変化する導電性の感圧インクと、前記第1基板と前記第2基板とを前記一対の電極と前記感圧インクとが接する状態に接着する接着部材と、前記第1基板の外面及び前記第2基板の外面のうちの少なくとも何れか一方に、前記感圧インクに荷重を集中させて伝達する荷重伝達部材と、を備え、前記荷重伝達部材が非弾性部材で構成されているとともに、前記電極の延在方向に直交する面での断面における前記荷重伝達部材の幅が、前記感圧インクの幅以下に設定され、かつ、前記荷重伝達部材が、その延在方向が前記パネル部材の長手方向に沿うように設けられた点にある。
【0009】
この構成により、第1基板及び第2基板に振分けて互いに線状に対向配置された一対の電極間には、一対の電極の少なくとも一方を覆う状態で導電性の感圧インクが介在する。その結果、線状の電極及び感圧インクが配置された全域が線状の圧力検出部となって、圧力検出領域を広く確保できる。また、第1基板と前記第2基板とを一対の電極と感圧インクとが接する状態に接着する接着部材を備えるので、電極と感圧インクが常に接する状態となり押圧操作による圧力検出部の検出感度が向上する。
【0010】
また、一対の電極の少なくとも一方を覆う状態で導電性の感圧インクが介在するので、一対の電極同士が直接接触して通電したり、接着部材を介して通電したりすることもない。このため、接着部材に絶縁層を設ける必要もなく、接着部材を接着層のみで構成することができる。さらに、接着部材の厚みを薄く設定することで、圧力検出の厚みを薄くすることもできる。
また、圧力検出に外部からの荷重が加わったとき、荷重伝達部材が電極と感圧インクとを有する圧力検出部を支持して当該荷重を分散させることなく集中して受け取り、当該荷重を感圧インクに確実に伝達する。このように、感圧インクが確実に押圧されて、圧力検出の押圧力の測定精度を向上させることができる。
また、圧力検出部が、線状に対向配置された一対の電極と、一対の電極間にこれら一対の電極の少なくとも一方を覆う状態で配置され、荷重によって電気特性が変化する導電性の感圧インクとを有するので、線状の電極及び感圧インクが配置された全域が線状の圧力検出部となって、圧力検出領域を広く確保できる。また、圧力検出部が荷重伝達部材を備えることで、感圧インクが確実に押圧されて、圧力検出部の押圧力の測定精度を向上させることができる。また、押圧力を受けたパネル部材は一般に長手方向に沿って撓み易いので、圧力検出部がパネル部材の長手方向に沿う縁部に配置されていると、一対の電極どうしの変位を検出し易くなり、圧力検出部ひいては圧力検出装置の検出感度が向上する。
【0011】
本発明に係る圧力検出装置の第2の特徴構成は、前記一対の電極を枠状に配置してある点にある。
【0012】
この構成により、一対の電極を枠状に配置するとともに、感圧インクも枠状に配置することとなるので、一対の電極と感圧インクとの位置合わせが容易となる。
【0013】
本発明に係る圧力検出装置の第3の特徴構成は、前記第1基板及び前記第2基板を枠状に形成してある点にある。
【0014】
この構成により、圧力検出が枠状に構成される。これにより、枠状の基板で囲まれた内側部分に例えば表示部が配置されたとしても、圧力検出が当該表示部の視認性に何ら影響を与えない。
【0015】
本発明に係る圧力検出装置の第4の特徴構成は、前記接着部材は、前記第1基板と前記第2基板とを引き付けて前記感圧インクに初期荷重を付与する点にある。
【0016】
このように、接着部材により第1基板と第2基板とが引き付けられて、感圧インクに予め荷重が付与されているので、初期の不安定な検出値が自動的に排除され、圧力検出が軽荷重の押圧力を検出する場合であっても、押圧力の検出精度が向上する。また、このことは、荷重に対する検出値(抵抗値)の誤差範囲を極めて小さくすることにもなり、結果的として押圧力の測定精度を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る圧力検出装置の第5の特徴構成は、複数の前記荷重伝達部材が、前記電極の延在方向に沿って互いに離間して設けられている点にある。
【0019】
本発明に係る圧力検出装置の第6の特徴構成は、前記荷重伝達部材が、前記第1基板あるいは前記第2基板の外面から遠ざかるほど断面積を小さく形成してある点にある。
【0020】
この構成により、例えば、パネル部材の押圧操作の際にパネル部材の周縁部が上方にそるような場合であっても、荷重伝達部材と外部部材(例えばパネル部材等)との接触面積の変化(減少)が抑えられる。すなわち、荷重伝達部材が、電極と感圧インクとを有する圧力検出部と、圧力検出部を押圧する外部部材との姿勢変化をある程度許容することとなる。したがって、圧力検出部と外部部材との姿勢変化が小さい場合には、荷重伝達部材により外部からの荷重の圧力検出部以外への分散が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】は、本発明に係る圧力検出ユニットを配置した情報入力装置の斜視図である。
