(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位相周波数分析部により生成された信号の大きさに基づいて、夫々の前記検出線の信号の大きさの変化を決定するマイクロコントローラユニットをさらに備える請求項8に記載のタッチ制御検出システム。
前記タッチパネルに接触する手段が前記ユーザの指又は前記パッシブスタイラスである場合、前記マイクロコントローラユニットは、前記タッチパネルの複数の駆動線に複数の駆動信号を供給し、
前記タッチパネルに接触する手段が前記アクティブスタイラスである場合、前記マイクロコントローラユニットは、駆動信号を供給し、
前記信号強度分析器は、夫々の前記駆動線の前記駆動信号に基づいて強度信号を取得する請求項10に記載のタッチ制御検出システム。
【背景技術】
【0002】
タッチ制御検出システムは、様々なタッチディスプレイシステムに広く用いられてきている。全てのサイズのタッチパネルが、日常的なアプリケーションで見られる。例えば、スマートフォンは小型のタッチパネルを用いており、ATMは中型のタッチパネルを用いている。
【0003】
タッチパネルには、主に抵抗型と容量型がある。しかしながら、タッチパネルのタイプに関わらず、夫々のタッチパネルは、タッチパネルの接触領域の存在を検出するために、検出電極アレイと、検出電極アレイの制御回路を必要とする。
【0004】
図1を参照すると、従来のタッチ制御検出システムの機能ブロック図が示される。従来のタッチ制御検出システム1は、検出電極アレイの制御回路11、複数のマルチプレクサ(MUX)12、13、タッチパネル14、パルス発生器15、デジタル信号処理(DSP)回路16を備えている。パルス発生器15はMUX13に接続されており、MUX13はタッチパネル14に接続されている。タッチパネル14はまたMUX12に接続され、MUX12とDSP回路16は、従来の検出電極アレイの制御回路11に接続されている。
【0005】
MUX13は、パルス発生器15によって供給されるパルス信号を受信する。MUX13はまた、クロック信号Clock_Sig、リセット信号Reset_Sigを受信する。クロック信号のトリガに応じて、MUX13は、受信したパルス信号のパルスを順にその複数の出力ポートに伝送する。出力ポートのパルスは、複数の駆動信号Driving_Sigsとして転送される。MUX13の出力ポートはタッチパネル14の駆動線に夫々接続されている。駆動信号Driving_Sigsは、タッチパネル14の夫々の駆動線に伝送される。さらに、再度最初の出力ポートから始まる駆動信号Driving_Sigsの転送を行うために、リセット信号Reset_SigはMUX13をリセットする。
【0006】
タッチパネル14は、検出電極アレイを構成する駆動線、検出線を備える。駆動線は駆動信号を受信し、検出線は検出信号を出力する。駆動線は列方向に配列されており、逆に検出線は行方向に配列されている。要するに、駆動線と検出線は、互いに導電せずに交差するように配列されており、検出電極アレイを形成する。フィールド結合(field coupling)のため、駆動線の駆動信号は、検出線を誘導し検出信号を生成する。タッチパネル14がタッチされたとき、接触領域の検出線の検出信号が変化する。
【0007】
MUX12の複数の入力ポートは、検出信号と制御信号を受信する。制御信号に応じて、MUX12は、夫々の検出信号を順に従来の検出電極アレイの制御回路11に伝送する。換言すると、夫々の検出信号は、異なる時間に従来の検出電極アレイの制御回路11に伝送される。
【0008】
従来の検出電極アレイの制御回路11は、検出信号Sensing_Sigsを受信し、対応する検出線の信号の大きさ(magnitude)を取得する。具体的に言うと、ユーザがタッチパネル14にタッチした場合、少なくともいくつかの検出信号Sensing_Sigsが変化する。これらの検出信号Sensing_Sigsの変化によって、従来の検出電極アレイの制御回路11によって得られる検出線の信号の大きさは異なる。従って、後端のDSP回路16は、接触、非接触の間の夫々の信号線の信号変化を検出でき、接触領域の特定を達成することができる。
【0009】
図2を参照すると、タッチパネル14の構造が示される。タッチパネル14は、パネル141、駆動バッファ142、駆動電極143、受信電極144を含む。駆動バッファ142は、駆動信号Driving_Sigsを受信し、これに応じて駆動パルスDrive_Pulsesを生成する。駆動パルスDrive_Pulsesは、駆動電極143を介して駆動線に伝送される。検出信号Sensing_Sigsは、受信電極144を介してMUX12に伝送される。
