(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700845
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】モニタ情報処理装置、モニタ情報処理方法及びモニタ情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20150326BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20150326BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
H04B9/00 179
H04B9/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-73300(P2012-73300)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-207482(P2013-207482A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397065480
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】高部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 裕
(72)【発明者】
【氏名】井田 博哉
(72)【発明者】
【氏名】下柿元 修
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−98873(JP,A)
【文献】
特開2009−213080(JP,A)
【文献】
特開2011−259129(JP,A)
【文献】
特開2005−318567(JP,A)
【文献】
特開2001−217901(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0101631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力手段と、
前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、
前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段と、
前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出手段と、
前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出手段によって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理手段と、
前記モニタ情報処理手段により前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするモニタ情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のモニタ情報処理装置。
【請求項3】
所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段と、
外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のモニタ情報処理装置。
【請求項4】
光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力手段と、前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段とを備えるモニタ情報処理装置が行うモニタ情報処理方法であって、
前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出ステップと、
前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出手段によって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理ステップと、
前記モニタ情報処理ステップにより前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示ステップと
を有することを特徴とするモニタ情報処理方法。
【請求項5】
前記表示ステップでは、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする請求項4に記載のモニタ情報処理方法。
【請求項6】
前記モニタ情報処理装置は、所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段をさらに備え、
外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示ステップをさらに有することを特徴とする請求項4または5に記載のモニタ情報処理方法。
【請求項7】
光伝送設備の状況をモニタするために、光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力ステップと、前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段とを備えるモニタ情報処理装置上のコンピュータに、
前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出ステップと、