図2】は、図1のII−II断面図である。
図3】は、本発明に係る圧力検出ユニットの情報入力装置における配置を示す図である。
図4】は、図2の圧力検出ユニット近傍の拡大図である。
図5】は、本発明に係る圧力検出ユニットの分解斜視図である。
図6】は、バンプを備えた圧力検出ユニットを示す図である。
図7】は、バンプを備えた圧力検出ユニットの動作状態を示す図である。
図8】は、別実施形態の圧力検出ユニットの電極と感圧インクの配置を示す図である。
図9】は、別実施形態の圧力検出ユニットの電極と感圧インクの配置を示す図である。
図10】は、別実施形態の圧力検出ユニットの電極と感圧インクの配置を示す図である。
図11】は、圧力検出ユニットの従来例を示す図である。
図12】は、図11のXII−XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る圧力検出ユニットの実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
[実施形態1]
まず、本発明に係る圧力検出ユニット20を装着する情報入力装置1の構成について、図1乃至図4に基づいて説明する。図1に示すように、情報入力装置1は、前面に開口部2A等が形成された筐体2と、接触式の情報入力機能を備えたパネル部材4と、このパネル部材4に対する押圧操作力を検出するための圧力検出ユニット20を含む圧力検出手段を備えている。
【0026】
圧力検出手段は、図4に示すように、パネル部材4と筐体2の支持部2bとに亘って設けられた圧力検出ユニット20、及び、その圧力検出ユニット20からの出力信号を処理する図示しない信号処理回路等から構成されている。パネル部材4として、例えばパネル部材4に対する利用者のタッチ操作に基づいて、その操作位置となるX−Y座標を検知する所謂タッチ入力機能を備えるものを採用すれば、圧力の検出とX−Y座標の検知を圧力検出ユニットのみで行うことができ、装置の利便性が高まる。タッチ入力機能を備えるものにおいては、抵抗膜方式、静電容量方式、及び電磁誘導方式などから選択できる。
【0027】
次に、圧力検出ユニット20の構成について説明する。図3は圧力検出ユニットの情報入力装置における配置を示す図であり、図4図2の圧力検出ユニット近傍の拡大図であり、図5は圧力検出ユニットの分解斜視図である。
【0028】
図3図5に示すように、情報入力装置1に用いられる圧力検出ユニット20は、対向配置されて外部からの荷重を受ける枠状の第1基板21及び第2基板22を備えている。枠状の第1基板21及び第2基板22の内径は開口部2Aの寸法に合わせ、外径は別途備えるXY座標検出装置(図示せず)に合わせる。第1基板21の第2基板22との対向面には、線状の上部電極21aが枠状に配置されている。第2基板22の第1基板21との対向面には、線状の下部電極22aが上部電極21aと対向するように線状であって枠状に配置されている。すなわち、一対の電極21a,22aが第1基板21及び第2基板22に振分けられて互いに線状に対向配置されている。
【0029】
第1基板21には、上部電極21aを覆うように枠状の上部感圧インク23aが配置されている。第2基板22の場合も同様に、第2基板22には、下部電極22aを覆い且つ上部感圧インク23aと対向するように枠状の下部感圧インク23bが配置されている。この感圧インク23a,23bは、何れか一方のみを設けるだけでもよく、一対の電極21a,22aの少なくとも一方を覆う状態に配置されていればよい。感圧インク23a,23bの第1基板21又は第2基板22に対する設置面積は一対の電極21a,22aの一方の設置面積以上となる。電極部分は、感圧インクの印刷寸法より若干小さくなるように設計してある。しかし、一方の電極が対向する基板に配置された他方の電極に直接接触しないよう配慮してあるのであれば、電極部分と感圧インクの寸法サイズが同じでもよい。
【0030】
すなわち、圧力検出部23は、第1基板21の上に形成される上部電極21aと、上部電極21aに対向して第2基板22の上に形成される下部電極22aと、上部電極21aを覆う上部感圧インク23aと、上部感圧インク23aと対向するようにして下部電極22aを覆う下部感圧インク23bとを有している。
【0031】