【0010】
人間の指がタッチパネル14に接触したとき、いくつかの駆動パルスDrive_Pulsesによって形成される電界は、フィールド結合により人間の指と結合する。これにより、パネル141に人間の指が接触したとき、パネル141がタッチされていないときに対して、いくつかの検出信号Sensing_Sigsが異なる。このため、検出信号の変化を検出することにより、人間の指によるタッチパネル14の接触領域を特定することができる。
【0011】
図1に戻ると、検出電極アレイの従来の制御回路11は、積分器111、サンプルホールド回路112、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)113を含む。積分器111はサンプルホールド回路112に接続され、サンプルホールド回路112はADC113に接続されている。
【0012】
積分器111の機能が
図3に示される。
図3は、積分器111の入力信号の波形と、出力信号の波形を示している。入力検出信号Sensing_Sigは、積分器111によって特定の期間積分され、積分信号Integrated_Sigとして出力される。特定の期間が終了した後、積分器111は積分信号Integrated_Sigをダンプする。
【0013】
図1に戻って、特定の時間が終了すると、サンプルホールド回路112は、積分信号Integrated_Sigをサンプリングして、保持し、これに応じてサンプルホールド信号を出力する。サンプルホールド信号は、特定の期間の終了時の積分信号Integrated_Sigの強度値であり、実質的には直流電圧信号である。
【0014】
ADC113は、サンプルホールド回路112の夫々の信号チャンネルのアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADC113は、検出電極アレイの従来の制御回路11の重要な要素であり、ADC113は、従来のタッチ制御検出システム1の信号対雑音比(SNR)に影響を及ぼす。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図4を参照すると、本開示の実施の形態に係るタッチ制御検出システムの機能ブロック図が示される。タッチ制御検出システム4は、マルチオペレーションモードでの動作に適用される。タッチパネルに接触する手段は、ユーザの指や駆動信号を供給しないパッシブスタイラス又は駆動信号を供給できるアクティブスタイラスである。タッチ制御検出システム4は、検出電極アレイの制御回路41、マルチプレクサ(MUX)42、43、タッチパネル44、駆動信号発生器45、計算処理部46を備えている。駆動信号発生器45はMUX43に接続されており、MUX43はタッチパネル44に接続されている。タッチパネル44はまたMUX42に接続されており、MUX42は検出電極アレイの制御回路41に接続されている。計算処理部46はMUX42、43、駆動信号発生器45及び検出電極アレイの制御回路41に接続されている。
【0028】
実施の形態では、タッチパネル44に接触するのに用いられる手段のタイプは、計算処理部46によって判定されうる。このため、計算処理部46は、各駆動線の駆動線信号DrvLine_Sigを受信するために、駆動信号発生器45、MUX43を有効又は無効にすることができる。タッチパネル44に接触する手段がユーザの指やパッシブスタイラスである場合、駆動信号発生器45は有効になる。また、タッチパネル44に接触する手段がアクティブスタイラスである場合、駆動信号発生器45は無効になる。
【0029】
計算処理部46、駆動信号発生器45、MUX42、43は、マイクロコントロールユニット(MCU)として形成することができる。検出電極アレイの制御回路41とMCUは、制御チップセットとしてさらに集積することができる。
【0030】
さらに、計算処理部46は、タッチパネル44に接触する時点に用いられている手段のタイプを判定するために、ユーザがタッチパネル44に接触するのに用いられる手段のタイプを変更するかを検知する。さらに、計算処理部46は、他の検出方法によって、タッチパネル44に接触するのに用いられる手段のタイプを自動的に判定することができる。例えば、タッチパネルに接触する異なる手段の駆動信号の動作周波数、信号の振幅は異なるので、計算処理部46は駆動信号の動作周波数や信号の振幅を検出することによってタッチパネルに接触するのに用いられる手段のタイプを判定できる。
【0031】