前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出ステップによって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理ステップと、
前記モニタ情報処理ステップにより前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示ステップと
を行わせることを特徴とするモニタ情報処理プログラム。
【請求項8】
前記表示ステップでは、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする請求項7に記載のモニタ情報処理プログラム。
【請求項9】
前記モニタ情報処理装置は、
所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段をさらに備え、
外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示ステップと
をさらに前記コンピュータに行わせることを特徴とする請求項7または8に記載のモニタ情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送におけるパフォーマンスモニタ情報から、故障箇所の特定および分析を行うことができるモニタ情報処理装置、モニタ情報処理方法及びモニタ情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、波長多重信号光の信号光波長毎に各信号光のパワーをモニタする信号光モニタが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、受光器の出力をサンプリングし、その時間変化を記憶したデータを基に、出力波形を出力するものである。この信号光モニタは光増幅器の入力側あるいは出力側に備えており、信号光の数、各信号光のレベル、信号対雑音比等の物理量をモニタすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−173266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の波長多重伝送装置に用いるパフォーマンスモニタ装置(以下、モニタ装置という)は、測定ポイント毎のモニタ値を表示するのみであったため、異常の値を示す測定ポイントがどこであるかを把握するのが容易でないという問題がある。また、モニタ値が満たすべき規格値は、波長多重伝送装置内に備える光増幅器等のパッケージ装置の種別やパッケージ装置内で用いる波長数に応じて変化する値であるため、モニタ装置に表示されたモニタ値が規格値を満たしているか否かを簡単に判定することができないという問題もある。また、従来のモニタ装置は、モニタ値を表示するのみであったため、故障発生とモニタ値の因果関係等を分析するのが容易ではないという問題もある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、故障箇所の特定や故障原因の分析を容易に行うことができるモニタ情報処理装置、モニタ情報処理方法及びモニタ情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力手段と、前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段と、前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出手段と、前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出手段によって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理手段と、前記モニタ情報処理手段により前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記表示手段は、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする。
【0008】
本発明は、所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段と、外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力手段と、前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段とを備えるモニタ情報処理装置が行うモニタ情報処理方法であって、前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出ステップと、前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出手段によって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理ステップと、前記モニタ情報処理ステップにより前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記表示ステップでは、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記モニタ情報処理装置は、所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段をさらに備え、外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示ステップをさらに有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、光伝送設備の状況をモニタするために、光伝送設備を構成するパッケージ装置において測定したモニタ値と、該モニタ値を測定した測定ポイントを識別する測定ポイント識別情報とを入力する入力ステップと、前記測定ポイント毎に、前記パッケージ装置種別と波長数とに応じて変化するパラメータを含む規格値の最小値及び最大値を求める式を記憶した規格値データ記憶手段と、前記光伝送設備を構成する前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置の接続関係情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報と、前記測定ポイント識別情報とを関係付けて記憶した構成情報記憶手段とを備えるモニタ情報処理装置上のコンピュータに、前記構成情報記憶手段を参照して、前記入力手段によって入力した前記測定ポイント識別情報に関係付けられた前記パッケージ装置の種別情報と、前記パッケージ装置において使用する波長数情報とを特定し、特定した前記種別情報及び波長数情報に基づき、前記パラメータの値を求め、該パラメータの値を前記規格値の最小値及び最大値を求める式に代入して前記モニタ値が満たすべき規格値の最小値及び最大値を求める規格値算出ステップと、前記入力手段によって入力した前記モニタ値が前記規格値算出ステップによって求めた前記規格値の最小値及び最大値の範囲内であるか否かに基づき規格値を外れたか否かを判定し、前記規格値を外れていれば、前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを出力するモニタ情報処理ステップと、前記モニタ情報処理ステップにより前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とが出力された際に、前記構成情報記憶手段に記憶された前記パッケージ装置の接続関係情報に基づき、前記規格値を外れた前記パッケージ装置の配置情報を表示する表示ステップとを行わせることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記表示ステップでは、前記パッケージ装置の配置情報を表示する際に、外部からの指示に応じて、段階的に詳細な配置情報を表示することを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記モニタ情報処理装置は、所定の時間間隔毎に前記入力手段によって入力した前記モニタ値と前記測定ポイント識別情報とを記憶する監視データ記憶手段をさらに備え、外部からの指示に応じて、前記監視データ記憶手段に記憶された前記モニタ値を読み出して、読み出した前記モニタ値を時系列に並べて表示する時系列データ表示ステップとをさらに前記コンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、故障箇所を示す際に、パッケージ装置の接続情報との関係が分かるように表示可能としたため、作業者は容易に故障箇所を視覚的に把握することができるという効果が得られる。これにより、作業者が視覚的に故障箇所を把握することができ、迅速な対処を行うことが可能となる。また、パッケージ装置の種別や波長数に応じて変化するパラメータを含む規格値を演算によって求め、この求めた規格値とモニタ値を比較するようにしたため、規格値の特定作業が容易になるとともに、規格を外れているパッケージ装置の特定が容易になる。また、測定したモニタ値を蓄積しておき、モニタ値の時系列変化を表示できるようにしたため、故障の傾向を分析して予防保全を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すモニタ装置5の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すモニタ装置5において監視するモニタ測定ポイント箇所を示す図である。
【
図4】
図2に示す規格値データ記憶部52のテーブル構造を示す図である。
【
図5】モニタ値が光レベルである場合の波長数毎の規格値の最小値と最大値の関係を示す図である。
【
図6】
図2に示す監視データ記憶部54のテーブル構造を示す図である。
【
図7】品質劣化が発生した場合に表示部57に表示される情報の一例を示す図である。
【
図8】監視データを表示部57に表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態によるモニタ情報処理装置を説明する。
図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1〜4は、波長多重伝送装置である。波長多重伝送装置1(本発明の光伝送設備に対応する)は、トランスポンダ11、合分波器12、光増幅器13を備える。波長多重伝送装置2は、光増幅器21、合分波器22、合分波器23、光増幅器24を備える。波長多重伝送装置3は、光増幅器31、合分波器32、トランスポンダ33を備える。波長多重伝送装置4は、光増幅器41、合分波器42、合分波器43、光増幅器44を備える。波長多重伝送装置1〜4を構成するトランスポンダ、合分波器、光増幅器のそれぞれの総称としてパッケージ装置と称する。符号14〜19は、伝送路である。符号5は、各波長多重伝送装置1〜4の動作を監視するモニタ装置である。
【0018】
次に、
図2を参照して、
図1に示すモニタ装置5の構成を説明する。
図2は、
図1に示すモニタ装置5の構成を示すブロック図である。
図2において、符号51は、各パッケージ装置から出力するモニタ値を入力するモニタ値入力部である。符号52は、波長多重伝送装置1〜4が正常に動作するために、モニタ値が満たすべき規格値のデータを記憶した規格値データ記憶部である。符号53は、パッケージ装置の種別や波長数に応じて変化する規格値を、規格値データ記憶部52に記憶された規格値データに基づいて算出する規格値算出部である。符号54は、規格値算出部53において算出された規格値と、モニタ値入力部おいて入力したモニタ値とを関係付けて記憶する監視データ記憶部である。