第1基板21と第2基板22との対向領域であって、圧力検出部23の周縁部に接着部材30が配置されている。接着部材30は、第1基板21と第2基板22とに挟まれた状態で設けられており、第1基板21と第2基板22とを引き付けて感圧インク23a,23bの側に付勢して初期荷重を付与するよう構成されていることが好ましい。接着部材30は、例えば、圧力検出部23よりも厚みを薄くした非弾性のスペーサ(基板21、22との接着層を含む、接着剤単体でも可)であり、第1基板21または第2基板22の変形が許容される場合には、第1基板21または第2基板22により、初期荷重が付与された感圧インク23a,23bをさらに圧縮して押圧力を検出する。接着部材30は、弾性を有する粘着性接着剤や両面粘着材であってもよいし、引張り力を発揮する状態に設定されているゴム、引っ張りコイルばね、板ばね等の各種の弾性部材(基板21、22との接着層を含む)であってもよい。尚、図4では圧力検出部23と接着部材30とが離間しているが、圧力検出部23と接着部材30とは一部接触していてもよい。また、接着部材30は、必ずしも電極21a,21b及び感圧インク23a,23bの両側部に設けられる必要はなく、電極21a,21b及び感圧インク23a,23bの少なくとも一方の側部に設けられていればよい。
【0032】
ここで、接着部材30は、自由状態ではその厚みが圧力検出部23の厚みより薄くなるように構成されていることが好ましい。このように構成すると、配置された接着部材30には当初の厚みを保持しようとする力が働き、この力が第1基板21と第2基板22とを互いに近接させる方向に作用する。こうして、第1基板21と第2基板22との間の距離を狭め、圧力検出部23の無加圧な状態における厚みを小さくすることで、結果的に感圧インク23a,23bに初期荷重を付与している。
【0033】
以下、情報入力装置1に装着された圧力検出ユニット20の動作について説明する。情報入力装置1の内部において、上部電極21a及び下部電極22aはコネクタ(図示せず)に接続されており、コネクタは情報入力装置に内蔵された荷重検出部(図示せず)に接続されている。
【0034】
パネル部材4が押圧操作された時の圧力検出ユニット20の圧力検出部23の上部感圧インク23a及び下部感圧インク23bにかかる抵抗の変化を検出する。この抵抗の変化の検出によって、感圧インク23a,23bに加えられる外力を検出することができ、パネル部材4への荷重を検出することができる。
【0035】
このとき、圧力検出ユニット20には第1基板21と第2基板22とを引き付ける接着部材30が備えられているので、パネル部材4が押圧操作される前に、感圧インク23a,23bに初期荷重が付与されることとなる。これにより、検出値(抵抗値)のばらつきが大きい、無荷重から安定検出荷重までの荷重範囲が打ち消されるので、その後パネル部材4が押圧操作される際には圧力検出部23が検出した値を、そのまま情報入力の制御に用いることができる。
【0036】
第1基板21及び第2基板22は、例えばフィルム等であって、材質としては、フレキシブル基板に使用可能な材質、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂や、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を用いることもできる。
【0037】
上部電極21a及び下部電極22aの材料としては、金、銀、銅、若しくはニッケルなどの金属、あるいはカーボンなどの導電性を有するペーストを用いることができる。これらの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、若しくはフレキソ印刷などの印刷法、フォトレジスト法などが挙げられる。また、上部電極21a及び下部電極22aは、銅や金などの金属箔を貼り付けて形成することもできる。さらに、上部電極21a及び下部電極22aは、銅などの金属をメッキしたFPCの上にレジストで電極パターンを形成し、レジストで保護されていない部分の金属箔をエッチング処理することによって形成することもできる。電極はここに挙げた形成方法や材料を組合せたり積層してもよい。
【0038】
圧力検出部23の上部感圧インク23a及び下部感圧インク23bを構成する組成物は、外力に応じて電気抵抗値などの電気特性が変化する素材で構成されている。組成物としては、例えば、英国のPeratech社製の量子トンネル現象複合材料(商品名「QTC」)を用いることができる。上部感圧インク23a及び下部感圧インク23bは、塗布により第1基板21及び第2基板22に配置することができる。上部感圧インク23a及び下部感圧インク23bの塗布方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、又はフレキソ印刷などの印刷法を用いることができる。感圧インクは第1基板21あるいは第2基板22のいずれか片面だけに塗布してもよい。
【0039】
圧力検出ユニット20は、情報入力装置1のパネル部材4の下面に、例えば糊等の接着剤、両面粘着テープ等の粘着層によって貼着され、パネル部材4の周縁部4Aの加飾部に隠蔽されるように枠状に配置されている。したがって、圧力検出ユニット20を構成する各部材は、透明な材質で構成されることに限定されず、有色の材質で構成されていてもよい。また、圧力検出ユニット20を支持部2bの上に前記粘着層を用いて貼着するようにして、開口部2Aに配置してもよい。
【0040】
〔実施形態2〕