タッチパネル44に接触するのに用いられる手段がユーザの指又はパッシブスタイラスである場合、駆動信号発生器45は、駆動信号Driving_Sigsをまとめた総信号(sum signal)を、当該総信号を受信するMUX43に供給する。MUX43はまたクロック信号Clock_Sigとリセット信号Reset_Sigを受信する。MUX43は、クロック信号Clock_Sigに応じて、MUX43の出力ポートから順に総信号の駆動信号Driving_Sigsを出力する。MUX43の出力ポートは、タッチパネル44の駆動線に夫々接続されている。駆動信号Driving_Sigsは、タッチパネル44の駆動線に夫々伝送される。さらに、最初の出力ポートから再度駆動信号Driving_Sigsを出力するために、リセット信号Reset_SigはMUX43をリセットする。
【0032】
タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスの場合、MUX43は、夫々の駆動線の駆動線信号DrvLine_Sigを受信し、計算処理部46の制御により検出電極アレイの制御回路41に夫々の駆動線の駆動線信号DrvLine_Sigを転送する。さらに、計算処理部46の制御により、MUX42、43は、検出線の検出信号Sensing_Sigsと駆動線の駆動線信号DrvLine_Sigsとを順に、異なる時間に、検出電極アレイの制御回路41に転送する。
【0033】
特に、駆動信号Driving_Sigsは、周期的なパルス、周期的な矩形波信号、周期的なのこぎり波信号、正弦波信号、周期的な三角波信号、又は他のタイプの周期的な信号を有するパルス信号でありうる。要約すると、駆動信号のタイプは、本開示に限定されない。
【0034】
タッチパネル44は、検出電極アレイを形成する複数の駆動線と複数の検出線を有している。駆動線は駆動信号を受信し、検出線は検出信号を出力する。駆動線は列方向に配列されており、逆に検出線は行方向に配列されている。要するに、駆動線と検出線は互いに導電せず、交差するように配列されており、検出電極アレイを形成する。フィールド結合のため、駆動線の駆動信号は、検出線を誘導し検出信号を生成する。タッチパネル44がタッチされたとき、接触領域の検出線の検出信号が変化する。
【0035】
MUX42の入力ポートは検出信号Sensing_Sigsを受信し、MUX42はさらに制御信号Control_Sigを受信する。制御信号Control_Sigに応じて、MUX42は、検出電極アレイの制御回路41に順に夫々の検出信号Sensing_Sigsを転送する。換言すると、夫々の検出信号Sensing_Sigsは、異なる時間に検出電極アレイの制御回路41に転送される。さらに、タッチ制御検出システム4の全体の動作スピードを向上させるために、MUX42、43は高速MUXを用いることができる。例えば、高速MUXは、500MHzでDCの広帯域信号の処理が可能なものである。
【0036】
従来の検出電極アレイの制御回路と異なり、検出電極アレイの制御回路41は、積分器やADCを必要としない。さらに、検出電極アレイの制御回路41は、より高いSNRを有している。タッチパネルに接触する手段がパッシブスタイラス又はユーザの指である場合、検出電極アレイの制御回路41は、中波又は高周波の夫々の検出信号Sensing_Sigを低周波の強度信号(intensity signal)(実質的にDC電圧信号)へ変換する。例えば、ピーク検出器が、強度信号としてピーク信号を取得するために用いられる。又は、包絡線検出器が強度信号として包絡線信号を取得するために用いられる。
【0037】
タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合、検出電極アレイの制御回路41は、中波又は高周波の夫々の検出信号Sensing_Sig及び夫々の駆動線信号DrvLine_Sigを低周波の強度信号(実質的にDC電圧信号)に変換する。そして、検出電極アレイの制御回路41は、低周波の強度信号(実質的にDC電圧信号)に応じて位相周波数信号を生成する。位相周波数信号の位相、周波数、これらの組合せは強度信号のレベルに応じて変化する。
【0038】
その後、タッチパネルに接触する手段がパッシブスタイラ又はユーザの指である場合、検出電極アレイの制御回路41は、位相周波数信号を分析し、対応する検出電極の信号の大きさ(magnitude)を取得する。後端の計算処理部46は、対応する信号の大きさに応じて夫々の検出線の信号変化を判定し、タッチパネル44の接触領域を決定する。タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合、検出電極アレイの制御回路41は、対応する信号線の信号の大きさを取得するために対応する検出線の位相周波数信号を分析し、対応する駆動線の信号の大きさを得るために対応する駆動線の位相周波数信号を分析する。