【0019】
符号55は、規格値算出部53において算出された規格値と、モニタ値入力部おいて入力したモニタ値とを比較して、モニタ値が規格値内に収まっているか否かを判定し、判定結果を出力するとともに、モニタ値をパス毎に分類して監視データ記憶部54に記憶することにより監視データを蓄積するモニタ情報処理部である。符号56は、キーボードやポインティングデバイスで構成する入力部であり、作業が入力操作を行う。符号57は、ディスプレイ装置で構成する表示部である。符号58は、監視データ記憶部54に記憶されている監視データを分析して、故障の発見や故障箇所の特定を行うのに必要な情報を得る分析部である。符号59は、モニタ対象の伝送装置の構成情報を記憶した伝送装置構成情報記憶部である。
【0020】
次に、
図2に示すモニタ装置5において監視するモニタ測定ポイントについて説明する。
図3は、モニタ装置5において監視するモニタ測定ポイント箇所を示す図である。
図3は、所定のパス(ここでは、波長多重伝送装置1、波長多重伝送装置2、波長多重伝送装置3を通るパス)中に存在するパッケージ装置の接続関係とモニタ値の測定ポイントの位置を示している。
図3において、○(白丸)がモニタ測定ポイントである。
図3においては、各パッケージ装置の入力側と出力側にモニタ測定ポイントを設けた例を示したが、これに限るものではなく、必要に応じて、増減してもよい。特に、パッケージ装置内部にモニタ測定ポイントを設けてもよい。
図3においては、各パッケージ装置の入力側と出力側の光レベルを測定する例を示したが、測定するモニタ値は、光レベルに限るものではない。
【0021】
次に、
図4を参照して、
図2に示す規格値データ記憶部52のテーブル構造を説明する。
図4は、
図2に示す規格値データ記憶部52のテーブル構造を示す図である。
図4に示すように、規格値データ記憶部52は、測定ポイント識別名毎に、規格値の最小値、最大値と、その値の単位の情報が関係付けられている。例えば、ポイント111は、規格値最小値が−12.5+Yであり、規格値最大値が−6.5+Yであり、単位がdBm/chであることを示している。また、ポイント112は、規格値最小値が−12.5+X+Yであり、規格値最大値が−6.5+X+Yであり、単位がdBmであることを示している。
【0022】
ここで、Xは、適用する波長数によって決まり、X=10×log(波長数)である。また、Yは、光分岐挿入装置の場合は、Y=0であり、波長多重伝送装置2にように中間中継装置の場合は、Y=0.3/波長数である。
図5は、モニタ値が光レベルである場合の波長数毎の規格値の最小値と最大値の関係を示す図である。
図5に示すように、光レベルが満たすべき規格値は、最大値と最小値で挟まれた帯状の領域となる。なお、規格値は、ポイント113のようにX、Yのパラメータを含まない規格値もある。
【0023】
次に、
図6を参照して、
図2に示す監視データ記憶部54のテーブル構造を説明する。
図6は、
図2に示す監視データ記憶部54のテーブル構造を示す図である。
図6に示すように、監視データ記憶部54は、パスの識別名毎に、開通時の測定ポイントそれぞれのモニタ値と、一定時間間隔で測定した測定ポイントそれぞれのモニタ値とが関係付けられて記憶されることになる。
図6においては、開通時と24時間間隔で測定を行った結果の監視データを記憶した例を示している。測定の時間間隔は、24時間に限るものではない。
【0024】
次に、
図2を参照して、
図2に示すモニタ装置5の処理動作を説明する。始めに、各測定ポイントにおいて測定したモニタ値が規格値を外れた場合の動作を説明する。まず、モニタ値入力部51は、各測定ポイントにおいて測定されたモニタ値を入力する。ここで入力するモニタ値には、測定ポイントの識別名と示すモニタ値の単位を特定する情報が付与されている。モニタ値入力部51は、入力したモニタ値を規格値算出部53と、モニタ情報処理部55とに対して出力する。
【0025】
これを受けて、規格値データ記憶部52は、モニタ値入力部51から出力されたモニタに付与されている測定ポイント識別名を特定する。そして、規格値データ記憶部52は、規格値データ記憶部52を参照して、特定した測定ポイント識別名に関係付けられている規格値の最小値と最大値と、その値の単位を特定する情報を読み出す。このとき、読み出した最小値と最大値にX、Yのパラメータが含まれていなければ、規格値算出部53は、読み出した最小値、最大値及び単位情報をモニタ情報処理部55へ出力する。
【0026】
一方、読み出した規格値の最小値、最大値にX、Yのパラメータが含まれていた場合は、X、Yをそれぞれ求め、最小値、最大値に求めたX、Yを加算して、最小値、最大値を補正する。前述したように、Xは適用する波長数によって決まり、X=10×log(波長数)であるので、規格値算出部53は、伝送装置構成情報記憶部59に記憶されている構成情報を参照して、対象の測定ポイントにおいて適用されている波長数を特定し、この波長数に基づきXの値を求める。また、Yは、光分岐挿入装置の場合は、Y=0であり、波長多重伝送装置2にように中間中継装置の場合は、Y=0.3/波長数であるので、規格値算出部53は、伝送装置構成情報記憶部59に記憶されている構成情報を参照して、対象の測定ポイントにおいて適用されている波長数と接続形態を特定し、この波長数と接続形態に基づきYの値を求める。規格値算出部53は、補正した最小値と最大値をモニタ情報処理部へ出力する。
【0027】