図5及び図6に示すように、第2基板22の外面に荷重伝達部材24としてバンプ24aを配置してもよい。バンプ24aの設置面積は、圧力検出部23の第2基板22との接触面積以下になるよう形成されている。圧力検出部23に外部からの荷重が加わったとき、バンプ24aが下部感圧インク23bを下方から支持し、当該荷重を集中して下部感圧インク23bに伝達する(図7)。バンプ24aの構成として、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂を印刷や塗布などで配置して硬化させたもの、圧力検出部に寸法を合わせて裁断し貼合したフィルムや樹脂板、PEフォームやウレタンフォームなどの発泡体などがある。バンプ24aは第1基板21の外面に設けられていてもよいし、第1基板21及び第2基板22の外面の両方に設けられていてもよい。ここで、バンプ24aの高さ寸法は、例えば50μm〜200μm(第2基板22に接着するための接着層の厚みを含む)である。バンプ24aは、感圧インク23a,23bが配置されている位置の裏面側(直下)に配置されていることが好ましい。こうすると、上部感圧インク23aと下部感圧インク23bとを互いに確実に押し付けることができ、圧力検出ユニット20の圧力の測定精度を向上させることができる。
【0041】
〔実施形態3〕
バンプ24aは、図6及び図7に示すように、設置された第2基板22の外面から遠ざかるほど断面積が小さくなるよう形成されている方が好ましい。こうすると、感圧インク23a,23bと、感圧インク23a,23bを押圧する外部部材(例えばパネル部材等)との姿勢変化をある程度許容する。したがって、感圧インク23a,23bと外部部材との姿勢変化が小さい場合には、バンプ24aにより外部からの荷重の感圧インク23a,23b以外への分散が抑えられる。なお、バンプ24aは非弾性部材、弾性部材のいずれであってもよい。
【0042】
[別実施形態]
(1)上記の実施形態では、圧力検出ユニット20について説明したが、パネル部材4に圧力検出部23を配置して圧力検出装置として構成してもよい。この場合、圧力検出部23の一対の電極21a,22aは、必ずしも枠状に限定されない。例えば、図8に示すように、線状の電極21a,22aをパネル部材4の縁部のうち長手方向に対応する部分に配置してもよいし、図9に示すように、線状の電極21a,22aをパネル部材4の対角線上の角部を含むように「L」字状に配置してもよい。
【0043】
このように、一対の電極21a,21bがパネル部材4の長手方向の対向する部分に配置してあると、電極21a,21bを覆う感圧インク23a,23bもパネル部材4の長手方向の対向する部分に配置されることとなる。パネル部材は一般に長手方向に沿って撓み易いため、このように、圧力検出部23がパネル部材4の長手方向の対向する部分に配置されることで、パネル部材4に対して圧力検出部23の設置領域を広く確保できる。
【0044】
また、圧力検出部23が平面視においてパネル部材4の対称位置に配置された場合、パネル部材4の押圧領域と、圧力検出部23によって囲まれる圧力検出領域とを一致させ易くなる。このため、パネル部材4の周縁部の全てに圧力検出部23が配置されていなくても、パネル部材4のほぼ全域の押圧力を検出することが可能となる。
【0045】
(2)上記の実施形態では、第1基板21と第2基板22との間に配置された一対の電極21a,22aと、当該一対の電極間に感圧インク23a,23bを配置した圧力検出部23を用いて説明したが、圧力検出部23は、図10に示すように、第1基板21あるいは第2基板22の何れか一方に配置された一対の電極と、前記第1基板21あるいは前記第2基板22の他方に当該一対の電極を覆うように感圧インク23a,23bを配置する構成であってもよい。こうすると、電極層が1層になるので圧力検出部23の厚さがさらに薄くなり、結果として圧力検出ユニット20の薄肉化を図ることができる。この場合、一対の電極を櫛歯状、渦巻状等に形成して感圧インクとの接触面積を制御することで、望ましい検出範囲の信号を得る事ができる。
【0046】
(3)上記の実施形態では、感圧インクとして、2層の上部感圧インク23a及び下部感圧インク23bから構成されたものを用いて説明したが、感圧インクの構成は押圧力を検出できるものであれば特に限定されず、感圧インクを1層にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る圧力検出ユニット及び圧力検出装置は、携帯電話機、スマートフォン、PDA、カーナビゲーション装置、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、遊技機、及び、タブレット等の電子機器に有効利用され、電子機器の多機能化及び操作性の向上を図るために利用できる。
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