【0039】
次に、検出電極アレイの制御回路41の構成要素についてさらに説明する。検出電極アレイの制御回路41は、低雑音増幅器(LNA)411、信号強度分析器412、スイッチ413、プログラマブル利得増幅器(PGA)414、強度−位相周波数変換器415、位相周波数分析部416を含む。LNA411は信号強度分析器412に接続されており、信号強度分析器412はスイッチ413に接続されている。
【0040】
スイッチ413はPGA414に接続されており、PGA414は強度−位相周波数変換器415に接続されている。強度−位相周波数変換器415は、位相周波数分析部416に接続されている。検出電極アレイの制御回路41の夫々の構成要素の以下の説明は、タッチパネルに接触する手段がパッシブスタイラス又はユーザの指であるとの前提に基づいている。タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合は、以下に参照される。従って、重複する説明は行わない。
【0041】
タッチ制御検出システム4は、少なくとも一つのLNA411を用い、検出信号Sensing_Sigを増幅する。例えば、LNA411は、500MHzでDCの広帯域信号を処理する低雑音プログラマブル利得増幅器を用いることができる。さらに、タッチ制御検出システム4が検出信号Sensing_Sigの検出に劣っている場合、さらに低雑音増幅器を追加することができ、また、LNA411のゲインを調整することも可能である。
【0042】
しかしながら、検出信号Sensing_Sigが低雑音であり、強度−位相周波数変換器415及び位相周波数分析部416が十分な分解能を有している場合、LNA411は、標準的な増幅器に置き換えることができる。さらに、検出信号Sensing_Sigが低雑音、低減衰である場合、LNA411は、検出電極アレイの制御回路41から省略することも可能である。
【0043】
信号強度分析器412は、増幅された検出信号Sensing_Sigを受信し、中波又は高周波の検出信号Sensing_Sigを低周波の強度信号(実質的にDC電圧信号)に変換する。低周波の強度信号がピーク信号であるとき、信号強度分析器412はピーク検出器を用いることができる。反対に、低周波の強度信号が包絡信号であるとき、信号強度分析器412は包絡検出器を用いることができる。
【0044】
信号強度分析器412によって出力される強度信号は、検出信号が積分器とサンプルホールド回路を経過した後の出力信号と同様であり、これらはすべて実質的にDC電圧信号である。しかしながら、積分器と比較すると、信号強度分析器412は、動作速度が速い。このため、タッチ制御検出システム4の動作速度を効果的に向上させることができる。
【0045】
例えば、信号強度分析器412がピーク検出器の場合、MUX42からピーク検出器への処置時間は、通常1μsより短い。1μsの処理時間は、積分器によってかかる時間(24〜40μs)よりも非常に短い。このため、タッチ制御検出システム4のs動作速度は従来のタッチ制御検出システムよりも早くなる。さらに、信号強度分析器412は、強度信号をフィルタし、増幅する、フィルタと増幅器を含んでもよい。
【0046】
スイッチ413は、夫々対応する信号チャンネルに検出線の強度信号を送信する。換言すると、次のPGA414、強度−位相周波数変換器415、位相周波数分析部416は全てマルチ信号チャンネルを有しており、夫々の信号チャンネルは検出線に対応している。
【0047】
PGA414は、利得を調整することができる増幅器である。PGA414は、夫々の信号チャンネルの強度信号を増幅するために用いられる。夫々の信号チャンネルの利得は異なる。簡単に言うと、PGA414は、強度信号(実質的にDC電圧信号)のDC電圧のレベルを調整し、調整された強度信号を強度−位相周波数変換器415に転送するものである。さらに、強度−位相周波数変換器415が十分な感度を有している場合、PGA414は検出電極アレイの制御回路41から除外してもよい。
【0048】
強度−位相周波数変換器415は、夫々の信号チャンネルの強度信号を位相周波数信号に変換する。位相周波数信号の位相、周波数又はこれらの組合せは、強度信号のレベルに応じて変化する。例えば、強度−位相周波数変換器415は電圧制御発振器(VCO)を用いることができる。入力される強度信号が高いレベルである場合、高い周波数を有する位相周波数信号が出力される。入力される強度信号が低いレベルである場合、低い周波数の位相周波数信号が生成される。