次に、モニタ情報処理部55は、規格値算出部53から出力された規格値の最小値及び最大値と、モニタ値入力部51から出力されたモニタ値を比較する。そして、モニタ情報処理部55は、測定したモニタ値が規格値の最小値と最大値の間に収まっているか否かを判定する。このとき、規格値とモニタ値の単位が一致していなければ、モニタ値の単位を規格値の単位に一致させる。そして、この判定の結果、最小値と最大値の間に収まっていれば、問題はないと見なして、次の測定ポイントのモニタ値に対する処理へ移行する。
【0028】
一方、モニタ値が規格値の範囲(最小値と最大値の間)を外れていた場合、そのモニタ値と規格値を分析部58へ出力する。これを受けて、分析部58は、品質劣化が発生したものと見なし、品質劣化を示す情報を表示部57に表示する。このとき、分析部58は、品質劣化区間を示す情報を段階的に表示部57に表示する。
図7は、品質劣化が発生した場合に表示部57に表示される情報の一例を示す図である。
【0029】
図7に示すように、品質劣化区間を示す場合、表示する情報を段階的に表示する。まず、分析部58は、伝送装置構成情報記憶部59に記憶されている情報を参照して、波長多重伝送装置の全体像を表示する(
図7に示す符号D1で示す画像)。画像D1において、A、B、C、Dは、それぞれ波長多重伝送装置を識別する識別名である。そして、品質劣化区間は、パスXXXで発生していることを表示する。
【0030】
ここで、作業者が、入力部56を操作して詳細表示を行う指示を行うと、分析部58は、パスXXXを構成している波長多重伝送装置の詳細構成(パッケージ装置の構成)を表示する(
図7に示す符号D2で示す画像)。画像D2において、PKGA〜Lはパッケージ装置の識別名である。この例では、PKGCに接続されている伝送路において品質劣化区間が発生したことを示している。この表示によって、品質劣化区間に接続されているパッケージ装置を把握することができる。
【0031】
さらに、作業者が、入力部56を操作して詳細表示を行う指示を行うと、分析部58は、PKGCを含むように、測定ポイントを特定できるように詳細構成(測定ポイントの位置)を表示する(
図7に示す符号D3で示す画像)。画像D3において、PM値は、モニタ値(パフォーマンスモニタ値)である。この例では、PKGCに接続されている伝送路において測定ポイントにおけるモニタ値が規格値を外れていることを示している。この表示によって、品質劣化区間発生と見なした(規格値を外れた区間)モニタ値を把握することができる。
【0032】
このように、品質劣化区間を示す際に、表示する情報を段階的に示すようにしたため、作業者は容易に品質劣化区間を視覚的に把握することができる。
【0033】
次に、監視データ記憶部54に監視データを記憶してき、分析部58によって、故障統計処理を行う動作を説明する。監視データ記憶部54には、事前にパス毎に、開通時の測定ポイント毎のモニタ値が記憶しておく。そして、前述の動作と同様に規格値算出部53は、規格値の最小値と最大値を求めてモニタ情報処理部55へ出力する。一方、モニタ情報処理部55は、モニタ値入力部51から出力するモニタ値を入力し、このモニタ値をパス毎に分類し、規格値と関係付けて監視データ記憶部54に記憶する。この記憶動作は、予め決められた時間間隔(例えば、24時間間隔、1時間間隔など)で実施される。これにより、監視データ記憶部54には、
図6に示す監視データが蓄積されていくことになる。
【0034】
次に、作業者が、入力部56を操作して、故障統計処理を実行する指示を行うと、分析部58は、監視データ記憶部54から監視データを読み出して、表示部57に表示する。このとき、作業者は、表示する測定ポイントを指定して監視データの表示を行う。
図8は、監視データを表示部57に表示した例を示す図である。
図8に示すように、測定ポイント毎の監視データ(モニタ値)を時系列で表示することにより、時間帯、地域性、パッケージ装置の版数などで分類し、故障の傾向を分析して予防保全を図ることが可能となる。
図8においては、1つの測定ポイントのモニタ値を表示した例を示したが、複数の測定ポイントのモニタ値を重ねて同時に表示することにより、故障発生時の因果関係等の検討を行うことが可能となる。
【0035】
以上説明したように、波長多重伝送装置によって構成する伝送のパスレベルでのモニタ値を表示することができるようになる。また、品質劣化区間が発生した場合に、パスの構成、パッケージ装置の構成、パッケージ装置の詳細構成を段階的に分けて表示するようにしたため、作業者が視覚的に品質劣化区間の把握することができ、迅速な対処を行うことが可能となる。
【0036】
また、パッケージ種別や波長数に応じて変化するパラメータを含むモニタ値が満たすべき規格値を算出して求め、この求めた規格値とモニタ値を比較するようにしたため、規格値の特定作業を容易にすることができる。
【0037】
また、モニタ値を蓄積しておき、モニタ値の時系列変化を表示できるようにしたため、故障の傾向を分析して予防保全を図ることが可能となる。
【0038】
なお、
図2における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりモニタ情報処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0039】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
光伝送におけるパフォーマンスモニタ情報から、故障箇所の特定および分析を行うことが不可欠な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
51・・・モニタ値入力部、52・・・規格値データ記憶部、53・・・規格値算出部、54・・・監視データ記憶部、55・・・モニタ情報処理部、56・・・入力部、57・・・表示部、58・・・分析部、59・・・伝送装置構成情報記憶部