【0049】
特に、強度−位相周波数変換器415は、VCOのみに限定されるものではない。例えば、強度−位相周波数変換器415は、位相変調器を用いることができる。入力される強度信号のレベルが高い場合、大きい位相の位相周波数信号が出力される。入力される強度信号のレベルが低い場合、小さい位相の位相周波数信号が生成される。強度−位相周波数変換器415は、位相及び周波数の両方を調整する位相周波数変調器を用いることも可能である。入力される強度信号のレベルが大きい場合、大きい位相、高い周波数の位相周波数信号が出力される。入力される強度信号のレベルが低い場合、小さい位相、低い周波数の位相周波数信号が生成される。
【0050】
コミュニケーション理論(communication theory)によれば、信号レベルが伝送されるデータを示すために用いられる場合、伝送されるデータは雑音障害に起因して誤りになる傾向にある。この理由は、レベルが雑音障害によって容易に影響を受けるためである。しかしながら、信号の位相及び周波数が伝送されるデータを示すのに適用される場合、伝送されるデータは雑音障害に起因した誤りとなる可能性が低くなる。この理由は、位相及び周波数は雑音障害によって容易に影響を受けないからである。
【0051】
検出電極アレイの制御回路41は強度信号に応じて位相周波数信号を生成する。位相周波数信号の位相、周波数又はこれらの組合せは強度信号のレベルに応じて変化する。従って、接触領域に関する情報は、位相周波数信号の周波数、位相又はこれらの組合せによって表わされる。従来の接触領域の情報を表わすのにサンプルホールド信号のレベルを用いるタッチ制御検出システムと比較すると、タッチ制御検出システム4は高いSNRを有する。
【0052】
説明のために、ここでは強度−位相周波数変換器415がVCOであるものとする。例えば、最も高い出力周波数F2と最も低い出力周波数F1の差が8MHzであるとする。雑音によって生じる周波数オフセットΔFは、12.3KHzである。
【0053】
タッチパネル44がユーザによってタッチされていない場合、強度信号のDC電圧のレベルは高くなる。このため、VCOによって出力される位相周波数信号の周波数はF2となる。しかしながら、タッチパネル44がユーザによってタッチされた場合、接触領域の検出線の検出信号は変化する。この変化は、強度信号のDC電圧のレベルに落ちる。このため、VCOは、F1の周波数を有する位相周波数信号を出力する。単純な計算によってSNRは650に達する(SNR=(F2−F1)/ΔF)。
【0054】
従って、従来のタッチ制御検出システムと比較すると、検出電極アレイの制御回路41を用いたタッチ制御検出システム4は、高いSNRと早い動作スピードを有する。タッチ制御検出システム4は高いSNRを有しているため、タッチパネル44を中型又は大型化することができる。簡単にいうと、タッチパネル44がタッチされると、VCOにより生成される位相周波数信号の周波数の変化は十分に大きく、雑音効果に対して脆弱ではない。従って、SNRが向上する。
【0055】
位相周波数分析部416は、対応する検出線の対応する信号の大きさ(magnitude)を取得するために、夫々の位相周波数信号を分析する。計算処理部46は、制御信号Control_Sig又はリセット信号Reset_Sigを生成し、夫々の信号の大きさに応じて夫々の検出線の信号変化を検出することによってタッチパネル44上の接触領域を判定する。さらに、計算処理部46は、接触領域の項目を選択する等、接触領域の対応するコマンドを実行することができる。
【0056】
位相周波数分析部416は、強度−位相周波数変換器415の実施に応じて実施される。例えば、強度−位相周波数変換器415がVCOである場合、位相周波数分析部416は単に周波数カウンタ又はより複雑な周波数弁別器を用いることができる。強度−位相周波数変換器415が位相変調器である場合、位相周波数分析部416は位相復調器を用いることができる。強度−位相周波数変換器415が位相周波数変調器である場合、位相周波数分析部416は位相周波数復調器を用いることができる。
【0057】
位相周波数分析部416が単に周波数カウンタである場合、位相周波数信号の周波数が測定され、対応する検出線の信号の大きさが夫々の位相周波数信号に応じて取得される。前述のスイッチ413は、検出電極アレイの制御回路41から省略することができる。さらに、PGA414、強度−位相周波数変換器415、位相周波数分析部416は、一つのみの信号チャンネルの信号を処理できるものであってもよい。このような構成では、位相周波数分析部416は、夫々の検出線の信号の大きさを順に計算処理部46に伝送する。
【0058】
要約すると、強度−位相周波数変換器415が低位相雑音を有しており、タッチ制御検出システム4が高いSNRを有しているため、タッチ制御検出システム4は、ベースライン(baseline)のDACを必要としない。タッチパネル44のサイズを中型又は大型にできる。さらに、強度−位相周波数変換器415のハードウエアコストは低く、製造コストを抑えることができる。
【0059】
図5を参照すると、タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合の本開示の実施の形態に係るタッチ制御検出システムの等価機能ブロック図が示される。タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラス48である場合、タッチ制御検出システム4の機能ブロック図は、タッチ制御検出システム5と等価である。一方、
図4の駆動信号発生器45は機能しない。従って、駆動信号発生器45は、
図5では示されていない。
図5のタッチ制御検出システム5のタッチパネル44の検出電極アレイは、例えば、検出線S1、S2、駆動線D1、D2を有しているが、本開示はこれに限定されない。
【0060】
タッチパネル44の駆動信号Driving_Sigは、アクティブスタイラス48から供給される。接触領域の夫々の駆動線及び夫々の検出線は、夫々駆動信号DrvLine_Sig、検出信号Sensing_Sigを生成する。MUX42は、検出信号Sensing_S1、Sensing_S2を制御信号Control_Siに応じて異なる時間に順に検出電極アレイの制御回路41に転送する。MUX43は、タッチパネル44の駆動線信号DrvLine_D1、駆動線信号DrvLine_D2を異なる時間に検出電極アレイの制御回路41に転送する。換言すると、検出電極アレイの制御回路41は、駆動線信号DrvLine_D1、DrvLine_D2、検出信号Sensing_S1、Sensing_S2を異なる時間に受信する。
【0061】
タッチパネル44がアクティブスタイラス48によりタッチされていない場合、駆動信号は存在しない。タッチパネル44がアクティブスタイラス48によりタッチされている場合、アクティブスタイラス48は接触領域の駆動線に駆動信号Driving_Sigを供給し、フィールドカップリングに起因して検出線に、対応する検出信号が生成される。駆動信号Driving_Sigが正弦波である場合、検出信号もまた実質的に正弦波信号である。このため、接触領域の検出線の検出信号、駆動線の駆動線信号は、LNA411を経過した後、信号強度分析器412によって強度信号に変換される。強度信号がスイッチ413及びPGA414を通過した後、強度−位相周波数変換器415は、夫々の強度信号に応じて対応する位相周波数信号を生成できる。
【0062】
位相周波数分析部416は、検出信号、駆動線信から変換された位相周波数信号を受信し、夫々対応する検出線又は駆動線の信号の大きさを得るために、位相周波数信号を分析する。計算処理部46は、信号の大きさに応じて夫々対応する検出線又は駆動線の信号変化を検出する。
【0063】
タッチパネル44がタッチされていない場合、検出線S1、S2の検出信号Sensing_S1、Sensing_S2に応じて位相周波数信号が生成される。駆動線D1、D2の駆動線信号DrvLine_D1、DrvLine_D2は、高い周波数と大きい位相又はこれらの組合せを有する。
【0064】
しかしながら、接触領域が検出線S2と駆動線D2により交差した領域である場合、正弦波が駆動信号Driving_Sigに応じて検出線S2に誘導され、駆動線D2は駆動線信号DrvLine_D2を生成するために駆動信号Driving_Sigを受信する。このため、駆動線D2の駆動線信号DrvLine_D2及び検出線S2の検出信号Sensing_S2は正弦波である。従って、駆動線信号DrvLine_D2及び検出信号Sensing_S2に応じて生成される位相周波数信号は、低い周波数、小さい位相又はこれらの組合せである。同様に、計算処理部46は、検出線S2と駆動線D2により交差する領域を接触領域として判定できる。
【0065】
さらに、タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスの場合、強度−位相周波数変換器415が強度信号に応じて位相周波数信号を生成する方法は、タッチパネルに接触する手段がユーザの指又はパッシブスタイラスの場合と反対である。詳細には、強度信号が大きい場合、強度−位相周波数変換器415によって生成される位相周波数信号は、低い周波数、小さい位相、またはこれらの組合せであり、逆の場合も同様である。このため、計算処理部46が接触領域を検出する方法は換える必要がない。しかしながら、実施の形態は、本開示に限定されない。他の実施の形態では、強度−位相周波数変換器415が位相周波数信号を生成する方法は異ならず、タッチパネルに接触するのに用いられる手段に依存する。また、このような場合、計算処理部46はが接触領域を検出する方法は変更される。
【0066】
図6を参照すると、タッチパネルに接触する手段がパッシブスタイラス(passive stylus)又はユーザの指である場合の本開示の実施の形態に係るタッチ制御検出システムの等価機能ブロック図が示される。タッチパネルに接触する手段がパッシブスタイラス又はユーザの指である場合、タッチ制御検出システム4は、
図6のタッチ制御検出システム6と等価となる。タッチ制御検出システム6のタッチパネル44の検出電極アレイは、例えば、検出線S、S2、駆動線D1、d2を用いている。このため、MUX43は、駆動信号Driving_D1、Driving_D2を出力する。駆動信号Driving_D1、Driving_D2は、夫々時間T1、T2の正弦波である。
【0067】
タッチパネル44がタッチされていない場合、検出線S1、S2の検出信号Sensing_S1、Sensing_S2は、時間T1、T2の正弦波である。このとき、時間T1、T2の検出信号Sensing_S1、Sensing_S2に応じて生成される2つの位相周波数信号は、高い周波数、大きい位相又はこれらの組合せを有する。
【0068】
接触領域が検出線S1と駆動線D2との交差領域である場合、検出線S2の検出信号Sensing_S2は時間T1、T2で正弦波であり、検出線S1の検出信号Sensing_S1は、時間T1で正弦波である。このとき、時間T1、T2での検出信号Sensing_S2に応じて生成される位相周波数信号は、高い周波数、大きい位相又はこれらの組合せである。また、時間T1での検出信号Sensing_S1に応じて生成される位相周波数信号は、高い周波数、大きい位相又はこれらの組合せである。位相周波数分析部416は、周波数が低くなるか、位相が小さくなるか、又はこれらの両方が発生するかを検出する。計算処理部46は、その後、検出線S1と駆動線D2による交差領域を接触領域として判定する。
【0069】
図7を参照すると、本開示の実施の形態に係る検出電極アレイの制御方法を示すフローチャートが示される。
図7の検出電極アレイの制御方法は、デュアルオペレーションモードのタッチ制御検出システムに適用可能である。提案されたシステムにおいてタッチパネルに接触するのに用いられる手段は、ユーザの指、パッシブスタイラス、アクティブスタイラスを用いることができる。
【0070】
初めに、ステップS91において、タッチパネルに接触する手段が判定される。当該手段がユーザの指又はパッシブスタイラスである場合、ステップS92が実行される。タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合、ステップS93が実行される。
【0071】
ステップS92では、
図8の検出電極アレイの制御方法の全てのステップが実行される。ステップS93では、
図9の検出電極アレイの制御方法の全てのステップが実行される。ステップS91では、例えば、物理的なキースイッチによって実現されうる。換言すると、ユーザは、手動で物理的なキーを操作して、タッチパネルに接触するのに用いられるタッチ手段のタイプを切り替えることができる。しかしながら、本開示はこれに限定されない。
【0072】
図8を参照すると、本開示の一実施の形態に係る検出電極アレイの制御方法において、ステップS92の詳細なステップを示すフローチャートが示される。タッチパネルに接触する手段が駆動信号を供給しないユーザの指又はパッシブスタイラスである場合、タッチ制御検出システムの駆動信号発生器が複数の駆動信号をタッチパネルの複数の駆動線に供給する。
【0073】
まず、ステップS71において、検出線の検出信号が受信される。次に、ステップS72において、検出信号は実質的にDC電圧信号である強度信号を得るために変換される。例えば、検出信号は、強度信号を得るために、包絡線又はピーク検出がなされる。特に、ステップS72の前に、検出信号は、強度信号を得るために変換される前に低雑音増幅されてもよい。
【0074】
次に、ステップS73において、強度信号に応じて位相周波数信号が生成される。夫々の位相周波数信号の位相、周波数、又はこれらの組合せは、対応する強度信号のDC電圧レベルに応じて変化する。ステップS73の前に、強度信号は、個別に増幅強度信号を生成するために増幅されてもよい。そして、ステップS73において、位相周波数信号は、増幅強度信号に応じて生成される。
【0075】
そして、ステップS74において、夫々の位相周波数信号が対応する検出線の信号の大きさを得るために分析される。
【0076】
図9を参照すると、本開示の一実施の形態に係る検出電極アレイの制御方法において、ステップS93の詳細なステップを示すフローチャートが示される。タッチパネルに接触する手段が駆動信号を供給することが可能なアクティブスタイラスである場合、アクティブスタイラスは、タッチ制御検出システムのタッチパネルに駆動信号を供給する。
【0077】
まず、ステップS81において、検出線の検出信号及び駆動線の駆動線信号が受信される。次に、ステップS82において、検出信号と駆動線信号が、実質的にDC電圧信号である強度信号を得るために変換される。例えば、検出信号と駆動線信号は、強度信号を得るために、包絡線又はピーク検出がなされる。特に、ステップS82に先立って、検出信号と駆動線信号は、強度信号を得るために変換される前に低雑音増幅されてもよい。
【0078】
次に、ステップS83において、強度信号に応じて位相周波数信号が生成される。夫々の位相周波数信号の位相、周波数、又はこれらの組合せは、対応する強度信号のDC電圧レベルに応じて変化する。ステップS83に先立って、強度信号は、個別に増幅強度信号を生成するために増幅されてもよい。そして、ステップS83において、位相周波数信号は、増幅強度信号に応じて生成される。そして、ステップS84において、夫々の位相周波数信号は、対応する検出線又は駆動線の信号の大きさを得るために分析される。
【0079】
図10を参照すると、本開示の他の実施の形態に係る検出電極アレイの制御方法を示すフローチャートが示される。
図10の検出電極アレイの制御方法は、デュアルオペレーションモードのタッチ制御検出システムに適用可能である。タッチパネルに接触するのに用いられる手段は、ユーザの指、パッシブスタイラス、アクティブスタイラスである。
【0080】
最初に、ステップS101において、検出線の検出信号が受信される。次に、ステップS102において、タッチパネルに接触する手段のタイプが判定される。タッチパネルに接触する手段がアクティブスタイラスである場合、ステップS103が実行される。タッチパネルに接触する手段がユーザの指又はパッシブスタイラスである場合、ステップS104が実行される。ステップS102では動作周波数及び/又は駆動信号の振幅が検出され、タッチパネルに接触する手段のタイプが判定される。例えば、アクティブスタイラスから供給される駆動信号の周波数が1MHzである場合、駆動信号発生器は250KHzである。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。
【0081】
ステップS103では、駆動線の駆動線信号が受信され、強度信号を得るために駆動線の駆動線信号が処理される。特に、ステップS103に先立って、強度信号に変換される前に、駆動線信号は低雑音増幅されてもよい。
【0082】
ステップS104では、強度信号を得るために、検出線の検出信号が処理される。同様に、ステップS104に先立って、強度信号を得るために変換される前に、検出信号は強低雑音増幅されてもよい。
【0083】
ステップS105では、位相周波数信号が強度信号に応じて生成される。夫々の位相周波数信号の位相、周波数、これらの組み合わせは、対応する強度信号のDC電圧レベルに応じて変化する。ステップS105に先立って、増幅強度信号を得るために強度信号は夫々増幅される。このため、ステップS105では、位相周波数信号は、増幅強度信号に応じて生成されうる。
【0084】
そして、ステップS106では、対応する検出(又は駆動)線の信号の大きさを得るために、夫々の位相周波数信号が分析される。
【0085】
上記の説明を要約すると、従来のタッチ制御検出システムと比較すると、本開示の検出電極アレイの制御回路を用いたタッチ制御検出システムは、高いSNRを有し、積分器を必要としないため、タッチ制御検出システムは早い動作速度を備える。さらに、検出電極アレイの制御回路を用いたタッチ検出システムは、ベースラインにDACを必要としない。このため、SNRが向上し、タッチパネルのサイズを中型又は大型にすることができる。
【0086】
上記の説明は、単に本開示の好ましい実施の形態を説明するものであり、本開示の特徴は決してこれに限定されるものではない。当業者によって便宜的に考慮された全ての変更、交代、改良は、後述の特許請求の範囲によって示される開示のスコープ内に包含されるとみなされる。